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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】駆動ヘッド交換可能な工具セット
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20240612BHJP
   F16D 3/16 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B25B21/00 H
F16D3/16 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022194788
(22)【出願日】2022-12-06
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】510097666
【氏名又は名称】原利興工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳佳益
(72)【発明者】
【氏名】陳輝謙
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3194138(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0179915(US,A1)
【文献】登録実用新案第3163635(JP,U)
【文献】中国実用新案第205521123(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0167966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00 - 23/00
F16D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ヘッド交換可能な工具セットであって、
接続された収容溝と取付部とを含み、前記収容溝には周方向に千鳥状に配列されている複数の係止凹部及び複数の係止凸部が設けられ、前記収容溝には多角形ボールジョイントが挿着され、また径方向に少なくとも1つの収容孔が貫通して設けられ、各前記収容孔に係止部材が設けられる本体と、
軸方向において前記本体に嵌設され、内側壁に凹部と前記凹部に対して突出する凸部とが設けられ、前記本体に対して第1位置と第2位置にスライド可能である外側スリーブと、
対向する大径端と小径端とを有し、前記大径端が環状溝に当接し、前記小径端が常に前記多角形ボールジョイントに弾性的に当接することで、前記多角形ボールジョイントが外へ弾性的に当接する傾向を有するようになる円錐ばねとを含み、
各前記係止凸部は、収容溝の底部から離れた一端に傾斜面が設けられ、
前記収容溝は溝底に近い箇所に前記環状溝が径方向に周設されており、
前記収容溝の内側壁には、溝開口に近い箇所であって、前記傾斜面に隣接して第1凹状段差が周設されており、
前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記凸部は前記係止部材を押して前記収容溝内に入り込み、前記多角形ボールジョイントを前記収容溝内に当接させ、前記外側スリーブが前記第2位置にある場合、前記凹部は前記係止部材に対応し、前記係止部材は前記収容溝内に入り込まないように前記凹部まで移動可能であり、前記多角形ボールジョイントは前記係止部材により当接されず、前記収容溝から離脱する駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項2】
前記本体の外周壁には、大径部、小径部及びストッパが設けられ、前記外側スリーブの内周壁には、内フランジが径方向に周設され、前記内フランジは前記大径部と前記ストッパとの間にスライド可能に規制されており、
前記小径部には復帰ばねが嵌設されて、前記大径部の端面と前記内フランジとの間に弾性的に当接され、前記外側スリーブが常に前記第1位置へ弾性的に当接するようにする請求項1に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項3】
前記内フランジの前記復帰ばねから離れた側に第2凹状段差がさらに設けられ、前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記ストッパは第2凹状段差に収容される請求項2に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項4】
前記外側スリーブの内周壁においては、前記内フランジから離れた一端に平坦部が設けられ、前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記本体の大径部は前記平坦部から突出し、前記外側スリーブが前記第2位置にある場合、前記本体の大径部は前記平坦部から突出していない請求項2に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項5】
前記収容孔は前記大径部を貫通して設けられる請求項2に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項6】
前記多角形ボールジョイントは、接続される作動部と多角形ボールと、を含み、前記多角形ボールの前記作動部から離れた一端に円形先端が設けられ、前記小径端は前記円形先端に当接し、前記円形先端の周縁に、放射状に配列される複数の弧形面取り部が接続され、前記小径端は前記弧形面取り部に接触していない請求項1に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【請求項7】
前記本体の外周壁には、大径部、小径部及びストッパが設けられ、前記外側スリーブの内周壁には、内フランジが径方向に周設され、前記内フランジは前記大径部と前記ストッパとの間にスライド可能に規制されており、前記小径部には復帰ばねが嵌設されて、前記大径部の端面と前記内フランジとの間に弾性的に当接され、前記外側スリーブが常に前記第1位置へ弾性的に当接するようにし、
