IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図1
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図2
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図3
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図4
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図5
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図6
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図7
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図8
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図9
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図10
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図11
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図12
  • 特許-掃除機、家電システム、および評価方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】掃除機、家電システム、および評価方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 D
A47L9/28 K
A47L9/28 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019231228
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021097877
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 正史
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 達也
(72)【発明者】
【氏名】金山 将也
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/133571(WO,A1)
【文献】特開2019-088543(JP,A)
【文献】特開2019-000442(JP,A)
【文献】特開2013-183965(JP,A)
【文献】特開2014-236838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0318232(US,A1)
【文献】特開平05-253152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引するヘッド部を備え、ユーザの操作により被掃除面を掃除する掃除機であって、
前記ヘッド部の動作を示す動作情報を検出する動作検出部と、
前記動作検出部によって検出された前記動作情報および所定の評価基準に基づいて、前記ヘッド部の動作を評価する評価部と、
前記ヘッド部から吸引された前記塵埃の量を検出する塵埃検出部と、
前記動作検出部によって検出された前記動作情報と、前記塵埃検出部によって検出された前記塵埃の量を示す塵埃量情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記記憶部に蓄積された前記塵埃量情報および前記動作情報に基づいて、前記評価基準を調整する評価基準調整部と、
を備え
前記評価基準は、ニューラルネットワークで構成され、前記動作情報が入力層に入力されると、前記ヘッド部の動作の評価結果を示す評価値を出力層から出力する学習モデルであり、
前記評価基準調整部は、掃除の際に前記動作検出部によって検出される前記動作情報と、前記塵埃量情報に基づいて算出される前記評価値とを対応付けた教師データを用いて、前記学習モデルを追加学習させる、
掃除機。
【請求項2】
前記評価部による評価結果を示す評価値または前記評価値から導出された評価関連情報を報知する報知部を更に備える、
請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記動作検出部の検出結果、前記評価値、または前記評価関連情報のうちの少なくとも一つを外部機器に送信する通信部を更に備える、
請求項2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記被掃除面に負圧を及ぼす電動送風機と、
前記ヘッド部の動作についての前記評価値に基づいて、前記電動送風機を制御する電動送風機制御部と、を更に備える、
請求項2または請求項3に記載の掃除機。
【請求項5】
前記ヘッド部に設けられ、前記被掃除面と接触する回転ブラシと、
前記ヘッド部の動作についての前記評価値に基づいて、前記回転ブラシを制御する回転ブラシ制御部と、を更に備える、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項6】
前記ヘッド部の動作についての前記評価値に基づく制御を行うか否かを設定するための操作部を更に備える、
請求項4または請求項5に記載の掃除機。
【請求項7】
前記動作検出部は、前記ヘッド部に設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項8】
前記動作検出部は、前記掃除機を使用する際に前記ユーザによって把持される把持部に設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項9】
前記動作検出部は、前記掃除機を使用する際に前記ユーザによって把持される把持部と前記ヘッド部との間の連結部材に設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項10】
