(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電力自給自足率算出装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240612BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240612BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240612BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240612BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240612BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240612BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240612BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240612BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J3/14 130
H01M10/48 P
H01M10/42 P
G06Q50/06
H02J3/46
(21)【出願番号】P 2020114808
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 邦寿
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
(72)【発明者】
【氏名】福山 進二郎
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054584(JP,A)
【文献】特開2012-248040(JP,A)
【文献】特開2015-035912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/35
H02J 3/14
H01M 10/48
H01M 10/42
G06Q 50/06
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に備えられた太陽光発電装置および蓄電装置と、
前記住宅の電力量を測定する電力量計測装置と、
前記各装置からの情報を取得可能な測定情報取得計算装置と、を備え、
前記測定情報取得計算装置は、前記太陽光発電装置の余剰電力を前記蓄電装置が蓄電しているときの電力自給自足率を算出する
と共に、
前記蓄電装置は、前記余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていることを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項2】
住宅に備えられた太陽光発電装置および蓄電装置と、
前記住宅の電力量を測定する電力量計測装置と、
前記各装置からの情報を取得可能な測定情報取得計算装置と、を備え、
前記測定情報取得計算装置は、前記太陽光発電装置の余剰電力を前記蓄電装置が蓄電しているときの電力自給自足率を算出すると共に、
前記測定情報取得計算装置は、前記蓄電装置が前記余剰電力を放電しているときにのみ、前記蓄電装置の放電量を電力自給自足率の算出に用いるようになっていることを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の電力自給自足率算出装置であって、
前記蓄電装置は、家庭用蓄電池および電気自動車のうちの少なくとも一方であることを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項4】
請求項
2または請求項2
を引用する請求項3に記載の電力自給自足率算出装置であって、
前記蓄電装置が、前記余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていない場合に、
前記測定情報取得計算装置は、
前記電力量計測装置からの前記電力量の情報を取得して、
前記太陽光発電装置が発電しているときに、前記蓄電装置が充電を行っているかどうかによって、前記蓄電装置が前記余剰電力を充電しているかどうかを判定する
ことを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項5】
請求項1
または請求項1を引用する請求項3に記載の電力自給自足率算出装置であって、
前記測定情報取得計算装置は、前記蓄電装置が前記余剰電力を放電しているときにのみ、前記蓄電装置の放電量を電力自給自足率の算出に用いるようになっている
ことを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電力自給自足率算出装置であって、
現在の電力自給自足率を表示する表示装置を備え、
前記測定情報取得計算装置は、前記表示装置に、現在の電力自給自足率を向上させるためのアドバイスを表示させる
ことを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力自給自足率算出装置であって、
前記現在の電力自給自足率の表示はボタン型表示とされ、
該ボタン型表示は、押したときに前記アドバイスを表示させる
ことを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の電力自給自足率算出装置であって、
前記電力量計測装置が、前記蓄電装置から情報を取得できない場合に、
前記測定情報取得計算装置は、前記表示装置に確認を促す表示を行わせる
ことを特徴とする電力自給自足率算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力自給自足率算出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、太陽光発電装置や蓄電装置を備えたものが存在している。