前記内フランジの前記復帰ばねから離れた一側に第2凹状段差がさらに設けられ、前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記ストッパは第2凹状段差に収容され、
前記外側スリーブの内周壁においては、前記内フランジから離れた一端に平坦部が設けられ、前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記本体の大径部は前記平坦部から突出し、前記外側スリーブが前記第2位置にある場合、前記本体の大径部は前記平坦部から突出しておらず、前記収容孔は前記大径部を貫通して設けられ、
前記多角形ボールジョイントは、接続される作動部と多角形ボールと、を含み、前記多角形ボールの前記作動部から離れた一端に円形先端が設けられ、前記小径端は前記円形先端に当接し、前記円形先端の周縁に、放射状に配列される複数の弧形面取り部が接続され、前記小径端は前記弧形面取り部に接触しておらず、
前記平坦部は前記凸部と厚さが等しく、
前記取付部は回転工具に組付けられ、前記ストッパはC字形のファスナーである請求項1に記載の駆動ヘッド交換可能な工具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動ヘッド交換可能な工具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニバーサルジョイントは多角度回転に利用可能な手動工具であり、ボールソケットと駆動ロッドと、を含む。駆動ロッドの一端にはボールが設けられ、前記ボールは前記ボールソケットに相対回転不能に摺動し、前記駆動ロッドは前記ボールソケットに対してスライド可能に設けられている。前記駆動ロッドは前記ボールソケットに対して外へ引かれて揺動位置に至ると、前記ボールソケットに対して揺動可能であり、これにより、回転工具と駆動ヘッドが角度をなすロック作業が行われ、狭い作業架環境での操作が容易になる。
しかし、様々な規格の駆動対象部材に対する作業が必要とされる場合に駆動ヘッドを交換しなければならず、しかも、駆動ヘッドのみを交換することができず、工具全体を交換する必要があり、多くの工具セットを購入する必要があるだけでなく、作業に時間や手前がかかり、改善しなければならない欠点がある。
【0003】
本発明は上記の問題を解決するために、新規で進歩性のある駆動ヘッド交換可能な工具セットを提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、駆動ヘッドを安定的に取り付けることができ、また、駆動ヘッドを効率よく取り外して交換することもできる駆動ヘッド交換可能な工具セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明は、本体と、外側スリーブとを含む駆動ヘッド交換可能な工具セットを提供する。前記本体は、接続される収容溝と取付部とを有し、前記収容溝には周方向に千鳥状に配列されている複数の係止凹部及び複数の係止凸部が設けられ、前記収容溝には多角形ボールジョイントが挿着され、また径方向に少なくとも1つの収容孔が貫通して設けられ、各前記収容孔に係止部材が設けられる。
前記外側スリーブは軸方向において前記本体に嵌設され、内側壁に凹部と前記凹部に対して突出する凸部とが設けられ、前記本体に対して第1位置と第2位置にスライド可能である。
前記外側スリーブが前記第1位置にある場合、前記凸部は前記係止部材を押して前記収容溝内に入り込み、前記多角形ボールジョイントを前記収容溝に当接させ、前記外側スリーブが前記第2位置にある場合、前記凹部は前記係止部材に対応し、前記係止部材は前記収容溝内に入り込まないように前記凹部まで移動可能であり、前記多角形ボールジョイントは前記係止部材により当接されず、前記収容溝から離脱する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1好適な実施例の斜視図である。
図2】本発明の第1好適な実施例の分解図である。
図3】本発明の第1好適な実施例の多角形ボールジョイントの斜視図である。
図4】本発明の第1好適な実施例の操作の断面図である。
図5】本発明の第1好適な実施例の操作の断面図である。
図6】本発明の第2好適な実施例の斜視図である。
図7】本発明の第3好適な実施例の斜視図である。
図8】本発明の第4好適な実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施例にて本発明の可能な実施形態を説明するが、本発明の特許範囲を制限するものではない。
【0008】
図1~5を参照しながら、本発明の好適な第1実施例について説明する。
本発明の駆動ヘッド交換可能な工具セットは本体1と、外側スリーブ3と、を含む。
【0009】
該本体1は、接続される収容溝11と、取付部12と、を含む。
該収容溝11には周方向に千鳥状に配列されている複数の係止凹部111及び複数の係止凸部112が設けられている。該収容溝11には多角形ボールジョイント5が挿着され、径方向に少なくとも1つの収容孔13が貫通して設けられ、各該収容孔13に係止部材131が設けられる。
該取付部12は回転工具に取り付けるために使用される。
【0010】
本実施例では、円錐ばね2をさらに含む。該収容溝11は溝底に近い箇所に環状溝14が径方向に周設されている。該円錐ばね2は、対向する大径端21と小径端22とを有し、該大径端21が該環状溝14に当接し、該小径端22が常に該多角形ボールジョイント5に弾性的に当接することで、該多角形ボールジョイント5が外へ弾性的に当接する傾向を有する。
【0011】
該外側スリーブ3は軸方向において該本体1に嵌設される。内側壁に凹部31と該凹部31に対して突出する凸部32とが設けられ、該本体1に対して第1位置と第2位置にスライド可能である。
【0012】
