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特許7502870粘着材、粘着シートおよび屈曲性積層部材
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  • 特許-粘着材、粘着シートおよび屈曲性積層部材 図1
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  • 特許-粘着材、粘着シートおよび屈曲性積層部材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】粘着材、粘着シートおよび屈曲性積層部材
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20240612BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240612BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240612BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240612BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240612BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
C09J133/04
B32B7/022
B32B27/00 M
B32B27/30 A
C09J7/38
C09J11/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020033561
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134321
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399020212
【氏名又は名称】東山フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】露口 健介
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/111995(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/119884(WO,A1)
【文献】特開2010-070597(JP,A)
【文献】特開2009-249539(JP,A)
【文献】特開2009-249538(JP,A)
【文献】特開2019-108502(JP,A)
【文献】特開2019-108501(JP,A)
【文献】特開2019-108500(JP,A)
【文献】特開2019-108499(JP,A)
【文献】特開2017-065217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 133/04
B32B 7/022
B32B 27/00
B32B 27/30
C09J 7/38
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着材であって、
前記粘着材が、反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤と、粘着性付与剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体が、リビングラジカル重合により得られたものであり、その分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
前記粘着性付与剤の含有量が、前記反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部~60質量部であり、
前記粘着材の23℃におけるせん断貯蔵弾性率が、0.8×104Pa~30×104Paであり、
前記粘着材のヤング率が、10kPa~1000kPaであり、
前記粘着材は、引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力を解除する収縮試験を10回繰り返した時、1回目の収縮時弾性率に対する10回目の収縮時弾性率の割合が、60%以上であることを特徴とする粘着材。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、20万~200万である請求項1に記載の粘着材。
【請求項3】
前記反応性官能基が、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基である請求項1または2に記載の粘着材。
【請求項4】
前記架橋剤が、エポキシ基および/またはイソシアネート基を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着材。
【請求項5】
一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着層と、前記粘着層の少なくとも一方の面に貼着された屈曲性シート部材とを有する粘着シートであって、
前記粘着層が、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着材から形成されていることを特徴とする粘着シート。
【請求項6】
前記粘着シートが、前記粘着層の一方の面に貼着された第1屈曲性シート部材と、前記粘着層の他方の面に貼着された第2屈曲性シート部材とを有し、
前記第1屈曲性シート部材が第1剥離シート、前記第2屈曲性シート部材が第2剥離シートであり、
前記第1剥離シートおよび第2剥離シートは、それぞれの剥離面が粘着層と接するように貼着されている請求項5に記載の粘着シート。
【請求項7】
第1屈曲性部材と、第2屈曲性部材と、前記第1屈曲性部材と前記第2屈曲性部材とを互いに貼合する粘着層とを備えた屈曲性積層部材であって、
前記粘着層が、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着材からなることを特徴とする屈曲性積層部材。
【請求項8】
前記第1屈曲性部材および前記第2屈曲性部材の少なくとも一方が、表示素子である請求項7に記載の屈曲性積層部材。
【請求項9】
請求項7または8に記載の屈曲性積層部材を備えたことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し屈曲して使用される屈曲性積層部材を構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着材に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ、携帯電話、スマートフォン等の各種ディスプレイやタッチパネルにおいて、これらを構成する部材同士の接合には、一般的に粘着材が用いられる。粘着材は、例えば、支持基材上に粘着材層を有する基材付き粘着シートや、支持基材のない基材レス粘着シートの形態で提供され、部材同士が貼り合わされる。
【0003】
一方で近年、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置等の画像表示装置において、繰り返し屈曲して使用されるフレキシブルディスプレイが注目されている。フレキシブルディスプレイには、折り畳み可能なフォルダブルディスプレイ、筒状等に丸めることのできるローラブルディスプレイ等があり、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、収納できる据え置き型ディスプレイ等の用途が期待されている。
【0004】
このようなフレキシブルディスプレイにおいて、繰り返し屈曲、伸展される部材を構成する屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合する粘着材として、例えば特許文献1には、粘着剤層の一方の面と他方の面とを互いに反対方向に1000%変位させたときの最大せん断応力に対する、1000%変位時から60秒後のせん断応力の割合と、ゲル分率を所定の範囲に制御した繰り返し屈曲デバイス用粘着剤が開示されている(特許文献1(請求項1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-108498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の粘着層を有する屈曲性部材では、繰り返し屈曲された場合に、屈曲された状態から元の状態への回復が不十分であった。そのため、屈曲性積層部材の屈曲を繰り返すと、屈曲箇所における粘着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生や、屈曲箇所が波打って見えたりする等の外観不良が生ずるおそれがあった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、屈曲性積層部材を構成する屈曲性部材の貼合に使用した場合に、屈曲性積層部材を繰り返し屈曲させても、屈曲箇所におけるクラックの発生や波打ち等の外観不良の発生を抑制できる粘着材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明の粘着材は、一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着材であって、前記粘着材が反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、前記(メタ)アクリル系共重合体がリビングラジカル重合により得られたものであり、その分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、前記粘着材の23℃におけるせん断貯蔵弾性率が0.8×104Pa~30×104Paであり、前記粘着材のヤング率が10kPa~1000kPaであり、前記粘着材は引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力を解除する収縮試験を10回繰り返した時、1回目の収縮時弾性率に対する10回目の収縮時弾性率の割合が、60%以上であることを特徴とする。
【0009】
フリーラジカル重合で作製された共重合体は、得られる分子鎖の長さが不均一であり、さらに各分子鎖の組成も不均一である。そのため、このような共重合体を粘着材に使用した場合、架橋剤によって架橋される架橋点間距離が不均一となり、得られる粘着材は局所的に弾性率が異なる場所が存在すると考えられる。このように架橋点間距離が不均一である粘着材は、曲げ伸ばしを繰り返し行うと、弾性率が不均一であるため、局所的な破断が起こりやすく、塑性変形を生じやすいと考えられる。
【0010】
リビングラジカル重合で作製された(メタ)アクリル系共重合体は、分子量分布が狭く、かつ、各分子鎖の組成が均一となる。すなわち、(メタ)アクリル系重合体の各分子鎖が有する反応性官能基の個数が均一となる。そのため、このような(メタ)アクリル系共重合体を粘着材に使用すると、架橋剤によって架橋される架橋点間距離が揃い、得られる硬化物(粘着材)は、全体的にほぼ同一の弾性率を有するようになる。そして、粘着材の全体がほぼ同一の弾性率を有するため、曲げ伸ばしを繰り返した場合でも、局所的な破断の発生が抑制され、曲げ伸ばしを繰り返しても元の形状に戻る力の低下が抑制できる。
【0011】
さらに、粘着材が所定のせん断貯蔵弾性率とヤング率を有し、かつ、繰り返しの収縮試験における収縮時弾性率の維持率が高ければ、粘着材が屈曲性部材の曲げ伸ばしの変形に追随することができる。よって、本発明の粘着材を用いることで、屈曲性積層部材の屈曲箇所における粘着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生することなく、クラックや波打ち等の外観不良の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘着材は、屈曲性積層部材を構成する屈曲性部材の貼合に使用した場合に、屈曲性積層部材を繰り返し屈曲させても、屈曲箇所における粘着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生することなく、クラックや波打ち等の外観不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の粘着シートの一例の断面模式図である。
図2】本発明の屈曲性積層部材の一例の断面模式図である。
図3】本発明の屈曲性積層部材の一例の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。ただし、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0015】
