(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】耐震壁
(51)【国際特許分類】
E04B 2/56 20060101AFI20240612BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
E04B2/56 643A
E04B2/56 604J
E04B2/56 622N
E04B2/56 631N
E04B2/56 601A
E04B2/56 641K
E04H9/02 321Z
(21)【出願番号】P 2020141300
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 淳道
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 史朗
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-193357(JP,A)
【文献】特開2008-019555(JP,A)
【文献】実開平06-004238(JP,U)
【文献】特開平04-363442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56-2/70
E04B 1/00-1/61
E04C 2/00-2/54
E04H 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられる耐震壁であって、
透光性及び耐震性を有する透光部材、を備え
、
前記耐震壁は、少なくとも前記建物の第1の柱、第2の柱、及び梁を含む周辺部材に囲まれた空間に設けられ、
前記透光部材の周辺部には、プライマーが塗布されており、
前記プライマーが塗布されている前記透光部材の周辺部は、接着剤を用いて前記周辺部材に直接固定されており、
前記接着剤は、前記プライマーが塗布されている前記透光部材の周辺部と前記周辺部材との間に塗布されている、
耐震壁。
【請求項2】
前記透光部材は、樹脂製である、
請求項1に記載の耐震壁。
【請求項3】
前記透光部材は、前記耐震壁の面方向において複数枚並べられている、
請求項
1又は2に記載の耐震壁。
【請求項4】
前記透光部材は、前記耐震壁の厚み方向において複数枚並べられている、
請求項
1から3の何れか一項に記載の耐震壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐震性を確保するための耐震壁が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の耐震壁においては、耐震性を確保するためのブレース材が採用されていたために、ブレース材がユーザの視界に入ってしまい、閉塞感を抱かせる可能性があった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑み、閉塞感を軽減可能な耐震壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の耐震壁は、建物に設けられる耐震壁であって、透光性及び耐震性を有する透光部材、を備え、前記耐震壁は、少なくとも前記建物の第1の柱、第2の柱、及び梁を含む周辺部材に囲まれた空間に設けられ、前記透光部材の周辺部には、プライマーが塗布されており、前記プライマーが塗布されている前記透光部材の周辺部は、接着剤を用いて前記周辺部材に直接固定されており、前記接着剤は、前記プライマーが塗布されている前記透光部材の周辺部と前記周辺部材との間に塗布されている。
【0007】
請求項2に記載の耐震壁は、請求項1に記載の耐震壁において、前記透光部材は、樹脂製である。
【0008】
請求項3に記載の耐震壁は、請求項1又は2に記載の耐震壁において、前記透光部材は、前記耐震壁の面方向において複数枚並べられている。
【0009】
請求項4に記載の耐震壁は、請求項1から3の何れか一項に記載の耐震壁において、前記透光部材は、前記耐震壁の厚み方向において複数枚並べられている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の耐震壁によれば、透光部材が透光性及び耐震性を有しているので、例えば、透光部材にて光を取り入れることができ、また、ブレース材等を設ける必要がないので、閉塞感を軽減可能な耐震壁を提供することが可能となる。
また、透光部材は少なくとも接着剤を用いて周辺部材に固定されることにより、例えば、周辺部材が構築された後においても耐震壁を現場で容易に施工することが可能となる。
また、透光部材の周辺部にはプライマーが塗布されていることにより、例えば、接着剤による透光部材側との接着強度を向上させることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の耐震壁によれば、透光部材が樹脂製であるので、例えば、透光部材が破損した場合であっても、鋭利な破片が飛び散ることを防止することができ、安全性を向上させることが可能となる。また、透光部材が樹脂製であるため、任意の加工方法(例えば、レーザーによる凹凸加工、印刷等)で切削や文字入れが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の耐震壁によれば、透光部材は耐震壁の面方向において複数枚並べられていることにより、例えば、持ち運びに適した形状又はサイズの透光部材を用いて耐震壁を構成することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の耐震壁によれば、透光部材は耐震壁の厚み方向において複数枚並べられていることにより、例えば、ニーズに沿って任意の厚みの耐震壁を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】厚み方向の透光部材の枚数が2の場合の耐震壁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る耐震壁の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、耐震壁に関する。
