(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240612BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240612BHJP
B65H 43/06 20060101ALI20240612BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H43/04
B65H43/06
G03G15/00 480
(21)【出願番号】P 2020140182
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】柴山 豪
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕章
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-180152(JP,A)
【文献】特開2018-108873(JP,A)
【文献】特開平10-120295(JP,A)
【文献】特開2007-062928(JP,A)
【文献】特開2012-020818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
B65H 43/04-43/06
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部、
前記画像形成部で印字されたシートが排出される排出口、
前記排出口から排出されたシートが載置される排紙トレイ、
前記排出口に設けられ、シート排出方向と直交する方向に延びる第1軸線を中心に回動可能に設けられる基端部材、
前記第1軸線と平行な第2軸線を中心に前記基端部材に対して回動可能に軸支され
る先端部材、および
前記第2軸線を中心に、前記シート排出方向の上流側に向かって前記先端部材を付勢する第1付勢部材を備え、それによって前記先端部材は、排出されるシートの圧力を受けない状態において前記シート排出方向の上流側に向かって下方に延び、前記排紙トレイに積載されたシートの上面が所定の高さを超えた場合に、シートに当接し、さらに
シートが排出されていないときに、前記基端部材が基準位置と比べて所定の閾値以上回動しているかどうかを判定する判定手段、および
前記基端部材が前記基準位置と比べて所定の閾値以上回動していると判定された場合に、前記排出口からの
シートの排出を停止させる停止手段を備え、
前記基端部材は、前記基準位置において前記排出口に対向配置され、
前記基端部材および前記先端部材のそれぞれは、前記排出口から排出されたシートの圧力に応じて回動する、画像形成装置。
【請求項2】
前記先端部材の先端部は、前記基準位置において、前記排出口よりも前記シート排出方向の上流側に位置する、請求項
1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排紙トレイは、前記排出口よりも前記シート排出方向の上流側に形成される縦壁面を含み、
前記先端部材の先端部は、前記基準位置において、前記縦壁面に当接する、請求項
2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1軸線を中心に、前記シート排出方向の上流側に向かって前記基端部材を付勢する第2付勢部材をさらに備える、請求項1から
3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記先端部材が前記排出口から排出されたシートの圧力を受けて所定角度以上回動した場合に、当該先端部材の姿勢をロックするロック部をさらに備える、請求項1から
4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ロック部は、前記基端部材が前記基準位置に戻るときに、前記先端部材の姿勢のロックを解除する、請求項
5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排出口におけるシート幅方向の端部に設けられ、前記基端部材と連動して前記第1軸線を中心に回動可能に設けられ、当該排紙トレイに積載されたシートの上面が所定の高さを超えた場合に、シートに当接する補助部材をさらに備える、請求項1から
6までのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特にたとえば、画像形成されたシートを積載する排紙トレイを備える、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背景技術の画像形成装置の一例が開示される。背景技術の画像形成装置は、用紙を積載する排紙トレイを備え、この排紙トレイには、排紙トレイの用紙排出方向に直交する方向の中央付近に配された検知レバーと、検知レバーと連動する連動アーム部と、連動アーム部と連動し、用紙端部の満載検知を行うための補助レバーとを含む検知手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、排紙トレイに排出された用紙に用紙排出方向の後端部が湾曲するカールが発生した場合に、そのカールを検出できないという問題がある。