【0003】
そして、このような住宅では、電力を自給自足できているかを示す電力自給自足率を算出することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力自給自足率を算出する場合、蓄電装置からの放電量を含めて計算するようにしていたが、蓄電装置が商用電源から買った電力を蓄電している場合の蓄電装置の放電量も電力自給自足率の計算に含まれていた。そのため、電力自給自足率が、本来の(自給自足した)値ではない(正しくない)値になっているなどの問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して、本発明は、
住宅に備えられた太陽光発電装置および蓄電装置と、
前記住宅の電力量を測定する電力量計測装置と、
前記各装置からの情報を取得可能な測定情報取得計算装置と、を備え、
前記測定情報取得計算装置は、前記太陽光発電装置の余剰電力を前記蓄電装置が蓄電しているときの電力自給自足率を算出すると共に、
前記蓄電装置は、前記余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えている電力自給自足率算出装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、蓄電装置が商用電源から買って蓄電した電力の放電量を含まない、本来の正しい電力自給自足率を得ることができる。
また、蓄電装置は、余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていることで、測定情報取得計算装置は、蓄電装置が余剰電力モードであるかどうかを容易に判別して、余剰電力モードで余剰電力を蓄電しているときの電力自給自足率を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例にかかる電力自給自足率算出装置を備えた住宅の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】電力量を縦軸とし、時刻を横軸として、太陽光発電の発電量や消費電力量などの住宅内の電力量の状況を示すグラフである。
【
図4】
図3のボタン型表示を示す図である。このうち、(a)は電力自給自足率が高いときの表示、(b)は電力自給自足率が中程度のときの表示、(c)は電力自給自足率が低いときの表示である。
【
図5】アドバイスの表示を示す図である。このうち、(a)は表示装置にアドバイスを表示した状態、(b)は自家消費量を増やすアドバイスの具体例、(c)消費電力量を減らすアドバイスの具体例である。
【
図6】太陽光発電装置および蓄電装置を備えた住宅のうち、家庭用蓄電池と電気自動車とのどちらか1つの蓄電装置を有する場合の、測定情報取得計算装置の処理フローである。
【
図8】家庭用蓄電池と電気自動車との両方の蓄電装置を有する場合の、測定情報取得計算装置の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図8は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0012】
図1は、住宅1の電力系統の構成を模式的に示すブロック図である。
【0013】
住宅1には、内部に分電盤2が設けられる。分電盤2は、商用電源3に接続されて、商用電源3を住宅1内に引込み得るようになっている。この分電盤2は、商用電源3の電力(商用電力)を買ったり売ったりし得るような構成になっている。
【0014】
そして、分電盤2は、複数の分岐回路4を介して住宅1内の様々な電力負荷5に接続できるようになっている。電力負荷5は、住宅1において電力を消費する電気機器のことである。例えば、電力負荷5には、給湯装置や、空調装置や、照明スタンドやシーリングライトなどの照明装置(不図示)や、冷蔵庫やテレビなどの家電装置(不図示)や、IHコンロや電子レンジや食洗機などの調理装置などが広く含まれる。
【0015】
そして、この住宅1には、太陽光発電装置6が備えられている。太陽光発電装置6は、太陽光のエネルギーを電力に変換して発電を行う太陽光パネルを有している。この太陽光パネルは、太陽光を受けることができる時間帯のみ発電して電力を供給することが可能となっている。太陽光発電装置6は、太陽光パネルによって発電された直流電力を、交流電力に変換させるパワーコンディショナ(不図示)を有しており、太陽光パネルは、パワーコンディショナを介して分電盤2に接続される。
【0016】
更に、この住宅1には、電力を一時的に蓄えておくための蓄電装置7が備えられている。蓄電装置7は、蓄電池本体(不図示)と、直流電力を交流電力に変換させるパワーコンディショナ(不図示)とを備えており、蓄電池本体はパワーコンディショナを介して分電盤2に接続される。
【0017】
そして、住宅1には、住宅1に関する様々な電力量などを測定するための電力量計測装置8が設けられる。
【0018】
電力量計測装置8には、
図1に示すように、住宅1内の各部の電力量を測定する測定器9a~9fからの各種の電力量の情報が有線や無線の通信などによって集められる。電力量計測装置8はこれらの電力量の情報を一元的に管理して様々な電力量の測定などに利用する。
【0019】
測定器9a~9fには、例えば、
商用電源3から買った電力量(買電量)を測定する測定器9aや、
商用電源3に売った電力量(売電量)を測定する測定器9bや、
住宅1の電力負荷5で消費された電力量(消費電力量)を測定する測定器9cや、
太陽光発電装置6で発電した電力量(発電量)を測定する測定器9dや、
蓄電装置7に充電した電力量(充電量)を測定する測定器9eや、
蓄電装置7が放電した電力量(放電量)を測定する測定器9fなどがある。
【0020】
住宅1には、住宅用電力コントロールユニット11が設けられる。住宅用電力コントロールユニット11は、住宅用電力コントロールシステム(HEMS( Home Energy Management System))の中核を成す機器であり、分電盤2や電力量計測装置8などに有線または無線で接続されて、電力負荷5への電力の供給や、太陽光発電装置6にて発電された電力の供給や、蓄電装置7の充電量または放電量や、商用電源3からの買電量や売電量などをコントロール(一元管理)する。