【0021】
ここで、「耐震壁」とは、建物に設けられるものであり、具体的には、地震等で発生する揺れに耐えるための壁である。この耐震壁は任意に適用することができ、屋内又は屋外に適用してもよく、例えば、RC構造の耐震改修に適用してもよく、また、住宅を含めた木造の耐震改修に適用してもよく、また、太陽光を取りいれて明るくしたい部屋に適用してもよい。「耐震壁」は、例えば、少なくとも建物の第1の柱、第2の柱、及び梁を含む周辺部材に囲まれた空間に設けてもよい。「耐震壁」は、例えば、透光部材を備える。
【0022】
「透光部材」とは、透光性及び耐震性を有する部材であり、例えば、樹脂製のもの等を含む概念であり、また、少なくとも接着剤を用いて周辺部材に固定されるもの等を含む概念である。また、「透光部材」は、例えば、耐震壁の面方向において1枚のみ設けてもよいし、あるいは、複数枚並べて設けてもよい。また、「透光部材」は、耐震壁の厚み方向において1枚のみ設けてもよいし、あるいは、複数枚並べて設けてもよい。「透光部材」については、少なくとも一部に着色してもよいし、あるいは、模様を付してもよい。
【0023】
透光部材を形成する材料及び透光部材の物性範囲は任意であり、例えば、透光部材にもたせるべき耐震性を基準に任意に構成する(一例としては、実験又はシミュ―レーション等を行って構成する)ことができるが、以下の材料及び物性範囲を採用してもよい。材料については例えば、硬質ポリ塩化ビニル、アクリル、又はポリカーボネートの何れかを採用してもよい。物性範囲については例えば、弾性率が2.2GPa~4.1GPaとなり、また、せん断強度が10MPa(N/mm2)以上(材料として硬質ポリ塩化ビニル、アクリル、又はポリカーボネートを採用する場合は、好ましくは64MPa~82MPa)となり、また、ポアソン比が0.35~0.5となるように構成してもよい。なお、材料及び物性範囲は、ここで例示した内容に限定するものではなく、例えば、実験又はシミュレーション等に基づいて、地震等で発生する揺れに耐える限りにおいて、他の内容に任意に設定してもよい。
【0024】
「透光性」とは、光を通すことに対応する概念であり、例えば、透明、及び半透明を含む概念である。「耐震性」とは、例えば、地震等で発生する揺れに耐えることに対応する概念である。
【0025】
透光部材を周辺部材に固定する手法は任意であり、例えば、透光部材に直接接着剤を塗布して、当該接着剤によって周辺部材に接着して固定してもよいし、あるいは、透光部材の周辺部にプライマーを塗布した上で、当該プライマーが塗布された透光部材の周辺部に対して接着剤を塗布し、当該接着剤によって周辺部材に接着して固定してもよいが、接着強度向上の観点からは、プライマー及び接着剤を用いて接着して固定することが好ましい。
【0026】
接着剤及びプライマーとしては、例えば接合部の接着強度等を考慮して、任意の接着剤及びプライマーを採用することができるが、例えば、接着剤としてはエポキシ樹脂系接着剤(すなわち、いわゆる2液常温硬化型接着剤)を採用し、この場合、プライマーとしては接着用塩化ビニル樹脂系プライマーを採用してもよい。また、例えば、接着剤としてはシアノアクリレート系接着剤(すなわち、いわゆる瞬間接着剤)を採用し、この場合、プライマーとしてはポリオレフィン樹脂系のプライマーを採用してもよい。
【0027】
そして、以下に示す実施の形態では、接着剤及びプライマーを用いて透光部材を固定する場合について説明する。
【0028】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0029】
(構成)
まず、本実施の形態に係る耐震壁の構成について説明する。
図1は、耐震壁の正面図であり、
図2は、
図1のA-A断面図である。なお、
図2のプライマー21及び接着剤22については、説明の便宜上、実際よりも厚く図示されている。
【0030】
また、
図1~
図2に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であり、+Z方向を上側(平面)と称し、-Z方向を下側(底面)と称し、また、X方向が水平方向(耐震壁100の面方向)であり、+X方向を一方側と称し、-X方向を他方側と称し、また、Y方向が水平方向(耐震壁100の厚み方向)であり、+Y方向を奥側と称し、-Y方向を手前側と称する。
【0031】
図1の耐震壁100は、前述の耐震壁であり、少なくとも建物の床901、2本の柱902、及び梁903に囲まれた空間に設けられているものであり、例えば、建物の屋内において第1の部屋と第2の部屋との間を区画するものである。なお、2本の柱902の一方の柱902が「第1の柱」に対応し、また、他方の柱902が「第2の柱」に対応するものと解釈してもよい。また、床901、2本の柱902、及び梁903が「周辺部材」に対応するものと解釈してもよい。
図1及び
図2の耐震壁100は、透光部材1を備える。
【0032】
