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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A61N1/39
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020103070
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021194257
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 史
(72)【発明者】
【氏名】内山 豊
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-516208(JP,A)
【文献】特開2001-015358(JP,A)
【文献】特開2014-053083(JP,A)
【文献】特開2002-303423(JP,A)
【文献】特開平02-256202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動用の電気ショックを被検者に与えるための電気エネルギーを充電又は放電するように構成された高電圧発生部と、
前記高電圧発生部を収容するように構成され、自動体外式除細動器の外装を規定する外側ハウジングと、
絶縁材を含むポッティング材と、
を備え、
前記高電圧発生部は、
高電圧回路基板と、
前記高電圧回路基板上に配置された高電圧電子部品と、
を備え、
前記ポッティング材は、前記外側ハウジングのうち、前記高電圧電子部品が配置される前記高電圧回路基板の表面に直交する方向における一部の領域に設けられ、前記高電圧回路基板及び前記高電圧電子部品の端子を覆うと共に、前記高電圧回路基板を前記外側ハウジングに固定するように前記高電圧回路基板と前記外側ハウジングに接触し、
前記高電圧電子部品の一部は、前記ポッティング材から前記外側ハウジング内の空間に露出している、
自動体外式除細動器。
【請求項2】
前記高電圧電子部品の端子は、前記ポッティング材に完全に覆われている、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項3】
前記高電圧回路基板は、
前記表面と、
前記表面とは反対側に位置する裏面と、
前記表面と裏面との間に位置する側面と、
を有し、
前記自動体外式除細動器は、
前記高電圧回路基板の側面に対向すると共に、前記外側ハウジングと前記高電圧回路基板の側面との間に配置された仕切り板をさらに備え、
前記ポッティング材は、前記仕切り板に接触している、
請求項1又は2に記載の自動体外式除細動器。
【請求項4】
前記仕切り板は、前記高電圧回路基板の外形の少なくとも一部に沿うように配置されている、請求項3に記載の自動体外式除細動器。
【請求項5】
前記外側ハウジングは、前記高電圧発生部が収容される第1収容領域を有し、
前記ポッティング材は、前記第1収容領域を規定する前記外側ハウジングの内壁部に接触している、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の自動体外式除細動器。
【請求項6】
前記ポッティング材は、ポリブタジエンを主材料とする樹脂からなる、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の自動体外式除細動器。
【請求項7】
前記高電圧回路基板は、
前記表面と、
前記表面とは反対側に位置する裏面と、
前記表面と裏面との間に位置する側面と、
を有し、
前記ポッティング材は、前記高電圧回路基板の裏面と前記外側ハウジングとの間に設けられている、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の自動体外式除細動器。
【請求項8】
前記高電圧発生部は、
前記高電圧回路基板に物理的且つ電気的に接続された中継回路基板と、
前記中継回路基板上に配置された中継電子部品と、
をさらに備え、
前記中継電子部品が配置された前記中継回路基板の表面は、前記高電圧電子部品が配置された前記高電圧回路基板の表面と略直交しており、
前記ポッティング材は、前記中継回路基板の一部を覆っている、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の自動体外式除細動器。
【請求項9】
除細動用の電気ショックを被検者に与えるための電気エネルギーを充電又は放電するように構成された高電圧発生部と、
前記高電圧発生部を収容するように構成され、自動体外式除細動器の外装を規定する外側ハウジングと、
絶縁材を含むポッティング材と、
を備え、
前記高電圧発生部は、
高電圧回路基板と、
前記高電圧回路基板上に配置された高電圧電子部品と、
前記高電圧回路基板に物理的且つ電気的に接続された中継回路基板と、
前記中継回路基板上に配置された中継電子部品と、
を備え、