該外側スリーブ3が該第1位置にある場合、該凸部32は該係止部材131を押して該収容溝11内に入り込み、該多角形ボールジョイント5を該収容溝11に当接させる。しかも、該円錐ばね2の大径端21が該環状溝14に当接するので、該円錐ばね2は該収容溝11から離脱することはない。これにより、該多角形ボールジョイント5は該円錐ばね2によって常に外へ付勢されて、該本体1に対して有効に揺動可能である。これにより、ロック作業が行われる。
さらに、本発明では、円錐ばね2は圧縮されるときに弾性力が低下することがない。このため、十分な弾力を持つ。
該多角形ボールジョイント5を交換しようとする場合、使用者は該外側スリーブ3を該第2位置へ移動させるだけでよい。該外側スリーブ3が該第2位置にある場合、該凹部31は該係止部材131に対応し、該係止部材131は該収容溝11に入り込まないように該凹部31まで移動する。該多角形ボールジョイント5は該係止部材131によって当接されず、該収容溝11から離脱し、該小径端22が常に該多角形ボールジョイント5に弾性的に当接するため、該多角形ボールジョイント5が外へ弾性的に当接する傾向を有するようになる。このようにして、該多角形ボールジョイント5は自発的に離脱して該本体1から弾き出され、より使用しやすくなる。
【0013】
具体的には、各該係止凸部112は、収容溝11の底部から離れた一端に傾斜面15が設けられる。該傾斜面15は、該多角形ボールジョイント5が揺動するときに該係止凸部112と干渉することを回避し、揺動の円滑性を向上させる。
【0014】
ここで、該収容溝11の内側壁においては、溝開口に近い箇所に第1凹状段差16が周設されている。該第1凹状段差16は該傾斜面15に隣接する。このように、該多角形ボールジョイント5が揺動するときに該収容溝11の内側壁の溝開口に近い箇所に衝突することを回避し、寿命を延ばし、騒音を低減させることができる。
【0015】
さらに、該本体1の外周壁には、大径部171、小径部172及びストッパ173が設けられている。該外側スリーブ3の内周壁には、内フランジ33が径方向に周設される。該内フランジ33は該大径部171と該ストッパ173との間にスライド可能に規制されている。該小径部172には復帰ばね4が嵌設されて、該大径部171の端面と該内フランジ33との間に弾性的に当接され、該外側スリーブ3が常に該第1位置へ弾性的に当接するようにし、また、該外側スリーブ3が該本体1から離脱することを回避する。
【0016】
好適には、該内フランジ33の該復帰ばね4から離れた側に第2凹状段差331がさらに設けられ、該外側スリーブ3が該第1位置にある場合、該ストッパ173は第2凹状段差331に収容される。これにより、該ストッパ173が外部から衝突を受けることを回避する。
本実施例では、該ストッパ173はC字形のファスナーであり、これにより、着脱や交換が容易になる。
【0017】
該外側スリーブ3の内周壁においては、該内フランジ33から離れた一端に平坦部34が設けられ、該外側スリーブ3が該第1位置にある場合、該本体1の大径部171は該平坦部34から突出し、該外側スリーブ3が該第2位置にある場合、該本体1の大径部171は該平坦部34から突出していない。
本実施例では、該収容孔13は該大径部171を貫通して設けられる。本実施例では、該平坦部34は該凸部32と厚さが等しい。
【0018】
該多角形ボールジョイント5は、接続される作動部51と多角形ボール52と、を含み、該多角形ボール52の該作動部51から離れた一端に円形先端53が設けられ、該小径端22は該円形先端53に当接し、該小径端22は径方向のサイズが小さく、再度該円形先端53に弾性的に当接できる場合、該多角形ボールジョイント5は該本体1に対して円滑に揺動可能である。
該円形先端53の周縁には、放射状に配列される複数の弧形面取り部54が接続される。該小径端22は該弧形面取り部54に接触しておらず、該弧形面取り部54はそれぞれ該係止凹部111に当接する。これにより、該多角形ボールジョイント5と該本体1との相対回転が回避される。
【0019】
要するに、本実施例では、該取付部12はスリーブであり、該作動部51はD-コネクタである。
図6に示すように、本発明の第2好適な実施例では、作動部51Aもスリーブであってもよい。
図7に示すように、本発明の第3好適な実施例では、延長棒18Bをさらに含む。該延長棒18Bは該収容溝11と該取付部12Bとの間に接続されて、作業範囲を延長する。
図8に示すように、本発明の第4好適な実施例では、取付部12Cは多角形ボールであり、該取付部12Cは多角形スリーブ6に揺動可能に取り付けられることに用いられ、これにより、2段式のユニバーサルジョイントの機能を持たせることができる。。
【符号の説明】
【0020】
1:本体
11:収容溝
111:係止凹部
112:係止凸部
12、12B、12C:取付部
13:収容孔
131:係止部材
14:環状溝
15:傾斜面
16:第1凹状段差
171:大径部
172:小径部
173:ストッパ
18B:延長棒
2:円錐ばね
21:大径端
22:小径端
3:外側スリーブ
31:凹部
32:凸部
33:内フランジ
331:第2凹状段差
34:平坦部
4:復帰ばね
5:多角形ボールジョイント
51、51A:作動部
52:多角形ボール
53:円形先端
54:面取り部
6:多角形スリーブ
【要約】      (修正有)
【課題】駆動ヘッドを安定的に取り付けることができ、また、駆動ヘッドを効率よく取り外して交換することもできる駆動ヘッド交換可能な工具セットを提供する。
【解決手段】本発明の駆動ヘッド交換可能な工具セットは、本体と、外側スリーブと、を含む。該本体は収容溝と、取付部と、を含み、該収容溝には複数の係止凹部及び複数の係止凸部が設けられ、該収容溝には多角形ボールジョイントが挿着され、径方向において少なくとも1つの収容孔が貫通して設けられ、各該収容孔には係止部材が設けられる。該外側スリーブは軸方向において該本体に嵌設され、該本体に対して第1位置と第2位置にスライドすることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8