このため、用紙の積載性が悪化するという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、排紙トレイに排出されたシートの満載または用紙排出方向のカールを適切に検出し、シートの積載性の悪化を防止することができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施例は、シートに画像を形成する画像形成部、画像形成部で印字されたシートが排出される排出口、排出口から排出されたシートが載置される排紙トレイ、排出口に設けられ、シート排出方向と直交する方向に延びる第1軸線を中心に回動可能に設けられる基端部材、第1軸線と平行な第2軸線を中心に基端部材に対して回動可能に軸支される先端部材、および第2軸線を中心に、シート排出方向の上流側に向かって先端部材を付勢する第1付勢部材を備え、それによって先端部材は、排出されるシートの圧力を受けない状態においてシート排出方向の上流側に向かって下方に延び、排紙トレイに積載されたシートの上面が所定の高さを超えた場合に、シートに当接し、さらにシートが排出されていないときに、基端部材が基準位置と比べて所定の閾値以上回動しているかどうかを判定する判定手段、および基端部材が基準位置と比べて所定の閾値以上回動していると判定された場合に、排出口からのシートの排出を停止させる停止手段を備える画像形成装置である。また、基端部材は、基準位置において排出口に対向配置され、基端部材および先端部材のそれぞれは、排出口から排出されたシートの圧力に応じて回動する。
【0009】
第2の実施例は、第1の実施例に従属する画像形成装置であって、先端部材の先端部は、基準位置において、排出口よりもシート排出方向の上流側に位置する。
【0010】
第3の実施例は、第2の実施例に従属する画像形成装置であって、排紙トレイは、排出口よりもシート排出方向の上流側に形成される縦壁面を含み、先端部材の先端部は、基準位置において、縦壁面に当接する。
【0011】
第4の実施例は、第1から第3までのいずれかの実施例に従属する画像形成装置であって、第1軸線を中心に、シート排出方向の上流側に向かって基端部材を付勢する第2付勢部材をさらに備える。
【0012】
第5の実施例は、第1から第4までのいずれかの実施例に従属する画像形成装置であって、先端部材が排出口から排出されたシートの圧力を受けて所定角度以上回動した場合に、当該先端部材の姿勢をロックするロック部をさらに備える。
【0013】
第6の実施例は、第5の実施例に従属する画像形成装置であって、ロック部は、記基端部材が基準位置に戻るときに、先端部材の姿勢のロックを解除する。
【0014】
第7の実施例は、第1から第6までのいずれかの実施例に従属する画像形成装置であって、排出口におけるシート幅方向の端部に設けられ、基端部材と連動して第1軸線を中心に回動可能に設けられ、当該排紙トレイに積載されたシートの上面が所定の高さを超えた場合に、シートに当接する補助部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、排紙トレイに排出されたシートの満載または用紙排出方向のカールを適切に検出し、シートの積載性の悪化を防止することができる。
【0016】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例である画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は排紙トレイおよびその周辺構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は用紙が無い場合の排紙トレイおよびその周辺構成を示す正面図である。
【
図4】
図4は用紙検出部の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は用紙排出時の用紙検出部およびその周辺構成を示す正面図である。
【
図6】
図6は用紙満載時の用紙検出部およびその周辺構成を示す正面図である。
【
図7】
図7は用紙排出方向のカール発生時の用紙検出部およびその周辺構成を示す正面図である。
【
図8】
図8は用紙幅方向のカール発生時の用紙検出部およびその周辺構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は第2実施例における用紙検出部およびその周辺構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は第2実施例における用紙排出時の用紙検出部およびその周辺構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
図1は、この発明の第1実施例である画像形成装置10の内部構造を示す概略断面図である。