塵埃を吸引するヘッド部を備え、ユーザの操作により被掃除面を掃除する掃除機と、前記掃除機と通信可能な情報処理装置と、を備える家電システムであって、
前記掃除機は、
前記ヘッド部の動作を示す動作情報を検出する動作検出部と、
前記ヘッド部から吸引された前記塵埃の量を検出する塵埃検出部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記動作検出部によって検出された前記動作情報および所定の評価基準に基づいて、前記ヘッド部の動作を評価する評価部と、
前記動作検出部によって検出された前記動作情報と、前記塵埃検出部によって検出された前記塵埃の量を示す塵埃量情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記記憶部に蓄積された前記塵埃量情報および前記動作情報に基づいて、前記評価基準を調整する評価基準調整部と、を備え
前記評価基準は、ニューラルネットワークで構成され、前記動作情報が入力層に入力されると、前記ヘッド部の動作の評価結果を示す評価値を出力層から出力する学習モデルであり、
前記評価基準調整部は、掃除の際に前記動作検出部によって検出される前記動作情報と、前記塵埃量情報に基づいて算出される前記評価値とを対応付けた教師データを用いて、前記学習モデルを追加学習させる、
家電システム。
【請求項11】
前記掃除機または前記情報処理装置のうちの少なくとも一方と通信可能な端末装置を更に備え、
前記端末装置は、前記評価部による評価結果を示す評価値または前記評価値から導出された評価関連情報を報知する報知部を備える、
請求項10に記載の家電システム。
【請求項12】
塵埃を吸引するヘッド部を備え、ユーザの操作より被掃除面を掃除する掃除機の動作を評価する評価方法であって、
前記ヘッド部の動作を示す動作情報を検出する動作検出ステップと、
前記動作検出ステップで検出された前記動作情報および所定の評価基準に基づいて、前記ヘッド部の動作を評価する評価ステップと、
前記ヘッド部から吸引された前記塵埃の量を検出する塵埃検出ステップと、
前記動作検出ステップで検出された前記動作情報と、前記塵埃検出ステップで検出された前記塵埃の量を示す塵埃量情報とを対応づけて記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶部に蓄積された前記塵埃量情報および前記動作情報に基づいて、前記評価基準を調整する評価基準調整ステップと、を備え
前記評価基準は、ニューラルネットワークで構成され、前記動作情報が入力層に入力されると、前記ヘッド部の動作の評価結果を示す評価値を出力層から出力する学習モデルであり、
前記評価基準調整ステップにおいて、掃除の際に前記動作検出ステップで検出される前記動作情報と、前記塵埃量情報に基づいて算出される前記評価値とを対応付けた教師データを用いて、前記学習モデルを追加学習させる、
評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、掃除機、家電システム、および評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器には、例えば掃除機のように、ユーザが動かして使用するものがある。掃除機には、ヘッド部から吸引されたゴミ(塵埃)を検知するゴミセンサが設けられている。掃除機が効率的に使用されているか否かは、ゴミセンサの検知結果に基づいて判定される。しかしながら、ゴミセンサによって検知された塵埃の吸引量に基づくだけでは、掃除機が効率的に使用されているか否かを判定するのが難しい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-188238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザによって操作される家電機器の動作を検出することで、ユーザが家電機器を効率的に使用しているか否かを精度よく判定することができる掃除機、家電システム、評価方法、および評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の掃除機は、塵埃を吸引するヘッド部を備え、ユーザの操作により被掃除面を掃除する掃除機である。前記掃除機は、動作検出部と、評価部と、塵埃検出部と、記憶部と、評価基準調整部とを持つ。前記動作検出部は、前記ヘッド部の動作を示す動作情報を検出する。前記評価部は、前記動作検出部によって検出された前記動作情報および所定の評価基準に基づいて、前記ヘッド部の動作を評価する。前記塵埃検出部は、前記ヘッド部から吸引された前記塵埃の量を検出する。前記記憶部は、前記動作検出部によって検出された前記ヘッド部の動作を示す動作情報と、前記塵埃検出部によって検出された前記塵埃の量を示す塵埃量情報とを対応づけて記憶する。前記評価基準調整部は、前記記憶部に蓄積された前記塵埃量情報および前記動作情報に基づいて、前記評価基準を調整する。前記評価基準は、ニューラルネットワークで構成され、前記動作情報が入力層に入力されると、前記ヘッド部の動作の評価結果を示す評価値を出力層から出力する学習モデルである。前記評価基準調整部は、掃除の際に前記動作検出部によって検出される前記動作情報と、前記塵埃量情報に基づいて算出される前記評価値とを対応付けた教師データを用いて、前記学習モデルを追加学習させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る掃除機の全体構成を示す斜視図。
図2】掃除機のヘッド部を示す斜視図。
図3】掃除機の機能構成を示すブロック図。
図4】評価部によって使用される学習モデルを説明する図。
図5】学習モデルに用いられるニューラルネットワークの一部を模式的に示す図。
図6】評価制御モードにおける処理を示すフローチャート。
図7】評価基準の調整処理を示すフローチャート。
図8】家電システムの構成の一例を示す図。
図9】情報処理装置の機能構成を示すブロック図。
図10】端末装置の機能構成を示すブロック図。
図11】端末装置の表示画面を示す図。
