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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】植物培養装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/02 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A01G7/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020123863
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2021153568
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2020054481
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514231295
【氏名又は名称】株式会社テヌート
(73)【特許権者】
【識別番号】513144453
【氏名又は名称】藤原 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慶太
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-043711(JP,A)
【文献】特開平05-043012(JP,A)
【文献】実開昭63-132558(JP,U)
【文献】特開2005-034805(JP,A)
【文献】特開2013-111073(JP,A)
【文献】特開2018-174807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0133052(US,A1)
【文献】特開2010-148433(JP,A)
【文献】特開平7-79654(JP,A)
【文献】特開2020-014385(JP,A)
【文献】特開2012-105627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/02
A01G 33/00ー33/02
C12N 1/00- 7/08
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスの供給源である炭酸ガス供給部と、炭酸ガスの供給を制御する供給制御部と、藻類を収容して培養する培養タンクと、炭酸ガス藻類に施用する気体施用部とを備えた藻類培養装置であって、
前記培養タンク内において培養液が満たされていない気体充満部分に放出された炭酸ガスを回収し、回収した炭酸ガスを再度施用可能とする再利用部と、
前記気体充満部分の炭酸ガスの濃度を検出する施用気体漏洩監視センサとを備え、
前記気体施用部は、前記炭酸ガス供給部または前記再利用部から供給された炭酸ガスを、前記培養タンクの培養液中に配設された管状パイプから排出可能に構成され、
前記施用気体漏洩監視センサの検出値が所定値以上となると、前記再利用部により前記気体充満部分に放出された炭酸ガスを回収し、これを再び前記気体施用部に循環させて前記培養タンク内の培養液中に施用することを特徴とする藻類培養装置。
【請求項2】
前記培養タンク内の培養液の液面下方に設けられ、培養液の水素イオン濃度を検出するpHセンサを備え、
前記供給制御部は、前記pHセンサの検出値が目標値以上となると、培養液中に炭酸ガスを施用するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の藻類培養装置。
【請求項3】
前記再利用部は、前記培養タンク内から回収した炭酸ガスと空気の混合気体を、回収気体として貯蔵する回収気体貯蔵部を備え、
前記藻類培養装置は、前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体が空でないか検出する圧力センサと、
前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体における炭酸ガスの濃度を検出する回収気体濃度検出センサを備え、
前記供給制御部は、前記圧力センサ及び前記回収気体濃度検出センサの検出値を取得し、前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体が空でなく、かつ、回収気体の炭酸ガスの濃度が基準値以上であるとき、前記気体施用部へ炭酸ガスを供給する供給元を、前記炭酸ガス供給部から前記再利用部に切換え前記再利用部の回収気体を培養液中に施用することを特徴とする請求項2に記載の藻類培養装置。
【請求項4】
前記施用気体漏洩監視センサは、湿気を除去する湿気除去手段を介して前記気体充満部分と連通する測定部屋に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の藻類培養装置。
【請求項5】
前記湿気除去手段が、内部に所定の広さを有する冷却用の密閉空間を有し、回収した炭酸ガスを冷却する冷却部屋であり、
