(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240612BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240612BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B60R11/02 A
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 B
(21)【出願番号】P 2020090279
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】近藤 将多
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊彦
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125962(JP,A)
【文献】特開昭62-059118(JP,A)
【文献】特開2019-194091(JP,A)
【文献】特開2010-278056(JP,A)
【文献】特開2016-116048(JP,A)
【文献】特開2004-306932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H01Q 1/32
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースとともに電子機器を収容する収容領域を形成するケースと、
前記ベースに取り付けられ、開口部を有するベースパッドと、
を備え、
前記ベースは、前記収容領域と前記開口部との間を通気するための通気口を有し、
前記通気口は、前記ケースと前記ベースとを係合により固定するための
スナップフィットの構造の一部であ
り、
前記スナップフィットの構造において設けられる開口が、前記通気口として機能する、ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記ケースは、第1のケースと、前記第1のケースを覆って設けられる第2のケースと、を有し、
前記収容領域は、
前記第1のケースと前記ベースとによって、前記電子機器の少なくとも一部を収容する第1の収容領域と、
前記第1のケースと、前記第2のケースと、前記ベースとによって形成される第2の収容領域と、
を有し、
前記通気口は、前記第2の収容領域と前記開口部との間の通気が可能な位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記ベースには、シール部材が設けられ、
前記開口部は、前記ベースパッドの後方に設けられ、
前記通気口は、すくなくとも前記シール部材が設けられた位置に対して前記開口部が設けられた位置の反対側に設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記ベースは、前記通気口からの空気の流れを前記開口部に向けて整流する整流部を有する、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記整流部は、前記ベースの底面から延出するリブである、ことを特徴とする請求項
4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記開口部の近傍に設けられた防護壁をさらに有する、ことを特徴とする請求項1
~5のいずれか1項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、車載装置として例えば、車載アンテナ装置が提案されている。この車載アンテナ装置では、アンテナベースとアンテナケースとによりアンテナ素子やカメラなどの電子機器を収容する収容領域を形成している。さらに、ベースパッドがアンテナベースの周縁を囲むようにアンテナベースに取り付けられている。車載アンテナ装置を車両ルーフに取り付ける際には、ベースパッドがアンテナベースと車両ルーフとの間に形成される空間領域を目隠ししており、さらに、ベースパッドの後端には切欠きが形成され、収容領域に浸入した水を空間領域を介して外部に排水できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示の技術では、アンテナ素子やカメラなどの電子機器を収容する収容領域に浸入した水を車載アンテナ装置の外部に十分に排出できない。例えば、アンテナベースと車両ルーフとの間の空間領域に残水となって留まることがあった。そして、その残水によって、アンテナベースと車両ルーフとの間の空間領域に、水膜が発生してしまい、例えば、それが車載アンテナ装置を車両ルーフに取り付ける取付部位にある部品の劣化を早めてしまうことが懸念されていた。
【0005】
本発明の目的の一例として、車載装置にあって、装置内に浸入する水の排出機能を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、
ベースと、
前記ベースとともに電子機器を収容する収容領域を形成するケースと、
前記ベースに取り付けられ、開口部を有するベースパッドと、
を備え、
前記ベースは、前記収容領域と前記開口部との間を通気するための通気口を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、車載装置内に浸入した水を効率よく外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る、車載アンテナ装置の斜視図である。