前記ポッティング材は、前記高電圧回路基板及び前記高電圧電子部品の端子を覆うと共に、前記高電圧回路基板を前記外側ハウジングに固定するように前記高電圧回路基板と前記外側ハウジングに接触し、
前記中継電子部品が配置された前記中継回路基板の表面は、前記高電圧電子部品が配置された前記高電圧回路基板の表面と略直交しており、
前記ポッティング材は、前記中継回路基板の一部を覆っている、
自動体外式除細動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
心室細動によって突然の心停止を起こした患者の心臓に除細動用の強い電気ショックを与えることで患者の心臓の機能を回復させる自動体外式除細動器(以下、AEDという。)が、現在急速に普及している。AEDでは、除細動用の電気ショックを患者に与えるための電気エネルギーの充電及び放電を制御するための高電圧回路が設けられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された高電圧回路は、高電圧モジュール用のハウジング内に収容されている。高電圧回路に設けられた各電子部品の端子の電気的な絶縁を確保するために、高電圧回路がハウジング内に収容された状態でハウジング内にはエポキシ樹脂等の誘電体材料(ポッティング材)が充填されている。このように、誘電体材料内に埋め込まれた高電圧回路を備えた高電圧モジュールが製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2008-514329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された高電圧モジュールは、AEDの外側ハウジングに収容されると共に、機械的な固定手段(例えば、ネジ等)を介して当該外側ハウジングに固定されている。このため、外部から強い衝撃がAEDに付与された場合には、高電圧モジュールと外側ハウジングとの間の接続部分に大きな力がかかる可能性がある。さらに、外側ハウジングの外壁と高電圧モジュールとの間にある程度のクリアランスを設ける必要があるため、AEDの外形サイズが大きくなってしまう。このように、AEDの耐久性及び外形サイズの観点より、AEDを改良する余地がある。
【0005】
本開示は、AEDの耐久性を向上させると共に、AEDを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自動体外式除細動器は、
除細動用の電気ショックを被検者に与えるための電気エネルギーを充電又は放電するように構成された高電圧発生部と、
前記高電圧発生部を収容するように構成され、自動体外式除細動器の外装を規定する外側ハウジングと、
絶縁樹脂からなるポッティング材と、
を備える。
前記高電圧発生部は、
高電圧回路基板と、
前記高電圧回路基板上に配置された高電圧電子部品と、
を備える。
前記ポッティング材は、前記高電圧回路基板及び前記高電圧電子部品の端子を覆うと共に、前記高電圧回路基板を前記外側ハウジングに固定するように前記高電圧回路基板と前記外側ハウジングに接触している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、AEDの耐久性を向上させると共に、AEDを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る自動体外式除細動器(以下、AED)の構成を示すブロック図である。
図2】高電圧発生部の具体的構造を示す斜視図である。
図3】ポッティング材が外側ハウジング内に注入される前における外側ハウジング内に収容された高電圧発生部を示す図である。
図4】ポッティング材が外側ハウジング内に注入された後における外側ハウジング内に収容された高電圧発生部を示す図である。
図5図4に示すA-A線で切断された外側ハウジングと高電圧発生部の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
また、実施形態の説明では、図3に示すAED1に対して設定されたX軸方向、Y軸方向、Z軸方向について適宜言及する場合がある。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のうちの一つの方向は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のうちの残りの2つの方向に対して垂直となる。
【0011】
最初に、図1を参照して自動体外式除細動器1(以下、AED1)の構成について以下に説明する。図1は、本実施形態に係るAED1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、AED1は、AED制御部2と、高電圧発生部3と、エネルギー蓄積部4と、電源6と、電源回路5と、記憶部7と、外部通信部8とを備える。AED1は、表示部9と、操作部10と、音声出力部11と、ECG処理回路12とをさらに備える。
【0012】