前記冷却部屋は、前記培養タンクに隣接するよう配設され、前記培養タンク内の培養液の冷気の伝達を受けるよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の藻類培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を培養する植物培養装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の図8に従来技術として開示された植物培養装置は、植物として藻類を培養するものであり、藻類と共に培養液を収容した培養タンク内に、培養液中に沈めるようにしてポーラスパイプを配設し、このポーラスパイプから施用気体として炭酸ガスを培養液中に送り込んで藻類に施用する。そして、施用気体が藻類に吸収されずに培養液の液面上に漏れ出すと、培養タンク内部の上方に配設された施用気体漏洩監視センサによって、施用気体の濃度の上昇を検知して、施用気体の供給を停止するよう構成されている。これにより、施用気体を有効に使用しながら藻類を培養することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-43711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の植物培養装置は、藻類に吸収されずに培養液の液面上に漏れ出した施用気体を有効活用することなく大気中に放出することで、施用気体の無駄が生じていた。そのため、施用気体の施用効率について改善の余地が存在していた。
【0005】
そこで、本発明は、施用気体の施用効率を従来よりも向上するようにした植物培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
施用気体の供給源である施用気体供給部と、施用気体の供給を制御する供給制御部と、植物を収容して培養する培養タンクと、施用気体を植物に施用する気体施用部とを備えた植物培養装置であって、
前記培養タンク内において培養液が満たされていない気体充満部分に放出された施用気体を回収し、回収した施用気体を再度施用可能とする再利用部と、
前記気体充満部分の施用気体の濃度を検出する施用気体漏洩監視センサとを備え、
前記気体施用部は、前記施用気体供給部から施用気体の供給を受け、前記培養タンクの培養液中に配設された管状パイプから施用気体を排出可能に構成され、
前記施用気体漏洩監視センサの検出値が所定値以上となると、前記再利用部により前記気体充満部分に放出された施用気体を回収し、これを再び前記気体施用部に循環させて前記培養タンク内の培養液中に施用することを特徴とする。
【0007】
上記第1の発明によれば、気体充満部分に放出された施用気体を回収し、これを再び前記気体施用部に循環させて培養タンク内の培養液中に施用するよう構成されているため、施用気体の無駄を抑え、施用気体の施用効率を従来よりも向上することができる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記培養タンク内の培養液の液面下方に設けられ、培養液の水素イオン濃度を検出するpHセンサを備え、
前記供給制御部は、前記pHセンサの検出値が目標値以上となると、培養液中に施用気体を施用するよう制御することを特徴とする。
【0009】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、pHセンサの検出値(pH値)が目標値よりも大きいときに、施用気体の施用を開始することで、培養液のpH値を植物の生育や施肥に適した値(目標値)まで低下させ、植物の生育を促進できる。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、
前記再利用部は、回収した施用気体を貯蔵する回収気体貯蔵部を備え、
前記植物培養装置は、前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体が空でないか検出する圧力センサと、
前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体における施用気体の濃度を検出する回収気体濃度検出センサを備え、
前記前記供給制御部は、前記圧力センサ及び前記回収気体濃度検出センサの検出値を取得し、前記回収気体貯蔵部に貯蔵された回収気体が空でなく、かつ、回収気体の施用気体の濃度が基準値以上であるとき、施用気体に代えて、再利用部の回収気体を培養液中に施用することを特徴とする。
【0011】
上記第3の発明によれば、上記第2の発明の効果に加え、回収気体が再利用部に貯蔵されて利用可能な場合は、施用気体に代えて、回収気体を優先して施用することで、藻類に吸収されずに培養液の液面上に漏れ出した施用気体を優先的に再利用できるため、施用気体の施用効率をより良好に向上できるためである。
【0012】
第4の発明は、上記第1の発明において、前記施用気体漏洩監視センサは、湿気を除去する湿気除去手段を介して前記気体充満部分と連通する測定部屋に配設されたことを特徴とする。
【0013】
上記第4の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、施用気体漏洩監視センサを、湿度が低く、かつ、培養液の蒸気に晒されない箇所に配設することができるため、センサ素子の故障や劣化進行を防止でき、かつ、気体充満部分内の施用気体の濃度を良好に検出することができる。