図12】お掃除マップの画面を示す図。
図13】評価基準の生成処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の家電機器、家電システム、評価方法、および評価基準生成方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。本明細書で「YY1またはYY2」とは、「YY1」のみが存在する場合、または「YY2」のみが存在する場合に限定されず、「YY1」および「YY2」の両方が存在する場合も含む。これは、「または」で繋がれる要素が3つ以上の場合も同様である。本明細書で「ZZ1とZZ2とのうち少なくとも一方」とは、「ZZ1」および「ZZ2」の両方が前提として存在する場合に限定されず、「ZZ1」のみしか存在しない場合、または「ZZ2」のみしか存在しない場合も含む。「XX」、「YY1」、「YY2」、「ZZ1」、および「ZZ2」は、それぞれ、任意の要素(例えば任意の情報、機能、または構成)である。
【0008】
本明細書では、電気掃除機を使用するユーザを基準に前後、左右、上下を定義する。本明細書で「同じ」および「平行」とは、「略同じ」および「略平行」の場合を含む。本明細書で「接続」とは、電気的な接続である場合も含む。
【0009】
(第1の実施形態)
[1-1.掃除機の全体構成]
図1は、掃除機の全体構成を示す斜視図である。掃除機100は、ユーザの操作に応じて動作することにより所定の機能を発揮する家電機器の一例である。掃除機100は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、電源としての二次電池115が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、掃除機100は、上記例に限らず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型など他の形式の掃除機でもよい。
【0010】
掃除機100は、例えば、掃除機本体110、延長管120、およびヘッド部130を備えている。掃除機本体110は、例えば、本体ケース111、把持部112、集塵装置113、電動送風機114、二次電池115、および制御回路150を有する。
【0011】
本体ケース111は、掃除機本体110の外郭を形成している。本体ケース111は、電動送風機114、二次電池115、および制御回路150を収容している。本体ケース111は、後述する延長管120の一端が接続される延長管接続部111aを有する。
【0012】
把持部112は、本体ケース111の上後端部に設けられている。把持部112は、掃除機100を用いて被掃除面Fを掃除する場合に、ユーザにより把持される部位である。把持部112は、掃除機100の運転に関するユーザの操作を受け付ける操作部112aを有する。操作部112aは、例えば、複数のボタンを含む。また、把持部112は、報知部112bおよび動作検出部140を有する。報知部112bおよび動作検出部140の詳細については後述する。
【0013】
集塵装置113は、本体ケース111に着脱可能に装着されている。集塵装置113は、後述する電動送風機114の働きにより掃除機本体110に吸い込まれた空気に含まれる塵埃を分離する装置である。集塵装置113は、例えば含塵空気を旋回させることで塵埃を分離する遠心分離式の集塵装置でもよく、含塵空気をフィルタに通すことで塵埃を分離する濾過式の集塵装置でもよい。
【0014】
電動送風機114は、ファンモータと、ファンモータにより回転されるインペラとを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機114は、発生させた負圧により後述するヘッド部130の吸引口130aから掃除機本体110の集塵装置113へ含塵空気を吸い込み、集塵装置113で塵埃が分離された空気を掃除機100の外部に排気する。
【0015】
二次電池115は、掃除機100が動作するために必要な電力を掃除機100に供給する。例えば、二次電池115は、電動送風機114、制御回路150、後述する第1ブラシモータ135、および第2ブラシモータ136などに電力を供給する。
【0016】
制御回路150は、配線パターンが設けられた回路基板と、回路基板に実装された複数の電子部品とを含む。これら電子部品は、例えば、コンピュータプログラムを実行する、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサ、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのうち1つ以上の部品を含む。
【0017】
延長管120は、例えば長尺状に形成されており、第1端部120aと、第2端部120bとを有する。延長管120の第1端部120aは、掃除機本体110の延長管接続部111aに気密に接続される。延長管120の第2端部120bは、ヘッド部130に気密に接続される。延長管120の内部には、掃除機本体110とヘッド部130とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
【0018】
ヘッド部130は、被掃除面Fに沿って移動される部分である。以下、本実施形態のヘッド部130について詳しく説明する。
【0019】
[1-2.ヘッド部]
図2は、掃除機のヘッド部を示す斜視図である。ヘッド部130は、例えば、接続管131、ケース132、第1回転ブラシ133、第2回転ブラシ134、第1ブラシモータ135(図3参照)、および第2ブラシモータ136(図3参照)を有する。
【0020】
接続管131は、ケース132と延長管120の第2端部120bとを気密に接続する部分である。接続管131は、ケース132に回動可能に接続されている。接続管131によりケース132と延長管120とが接続されることで、ケース132の吸引口130aから延長管120を経由して掃除機本体110に至る風路が形成される。
【0021】