【0021】
住宅用電力コントロールユニット11によって、例えば、蓄電装置7は、商用電源3から供給される電力のうち、深夜電力などの電力価格が安い電力や、太陽光発電装置6にて発電された電力を充電して蓄電しておき、商用電源3の電力価格が高い時間帯に蓄電した電力を放電して使うような充放電制御が行われる。また、住宅用電力コントロールユニット11は、例えば、売電価格などを考慮して、太陽光発電装置6が発電した電力や蓄電装置7が蓄電した電力の一部あるいは全てを、商用電源3側に売電するような制御なども行わせる。
【0022】
住宅用電力コントロールユニット11は、通信インタフェース12、および、インターネットなどの外部の通信ネットワークを介して外部の管理サーバ13と接続されるようになっており、管理サーバ13との間でデータの送受信や制御信号の送受信を行うことができる。管理サーバ13は、複数の住宅1の住宅用電力コントロールユニット11に接続されて、住宅用電力コントロールユニット11との間で情報をやりとりして、各住宅1ごとの運転計画を作成し、各住宅用電力コントロールユニット11に運転計画を送る。各住宅用電力コントロールユニット11は、この運転計画に基づいて、蓄電装置7を含む電力負荷5などの運転をコントロールする。
【0023】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例の電力自給自足率算出装置21は、以下のような構成を備えることができる。
【0024】
(1)電力自給自足率算出装置21は、
図1に示すように、住宅1に備えられた太陽光発電装置6および蓄電装置7と、
住宅1の電力量を測定する電力量計測装置8と、
各装置からの情報を取得可能な測定情報取得計算装置22と、を備えている。
そして、測定情報取得計算装置22は、太陽光発電装置6の余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときの電力自給自足率を算出するようになっている。
【0025】
ここで、住宅1は、戸建住宅や集合住宅などの建物とすることができる。住宅1は、どのような構造のものであっても良い。この実施例では、住宅1は、ユニット建物とされている。
【0026】
太陽光発電装置6は、上記したように、太陽光によって発電を行う装置である。太陽光発電装置6の発電量は、
図2の表に示すように、日中に多くなり、朝方と夜に少なくなる傾向にある。なお、図は、縦軸が電力量、横軸が時刻となっている。
【0027】
蓄電装置7は、上記したように、電力を蓄えるための装置である。蓄電装置7は、太陽光発電装置6で発電した電力や、商用電源3を充電して蓄えることができる。蓄電している電力は、放電することによって電力負荷5などで使用したり、商用電源3に売ったりすることができる。
【0028】
住宅1の電力量は、上記したような、住宅1に関連した様々な電力の量である。このうち、電力負荷5で使われる電力の量(消費電力量)は、例えば、
図2に示すように、居住者が在宅している朝方と夜に多くなり、居住者が外出する日中に少なくなる傾向にある。
【0029】
各装置とは、この場合、太陽光発電装置6や、蓄電装置7や、電力量計測装置8などのことである。各装置からの情報は、太陽光発電装置6、蓄電装置7、電力量計測装置8における電力量や通信などに関する各種の情報のことである。
【0030】
測定情報取得計算装置22は、通信によって太陽光発電装置6や、蓄電装置7や、電力量計測装置8や、商用電源3などからの各種の電力量の情報を取得する。測定情報取得計算装置22は、例えば、上記した住宅用電力コントロールユニット11の内部機能としてソフトウェア的に構成することができる。
【0031】
余剰電力は、太陽光発電装置6で発電した電力のうち、住宅1内の電力負荷5で使用した電力や、商用電源3に売った電力などを引いた残りの電力である。
【0032】
余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときは、少なくとも、蓄電装置7が商用電源3から買った電力を蓄電しているときではないときである。余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときには、太陽光発電装置6で(自家)発電した電力を、充電し、蓄電し、放電しているときが含まれる。
【0033】
電力自給自足率は、電力を住宅1内で自給自足できたかどうかの指標となる数値のことである。太陽光発電装置6や蓄電装置7をうまく運用できている場合には、電力自給自足率が高くなり、太陽光発電装置6や蓄電装置7をうまく運用できていない場合には、電力自給自足率が低くなる。電力自給自足率は、以下の式によって算出されている。
電力自給自足率=(自家消費量+蓄電装置7の放電量)/総消費電力量
自家消費量=太陽光発電装置6の発電量-発電した電力のうち売った電力量
【0034】
太陽光発電装置6の余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときの電力自給自足率を算出するとは、商用電源3から買って蓄電装置7に蓄電している場合が極力含まれないように電力自給自足率を算出するということである。そのために、上記式における、「蓄電装置7の放電量」を、余剰電力を蓄電しているときの放電量として計算する。
【0035】
(2)
図1に示すように、蓄電装置7は、家庭用蓄電池31および電気自動車32のうちの少なくとも一方であっても良い。
【0036】
ここで、家庭用蓄電池31は、住宅1に据付けられた固定型の蓄電池である。家庭用蓄電池31は、上記したように、蓄電池本体やパワーコンディショナを備えている。
【0037】
