(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 8/108 20210101AFI20240612BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240612BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
F24F8/108 210
F24F8/80 216
F24F8/80 238
B01D46/24 B
(21)【出願番号】P 2020138680
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-237458(JP,A)
【文献】特開2000-110547(JP,A)
【文献】実開平03-119413(JP,U)
【文献】特表2009-545431(JP,A)
【文献】実開昭60-179315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/108
F24F 8/80
B01D 46/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面部の下部に吸込口が形成され、かつ上面部に吹出口が形成された円筒状の筐体と、
前記吸込口から前記吹出口に向けて送風するファンと、
筒状のフィルタと、前記フィルタの軸方向における
各端部に
それぞれ形成された第1の開口部と、を有するフィルタユニットと、
前記周面部内の上部に設けられ、前記ファンを収容するファン収容部と、
前記周面部内の下部に設けられ、
前記フィルタの軸方向が前記周面部の中心軸と一致するように前記フィルタユニットを収容するフィルタユニット収容部と、
前記フィルタユニット収容部と前記ファン収容部とを連通する第2の開口部と、
前記フィルタによって囲まれた内部空間と前記ファン収容部とを連通する
ように前記フィルタユニット収容部に対して前記フィルタユニットを係合する係合機構と、を備え
、
前記係合機構は、
前記第1の開口部を中心として円環状に形成された鍔部と、
前記鍔部と前記第2の開口部が形成された面とを面接触させて前記鍔部を保持する溝部と、を有し、
前記フィルタユニット収容部の内壁には、上下方向に沿って延びるガイド部材が設けられ、
前記溝部は、前記ガイド部材の上面と、前記第2の開口部が形成された面との間に形成され、
前記鍔部は、外縁から中央に向けて、前記ガイド部材の形状に応じて切り欠いた切欠部を有し、
上方からみて前記切欠部と前記溝部とが重なる状態では、前記ガイド部材に沿って前記鍔部を上下方向に向けて移動可能であり、
上方からみて前記切欠部と前記溝部とが重なり、かつ前記鍔部が前記溝部の高さに位置する第1位置から上方からみて前記鍔部と前記溝部とが重なる第2位置に前記フィルタユニットを回転させることで、前記鍔部が前記溝部に保持され、
前記鍔部は、前記フィルタの軸方向における一端部および他端部にそれぞれ設けられ、
2つの前記鍔部のうち、一方の前記鍔部または他方の前記鍔部が択一的に前記溝部に保持されることで、前記フィルタの上下を入れ替えて前記フィルタユニット収容部に収容可能である、空気清浄機。
【請求項2】
前記フィルタユニットは、
前記溝部が設けられる側と反対側に設けられた前記鍔部の前記第1の開口部を閉じる蓋部をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記蓋部の外表面に設けられた把持部を有する、請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ファンの回転軸方向と、前記フィルタユニットの前記軸方向とが一致するように設けられ、
前記フィルタユニットを前記筐体に取り付けるときの前記フィルタユニットの前記筐体に対する回転方向は、前記ファンの回転方向と同一方向である、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、円筒状で、かつ上面及び下面が穿孔された集塵フィルタが内部ハウジングに設置されている空気清浄機が開示されている。集塵フィルタの上面は、内部ハウジングの表面と密着し、集塵フィルタの下面は底ハウジングの上面に密着することで、空気が集塵フィルタのフィルタ部材を介してのみ内部ハウジングの内部空間に流入するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような空気清浄機において、例えば、フィルタユニット(集塵フィルタ)の上面と、内部ハウジングの表面との間や、フィルタユニットの下面と、底ハウジングとの間に、隙間が生じないように緩衝材を設けることで、密着性を高めている場合がある。