【
図2】実施形態に係る、車載アンテナ装置の断面図である。
【
図3】実施形態に係る、車載アンテナ装置の下から見た斜視図である。
【
図4】実施形態に係る、車載アンテナ装置の下から見た斜視図である。
【
図5】実施形態に係る、車載アンテナ装置の上から見た分解斜視図である。
【
図6】実施形態に係る、車載アンテナ装置の下から見た分解斜視図である。
【
図7】実施形態に係る、
図2の断面図の領域Kを拡大して示す図である。
【
図8】実施形態に係る、車載アンテナ装置のアウターケースを取り除いて示す斜視図である。
【
図9】実施形態に係る、アンテナベース部を上から見た分解斜視図である。
【
図10】実施形態の変形例に係る、車載アンテナ装置の下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。なお、本実施形態では、車載装置の一例として車載アンテナ装置について説明する。
【0010】
<全体構造>
本実施形態を説明するにあたり、便宜的に、車載アンテナ装置1が取り付けられる車両の前後方向をx方向、x方向と垂直な左右方向をy方向、x方向とy方向に垂直な鉛直方向をz方向として説明する。
【0011】
図1と
図2を用いて、車載アンテナ装置1の全体構造の概略について説明する。
図1は、本実施形態の車載アンテナ装置1を示す斜視図であり、車両ルーフ2に取り付けられている状態を示している。
図1(a)が前方上側から見た斜視図であり、
図1(b)が後方上側からみた斜視図である。
図2は車載アンテナ装置1の断面図であり、Y方向中央で縦に切断した切断面(X-Z平面)を示している。車載アンテナ装置1は、車両の上面にある車両ルーフ2の後部側などに取り付けられる。
図2で示すように、車載アンテナ装置1は、アンテナケース3と、衛星デジタルラジオアンテナやGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナとして用いられる平面アンテナ61a、AM/FMアンテナとして用いられる容量装荷素子65及びコイルエレメント61b、LTE(Long Term Evolution)の周波数帯域などを用いての通信を行うTELアンテナ61cと、撮像装置80と、アンテナベース部40、シール50、ベースパッド30などを備える。本実施形態では、平面アンテナ61a、容量装荷素子65、コイルエレメント61b、TELアンテナ61cなどの各種アンテナ素子とそれらを実装して電気的に接続する回路基板(例えば、PCB(Print Circuit Board))などのアンテナ基板で構成されるアンテナ部(以降の説明において単にアンテナ部と称して説明する)、や撮像装置80を電子機器の一例としている。なお、電子機器についてはこれに限ることはなく、例えば、アンテナ部のみ、または撮像装置80のみであってもよい。アンテナ部については、容量装荷素子65を除き
図2以外の図面では図示を省略している。
【0012】
アンテナケース3は、アンテナ部や撮像装置80等の車載アンテナ装置1の一部を構成する部品を上方から覆う。
【0013】
アンテナケース3は、アウターケース10と、インナーケース20(
図2に図示)を有する。そして、
図2で示すようにアンテナベース部40と共にアンテナ部や撮像装置80などの電子機器を収容する収容領域を形成している。収容領域はアウターケース10とアンテナベース部40とで形成される収容領域Sとインナーケース20とアンテナベース部40とで形成される収容領域Rとを有する。なお、詳細は後述するが、収容領域Sは、インナーケース20と撮像装置80とを収容する領域とされる。
【0014】
アンテナケース3は、アウターケース10とインナーケース20とで、いわゆる二重ケース構造となっている。すなわち、インナーケース20とアンテナベース部40とで形成される収容領域Rにアンテナ部の一部または全部を収容する。さらに、インナーケース20の後方部分には撮像装置80が取りつけられている。そして、それらを覆うように、アウターケース10が設けられている。すなわち、アウターケース10とアンテナベース部40とで形成される収容領域Sに、アンテナ部の全部または一部を収容領域Rに収容したインナーケース20と撮像装置80を収容する。
【0015】
なお、ベースパッド30は、アンテナベース部40の周縁を囲むように付けられ、アンテナベース部40と車両ルーフ2との間の空間領域を目隠しする機能を有する。
図2で示すように、車載アンテナ装置1は、車両ルーフ2に形成された図示せぬ取付貫通孔に後述するアンテナベース部40(金属製ベース42)の下面に設けられ、z方向下方に突出する突出部42aを通すことで車両ルーフ2の上面に載置する。そして、車両ルーフ2の下側(車両内部)から取付部品の一部を構成するボルト70を突出部42aに設けられた取付穴に螺合することで、取付部品の図示せぬ他の部品が車両ルーフ2の下側からアンテナベース部40とともに車両ルーフ2を挟むように作用する。その作用により、アンテナベース部40を車両ルーフ2側に引き込ませることができ、車載アンテナ装置1が車両ルーフ2に固定される。なお、車両ルーフ2の形状やアンテナベース部40の形状の違い、材質の違い等に起因して車両ルーフ2とアンテナベース部40との間には隙間(空間領域)が形成される。ベースパッド30は、美観的な観点からその隙間を外部から見えないようにするために設けられる。
【0016】
<アウターケース10>