図1を参照して、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、電子写真方式によって記録媒体(用紙)に多色または単色の画像を形成する。ただし、記録媒体としては、紙からなる用紙に限定されず、OHPフィルム等の紙以外の各種シートも用いられる。
【0019】
ただし、この明細書では、画像形成装置10を正面から見た場合の水平方向のうち、向かって左側を左方向に規定し、向かって右側を右方向に規定する。また、画像形成装置10を上方(下方)から見た場合の奥行き方向のうち、画像形成装置10の正面側(手前側)を前方向(正面方向)に規定し、画像形成装置10の背面側(奥側)を後方向(背面方向)に規定する。
【0020】
先ず、画像形成装置10の構成について概略的に説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、装置本体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0021】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押さえカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押さえカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙する自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)24が設けられる。図示は省略するが、画像読取装置14の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部(タッチパネルおよび操作ボタン)が設けられる。
【0022】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内装される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0023】
装置本体12には、CPU、メモリおよび補助記憶部等を含む制御部(図示せず)および画像形成部30等が内蔵される。制御部は、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0024】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、転写ユニット42および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データ(印刷画像データ)としては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0025】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト54の表面の走行方向(左右方向)に沿って水平方向に1列に並んで配置される。
【0026】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザダイオード(LD)およびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光ユニット32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像ユニット34は、感光体ドラム36上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0027】
転写ユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、4つの中間転写ローラ60および転写ローラ(2次転写ローラ)44などを備え、各画像ステーションの感光体ドラム36の上方に配置される。
【0028】
中間転写ベルト54は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト54は、駆動ローラ56および従動ローラ58によって懸架され、その外周面が感光体ドラム36の外周面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト54は、駆動ローラ56の回転駆動に伴い、所定方向に周回移動する。
【0029】
駆動ローラ56は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ58は、中間転写ベルト54の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト54に一定の張力を与えて中間転写ベルト54の弛みを防止する。
【0030】
中間転写ローラ60は、中間転写ベルト54を挟んで各感光体ドラム36と対向する位置のそれぞれに配置される。画像形成時には、中間転写ローラ60に所定の電圧(1次転写電圧)が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルト54との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、各画像ステーションの感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54の外周面に転写される。