しかしながら、緩衝材にフィルタユニットの自重がかかることによって、緩衝材が変形してフィルタ(フィルタ部材)を介さずに空気が流れるおそれがあった。また、フィルタユニットのサイズが小さい場合、フィルタユニットの寸法の個体差によって、フィルタユニットを内部ハウジングに隙間が生じないように配置することが難しい場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、一例として、フィルタを介さずに空気が流れることを防止できる空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気清浄機は、筐体と、ファンと、筒状のフィルタと、前記フィルタの軸方向における一方の端部に形成された第1の開口部と、を有するフィルタユニットと、前記筐体の内部に形成され、前記ファンを収容するファン収容部と、前記筐体の内部に形成され、前記フィルタユニットを収容するフィルタユニット収容部と、前記フィルタユニット収容部と前記ファン収容部とを連通する第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを係合し、前記フィルタによって囲まれた内部空間と前記ファン収容部とを連通する係合機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機を示す概略斜視図である。
【
図2】フィルタユニットを外した状態における空気清浄機の内部構造を示す断面図である。
【
図3B】フィルタユニットを示す分解斜視図である。
【
図6】係合機構の第1の変形例を示す空気清浄機の断面図である。
【
図7】係合機構の第2の変形例を示すフィルタユニットの分解斜視図である。
【
図9】係合機構の第3の変形例を示す空気清浄機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
図1から
図9までを参照して、本発明の実施形態に係る空気清浄機100について説明する。以下では、空気清浄機100が載置される側を下側とし、その反対側を上側として説明する。
【0010】
図1を用いて、空気清浄機100の概要について説明する。
図1は、空気清浄機100を示す概略斜視図である。
図1における白抜きの矢印は、空気の流れを示している。空気清浄機100は、一例として、空気清浄機100が設置された空間内の空気を浄化するためのものである。
【0011】
空気清浄機100は、筐体110を備える。筐体110は、内部に空間を有する略円筒状に形成された部材である。筐体110は、周面部111と、上面部112と、下面部113と、を有する。周面部111は、水平方向に切断した断面が円環状に形成された略円筒状の板状部材である。上面部112は、周面部111の上端部に取り付けられた略円形の板状部材である。下面部113は、周面部111の下端部に取り付けられた略円形の板状部材である。上面部112と下面部113とは互いに向かい合っている。筐体110の周面部111の下部には、吸込口111aが設けられる。吸込口111aは、一例として、周面部111の周方向に所定の間隔をあけて並べて配置される複数の孔である。筐体110の上面部112には、吹出口112aが設けられる。吹出口112aは、一例として、上面部112に放射状に延びる複数の孔である。筐体110の下面部113は、筐体110に対して着脱可能に設けられる。筐体110の内部には、吸込口111aと吹出口112aとを連通する送風路120が形成されている。送風路120には、フィルタユニット130と、ファン140(
図2参照)と、が収容されている。
【0012】
筐体110は、一例として、略円筒状に形成されているが、これに限らず、吸込口111aと吹出口112aとを連通する送風路120が内部に形成されていればよく、例えば、筒状であってもよいし、箱状であってもよい。
【0013】
図2を用いて、筐体110の内部に形成された送風路120について説明する。
図2は、フィルタユニット130を外した状態における空気清浄機100の内部構造を示す断面図である。
図2は、後述の一対の溝部115を通る鉛直面で切断したときの断面図である。
【0014】
送風路120は、フィルタユニット130を収容するフィルタユニット収容部120aと、ファン140を収容するファン収容部120bと、フィルタユニット収容部120aとファン収容部120bとを連通する第2の開口部120cと、を有する。
【0015】