電気自動車32は、車両用蓄電池を備えた車両(EV)である。電気自動車32には、車両用蓄電池の電力でモータを回して動く狭義の電気自動車32や、モータの他にエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車やハイブリッド車などの広義の電気自動車32が含まれる。電気自動車32の場合、住宅1用の充放電の他に、走行のための充放電が行われる。電気自動車32は、走行用に充電される場合には電力負荷5となる。電気自動車32の場合、パワーコンディショナ(車両用パワーコンディショナ33)は、住宅1側に据付けられる。電気自動車32は、車両用パワーコンディショナ33を介して分電盤2に接続される。
【0038】
この場合、蓄電装置7の放電量は、以下のようになる。
蓄電装置7の放電量=家庭用蓄電池31の放電量+電気自動車32の放電量
【0039】
家庭用蓄電池31および電気自動車32は、少なくとも一方があれば良いが、両方あっても良い。家庭用蓄電池31および電気自動車32は、それぞれ単数または複数あっても良い。更に、家庭用蓄電池31や電気自動車32以外に、これらと同等の蓄電装置7があっても良い。
【0040】
(3)蓄電装置7は、余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えても良い。
【0041】
ここで、余剰電力モードは、蓄電装置7の動作モードの一つであり、余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときのモードである。蓄電装置7の動作モードには、余剰電力モードの他に、商用電源3を充電する買電モードなどがある。余剰電力モード(や買電モード)などの動作モードを判別する機能の有無は、蓄電装置7やパワーコンディショナの仕様に依存する。電気自動車32の場合、電気自動車32または車両用パワーコンディショナ33が動作モードを判別する機能を有する仕様になっていれば良い。そのために、例えば、家庭用蓄電池31や車両用パワーコンディショナ33には、余剰電力モード判別部35(
図1)が設けられるようにする。余剰電力モード判別部35は、ソフトウェア的に構成される。余剰電力モードや買電モードなどの動作モードの情報は、蓄電装置7側(の余剰電力モード判別部35)から測定情報取得計算装置22へと伝えられる。
【0042】
電力自給自足率を算出する場合、これまでは、蓄電装置7の動作モードについては特に考慮されていなかったが、この実施例では、蓄電装置7の動作モードを判別できるようにすることで、蓄電装置7の動作モードを電力自給自足率の算出の際に考慮できるようにしている。
【0043】
これにより、測定情報取得計算装置22は、余剰電力モードのときの電力自給自足率と、買電モードのときの電力自給自足率とを明確に区別して、それぞれを分けて上記した式によって算出することが可能になる。そして、余剰電力モードのときの電力自給自足率を、本来の正しい電力自給自足率として採用することが可能になる。なお、買電モードのときの電力自給自足率については、正しい電力自給自足率ではないので、特に算出しなくても良いし、参考程度に算出するようにしても良い。
【0044】
(4)蓄電装置7が、余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていない場合に、
測定情報取得計算装置22は、
電力量計測装置8からの電力量の情報を取得して、
太陽光発電装置6が発電しているときに、蓄電装置7が充電を行っているかどうかによって、蓄電装置7が余剰電力を充電しているかどうかを判定するようにしても良い。
【0045】
ここで、電力量計測装置8からの電力量の情報は、この場合、少なくとも、太陽光発電装置6の経時的な発電量の情報や、蓄電装置7の充電量の経時的な情報などとされる。
【0046】
測定情報取得計算装置22は、経時的にこれらの情報を監視して、同時刻に太陽光発電装置6の発電と、蓄電装置7の充電とが同時に発生しているかを確認することで、蓄電装置7が余剰電力を充電しているどうかを判定する。測定情報取得計算装置22は、蓄電装置7が余剰電力を充電していると判定した場合には、充電の開始から余剰電力の放電を終了するまでを、余剰電力モードに相当する期間であると判断する。蓄電装置7が余剰電力を充電していない場合には、余剰電力モードではないまたは買電モードであると判断する。
【0047】
例えば、測定情報取得計算装置22は、
図2に示すように、直近(例えば、前日や当日)に蓄電装置7が太陽光発電装置6の電力を充電している場合(蓄電池充電中を参照)に、余剰電力モードに相当するとして、充電によって蓄電した余剰電力が放電される(蓄電池放電中を参照)までの間、余剰電力モードのときの電力自給自足率を算出できるようにする。なお、電力自給自足率の算出については、上記した(3)欄と同様である。
【0048】
(5)測定情報取得計算装置22は、蓄電装置7が余剰電力を放電しているときにのみ、蓄電装置7の放電量を電力自給自足率の算出に用いるようになっていても良い。
【0049】
ここで、測定情報取得計算装置22は、電力自給自足率を常時算出するようにしても良い。または、測定情報取得計算装置22は、余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているとき、または、余剰電力モードのときに限って、電力自給自足率を算出するようにしても良い。この実施例では、後者としている。
【0050】
そして、「余剰電力を放電しているときにのみ」は、余剰電力モードの間中ということではなく、余剰電力モードであっても、蓄電装置7が余剰電力を放電しているときに限って、電力自給自足率の算出に蓄電装置7の放電量を用いるということである。
【0051】
即ち、余剰電力モードで蓄電装置7が余剰電力を充電しているときは、放電しておらず、また、明らかに電力自給自足率が一番高い状態(電力自給自足率が100%以上の状態)となっているので、充電しているときについては特に電力自給自足率を算出しないようにすることが可能である。
【0052】
(6)
図3(
図4)に示すように、現在の電力自給自足率を表示する表示装置61を備えても良い。
測定情報取得計算装置22は、表示装置61に、
図5に示すように、現在の電力自給自足率を向上させるためのアドバイス62を表示させるようにしても良い。