本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とは、ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が、重合して炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリレートに由来する構造単位」とは、(メタ)アクリレートのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が、重合して炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位」とは、(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が、重合して炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。
【0016】
[粘着材]
本発明の粘着材は、繰り返し屈曲して使用される屈曲性積層部材を構成する一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着材である。前記粘着材は、反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であり、前記(メタ)アクリル系共重合体がリビングラジカル重合により得られたものであり、その分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。また、前記粘着材の23℃におけるせん断貯蔵弾性率は0.8×104Pa~30×104Paであり、前記粘着材のヤング率は10kPa~1000kPaであり、前記粘着材は引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力を解除する収縮試験を10回繰り返した時、1回目の収縮時弾性率に対する10回目の収縮時弾性率の割合が、60%以上であることを特徴とする。
【0017】
前記粘着材の23℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は、0.8×104Pa以上、好ましくは1.0×104Pa以上、より好ましくは2.0×104Pa以上であり、30×104Pa以下、より好ましくは20×104Pa以下、さらに好ましくは10×104Pa以下、特に好ましくは8.0×104Pa以下である。せん断貯蔵弾性率(G’)が0.8×104Pa以上であれば粘着材が適度な柔軟性を有し、形状追従性がより良好となり、30×104Pa以下であれば粘着材の凝集力および粘着性がより良好となる。粘着材のせん断貯蔵弾性率(G’)の測定方法は後述する。
【0018】
前記粘着材の23℃におけるせん断損失弾性率(G”)は、0.40×104Pa以上が好ましく、より好ましくは0.50×104Pa以上、さらに好ましくは1.0×104Pa以上であり、27×104Pa以下が好ましく、より好ましくは18×104Pa以下、さらに好ましくは9.0×104Pa以下である。せん断損失弾性率(G”)が0.40×104Pa以上であれば粘着剤が適度な柔軟性を有して被着体に対する形状追従性が良好となり、27×104Pa以下であれば粘着材の凝集力および粘着性がより良好となる。粘着材のせん断損失弾性率(G”)の測定方法は後述する。
【0019】
前記粘着材は、200%のせん断歪みとなるようにせん断応力を印加した直後の応力が、5.0×104Pa以上が好ましく、より好ましくは7.0×104Pa以上、さらに好ましくは10×104Pa以上であり、150×104Pa以下が好ましく、より好ましくは100×104Pa以下、さらに好ましくは50×104Pa以下である。前記応力が、5.0×104Pa以上であれば粘着材の凝集力および粘着性がより良好となる。前記応力が、150×104Pa以下であれば、粘着性が良好となる。
【0020】
前記粘着材は、200%のせん断歪みとなるようにせん断応力を印加して10分間保持した時の応力が、0.50×104Pa以上が好ましく、より好ましくは0.70×104Pa以上、さらに好ましくは1.0×104Pa以上であり、8.0×104Pa以下が好ましく、より好ましくは5.0×104Pa以下、さらに好ましくは2.0×104Pa以下である。前記応力が、0.50×104Pa以上であれば粘着材の凝集力および粘着性がより良好となる。前記応力が、8.0×104Pa以下であれば、前記粘着材を屈曲性積層体に用いて屈曲させたときに、屈曲箇所にかかる応力を良好に緩和して小さなものとすることができるため、屈曲性部材のクラックの発生や、粘着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生を抑制できる。
【0021】
前記粘着剤は、200%のせん断歪みとなるようにせん断応力を印加して10分間保持した後、応力を除荷し10分放置した後の復元率が、60%以上が好ましい。前記復元率が60%以上であれば、屈曲性積層部材を屈曲状態に長時間おいた後、伸ばしたときに生じる変形が元に戻りやすいため、屈曲箇所における波打ち等の外観不良の発生を抑制できる。また、前記復元率は65%以上がより好ましく、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは85%以上であり、上限は100%である。
【0022】
前記粘着材のヤング率は、10kPa以上、25kPa以上が好ましく、より好ましくは50kPa以上、さらに好ましくは90kPa以上であり、1000kPa以下、600kPa以下が好ましく、より好ましくは500kPa以下、さらに好ましくは400kPa以下である。ヤング率が10kPa以上であれば高温環境下でも波打ち等の外観不良を抑制でき、1000kPa以下であれば低温環境下でも屈曲時の浮きや剥がれを抑制できる。
【0023】
前記粘着材は引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力を解除する収縮試験を10回繰り返した時、1回目の収縮時弾性率に対する10回目の収縮時弾性率の割合が、60%以上である。前記割合が60%以上であれば、粘着材が繰り返し曲げ伸ばしされた場合でも、粘着材の塑性変形量が小さくなる。そのため、屈曲性積層部材に用いた場合に、屈曲箇所に変形痕等の外観不良が発生することを抑制できる。また、前記割合は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、上限は100%である。
【0024】
前記粘着材の1回目の収縮時弾性率は、0.1MPa以上が好ましく、より好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.5MPa以上であり、10MPa以下が好ましく、より好ましくは5.0MPa以下、さらに好ましくは3.0MPa以下である。
【0025】
前記粘着材は、引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力を解除する収縮試験において、引張応力が50kPaの際の伸び(1回目伸び)は、10%以上が好ましく、より好ましくは100%以上、さらに好ましくは250%以上、特に好ましくは500%以上である。前記伸びが10%以上であれば屈曲時のフィルムの収差を吸収することができる。前記伸びの上限は特に限定されないが、通常1000%程度である。
伸びは、下記式により求められる。
λ=(l1-l0)/l0×100
[λ:伸び(%)、l0:伸長する前の長さ(mm)、l1:伸長した後の長さ(mm)]
【0026】
前記粘着材のゲル分率は、耐久性と粘着力の観点から20%~100%であることが好ましく、50%~100%であることがより好ましく、70%~100%であることが特に好ましい。ゲル分率が低すぎると、凝集力が不足することに起因する耐久性不足を生じやすい。ゲル分率は、粘着組成物における架橋剤の配合量、架橋処理温度、架橋処理時間により制御できる。
【0027】
(粘着組成物)
前記粘着材は、反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物である。前記粘着組成物は、(A)反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、(B)架橋剤とを含有する。
【0028】
((A)反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体)
前記(A)反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体(以下、単に「(A)共重合体」と称す場合がある。)は、リビングラジカル重合により得られたものであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体である。
【0029】
前記(メタ)アクリル系共重合体とは、(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位を主成分(50質量%以上)とする共重合体であればよく、(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位を含有することができる。前記共重合体(A)中の(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位の含有率は、共重合体全体100質量%中において、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。なお、前記共重合体(A)は、(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位のみから構成されていてもよい。
【0030】
前記(A)共重合体は、(メタ)アクリレート系共重合体が好ましい。(メタ)アクリレート系共重合体とは、(メタ)アクリレートに由来する構造単位を主成分(50質量%以上)とする共重合体であればよく、(メタ)アクリレート以外のビニルモノマーに由来する構造単位を含有することができる。前記(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸とヒドロキシ基を有する化合物とから生成するエステル化合物である。前記(A)共重合体中の(メタ)アクリレートに由来する構造単位の含有率は、共重合体全体100質量%中において、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0031】
前記(A)共重合体は、反応性官能基を有する。前記反応性官能基とは、後述する(B)架橋剤が有する官能基と反応し得る官能基である。前記反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびエポキシ基よりなる群から選択される1種または2種以上を挙げることができ、好ましくはヒドロキシ基および/またはカルボキシ基である。
【0032】
前記(A)共重合体の100gあたりの反応性官能基量は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mmol/100g以下であり、特に好ましくは50mmol/100g以下である。反応性官能基量が、0.5mmol/100g以上であれば粘着材の耐久性が優れ、150mmol/100g以下であれば粘着材の被着体に対する密着性が優れる。
【0033】
前記(A)共重合体がカルボキシ基を有する場合、前記(A)共重合体の100gあたりのカルボキシ基量は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mmol/100g以下であり、特に好ましくは50mmol/100g以下である。
【0034】
前記(A)共重合体がヒドロキシ基を有する場合、前記(A)共重合体の100gあたりのカルボキシ基量は、0.5mmol/100g以上が好ましく、より好ましくは5mmol/100g以上、さらに好ましくは10mmol/100g以上、特に好ましくは15mmol/100g以上であり、150mmol/100g以下が好ましく、より好ましくは100mmol/100g以下、さらに好ましくは70mmol/100g以下であり、特に好ましくは50mmol/100g以下である。
【0035】
前記共重合体(A)は、反応性官能基を有する。すなわち、前記共重合体(A)は、その構造中に、反応性官能基を有する構造単位(a-1)を含有する。前記反応性官能基を有する構造単位(a-1)は、1種のみであってもよいし、2種以上を有していてもよい。前記反応官能性基は、(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリル酸)に由来する構造単位、(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位のいずれに有していてもよい。すなわち、前記反応性官能基を有する構造単位(a-1)は、反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマーおよび/または(メタ)アクリル酸)に由来する構造単位、または、反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