【0014】
第5の発明は、上記第2の発明において前記湿気除去手段が、内部に所定の広さを有する冷却用の密閉空間を有し、回収した施用気体を冷却する冷却部屋であり、
前記冷却部屋は、前記培養タンクに隣接するよう配設され、前記培養タンク内の培養液の冷気の伝達を受けるよう構成されたことを特徴とする。
【0015】
上記第5の発明によれば、上記第4の発明の効果に加え、回収気体の湿気の除去を省エネルギーで行うことが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、炭酸ガスの施用効率を従来よりも向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物培養装置の概略構成図である。
図2図2は、供給制御部による施用気体の供給に係る制御の流れを示すフローチャートの一例である。
図3図3は、図2における施用気体供給制御のフローチャートの一例である。
図4図4は、別の実施形態に係る植物培養装置1の概略構成図である。
図5図5は、さらに別の実施形態に係る植物培養装置1の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。なお、植物として藻類を培養する例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、藻類以外の培養も可能である。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る植物培養装置1の概略構成図である。
図1に示されるように、植物培養装置1は、施用気体の供給源である施用気体供給部Aと、空気の供給源である空気供給部Bと、施用気体の供給を制御する供給制御部Cと、植物を収容して培養する培養タンクTと、施用気体を植物に施用する気体施用部Dと、培養タンクT内に漏洩した炭酸ガスを回収して再利用する再利用部Rと、を備えている。ここで、「施用気体」とは、培養を目的として植物に施用される気体を指し、本実施形態においては、炭酸ガスのことをいう。しかしながら、「施用気体」は、炭酸ガスに限定されず、植物に吸収されて、生育を促進する効果を有する気体であればよい。
【0020】
次に、植物培養装置1の各構成について、詳細を以下に説明する。
施用気体供給部Aは、気体施用部Dに施用気体を供給する機能を果たし、圧縮された施用気体(炭酸ガス)を貯蔵した炭酸ガスボンベa1が、供給制御部Cに配管接続されて構成されている。
【0021】
空気供給部Bは、気体施用部Dに空気を供給する機能を果たし、圧縮された空気を貯蔵可能な空気ボンベb1と、取り入れた空気を圧縮して空気ボンベb1に貯蔵するコンプレッサb2とを備え、空気ボンベb1が、供給切換部Pに配管接続されて構成されている。
【0022】
供給切換部Pは、施用気体の流通状態を切換える機能を果たし、施用気体供給部A及び空気供給部Bと気体施用部Dを接続する配管上に介装された電磁三方弁p1により構成されている。ここで、流通状態とは、施用気体が流通している状態と、施用気体が流通していない状態とを含むものである。
【0023】
電磁三方弁p1は、電気的に制御可能なアクチュエータやボールバルブ等の機構を備え、各ポートの連通・遮断を切換え可能な電磁弁である。この電磁三方弁p1は、後述する供給制御部Cから出力される制御信号に基づいて、「第1ポートp11及び第3ポートp13流通状態」、「第2ポートp12及び第3ポートp13流通状態」、「遮断状態」のいずれかに切換えることが可能となっている。
【0024】
「第1ポートp11及び第3ポートp13流通状態」においては、第1ポートp11に配管接続された炭酸ガスボンベa1から、第3ポートp13に配管接続された気体施用部Dに施用気体が供給され、「第2ポートp12及び第3ポートp13流通状態」においては、第2ポートp12に接続された空気ボンベb1から、第3ポートp13に配管接続された気体施用部Dに空気が供給され、「遮断状態」においては、気体施用部Dへの施用気体の供給が停止される。
【0025】
培養タンクTは、培養する植物及び培養液を収容する機能を果たし、液体を貯留可能な気密性を有する容器で構成され、その内部に植物と共に培養液が収容される。この培養タンクT上部には、培養タンクTの内外を連通する、施用気体導入口t1及び施用気体回収口t2が設けられている。また、培養タンクT内部には、培養液の液面の基準位置hより上方に、施用気体の濃度を検出可能なセンサである施用気体漏洩監視センサs1が配設され、基準位置hより下方(培養液中)に、培養液のpHを検出可能なセンサであるpHセンサs2が配設されている。
【0026】
気体施用部Dは、施用気体を培養液中に排出して植物に施用する機能を果たし、培養タンクT内に施用気体を導入する施用気体導入管d1と、培養タンクT内の培養液中に配設され、施用気体導入管d1に送られた施用気体を排出するポーラスパイプd2を有する。施用気体導入管d1の一端(始端)は、電磁三方弁p1の第3ポートp13と接続され、中途部が施用気体導入口t1に挿通され、他端(終端)は、ポーラスパイプd2と接続されている。なお、気体施用部Dは、空気供給部Bから空気の供給を受け、施用気体の同様の要領で、培養液中に空気を排出して供給することも可能となっている。
【0027】