(構成-透光部材)
透光部材1は、前述の透光部材であり、具体的には、透光性及び耐震性を有する部材である。この透光部材1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、樹脂製のもの(一例としては、硬質ポリ塩化ビニルにて形成されるもの)であり、また、全体として矩形(長方形)の平板形状のものであり、また、透明又は半透明のものであり、また、前述の物性範囲に属する物性的特徴を有するものであり、また、X方向に沿って並べられている透光部材11~15を備えるものである。この透光部材11~15の固定手法は任意であるが、例えば、
図2に示すように、プライマー21及び接着剤22を用いて固定される。
【0033】
プライマー21とは、透光部材11~15におけるプライマー21が塗布された部分と接着剤22との接着強度を向上させるための塗料であり、例えば、透光部材11~15各々の周辺部(つまり、上側(+Z方向)の端部、下側(-Z方向)の端部、一方側(+X方向)の端部、及び他方側(-X方向)の端部)に塗布される。プライマー21は、例えば、接着用塩化ビニル樹脂系プライマーである。
【0034】
接着剤22とは、透光部材11~15を周辺部材に接着して固定するための接着剤であり、例えば、プライマー21が塗布された透光部材11~15の相互間、プライマー21が塗布された透光部材11~15における下側(-Z方向)の端部と床901との相互間、プライマー21が塗布された透光部材11における他方側(-X方向)の端部と柱902(図面左側)との相互間、プライマー21が塗布された透光部材15における一方側(+X方向)の端部と柱902(図面右側)との相互間、及びプライマー21が塗布された透光部材11~15における上側(+Z方向)の端部と梁903との相互間に塗布される。接着剤22は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤(すなわち、いわゆる2液常温硬化型接着剤)である。
【0035】
(施工手順)
次に、耐震壁100の施工手順の一例について説明する。まず、透光部材11~15各々を、耐震壁100を設ける建物に搬入する。次に搬入された透光部材11~15各々の周辺部にプライマー21を塗布する。次に、床901における透光部材11~15を設ける位置に所定のサイズ(例えば5mm~10mm四方の立方体形状等、)のスペーサを複数個設ける。次に、前述のプライマー21が塗布された状態の透光部材11~15をスペーサ上に載置した状態で、位置決めする。なお、この場合、透光部材11~15の相互間、及び透光部材1と周辺部材との相互間に所定のサイズ(例えば、接着剤22を塗布できる程度のサイズ)の隙間が形成された状態となる。また、この場合、仮止め用の金具等を用いて透光部材11~15を仮固定する。次に、透光部材11~15の相互間、及び透光部材1と周辺部材との相互間に形成された隙間に接着剤22を充填して塗布する。つまり、この場合、接着剤22は、周辺部材とプライマーとの間に塗布されることになる。そして、接着剤22が硬化して、当該接着剤22によって透光部材11~15の相互間及び透光部材1が周辺部材に対して強固に固定された後、前述の仮止め用の金具等を除去する。これにて、耐震壁100の施工が完了する。
【0036】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、透光部材1が透光性及び耐震性を有しているので、例えば、透光部材1にて光を取り入れることができ、また、ブレース材等を設ける必要がないので、閉塞感を軽減可能な耐震壁100を提供することが可能となる。
【0037】
また、透光部材1が樹脂製であるので、例えば、透光部材1が破損した場合であっても、鋭利な破片が飛び散ることを防止することができ、安全性を向上させることが可能となる。また、透光部材1が樹脂製であるため、任意の加工方法(例えば、レーザーによる凹凸加工、印刷等)で切削や文字入れが可能となる。
【0038】
また、透光部材1は少なくとも接着剤22を用いて周辺部材に固定されることにより、例えば、周辺部材が構築された後においても耐震壁100を現場で容易に施工することが可能となる。また、例えば、改修時は接着剤22をカットすることで透光部材1を容易に取り外し、新たな透光部材1を設置することが可能となる。また、透光部材1を複数個並べる場合、当該複数枚並べている透光部材1のうち、一部のみ取り外し設置することも可能となる。
【0039】
また、透光部材1の周辺部にはプライマー21が塗布されていることにより、例えば、接着剤22による透光部材1側との接着強度を向上させることが可能となる。
【0040】
また、透光部材1は耐震壁100の面方向において複数枚並べられていることにより、例えば、持ち運びに適した形状又はサイズの透光部材を用いて耐震壁を構成することが可能となる。
【0041】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0042】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0043】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0044】
(透光部材について(その1))
また、上記実施の形態では、