AED1は、心室細動により心停止を起こした患者の心臓の機能を回復させるために当該患者の心臓に電気ショックを与えるように構成された医療機器である。AED制御部2は、AED1に設けられた各構成部品を制御するように構成されている。AED制御部2は、例えば、プロセッサとメモリとを含むマイクロコントローラと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路とによって構成されている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。
【0013】
高電圧発生部3は、除細動用の電気ショックを患者(被検者)に与えるための電気エネルギーをエネルギー蓄積部4に充電すると共に、エネルギー蓄積部4に蓄積された当該電気エネルギーを放電するように構成されている。高電圧発生部3の具体的な構成については後述する。エネルギー蓄積部4は、除細動用の電気ショックを患者に与えるための電気エネルギーを蓄積するように構成されており、例えば、複数の誘電体フィルムによって構成された高電圧のフィルムコンデンサであってもよい。
【0014】
電源6は、AED1の各構成部品に電力を供給するように構成されたバッテリーであって、例えば、リチウム一次電池である。電源回路5は、電源6の電圧をAED1の各構成部品に必要な電圧に変換するように構成されている。電源回路5は、例えば、スイッチングレギュレータ又はシリーズレギュレータにより構成されてもよい。記憶部7は、AED1を動作するための各種プログラムと、音声データと、患者の心電図データを保存するように構成されている。記憶部7は、例えば、フラッシュメモリやハードディスクにより構成されている。
【0015】
外部通信部8は、記憶部7に保存された各種データを外部装置に送信する又は外部装置からデータを受信するように構成されている。外部通信部8は、LANケーブル等の有線ケーブルのコネクタが挿入されるインターフェースであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWifi(登録商標)等の無線通信規格に対応した無線通信モジュールであってもよい。外部通信部8が無線通信モジュールである場合、外部通信部8は、送受信アンテナと、高周波回路と、信号処理回路とを有してもよい。
【0016】
表示部9は、操作者に向けてAED1のステータスや患者のバイタルデータ(例えば、心電図データ等)を表示するように構成されている。表示部9は、例えば、電源6のバッテリー残量等のAED1のステータスを表示するためのインジケータと、患者の心電図波形を表示する液晶ディスプレイを含んでもよい。操作部10は、操作者からの操作を受け付けるように構成され、例えば、AED1の電源を入れるための電源ボタンと、患者に電気ショックを与えるためのショックボタンとを含んでもよい。音声出力部11は、AED1の操作に関する音声ガイダンスや警告音を出力するように構成されたスピーカである。
【0017】
ECG処理回路12は、患者に取り付けられた2つの除細動パッド13から出力された心電図信号を処理するように構成されている。例えば、ECG処理回路12は、2つの除細動パッド13のうち一方から出力された電位信号と他方の除細動パッド13から出力された電位信号とを差動増幅することで心電図データを生成する差動増幅器と、当該心電図データをデジタルデータに変換するAD変換器とを有してもよい。除細動パッド13は、AED1に着脱可能に取り付けられている。
【0018】
次に、図2を参照して本実施形態に係る高電圧発生部3の具体的な構造について以下に説明する。図2は、高電圧発生部3の具体的構造を示す斜視図である。図2に示すように、高電圧発生部3は、高電圧回路基板20と、高電圧回路基板20上に配置された複数の高電圧電子部品と、中継回路基板30と、中継回路基板30上に配置された複数の中継電子部品とを備える。
【0019】
高電圧回路基板20は、患者に電気ショックを与えるための電気エネルギー(二相性放電波形)を生成するための回路基板であって、複数の高電圧電子部品が配置される表面20aと、表面20aとは反対側に位置する裏面20bと、表面20aと裏面20bとの間に位置する側面20cとを有する。高電圧回路基板20に配置される複数の高電圧電子部品の一例として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)制御トランス21,29と、高圧ダイオード44と、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)22,42と、フィルムコンデンサ23と、コイル24と、リレー27と、内部放電抵抗33と、DC-DCトランス43とが高電圧回路基板20に搭載されている。以降の説明では、高電圧回路基板20上に搭載されたこれらの電子部品は、説明の便宜上、「高電圧電子部品」として総称する。
【0020】