【0031】
2次転写ローラ44は、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられる。画像形成時には、2次転写ローラ44に所定の電圧(2次転写電圧)が印加されることによって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。
【0032】
図1に戻って、定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、2次転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が加熱および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0033】
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、2次転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、2次転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0034】
レジストローラ68は、ペーパーストップローラ(PSローラ)とも呼ばれ、画像形成部30が用紙の画像形成を行うプロセススピードと等しい速度で、用紙を搬送する。たとえば、レジストローラ68は、搬送ローラ66によって搬送された用紙を挟持した状態で待機(一旦停止)し、転写ユニット42と同期させて用紙の搬送を開始する。
【0035】
画像形成装置10において片面印刷を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が2次転写ローラ44(2次転写ニップ部)に搬送され、用紙にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46(定着ニップ部)およびを通過することによって用紙上の未定着トナーが熱定着されて、排紙トレイ52近傍の排紙ローラ70を経由して排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0036】
一方、両面印刷を行う際には、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙ローラ70まで到達したとき、この搬送ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、レジストローラ68を経て、2次転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面側に印刷が行われる。
【0037】
以下、図面を参照して、本実施例の排紙トレイ52およびその周辺の具体的構成を説明する。
図2~
図4に示すように、排紙トレイ52は、水平面52aと、水平面52aに連続する傾斜面52bと、縦壁面52cとを含む。水平面52aは、排紙トレイ52における用紙排出方向(シート排出方向)の下流側に位置し、傾斜面52bは、排紙トレイ52における用紙排出方向の上流側に位置する。また、傾斜面52bは、用紙排出方向の上流側に向かって下り勾配となっている。縦壁面52cは、傾斜面52bの用紙排出方向の上流側端部から上方に延び、排出口70aよりも用紙排出方向の上流側に位置する。
【0038】
このため、排出口70aから排紙トレイ52に排出された用紙は、自重によって傾斜面52bを用紙排出方向の上流側(排出口70a側)に向かって滑り落ち、排紙トレイ52の用紙排出方向の上流側の端部(縦壁面52c)に寄せられた状態となる。つまり、排紙トレイ52に載置された用紙の後端部(用紙排出方向の上流側の端部)は、排紙トレイ52の用紙排出方向の上流側の端部に位置する。なお、排紙トレイ52の上面(水平面52aの上面および傾斜面52bの上面)には、用紙排出方向に延びる複数のリブが設けられており、これらのリブの上面が、用紙載置面として機能することがある。
【0039】
画像形成装置10には、排紙トレイ52上の用紙の状態を検出するための用紙検出部80が設けられる。
図2~
図4に示すように、用紙検出部80は、排出口70aの近傍(排紙トレイ52の用紙排出方向の上流側端部)に設けられ、軸部材80a、第1検出部82、第2検出部(補助部材)84および遮蔽部86を含む。
【0040】
軸部材80aは、円柱状または円筒状の部材であって、装置本体12に回動可能に軸支される。また、軸部材80aの軸線(第1軸線)は、用紙排出方向と直交する方向であって、排出口70aに沿って延びる。また、第1軸線は、排出口70aから排出される用紙表面に対して略平行となる。さらに、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86のそれぞれは、軸部材80aに取り付けられる(固定される)。このため、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86のそれぞれは、軸部材80aが回動する場合には、軸部材80aに連動して、第1軸線を中心に一体的に回動する。