ポーラスパイプd2は、全周に亘り多数の微細な孔が形成された管状体であり、管内に送気された施用気体(あるいは、空気)を全体から均一に排出可能となっている。このポーラスパイプd2は、培養タンクT内に配設され、錘等の固定手段により、培養タンクT内に貯留された培養液の液面の基準位置hより下方に固定される。これにより、ポーラスパイプd2は、培養タンクT内の培養液に沈み込んだ状態で、施用気体を培養液中に排出して、植物に施用することが可能となっている。
【0028】
再利用部Rは、培養タンクT内の培養液が満たされていない気体充満部分t3に放出された施用気体を回収し、回収した施用気体を再度施用可能とする機能を果たす。再利用部Rは、施用気体を回収する回収部r1と、回収した施用気体(以下、回収気体という。)を気体施用部Dに供給可能に貯蔵する回収気体貯蔵部r2と、気体施用部Dに供給する回収気体の流通状態の切換えを行う第2供給切換部Qとを備えている。
【0029】
回収部r1は、施用気体回収管r11と、ブロワr12とを備える。施用気体回収管r11は、一端(始端)が、培養タンクT内の気体充満部分t3に臨むように配設され、他端(終端)が、回収気体貯蔵部r2に配管接続され、中途部に、ブロワr12が設けられている。これにより、ブロワr12が駆動すると、気体充満部分t3に存在する気体が、回収気体貯蔵タンクr21へと送り込まれる(すなわち、回収する)仕組みとなっている。なお、ブロワr12の駆動は、後述する供給制御部Cから出力される制御信号に基づいて制御される。
【0030】
回収気体貯蔵部r2は、回収気体を貯蔵する回収気体貯蔵タンクr21と、取り入れた回収気体を圧縮して回収気体貯蔵タンクに貯蔵するコンプレッサr22とを備え、ブロワr12の駆動により気体充満部分t3から施用気体回収管r11を介して送り込まれた気体(すなわち、回収気体)は、圧縮されて回収気体貯蔵タンクr21に貯蔵される。
【0031】
また、回収気体貯蔵タンクr21は、第2供給切換部Qと配管接続されており、回収気体貯蔵タンクr21と第2供給切換部Qとの間には、回収気体を一時的に貯留するために一定の容量を有するバッファタンクr23が介設され、急激な圧力変化に対応可能となっている。
【0032】
なお、本実施の形態において、回収気体は、主に、施用気体である炭酸ガスと空気の混合気体で構成される。ここで、回収気体貯蔵タンクr21内の回収気体における施用気体(炭酸ガス)の濃度は、回収気体濃度検出センサs3により検出可能となっている。これにより、後述する供給制御部Cは、この回収気体濃度検出センサs3の検出値(以下、回収気体CO値という。)を取得して、回収気体貯蔵タンクr21から第2供給切換部Qに送り込まれる回収気体の施用気体(炭酸ガス)の濃度を判断可能となっている。
【0033】
さらに、回収気体貯蔵タンクr21内の圧力は、圧力センサs4により検出可能となっている。これにより、後述する供給制御部Cは、圧力センサs4の検出値を取得して、回収気体貯蔵タンクr21内に貯蔵された回収気体が空であるか否かを判断可能となっている。
【0034】
なお、この回収気体濃度検出センサs3及び圧力センサs4は、回収気体貯蔵タンクr21に設けられていてもよく、また、回収気体貯蔵タンクr21と第2供給切換部Qとを接続する流路に設けられていてもよいが、本実施の形態においては、回収気体貯蔵タンクr21に設けられている。
【0035】
第2供給切換部Qは、気体施用部Dに供給する回収気体の流通状態を切換える機能を果たし、回収気体貯蔵部r2と気体施用部Dを接続する配管上に介装された電磁開閉弁q1により構成されている。
【0036】
電磁開閉弁q1は、後述する供給制御部Cから出力される制御信号に基づいて、開閉弁を作動させ、連通・遮断を切換え可能な電磁弁である。電磁開閉弁q1の流入側には、回収気体貯蔵タンクr21が接続され、流出側には、逆止弁(図示せず)を介し、気体施用部Dの施用気体導入管d1が接続されている。
【0037】
供給制御部Cは、施用気体及び回収気体の供給を制御する機能を果たし、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成された制御装置である。供給制御部Cは、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、供給制御部Cと電気的に接続された、電磁三方弁p1、ブロワr12、電磁開閉弁q1に制御信号を出力して各装置の動作を制御する。また、供給制御部Cは、施用気体遅漏センサs1、pHセンサs2、回収気体濃度検出センサs3、圧力センサs4と有線あるいは無線により接続されて各センサの検出値を取得可能に構成されている。
【0038】
次に、供給制御部Cによる施用気体の供給に係る制御について説明する。
供給制御部Cは、施用気体の施用を開始する制御(第1の制御)、施用気体の施用を停止する制御(第2の制御)、施用気体を回収する制御(第3の制御)、回収気体の施用を開始する制御(第4の制御)、回収気体の施用を停止する制御(第5の制御)、空気の施用を開始する制御(第6の制御)を順不同で実行可能に構成されている。
【0039】
まず、「第1の制御」について説明する。「第1の制御」は、植物が光合成を行っているとき、または、培養液のpH値が目標値よりも大きいとき、培養液中に施用気体を施用する制御である。なお、目標値とは、植物の生育や施肥に適した培養液のpH値をいい、ユーザが植物の種類に応じて任意の値を設定することができる。
