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特許7502899超音波撮像装置、及び、それを用いた手術支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】超音波撮像装置、及び、それを用いた手術支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020093575
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021186211
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 智彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 貞一郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮
(72)【発明者】
【氏名】竹島 啓純
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532711(JP,A)
【文献】特開2015-139465(JP,A)
【文献】特開2019-134958(JP,A)
【文献】特開2019-213680(JP,A)
【文献】特表2019-536574(JP,A)
【文献】特開2017-148407(JP,A)
【文献】特表2017-503548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信する送信部と、前記超音波信号が照射された撮像領域からの反射超音波を、ビームフォームして受信する受信部と、前記受信部が受信した反射超音波から前記撮像領域の超音波画像を作成する画像形成部と、前記受信部が、前記送信部による超音波信号の非送信時に受信した、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源が発する超音波を用いて、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部と、を備え、
前記位置推定部は、前記撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定し、その際、前記偽像の傾斜を解析し、前記偽像の傾斜を用いて前記超音波発生源の到来方向を推定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
前記位置情報は、前記超音波発生源の深さ、前記撮像領域までの距離、及び前記撮像領域への到来方向のいずれかを含むことを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項3】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信する送信部と、前記超音波信号が照射された撮像領域からの反射超音波を、ビームフォームして受信する受信部と、前記受信部が受信した反射超音波から前記撮像領域の超音波画像を作成する画像形成部と、前記受信部が、前記送信部による超音波信号の非送信時に受信した、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源が発する超音波を用いて、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部と、を備え、
前記位置推定部は、前記撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像と前記超音波発生源の位置情報との関係を学習した識別器を含み、前記偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の超音波撮像装置であって、
前記超音波発生源は、電圧の印加によって超音波を発生する圧電素子を備えるものであり、
前記送信部は、前記超音波信号の非送信時に、前記圧電素子に電気信号を送ることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の超音波撮像装置であって、
前記超音波発生源は、光の照射によって超音波を発生する光音響素子と当該光音響素子に光を照射するとともに前記超音波撮像装置にトリガー信号を送信する光発生部とを備えるものであり、
前記光発生部からのトリガー信号を受信し、前記送信部及び前記受信部による超音波送受信を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項6】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信する送信部と、前記超音波信号が照射された撮像領域からの反射超音波を、ビームフォームして受信する受信部と、前記受信部が受信した反射超音波から前記撮像領域の超音波画像を作成する画像形成部と、前記受信部が、前記送信部による超音波信号の非送信時に受信した、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源が発する超音波を用いて、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部と、前記受信部を制御する制御部と、を備え、