【0036】
前記(A)共重合体中の反応性官能基を有するビニルモノマーに由来する構造単位(反応性官能基を有する構造単位(a-1))の含有率は、共重合体全体100質量%中において、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、特に好ましくは3質量%以上であり、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。前記構造単位(a-1)の含有率が上記範囲内であれば、被着体に対する密着性と耐久性のバランスに優れた粘着材を得ることができる。なお、反応性官能基を有するビニルモノマーには、反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー、反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーが含まれる。
【0037】
前記(メタ)アクリルモノマーとしては、(b1)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルモノマー、(b2)反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記(b1)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルモノマーとしては、(b1-1)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルレートモノマーが好ましい。前記(b2)反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、(b2-1)反応性官能有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
【0038】
前記(b1)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルモノマーとしては、直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。これらの中で直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0039】
前記直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、直鎖状アルキル基の炭素数が1~20である直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、直鎖状アルキル基の炭素数が1~10である直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。前記直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステルが挙げられる。
【0040】
前記分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、分岐鎖状アルキル基の炭素数が3~20である分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、分岐鎖状アルキル基の炭素数が3~10である分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。前記分岐鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸分岐鎖アルキルエステルが挙げられる。
【0041】
前記アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。
【0042】
前記ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、多環式構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。前記環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基の炭素数が6~12の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。環状アルキル基としては、単環構造を有する環状アルキル基(例えば、シクロアルキル基)が挙げられ、また鎖状部分を有していてもよい。単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルを挙げることができる。
【0044】
前記多環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、多環式構造の炭素数が6~12の多環式構造を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。多環式構造としては、橋かけ環構造を有する環状アルキル基(例えば、アダマンチル基、ノルボニル基、イソボルニル基)が挙げられ、また鎖状部分を有していてもよい。多環式構造を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0045】
前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、芳香族基の炭素数が6~12の芳香族基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。芳香族基としては、アリール基等をあげることができ、またアルキルアリール基、アラルキル基、アリールオキシアルキル基等のように鎖状部分を有していてもよい。前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基にアリール基が直接結合した化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基にアラルキル基が直接結合した化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基にアルキルアリール基が直接結合した化合物が挙げられる。前記アリール基の炭素数は6~12が好ましい。前記アラルキル基の炭素数は、6~12が好ましい。前記アルキルアリール基の炭素数は6~12が好ましい。芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
前記三級アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリアミド、N-(メタ)アクリイルモルフォリン等が挙げられる。前記(メタ)アクリルアミド類は、(メタ)アクリルモノマーであるが、(メタ)アクリレートモノマーには含まれない。
【0048】
前記(b2)反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマー)、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリル酸)、エポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー(好ましくは(メタ)アクリレートモノマー)等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーおよび/またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
【0049】
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物等が挙げられる。これらの中でもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0050】
前記カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0051】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
前記(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーとしては、(b3)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマー、(b4)反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーが挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記(b3)反応性官能基を有さない(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーとしては、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、カルボン酸ビニル、三級アミノ基を含有するビニルモノマー、四級アンモニウム塩基を含有するビニルモノマー、ビニルアミド類、α-オレフィン、ジエン類、ハロゲン化ビニルモノマー等が挙げられる。
【0054】
前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、2-ヒドロキシメチルスチレン、1-ビニルナフタレン等が挙げられる。
前記ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2-ビニルチオフェン、N-メチル-2-ビニルピロール、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が挙げられる。
前記カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
前記三級アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、N,N-ジメチルアリルアミン等が挙げられる。
前記四級アンモニウム塩基を含有するビニルモノマーとしては、N-メタクリロイルアミノエチル-N,N,N-ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
前記ビニルアミド類としては、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-ε-カプトラクタム等が挙げられる。
前記α-オレフィンとしては、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
前記ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等が挙げられる。
前記ハロゲン化ビニルモノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、1-クロロ-1-フルオロエチレン、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエチレン等が挙げられる。
【0055】
前記(b4)反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーとしては、ヒドロキシ基を有するビニルモノマー、カルボキシ基を有するビニルモノマー、エポキシ基を含有するビニルモノマー等が挙げられる。
【0056】
前記ヒドロキシ基を有するビニルモノマーとしては、p-ヒドロキシスチレン、アリルアルコール等が挙げられる。
前記カルボキシ基を有するビニルモノマーとしては、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等が挙げられる。
前記エポキシ基を含有するビニルモノマーとしては、2-アリルオキシラン、グリシジルビニルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0057】
前記共重合体(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでもよく、好ましくはランダム共重合体である。
【0058】
前記共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、20万以上が好ましく、より好ましくは30万以上であり、さらに好ましくは40万以上、200万以下が好ましく、より好ましくは180万以下、さらに好ましくは150万以下、特に好ましくは100万以下である。前記共重合体(A)のMwが20万以上であれば、凝集力が高まり粘着材の耐熱性が向上し、200万以下であれば粘着組成物の塗工作業性がより良好となる。重量平均分子量(Mw)の測定方法は後述する。
【0059】