ケース132は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。ケース132は、被掃除面Fに対向する下部に、吸引口130aを有する。吸引口130aの全部または大部分は下方に向いて開口している。吸引口130aは、掃除機本体110の電動送風機114が駆動されることで、被掃除面Fの塵埃を吸い込む開口部である。
【0022】
第1回転ブラシ133は、吸引口130aに設けられ、被掃除面Fに沿って配置されている。第1回転ブラシ133は、ヘッド部130の前端部に設けられている。第1回転ブラシ133の長手方向は、ヘッド部130の長手方向(左右方向)と平行である。第1回転ブラシ133は、ヘッド部130を下方から見た場合、前側から後側へ向かう回転方向で回転する。
【0023】
第2回転ブラシ134は、吸引口130aに設けられ、被掃除面Fに沿って配置されている。第2回転ブラシ134は、ヘッド部130の前後方向において、第1回転ブラシ133の後方に設けられている。第2回転ブラシ134の長手方向は、第1回転ブラシ133の長手方向と平行である。第2回転ブラシ134は、ヘッド部130を下方から見た場合、後側から前側へ向かう回転方向で回転する。すなわち、第1回転ブラシ133と第2回転ブラシ134は、互いに逆方向に回転する。なお、第1回転ブラシ133と第2回転ブラシ134とが同方向に回転する場合であっても、ヘッド部130に設ける回転ブラシが1つの場合であっても本発明を適用することができる。
【0024】
[1-3.掃除機の機能構成]
図3は、掃除機の機能構成を示すブロック図である。掃除機100は、動作検出部140と、塵埃検出部170と、操作部112aと、報知部112bと、ファンモータ116と、第1ブラシモータ135と、第2ブラシモータ136と、制御回路150とを備える。
【0025】
動作検出部140は、加速度センサやジャイロセンサを備え、ユーザによって操作される掃除機100のヘッド部130の動作を検出する。本実施形態では、動作検出部140は把持部112に設けられている。こうすることで、掃除機100が操作される際、ヘッド部130は障害物に衝突しても、振動による検出精度の低下を減らすことができるし、センサの取り付けに必要な強度を確保することが容易となる。これに限られず、動作検出部140はヘッド部130に設けることとしてもよい。動作検出部140をヘッド部130に設ければヘッド部130の動きを直接に検出する点で検出精度を向上させることができる。また、動作検出部140は、把持部112とヘッド部130との間の連結部材(例えば、延長管120)に設けられてもよい。これによって、動作検出部140は、センサの破損や検出精度の低下を回避しつつ、ヘッド部130の動作を間接的に検出する。
【0026】
動作検出部140は、加速度センサやジャイロセンサの出力に基づいて、掃除機100の動作を示す動作情報を検出し、検出した動作情報を制御回路150に出力する。動作検出部140は、一定の時間間隔で動作情報の検出および出力を行う。「動作情報」は、例えば、ヘッド部130の速度、加速度、移動方向、及び一動作の移動距離などであるが、これに限られない。例えば、「動作情報」は、ヘッド部130の持ち上げ時間、非移動時間、速度変化、床面の材質、電動送風機114の風量、瞬間消費電力、および障害物への衝突等の情報が含まれてもよい。
【0027】
塵埃検出部170は、ヘッド部130から吸引された塵埃の量を検出するセンサである。塵埃検出部170は、発光素子と受光素子とを備える光学式センサであり、掃除機100内において塵埃の通過する個所に設けられる。発光素子から照射された光は受光素子によって受光されるが、塵埃が通過すると光が遮断される。塵埃検出部170は、受光素子から出力される信号に基づいて塵埃の量を検出し、検出した塵埃の量を示す塵埃量情報を制御回路150に出力する。塵埃検出部170は、一定の時間間隔で塵埃量情報の検出および出力を行う。
【0028】
操作部112aは、掃除機100に電源を投入するための電源ボタンや、掃除機100の動作モードを設定するためのモード設定ボタンを備える。操作部112aは、ユーザによって押されたボタンを特定する信号を制御回路150に出力する。
【0029】
報知部112bは、青色または赤色に発光するLED(Light Emitting Diode)を有し、掃除機100の動作についての情報を報知する。例えば、報知部112bは、掃除機100が効率よく使用されている場合には青色のLEDを発光し、掃除機100が効率よく使用されていない場合には赤色のLEDを発光する。掃除機100が効率よく使用されているか否かの評価についての詳細は後述する。なお、報知部112bはLEDに限られない。例えば、報知部112bは、情報を画面に表示する表示装置であってもよいし、情報を音声で報知するスピーカであってもよい。
【0030】
ファンモータ116は、電動送風機114のインペラを回転駆動するモータである。ファンモータ116は、例えば直流モータであるが、これに限定されず各種モータが使用可能である。電動送風機114は、ファンモータ116の回転により発生した負圧により吸引口130aから空気を吸い込む。
【0031】
第1ブラシモータ135は、第1回転ブラシ133を回転駆動するモータである。第2ブラシモータ136は、第2回転ブラシ134を回転駆動するモータである。第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136は、例えば直流モータであるが、これに限定されず各種モータが使用可能である。第1回転ブラシ133および第2回転ブラシ134が回転することにより、被掃除面Fから塵埃を掻き出すことができる。
【0032】
制御回路150は、評価部151と、電動送風機制御部152と、回転ブラシ制御部153と、評価基準調整部154と、通信部155と、記憶部156とを備える。なお、これらの機能部のうち、評価部151、電動送風機制御部152、回転ブラシ制御部153、および評価基準調整部154は、制御回路150に設けられたハードウェアプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0033】