前記位置推定部は、前記撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定し、
前記制御部は、前記位置推定部が推定した前記超音波発生源の位置情報を用いて、推定された位置情報にビームフォームされるように、前記受信部のビームフォームの位相を制御することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項7】
請求項に記載の超音波撮像装置であって、
前記位置推定部は、前記制御部による制御後に前記受信部が受信した超音波信号を用いて、再度、前記超音波発生源の位置情報を推定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項8】
請求項に記載の超音波撮像装置であって、
前記位置推定部は、前記制御部による制御後に前記受信部が受信した超音波信号を用いて、前記超音波発生源の画像を作成し、表示装置に表示させることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項9】
請求項1、3、6のいずれか一項に記載の超音波撮像装置であって、
前記位置推定部が推定した前記超音波発生源の位置情報を示す表示画像を形成する表示画像形成部をさらに備えることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項10】
請求項に記載の超音波撮像装置であって、
前記表示画像形成部は、前記画像形成部が生成した超音波画像と前記位置情報とを同一画面に含む表示画像を形成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項11】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信し、当該超音波信号が照射された領域からの反射超音波信号を受信し、前記被検体の超音波画像を撮像する撮像部を備えた超音波撮像装置と、
被検体内に挿入される治療具に固定された超音波発生源と、
前記超音波画像及び前記超音波発生源の位置を表示する表示装置と、を含む手術支援システムであって、
前記超音波撮像装置は、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源からの超音波を、前記超音波探触子を介して受信し、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部を備え、前記位置推定部は、前記撮像部が撮像する撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定し、その際、前記偽像の傾斜を解析し、前記偽像の傾斜を用いて前記超音波発生源の到来方向を推定することを特徴とする手術支援システム。
【請求項12】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信し、当該超音波信号が照射された領域からの反射超音波信号を受信し、前記被検体の超音波画像を撮像する撮像部を備えた超音波撮像装置と、
被検体内に挿入される治療具に固定された超音波発生源と、
前記超音波画像及び前記超音波発生源の位置を表示する表示装置と、を含む手術支援システムであって、
前記超音波撮像装置は、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源からの超音波を、前記超音波探触子を介して受信し、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部を備え、
前記位置推定部は、前記撮像部が撮像する撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像と前記超音波発生源の位置情報との関係を学習した識別器を含み、前記偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定することを特徴とする手術支援システム。
【請求項13】
被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信し、当該超音波信号が照射された領域からの反射超音波信号を受信し、前記被検体の超音波画像を撮像する撮像部を備えた超音波撮像装置と、
被検体内に挿入される治療具に固定された超音波発生源と、
前記超音波画像及び前記超音波発生源の位置を表示する表示装置と、を含む手術支援システムであって、
前記超音波撮像装置は、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源からの超音波を、前記超音波探触子を介して受信し、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部と、超音波の受信を制御する制御部と、を備え、