中継回路基板30は、高電圧回路基板20から出力された信号又は高電圧回路基板20に入力される信号を中継するための回路基板であって、高電圧回路基板20に電気的に接続されている。本実施形態では、中継回路基板30は、高電圧回路基板20に物理的に接続されている。尚、中継回路基板30は、高電圧回路基板20に電気的に接続されている一方で、高電圧回路基板20に必ずしも物理的に接続されている必要はない点に留意されたい。中継回路基板30は、複数の中継電子部品が配置された表面30aと、表面30aとは反対側に位置する裏面30bと、表面30aと裏面30bとの間に位置する側面30cとを有する。中継回路基板30の表面30aは、高電圧回路基板20の表面20aと略直交している。中継回路基板30に配置される複数の中継電子部品の一例として、高圧出力コネクタ28と、電解コンデンサ26と、高電圧制御コネクタ25とが中継回路基板30に搭載されている。以降の説明では、中継回路基板30上に搭載されたこれらの電子部品は、説明の便宜上、「中継電子部品」として総称する。
【0021】
次に、図3から図5を参照して、AED1の外装を規定する外側ハウジング100に収容された高電圧発生部3について以下に説明する。図3は、ポッティング材40(図4参照)が外側ハウジング100内に注入される前における外側ハウジング100内に収容された高電圧発生部3を示す図である。図4は、ポッティング材40が外側ハウジング100内に注入された後における外側ハウジング100に収容された高電圧発生部3を示す図である。図5は、図4に示すA-A線で切断された外側ハウジング100と高電圧発生部3の斜視断面図である。尚、高電圧発生部3以外の図1に示すAED1の各構成部品も外側ハウジング100内に収容されているが、説明の便宜上、これらの構成部品の図示は省略されている。
【0022】
図3に示すように、外側ハウジング100は、例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂又はPBT樹脂等の樹脂材料により構成されている。外側ハウジング100は、3つの収容領域S1からS3を有する。収容領域S1(第1収容領域の一例)には、高電圧発生部3及び仕切り板120が収容される。収容領域S2には、少なくともAED制御部2を含む制御基板(図示せず)が収容される。収容領域S3には、エネルギー蓄積部4(例えば、高電圧のフィルムコンデンサ)が収容される。
【0023】
高電圧発生部3は、高電圧回路基板20の裏面20bが外側ハウジング100の底面102に対向するように、収容領域S1内に収容されている。さらに、収容領域S1に高電圧発生部3が配置された状態で、仕切り板120が収容領域S1内に配置されている。仕切り板120は、例えば、外側ハウジング100と同じ樹脂材料によって構成されてもよい。仕切り板120は、高電圧回路基板20の側面20cに対向すると共に、外側ハウジング100の外壁部103と高電圧回路基板20の側面20cとの間に配置されている。この点において、仕切り板120は、高電圧回路基板20の外形の少なくとも一部に沿うように収容領域S1内に配置されている。
【0024】
高電圧回路基板20上に配置された複数の高電圧電子部品の端子の電気的な絶縁を確保するために、図3に示す状態において、収容領域S1内にポッティング材40をZ軸方向から注入した後にポッティング材40を硬化させる。このように、図4及び図5に示すように、高電圧発生部3の一部がポッティング材40によって覆われる。
【0025】
この点において、ポッティング材40は、高電圧回路基板20及び高電圧回路基板20上に配置された各高電圧電子部品の端子(例えば、内部放電抵抗33の端子等)を覆っている。特に、各高電圧電子部品の端子は、電気的な絶縁性を確保する観点からポッティング材40によって完全に覆われている一方で、高電圧電子部品の一部はポッティング材40から露出している。例えば、図3及び図4に示すように、内部放電抵抗33の端子33aがポッティング材40によって完全に覆われる一方で、内部放電抵抗33の本体の一部がポッティング材40から露出している。また、ポッティング材40は、中継回路基板30の一部を覆っている。
【0026】
また、図5に示すように、ポッティング材40は、高電圧回路基板20を外側ハウジング100に固定するように高電圧回路基板20と外側ハウジング100に接触している。特に、高電圧回路基板20の表面20a、裏面20b及び側面20cがポッティング材40によって完全に覆われている。さらに、ポッティング材40は、仕切り板120及び中継回路基板30に接触することで、仕切り板120と中継回路基板30を外側ハウジング100に固定している。具体的には、ポッティング材40は、外側ハウジング100の外壁部103と、収容領域S1を規定する外側ハウジング100の内壁部110と、外側ハウジング100の底面102と、仕切り板120とによって囲まれた空間内に充填されている。ポッティング材40は、外側ハウジング100の外壁部103と、内壁部110と、底面102とに接触している。
【0027】
また、ポッティング材40は、高電圧回路基板20の側面20cと外側ハウジング100の外壁部103との間、高電圧回路基板20の裏面20bと外側ハウジング100の底面102との間、中継回路基板30と外側ハウジング100の内壁部110との間にそれぞれ充填されている。このように、高電圧回路基板20と外側ハウジング100との間の固定を強固にすることができる。