次に
図2、
図5及び
図6を用いてアウターケース10について説明する。
図5は、車載アンテナ装置1を上から見た分解斜視図である。
図6は車載アンテナ装置1を下から見た分解斜視図である。なお、
図5では、容量装荷素子65以外のアンテナ部と、
図6では容量装荷素子65を省略して示している。
【0017】
アウターケース10は、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品であり、例えば、x方向前方がx方向後方よりも低くなるように傾斜し、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を有する。
【0018】
図6で示すように、アウターケース10は、下面が開口している。そして、インナーケース20、アンテナ部、撮像装置80などを、z方向上方から覆う(例えば、
図2や
図5も参照)。
【0019】
アウターケース10のx方向後方側には、インナーケース20のx方向後方側に設けられた撮像装置80のレンズなどの撮像部をアウターケース10の外部に露出する撮像用開口18が設けられている。撮像用開口18は、アウターケース10のx方向後方側の領域がその前方向に凹状となっている部分の前側端部に形成されている。なお、本実施形態では、撮像用開口18の開口周縁と撮像装置80の撮像部とは若干離間しており(隙間を有しており)、この部分でのアウターケース10内部への防水は図られていないが、当然に防水構造が設けられてもよい。
【0020】
図6で示すように、アウターケース10は、内壁の下面側からz方向下方に突出するように、アンテナベース部40への取り付け用の第1係止片14が複数設けられている。本実施形態では、7つの第1係止片14としているが、複数であればこの数に限定されない。アンテナベース部40をアウターケース10に固定する際に、第1係止片14は、アンテナベース部40に設けられた第2係止片44と係合する。すなわち、アウターケース10とアンテナベース部40とは、いわゆるスナップフィット構造により固定される。ちなみに、このスナップフィット構造は、アウターケース10とアンテナベース部40との係合に加え、収容領域(特に収容領域S)と後述する開口部31との間(空間領域)を通気するための通気口としての機能も備える構造としている。スナップフィット構造を
図2の符号Kで示す円内で示しているが、詳細については、
図7を用いて後述する。
【0021】
<インナーケース20>
図2、
図5及び
図6を用いてインナーケース20について説明する。
インナーケース20は、非透光性と電波透過性を有する合成樹脂製(ポリカーボネート(Polycarbonate)とASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)を含む合成樹脂などで形成された樹脂成型品)である。
【0022】
インナーケース20は、下面が開口し、主にアンテナ部をz方向上方から覆う。
【0023】
インナーケース20の下端部には、アンテナベース部40とネジ28によりネジ止めするために使用されるネジ孔27が複数設けられている。
【0024】
インナーケース20のx方向後方に設けられている後方壁には撮像装置80が取り付けられている。なお、撮像装置80は、インナーケース20の後方壁にネジ止め等により取り付けられることでインナーケース20に対し固定される。つまり、本実施形態では、撮像装置80はインナーケース20の外側にある。撮像装置80は、インナーケース20の収容領域Rを介して、例えば、
図2で示す同軸ケーブル80aにより車両内に設けられた車載用電子機器と電気的に接続されている。そして、撮像装置80により撮影された画像信号が同軸ケーブル80aにより車載用電子機器に送信される。
【0025】
図2、
図3及び
図8に示すように、インナーケース20の外表面の上側及び側面に、容量装荷素子65が装着されている。ここでは、容量装荷素子65は3つのエレメント65a、65b、65cが一体に構成され、
図8に示すように、エレメント65aがインナーケース20の外表面の上側にネジなどで固定されており、エレメント65bがインナーケース20の上側一方表面に沿って取り付けられ、エレメント65cがインナーケース20の上側他方表面に沿って取り付けられる。容量装荷素子65は、例えばAM/FMアンテナに用いられ、錫めっき鋼板やステンレス鋼板等の導体板を加工して形成される。そして、例えば、AM放送波やFM放送波を受信する。なお、本実施形態では、容量装荷素子65をインナーケース20の外表面に設けているが、これに限ることなく、容量装荷素子をインナーケース20の内側に設けてもよい。
【0026】
<ベースパッド30>
ベースパッド30について、
図1及び
図5、
図6を用いて説明する。
ベースパッド30は、エラストマー(Elastomer)やゴムなどで形成された環状の弾性部材である。ベースパッド30は、
図6に示すアンテナベース取付開口部39が設けられたパッド面32と、パッド面32の外周縁からz方向下側に延出するパッド周縁部33とを有する。アンテナベース取付開口部39は、その外郭が、アンテナベース部40とインナーケース20とを固定する際に押圧されるインナーパッド51の位置より外側になるように設けられている。アンテナベース取付開口部39からアンテナベース部40のベース面が露出される。ベース面には金属製ベース42が取り付けられ、PCBなどの回路基板(アンテナ基板)が設置される。なお、インナーパッド51を設けずにベースパッド30がインナーケース20とアンテナベース部40とを固定する際に押圧されるようにしてもよい。