【0040】
「第1の制御」において、供給制御部Cは、所定の条件(以下、施用気体施用開始条件という。)を充足すると、施用気体の施用を開始するよう制御する。具体的には、供給切換部Pを「第1ポートp11及び第3ポートp13流通状態」に制御して、気体施用部Dから培養液中に施用気体の施用を開始する。なお、このとき、供給制御部Cは、単位時間あたりに一定量(植物が光合成時に培養タンクT内の培養液にすべて溶ける量)の施用気体が施用されるよう制御する。
【0041】
施用気体施用開始条件は、例えば、pHセンサs2の検出値(pH値)が目標値よりも大きいこと、または、日昇時間となったこと、を条件として設定することができる。ここで、供給制御部Cは、所定の時間間隔で、pHセンサs2の検出値を取得することでpHセンサs2の検出値(pH値)が目標値よりも大きいか判断するよう構成できる。また、供給制御部Cは、図示しないタイマー等の計時手段により時間の情報を取得することで、日昇時間となったことを判断するよう構成できる。なお、後述する日没時間となったことを判断する場合も同様である。
【0042】
このように、pHセンサs2の検出値(pH値)が目標値よりも大きいときに、施用気体の施用を開始することで、培養液のpH値を植物の生育や施肥に適した値(目標値)まで低下させ、植物の生育を促進できる。また、日昇時間となったときに、施用気体の施用を開始することで、植物が光合成を開始するタイミングで、施用気体の施用を開始し、植物の光合成を促進できる。
【0043】
次に、「第2の制御」について説明する。「第2の制御」は、植物の光合成が行われなくなったときに施用気体の施用を停止する制御である。
【0044】
「第2の制御」において、供給制御部Cは、「第1の制御」実行後、所定の条件(以下、施用気体施用停止条件という。)を充足すると、施用気体の施用を停止するよう制御する。具体的には、供給切換部Pを「遮断状態」に制御して、気体施用部Dに対し施用気体の供給を停止するよう制御する。
【0045】
施用気体施用停止条件は、例えば、pHセンサs2の検出値(pH値)が目標値以下である、または、日没時間となったこと、あるいは、施用気体漏洩監視センサが施用気体の濃度の上昇を検知したこと(例えば、400ppm以上)を条件として設定することができる。ここで、供給制御部Cは、所定の時間間隔で、pHセンサs2の検出値を取得してpHセンサs2の検出値(pH値)が目標値以下であるか判断するよう構成できる。
【0046】
なお、施用気体漏洩監視センサs1が施用気体の濃度の上昇を検知したこと、とは、施用気体漏洩監視センサs1の検出値(以下、漏洩CO値という。)が所定値(例えば、400ppm)以上に上昇したことをいい、供給制御部Cは、所定の時間間隔で、漏洩CO値を取得し、施用気体漏洩監視センサs1が施用気体の濃度の上昇を検知したことを判断できる。
【0047】
このように、pHセンサs2の検出値(pH値)が目標値以下であるときに、施用気体の施用を停止することで、培養液のpH値を植物の施肥及び生育に適した値に維持することができる。また、日没時間となったとき、あるいは、施用気体漏洩監視センサs1が施用気体の濃度の上昇を検知したときに、施用気体の施用を停止することで、植物の光合成が行われていないときに、施用気体の施用を停止して、施用気体の無駄を抑えることができる。
【0048】
次に、「第3の制御」について説明する。「第3の制御」は、植物に吸収されずに気体充満部分t3に漏れ出した施用気体を回収する制御である。この「第3の制御」において、供給制御部Cは、所定の条件(以下、施用気体回収条件という。)を充足すると、施用気体を回収するよう制御する。具体的には、ブロワr12を駆動して、気体充満部分t3の気体を回収気体貯蔵タンクr21へと送風することで回収し、これをコンプレッサr22で圧縮して回収気体として回収気体貯蔵タンクr21に貯蔵するよう制御する。
【0049】
施用気体回収条件は、例えば、「第2の制御」が実行されたことを条件として設定することができる。このように、「第2の制御」実行後に施用気体を回収するよう制御することで、植物に吸収されず気体充満部分t3に漏洩した施用気体を良好に回収することができる。
【0050】
次に、「第4の制御」について説明する。「第4の制御」は、「第3の制御」の制御によって回収した回収気体を施用する制御である。この「第4の制御」において、供給制御部Cは、所定の条件(以下、回収気体施用開始条件という。)を充足すると、回収気体の施用を開始するよう制御する。具体的には、第2供給切換部Qの電磁開閉弁q1を連通するよう制御して、回収気体の施用を開始する。なお、このとき、気体供給部Cは、回収気体濃度検出センサs3から回収気体CO値を取得することにより、単位時間あたりに一定量(植物が光合成時に培養タンクT内の培養液にすべて溶ける量)の施用気体が施用されるよう制御する。
【0051】
回収気体施用条件は、例えば、施用気体施用開始条件を充足し、かつ、回収気体貯蔵タンクr21が空でなく、かつ、回収気体の施用気体の濃度が基準値(例えば、400ppm)以上であることを条件として設定することができる。
【0052】