記憶部156は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部156は、動作検出部140によって検出されたヘッド部130の動作を示す動作情報と、塵埃検出部170によって検出された塵埃の量を示す塵埃量情報とを対応づけて記憶している。また、記憶部156は、評価部151によって使用される評価基準や、操作部112aを用いて設定された掃除機100の動作モードの設定情報についても記憶している。
【0034】
評価部151は、動作検出部140によって検出された掃除機100の動作を、所定の評価基準に基づいて評価する。具体的に、評価部151は、記憶部156から評価基準を読み出し、動作検出部140から出力された動作情報(ヘッド部130の速度、加速度、移動方向、及び一動作の移動距離など)および評価基準に基づき、ヘッド部130の動作を評価する。
【0035】
例えば、評価基準は、動作情報に含まれるデータの適正範囲である。具体的に、評価基準がヘッド部130の適正速度範囲を表す値である場合、評価部151は、動作検出部140によって検出されたヘッド部130の速度が適正速度範囲に含まれるか否かを示す値を評価値として出力する。
【0036】
報知部112bは、評価部151から出力された評価値に基づき、LEDを青色または赤色に点灯させる。例えば、報知部112bは、ヘッド部130の速度が適正速度範囲に含まれる場合、LEDを青色に点灯させる。また、報知部112bは、ヘッド部130の速度が適正速度範囲に含まれない場合、LEDを赤色に点灯させる。
【0037】
なお、報知部112bに表示装置が設けられている場合には、評価値から導出された評価関連情報を表示装置に表示してもよい。例えば、ヘッド部130の速度が適正速度範囲を超えている場合、「もう少しゆっくり動かしましょう」といったメッセージを評価関連情報として表示装置に表示してもよい。また、報知部112bにスピーカが設けられている場合には、メッセージを音声で出力してもよい。
【0038】
操作部112aは、ヘッド部130の動作についての評価値に基づく制御を行うか否かを設定するために用いられる。具体的に、操作部112aは、ユーザからのボタン操作に応じて、「評価制御モード」の設定を受け付ける。「評価制御モード」とは、評価部151によって算出された評価値に基づいて、電動送風機114、第1回転ブラシ133、および第2回転ブラシ134を制御するモードである。「評価制御モード」が設定されている場合、評価部151は、評価基準を用いて算出した評価値を、電動送風機制御部152および回転ブラシ制御部153に出力する。
【0039】
「評価制御モード」が設定されている場合、電動送風機制御部152は、評価部151によって算出された評価値に基づいて、電動送風機114を制御する。また、回転ブラシ制御部153は、評価部151によって算出された評価値に基づいて、第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136を制御する。
【0040】
例えば、ヘッド部130の速度が適正速度範囲を超えることが評価値によって示される場合、電動送風機制御部152は、電動送風機114のインペラを速く回転させるように、ファンモータ116を制御する。一方、ヘッド部130の速度が適正速度範囲未満であることが評価値によって示される場合、電動送風機制御部152は、電動送風機114のインペラを遅く回転させるように、ファンモータ116を制御する。なお、ヘッド部130の速度が適正速度範囲に含まれることが評価値によって示される場合には、電動送風機制御部152は、電動送風機114のインペラの回転速度を通常の回転速度に維持するように、ファンモータ116を制御する。
【0041】
同様に、例えば、ヘッド部130の速度が適正速度範囲を超えることが評価値によって示される場合、回転ブラシ制御部153は、第1回転ブラシ133および第2回転ブラシ134を速く回転させるように、第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136を制御する。一方、ヘッド部130の速度が適正速度範囲未満であることが評価値によって示される場合、回転ブラシ制御部153は、第1回転ブラシ133および第2回転ブラシ134を遅く回転させるように、第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136を制御する。なお、ヘッド部130の速度が適正速度範囲に含まれることが評価値によって示される場合には、回転ブラシ制御部153は、第1回転ブラシ133および第2回転ブラシ134の回転速度を通常の回転速度に維持するように、第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136を制御する。
【0042】
評価基準調整部154は、記憶部156に蓄積された塵埃量情報および動作情報に基づいて、評価基準を調整する。評価基準調整部154の処理内容の詳細については後述する。通信部155は、ネットワークを介して外部機器と通信するための通信機器である。
【0043】
なお、評価部151によって使用される「評価基準」は、動作情報に含まれるデータの適正範囲であることとしたが、これに限られない。例えば、「評価基準」は、ニューラルネットワークで構成される学習モデルであってもよい。以下、評価基準としての学習モデルについて説明する。
【0044】
[1-4.学習モデルの構成]
図4は、評価部によって使用される学習モデルを説明する図である。学習モデル180は、入力層181、中間層182、および出力層183を含む。図4において、学習モデル180は、1つの中間層182を含むこととしたが、複数の中間層182を含んでいてもよい。
【0045】
評価部151が掃除機100の動作情報(ヘッド部130の速度、加速度、移動方向、及び一動作の移動距離など)を入力層181に入力すると、出力層183から評価値が出力される。「評価値」は0以上1以下の値であり、値が大きいほど掃除機100が効率的に使用されていることを示す。
【0046】