【0027】
ベースパッド30はアウターケース10の下端周縁部に嵌入され、パッド周縁部33がアウターケース10の下端周縁部と車両ルーフ2との間の空間領域(以下単に空間領域という場合がある)の外部からの目隠しとして機能する。
【0028】
図5や
図6で示すように、ベースパッド30のパッド周縁部33の下端には、複数の開口部31が設けられている。複数の開口部31は、例えば、切り欠き構造として形成されている。そして、複数の開口部31は、車載アンテナ装置1の外部から空気98を取り入れる、及び空間領域を通して外部へ空気を通す、ならびに車載アンテナ装置1の収容領域Sに浸入した水99をその外部に排出するために用いられる。複数の開口部31は、ベースパッド30のx方向前方の端部に設けられた前方開口部31aと、x方向後方の端部に設けられた後方開口部31bとを有する。
【0029】
前方開口部31aは、主に車載アンテナ装置1の外部から空間領域へ空気98を取り入れる吸気口として機能する(
図1(a)の拡大
図Aを参照)。後方開口部31bは、主に空間領域を通して外部に空気を通す、ならびに車載アンテナ装置1の収容領域Sから空間領域に浸入した水99を外部に排出する排出口として機能する(
図1(b)の拡大
図Bを参照)。例えば、車載アンテナ装置1のx方向前方に前方開口部31aが設けられているため、車両の走行に伴って発生する走行風(空気98)を取り入れる(吸気する)ことができる(拡大
図Aのゼンマイのように表現した線は空気98を取り入れる様子を模式的に示したものである)。このようにすることで、例えば、空間領域の残水を後方開口部31bに導く、または、収容領域Sから浸入する水99を後方開口部31bに導くなどに作用する。また、車載アンテナ装置1のx方向後方に後方開口部31bが設けられているため、前方開口部31aから取り入れられた走行風(空気98)が空間領域を通り後方開口部31bから吹き抜ける。その空気98の吹き抜けに伴って当該空間領域の水99を外部に排出することができる(拡大
図Bの吹き出しは空気98が吹き抜ける様子を模式的に示したものである)。さらには、前方開口部31aと後方開口部31bにより空間領域の通気性をよくすることで、残水を減らし水膜の発生を抑制することができる。
【0030】
ベースパッド30のパッド面32には、アンテナベース取付開口部39の近傍または、アンテナベース取付開口部39の外郭の一部として、z方向上下方に連通する係止片配置部34が複数設けられている。
【0031】
係止片配置部34には、ベースパッド30を挟んでインナーケース20がアンテナベース部40に固定される際に、アンテナベース部40に設けられた第2係止片44が挿通するように配置される。
【0032】
<アンテナベース部40>
図3~
図6及び
図9を用いて、アンテナベース部40について説明する。
図3は車載アンテナ装置1を側面下側から見た斜視図である。
図4は車載アンテナ装置1を後方下側から見た斜視図であり、x方向前方の領域Dとx方向後方の領域Cとを拡大した図を含めて示している。
図9はアンテナベース部40の分解斜視図である。
【0033】
アンテナベース部40は、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate)等の樹脂製ベース41と、樹脂製ベース41の上面に取りつけられたアルミニウム等の金属製ベース42と、を組み合わせた組み合わせ体(複合体)である。なお、金属製ベース42または樹脂製ベース41のいずれかのみで構成されてもよい。
【0034】
アンテナベース部40(ここでは樹脂製ベース41)は、アウターケース10の第1係止片14と係合してアウターケース10を係止する第2係止片44を外周部に有する(例えば
図5参照)。第2係止片44は、
図9に示すように、z方向上下方に連通する開口44aの外縁部分に上方向に延出して設けられている。
【0035】
樹脂製ベース41には、略中央部分に複数(ここでは十字状に5箇所)のベース部開口43が設けられている。これらのベース部開口43を塞ぐように金属製ベース42が取りつけられている。また、金属製ベース42のx方向前方には、グランドプレート47(GND)が取りつけられている(
図9参照)。
【0036】
金属製ベース42の上面にはアンテナ基板が設けられ、そのアンテナ基板にコイルエレメント61b、TELアンテナ61c等のアンテナ素子やアンプ(図示せず)が実装されている。また、グランドプレート47(GND)上には、平面アンテナ61aが設置されている。
【0037】
樹脂製ベース41の周縁部には、上述したインナーケース20とのネジ28によるネジ止めに使用されるネジ受けボス48が複数設けられる。
【0038】
樹脂製ベース41の上面の周縁部であって、ネジ受けボス48よりも内側には、インナーパッド51(例えば
図5参照)が取り付けられる。インナーパッド51は、エラストマー(Elastomer)やゴムなどで形成された環状の弾性部材であり、樹脂製ベース41の上面に設けられる。
【0039】
インナーケース20とアンテナベース部40(ここでは樹脂製ベース41)とがネジ止めにより固定される際に、インナーパッド51は、インナーケース20の下端と樹脂製ベース41の上面によって押圧され、インナーケース20とアンテナベース部40の間を密閉する。
【0040】