【0053】
ここで、現在の電力自給自足率は、例えば、瞬時値や、予め定めた単位時間当たりの値、例えば、分単位の値や、時間単位の値などとすることができる。単位時間当たりの値は、時間間隔を細かく設定したりできるようにしても良い。この実施例では、現在の電力自給自足率を瞬時値としている。
【0054】
表示装置61は、表示面63を有して、表示面63に表示を行うようにした装置である。表示装置61は、住宅用電力コントロールユニット11のために設けられる。住宅用電力コントロールユニット11は、表示装置61に様々な情報を表示させることで、住宅1の電力に関する様々な情報の見える化を図ることができる。
【0055】
表示装置61は、住宅用電力コントロールユニット11(測定情報取得計算装置22)に専用に設けられたモニタなどとするのが好ましいが、テレビや、居住者が使用するパソコンやタブレット端末やスマートフォンなどの多機能携帯端末などを表示装置61として使用できるようにすることなども可能である。表示装置61は、住宅用電力コントロールユニット11に対し、有線または無線で接続することができる。
【0056】
アドバイス62は、電力自給自足率の向上に関連する内容を含んでいれば何でも良いが(
図5(a))、例えば、現在の電力自給自足率を向上させるための具体的な方法を表示するのが好ましい。電力自給自足率を向上させるための方法は、例えば、現在の電力自給自足率の状況や、現在の住宅1内の状況(太陽光発電装置6の発電の状況や、蓄電装置7の充電や放電の状況など)に合わせた行動の指針や、その他の有益な情報などとすることができる。アドバイス62は、住宅1ごとの個別の内容としても良いし、汎用的な内容としても良い。アドバイス62は、単独で表示しても良いし、例えば、現在の電力自給自足率などと共に表示しても良い。
【0057】
アドバイス62には、大きく分けて、自家消費量を増やすアドバイス62(
図5(b))と、消費電力量を減らすアドバイス62(
図5(c))とがある。自家消費量を増やすアドバイス62は、例えば、太陽光発電装置6の発電量が多い場合や蓄電装置7の充電中などに行われ、消費電力量を減らすアドバイス62は、例えば、太陽光発電装置6の発電量が少ない場合や蓄電装置7の放電中などに行われる。
【0058】
自家消費量を増やすアドバイス62は、例えば、
・充電できる機器(スマホやお掃除ロボットなど)の充電をしましょう
・食洗器(電力消費が大きい機器)を使いましょう
などとすることができる。
【0059】
消費電力量を減らすアドバイス62は、例えば、
・人がいない部屋の電気がついていれば、消しましょう
などとすることができる。
【0060】
(7)
図4に示すように、現在の電力自給自足率の表示はボタン型表示71としても良い。
ボタン型表示71は、押したときにアドバイス62を表示させるようにしても良い。
【0061】
ここで、ボタン型表示71は、押しボタンの形をした表示(図形表示)のことである。ボタン型表示71は、例えば、丸形や多角形状のものとして、表示装置61の表示面63の一部(または全面)に表示させることができる。この実施例では、ボタン型表示71を角型のものとしている。
【0062】
ボタン型表示71は、例えば、省エネを象徴するような図形とするのが好ましい。例えば、中央に、家72と、太陽光発電装置6のパネル73とをモチーフにしたデザインのアイコンを有し、このアイコンの外周を取囲むようにレベルゲージ74を配置したもの(エコメータ)などとすることができる。レベルゲージ74は、複数の目盛部を有するバーグラフなどで構成することができる。
【0063】
ボタン型表示71は、状況に応じて表示形態が変化するアイコンにするのが好ましい。この実施例では、少なくとも、ボタン型表示71の表示の色を変化させるようにしている。この実施例の場合、ボタン型表示71を構成するアイコン中の太陽光発電装置6のパネル73の色は、例えば、エコを意識したグリーン系の色などにするのが好ましい。
【0064】
そして、例えば、アイコン中の太陽光発電装置6のパネル73は、太陽光発電装置6の発電量に応じて、段階的に色が変わるようにすることができる。この際、例えば、発電量が多くなるほど色が濃く目立ち易くなって行き、発電量が少なくなるほど色が薄く目立ち難くなって行くようにしても良い。
【0065】
また、レベルゲージ74は、目盛部の点灯した数によって電力自給自足率の数値を視覚的に表示させるようにしても良い。レベルゲージ74は、例えば、目盛部を10個設けることで、1目盛で10%を示すことができる。この実施例では、目盛部を12個設けて全体として100%以上の状態を示せるようにしている。レベルゲージ74は、電力自給自足率の数値と共に表示しても良いし、電力自給自足率の数値を付さずに単独で表示しても良い。
【0066】
また、レベルゲージ74の色は、例えば、エコを意識したグリーン系の色などにするのが好ましい。レベルゲージ74の目盛部は、全て同じ色にしても良いし、目盛部によって色や濃さが変わるようにしても良い。この際、例えば、電力自給自足率が高くなるほど色が濃く目立ち易くなって行き、電力自給自足率が低くなるほど色が薄く目立ち難くなって行くようにしても良い。
【0067】
現在の電力自給自足率を表示するボタン型表示71は、表示面63に対して、常時表示させておくようにしても良いが、所定の条件を満たしたときにのみ表示させるようにするのが好ましい。所定の条件は、例えば、余剰電力モードとなったとき(太陽光発電装置6で発電した電力を住宅1内で自家消費している場合や、蓄電装置7が余剰電力を充電している場合や、余剰電力を放電している場合)などとすることができる。
【0068】
また、ボタン型表示71は、押した(表示面63に触れた)ときに、
図5のようなアドバイス62の表示に切り替わるようにしても良い。そのために、表示装置61の表示面63を、タッチパネルなどの入力装置75にする。
【0069】
ボタン型表示71や、ボタン型表示71を押したときにアドバイス62の表示に切り替わるようにする構成は、ソフトウェア上の処理によって実現することが可能である。アドバイス62の表示は、表示装置61の表示面63全体または一部に表示させることができる。