フィルタユニット収容部120aは、筐体110の底部に形成されている。フィルタユニット収容部120aは、筐体110の周面部111の下部と下面部113とによって囲まれた空間である。フィルタユニット収容部120aは、筐体110の中心軸Oを中心として、筐体110の底部から上方に向けて直線状に延びる略円柱状の空間である。筐体110の周面部111の下部には、吸込口111aが形成されており、吸込口111aを介してフィルタユニット収容部120aと筐体110の外部の空間とが連通している。
【0016】
ファン収容部120bは、筐体110の内部において、フィルタユニット収容部120aの上側に形成されている。ファン収容部120bは、筐体110の周面部111の上部と上面部112とによって囲まれた空間である。ファン収容部120bは、筐体110の中心軸Oを中心として、フィルタユニット収容部120aから上方に向けて直線状に延びる略円柱状の空間と、当該空間から吹出口112aに向けて拡幅する逆円錐台状の空間と、を有する(
図1参照)。筐体110の上面部112には、吹出口112aが形成されており、吹出口112aを介してファン収容部120bと筐体110の外部の空間とが連通している。
【0017】
ファン140は、一例として、軸流ファンである。ファン140は、モータ(図示せず)によって、回転軸を中心に回転可能に設けられる。ファン140の回転軸方向は、一例として、筐体110の中心軸Oと一致するようにファン収容部120bに収容されている。ファン140は、モータ(図示せず)を駆動することで、下方から上方に向けて旋回流を生じさせている。なお、ファン140は、軸流ファンであるが、これに限らず、吸込口111aから吹出口112aに向けて空気が流れればよく、例えば、遠心ファンであってもよい。
【0018】
図2に示すように、フィルタユニット収容部120aと、ファン収容部120bとは、第2の開口部120cを介して連通している。フィルタユニット収容部120aと、ファン収容部120bとは上下に並べて配置されている。
【0019】
フィルタユニット収容部120aの内径D1は、ファン収容部120bの内径D2よりも大きくなるように形成されている。ゆえに、送風路120には、フィルタユニット収容部120aの内壁111bと、ファン収容部120bの内壁111cとをつなぐ壁面120dが形成されている。壁面120dは、一例として、水平方向に延びている。壁面120dは、周方向に沿って延びる円環状の面である。壁面120dは、その中央に、フィルタユニット収容部120aとファン収容部120bとを連通する第2の開口部120cを有している。
【0020】
フィルタユニット収容部120aの内壁111bには、フィルタユニット収容部120aに対してフィルタユニット130を挿入するガイドである一対のガイド部材114が設けられる。一対のガイド部材114は、内壁111bの周方向において対向する位置に設けられる。一対のガイド部材114は、内壁111bから内側に突出し、上下方向に延びる略柱状の部材である。一対のガイド部材114は、後述のフィルタユニット130の鍔部132に形成された切欠部132bと係合することで、フィルタユニット130を所定の向きで上下方向にガイドすることができる。
【0021】
フィルタユニット収容部120aの内壁111bには、フィルタユニット130を保持する一対の溝部115が設けられる。一対の溝部115は、内壁111bの周方向において対向する位置に設けられる。溝部115は、第2の開口部120cが形成された面(壁面120d)と、壁面120dと対向する面との間に形成された空間である。溝部115は、一例として、壁面120dと、ガイド部材114の上面114aとの間に形成された空間である。壁面120dと、上面114aとの対向する間隔は、後述のフィルタユニット130の鍔部132の厚み(上下方向の長さ)と略同一、もしくは、鍔部132の厚みよりもやや大きく設けられる。
【0022】
図3Aから
図3Cまでを用いて、フィルタユニット130の構成について説明する。
図3Aは、フィルタユニット130を示す斜視図である。
図3Bは、フィルタユニット130を示す分解斜視図である。
図3Cは、蓋部133の外表面を示す底面図である。
【0023】
フィルタユニット130は、一例として、略円筒状に形成され、空気中の塵埃等を捕捉するフィルタ131と、フィルタ131の軸方向の一方の端部に設けられる鍔部132と、フィルタ131の軸方向における他方の端部に設けられる蓋部133と、を有する。
【0024】
フィルタ131は、一例として、プリーツ状に形成されたシートが周方向に沿って設けられる。フィルタ131は、軸方向における両端部に開口を有している。フィルタ131は、シートによって囲まれた内部空間131aを有する。
【0025】