【0041】
また、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86は、排出口70aよりも用紙排出方向の下流側に位置する。さらに、図示は省略するが、装置本体12と軸部材80aとの間には、第1軸線を中心に、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86が用紙排出方向の上流側に向かって(排出口70aに近づく方向に)軸部材80aを付勢する第2付勢部材(たとえばねじりばね)が設けられている。ただし、第2付勢部材の付勢力は、排出口70aから排出される用紙の動きを妨げない程度に設定される。
【0042】
そして、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86のそれぞれは、排出口70aから排出される用紙の圧力を受けない状態であって、かつ、排紙トレイ52に載置された用紙上面に当接(接触)しない状態において、所定の態様で配置(以下、「基準位置」という。)される。
【0043】
第1検出部82は、基端部材82a、先端部材82b、軸部材82cおよび第1付勢部材82dを含み、前後方向(用紙の幅方向)において排紙トレイ52の略中央に配置される。
【0044】
基端部材82aは、一方端部が軸部材80aに取り付けられる棒状の部材である。この基端部材82aは、基準位置において、用紙排出方向の下流側に向かうにつれて下方に向かう(用紙排出方向の上流側に向かうにつれて上方に向かう)姿勢となる。
【0045】
また、
図3に示すように、基端部材82aは、基準位置において排出口70aに対向配置される。したがって、排出口70aから用紙が排出される際には、基端部材82aに用紙の先端部(用紙排出方向の下流側端部)が当接する。
【0046】
図2~
図4に示すように、先端部材82bは、一方端部が基端部材82aに回動可能に軸支される棒状の部材である。具体的には、先端部材82bの一方端部は、基端部材82aの他方端部に設けられた軸部材82cに軸支される。軸部材82cの軸線(第2軸線)は、用紙排出方向と直交する方向であって、排出口70aに沿って延びる。すなわち、第2軸線は、第1軸線と略平行である。つまり、先端部材82bは、第1軸線と略平行な第2軸線を中心に回動可能に設けられる。
【0047】
また、先端部材82bは、基準位置において、用紙排出方向の上流側に向かうにつれて下方に向かう(用紙排出方向の下流側に向かうにつれて上方に向かう)姿勢となる。さらにまた、先端部材82bの他方端部(先端部)は、基準位置において、排出口70aよりも用紙排出方向の上流側に位置する。
【0048】
以上のように、基端部材82aと先端部材82bとは、正面(背面)から見た場合に、軸部材82c(第2軸線)を中心に所定の角度で屈曲した状態となる。
【0049】
第1付勢部材82dは、軸部材82cに巻き掛けられるねじりばね(ひねりばね、トーションばね)であり、第2軸線を中心に、用紙排出方向の上流側に向かって(排出口70aに近づく方向に)先端部材82bを付勢する。ただし、第1付勢部材82dの付勢力は、排出口70aから排出される用紙の動きを妨げない程度に設定される。
【0050】
図2および
図4に示すように、第2検出部84は、平板状の部材であって、前後方向(用紙の幅方向)において排紙トレイ52の一方端部に配置される。この第2検出部84は、基準位置において、用紙排出方向の下流側に向かうにつれて下方に向かうように、すなわち基端部材82aと同じ方向に斜めに配置される。また、第2検出部84は、画像形成装置10で使用される種々のサイズの用紙の幅方向端部の位置のそれぞれに対応するように設けられる。具体的には、第2検出部84は、第2検出部84の前後方向(用紙の幅方向)において、画像形成装置10で使用される最小サイズの用紙の幅方向端部の位置から、画像形成装置10で使用される最大サイズの用紙の幅方向端部の位置までの範囲を含むように設けられる。
【0051】
また、画像形成装置10には、基端部材82a(軸部材80a)の位置情報(回動角度)を検出する検出センサ72を備える。検出センサ72は、たとえば発光素子および受光素子を有するフォトセンサであり、制御部(CPU)に接続される。基端部材82aの回転角度が基準位置に対する所定の閾値を超える場合には、遮蔽部86の遮蔽壁86aが発光素子と受光素子との間に位置し、発光素子からの光が遮蔽壁86aによって遮られ、受光素子によって受光されない。一方、基端部材82aが基準位置に位置する場合または基端部材82aの回転角度が基準位置に対する所定の閾値を超えない場合には、発光素子からの光は遮られず、受光素子によって受光される。検出センサ72は、受光素子で発光素子からの光が受光されたかどうかに応じた信号をCPUに出力し、CPUは、検出センサ72の出力に応じて用紙の満載(満杯)または用紙排出方向のカールを検出する。また、CPUは、用紙の満載または用紙排出方向のカールを検出すると、用紙搬送の停止条件を満たしたと判定して、用紙の排出(用紙搬送路L1、L2における用紙の搬送)を停止する。