前記(A)共重合体の分子量分布(PDI)は3.0以下であり、好ましくは3.0未満であり、より好ましくは2.5未満であり、さらに好ましくは2.2未満であり、特に好ましくは1.8未満である。PDIが小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。PDIが3.0以下であれば、設計した共重合体の分子量に比べて、分子量の小さいものや、分子量の大きいものの含有量が低く、耐屈曲性に優れた粘着材が得られる。なお、本発明において、分子量分布(PDI)とは、(重量平均分子量(Mw))/(数平均分子量(Mn))によって算出される値であり、MwおよびMnの測定方法は後述する。
【0060】
前記(A)共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-70℃以上が好ましく、より好ましくは-60℃以上であり、0℃以下が好ましく、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下である。ガラス転移温度が-70℃以上であれば粘着材に十分な凝集力を与え、粘着材の耐久性が向上し、0℃以下であれば粘着材の被着体に対する密着性が高くなり、剥がれ等が抑制され、耐久性が向上する。
【0061】
前記(A)共重合体のガラス転移温度(Tg)とは、下記FOX式(数式(1))により算出された値である。数式(1)中、Tgは共重合体のガラス転移温度(℃)を示す。Tgiはビニルモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(℃)を示す。Wiは共重合体を形成する全ビニルモノマーにおけるビニルモノマーiの質量比率を示し、ΣWi=1である。iは1~nの自然数である。
【0062】
【数1】
【0063】
代表的なホモポリマーのガラス転移温度を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
前記(A)共重合体は、ビニルモノマーをリビングラジカル重合法によりラジカル重合することで製造される。リビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端を失活させる副反応で妨げられることなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である。そのため、リビングラジカル重合法で製造された共重合体は、反応性官能基が各分子鎖に均一に分布する。よって、リビングラジカル重合法で製造された共重合体を用いれば、粘着材中の架橋点密度が全体的に均一となる。
【0066】
リビングラジカル重合法においては、前記(A)共重合体を構成する各単量体(ビニルモノマー)の混合物を使用することにより、ランダム共重合体とすることができる。また、共重合体を構成するビニルモノマーを順次反応させることでブロック共重合体とすることもできる。
【0067】
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等の方法がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
【0068】
TERP法とは、有機テルル化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
【0069】
TERP法の具体的な重合法としては、下記(a)~(d)が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物を用いて重合する方法。
(b)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物を用いて重合する方法。
(c)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物と式(2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
(d)ビニルモノマーを、式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(2)で表される有機ジテルリド化合物との混合物を用いて重合する方法。
【0070】
【化1】
[式(1)において、R1は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~8のアルキル基である。R4は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基またはプロパルギル基である。
式(2)において、R1は、炭素数1~8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基である。]
【0071】
式(1)で表される有機テルル化合物は、具体的にはエチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、エチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート、(2-ヒドロキシエチル)-2-メチル-メチルテラニル-プロピオネート等、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された有機テルル化合物が挙げられる。式(2)で表される有機ジテルリド化合物の具体例としては、ジメチルジテルリド、ジブチルジテルリド等が挙げられる。アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができ、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)等が挙げられる。
【0072】
重合工程は、不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと式(1)の有機テルル化合物と、ビニルモノマーの種類に応じて反応促進、分子量および分子量分布の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤および/または式(2)の有機ジテルリド化合物を混合する。このとき、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。前記(a)、(b)、(c)および(d)におけるビニルモノマーの使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよい。
【0073】
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される非プロトン性溶媒またはプロトン性溶媒を使用し、前記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる非プロトン性溶媒は、例えば、アニソール、ベンゼン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。また、プロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、0.01ml~50mlが好ましい。反応温度、反応時間は、得られる共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0℃~150℃で、1分~100時間撹拌する。重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、使用溶媒、残存ビニルモノマーの除去等を行い、目的とする共重合体を分離することができる。
【0074】
重合反応により得られる共重合体の成長末端は、テルル化合物由来の-TeR1(式中、R1は上記と同じである)の形態であり、重合反応終了後の空気中の操作により失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存した共重合体は着色したり、熱安定性が劣ったりするため、テルル原子を除去することが好ましい。テルル原子を除去する方法としては、ラジカル還元方法;活性炭等で吸着する方法;イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。なお、重合反応により得られる共重合体の他方端(成長末端と反対側の末端)は、テルル化合物由来の-CR234(式中、R2、R3およびR4は、式(1)中のR2、R3およびR4と同じである。)の形態である。
【0075】
((B)架橋剤)
前記粘着組成物は、(B)架橋剤を含有する。前記(B)架橋剤は、上述の(A)共重合体が有する反応性官能基と反応し得る反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物である。前記(B)架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート型架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤が好ましく、架橋反応の進行の程度を制御しやすいこと、および、耐屈曲性の観点から、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤がより好ましい。
【0076】
(イソシアネート系架橋剤)
イソシアネート系架橋剤は、反応性基としてイソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物である。前記イソシアネート系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
イソシアネート系架橋剤としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、ならびに、これらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等が挙げられる。より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体等のイソシアネート付加物;キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物;ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらのうち、脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)がより好ましい。
【0078】
(エポキシ系架橋剤)
エポキシ系架橋剤は、反応性基としてエポキシ基を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。前記エポキシ系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0080】
(アジリジン系架橋剤)
アジリジン系架橋剤は、反応性基としてアジリジン基を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。前記アジリジン系架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
アジリジン系架橋剤としては、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が挙げられる。
【0082】
架橋剤(B)の反応性基の含有量は、0.5mmol/g以上が好ましく、より好ましくは1.0mmol/g以上、さらに好ましくは3.0mmol/g以上であり、特に好ましくは6.0mmol/g以上であり、20mmol/g以下が好ましく、より好ましくは15.0mmol/g以下、さらに好ましくは12.0mmol/g以下である。架橋剤(B)の反応性基の含有量がこの範囲であれば粘着材の凝集力が好ましいものとなり、屈曲させても、屈曲箇所における変形の発生をより一層抑制できる。
【0083】
粘着組成物における架橋剤(B)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.03質量部以上であり、1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以下である。架橋剤(B)の含有量が0.01質量部以上であれば十分な凝集力を発揮し、優れた屈曲性を示す。1質量部以下であれば十分な基材との密着性を発揮し屈曲時の浮き剥がれの発生を抑制できる。
【0084】
前記粘着組成物は、架橋剤(B)が有する反応性基に対する共重合体(A)が有する反応性官能基のモル比(反応性官能基のモル量/反応性基のモル量)は、1以上が好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは10以上であり、1000以下が好ましく、より好ましくは200以下、さらに好ましくは100以下である。
【0085】
(その他添加剤)