鍔部132は、一例として、円環状に形成された板状部材である。鍔部132は、中央に第1の開口部132aを有する。鍔部132は、第1の開口部132aと、フィルタ131の内部空間131aとが連通するように、フィルタ131の軸方向の一方の端部に取り付けられる。鍔部132の外径は、フィルタ131の外径よりも大きく、かつフィルタユニット収容部120aの内径D1と略同一の大きさ、もしくは内径D1よりもやや小さく形成されている。
【0026】
鍔部132は、一例として、一対のガイド部材114に係合し、筐体110の内部に挿入するための一対の切欠部132bを有する。一対の切欠部132bは、一対のガイド部材114に応じて、鍔部132の周方向における互いに対向する位置に形成されている。各切欠部132bは、上面視において、各ガイド部材114の水平面で切断したときの断面形状と略一致するように、鍔部132の外縁から中央に向けて切り欠いた部分である。各切欠部132bは、一例として、鍔部132の外縁から中央に向けて略矩形状に切り欠いて形成されている。
【0027】
蓋部133は、一例として、略円状に形成された板状部材である。
図3Bに示すように、蓋部133は、蓋部133の一方の面から突出して形成され、フィルタ131の軸方向の他方の端部に嵌め込まれる突部133aを有する。蓋部133は、突部133aを、フィルタ131の軸方向の他方の端部に嵌め込むことで、フィルタ131の軸方向の他方の端部を閉じている。
【0028】
図3Cに示すように、蓋部133は、蓋部133の他方の面(外表面)に設けられた把持部133bを有する。把持部133bは、一例として、フィルタ131の軸方向と直交する方向に延びる板状部材である。
【0029】
以上の構成において、フィルタユニット130は、円筒状のフィルタ131と、フィルタ131の軸方向における一方の端部に形成された第1の開口部132aと、を有し、フィルタ131によって囲まれた内部空間131aが第1の開口部132aから外部に露出している。
【0030】
なお、フィルタ131は、略円筒状に形成されているが、これに限らず、フィルタ131によって囲まれた内部空間131aを有するものであればよく、例えば、筒状に形成されていてもよい。また、フィルタ131は、空気中の塵埃を除去するフィルタであるが、これに限らず、空気を浄化できるものであればよく、例えば、空気中の臭気成分を除去するフィルタであってもよい。
【0031】
図4及び
図5を用いて、筐体110に対するフィルタユニット130の係合方法について説明する。
図4は、空気清浄機100の内部構造を示す断面図である。
図4は、一対の溝部115を通る鉛直面で切断したときの断面図である。
図5は、係合機構を示す空気清浄機100の断面図である。
図5は、筐体110の鍔部132を通る水平面で切断した断面を上側から見た図である。
図5の上側に示す図は、フィルタユニット130をガイド部材114に沿って挿入した状態を示す図である。
図5の下側に示す図は、鍔部132を溝部115に挿入して保持した状態を示す図である。
【0032】
空気清浄機100は、筐体110のフィルタユニット収容部120aに対してフィルタユニット130を係合する係合機構を有する。係合機構は、一例として、フィルタユニット130の第1の開口部132aが形成された環状の鍔部132と、フィルタユニット収容部120aに形成され、鍔部132と、第2の開口部120cが形成された面(壁面120d)とを接触させて鍔部132を保持する溝部115と、を備える。
【0033】
フィルタユニット130は、筐体110の下面部113を外した状態において、筐体110の底部から挿入される。フィルタユニット130は、フィルタユニット130の軸方向がフィルタユニット収容部120aの中心軸Oと一致するように挿入される。フィルタユニット130を、筐体110に挿入する際に、鍔部132に形成された一対の切欠部132bと、一対のガイド部材114とを位置合わせすることで、フィルタユニット130は筐体110に対して適切な向きでの挿入を可能としている。
【0034】
フィルタユニット130の鍔部132は、一対のガイド部材114に沿って上方に挿入されると、一対のガイド部材114の上面114aと、壁面120dとの間の高さ位置に達し、壁面120dと面接触する。鍔部132と、壁面120dとが、面接触している状態では、鍔部132の第1の開口部132aと、壁面120dの第2の開口部120cとは連通している。第1の開口部132aの開口径と、第2の開口部120cの開口径とは、一例として、略同一となるように設定されている。
【0035】
図5の上図に示すように、フィルタユニット130の鍔部132と、壁面120dとが面接触している状態では、上下方向からみて、切欠部132bと溝部115(ガイド部材114の上面114a)とが重なっている。
図5の下図に示すように、