前記位置推定部は、前記撮像部が撮像する撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定し、
前記制御部は、前記位置推定部が推定した前記超音波発生源の位置情報を用いて、推定された位置情報にビームフォームされるように、受信の際のビームフォームの位相を制御することを特徴とする手術支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光音響技術と超音波撮像装置とを組み合わせた手術支援技術に関し、特に患者体内にカテーテル等の術具を挿入して、手術対象部位に移動させる際に術具の移動を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
血管の狭窄を治療する手術では、開胸手術と比較し患者負担が少ないカテーテル治療が広く採用されている。カテーテルのような極めて小さい領域で手術を行う上での課題として、視認性が挙げられる。ガイドワイヤのような細径デバイスは、主としてX線透視を用いることで視認しているが、生体の患部とデバイスの位置関係は不明瞭となる。特に血管内治療では、血管壁とガイドワイヤの位置関係を知ることは手術成績に直結し、高い視認性が重要である。術中に超音波撮像装置を用いることで、この問題を解決する試みもあるが、ガイドワイヤ先端を超音波で描出することは容易ではなく、手術者とは別に熟練のエコー技師を必要とするため普及には至っていない。
【0003】
これに対し、カテーテル先端に超音波発信機を取り付け、超音波撮像装置でこの超音波発信機からの超音波を受信し画像化することでカテーテル先端を検出する技術も提案されている。例えば、特許文献1には、開示された技術では、超音波プローブに取り付けた姿勢検出手段が検出した姿勢をもとに、超音波発信機が超音波プローブの真下にある状態を担保してその位置を検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-139465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等の、光音響技術と超音波撮像装置とを組み合わせて、デバイス位置を把握する技術では、光音響手段を装着したデバイス先端が撮像範囲に入っているときにそれを可視化するものである。そのため、デバイスが撮像範囲に入ってくるまでは、デバイスがどの方向から近づいているのか、どのぐらい近づいているのかを知ることはできない。つまりデバイスが患部に接近するまで、患部の超音波画像のどこにデバイスが映し出されてくるのか全く予測することができない。また、一般に血管には多くの分岐があり、カテーテル治療では、これら分岐を通過させながらデバイスを進めて、所定の患部に到達させなければならないが、従来の方法では、途中、デバイスの進行方向がずれたとしても、それを画像から把握することはできない。
【0006】
本発明は、撮像範囲外にあるデバイスの位置情報を得て、それを超音波画像とともにユーザーに提示できる超音波撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の超音波撮像装置は、撮像範囲外からの超音波によって生じるグレーティングアーチファクト(偽像)を利用することによって、デバイスに取り付けた超音波発生源が撮像範囲外にあるときにその位置情報を把握する。
【0008】
すなわち本発明の超音波撮像装置は、被検体に対し超音波探触子を介してビームフォームされた超音波信号を送信する送信部と、前記超音波信号が照射された撮像領域からの反射超音波を、ビームフォームして受信する受信部と、前記受信部が受信した反射超音波から前記撮像領域の超音波画像を作成する画像形成部と、前記受信部が、前記送信部による超音波信号の非送信時に受信した、前記被検体の内部に挿入された超音波発生源が発する超音波を用いて、前記超音波発生源の位置情報を推定する位置推定部と、を備え、前記位置推定部は、前記撮像領域外で前記超音波発生源が発した超音波によって生じる偽像を解析し、前記撮像領域に対する前記超音波発生源の位置情報を推定することを特徴とする。
【0009】
本発明の手術支援システムは、上述した構成の超音波撮像装置と、被検体内に挿入される治療具に固定された超音波発生源と、前記超音波画像及び前記超音波発生源の位置を表示する表示装置と、を含む。
【0010】
また本発明の手術支援方法は、超音波撮像装置を用いて、患者の体内に挿入された術具を監視する手術支援方法であって、所定の撮像範囲に対し超音波信号の送受信を繰り返し、超音波画像を形成し表示し、超音波送受信の合間に、前記術具に固定された超音波発生源から超音波を発生させて、その際、前記超音波撮像装置が受信した超音波信号を画像化し、撮像範囲外にある前記超音波発生源の偽像を解析し、前記撮像範囲に対する前記超音波発生源の位置情報を推定し、提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