アンテナ部(アンテナ基板やアンテナ素子など)は、樹脂製ベース41におけるインナーパッド51が取り付けられる領域よりも内側に配置される。アンテナ部のアンテナ基板に接続されたケーブル(図示省略)は、樹脂製ベース41に設けられたベース部開口43を介して、アンテナベース部40のz方向下方に延びる。そして、そのケーブルを用いて、例えば、アンテナ素子により受信した信号をアンテナ基板を介して車両内に設けられた車載用電子装置に送信する。
【0041】
樹脂製ベース41のx方向前方側の領域、より具体的には、樹脂製ベース41のx方向前方側に設けられた第2係止片44よりx方向後方側に、前方減圧リブ35が挿通する前方減圧リブ配置部45が設けられている。
また、樹脂製ベース41のx方向後方側の領域には、上述した後方減圧リブ36が挿通する後方減圧リブ配置部46が設けられている。具体的には、第1後方減圧リブ36aが挿通する第1後方減圧リブ配置部46aと、第2後方減圧リブ36bが挿通する第2後方減圧リブ配置部46bと、第3後方減圧リブ36cが挿通する第3後方減圧リブ配置部46cとが設けられている。前方減圧リブ35と後方減圧リブ36の機能については後述する。
【0042】
<アンテナベース部40の整流リブ49>
アンテナベース部40の樹脂製ベース41の下面、すなわち車両ルーフ2に対向する側の面には、概ねx方向に延びる整流リブ49が形成されている。具体的には、樹脂製ベース41のx方向前方側部分、より具体的にはシール50が配置される部分よりx方向前方側領域では、先端側(ベースパッド30の前方開口部31aの近傍となる位置)からx方向後方に向かって、一部が樹脂製ベース41の外郭形状に沿うように、一部が直線状に複数の整流リブ49が形成されている。
【0043】
樹脂製ベース41のx方向後方側部分、より具体的にはシール50が配置される部分よりx方向後方側領域では、シール50から後端側(ベースパッド30の後方開口部31bの近傍となる位置)に向かって、一部が樹脂製ベース41の外郭形状に沿うように、一部が直線状に複数の整流リブ49が形成されている。
【0044】
整流リブ49のz方向下方側への延出長(高さ)は、車載アンテナ装置1が車両ルーフ2に取りつけられた際に、整流リブ49の先端が車両ルーフ2から僅かに離間するように設定されている(例えば
図2や
図7参照)。
【0045】
整流リブ49は、アンテナベース部40と車両ルーフ2との間の空間領域における空気の流れをx方向(前後方向)に整流する。これにより、例えば、アンテナベース部40の下面に格子状にリブを形成した場合と比べ、車載アンテナ装置1の内部(収容領域S)または前方開口部31aから後方開口部31bへの空気の流れをよくし、収容領域Sに浸入した水99を空間領域を通じて効率よく外部に排出することができる。
そして、例えば、車両の走行に伴って車載アンテナ装置1の外部から取り込まれた空気をベースパッド30の後方開口部31bに向けて整流することで空間領域の通気性を向上させることができ、空間領域の残水を減らして水膜の発生を抑制できる。
【0046】
<減圧リブ(前方減圧リブ35、後方減圧リブ36)>
図6で示すようにベースパッド30のパッド面32の底面には、z方向下側に延出する複数のリブ35、36が設けられている。具体的には、ベースパッド30は、パッド面32のx方向前側の底面32aからz方向下方側に延出する前方減圧リブ35と、x方向後方側の底面32bからz方向下方側に延出する複数の後方減圧リブ36とを有する。
【0047】
ここで減圧リブ(前方減圧リブ35、後方減圧リブ36)を設けた意義を簡単に説明する。上述の様に、ベースパッド30に開口部31(前方開口部31a、後方開口部31b)を設けることで、収容領域Sに浸入した水99を空間領域を介して効率よく排出する。そして、車載アンテナ装置1のアンテナベース部40と車両ルーフ2との間の空間領域の通気性をよくし、残水を減らして水膜の発生を抑制することができる。
【0048】
一方、開口部31(前方開口部31a、後方開口部31b)は水99の浸入経路ともなりうる。高圧洗浄機を用いて車両を洗浄する場合、水99が開口部31から上述している空間領域に浸入する虞がある。その場合、減圧リブ(前方減圧リブ35、後方減圧リブ36)を設けないと、水99がシール50に強く当たってしまうことがある。これはシール50の劣化を早めかねない。そこで、勢いよく水99が浸入する虞がある場合を想定し、開口部31(前方開口部31a、後方開口部31b)に減圧リブ(前方減圧リブ35、後方減圧リブ36)を設け、高圧で浸入する水99の水圧を減圧させ、直接シール50に当たることを防止する。
【0049】
前方減圧リブ35は、前方開口部31aの近傍において、y方向中央に所定幅でy方向(左右)に延びて形成されている。所定幅は、前方開口部31aのy方向(左右)の幅より広くなっている。前方減圧リブ35のz方向下方への延出長さ(高さ)は、車載アンテナ装置1が車両ルーフ2に固定された際に、前方減圧リブ35の先端が車両ルーフ2と当接して押圧するように設定されている。
【0050】
ベースパッド30を挟んでインナーケース20がアンテナベース部40(樹脂製ベース41)に固定される際に、アンテナベース部40に開口として設けられた前方減圧リブ配置部45に前方減圧リブ35が挿通する。そして、前方減圧リブ配置部45に前方減圧リブ35が挿通すると、前方減圧リブ35がインナーケース20と車両ルーフ2とに挟まれる。インナーケース20と車両ルーフ2とに挟まれることにより、前方減圧リブ35が前方開口部31aから高圧で浸入する水99を減圧するとともに、その水圧によって倒れるのを防止する。