図5の上図に示す状態から、フィルタユニット130を、中心軸Oを中心として回転させることで、上下方向からみて、切欠部132bと溝部115(ガイド部材114の上面114a)とがずれて、鍔部132と溝部115(ガイド部材114の上面114a)とが重なっている。すなわち、フィルタユニット130を、中心軸Oを中心として回転させることで、鍔部132が壁面120dと、ガイド部材114の上面114aとの間に形成された空間である溝部115に挿入されて保持される。これにより、フィルタユニット130は、鍔部132と、壁面120dとが面接触している状態、すなわち、第1の開口部132aと、第2の開口部120cとが連通している状態で、フィルタユニット収容部120aに係合される。
【0036】
図5の下図に示すように、フィルタユニット130をフィルタユニット収容部120aに取り付けるときのフィルタユニット130のフィルタユニット収容部120aに対する回転方向は、ファン140の回転方向と同一方向であることが望ましい。フィルタユニット130の回転方向と、ファン140の回転方向とは、空気が流れる方向(一例として、上下方向)から見た場合の回転方向である。
【0037】
以上のように、空気清浄機100は、フィルタユニット収容部120aに対してフィルタユニット130を係合する係合機構を有する。係合機構は、第1の開口部132aと第2の開口部120cとを係合し、フィルタユニット130の内部空間131aとファン収容部120bとを連通している。
【0038】
より具体的には、係合機構は、フィルタユニット収容部120aに収容されたフィルタユニット130の内部空間131aがファン収容部120bと連通するように、かつ内部空間131aがファン収容部120bから離れる所定方向(下方)に延びるように、第1の開口部132aと第2の開口部120cとを係合している。
【0039】
また、係合機構は、フィルタユニット130と、フィルタユニット収容部120aの内壁のうちで、第2の開口部120cと対向する内壁である下面部113の内壁113aと、の間に隙間が設けられるように、フィルタユニット130をフィルタユニット収容部120aに係合している(
図4参照)。
【0040】
以下では、
図1及び
図4を用いて、空気清浄機100の内部における空気の流れについて説明する。筐体110には、フィルタユニット収容部120aにフィルタユニット130(フィルタ131)が配置されることで、筐体110とフィルタユニット130との間に空気導入流路が形成される。空気導入流路は、一例として、フィルタユニット130と筐体110の周面部111との間に形成された空間及びフィルタユニット130と筐体110の下面部113との間に形成された空間を指す。そして、筐体110には、フィルタユニット130の軸方向における一方の端部を介してフィルタユニット130の内部空間131aと連通される空気導出経路が形成される。空気導出経路は、一例として、ファン収容部120bのうち、フィルタユニット収容部120aから上方に向けて直線状に延びる略円柱状の空間を含む。
【0041】
以上の構成において、まず、吸込口111aからフィルタユニット収容部120aに吸い込まれた空気は、空気導入流路からフィルタユニット130のフィルタ131を介して内部空間131aに導かれる。この際、フィルタ131によって、空気中の塵埃等が除去される。内部空間131aに導かれた空気は、第1の開口部132aと第2の開口部120cとを介してファン収容部120b(空気導出流路)に導かれる。そして、ファン収容部120bに導かれた空気は、吹出口112aを介して外部に吹き出される。ゆえに、空気清浄機100は、フィルタユニット130を介して空気を通過させることで、空気中の塵埃を除去して空気を浄化している。
【0042】
以上のように、空気清浄機100は、第1の開口部132aと第2の開口部120cとを係合し、フィルタユニット130の内部空間131aとファン収容部120bとを連通する係合機構を有し、フィルタユニット130と、フィルタユニット収容部120aにおける第2の開口部120cと対向する内壁との間に隙間が設けられることで、フィルタユニット130の軸方向における一方の端部のみを筐体110の内部に固定している。ゆえに、フィルタユニット130を、緩衝材を介して上下方向から挟み込む必要がないため、フィルタユニット130の自重により緩衝材が変形することにより、フィルタ131近傍の隙間から内部空間131aに空気が流れることを防止することができる。また、空気清浄機100は、フィルタユニット130を、挟み込んで固定する必要がないため、フィルタユニット130にかかる応力を低減することができる。ゆえに、フィルタユニット130の劣化や破損等を抑制し、耐久性を向上することができる。さらに、空気清浄機100は、緩衝材を介して上下方向から挟み込む必要がないため、フィルタユニット130の製造ばらつきによる寸法の誤差や個体差を考慮した設計が容易である。また、フィルタユニット130の取り付けに緩衝材を必要としない分、フィルタ131の長さを長くしたり、フィルタユニット収容部120aの小型化を図ったりすることができる。