【0028】
ポッティング材40の材料としては、例えば、セラミックスや絶縁樹脂等の絶縁材料が使用されてもよい。具体的には、ポッティング材40は、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の絶縁樹脂によって形成されてもよい。特に、ポッティング材40は、外側ハウジング100との接着性が高い樹脂材料が好ましく、例えば、ポリブタジエンを主材料とする樹脂から形成されていることが好ましい。
【0029】
このように、本実施形態によれば、ポッティング材40によって高電圧回路基板20が外側ハウジング100に直接的に固定されている。このため、高電圧回路基板20を収容するための専用のハウジングを外側ハウジング100内に別途設ける必要がないと共に、当該専用のハウジングと外側ハウジング100とを固定するための機械的な固定手段(ネジやリブ構造等)を別途設ける必要がない。このように、AED1を小型化できると共に、AED1の耐久性を向上させることができる。
【0030】
さらに、ポッティング材40が高電圧回路基板20と外側ハウジング100に接触しているため、高電圧電子部品から発生した熱が高電圧回路基板20及びポッティング材40を介して外側ハウジング100に効率的に伝導する。このように、高電圧電子部品から発生した熱をAED1の外部に効率良く放熱することが可能となるため、AED1の放熱性を向上させることができる。したがって、AED1の耐久性及び放熱性を向上させることができると共に、AED1を小型化することができる。
【0031】
また、本実施形態では、高電圧電子部品の端子がポッティング材40によって完全に覆われている一方で、高電圧電子部品の一部がポッティング材40から露出している。例えば、内部放電抵抗33の端子33aがポッティング材40によって完全に覆われている一方で、内部放電抵抗33の本体の一部がポッティング材40から露出している。このため、外側ハウジング100内に充填されるポッティング材40の充填量を抑えつつ、ポッティング材40によって高電圧電子部品の端子の電気的絶縁性を確保することができる。このように、ポッティング材40の充填量を抑えることでAED1を軽量化することができる。
【0032】
本実施形態では、仕切り板120が高電圧回路基板20の外形の一部に沿うように高電圧回路基板20の側面20cと外側ハウジング100との間に設けられている。このように、外側ハウジング100内に充填するポッティング材40の充填量を抑えることができるため、AED1を軽量化することができる。
【0033】
本実施形態では、ポッティング材40が高電圧回路基板20の裏面20bと外側ハウジング100の底面102との間に充填されている。このため、ポッティング材40を介して高電圧回路基板20と外側ハウジング100とを確実に固定することができると共に、高電圧電子部品から発生した熱をAED1の外部に効率よく放熱することが可能となるため、AED1の放熱性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、中継回路基板30の表面30aと高電圧回路基板20の表面20aが略直交しているため、高電圧発生部3の外形サイズを小型化することができる。このように、高電圧発生部3を収容する外側ハウジング100の収容領域S1を小さくでき、AED1の外形サイズを小型化することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0036】
例えば、本実施形態では、高電圧回路基板20上に複数の高電圧電子部品が搭載されているが、高電圧回路基板20上に搭載される高電圧電子部品の個数は1つであってもよい。同様に、中継回路基板30上に搭載される中継電子部品の個数は1つであってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、高電圧発生部3は、高電圧回路基板20と中継回路基板30と有しているが、高電圧発生部3は、中継回路基板30を有さなくてもよい。この点において、高電圧回路基板20上には、高電圧電子部品及び中継電子部品が搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:AED(自動体外式除細動器)
2:AED制御部
3:高電圧発生部
4:エネルギー蓄積部
5:電源回路
6:電源
7:記憶部
8:外部通信部
9:表示部
10:操作部
11:音声出力部
12:ECG処理回路
13:除細動パッド
20:高電圧回路基板
21:IGBT制御トランス
23:フィルムコンデンサ
24:コイル
25:高電圧制御コネクタ
26:電解コンデンサ
27:リレー
28:高圧出力コネクタ
29:IGBT制御トランス
30:中継回路基板
33:内部放電抵抗
40:ポッティング材
43:DC-DCトランス
44:高圧ダイオード
100:外側ハウジング
102:底面
103:外壁部
110:内壁部
120:仕切り板
図1
図2
図3
図4
図5