【0051】
後方減圧リブ36は、後方開口部31bの近傍において、第1後方減圧リブ36aと、第2後方減圧リブ36bと、第3後方減圧リブ36cとを有する。
【0052】
第3後方減圧リブ36cは、後方開口部31bの近傍において、y方向中央に所定幅でy方向(左右)に延びて形成されている。ここでは、第3後方減圧リブ36cは、下側から見て、中央がx方向前方向に凸となった略V字状に形成されている。y方向(左右)の所定幅は、後方開口部31bのy方向(左右)の幅より広くなっている。略V字状とすることで、整流リブ49によるx方向後方への空気の流れを妨げることがないようにしている。さらに後方開口部31bより幅広とし、その中央をx方向前方に凸とすることで後方開口部31bから高圧で浸入する水99を減圧することができる。
【0053】
第1後方減圧リブ36a及び第2後方減圧リブ36bは、第3後方減圧リブ36cとアンテナベース取付開口部39との間に、y方向に離間して、それぞれ所定幅でy方向(左右)に延びて形成されている。ここでは第1後方減圧リブ36a及び第2後方減圧リブ36bは左右対称に設けられている。後方減圧リブ36(第1後方減圧リブ36aと、第2後方減圧リブ36bと、第3後方減圧リブ36c)のz方向への延出長さ(高さ)は、前方減圧リブ35と同様で、後方減圧リブ36の先端が車両ルーフ2と当接して押圧するように設定されている。
【0054】
ベースパッド30を挟んでインナーケース20がアンテナベース部40に固定される際に、アンテナベース部40の樹脂製ベース41に開口として設けられた後方減圧リブ配置部46に後方減圧リブ36が挿通する。後方減圧リブ配置部46に後方減圧リブ36が挿通すると、後方減圧リブ36がインナーケース20と車両ルーフ2とに挟まれる。インナーケース20と車両ルーフ2とに挟まれることにより、後方減圧リブ36が後方開口部31bから高圧で浸入する水99を減圧するとともに、その水圧によって倒れるのを防止する。
【0055】
第1後方減圧リブ36aが第1後方減圧リブ配置部46aに、第2後方減圧リブ36bが第2後方減圧リブ配置部46bに、第3後方減圧リブ36cが第3後方減圧リブ配置部46cに、それぞれ挿通し密着する。
【0056】
なお、前方減圧リブ35や後方減圧リブ36は、上記の構成に限ることなく、それぞれの配置数や配置位置、形状に様々な態様が可能である。例えば、前方減圧リブ35として、後方減圧リブ36のように複数としてもよい。また、下から見て直線状でなく曲線でV字形状等であってもよい。後方減圧リブ36も同様で、例えば、前方減圧リブ35と同様に直線状に一つのリブで構成されてもよい。また、後方減圧リブ36が、ここで示すように複数で構成される場合、後方開口部31bに最も近い第3後方減圧リブ36cの押圧状態が最も強くなるようにして、第1後方減圧リブ36aや第2後方減圧リブ36bの押圧状態を弱くしたり、わずかに離間させたりしてもよい。
【0057】
<車載アンテナ装置1の車両ルーフ2への固定>
上述したように、車載アンテナ装置1の車両ルーフ2への取り付けは、取付部品であるボルト70をアンテナベース部40に設けられた突出部42aの取付穴に螺合させることにより行われる。
【0058】
<シール50>
アンテナベース部40の樹脂製ベース41の下面には、エラストマー(Elastomer)、ゴム、ウレタンやシリコンの発砲体などで形成された環状の弾性部材であるシール50が、ベース部開口43を囲むように設けられる。このシール50により、樹脂製ベース41と車両(すなわち車両ルーフ2)との間が水密封止される。
【0059】
本実施形態では、シール50は、x方向前方側及び後方側は、y方向(左右)に直線的に延びる領域を有さない。より具体的には、シール50のx方向前方側及び後方側はそれぞれ円弧状に凸に形成されている。この形状により、シール50に水99が付着した場合でも、開口部31から取り込まれる空気98によって、円滑に後方に流され、残水を抑制することができる。
【0060】
<アンテナ部>
アンテナ部は、上述のように、アンテナ基板と、そのアンテナ基板に実装された各種のアンテナ素子(平面アンテナ61aや容量装荷素子65及びコイルエレメント61b、TELアンテナ61c等)を有する。アンテナ素子は、インナーケース20の内側に取り付けられる形態の他、樹脂製ベース41に取り付けられる形態であってもよい。
【0061】
<アウターケース10とアンテナベース部40とのスナップフィットによる固定>
図7を用いてアウターケース10とアンテナベース部40とを係合するスナップフィット構造について説明する。
図7で示すように、アウターケース10とアンテナベース部40とはスナップフィット構造により固定される。
【0062】
具体的には、アウターケース10の内壁面に設けられた第1係止片14の爪部が、アンテナベース部40の樹脂製ベース41に設けられた第2係止片44の爪部に係止する。ここで、樹脂製ベース41の第2係止片44は、z方向上下方に連通する開口44aの外郭からz方向上方に延出して形成されている。この開口44aのx方向の大きさは、第1係止片14の爪部と第2係止片44とが係合した状態における第1係止片14のx方向前方の端からx方向前方に向けて、収容領域Sと空間領域とが連通する一定の幅をもった大きさとなっている。第1係止片14の爪部が第2係止片44の爪部に係止される際に、開口44aを利用して第1係止片14が弾性変形することで第2係止片44の爪部と係合する。そして、