【0043】
上述の構成を別の表現で言い換えれば、空気清浄機100は、筒状のフィルタユニット130(フィルタ131)と、フィルタユニット130を収容する筐体110と、筐体110の内部に形成され、筐体110とフィルタユニット130との間に形成される空気導入流路と、筐体110の内部に形成され、フィルタユニット130の一方の端部を介してフィルタユニット130の内部空間131aと連通される空気導出流路と、空気導入流路から内部空間131aを介して空気導出流路に空気の流れを発生させる送風手段(ファン140)と、フィルタユニット130の一方の端部と、空気導出流路の上流側に形成された開口部(第2の開口部120c)を有する壁面120dとを、互いに係合可能な係合機構と、を備えている。これにより、フィルタユニット130の軸方向における一方の端部のみを筐体110の内部に固定している。
【0044】
また、フィルタユニット130は、フィルタ131の軸方向における他方の端部、具体的には、第2の開口部120cと係合される側と反対側の端部を閉じる蓋部133を有することで、フィルタ131を介さずに空気が内部空間131aに流れこむことを防止することができる。
【0045】
また、空気清浄機100は、蓋部133の外表面に設けられる把持部133bを有することで、フィルタユニット130の取り回しを容易にしている。さらに、フィルタユニット130を筐体110に対して回転させて係合する場合、把持部133bをつかむことで、フィルタユニット130を回転させやすく、フィルタユニット130の筐体110に対する着脱を容易にしている。
【0046】
また、フィルタユニット130を筐体110に対して回転させて係合し、ファン140の回転軸方向と、フィルタユニット130の軸方向とが一致するように設けられ、フィルタユニット130をフィルタユニット収容部120aに取り付けるときのフィルタユニット130のフィルタユニット収容部120aに対する回転方向は、ファン140の回転方向と同一方向である。ゆえに、ファン140によって生じる旋回流によって、フィルタユニット130には、ファン140の回転方向に沿った外力がかかるため、フィルタユニット130が筐体110から外れることを抑制することができる。
【0047】
なお、係合機構は、上述の構成に加えて、フィルタユニット130の筐体110に取り付けるときの回転方向を規定するためのストッパをさらに有してもよい。
【0048】
図6を用いて、係合機構の第1の変形例について説明する。
図6は、係合機構の第1の変形例を示す空気清浄機100の断面図である。
図6は、鍔部132を通る水平面で切断した断面を上側から見た図である。
図6の上側に示す図は、フィルタユニット130をガイド部材114に沿って挿入した状態を示す図である。
図6の下側に示す図は、鍔部132を溝部115に挿入して保持した状態を示す図である。
【0049】
係合機構は、フィルタユニット130の筐体110に対する回転方向を規定するストッパ114bをさらに備える。ストッパ114bは、ガイド部材114の上面114aから壁面120dに向けて上方に延びる板状部材である。ストッパ114bは、一例として、溝部115の周方向における一方の端部に設けられる。具体的には、ストッパ114bは、溝部115において、フィルタユニット130を取り付けるときの回転方向の下流側に設けられる。
【0050】
図6の上図に示すように、フィルタユニット130の鍔部132と、壁面120dとが面接触している状態において、上下方向からみて、切欠部132bと溝部115(ガイド部材114の上面114a)とが重なっている。
図6の下図に示すように、
図6の上図の状態から、フィルタユニット130を、中心軸Oを中心として一方向(
図6の下図に示す時計回りの方向)に回転させると、切欠部132bの一端がストッパ114bに当接される。
図6の下図に示す状態では、主として、鍔部132と溝部115(ガイド部材114の上面114a)とが重なって、鍔部132が溝部115に挿入されて保持される。
【0051】
以上のように、ストッパ114bが設けられることで、フィルタユニット130に対して、筐体110を取り付けるときの回転方向を規定することができる。ゆえに、ファン140によって生じる旋回流によって、フィルタユニット130には、ファン140の回転方向に沿った外力がかかるため、切欠部132bの一端がストッパ114bに当接した状態を維持できるため、フィルタユニット130が筐体110から外れることを効果的に抑制することができる。