所定の領域を撮像領域として、すなわち所定の領域で整相するビームフォーム条件で、撮像を行う超音波撮像装置において、撮像領域外から発せられる超音波は、グレーティング(以下、GLという)アーチファクトと同様の偽像として画像化され、撮像領域との位置関係によってGLアーチファクトの現れ方が変化する。本発明では、このグレーティング(以下、GLという)アーチファクトを解析することで、その発生源である超音波発生源の撮像範囲との関係、特に撮像範囲への到来方向を推定することができる。この到来方向を撮像領域の画像である超音波画像とともに提示することで、ユーザは超音波発生源が画像として映し出されている撮像領域に確実に向かっているのか、そしてどの方向から目的部位に向かっているのかを知ることができ、超音波発生源の進行を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の手術支援システムの概要を示す図。
図2】実施形態の手術支援システムの動作の流れを示す図。
図3】実施形態1の超音波撮像装置の全体構成を示す図。
図4】デバイス先端の構造を示す断面図。
図5】実施形態1の超音波撮像装置の動作を説明する図。
図6】GLアーチファクトを説明する図。
図7】(A)、(B)は、それぞれ、実施形態1の超音波撮像装置の表示画面の一例を示す図。
図8】実施形態2の超音波撮像装置の全体構成を示す図。
図9】実施形態2の超音波撮像装置の動作を説明する図。
図10】変形例の動作を説明する図。
図11】変形例の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の超音波撮像装置とそれを備えた手術支援システムの実施形態を説明する。
手術支援システム1は、図1に示すように、超音波探触子3が接続される超音波撮像装置10と、デバイス2に固定された超音波発生源20と、超音波撮像装置10が形成する画像等を表示する表示装置40とを備えている。本明細書では、バルーンカテーテルやマイクロカテーテル等の治療用器具やこれら治療用器具を目的部位に運ぶためのガイドワイヤなど体内に挿入される術具を総称してデバイスという。
【0014】
この手術支援システム1は、被検体(患者)30の体内(血管内)にデバイス2を挿入して患部に到達させた後、例えば血管狭窄部位の拡張、血栓の除去等の処置を行うカテーテル治療において、デバイス2が確実に狭窄部位などの患部に到達するように支援する装置である。このためデバイス2に固定した超音波発生源20から一定の間隔で超音波を発生させて、その超音波を超音波撮像装置10で検出し、超音波発生源20の位置を推定する。超音波撮像装置10は、また超音波発生源20から超音波が出ていないときに、被検体30に対し超音波の送信と反射超音波の受信とを行い、被検体内部の超音波画像を取得する。
【0015】
超音波発生源20は、光や電気などのエネルギーを与えることによって超音波を発生する素子からなる。具体的には、高周波信号によって振動し超音波を発する圧電素子や、光を受けて超音波を発する色素などの光音響材料を用いることができる。超音波発生源20はデバイス2の体にある部分に超音波発生源を駆動する装置に接続されている。超音波発生源が光音響材料の場合には光ファイバで光発生装置25に接続される。また圧電素子の場合には、専用の電源を用いることも可能であるが、超音波撮像装置10の送信部に接続することで送信部からの信号によって圧電素子を駆動することも可能である。
【0016】
超音波撮像装置10は従来の超音波撮像装置と同様の構造のものを用いることができるが、その信号処理系に超音波発生源20の位置を推定するための手段(図3:位置推定部152)を備えている。但し、位置推定部の機能の一部または全部を、超音波撮像装置10とは別の信号処理装置あるいは計算機で行うことも可能である。その場合は、超音波撮像装置10はこのような信号処理装置あるいは計算機とデータのやり取りを行うためのインターフェイス部を備えるものとする。データのやり取りは、有線、無線、ネットワークや媒体を介したやり取りなど公知の手段を用いることができる。
【0017】
被検体内部の超音波画像は、超音波ビームを送信し被検体内部の各所で反射した反射超音波をビームフォームして受信することにより得られるものであり、超音波ビームのビームフォーミングと照射角度によって撮像範囲が決まる。一方、超音波発生源20が発する超音波は、撮像範囲とは関係なく、波状に広がり、超音波探触子に到達する。受信時に送信時ビームフォームに合わせたビームフォームがなされているとき、超音波発生源20が撮像範囲内にあればそれから発せられる超音波から超音波発生源20の形状の画像が得られる。超音波発生源20が点状であれば点状の画像が得られる。従来は超音波発生源20の画像の、撮像範囲における位置から、実空間における患部とデバイスとの位置関係を把握する。しかし、超音波発生源20が撮像範囲の外側にあるときは、それからの超音波は受信部に到達したとしても超音波発生源20の形状の画像として描出されない。
【0018】