【0052】
次に、本実施例の画像形成装置10において、排出口70aから用紙が排出された場合の用紙検出部80の動作を説明する。
【0053】
まず、排出口70aから用紙が排出されると、基端部材82aに用紙の先端部が当接する。このとき、第2付勢部材の付勢力は、排出口70aから排出される用紙の動きを妨げない程度に設定されているので、基端部材82aに用紙の先端部が当接すると、基端部材82aは、付勢部材の付勢力に抗して用紙排出方向の下流側に向かうように(排出口70aから離れる方向に)回動される。基端部材82aが用紙排出方向の下流側に向かって所定角度回動されると、用紙の先端部が先端部材82bに当接する。このとき、第1付勢部材82dの付勢力もまた、排出口70aから排出される用紙の動きを妨げない程度に設定されているので、先端部材82bは、第1付勢部材82dの付勢力に抗して用紙排出方向の下流側に向かうように(排出口70aから離れる方向に)回動される。
【0054】
図5に示すように、基端部材82aの全部およびの先端部材82bの全部が、排出口70aから排出される用紙の上面よりも上方に位置する(以下、通紙位置という。)。この通紙位置では、基端部材82aの長手方向(延出方向)と先端部材82bの長手方向(延出方向)とが同じ方向となる。すなわち、基端部材82aと先端部材82bとが略一直線に並ぶ状態となる。
【0055】
なお、基端部材82aには第2付勢部材の付勢力が作用しているので、基端部材82aが第2付勢部材の付勢方向の逆方向に過度に回動することは無い。同様に、先端部材82bには第1付勢部材82dの付勢力が作用しているので、先端部材82bが第1付勢部材82dの付勢方向の逆方向に過度に回動することは無い。ただし、基端部材82aの第2付勢部材の付勢方向の逆方向への所定角度以上の回動を物理的に規制する規制部(基端部材規制部)、および先端部材82bの第1付勢部材82dの付勢方向の逆方向への所定角度以上の回動を物理的に規制する規制部(先端部材規制部)がそれぞれ設けられてもよい。
【0056】
そして、用紙の後端部が用紙検出部80(具体的には先端部材82bの先端部)を通過すると、第1付勢部材82dの付勢力および第2付勢部材の付勢力によって、基端部材82aおよび先端部材82bは通紙位置から基準位置に戻ろうとする。基端部材82aおよび先端部材82bが通紙位置から基準位置に戻る際に、先端部材82bの先端部と排紙トレイ52に積載された用紙とが当接(接触)しない場合には、基端部材82aおよび先端部材82bは基準位置に戻る(
図3参照)。
【0057】
一方、
図6に示すように、排紙トレイ52に所定数(たとえば積載可能な最大枚数)以上の枚数が積載された状態(満載状態)では、基端部材82aおよび先端部材82bが通紙位置から基準位置に戻る際に、先端部材82bの先端部と用紙とが接触し、基端部材82aおよび先端部材82bが通紙位置と基準位置との間の所定位置で停止する。すなわち、基端部材82aおよび先端部材82bが基準位置に戻りきらない状態となる。このとき、基端部材82aが、基準位置よりも用紙排出方向の下流側に所定角度回動した状態であるので、遮蔽部86の遮蔽壁86aが発光素子と受光素子との間に位置し、用紙搬送の停止条件を満たしたと判定され、用紙の排出が停止される。
【0058】
また、
図7に示すように、積載枚数が許容範囲内であっても(満載状態でなくても)、用紙の後端部が湾曲する、いわゆる用紙排出方向のカールが発生している状態(用紙排出方向のカール発生状態)では、先端部材82bの先端部と用紙とが接触し、基端部材82aおよび先端部材82bが通紙位置と基準位置との間の所定位置で停止する。したがって、基端部材82aが、基準位置よりも用紙排出方向の下流側に所定角度回動した状態であるので、満載状態の場合と同様に、用紙搬送の停止条件を満たしたと判定され、用紙の排出が停止される。
【0059】
以上のように、本実施例によれば、排紙トレイ52における用紙の満載および用紙排出方向の用紙のカールを適切に検出し、用紙の積載性の悪化を防止することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、用紙排出方向の上流側に向かって先端部材82bを付勢する第1付勢部材82dが設けられるので、用紙の満載および用紙排出方向の用紙のカールが無い等、用紙搬送の停止条件を満たしていない場合に、先端部材82bを確実に基準位置に戻すことができ、誤検出を防止できる。
【0061】
さらに、本実施例によれば、軸部材80aおよびこれに取り付けられる基端部材82aを用紙排出方向の上流側に向かって付勢する第2付勢部材が設けられるので、用紙搬送の停止条件を満たしていない場合に、基端部材82aを確実に基準位置に戻すことができ、誤検出を防止できる。
【0062】
さらにまた、本実施例によれば、先端部材82bの先端部が、基準位置において、排出口70aよりも用紙排出方向の上流側に位置するので、用紙の後端部のカールを精度よく検出することができる。