【0052】
なお、係合機構を構成する鍔部132は、フィルタユニット130の軸方向における一方の端部のみに設けられているが、これに限らず、フィルタユニット130の軸方向における両方の端部にそれぞれ設けられてもよい。
【0053】
図7を用いて、係合機構の第2の変形例について説明する。
図7は、係合機構の第2の変形例を示すフィルタユニット230を示す分解斜視図である。
【0054】
係合機構は、一例として、フィルタユニット230の軸方向における両方の端部にそれぞれ設けられる鍔部132と、2つの鍔部132のうち、一方の鍔部132を保持する溝部115と、を備える。
【0055】
図7に示すように、フィルタユニット230は、一例として、略円筒状に形成されるフィルタ131と、フィルタ131の軸方向の両方の端部にそれぞれ設けられる鍔部132と、2つの鍔部132のうち、一方の鍔部132が設けられる端部を閉じる蓋部133と、を備える。
【0056】
蓋部133は、一方の鍔部132に形成された切欠部132bに係合する係合突起133cをさらに備える。係合突起133cは、蓋部133の一方の面から突出して形成される。蓋部133は、突部133aをフィルタ131の軸方向における端部に嵌め込んで、係合突起133cを切欠部132bに係合することによって、フィルタ131に取り付けられている。
【0057】
以上のように、フィルタユニット230の軸方向における各端部に鍔部132を形成し、2つの鍔部132のうち、一方の鍔部132を溝部115に保持させて、他方の鍔部132を蓋部133により閉じることで、フィルタユニット230の各端部を、それぞれ筐体110に対して係合させることができる。ゆえに、フィルタユニット230を上下逆さに入れ替えて使用することができるため、フィルタユニット230の耐久性が向上される。
【0058】
なお、鍔部132には、切欠部132bが設けられているが、これに限らず、例えば、鍔部132において周方向に対向する位置に、一対の開口部132cを設けてもよい(
図8参照)。この場合、一対の開口部132cを、筐体110に形成された係止片(図示せず)等に係止させることで、筐体110とフィルタユニット130とを係合してもよい。
【0059】
なお、係合機構は、溝部115に鍔部132を挿入して保持する構成を有しているが、これに限らず、例えば、鍔部132を壁面120dと面接触させた状態において、鍔部132と壁面120dとをビス等の締結具によって固定してもよい。
【0060】
図9を用いて、係合機構の第3の変形例について説明する。
図9は、係合機構の第3の変形例を示す空気清浄機100の断面図である。
図9は、筐体110の中心軸Oを通る鉛直面で切断したときの断面図である。
【0061】
係合機構は、フィルタユニット130の軸方向における一方の端部に形成され、第2の開口部120cを介してファン収容部120bに挿入されるねじ部116aと、ファン収容部120bに形成され、ねじ部116aと接続(係合)されるねじ溝部117aと、を備える。
【0062】
フィルタユニット130は、軸方向における一方の端部に、ファン収容部120bの第2の開口部120cに挿入される中空状の軸部116を有する。軸部116の先端(上端)には、第1の開口部132aが形成されている。軸部116の外周面には、ねじ山であるねじ部116aが形成されている。ファン収容部120bを構成する周面部111の内壁111cには、ねじ部116aを螺合させるためのねじ溝部117aが形成されている。
【0063】
以上の構成において、フィルタユニット130を、筐体110に対して回転させることで、フィルタユニット130のねじ部116aを、ファン収容部120bのねじ溝部117aに螺合して、フィルタユニット130の軸部116が第2の開口部120cに挿入される。これにより、第1の開口部132aと、第2の開口部120cとを接続し、フィルタユニット130の内部空間131aと、ファン収容部120bとを連通することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0065】
100 空気清浄機、110 筐体、113a 内壁、115 溝部、116a ねじ部、117a ねじ溝部、120a フィルタユニット収容部、120b ファン収容部、120c 第2の開口部、130 フィルタユニット、131 フィルタ、131a 内部空間、132 鍔部、132a 第1の開口部、132b 切欠部、133 蓋部、133b 把持部、230 フィルタユニット、O 中心軸