図5は、学習モデルに用いられるニューラルネットワークの一部を模式的に示す図である。xは、各層のユニット(ノード)の値を示す。各ユニットの値は、1つ前の層のユニットの出力に重みwを乗算して加算した値を所定の関数で計算したものである。これらを式で表すと次のようになる。
【0047】
【数1】
【0048】
ここで、bは、バイアス項である。関数fとしては、ReLUやシグモイド関数などが用いられる。上記式(1)の計算を入力層181から出力層183まで繰り返すことで、学習モデル180による評価結果が求められる。「学習」とは、重みwおよびバイアス項bなどを適切な値に調整することを意味する。学習は、確率的勾配降下法などで行われる。すなわち、各層の重みwおよびバイアス項bにランダムな値を与え、教師データとなるデータセットを入力層181に与える。学習の初期段階では、出力層183から出力される出力値は誤った値となるが、教師データの場合は本来出力されて欲しい値(目的値)が分かっているため、出力値と目的値のずれ(誤差)が小さくなるように出力層183から入力層181へ向かって逆順に重みなどを更新していく。これは誤差逆伝播と呼ばれ、出力値と目的値の誤差は二乗誤差や交差エントロピーなどで表現される。このとき、誤差が微分可能な関数で表現されると、誤差を小さくするために調整する量(勾配)を計算で求めることができる。
【0049】
評価部151は、学習モデルを用いてヘッド部130の動作を評価し、評価結果を示す評価値を算出する。前述したように、「評価値」は0以上1以下の値であり、値が大きいほど掃除機100が効率的に使用されていることを示す。評価部151は、算出した評価値を報知部112bに出力する。
【0050】
報知部112bは、評価部151から出力された評価値に基づき、LEDを青色または赤色に点灯させる。例えば、報知部112bは、評価値が所定の閾値以上である場合、LEDを青色に点灯させる。また、報知部112bは、評価値が所定の閾値未満である場合、LEDを赤色に点灯させる。
【0051】
なお、報知部112bに表示装置が設けられている場合には、評価値から導出された評価関連情報を表示装置に表示してもよい。例えば、評価値に基づいて掃除についてのスコアを算出し、「今日のお掃除は82点です」といったメッセージを表示装置に表示してもよい。また、報知部112bにスピーカが設けられている場合には、メッセージを音声で出力してもよい。
【0052】
[1-5.評価制御モードにおける処理]
図6は、評価制御モードにおける処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、掃除機100の電源投入後、一定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、制御回路150は、操作部112aを用いて評価制御モードが設定されているか否かを判定する(S10)。制御モードが設定されていないと判定した場合(S10:NO)、制御回路150は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0053】
一方、制御モードが設定されていると判定した場合(S10:YES)、制御回路150は、記憶部156から動作情報および評価基準を取得する(S11、S12)。制御回路150の評価部151は、記憶部156から取得した動作情報および評価基準に基づいて、ヘッド部130の動作についての評価値を算出する(S13)。
【0054】
報知部112bは、評価部151によって算出された評価値または評価値から導出された評価関連情報を報知する(S14)。電動送風機制御部152は、評価部151によって算出された評価値に基づき、ファンモータ116を制御することで、電動送風機制御部152のインペラの回転速度を制御する(S15)。回転ブラシ制御部153は、評価部151によって算出された評価値に基づき、第1ブラシモータ135および第2ブラシモータ136を制御することで、第1回転ブラシ133および第2回転ブラシ134の回転速度を制御する(S16)。以上で、本フローチャートによる処理を終了する。
【0055】
[1-6.評価基準の調整処理]
次に、評価基準の調整処理について説明する。掃除機100を使用するユーザに応じて、掃除対象であるユーザの部屋の床面の状態(フローリング、長毛カーペット等)は異なる。掃除対象の床面の状態が異なれば、ヘッド部130の最適な動作も異なる。そこで、掃除対象の床面の状態に応じてヘッド部130の動作の適切な評価を行えるようにするために、評価基準調整部154は評価基準の調整処理を行う。
【0056】
なお、ここでは、評価基準が図4に示される学習モデル180の場合における、評価基準の調整処理について説明する。評価基準調整部154は、掃除機100に搭載されている学習済みの学習モデル180を、掃除の際に検出される動作情報および塵埃量情報に基づいて追加学習させる。
【0057】
図7は、評価基準の調整処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、ユーザが掃除機100を操作している際に、一定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、制御回路150の評価基準調整部154は、動作検出部140によって検出された動作情報(ヘッド部130の速度、加速度、移動方向、及び一動作の移動距離など)を取得する(S20)。次に、評価基準調整部154は、塵埃検出部170によって検出された塵埃量情報(ヘッド部130から吸引された塵埃の量を示す情報)を取得する(S21)。
【0058】
評価基準調整部154は、取得した塵埃量情報に基づき、評価値を算出する(S22)。例えば、評価基準調整部154は、評価値の範囲が0以上1以下となるように、かつ塵埃量が多いほど大きな値となるように、あらかじめ定められた手法で評価値を算出する。
【0059】
次に、評価基準調整部154は、ステップS20で取得した動作情報と、ステップS22で算出した評価値とを対応付けた教師データを用いて、評価基準を調整する(S23)。具体的には、評価基準調整部154は、この教師データを用いて、誤差逆伝播により前述の式(1)における重みwおよびバイアス項bなどを適切な値に調整する。評価基準調整部154は、調整した重みwおよびバイアス項bなどのパラメータを、評価基準として記憶部156に記憶する。以上で、本フローチャートによる処理を終了する。