超音波撮像においては、グレーティングアーチファクトという現象が知られている。グレーティングローブは、本来の超音波ビームに対し、中心軸の側面に拡散する疑似成分であり、このグレーティングローブからの反射波によって作られる画像がGLアーチファクトである。GLアーチファクトはグレーティングローブの存在を前提にするが、反射波ではない自発的な超音波であっても、GLが発生する条件を満すときに像として現れる。GLが発生する条件は、超音波探触子を構成する振動素子の配置間隔dと波長λとで決まり(sinθ=nd/λ、n:1、2、・・・、θはグレーティングローブの方向)が所定の関係にあることである。このとき現れる偽像は、GLと同じ原理で発生する偽像であるので、本明細書ではGLアーチファクトと呼ぶ。
【0019】
この自発的な超音波のGLアーチファクトの現れ方は、その発生位置や傾きが超音波発生源の位置によって変化する。本実施形態の超音波撮像装置10では、位置推定部152がこのGLアーチファクトを解析することにより、撮像範囲外の超音波発生源の位置を推定する。
【0020】
このため、手術支援システム1では、図2に示すように、超音波撮像装置10を2つの動作モードで動作するように制御する(S21)。一つは被検体の超音波画像を取得する撮像モード、もう一つは超音波発生源20からの自発超音波を受信し画像を形成するデバイス監視モード(以下、単に監視モードという)である。撮像モードにおいては、設定された撮像条件で撮像領域に対し超音波の送受信を行い(S22)、Bモード画像等の超音波画像を作成し(S23)、表示装置40に表示させる(S24)。監視モードでは、撮像モードの送信を非動作(オフ)とし、超音波発生源20から超音波を発生させる(S25)。超音波撮像装置10は、超音波発生時にも受信を継続し(S26)、画像を作成する。
【0021】
位置推定部152は、超音波発生源20からの超音波で作成した画像に現れるGLアーチファクトを解析し(S27)、その位置情報や傾きなどを算出し、解析結果を表示装置40に表示させる(S28)。表示装置40が表示する解析結果の態様は、特に限定されないが、例えば、ステップS23で表示した超音波画像とともに、撮像領域に対する位置関係が把握できるような形とする。
【0022】
撮像モードと監視モードとの切替(S21)は、超音波撮像装置10内の制御部が行ってもよいし、超音波発生源20側から超音波撮像装置10にトリガー信号を送信し、トリガー信号を用いて行ってもよい。術者がデバイス2を被検体の体内(血管内)で進めていく間、超音波撮像装置10の撮像モードと監視モードとを交互に繰り返し、患部を含む撮像領域の画像とデバイス位置情報とを表示装置40に表示することで、術者は撮像領域にデバイスが進行していく状態を確認することができる。
【0023】
以上の手術支援システムの概要を踏まえ、以下、デバイス位置推定の具体的な実施形態を説明する。以下の実施形態で参照する図面において、同一の機能を持つ要素は同じ符号で示し、重複する説明は省略する。
【0024】
<実施形態1>
超音波発生源20として光音響材料を用いた場合の実施形態を説明する。
本実施形態の手術支援システム1及び超音波撮像装置10の全体構成を図3に示す。
【0025】
超音波撮像装置10は、超音波発生源の位置を推定する機能(位置推定部152)が追加されている以外は、一般的な超音波撮像装置と同様の構成を有し、図3に示すように、超音波探触子3に超音波信号を送信する送信部11、超音波探触子3が検出した反射波(RF信号)を受信し、整相、加算等の処理を行う受信部12、及び、受信部12が受信したRF信号の処理を行う信号処理部150を備える。また超音波撮像装置10は、装置全体とその付属装置等を制御する制御部155、ユーザが撮像に必要な条件や指令を入力するための入力部13、超音波撮像装置10が取得した超音波画像やGUI(Graphic User Interface)等を表示する表示部14(図1:表示装置40)、信号処理部150の処理結果である画像等を記憶するメモリ16を備えている。
【0026】
信号処理部150は、受信部12が受信した信号を用いて超音波画像を作成する超音波画像形成部151と、超音波発生源20から発せられ、超音波探触子3を介して受信部12が受信した超音波信号を用いて、超音波発生源20の位置に関する情報を推定する位置推定部152と、表示部14に表示する画像を生成する表示画像形成部153とを備える。ここで受信部12が受信する超音波信号のうち、送信超音波ビームの反射波である超音波信号と超音波発生源20からの超音波信号とを区別することが必要な場合、前者を画像用信号、後者を監視用信号と呼ぶ。
超音波画像形成部151は、Bモード画像等の被検体の超音波画像のほかに、監視用信号を用いて超音波発生源20の画像(監視用画像という)を作成する。位置推定部152は、監視用画像を用いて超音波発生源20の位置や方向(まとめて位置情報という)を推定する。
【0027】
信号処理部150を構成する各部と制御部155の機能の一部又は全部は、CPU或いはGPUとメモリとを備えた計算機にその機能をプログラムしたソフトウェアをアップロードすることにより実現することが可能である。図3に示す例では、信号処理部150と制御155の機能をまとめて一つの処理部15として示している。但し、これら各部の機能の一部又は全部を、電子回路や、ASIC、FPGAなどのハードウェアで実現することも可能である。また処理部15の一部の機能は超音波撮像装置10とは独立した計算機で実現してもよい。