前記粘着組成物には、前記(A)共重合体、(B)架橋剤以外に、その他添加剤を配合して使用することができる。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、シランカップリング剤、染料、顔料、色素、蛍光増白剤、帯電防止剤、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、防黴剤、防腐剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、近赤外線吸収剤、水溶性消光剤、香料、金属不活性剤、造核剤、アルキル化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤等が挙げられる。これらは粘着材の用途や使用目的に応じて、適宜選択して配合して使用される。
【0086】
(架橋促進剤)
前記粘着組成物には、必要に応じて、架橋促進剤を配合して使用することができる。架橋促進剤としては、有機スズ化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。前記架橋促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
前記有機スズ化合物としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチオルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチレート等が挙げられる。前記金属キレート化合物とは、2個以上の配位原子を持つ配位子が環を形成して中心金属に結合した錯体である。
【0088】
粘着組成物における架橋促進剤の含有量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.04質量部以上であり、0.5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.4質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。架橋促進剤の含有量を前記範囲にすることで、優れた架橋促進効果を得ることが可能となる。
【0089】
(架橋遅延剤)
前記粘着組成物には、必要に応じて、架橋遅延剤を配合して使用することができる。前記架橋遅延剤とは、架橋剤を含有する粘着組成物において、架橋剤が有する官能基をブロックすることによって、粘着組成物の過剰な粘度上昇を抑制することができる化合物である。架橋遅延剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン-2,4-ジオン、ヘプタン-2,4-ジオン、オクタン-2,4-ジオン等のβ-ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ-ケトエステル類;ベンゾイルアセトン等を使用することができる。前記架橋遅延剤としては、キレート剤として作用し得るものが好ましく、β-ジケトン類、β-ケトエステル類が好ましい。
【0090】
粘着組成物に配合することができる架橋遅延剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、4.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。前記架橋遅延剤の含有量を前記範囲に調節することによって、前記(B)架橋剤を粘着組成物に配合した後に、粘着組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着組成物の貯蔵安定性(ポットライフ)を延長させることができる。
【0091】
(シランカップリング剤)
前記粘着組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤を配合して使用することができる。前記シランカップリング剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0092】
粘着組成物に配合することができるシランカップリング剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.01質量部~1質量部、さらに好ましくは0.02質量部~0.6質量部である。前記シランカップリング剤の含有量を前記範囲に調節することによって、粘着材をガラス等の親水性被着体に適用する場合における界面での耐水性を上げることができる。
【0093】
(粘着性付与剤)
前記粘着組成物には、必要に応じて、(A)共重合体を除く粘着性付与剤を配合して使用することができる。粘着性付与剤としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂等が挙げられる。
【0094】
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを重合、不均化、水素添加等により変性した変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水素添加ロジン、部分水素添加ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等)の他、各種のロジン誘導体等が挙げられる。
【0095】
前記ロジン誘導体としては、例えば、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール系樹脂;未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物(未変性ロジンエステル)や、変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物(重合ロジンエステル、安定化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、完全水素添加ロジンエステル、部分水素添加ロジンエステル等)等のロジンエステル系樹脂;未変性ロジンや変性ロジンを不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂;ロジンエステル系樹脂を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂;未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール系樹脂;未変性ロジン、変性ロジン等のロジン系樹脂(特に、ロジンエステル系樹脂)の金属塩等が挙げられる。
【0096】
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン系樹脂、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂)が挙げられる。
【0097】
フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m-クレゾール、3,5-キシレノール、p-アルキルフェノール、レゾルシン)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾール、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラック等が挙げられる。
【0098】
炭化水素系粘着付与樹脂(石油系粘着付与樹脂)としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂[炭素数4~5のオレフィンやジエン(ブテン-1、イソブチレン、ペンテン-1等のオレフィン;ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン等のジエン)等の脂肪族炭化水素の重合体等]、脂肪族系環状炭化水素樹脂[いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体又はその水素添加物、下記の芳香族系炭化水素樹脂や脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂等]、芳香族系炭化水素樹脂[炭素数が8~10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等]、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等が挙げられる。
【0099】
粘着組成物に配合することができる前記粘着性付与剤の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、60質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。前記粘着性付与剤の含有量を前記範囲に調節することによって、十分な被着体との密着性を確保でき、屈曲時の浮剥がれを抑制することができる。
【0100】
(粘着組成物の製造方法)
前記粘着組成物は、前記(A)共重合体、(B)架橋剤、および必要に応じて用いられるその他添加剤を混合することにより製造することができる。前記粘着組成物は、(A)共重合体の製造に由来した溶剤を含有してもよいし、さらに適当な溶剤が加えられ、粘着層を形成するのに適した粘度となるように希釈された溶液であってもよい。
【0101】
前記溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0102】
溶剤の使用量は、粘着組成物が塗工に適した粘度となるように適宜調節すればよく、特に制限はないが、塗工性の観点から、例えば、1質量%~90質量%が好ましく、より好ましくは10質量%~80質量%、さらに好ましくは20質量%~70質量%である。
【0103】
(粘着材の用途)
前記粘着材の用途は、特に限定されず、広範な用途に使用できるが、特に、繰り返し屈曲させて使用できるフレキシブルディスプレイやフレキシブルディスプレイに用いられる部材に好ましく使用される。
【0104】
前記繰り返し曲げ伸ばしして使用できるフレキシブルディスプレイとしては、例えば、折り畳み可能なフォルダブルディスプレイや、筒状に丸めることができるローラブルディスプレイ等が挙げられる。フレキシブルディスプレイは、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末や、収納できる据え置き型ディスプレイ等への利用が期待されている。
【0105】
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、一の屈曲性部材と他の屈曲性部材を貼合するために用いられる粘着層と、前記粘着層の少なくとも一方の面に貼着された屈曲性シート部材とを有し、前記粘着層が、前記粘着材から形成されていることを特徴とする。
【0106】
前記粘着シートの構成としては、粘着層と、この粘着層の一方の面に貼着された第1屈曲性シート部材とを有する態様;粘着層と、前記粘着層の一方の面に貼着された第1屈曲性シート部材と、前記粘着層の他方の面に貼着された第2屈曲性シート部材とを有する態様が挙げられる。
【0107】
図1に本発明の粘着シートの一例を示した。図1の粘着シート10は、粘着層12と、この粘着層12を挟持する第1屈曲性シート部材14と、第2屈曲性シート部材16とから構成される。粘着層12は、第1屈曲性シート部材14および第2屈曲性シート部材16の離型性を有する面に接している。
【0108】
(粘着層)
粘着層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。粘着層の厚みが5μm以上であると、十分な屈曲性シート部材との密着性を得られる。また、粘着層の厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。粘着層の厚みが100μm以下であると、粘着層のはみ出し抑制できる。
【0109】
粘着層の23℃における屈曲性シート部材(剥離シートを除く。)に対する粘着力は、好ましくは10N/25mm以上、より好ましくは15N/25mm以上、さらに好ましくは20N/25mm以上である。10N/25mm以上であれば、粘着材の浮きや剥がれを抑制することができる。粘着力の上限は特に制限はないが、通常は50N/25mm以下、好ましくは40N/25mm以下である。
【0110】
(屈曲性シート部材)
前記屈曲性シート部材としては、屈曲性を有する基材シート、剥離シート等が挙げられる。前記基材シートは、粘着層を支持するシート部材であり、このシート部材が機能性シート部材であってもよい。前記機能性シート部材としては、カバーフィルム、バリアフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム、反射防止フィルム等が挙げられる。前記剥離シートは、粘着層を被着体に貼着するまで粘着層を保護するものであり、粘着層を被着体に貼着する前に粘着層から剥離される。
【0111】
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅の割には小さい平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900)。例えば、厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称することがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かではなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むのとする。