【0070】
(8)電力量計測装置8が、蓄電装置7から情報を取得できない場合に、
測定情報取得計算装置22は、表示装置61に確認を促す表示81(
図6のS4)を行わせるようにしても良い。
【0071】
ここで、蓄電装置7からの情報は、主に、充電量または放電量などの電力情報や、余剰電力モードまたは買電モードなどの動作モード情報や、通信状況などの情報のことである。
【0072】
確認を促す表示81は、出さなくても良いが、出すのが好ましい。確認を促す表示81は、どのようなものでも良いが、例えば、表示装置61の表示面63に
「(・・を)ご確認ください」などと表示することができる。
【0073】
また、情報を取得できない原因や、復旧のための具体的なアドバイス62の内容を明示して、例えば、
「蓄電池の通信モードを確認してください」
「ルーターの電源ONやLANケーブルが挿入されているかを確認してください」
などと表示することができる。
【0074】
確認を促す表示81は、例えば、電力自給自足率の表示と同様にボタン型表示にすることができる。このボタン型表示は、必要なときにのみ、表示面63の一部(または全面)に表示される。そして、このボタン型表示を押すことで、復旧のためのアドバイスを提示させるようにしても良い。ボタン型表示を押したときに復旧のためのアドバイスの表示に切り替わるようにする構成は、ソフトウェア上の処理によって実現することが可能である。復旧のためのアドバイスは、ボタン型表示71の場合と同様に、表示装置61の表示面63全体または一部に表示させることができる。
【0075】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0076】
例えば、太陽光発電装置6および蓄電装置7を備えた住宅1のうち、家庭用蓄電池31と電気自動車32とのどちらか1つの蓄電装置7を有する場合、測定情報取得計算装置22の処理は、
図6のフローのようになる(家庭用蓄電池31の例で説明する)。以下、このフローについて説明する。
【0077】
処理が開始されると、
S1で家庭用蓄電池31(蓄電池)の有無を確認する。
家庭用蓄電池31がなしの場合は、S2で自家消費量を確認する。
家庭用蓄電池31がありの場合は、S3へ進む。
【0078】
S3で家庭用蓄電池31の通信状態を確認する。
通信不可の場合は、S4で表示なしまたは通信不可を表示する(表示81)。
通信可の場合は、S6へ進む。
【0079】
S6で家庭用蓄電池31の動作モードを確認する。
余剰電力を充電するモード以外の場合は、S2で自家消費量を確認する。
余剰電力を充電するモードの場合は、S8へ進む。
【0080】
なお、家庭用蓄電池31に動作モードを判定する機能がない場合には、前日、当日で太陽光発電時に家庭用蓄電池31に充電していれば、余剰電力を充電するモードと判定する。
【0081】
S8で家庭用蓄電池31の状態を確認する。
充電中の場合は、表示装置61に表示(1)を行わせる。この場合、(電力自給自足率は100%またはそれ以上なので、)電力自給自足率の計算は行われず、蓄電装置7の放電量も電力自給自足率の算出には用いられないことになる。
放電中or待機中の場合は、S9へ進む。
【0082】
S9では、電力自給自足率の計算が行われる。この場合、測定情報取得計算装置22には、S2の自家消費量が少ない場合、例えば、0.1kWh以上の場合に自家消費量が入力されるようになっており、電力自給自足率の計算は、入力された自家消費量や、放電中or待機中の家庭用蓄電池31の放電量を用いて行われる。
【0083】
そして、表示装置61に対し、得られた電力自給自足率の結果を表示する。表示は、例えば、電力自給自足率が100%以上の場合には表示(1)、90%以上で100%未満の場合には表示(2)を行い、80~90%の場合には表示(3)を行い、70~80%の場合には表示(4)を行い、40~70%の場合には表示(5)を行い、20~40%の場合には表示(6)を行い、10~20%の場合には表示(7)を行い、10%未満の場合には表示(8)を行うようにする。
【0084】
なお、S2の自家消費量がそれ以外(0.1kWh未満)の場合には、表示装置61に表示(8)を行わせる。この場合、電力自給自足率の計算は行われず、蓄電装置7の放電量も電力自給自足率の算出には用いられないことになる。
【0085】
そして、
図7に示すように、表示(1)では、ボタン型表示71は、パネル73の色が最も濃くなり、レベルゲージ74は全てが点灯されるようにする。また、ボタン型表示71に対して、別の褒める表示(不図示)を付加するようにしても良い。
【0086】
表示(2)(3)では、ボタン型表示71は、パネル73の色が最も濃くなり、レベルゲージ74はほぼ全てが点灯されるようにする。
【0087】
表示(4)~(7)では、ボタン型表示71は、パネル73の色が薄くなり、レベルゲージ74は電力自給自足率の値に応じた数だけ点灯されるようにする。
【0088】
表示(8)では、ボタン型表示71は、パネル73の色が最も薄くなり、レベルゲージ74は全く点灯されないようにする。
【0089】
そして、ボタン型表示71を押したときに表示されるアドバイス62は、電力自給自足率に応じて異なるものとすることができる。
アドバイス62は、例えば、A~Dの4段階に分けて行うようにしても良い(アドバイスA~D)。
【0090】
例えば、アドバイスAは、電力自給自足率に余裕があるため、電気を使うことを促すアドバイス62などとする。
アドバイスBは、電力自給自足率が高くなった結果をほめるアドバイス62などとする。
アドバイスCは、電力自給自足率を上げるためのアドバイス62などとする。
アドバイスDは、電力自給自足率を高めるためのアドバイス62などとする。
【0091】
そして、例えば、表示(1)の場合には、上記したアドバイスA(電気を使うアドバイス62)を行う。更に、褒める表示を付加するのが好ましい。
(例)スマホや掃除機などの充電ができる機器は充電しましょう
【0092】
表示(2)(3)の場合には、上記したアドバイスB(ほめる)を行う。
(例)Great!