ここで、供給制御部Cは、圧力センサs4の検出値を取得して回収気体貯蔵タンクr21が空でないことを判断でき、回収気体濃度検出センサs3から回収気体CO値を取得して回収気体の施用気体の濃度が基準値以上であることを判断するよう構成できる。このように、回収気体の炭酸ガス濃度が基準値以上であることを条件として、回収気体を施用することで、回収気体の施用の実効性を確保することができる。すなわち、施用する回収気体の施用気体の濃度が低すぎると、回収気体を施用しても培養液のpH値は上昇せず、また、植物の光合成を促進することが難しいためである。この「第4の制御」により、回収気体を植物に施用することで、植物に吸収されずに培養液の液面上に漏れ出した施用気体を有効活用し、施用気体の施用効率を向上できる。
【0053】
なお、供給制御部Cは、施用気体施用開始条件及び回収気体施用条件が同時に充足された場合、「第1の制御」よりも「第4の制御」を優先して実行するように構成されることが望ましい。これにより、植物が光合成を行っているときに、回収気体を優先して施用することで、藻類に吸収されずに培養液の液面上に漏れ出した施用気体を優先的に再利用することができ、その結果、施用気体の施用効率をより良好に向上できるためである。
【0054】
次に、「第5の制御」について説明する。「第5の制御」は、「第4の制御」を実行後、植物の光合成が行われなくなったときに回収気体の施用を停止する制御である。 「第5の制御」において、供給制御部Cは、「第4の制御」実行後、所定の条件(以下、回収気体施用停止条件という。)を充足すると、回収気体の施用を停止するよう制御する。具体的には、第2供給切換部Qの電磁開閉弁q1を遮断するよう制御して、回収気体の施用を停止するよう制御する。これにより、植物の光合成が行われていないときに、回収気体の施用を停止して、回収気体の無駄を抑え、その結果、施用気体の無駄を抑えることができる。
【0055】
なお、回収気体施用停止条件は、例えば、施用気体施用停止条件と同様の条件を設定することが可能である。
【0056】
次に、「第6の制御」について説明する。「第6の制御」は、植物に空気を供給する制御である。この「第6の制御」において、供給制御部Cは、、所定の条件(以下、空気供給条件という。)を充足すると、空気の供給を開始するよう制御する。具体的には、供給切換部Pを「第2ポートp12及び第3ポートp13流通状態」に制御して、培養液中に空気を供給するよう制御する。
【0057】
空気供施用開始条件は、例えば、「第3の制御」が実行されたこと、または、「第5の制御」が実行されたこと、あるいは、日没時間となったこと、を条件として設定することができる。この「第5の制御」により、植物の光合成が行われていないとき、培養液中に空気を供給することで、植物の呼吸を促進し、その結果、植物の生育を促進できる。
【0058】
次に、図2及び図3を用いて、供給制御部Cによる施用気体の供給に係る制御の一例を説明する。図2は、供給制御部Cによる施用気体の供給に係る制御の流れを示すフローチャートの一例であり、図3は、図2における施用気体供給制御のフローチャートの一例である。なお、供給制御部Cには、ユーザによる所定の設定操作によって、植物の生育に適した培養液のpH値(目標値)が予め記憶されているものとする。
【0059】
植物培養装置1に設けられたON/OFFスイッチ(図示せず)の操作により、スイッチONされると、図2に示されるように、供給制御部Cは、pHセンサs2の検出値(pH値)を取得する(#101ステップ)。次に、取得したpH値が目標値よりも大きいか否かを判断する(#102ステップ)。
【0060】
取得したPH値が目標値よりも大きい場合、供給制御部Cは、施用気体の供給に係る施用気体供給制御を開始する(#103ステップ)。
【0061】
施用気体供給制御が開始されると、図3に示されるように、供給制御部Cは、圧力センサs3の検出値を取得し(#202ステップ)、これにより、、回収気体貯蔵タンクr21が空でないか判断する(#203ステップ)。さらに、回収気体濃度検出センサs3から回収気体CO値を取得し、回収気体CO値が基準値(例えば、400ppm)以上であるか判断する(#204ステップ)。
【0062】
次に、供給制御部Cは、回収気体貯蔵タンクr21が空でなく、かつ、回収気体CO値が基準値以上であるとき、再利用部Rにより回収気体を施用開始する(#205ステップ)。具体的には、第2供給切換部Qの電磁開閉弁q1を連通するよう制御して、回収気体の施用を開始する(「第4の制御」)。
【0063】
一方、供給制御部Cは、回収気体貯蔵タンクr21が空である、または、回収気体CO値が基準値以上でないとき、施用気体供給部Aにより施用気体を施用開始する(#211ステップ)。具体的には、供給切換部Pを「第1ポートp11及び第3ポートp13流通状態」に制御して、気体施用部Dから培養液中に施用気体の施用を開始する(「第1の制御」)。これにより、回収気体を優先して施用し、施用気体の施用効率をより良好に向上できる。
【0064】
再利用部Rにより回収気体を施用開始すると(#205ステップ)、気体供給部Cは、施用気体漏洩監視センサs1の検出値(以下、漏洩CO値という。)を取得し(#206ステップ)、漏洩CO値が、所定値(例えば、400ppm)であるか判断する(#207ステップ)。漏洩CO値が所定値以下の場合、植物が光合成を行っている状態と考えられるため、回収気体の施用を継続しつつ、回収気体貯蔵タンクr21が空となっていないか判断するため、#202ステップに戻る。