【0028】
超音波探触子3は、多数のトランスデユーサ素子が一次元方向に配列した1Dアレイ探触子、1Dアレイ探触子のアレイ配列方向と直交する方向に2ないし3列のアレイ配列を持つ1D3配列探触子や、二次元方向に多数のアレイ配列を持つ2Dアレイ探触子、など種々の超音波探触子3を用いることができる。
【0029】
超音波発生源20は、レーザ光を受けて断熱膨張することによって光音響信号等の超音波を発する材料、例えば、公知の色素(光増感剤)、金属ナノ粒子、炭素ベース化合物体などで構成される。超音波発生源20は、例えば図4に示すように、上述した光音響材料21を、フレキシブルな中空のデバイス2(例えばガイドワイヤ)の中空部内に配置された光ファイバ22の挿入側端面に固定し、樹脂性の封止部材23で覆った構造を有している。光ファイバ22の他端(光音響材料21が固定された端部と反対側の端部)には、レーザ光を発生する光発生部(光発生装置)25が接続され、この光発生部25からのレーザ光を光ファイバ22を介して光音響材料21に照射することにより、光音響材料21から光音響信号すなわち超音波が発生される。
【0030】
また光発生部25は、レーザ光を発すると同時に超音波撮像装置10にトリガー信号を送る。超音波撮像装置10(制御部155)はこのトリガー信号によって送信部11の動作を一定時間待機状態とし、監視モードで動作を行う。監視モードで動作する時間は、予め定めておいてもよいし、ユーザが入力部13を介して設定するようにしてもよい。また固定した時間ではなく、例えば、デバイスの進行状況に応じて、徐々に短くするなど可変にしてもよい。
【0031】
次に、このような構成の手術支援システム1の動作を、図5のフローを参照して説明する。
まず撮像の対象である患部に対し撮像領域を設定し撮像が開始されると、光発生部25からのトリガー信号を受信しない状態では、制御部155は撮像モードで送受信の制御を行う。すなわち撮像領域に対し超音波の送受信を行い、撮像領域の超音波画像を作成する。
【0032】
光発生部25からトリガー信号を受け取ると、超音波撮像装置10の制御部155は動作モードを監視モードに切り替え、送信部11の動作を待機状態とする(S50)。一方、光発生部25は、トリガー信号の発信とともに、所定の周波数でレーザ光を発生する(S51)。このレーザ光が、光ファイバを介して光音響材料に照射されることで、超音波発生部20から超音波が発せられると(S52)、超音波は球面波として被検体内を伝搬し、超音波探触子3のトランスデューサ素子に検出される(S53)。受信部12は各トランスデューサ素子が検出した信号をビームフォーミング(位相加算)し、フレームデータとして超音波画像作成部151に渡す。超音波画像作成部151は、撮像モードのBモード画像作成と同様に画像(監視画像)を形成し(S54)、この画像を位置推定部152に渡す。
【0033】
位置推定部152は、超音波画像作成部151から受け取った監視画像をもとに、超音波発生源20の位置/方向を推定する(S55)。ここで超音波発生源20が、送受信条件で決まる撮像範囲から外れているときは、超音波発生源20の本来の画像は監視画像には現れない。しかし、超音波発生源20から超音波探触子2のトランスデューサ素子に到達する超音波の角度が、グレーティングローブが発生する角度と同じ角度となるところでは、グレーティングローブアーチファクトと同様にアーチファクトを生じる。結果として、例えば、図6に示すような、GLアーチファクト611が撮像領域600内に現れる。図6の下側の図は上側の図の一部(アーチファクト部分)を拡大した図である。ここで、トランスデューサ素子の配列方向をθ方向、深さ方向をr方向とすると、GLアーチファクト611は、θ方向において超音波発生源20に近い側が高く、遠ざかるにつれて低くなり傾斜を持つ。これは受信部12のビームフォームの結果、同じ深度でも近いものは浅く、遠いものは深く描出されるからである。この監視画像の傾斜から超音波発生源20が、撮像領域に対しどちらの方向から近づいているのか、すなわち到来方向を推定することができる。
【0034】
位置推定部152は、超音波画像作成部151から監視画像を受け取ると、アーチファクトの傾きを算出する。傾きは、デバイスの到来方向を知るだけであれば、厳密な角度として算出する必要はなく、例えば、画像の輝度値からアーチファクトが発生している領域(閾値以上の輝度値を持つ領域)を抽出し、θ方向両端部の座標(深さ)あるいはr方向両端部の座標(θ方向の位置)を求めることで、領域の傾きを判断することができる。またアーチファクト画像あるいはそれを抽出した領域から、機械学習により特徴抽出を行う識別器を用いて、その傾斜を特徴量として求めてもよい。
【0035】
さらにCNN(コンボリューショナルニューラルネットワーク)等の機械学習モデルを用いて、到来方向や位置を推定してもよい。機械学習モデルは、多数の入力データと教師データとのセットを用いて、新たな入力に対し正解を出力するように学習されたモデルであり、例えば、超音波発生源の位置を種々に異ならせたBモード画像を用いて、そのアーチファクトと位置との関係を学習させたものを用いる。この場合、位置情報としては、到来方向のみならず、撮像領域との距離や深度情報を含めることができる。