【0060】
このように、評価基準調整部154は、学習モデル180の追加学習を行うことで、評価基準の調整処理を行う。これによって、評価部151は、ヘッド部130の動作の適切な評価を行うことができる。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態の掃除機100は、ユーザによって操作される掃除機100の動作を検出する動作検出部140を有する。動作検出部140の検出結果を利用することで、第1の実施形態の掃除機100は、ユーザが掃除機100を効率的に使用しているか否かを精度よく判定することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
[2-1.家電システムの全体構成]
第1の実施形態では、掃除機単体の実施形態を説明した。これに対し、第2の実施形態では、掃除機の機能の一部を外部装置に備えることとした。以下、第2の実施形態の詳細について説明する。
【0063】
図8は、家電システムの構成の一例を示す図である。家電システム10は、掃除機100と、情報処理装置200と、端末装置300と、スマートスピーカ400とを備える。掃除機100は、例えば家屋内に設置されたルータRを介して、端末装置300およびスマートスピーカ400と通信可能である。掃除機100は、ルータRを介してネットワークNWと接続され、情報処理装置200と通信可能である。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、電話回線、無線基地局などのうち1つ以上を含む。
【0064】
第2の実施形態においては、前述の図3に示される報知部112bと同様の機能を端末装置300に設け、前述の図3に示される評価部151および評価基準調整部154と同様の機能を情報処理装置200に設けている。なお、第2の実施形態の掃除機100に設けられた通信部155(図3参照)は、動作検出部140の検出結果、評価値、または評価関連情報のうちの少なくとも一つを外部機器(情報処理装置200、端末装置300、またはスマートスピーカ400)に送信する。
【0065】
[2-2.情報処理装置の機能構成]
図9は、情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置200は、コンピュータプログラムを記憶するメモリと、コンピュータプログラムを実行するCPU等のハードウェアプロセッサとを備えるコンピュータである。情報処理装置200は、評価部210と、通信部211と、評価基準調整部212と、評価基準生成部213と、記憶部214とを備える。
【0066】
評価部210および評価基準調整部212は、ハードウェアプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能部である。通信部211は、ネットワークNWを介して外部機器と通信するための通信機器である。記憶部214は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。
【0067】
通信部211は、掃除機100から動作情報および塵埃量情報を受信し、記憶部214に記憶する。評価部210は、動作情報および評価基準を用いて評価値を算出する。評価値の算出方法については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。通信部211は、評価部210によって算出された評価値を、ネットワークNWを介して掃除機100に送信する。掃除機100は、情報処理装置200から評価値を受信すると、受信した評価値を、ルータRを介して端末装置300またはスマートスピーカ400に送信する。
【0068】
なお、記憶部214には、複数回の掃除を通じて掃除機100から受信した動作情報および塵埃量情報が蓄積されている。評価基準生成部213は、記憶部214に蓄積されたこれらの情報に基づき、ヘッド部130の動作を評価する際の基準となる評価基準を生成する。評価基準の生成処理の詳細については後述する。
【0069】
[2-3.端末装置の機能構成]
図10は、端末装置の機能構成を示すブロック図である。端末装置300は、コンピュータプログラムを記憶するメモリと、コンピュータプログラムを実行するCPU等のハードウェアプロセッサとを備える、スマートフォンやタブレット等の携帯端末装置である。端末装置300は、通信部310と、報知部311とを備える。
【0070】
通信部310は、ネットワークNWを介して外部機器と通信するための通信機器である。通信部310は、掃除機100から評価値を受信する。報知部311は、例えば、情報を画面に表示するタッチパネルを有する。報知部311は、通信部310によって受信された評価値または評価値から導出された評価関連情報をタッチパネルに表示することにより、評価結果をユーザに報知する。
【0071】
なお、スマートスピーカ400も、図10と同じブロック図となる。ただし、スマートスピーカ400の報知部はスピーカを有しており、通信部310によって受信された評価値または評価値から導出された評価関連情報を音声で出力する。
【0072】
[2-4.端末装置の表示内容]
図11は、端末装置の表示画面を示す図である。報知部311は、通信部310によって受信された評価値に基づいて掃除についてのスコアを算出し、「今日のお掃除は82点です」といったメッセージ320を評価関連情報としてタッチパネルに表示してもよい。また、報知部311は、通信部310によって受信された評価値に基づいて、「もう少しゆっくり動かしましょう」といった掃除についてのアドバイスを示すメッセージを、評価関連情報としてタッチパネルに表示してもよい。
【0073】
また、タッチパネルには、これらの評価関連情報とともにお掃除マップボタン330が表示されている。ユーザがお掃除マップボタン330をタップすると、報知部311は、お掃除マップの画面をタッチパネルに表示する。
【0074】