【0112】
前記屈曲性シート部材としては、高分子材料のシート、ガラスシート等が挙げられる。屈曲性シート部材の厚さは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れる等の観点から、2μm~500μmが好ましく、より好ましくは2μm~200μmである。
【0113】
前記高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリ(メタ)アクリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂;ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂等のポリオレフィン樹脂;トリアセチルセルロース樹脂、ジアセチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0114】
前記屈曲性シート部材は、前記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、前記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層等、2層以上の層で構成されていてもよい。
【0115】
前記屈曲性シート部材は、粘着層と接する面に離型処理が施された剥離シートであることが好ましい。離型処理に使用される離型剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系等の離型剤が挙げられる。
【0116】
前記粘着シートは、前記粘着層の一方の面に貼着された第1屈曲性シート部材と、前記粘着層の他方の面に貼着された第2屈曲性シート部材とを有し、前記第1屈曲性シート部材が第1剥離シート、前記第2屈曲性シート部材が第2剥離シートであり、前記第1剥離シートおよび第2剥離シートは、それぞれの剥離面が粘着層と接するように貼着されていることが好ましい。なお、粘着層を2枚の剥離シートで挟持する場合、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型の剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型の剥離シートとすることが好ましい。
【0117】
(粘着シートの製造)
粘着シートは、例えば、上述した粘着組成物を、屈曲性シート部材上に塗工し、必要に応じて乾燥加熱処理により硬化させて、粘着層を形成することにより製造できる。
【0118】
粘着組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法,ダイレクトグラビアコート法,ダイコート法,バーコート法,ワイヤーバーコート法,ロールコート法,スピンコート法,ディップコート法,スプレーコート法,ナイフコート法,キスコート法等の各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷等の各種印刷法を採用できる。また、粘着組成物を塗工する前に、剥離シートの表面にコロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理等の表面処理を施してもよい。
【0119】
乾燥及び硬化工程は、粘着組成物に用いた溶剤等を除去し、硬化させることができれば特に限定されるものではないが、60℃~150℃の温度で20秒~300秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、100℃~130℃が好ましい。
【0120】
粘着層の一方の面に第1屈曲性シート部材、他方の面に第2屈曲性シート部材を配置する場合、第1屈曲性シート部材に粘着組成物を塗工し、第1屈曲性シート部材上に粘着層を形成した後、この粘着層に第2屈曲性シート部材を貼着すればよい。またさらに、粘着層は必要に応じて養生してもよい。前記養生の条件としては、例えば40℃で3日間~7日間程度が挙げられる。
【0121】
[屈曲性積層部材]
本発明の屈曲性積層部材は、第1屈曲性部材と、第2屈曲性部材と、前記第1屈曲性部材と前記第2屈曲性部材とを互いに貼合する粘着層とを備えた屈曲性積層部材であって、前記粘着層が、前記粘着材からなることを特徴とする。屈曲性積層部材の粘着層が前記粘着材から形成されているため、屈曲性積層部材を繰り返し屈曲した場合でも、屈曲箇所における粘着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生することなく、クラックや波打ち等の等の外観不良が抑制される。
【0122】
図2に本発明の屈曲性積層部材の一例を示した。図2の屈曲性積層部材20は、第1屈曲性部材22と、第2屈曲性部材24と、前記第1屈曲性部材22と第2屈曲性部材24の間にあって、これらの屈曲部材同士を貼合する粘着層12とを備えている。
【0123】
前記屈曲性積層部材の構成としては、例えば、第1屈曲性部材および第2屈曲性部材の両方が屈曲性装置の構成部材である構成;第2屈曲性部材が屈曲性装置であり、第1屈曲性部材が前記屈曲性装置に貼合された機能性シート部材である構成が挙げられる。前記屈曲性装置としては、例えば、折り畳み可能なフォルダブルディスプレイ、筒状に丸めることができるローラブルディスプレイが挙げられる。前記機能性シート部材としては、カバーフィルム、バリアフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルム、金属メッシュフィルム、クッションフィルム等が挙げられる。
【0124】
前記第1屈曲性部材および第2屈曲性部材は、繰り返し屈曲させて用いることができる部材である。前記第1屈曲性部材および第2屈曲性部材としては、例えば、フレキシブル基板材料、機能性シート部材、表示素子(有機ELモジュール、電子ペーパーモジュール等)等が挙げられる。前記第1屈曲性部材および前記第2屈曲性部材の少なくとも一方が、表示素子であることが好ましい。
【0125】
(屈曲性積層部材の製造方法)
本発明の屈曲性積層部材の製造方法としては特に限定されるものではなく、例えば、以下の(1)から(4)の方法が挙げられる。
【0126】
(1)粘着シートの一方の面に貼着された剥離シートを剥離して、露出した粘着層を、第1屈曲性部材に貼着した後、粘着シートの他方の面に貼着された剥離シートを剥離して、露出した粘着層と第2屈曲性部材とを貼着し、屈曲性積層部材を得る方法。
(2)第1屈曲性部材の一方の面上に粘着組成物を塗工し、必要に応じて乾燥加熱処理により硬化させ粘着層を形成した後、この粘着層に剥離シートの離型性を有する面を貼着する。そして、剥離シートを剥離して露出した粘着層と第2屈曲性部材とを貼着し、屈曲性積層部材を得る方法。
(3)第1屈曲性部材の一方の面上に粘着組成物を塗工し、必要に応じて乾燥加熱処理により硬化させ粘着層を形成した後、この粘着層に第2屈曲性部材を貼着し、屈曲性積層部材を得る方法。
(4)剥離シートの離型性を有する面上に粘着組成物を塗工し、必要に応じて乾燥加熱処理により硬化させ粘着層を形成した後、この粘着層に第1屈曲性部材を貼着する。そして、剥離シートを剥離して露出した粘着層と第2屈曲性部材とを貼着し、屈曲性積層部材を得る方法。
【0127】
なお、上記(1)から(4)のいずれの場合であっても、第1屈曲性部材と第2屈曲性部材を用いる順序を入れ替えてもよい。
粘着層の形成は、粘着シートの製造と同様の各種コーティング法や各種印刷法を用いることができ、乾燥及び硬化工程においても同様である。また、必要に応じて養生してもよい。また、屈曲性積層部材の製造時に使用する剥離シートは、粘着シートに使用される剥離シートと同様のものを用いればよい。
【0128】
(屈曲性積層部材の具体例)
以下、図3を参照して、本発明の屈曲性積層部材の好適態様について説明する。図3は、本発明の屈曲性積層部材の具体例の断面模式図である。図3に示した屈曲性積層部材30は、第1屈曲性部材32と、第2屈曲性部材34と、前記第1屈曲性部材32と第2屈曲性部材34の間にあって、これらの屈曲部材同士を貼合する粘着層12とを備えている。そして、前記第1屈曲性部材32がカバーフィルムであり、このカバーフィルムはカバーフィルム基材32aとハードコート層32bを有しており、前記カバーフィルム基材32aが前記接着層12と貼着されている。また、前記第2屈曲性部材34が偏光フィルムである。
【0129】
前記粘着層12は屈曲箇所における第1屈曲性部材32や第2屈曲性部材34との界面の浮きや剥がれが抑制される。そのため、屈曲性積層部材30を繰り返し屈曲させたときにカバーフィルム(第1屈曲性部材)32に設けられたハードコート層32bにクラックが発生することも抑制できる。
【0130】
(カバーフィルム基材)
カバーフィルム基材32aは、屈曲性および透明性を有していれば、特に限定されるものではない。カバーフィルム基材32aとしては、透明性を有する高分子フィルム、透明性を有するガラスフィルム等が挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいう。全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。前記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定する。
【0131】
カバーフィルム基材32aの黄色度(YI値)は、20以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。これにより、透明度が高く色再現性の高い画像を表示するディスプレイを得ることができる。前記黄色度(YI値)は、JIS K 7373(2006)に準拠して測定する。
【0132】
カバーフィルム基材32aの厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性の観点から、2μm~500μmが好ましく、より好ましくは2μm~200μmである。
【0133】
カバーフィルム基材32aとして使用される高分子フィルムの高分子材料としては、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等)、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂等)、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース樹脂、ジアセチルセルロース樹脂等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0134】
前記高分子材料は、1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。光学特性、耐久性等の観点から、高分子材料が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、特にポリイミド樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂を含有するフィルムは、繰り返しの屈曲に耐えられる屈曲性を有し、表面硬度、耐熱性に優れる。前記高分子材料中のポリイミド樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。高分子材料がポリイミド樹脂のみから構成されていてもよい。
【0135】
カバーフィルム基材32aは、単層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。また、カバーフィルム基材32aの各層は、前記高分子材料の1種のみから構成されていてもよいし、前記高分子材料の2種以上から構成されていてもよい。
【0136】
(ハードコート層)
ハードコート層32bの鉛筆硬度は、3H以上が好ましく、より好ましくは4H以上である。ハードコート層32bの鉛筆硬度とは、カバーフィルム基材32aの一方面上に形成されたハードコート層32bの表面の鉛筆硬度であり、カバーフィルム基材32aの他方面上に粘着層12が形成されていない状態で測定される。ハードコート層32bの鉛筆硬度は、JIS K 5600-5-4に準拠して測定する。
【0137】
ハードコート層32bの厚さは、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上であり、10.0μm以下が好ましく、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下である。厚さが0.5μm以上であれば、カバーフィルム32の鉛筆硬度が十分に確保される。厚さが10.0μm以下であれば、繰り返しの屈曲に耐えられる屈曲性がカバーフィルムに十分に確保され、またハードコート層32bとカバーフィルム基材32aの熱収縮差に起因するカバーフィルム32のカールが抑制される。ハードコート層32bの厚さは、平滑な部分における厚さであり、ハードコート層が粒子を含有する場合には、厚さ方向において粒子に起因する凹凸のない部分における平滑な部分の厚さである。