図7で示すように、第1係止片14の爪部と第2係止片44の爪部とが係合した状態においての開口44aは、収容領域Sと空間領域とが連通するように開口された状態となる。なお、この開口44aは、製造時の成形工程において金型を抜くために形成される構造が利用されてもよいし、成形工程で不要である場合には、上記機能のために専用に設けられてもよい。
【0063】
スナップフィット構造をこのような構造とすることで、第2係止片44が形成された部分の開口44aは、第1係止片14と第2係止片44とが係止した状態において、アンテナベース部40、より具体的には樹脂製ベース41のz方向上下方の空間を連通する。そして、この開口44aが収容領域Sと後方開口部31bとの間を通気するための通気口として機能する。
【0064】
開口44aは、例えば、撮像装置80の撮像部とアウターケース10との隙間などから収容領域Sに取り込まれる外部の空気を空間領域に送り込む。さらに、開口44aと後方開口部31bとの間の空気の流れを整流リブ49を通じて形成することで車載アンテナ装置1の外部との通気性を向上させる。そして、アンテナベース部40の上側空間(すなわちアウターケース10とインナーケース20との間の収容領域S)に、例えば、撮像装置80の撮像部とアウターケース10との隙間から水99が浸入した場合であっても、この開口44aから、アンテナベース部40の下側空間(アンテナベース部40と車両ルーフ2との間の空間領域)に流水させる。さらに、アンテナベース部40の下面に形成された整流リブ49を通じて、水99がベースパッド30に形成された後方開口部31bから車載アンテナ装置1の外部に排出される。
【0065】
なお、これまで、ベースパッド30に前方開口部31aと後方開口部31bの両方を設けることについて説明したが、開口44aを設ければ前方開口部31aを設けなくてもよい。すなわち。開口44aが前方開口部31aと同等の機能を担えば、あえて前方開口部31aを設けず、開口44aと後方開口部31bとを備えればよい。また、開口44aは、少なくともシール50が設けられた位置よりx方向前方にのみ設けるようにしてもよい。その場合、シール50が設けられた位置よりx方向後方には開口44aを設けない。
【0066】
図7では、アウターケース10とアンテナベース部40のx方向前方にある第1係止片と第2係止片44との係合、ならびに開口44aについて説明したが、その他の6つの第1係止片、第2係止片44と開口44aは、
図5や
図6で示すように、アウターケース10とアンテナベース部40の側方に設けられている。そして、これら第2係止片44は、z方向上下方に連通する開口44aの外郭からz方向上方に延出して形成されている。これらの開口44aは、y方向の大きさが第1係止片14の爪部と第2係止片44の爪部とが係合した状態における第1係止片14のy方向左(又は右)方の端からy方向左(又は右)方に向けて、収容領域Sと空間領域とが連通する一定の幅をもった大きさとなっている。なお、本実施形態では、7つの第1係止片14と第2係止片44との係合におけるスナップフィット構造として開口44aを設ける旨を説明してが、これに限ることなく、少なくとも1つの開口44aを設けるようにしてもよい。この場合、一定の幅をもった大きさの開口44aをシール50の位置よりx方向前方に設け、その他の第1係止片14と第2係止片44との係合においては、開口44aを形成しないようにしてもよい。
【0067】
スナップフィット構造によりアウターケース10とアンテナベース部40を固定することで、アウターケース10とアンテナベース部40とをネジ固定した場合と比較して、ネジ固定に用いられるボス部に発生する応力を小さくし、洗剤等の薬品がアウターケース10の内部に溜まりボス部にケミカルクラックによる割れが発生することを抑制することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
図10に変形例の車載アンテナ装置101を示す。上述の実施形態と異なる点は、減圧リブ(前方減圧リブ35、後方減圧リブ36)が省かれている点にある。車載アンテナ装置101は、高圧洗浄機を使用しない地域を仕向地とする車両や、大型車のように高圧洗浄機が利用できない車両に適している。
【0069】
また、図示はしないが、アウターケース10とアンテナベース部40とがスナップフィットではなくネジ留めで固定される場合、第2係止片44を形成する位置に開口が存在しないこととなる。しかし、この場合でも、アンテナベース部40のz方向上下方を貫通する貫通孔を第2係止片44の近傍に形成し、上述した開口44aと同様の通気口としての機能をもたせるようにしてもよい。その貫通孔を設ける位置は、シール50の位置よりx方向前方が好ましい。すなわち、その貫通孔がシール50よりx方向前方に設けることで、アンテナベース部40と車両ルーフ2との間の空間領域における空気98の流れを、シール50のx方向前方側領域からx方向後方の後方開口部31bに向けて形成することができる。
【0070】
また、減圧リブは、ベースパッド30に設けられたが、これに限らず、アンテナベース部40に設けられてもよい。
【0071】
本実施形態の電子機器の一例としてアンテナ部、撮像装置80について説明したが、それら以外の電子機器であって本発明の主旨を逸脱しない範囲で適用可能である。さらに、前方開口部31aをベースパッド30のx方向前方の先端に設けることについて説明したがこれに限ることなく、x方向前方側の側方に複数設けてもよい。この場合は、前述したシール50の取付位置よりx方向前方側の側方であればいずれの位置であってもよい。