【0065】
漏洩CO値が所定値より大きい場合、植物が光合成を行っておらず、施用気体が培養液の外に漏れ出し、気体充満部分t3に充満した状態と考えられる。そこで、次に、気体供給部Cは、pHセンサs2の検出値(pH値)を取得し(#208ステップ)し、取得したPH値が目標値以下であるとき(#209ステップでYes)、再利用部Rによる回収気体の施用を停止する(#210ステップ)。具体的には、第2供給切換部Qの電磁開閉弁q1を遮断するよう制御して、回収気体の施用を停止するよう制御する(「第5の制御」)。
【0066】
一方、施用気体供給部Aにより施用気体を施用開始すると(#211ステップ)、気体供給部Cは、施用気体漏洩監視センサs1から漏洩CO値を取得し(#212ステップ)、漏洩CO値が、所定値(例えば、400ppm)であるか判断する(#213ステップ)。漏洩CO値が所定値以下の場合、植物が光合成を行っている状態と考えられるため、施用気体の施用を継続しつつ、#211ステップに戻る。
【0067】
漏洩CO値が所定値より大きい場合、植物が光合成を行っておらず、炭酸ガスが培養液の外に漏れ出し、気体充満部分t3に充満した状態と考えられる。そこで、次に、気体供給部Cは、pHセンサs2の検出値(pH値)を取得し(#214ステップ)し、取得したPH値が目標値以下であるとき(#215ステップでYes)、施用気体供給部Aによる回収気体の施用を停止する(#216ステップ)。具体的には、具体的には、供給切換部Pを「遮断状態」に制御して、気体施用部Dに対し施用気体の供給を停止するよう制御する(「第2の制御」)。
【0068】
再利用部Rによる回収気体の施用を停止した後(#210ステップ)、または、施用気体供給部Aによる回収気体の施用を停止した後(#216ステップ)、図2に戻り、供給制御部Cは、再利用部Rにより、漏洩した施用気体を回収するよう制御する(#104ステップ)。具体的には、ブロワr12を駆動して、気体充満部分t3の気体を回収気体貯蔵タンクr21へと送風することで回収し、これをコンプレッサr22で圧縮して回収気体として回収気体貯蔵タンクr21に貯蔵するよう制御する(「第2の制御」)。
【0069】
次に、空気供給部Bから空気を施用するよう制御する(#105ステップ)。具体的には、供給切換部Pを「第2ポートp12及び第3ポートp13流通状態」に制御して、培養液中に空気を施用するよう制御する(「第6の制御」)。なお、#105ステップによって開始された空気の供給を停止する条件として、例えば、所定の時間が経過したこと、または、スイッチOFFとなったこと、あるいは、再び施用気体供給制御が開始されたこと、等を条件として設定することができる。
【0070】
#105ステップの後、供給制御部Cは、スイッチOFFとなったか判断し、スイッチOFFの場合、処理を終了し、スイッチOFFでない場合、#101ステップに戻る(#106ステップ)。
【0071】
以上のように、本発明に係る植物培養装置1は、気体施用部Dが施用気体供給部Aから施用気体の供給を受け、培養タンクTの培養液中に配設されたポーラスパイプd2から施用気体を排出して施用可能に構成され、さらに、施用気体漏洩監視センサs1の検出値が所定値以上となると、再利用部Rにより前記気体充満部分t3に放出された施用気体を回収し、これを再び前記気体施用部Dに循環させて培養タンクT内の培養液中に施用するよう構成されているため、施用気体の無駄を抑え、施用気体の施用効率を従来よりも向上することができる。
【0072】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0073】
例えば、図2のフローチャートにおいて、#105ステップを省略し、空気供給部Bによる空気の施用を省略してもよい。
【0074】
また、図3のフローチャートにおいて、供給制御部Cは、回収気体貯蔵タンクr21が空でなく、かつ、回収気体CO値が基準値以上であるとき、再利用部Rにより回収気体を施用開始する(#205ステップ)よう構成し、回収気体貯蔵タンクr21が空である、または、回収気体CO値が基準値以上でないとき、施用気体供給部Aにより施用気体を施用開始する(#211ステップ)よう構成したが、これに限らず、まず再利用部Rにより回収気体を施用開始するよう構成し、その後所定の時間に亘って、施用気体漏洩監視センサs1及びpHセンサs2の検出値が変動しなかった場合に、施用気体供給部Aにより施用気体を施用開始するよう構成してもよい。これにより、回収気体濃度検出センサs3及び圧力センサs4を用いず、より簡易な構成で、施用気体供給部Aにより施用気体を施用させる条件を設定することができる。
【0075】
また、図1の再利用部Rの構成において、電磁開閉弁q1の流出側の配管を施用気体導入管d1と接続して、回収気体を気体施用部Dのポーラスパイプd2から施用するよう構成したが、これに限られず、別途、回収気体を培養液中に排出するためのポーラスパイプを設け、この別途設けたポーラスパイプと電磁開閉弁q1の流出側の配管を接続して、回収気体を施用するように構成してもよい。これにより、施用気体供給部Aによる施用気体の施用と、再利用部Rによる回収気体の施用を同時に行うことができ、より迅速に培養液のpH値を低下させることが可能となる。