【0063】
なお、本実施例では、先端部材82bの先端部は、基準位置において、縦壁面52cから離間しているが、縦壁面52cに当接していてもよい。この場合、先端部材82bの先端部は、基準位置において、排紙ローラ70の回転軸線よりも用紙排出方向の上流側に位置していてもよい。このようにすれば、用紙の後端部のカールをさらに精度よく検出することができる。
【0064】
また、
図8に示すように、積載枚数が許容範囲内であっても、用紙の幅方向端部が湾曲するカールが発生している状態(用紙幅方向のカール発生状態)では、用紙の幅方向端部が第2検出部84に当接し、第2検出部84が押し上げられる。上述したように、第1検出部82、第2検出部84および遮蔽部86のそれぞれは、軸部材80aに連動して第1軸線を中心に一体的に回動するので、用紙によって第2検出部84を押し上げられると、基端部材82aが基準位置よりも用紙排出方向の下流側に所定角度回動した状態となり、用紙搬送の停止条件を満たしたと判定され、用紙の排出が停止される。このため、用紙幅方向のカールを適切に検出し、用紙の積載性の悪化を防止することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、先端部材82bの姿勢をロックするロック部を備える以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0065】
図9に示すように、第2実施例の用紙検出部80には、ロック部88が設けられる。ロック部88は、突起部88aおよび弾性部88bを含む。突起部88aは、第1検出部82(基端部材82a)に隣接して配置され、軸部材80aから用紙排出方向(排紙トレイ52側)に突出する。具体的には、突起部88aは、軸部材80aから第1検出部82(基端部材82a)と略同じ方向に延びる。
【0066】
弾性部88bは、突起部88aの先端部(用紙排出方向の端部)に設けられる。また、弾性部88bは、その一部が前後方向(軸部材80aまたは軸部材82cの軸方向)において第1検出部82(先端部材82b)に重なるように設けられる。さらに、弾性部88bは、基準位置に位置する第1検出部82(先端部材82b)の位置と、通紙位置に位置する第1検出部82(先端部材82b)の位置との間に設けられる。
【0067】
したがって、第1検出部82(先端部材82b)が基準位置と通紙位置との間で回動する際に、第1検出部82(先端部材82b)と弾性部88bとが当接し、弾性部88bによって第1検出部82(先端部材82b)の回動が妨げられる。
【0068】
ただし、弾性部88bは、排出口70aから排出される用紙の圧力と同じ程度の圧力を受けた場合には、第1検出部82(先端部材82b)の回動を妨げない形状に変形する。したがって、
図10に示すように、第1検出部82(先端部材82b)は、弾性部88bを乗り越えて、基準位置から通紙位置まで回動する。
【0069】
一方、弾性部88bは、先端部材82bの自重に第1付勢部材82dの付勢力を加えたのと同じ程度の圧力を受けた場合には、大きく変形しない。このため、第1検出部82(先端部材82b)の回動が妨げられる。したがって、第1検出部82(先端部材82b)が弾性部88bを一旦乗り越えて、弾性部88bよりも通紙位置側に位置する場合には、第1検出部82(先端部材82b)は、弾性部88bによって保持された状態となる。すなわち、先端部材82bの姿勢がロックされる。このとき、第1検出部82(先端部材82b)は、排出口70aから排出される用紙の上面よりも上方に位置するので、排出口70aから排出される用紙に、第1検出部82(先端部材82b)の自重および第1付勢部材82dの付勢力が作用しない。
【0070】
ただし、弾性部88bは、用紙検出部80の全体が通紙位置から基準位置に戻るときの圧力(用紙検出部80の慣性)を受けた場合には、第1検出部82(先端部材82b)の回動を妨げない形状に変形する。したがって、第1検出部82(先端部材82b)は、弾性部88bを乗り越えて、通紙位置から基準位置まで回動する。すなわち、先端部材82bの姿勢のロックが解除される。
【0071】
第2実施例によれば、先端部材82bが基準位置から所定角度以上回動した場合にロックされるようにしたので、排出口70aから排出される用紙の姿勢が乱れることを防止し、用紙の積載性の悪化を防止することができる。
【0072】
なお、上記の各実施例では、画像形成装置10がカラー複合機として構成されているが、本発明の画像形成装置は、モノクロ印刷機またはモノクロ複合機として構成されてもよい。
【0073】
また、上記の各実施例では、画像形成装置10が複合機として構成されているが、本発明の画像形成装置は、排紙トレイを備えていればよく、プリンタ、複写機またはファクシミリとして構成されてもよい。
【0074】
さらにまた、上述の実施例で挙げた具体的な形状等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 …画像形成装置
52 …排紙トレイ
80 …用紙検出部
82 …第1検出部
82a…基端部材
82b…先端部材