【0072】
本発明の車載装置の特徴を纏めると次の通りである。
(態様1)
態様1の車載装置は、
ベースと、
前記ベースとともに電子機器を収容する収容領域を形成するケースと、
前記ベースに取り付けられる、開口部を有するベースパッドと、
前記ベースは、前記収容領域と前記開口部との間を通気するための通気口を有する。
態様1によれば、収容領域とパッドの開口部との間を通気するための通気口が、例えば、車両ルーフとベースとの間に形成された空間領域の通気性を向上し、収容領域に浸入した水を、当該空間領域を介してパッドに設けられた開口部から効率よく排出できる。また、空間領域での残水を防ぐことで、水膜発生を抑制し、例えば、車両に取りつけられた際に形成される空間領域に配置される部材(例えばシール部材)の劣化を抑制できる。
(態様2)
態様2は、上記車載装置において、
前記ケースは、第1のケース(インナーケース)と、前記第1のケースを覆って設けられる第2のケース(アウターケース)と、を有し、
前記収容領域は、
前記第1のケースと前記ベースとによって、前記電子機器の少なくとも一部を収容する第1の収容領域と、
前記第1のケースと、前記第2のケースと、前記ベースとによって形成される第2の収容領域と、
を有し、
前記通気口は、前記第2の収容領域と前記開口部との間の通気が可能な位置に設けられる。
態様2によれば、ケースがいわゆる二重ケース構造である場合において、通気口は、第2の収容領域とパッドの開口部との間の通気が可能な位置に設けられる。つまり、外側のケースにより形成される収容領域と当該開口部との間の通気が可能な位置に設けることから、例えば、上述した空間領域への通気性を向上し、当該第2の収容領域から当該空間領域に浸入する水を効果的に排出できる。また、水膜発生を抑制して空間領域に配置される部材(例えばシール部材)の劣化を抑制できる。
なお、「電子機器の少なくとも一部」とは、電子機器を構成する部品の一部であってもよいし、電子機器が複数の場合であれば複数のうちの一以上の電子機器であってもよい。
(態様3)
態様3は、上記車載装置において、
前記ベースには、シール部材が設けられ、
前記開口部は、前記ベースパッドの後方に設けられ、
前記通気口は、すくなくとも前記シール部材が設けられた位置に対して前記開口部が設けれた位置の反対側に設けられている。
態様3によれば、通気口からの空気をシール部材の前方から後方に向けて、例えば、シール部材の側面に沿って流すことができる。すなわち、シール部材に付着する水を効果的に排出することができ、また、シール部材周辺の通気性を向上させて水膜発生を抑制することができる。
(態様4)
態様4は、上記車載装置において、
前記ケースと前記ベースとを固定する構造として、スナップフィットの構造を有し、
前記スナップフィットの構造において設けられる開口が、前記通気口として機能する。
態様4によれば、スナップフィットの構造では、ケースとベースとの係合に加え、その係合に利用する開口を通気口とすることで、例えば、通気専用の貫通孔を設ける必要がない。また、スナップフィット構造により、ネジ固定と比較して、アウターケースとベースとの固定構造(特にネジ留めボス)の割れ等の不具合発生を抑制できる。
(態様5)
態様5は、上記車載装置において、
前記ベースは、前記通気口からの空気の流れを前記開口部へ向けて整流する整流部を有する。
態様5によれば、通気口からの空気の流れを開口部へ向けて整流するため、通気口(収容領域)と開口部との間の通気をよくし、水の排出を効率的にできる。
(態様6)
態様6は、上記車載装置において、
前記整流部は、前記ベースの底面から延出するリブである。
態様6によれば、ベースを製造する際に、リブを一体に成形することができるため、部品点数の抑制やコスト削減を実現できる。
(態様7)
態様7は、上記車載装置において、前記開口部と前記シール部材との間に設けられた防護壁をさらに有する。
態様7によれば、防護壁があることで、開口部から水が勢いよく(高圧で)浸入した場合でも、直接シール部材に当たることがないため、水の衝撃によるシール部材の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 車載アンテナ装置
2 車両ルーフ
3 アンテナケース
10 アウターケース(第2のケース)
14 第1係止片
18 撮像用開口
20 インナーケース(第1のケース)
27 ネジ孔
28 ネジ
30 ベースパッド
31 開口部
31a 前方開口部
31b 後方開口部
32 パッド面
32a 底面
32b 底面
33 パッド周縁部
34 係止片配置部
35 前方減圧リブ
36 後方減圧リブ
36a 第1後方減圧リブ
36b 第2後方減圧リブ
36c 第3後方減圧リブ
39 アンテナベース取付開口部
40 アンテナベース部
41 モールドベース
42 金属ベース
42a 突出部
43 ベース部開口
44 第2係止片
44a 開口
45 前方減圧リブ配置部
46 後方減圧リブ配置部
46a 第1後方減圧リブ配置部
46b 第2後方減圧リブ配置部
46c 第3後方減圧リブ配置部
48 ネジ受けボス
47 グランドプレート
49 整流リブ
50 シール
61a 平面アンテナ
61b コイルエレメント
61c TELアンテナ
65 容量装荷素子
65a、65b、65c エレメント
70 ボルト
80 撮像装置
98 空気
99 水
101 車載アンテナ装置
R 収容領域(第1の収容領域)
S 収容領域(第2の収容領域)