【0036】
図6に示す例では、GLアーチファクトは右側が高く左側が低い形状となって現れていおり、超音波発生源20は撮像領域500に対しθ方向の右側から到来することが推定される。
【0037】
位置推定部152は、上述のようにデバイス2の到来方向を推定したならば、その結果を表示画像作成部153に送る。
【0038】
一方、トリガー信号から予め設定した時間経過すると、光発生部25はレーザ光の発生を停止し、制御部155は動作モードを撮像モードに切り替える。撮像モードは通常の撮像と同様であり、超音波探触子3を介して超音波ビームを被検体に照射するとともに受信部12で反射波である画像用信号を受信する。超音波画像作成部151は受信部12から複数フレーム分のデータを受け取り、Bモード画像を作成し、表示画像作成部153に送る。
【0039】
表示画像作成部153は、位置推定部152から受け取ったデバイス2の到来方向に関する情報と、超音波画像作成部151から受け取った超音波画像とを用いて表示部14に表示させる画像を作成し、表示部14に表示させる(S56、S57)。表示の仕方は種々の態様が採りえるが、超音波画像を示す画面に位置情報を重畳して表示することが好ましい。
【0040】
表示例を図7に示す。図7(A)は、撮像領域70を映す画面700に、超音波発生源20の到来方向を示す矢印のマーク71を重畳表示している。これにより術者は映し出されている血管のどちらからデバイスが進行してくるのかを一目で認識することができる。図7(B)は、撮像領域を映す画面の両側に方向を示すための領域72A、72Bを設けて、例えば、デバイスが領域の左側から進行してくる場合には、左側領域72Aを明るくし、到来方向を示す。この際、図7(A)に示すマーク71をともに表示してもよい。さらに、図示していないが、超音波発生源20の到来方向のみならず位置が推定される場合には、領域72A、72Bにその位置を点などのマークで示してもよい。
【0041】
なお以上の説明では、超音波発生源20が撮像領域外にあるときの動作を説明したが、撮像モードと監視モードとを交互に実行している間に、デバイス先端が撮像領域に入ってきたときには、超音波発生源20は例えば輝点として撮像領域内に描出される。従って、輝点から超音波発生源20の位置を算出することができ、撮像モードで取得した超音波画像の対応する位置にデバイス先端を示すマーク等を表示することで、カテーテル治療の対象である血管とデバイスとの位置関係を視認可能に示すことができる。
【0042】
本実施形態によれば、デバイス先端が撮像領域外にあるときにも、超音波発生源20が発する超音波のGLアーチファクトから、その到来方向を推定し、提示することができる。これにより術者は挿入中のデバイス先端が患部にどの方向から向かっているか、確実に患部に向かっているかを超音波画像上で確認することができる。
【0043】
<実施形態2>
本実施形態では、超音波発生源20として圧電素子を用いる。超音波撮像装置10の構成は、実施形態1の構成と同様であるが、本実施形態では、超音波発生源20を動作させるための光発生部25は不要であり、圧電素子は超音波撮像装置10の送信部11からの電気信号を受けて動作する。以下、実施形態1と異なる点を中心に、本実施形態を説明する。図8に本実施形態の手術支援システムの構成を示す。
【0044】
圧電素子20Aは、超音波探触子3のトランスデューサと同様に電気信号(電圧)を印加することで振動し、信号の周波数を制御することにより超音波探触子3が発生する超音波と同じ超音波を生成することができる。圧電素子20Aとしては、圧電セラミックスなど公知の材料を用いることができ、これをデバイス先端に固定する。また圧電素子をアクチュエータあるいはセンサとしてデバイス先端に搭載したカテーテル等も入手可能であり、このような圧電素子搭載デバイスを用いてもよい。デバイス先端の圧電素子20Aは、カテーテル内を通過させた導線により電源に接続される。電源は、専用の電源を用いてもよいが、図8に示す例では、超音波撮像装置10の送信部11に接続することで送信部11からの信号によって圧電素子を駆動する構成としている。
【0045】
次に、このような構成の超音波撮像装置10の動作を、図9のフローを参照して説明する。ここでは、超音波撮像装置10の動作モードの切り替えを制御部155が行う場合を例に説明する。図9において、図5と同じ処理は同じ符号で示し、重複する説明は省略する。
【0046】