【0076】
[第2実施形態]
図4は、別の実施形態に係る植物培養装置1の概略構成図である。
次に、第2実施形態について説明するが、上述の第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。上述の第1実施形態においては、施用気体漏洩監視センサs1は、培養タンクT内部において、培養液の液面の基準位置hより上方の位置に配設するよう構成されている。これにより、施用気体の漏洩を迅速に検出することができる。
【0077】
一方で、培養タンクT内部は、湿度が高く、さらに、施用気体として炭酸ガスが供給された培養液が蒸発すると、弱酸性の蒸気に施用気体漏洩監視センサs1が晒されることとなり、精密機械であるセンサ素子の故障や劣化進行の原因となることがある。したがって、保守の観点からは、施用気体漏洩監視センサs1は、湿度が低く、かつ、培養液の蒸気に晒されない箇所に配設されることが望ましい。
【0078】
そこで、第2実施形態における施用気体漏洩監視センサs1は、湿気を除去するウォータセパレータr14を介して気体充満部分t3と連通する測定部屋r15に配設されている。
【0079】
ウォータセパレータr14は、取り込んだ気体中の水分を除去する機能を有する公知の装置であり、流入側の一端が培養タンクT内部の気体充満部分t3と連通する施用気体回収管r11と接続され、流出側の他端が、中継用の施用気体回収管r11を介し、後述する測定部屋r15と連通されている。なお、ウォータセパレータr14の構成としては、気体中の水分を除去できるものであれば特に限定されず、ドレントラップ、ミストセパレータ、ウォータセパレータ、加熱式ドライアー、及び活性炭式のエアードライアー等が挙げられる。
【0080】
測定部屋r15は、内部に所定の広さを有する測定用の密閉空間を有し、この密閉空間内に施用気体漏洩監視センサs1が配設されている。施用気体回収管r11を介して、測定部屋r15の流入側は、ウォータセパレータr14と連通され、流出側は、ブロワr12と連通されており、測定用の密閉空間内に気体充満部分t3内の回収気体を導入可能となっている。なお、ブロワr12は、測定部屋r15内に気体充満部分t3内の回収気体を良好に導入するため、所定の時間間隔で、間欠的に駆動するよう構成されてもよい。
【0081】
このような構成により、気体充満部分t3内の回収気体が、ウォータセパレータr14に流入し、ウォータセパレータr14によって水分が除去され、測定部屋r15内に流れ込むように構成されている。その結果、施用気体漏洩監視センサs1を、湿度が低く、かつ、培養液の蒸気に晒されない箇所に配設することができるため、センサ素子の故障や劣化進行を防止でき、かつ、気体充満部分t3内の施用気体の濃度を良好に検出することができる。
【0082】
[第3実施形態]
図5は、別の実施形態に係る植物培養装置1の概略構成図である。
次に、第3実施形態について説明するが、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。上述の第2実施形態においては、水分除去手段として、ウォータセパレータr14を用いたが、第3実施形態は、ウォータセパレータr14の代わりに、回収気体を冷却して湿気を除去する冷却部屋r14´を設けたものである。
【0083】
この冷却部屋r14´は、内部に所定の広さを有する冷却用の密閉空間を有し、図5に示されるように、培養タンクTに隣接して設けられており、中施用気体回収管r11を介して、流入側は、培養タンクT内部の気体充満部分t3と連通し、流出側は、測定部屋r15と連通されている。
【0084】
このように構成された冷却部屋r14´は、培養タンクTに隣接(外壁同士を接触)させて設けられたことにより、培養タンクT内の培養液の冷気の伝達を受け、その結果、施用気体回収管r11を介して、気体充満部分t3内から導入された回収気体を冷却用の密閉空間で冷却し、冷却用の密閉空間内で結露を発生させて、回収気体の湿気の除去を省エネルギーで行うことが可能となっている。次に、湿気を除去した回収気体を測定部屋r15へと送り出すよう構成されている。なお、冷却用の密閉空間内に培養タンクTやその他の機器等との間で熱交換を行う冷媒熱交換器が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 植物培養装置
A 施用気体供給部
a1 炭酸ガスボンベ
B 空気供給部
b1 空気ボンベ
b2 コンプレッサ
C 供給制御部
D 気体施用部
d1 施用気体導入管
d2 ポーラスパイプ
P 供給切換部
p1 電磁三方弁
T 培養タンク
t1 施用気体導入口
t2 施用気体回収口
t3 気体充満部分
Q 第2供給切換部
q1 電磁開閉弁
R 再利用部
r1 回収部
r11 施用気体回収管
r12 ブロワ
r14 ウォータセパレータ
r14´ 冷却部屋
r15 測定部屋
r2 回収気体貯蔵部
r21 回収気体貯蔵タンク
r22 コンプレッサ
r23 バッファタンク
s1 施用気体漏洩監視センサ
s2 pHセンサ
s3 回収気体濃度検出センサ
s4 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5