あと少しで自給自足100%です
【0093】
表示(4)~(7)の場合には、上記したアドバイスC(自給自足率を上げるアドバイス62)を行う。
(例)電気を使わないアドバイス62
使っていない部屋の電気や見ていないTVは消しましょう
お湯は使うときに使うだけ沸かしましょう
冷蔵庫は詰めすぎないようにしましょう
【0094】
表示(8)の場合には、上記したアドバイスD(自給自足率を高めるアドバイス62)を行う。
(例)給湯機は昼間に沸き上げるモードを使いましょう
食洗器や乾燥機は昼間に使ってみては
お掃除ロボットやコードレス掃除機は昼間に充電してみましょう
(例)蓄電装置7がある場合:余剰電力を充電するモードにしましょう
(例)蓄電装置7がない場合:太陽発電があるときに、スマホを充電したり、お掃除ロボットを充電したりすることをおすすめします
(但し、経済的には損をする場合があります)
【0095】
また、他の例として、例えば、家庭用蓄電池31(蓄電池)と電気自動車32との両方の蓄電装置7を有する場合、測定情報取得計算装置22の処理は、
図8のフローのようになる。以下、このフローについて説明する。
【0096】
処理が開始されると、
S1で家庭用蓄電池31および電気自動車32の有無を確認する。
家庭用蓄電池31および電気自動車32がなしの場合は、S2で自家消費量を確認する。
家庭用蓄電池31および電気自動車32がありの場合は、S3へ進む。
【0097】
S3で家庭用蓄電池31の通信状態を確認する。
通信不可の場合は、S4で表示なしまたは通信不可を表示する(表示81)。
通信可の場合は、S5へ進む。
【0098】
S5で電気自動車32の通信状態を確認する。
通信不可の場合は、電気自動車32が外出中の場合があるため、家庭用蓄電池31の場合のような表示なしまたは通信不可の表示は行わずに、電力自給自足率の結果の表示に、家庭用蓄電池31のみで電力自給自足率を算出したことがわかる表示を付加させるようにする。
通信可の場合は、S6へ進む。
【0099】
S6で家庭用蓄電池31の動作モードを確認する。
余剰電力を充電するモード以外の場合は、S2で自家消費量を確認する。
余剰電力を充電するモードの場合は、S7へ進む。
【0100】
S7で電気自動車32の動作モードを確認する。
余剰電力を充電するモード以外の場合は、電力自給自足率の計算における電気自動車32の放電量を0とする。
余剰電力を充電するモードの場合は、S8へ進む。
【0101】
なお、S6およびS7で家庭用蓄電池31に動作モードを判定する機能がない場合には、前日、当日で太陽光発電時に家庭用蓄電池31に充電していれば、余剰電力を充電するモードと判定する。
【0102】
S8で家庭用蓄電池31または電気自動車32の状態を確認する。なお、家庭用蓄電池31と電気自動車32とは、両方同時に放電することはないようになっている。
充電中の場合は、表示装置61に表示(1)を行わせる。この場合、(電力自給自足率は100%またはそれ以上なので、)電力自給自足率の計算は行われず、蓄電装置7の放電量も電力自給自足率の算出には用いられないことになる。
放電中or待機中の場合は、S9へ進む。
【0103】
S9では、電力自給自足率の計算が行われる。この場合、測定情報取得計算装置22には、S2の自家消費量が少ない場合、例えば、0.1kWh以上の場合に自家消費量が入力されるようになっており、電力自給自足率の計算は、入力された自家消費量や、放電中or待機中の家庭用蓄電池31または電気自動車32の放電量を用いて行われる。
【0104】
そして、表示装置61に対し、得られた電力自給自足率の結果を表示する。表示は、例えば、電力自給自足率が100%以上の場合には表示(1)、90%以上で100%未満の場合には表示(2)を行い、80~90%の場合には表示(3)を行い、70~80%の場合には表示(4)を行い、40~70%の場合には表示(5)を行い、20~40%の場合には表示(6)を行い、10~20%の場合には表示(7)を行い、10%未満の場合には表示(8)を行うようにする。
【0105】
なお、S2の自家消費量がそれ以外(0.1kWh未満)の場合には、表示装置61に表示(8)を行わせる。この場合、電力自給自足率の計算は行われず、蓄電装置7の放電量も電力自給自足率の算出には用いられないことになる。
【0106】
そして、表示とアドバイス62との関係については、
図6の場合と同様にすることができる。
【0107】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
(効果 1)この実施例の電力自給自足率算出装置21は、住宅1に備えられた太陽光発電装置6および蓄電装置7と、住宅1の電力量を測定する電力量計測装置8と、各装置からの情報を取得可能な測定情報取得計算装置22と、を備えている。
【0109】
そして、太陽光発電装置6は、太陽光のエネルギーによって発電を行う。蓄電装置7は、充電によって蓄電を行い、放電によって蓄電した電力を使用する。蓄電装置7は、太陽光発電装置6で発電した電力や、商用電源3から買った電力を蓄電することができる。電力量計測装置8は、住宅1における各種の電力量の測定を行う。測定情報取得計算装置22は、各装置からの情報を取得して電力自給自足率を算出する。