【0138】
ハードコート層32bは、高硬度、高屈曲性、生産性等の観点から、紫外線硬化性化合物を含む硬化性組成物の硬化物で構成されることが好ましい。
【0139】
紫外線硬化性化合物としては、紫外線反応性の反応性基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等が挙げられる。紫外線反応性の反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基;オキセタニル基等のカチオン重合型の反応性基等が挙げられる。これらの中で、紫外線反応性の反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0140】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に、比較的柔軟で、ハードコートフィルムの屈曲性が向上する等の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0141】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、イソシアネート化合物、および、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとの付加反応により得られる。前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、柔軟性、耐熱性、耐薬品性等の観点から適宜選択することができる。
【0142】
前記イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、4-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアナート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
【0143】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートであってもよいし、分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、多官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0144】
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0146】
前記硬化性組成物は、紫外線硬化性化合物に加え、非紫外線硬化性樹脂を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また、前記硬化性組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。また、前記硬化性組成物は、必要に応じて添加剤、溶剤を含有してもよい。前記添加剤としては、無機粒子、樹脂粒子、防汚剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤等が挙げられる。
【0147】
非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0148】
前記光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系等の光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。光重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0149】
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量中において、0.1質量%~10質量%が好ましく、より好ましくは1質量%~5質量%である。
【0150】
無機粒子および樹脂粒子は、例えば、ハードコート層にブロッキングを防止したり、ハードコート層の硬度を向上させたり、防眩性を付与したりする等の目的で添加される。無機粒子としては、シリカ、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニオブ、アルミニウム、クロム、マグネシウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、白金等の金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中で、高硬度と透明性の両立に優れる観点から、チタン酸化物粒子、ジルコニウム酸化物粒子、スズ酸化物粒子が好ましい。
【0151】
樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロース等の樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0152】
防汚剤としては、含フッ素化合物等が挙げられる。含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような化合物としては、信越化学工業製「X-71-1203M」、DIC製「メガファック(登録商標)RS-75」、ダイキン工業製「オプツール(登録商標)DAC-HP」、ネオス製「フタージェント(登録商標)601AD」等が挙げられる。含フッ素化合物により、汚れや指紋の付着を抑え、汚れや指紋の除去を容易にすることができる。含フッ素化合物の含有量は、ハードコート層32bの全量中で、0.01質量%~15質量%が好ましく、より好ましくは0.05質量%~10質量%、さらに好ましくは0.2質量%~5質量%である。含フッ素化合物の含有量が前記範囲内であれば、優れた防汚性、防指紋性が得られる。
【0153】
ハードコート層32bを形成する硬化性組成物において用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤(エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等)、芳香族系溶剤(トルエン,キシレン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等)、アミド系溶剤(N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミド等)等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0154】
前記硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚等を考慮して適宜定めればよく、例えば、1質量%~90質量%、好ましくは1.5質量%~80質量%、より好ましくは2質量%~70質量%である。
【0155】
(カバーフィルムの製造)
カバーフィルムは、カバーフィルム基材32aの一方の面上にハードコート層32bを形成することにより製造することができる。ハードコート層32bは、カバーフィルム基材32aの一方の面上にハードコート層を形成するための組成物を塗工し、必要に応じて乾燥、紫外線照射等を行うことにより形成できる。
【0156】
カバーフィルム基材32aとハードコート層32bとの密着性を向上させるために、カバーフィルム基材32aの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理等の表面処理が施してもよい。また、カバーフィルム基材32aの表面に、易接着層を設けてもよい。また、カバーフィルム基材32aの表面には、ガスバリア性向上層、帯電防止層、オリゴマーブロック層等の各種機能層を設けてもよい。さらに、カバーフィルム基材32aと粘着層12との間に別のハードコート層を設けてもよい。
【0157】
ハードコート層32bを形成する組成物の塗工には、コーティング法(リバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法等)、インクジェット法、印刷法(オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等)を採用できる。
【0158】
乾燥は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50℃~150℃で10秒~180秒程度行うことが好ましく、特に50℃~120℃が好ましい。
【0159】
紫外線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線照射は、必要に応じて、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。紫外線照射量は、特に限定されるものではないが、50mJ/cm2~800mJ/cm2が好ましく、100mJ/cm2~300mJ/cm2がより好ましい。
【0160】
(偏光フィルム)
偏光フィルムは、例えば、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合したものであることができる。また、偏光子上又は保護フィルム上に接着剤層や粘着材を介して、例えば、位相差フィルム、バリアフィルムのような他の光学機能性フィルムが積層されていてもよい。
【0161】
偏光子は、特定方向に偏光した光だけに限って通過させる機能を有するフィルムであり、例えば1軸延伸してヨウ素を配向させたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いることができる。偏光子の厚さは、例えば、1μm~12μm、好ましくは1μm~9μm、より好ましくは3μm~6μmである。
【0162】
保護フィルムは、カバーフィルムに使用される基材と同様のものを用いればよい。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性の観点から、2μm~500μmが好ましく、より好ましくは2μm~200μmである。
【0163】
また、この保護フィルムは、位相差フィルムとしての機能を兼ねていてもよい。位相差フィルムは、光学異方性を示す光学フィルムであり、保護フィルムに用いることができる樹脂等から構成されるフィルムを延伸して形成する方法や、基材フィルムへ液晶性化合物を塗布して配向させて硬化形成する方法等によって形成することができる。前記偏光フィルムを有機EL表示装置の反射防止用の円偏光板として用いる場合は、前記位相差フィルムは、位相差をλ/4(90°)与え、直線偏光を円偏光に変える、λ/4板であることが好ましい。
【実施例
【0164】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、ブロック共重合体の重合率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)、粘着材のゲル分率、粘着層厚さ、ヤング率、収縮時弾性率、せん断貯蔵弾性率、せん断応力、復元率等は、下記の方法に従って評価した。
【0165】
なお、略語の意味は下記のとおりである。
BA:n-ブチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
ACMO:アクリロイルモルフォリン
AA:アクリル酸
HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
DMAAm:ジメチルアクリルアミド
BTEE:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
AcOEt:酢酸エチル
【0166】
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(ブルカー・バイオスピン社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のビニル基とポリマー由来のエステル側鎖のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
【0167】
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI))
高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、型式HLC-8320GPC)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはTSKgel Super Multipore HZ-H(東ソー社製)を2本、移動相にテトラヒドロフラン溶液、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を10mg/mL、試料注入量を10μm、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量2,890,000、1,090,000、775,000、427,000、190,000、96,400、37,900、10,200、2,630、440)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