監視モードにおいて、制御部150は送信部11を動作させて、圧電素子20Aに対し、例えば所定の繰り返し周波数でパルス状に電圧を印加する(S501)。これにより圧電素子20Aからパルス状に超音波が発生する(S502)。圧電素子20Aから発生させる超音波は少なくとも1フレーム分のデータが得られる時間とする。圧電素子20Aからの超音波は、超音波探触子3が受信する超音波と同様に、受信部12で処理され、超音波画像形成部151においてBモード画像が形成される(S53、S54)。このBモード画像を用いて、位置推定部152は、圧電素子20Aの位置/方向を推定する(S55)。位置推定部152が圧電素子20Aの到来方向を推定する手法は実施形態1と同様であり、画像に現れるGLアーチファクトの角度から、撮像領域のどちら側からデバイス2が近づいているのかを判定する。また圧電素子20Aが撮像領域に入ってきた場合には、圧電素子20AはBモード画像において、例えば輝点として描出されるので、その画像上の位置を求めることができる。
【0047】
一方、制御部155は、受信部12において圧電素子20Aから発せられた超音波の受信が終了すると、送信部11の動作を切り替え、超音波探触子3の各トランスデユーサを駆動する信号を送り、ビームフォームされた超音波ビームを被検体に照射する。受信部12はこの超音波ビームの反射波であるRF信号を受信し、ビームフォーム加算し、超音波画像形成部151に送る(S50)。
【0048】
その後、表示画像形成部153が、位置推定部152からの位置情報(撮像領域外のときは到来方向、撮像領域内に入ったときはその位置)と超音波画像形成部151が形成した超音波画像とを重畳して、表示画像を作成し、表示部14に表示させる(S56、S57)。
【0049】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、デバイス2が撮像領域外にあるときにも、その到来方向を推定し、視認性よく術者に提示することができる。また本実施形態によれば、超音波発生源として圧電素子を用いることにより、光音響材料を発光させるための光発生装置(光発生部25)を不要とすることができ、特に、超音波撮像装置の送信部によってそれを駆動することで、システム構成を簡略化できる。
【0050】
<変形例1>
上述した実施形態は、超音波発生源の到来方向や位置を推定し、撮像領域外にあるときは図7に示すように到来方向が視認可能な表示を行うものであったが、さらに、撮像領域外にある超音波発生源が撮像領域となるように受信条件を変更して、撮像を行うことも可能である。
【0051】
本変形例を実行する場合の制御部の制御フローの一例を図10に示す。図10において図2と同じ内容の処理(S21~S28)は同じ符号で示し、重複する説明は省略する。本変形例では、ステップS28で超音波画像と位置情報との重畳画像が表示された後、制御部155は、超音波発生源20(20A)の位置を確認するための撮像を行うか否かの判断を行い(S29)、必要と判断した場合、推定された超音波発生源20の位置でビームフォームするように、受信部12の整相条件を変更し(S30)、監視モードを動作させる制御を行う。
【0052】
ステップS30の判断は、例えば、重畳画像表示後に、入力部13を介して「超音波発生源の位置確認が必要か否か」のユーザの指示を受け付け、その指示に従って行ってもよいし、推定に用いたアーチファクトや推定した位置情報の信頼度に基づいて決定してもよい。例えばGLアーチファクトは、前述のように、その傾きが超音波発生源の位置によって異なるが、超音波発生源の深度が大きくことなるときなどにも変化する。そのような場合にはGLアーチファクトの傾きをもとに推定した位置情報の信頼度は低いものとなる。またGLアーチファクトが不鮮明なために信頼度が低下する場合もある。このような信頼度は、例えば、位置推定にCNNを用いた場合には、出力された位置情報の確信度が合わせて出力されるので、この確信度を採用することで得られる。またGLアーチファクトの輝度値やその分布等から信頼度を算出してもよい。例えば輝度値(最大値あるいは加算値)が所定の閾値を満たさない場合は信頼度が低いと判断する。
【0053】
表示画像作成部153は、ステップS32で整相条件を変更し得た画像を、表示部14に表示する。表示は、例えば、図11に示すように、位置推定に用いた撮像領域の画像601と推定位置で整相を行って得た画像602とを並置してもよいし、撮像領域の超音波画像とともに表示してもよい。この処理S29、S30は、超音波発生源20の画像が得られるまで何度か繰り返してもよい。術者はこのような表示によって、推定した位置や到来方向の確認を行うことができる。
【0054】
以上、説明したように、本発明によれば、カテーテル治療を行う際に、術者にとって最も重要な情報であるカテーテル進行状況を視認性よく且つリアルタイムで、術者に提示することができる。なお、本発明の超音波撮像装置および手術支援システムの構成と動作の実施形態を説明したが、実施形態で説明した要素を、同様の機能を持つ要素で置き換えること、その他の要素を追加することも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1:手術支援システム、10:超音波撮像装置、11:送信部、12:受信部、13:入力部、14:表示部、20:超音波発生源、25:光発生部(光発生装置)、40:表示装置、150:信号処理部、151:超音波画像作成部、152:位置推定部、153:表示画像作成部、155:制御部
図1
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