【0110】
このような構成において、この実施例では、測定情報取得計算装置22は、太陽光発電装置6の余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときの電力自給自足率を算出するようにしている。これにより、蓄電装置7が商用電源3から買って蓄電した電力の放電量を排除含まない、本来の正しい電力自給自足率を得ることができる。
【0111】
(効果 2)電力自給自足率算出装置21では、蓄電装置7は、家庭用蓄電池31および電気自動車32のうちの少なくとも一方であっても良い。これにより、住宅1が蓄電装置7として、家庭用蓄電池31および電気自動車32のうちの少なくとも一方を備えている場合において、家庭用蓄電池31や電気自動車32が余剰電力を蓄電装置7が蓄電しているときの電力自給自足率を算出することが可能になる。そして、蓄電装置7が、家庭用蓄電池31や電気自動車32のどちらの場合でも、蓄電装置7が商用電源3から買って蓄電した電力の放電量を含まない、本来の正しい電力自給自足率を算出することができる。
【0112】
(効果 3)電力自給自足率算出装置21では、蓄電装置7は、余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていても良い。これにより、測定情報取得計算装置22は、蓄電装置7が余剰電力モードであるかどうかを容易に判別して、余剰電力モードで余剰電力を蓄電しているときの電力自給自足率を容易に算出することができる。
【0113】
(効果 4)電力自給自足率算出装置21では、測定情報取得計算装置22は、電力量計測装置8からの電力量の情報を取得して、太陽光発電装置6が発電しているときに、蓄電装置7が充電を行っているかどうかによって、蓄電装置7が余剰電力を充電しているかどうかを判定するようにしても良い。これにより、蓄電装置7が、余剰電力を充電する余剰電力モードを判別する機能を備えていない場合であっても、測定情報取得計算装置22は、蓄電装置7が余剰電力を充電しているかどうかを正しく判定することができ、この判定結果を用いることで、余剰電力を充電しているときの電力自給自足率を確実に算出することができる。
【0114】
(効果 5)測定情報取得計算装置22は、蓄電装置7が余剰電力を放電しているときにのみ、蓄電装置7の放電量を電力自給自足率の算出に用いるようにしても良い。これにより、測定情報取得計算装置22が、不必要に電力自給自足率を算出しなくて済むようにでき、測定情報取得計算装置22の処理負担を軽減できる。
【0115】
(効果 6)電力自給自足率算出装置21では、現在の電力自給自足率を表示する表示装置61を備えても良い。そして、測定情報取得計算装置22は、表示装置61に、現在の電力自給自足率を向上させるためのアドバイス62を表示させるようにしても良い。これにより、表示装置61に表示することによって、居住者は現在の電力自給自足率を認識することができる。よって、居住者は、日々、自給自足の暮らしを実感できるようになる。また、表示装置61にアドバイス62を表示させることによって、居住者は、単に電力自給自足率を認識するに留まらず、電力自給自足率を向上して省エネを行うための具体的な手段や行動を知徳して、その手段や行動をタイムリーに実施できるようになる。よって、居住者は、自給自足の暮らしのために有益な行動をとることが可能になる。
【0116】
(効果 7)電力自給自足率算出装置21では、現在の電力自給自足率の表示はボタン型表示71とされても良い。このボタン型表示71は、押したときにアドバイス62を表示させるものであっても良い。このように、現在の電力自給自足率の表示をボタン型表示71にすることで、現在の電力自給自足率を簡潔に表示でき、表示装置61の表示面63に大きさや表示範囲の制限があって、例えば、電力自給自足率に関する複数の表示ができないような場合、例えば、アドバイス62を同時に表示できないような場合などであっても、支障なく有効に表示を行うことができる。
【0117】
そして、現在の電力自給自足率の表示を視覚的に分かり易いボタン型表示71にすることで、居住者はボタン型表示71から瞬時に多くの情報を得ることが可能となる。また、ボタン型表示71とすることで、ボタン型表示71は、押すことを促す効果が期待できるので、アドバイス62の確認へ表示へと自然に誘導することができる。
【0118】
(効果 8)電力自給自足率算出装置21では、電力量計測装置8が、蓄電装置7から情報を取得できない場合に、測定情報取得計算装置22は、表示装置61に確認を促す表示81を行わせるようにしても良い。これにより、居住者に(通信の)復旧を促して、情報の取得を再開させることができる。この際、例えば、確認を促す表示81を、電力自給自足率の表示と同様のボタン型表示にすれば、ボタン型表示を押すことで、復旧のためのアドバイスを表示装置61に提示させることができるようになる。
【符号の説明】
【0119】
1 住宅
6 太陽光発電装置
7 蓄電装置
8 電力量計測装置
9a~9f 測定器
21 電力自給自足率算出装置
22 測定情報取得計算装置
31 家庭用蓄電池
32 電気自動車
61 表示装置
62 アドバイス
71 ボタン型表示
81 確認を促す表示