【0168】
(ゲル分率)
幅50mm、長さ120mm切り出した金網(400メッシュ)の質量W1を測定した。シート状粘着材を0.1g採取し、粘着材が脱落しないように金網で包んで試験片を作製し、この試験片の質量W2を測定した。試験片をガラス瓶に入れ、酢酸エチルを40g注いで軽く振った後、常温(25℃)で76時間静置した。静置後、試験片をガラス瓶から取り出して室温で12時間放置、さらに100℃の真空オーブンで4時間乾燥させた。乾燥後の試験片を室温まで冷却し質量W3を測定し、以下の式よりゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=((W3-W1)/(W2-W1))×100
【0169】
(ヤング率)
シート状粘着材(厚さ1mm)を、幅5mm、長さ70mmの大きさに切り出して試験片を作製した。引張試験は、精密万能試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH(登録商標) AGX)を用いて行った。試験は、23℃50%の環境下、つかみ具間距離30mm、引張速度30mm/minとし、引張応力が0kPaの状態から50kPaとなるまで伸長させた。得られた応力歪み曲線について、つかみ具間距離30.9~31.8mm(初期つかみ具間距離からの変位3~6%)における接線の傾きの平均値をヤング率とした。
【0170】
(収縮時弾性率)
シート状粘着材(厚さ1mm)を、幅5mm、長さ70mmの大きさに切り出して試験片を作製した。試験は、精密万能試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH(登録商標) AGX)を用いて行った。試験は、23℃50%の環境下、つかみ具間距離30mm、引張速度30mm/minとした。試験では、引張応力が0kPaの状態から、引張応力が50kPaとなるまで伸長させた後、引張応力が0kPaとなるまで収縮させ、収縮時の各伸びにおける引張応力を記録した。この伸長および収縮を10回繰り返し、1回目の収縮時、10回目の収縮時における収縮時弾性率を算出した。
収縮弾性率は、n回目の収縮時の引張応力50kPaにおける試験片長さからn回目の収縮時の引張応力0kPaにおける試験片長さへの変位を1としたとき、変位0.97における引張応力と変位0.94における引張応力から求めた。
【0171】
(粘着層厚さ)
厚さ測定機(テスター産業社製、「TH-104」)を用いて、粘着シート全体の総厚を測定し、この総厚から剥離シートの厚さを除することで、粘着層の厚さを求めた。
【0172】
(せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率)
粘着シートを構成する粘着層(シート状粘着材)を、ハンドローラーを用いて貼り合わせて積層し、厚さ0.5mmの積層体を作製した。この積層体をサンプルとし、粘弾性測定装置(TA instrument社製、Discovery HR-2)を用いて、23℃50%の環境下、せん断モード、ジオメトリ:直径8mmパラレルプレート、周波数:1Hz、ひずみ:1%で、せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率を測定した。
【0173】
(せん断応力を印加して10分間保持した時の応力、および復元率)
粘着シートを構成する粘着層(シート状粘着材)を、ハンドローラーを用いて貼り合わせて積層し、厚さ0.5mmの積層体を作製した。この積層体をサンプルとし、粘弾性測定装置(TA instrument社製、Discovery HR-2)を用いて、23℃50%の環境下、直径8mmパラレルプレートで200%のひずみとなるようにせん断応力を印加した直後、および、せん断応力を印加し続け、10分後の応力を測定した。
次いで、印加したせん断応力を解除してせん断応力を0kPaとして、10分間放置したときのひずみを測定した。得られたひずみから、以下の式に基づいて、復元率(%)を算出した。
復元率(%)=(200-10分後放置したときのひずみ)/200
【0174】
(粘着力)
粘着シートの一方の剥離シートを粘着層より剥離し、粘着層面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5100:東洋紡製、厚さ50μm)を貼り合わせた後、他方の剥離シートを粘着層より剥離して、粘着層面をポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)200V:東レデュポン製、厚さ50μm)に、2kgのローラーを2往復させて圧着した。
貼り合わせて1時間後に幅25mm、長さ150mmの大きさに切り出し、JIS Z 0237(2009)の方法に準じ、島津製作所製精密万能試験機「AUTOGRAPH(登録商標) AGS-1kNX、50Nロードセル」を用いて、23℃50%の環境下、剥離速度0.5mm/s、剥離角度180°の条件で、粘着層のポリイミドフィルムに対する粘着力を測定した。
【0175】
(繰り返し屈曲試験)
粘着シートの一方の剥離シートを粘着層より剥離し、粘着層面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5100:東洋紡製、厚さ50μm)を貼り合わせた後、他方の剥離シートを粘着層より剥離して、粘着層面をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイル(登録商標)T330E:三菱ケミカル製、厚さ150μm)に、2kgのローラーを2往復させて圧着した。
得られた屈曲試験用試験片を幅25mm、長さ90mmの大きさに切り出し、両短辺を、耐久試験機(ユアサシステム機器社製、面上体無負荷U字伸縮試験機、「DLDM111LH」)に、厚さ150μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム側を外側として屈曲するように固定し、屈曲径(内径・直径)5mm、往復速度60spm(1分間に60回屈曲)で20万回屈曲させた。試験機から取り出した試験片を目視観察し、下記の基準で評価した。
〇:ポリエステルフィルムと粘着層の間に浮きや剥がれがなく、クラックが入っていない。
×:ポリエステルフィルムと粘着層の間に浮きや剥がれがある、または、クラックが入っている。
【0176】
<共重合体の製造>
(合成例1:共重合体No.A)
アルゴンガス導入管と撹拌機を備えたフラスコに、BA(1742.0g)、AA(3.6g)、HBA(54.0g)、AIBN(87.6mg)、AcOEt(1340g)を仕込み、アルゴン置換後、BTEE(400mg)を加え、60℃で24時間反応させ、重合した。
【0177】
反応終了後、反応溶液にAcOEtを加え、共重合体No.Aを含有する共重合体溶液を得た。得られた共重合体No.AのMwが894,000、PDIが2.06、溶液の固形分が20.1質量%であった。
【0178】
(合成例2~6:共重合体No.B~F)
共重合体No.Aの製造法と同様にして、共重合体No.B~Fを作製した。表2に、使用した原料モノマー、有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率を示した。また、表3に、各共重合体の組成、Mw、PDI、ガラス転移温度を示した。
【0179】
(合成例7:共重合体No.G)
アルゴンガス導入管、滴下漏斗と撹拌機を備えたフラスコに、BA(364.5g)、ACMO(67.5g)、AA(13.5g)、HBA(4.5g)、AcOEt(276.5g)を仕込み、アルゴン置換後、80℃へ加温した。AIBN(197.1mg)をAcOEt(45g)に溶解した物を2時間かけて加え、さらに4時間反応させ、重合した。
反応終了後、反応溶液にAcOEtを加え、共重合体No.Fを含有する共重合体溶液を得た。得られた共重合体No.FのMwが873,000、PDIが6.48、溶液の固形分が20.0質量%であった。
【0180】
(合成例8:共重合体No.H)
共重合体No.Gの製造法と同様にして、共重合体No.Hを作製した。表2に、使用した原料モノマー、アゾ系重合開始剤、溶媒、反応条件、重合率を示した。また、表3に、共重合体の組成、Mw、PDI、ガラス転移温度を示した。
【0181】
【表2】
【0182】
【表3】
【0183】
<粘着組成物の製造>
(粘着組成物No.1)
合成例1で得た共重合体No.Aの共重合体成分100質量部に対して、架橋剤(デュラネート(登録商標)TPA-100)を0.076質量部、架橋促進剤(ネオスタン(登録商標)U-810)を0.023質量部、架橋遅延材(アセチルアセトン)を0.33質量部、粘着性付与剤(FTR(登録商標)6100)を30質量部、AcOEtを加え、撹拌して粘着組成物No.1を得た。
【0184】
(粘着組成物No.2~16)
配合を表4に記載するように変更した以外は、粘着組成物No.1と同様にして、粘着組成物No.2~16を作製した。
【0185】
【表4】
TETRAD(登録商標)-C:三菱ガス化学社製、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン(エポキシ基量;9.76mmol/g)
TPA-100:旭化成社製、デュラネート(登録商標)TPA-100(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(NCO%;23.1質量%))
U-810:日東化成社製、ネオスタン(登録商標)U-810(ジオクチル錫)
AcAc;アセチルアセトン
FTR6100:三井化学製、FTR(登録商標)6100(芳香族系炭化水素樹脂)
FTR8120:三井化学製、FTR(登録商標)8120(芳香族系炭化水素樹脂)
【0186】
<シート状粘着材>
剥離シート(表面に離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、クリーンセパ(登録商標)HY-S10:東山フイルム製、厚さ38μm)を用いて、離型処理を施した面が内側となるようにして縦70mm×横70mm×高さ20mmの容器を作製した。この容器に、乾燥後の膜厚が1.0mmとなるように各粘着組成物を加え、恒温乾燥器を用いて60℃で12時間乾燥させた後、容器から取り出してシート状粘着材を作製した。各シート状粘着材の評価結果を表5に示した。
【0187】
【表5】
【0188】
表5に示したように、シート状粘着材No.1~13は、反応性官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤とを含有する粘着組成物の硬化物であって、(メタ)アクリル系共重合体がリビングラジカル重合により得られたものであり、粘着材が所定のヤング率および収縮時弾性率の維持率を有している。
【0189】
<粘着シートの製造>
第1剥離シート(表面に離型処理を施したPETフィルム、クリーンセパ(登録商標)HY-S10:東山フイルム製、厚さ38μm)の離型面に、ベーカー式アプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が25μmとなるように粘着組成物を塗布した後、恒温乾燥器を用いて120℃で3分乾燥を行った。次に、第1剥離シート上に形成された粘着層に第2剥離シート(表面に離型処理を施したPETフィルム、クリーンセパ(登録商標)HY-S10:東山フイルム製、厚さ38μm)の離型面を貼り合わせた後、40℃で3日間エージングを行い、2枚の剥離シートに挟持された粘着層を作製した。各粘着シートの評価結果を表6に示した。
【0190】
【表6】
【0191】
表6に示したように、粘着シートNo.21、22、23および25は、粘着層が前記シート状粘着材No.4、9、11および13から形成されている。これらの粘着シートは、繰り返し屈曲させても、屈曲箇所における着層と屈曲性部材との界面に浮きや剥がれの発生することなく、クラックや波打ち等の外観不良の発生を抑制された。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の粘着材は、繰り返し屈曲、伸展して使用できるフレキシブルディスプレイを構成する一の屈曲性部材(例えば、機能性シート部材)と、他の屈曲性部材(例えば、表示素子)とを貼合するために使用できる。
【符号の説明】
【0193】
10:粘着シート
12:粘着層
14:第1屈曲性シート部材
16:第2屈曲性シート部材
20:屈曲性積層部材
22:第1屈曲性部材
24:第2屈曲性部材
30:屈曲性積層部材
32:カバーフィルム
32a:カバーフィルムの基材
32b:ハードコート層
34:偏光フィルム
図1
図2
図3