図12は、お掃除マップの画面を示す図である。図12に示されるように、端末装置300は、掃除が行われたエリア340をタッチパネルに表示する。端末装置300は、動作検出部140によって検出された動作情報の履歴を掃除機100から受信し、受信した動作情報の履歴に基づいて、掃除が行われたエリア340を判定してもよい。
【0075】
[2-5.評価基準の生成処理]
次に、評価基準の生成処理について説明する。なお、ここでは、評価基準が図4に示される学習モデル180の場合における、評価基準の生成処理について説明する。情報処理装置200の評価基準生成部213は、ヘッド部130の動作の適切な評価を行えるようにするために、評価基準(学習モデル180)を予め学習させる。
【0076】
図13は、評価基準の生成処理を示すフローチャートである。まず、通信部211は、掃除機100から動作情報と塵埃量情報とを受信する(S30)。次に、評価基準生成部213は、通信部211によって受信された塵埃量情報に基づき、評価値を算出する(S31)。例えば、評価基準生成部213は、評価値の範囲が0以上1以下となるように、かつ塵埃量が多いほど大きな値となるように、あらかじめ定められた手法で評価値を算出する。
【0077】
次に、評価基準生成部213は、ステップS30で受信された動作情報と、ステップS31で算出された評価値とを対応付けた教師データを、記憶部214に記憶する(S32)。評価基準生成部213は、所定量以上の教師データが記憶部214に蓄積されたか否かを判定する(S33)。
【0078】
所定量以上の教師データが記憶部214に蓄積されていないと判定された場合(S33:NO)、前述のステップS30の処理に戻る。一方、所定量以上の教師データが記憶部214に蓄積されたと判定された場合(S33:YES)、評価基準生成部213は、記憶部214から教師データを読み出し、読み出した教師データを用いて評価基準を生成する(S34)。
【0079】
具体的には、評価基準生成部213は、この教師データを用いて、前述した誤差逆伝播により前述の式(1)における重みwおよびバイアス項bなどを算出する。評価基準生成部213は、算出した重みwおよびバイアス項bなどのパラメータを、評価基準として記憶部156に記憶する。以上で、本フローチャートによる処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、第2の実施形態の家電システム10は、ユーザによって操作される掃除機100の動作を検出する動作検出部140を有する。動作検出部140の検出結果を利用することで、第2の実施形態の掃除機100は、ユーザが掃除機100を効率的に使用しているか否かを精度よく判定することができる。
【0081】
また、第2の実施形態の家電システム10では、評価部、評価基準生成部、および報知部といった機能部を、外部装置に分散させることができる。これによって、掃除機100の処理負荷を軽減することができる。
【0082】
なお、以上の説明において、家電機器の一例である「掃除機」について説明したが、これに限られない。例えば、家電機器は、ユーザが服のしわを伸ばすために使用する「アイロン」であってもよい。この場合、アイロンには、ユーザによって操作されるアイロンの動作を検出する動作検出部が設けられていてよい。評価部は、動作検出部によって検出されたアイロンの動作を、所定の評価基準に基づいて評価すればよい。
【0083】
本発明は、上記の実施形態で説明した構成に加えて、家電機器の動作を示す情報や、その評価値、評価関連情報、これらに基づいて調整された評価基準などの経時的な変化を記憶しておき、ユーザがその変化を確認できるように出力機能を設けてもよい。こうすれば、ユーザは家電機器の操作が上達したことを実感し、家電機器を扱うことがより楽しみになるという効果が期待できる。
【0084】
また、本発明による家電機器や家電システムにおいて、例えば家族の中で誰が使用したなどという家電機器を操作したユーザを識別する機能を設け、家電機器の動作を示す情報や、その評価値、評価関連情報、これらに基づいて調整された評価基準などの情報をユーザ毎に記憶するようにしてもよい。こうすれば、ユーザ個人の癖に応じて家電の操作を評価したり、家電の動作制御を調整したりすることが可能となる。家電機器を操作したユーザを識別する機能は、その時々で家電機器を使用するユーザの入力を受け付けるなど周知の方法で実現すればよい。
【0085】
また上記の実施形態では、動作検出部を家電機器に設けることとして説明したが、これに限られず、ユーザが身に着ける端末機器に動作検出部を設け、ユーザの操作を端末機器から情報を受信するという態様で、本発明による家電機器や家電システムを実現することもできる。この場合、端末機器において動作検出部の機能を発揮し、あるいは終了させるタイミングを入力する機能を設けるとよい。こうすれば、家電機器の操作をしている時と、それ以外の時とを区別して動作検出部からの情報を得ることができる。例えば上記の端末機器として、ユーザが身に着けるスマートウォッチやユーザが着ている衣服のポケットに入れられたスマートフォンを利用することが挙げられる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を上記の実施形態に限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
10…家電システム、100…掃除機、112…把持部、112a…操作部、112b…報知部、114…電動送風機、116…ファンモータ、120…延長管、130…ヘッド部、133…第1回転ブラシ、134…第2回転ブラシ、135…第1ブラシモータ、136…第2ブラシモータ、140…動作検出部、150…制御回路、151…評価部、152…電動送風機制御部、153…回転ブラシ制御部、154…評価基準調整部、155…通信部、156…記憶部、170…塵埃検出部、180…学習モデル、200…情報処理装置、210…評価部、212…評価基準調整部、213…評価基準生成部、214…記憶部、300…端末装置、311…報知部、400…スマートスピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13