図1に示すように、5個の透光部材11~15を用いて耐震壁100を構成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、1個のみ、2個から4個、あるいは、6個以上の透光部材1を用いて耐震壁を構成してもよい。また、複数の耐震壁を鉛直方向(Z方向)(耐震壁に面方向)に並べて耐震壁を構成してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、耐震壁100の厚み方向(Y方向)において1個のみの透光部材1を設ける場合について説明したが、これに限らない。例えば、透光部材を複数個設けてもよい。
図3は、耐震壁の断面図である。なお、
図3は、
図2に対応する断面での断面図である。具体的には、
図3に示すように、2個の透光部材1A、1Bを耐震壁100の厚み方向(Y方向)に並べて耐震壁100Aを構成してもよい。なお、この場合、透光部材1A及び透光部材1Bについては、この透光部材1A、1Bの相互間に接着剤を塗布して相互に固定してもよいし、あるいは、
図3に図示されているように、透光部材1A、1Bの相互間に接着剤を塗布せずに、周辺部材に対して固定してもよい。
【0046】
(透光部材について(その2))
また、透光部材1の材料としては、透光性及び耐震性を有する限りにおいて任意であり、例えば、ガラス等を採用してもよい。
【0047】
(その他の特徴について)
また、耐震壁100を屋外で用いる場合(耐震壁100を建物の内外を区画する外壁として用いる場合を含む)、紫外線カットフィルム(つまり、紫外線を遮断するためのシート材)を透光部材1に貼付してもよい。
【0048】
また、投光装置(例えば、レーザー出力装置、又はプロジェクタ等)を用いて透光部材1に対して、光の画像を表示することにより、いわゆるプロジェクションマッピングを行うことにより、装飾してもよい。なお、この場合の透光部材1としては、半透明のものを用いてもよい。
【0049】
また、耐震壁100に対して機能性材料(例えば、透光性を有する断熱材、あるいは、シースルー太陽電池(つまり、透光性を有する太陽電池)等)を組み合わせることにより、耐震壁100に対して任意の機能を持たせてもよい。なお、この機能性材料を耐震壁100に設ける手法は任意であり、例えば、
図2の透光部材1の奥側(+Y方向)の面、又は、手前側(-Y方向)の面の両方又は一方のみに貼付してもよいし、あるいは、
図3の2個の透光部材1A、1Bの相互間に挟みこんで設置してもよい。なお、挟み込んで設置する場合、機能性材料については、接着剤を用いて透光部材1A、1Bの何れか又は両方に接着して固定してもよいし、あるいは、当該接着固定を行わずに、挟み込むことのみで固定してもよい。
【0050】
また、機能性材料として、例えば、デザイン性を有する材料(例えばシート)を採用し、当該シートを
図3の透光部材1A、1Bの相互間に挟み込んでもよい。
【0051】
また、着色された接着剤を用いてもよい。そして、透光部材1A、1Bの相互間に、当該着色された接着剤を塗布することにより、装飾性を持たせてもよい。なお、この場合、着色された接着剤を用いて任意の絵柄等のデザインを描いてもよい。また、当該接着剤の色については、耐震壁100のユーザが所望する色を採用してもよい。
【0052】
なお、ここで説明した各要素(紫外線カットフィルム、機能性材料、及び接着剤等)については、耐震壁が任意で備える構成要素であるものと解釈してもよい。
【0053】
(組み合わせについて)
また、上記実施の形態で説明した特徴と、変形例で説明した特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0054】
(付記)
付記1の耐震壁は、建物に設けられる耐震壁であって、透光性及び耐震性を有する透光部材、を備える。
【0055】
付記2の耐震壁は、付記1に記載の耐震壁において、前記透光部材は、樹脂製である。
【0056】
付記3の耐震壁は、付記1又は2に記載の耐震壁において、前記耐震壁は、少なくとも前記建物の第1の柱、第2の柱、及び梁を含む周辺部材に囲まれた空間に設けられ、前記透光部材は、少なくとも接着剤を用いて前記周辺部材に固定される。
【0057】
付記4の耐震壁は、付記3に記載の耐震壁において、前記透光部材の周辺部には、プライマーが塗布されており、前記プライマーは、前記接着剤と前記透光部材との間に塗布されている。
【0058】
付記5の耐震壁は、付記3又は4に記載の耐震壁において、前記透光部材は、前記耐震壁の面方向において複数枚並べられている。
【0059】
付記6の耐震壁は、付記3から5の何れか一項に記載の耐震壁において、前記透光部材は、前記耐震壁の厚み方向において複数枚並べられている。
【0060】
(付記の効果)
付記1に記載の耐震壁によれば、透光部材が透光性及び耐震性を有しているので、例えば、透光部材にて光を取り入れることができ、また、ブレース材等を設ける必要がないので、閉塞感を軽減可能な耐震壁を提供することが可能となる。
【0061】
付記2に記載の耐震壁によれば、透光部材が樹脂製であるので、例えば、透光部材が破損した場合であっても、鋭利な破片が飛び散ることを防止することができ、安全性を向上させることが可能となる。また、透光部材が樹脂製であるため、任意の加工方法(例えば、レーザーによる凹凸加工、印刷等)で切削や文字入れが可能となる。
【0062】
付記3に記載の耐震壁によれば、透光部材は少なくとも接着剤を用いて周辺部材に固定されることにより、例えば、周辺部材が構築された後においても耐震壁を現場で容易に施工することが可能となる。
【0063】
付記4に記載の耐震壁によれば、透光部材の周辺部にはプライマーが塗布されていることにより、例えば、接着剤による透光部材側との接着強度を向上させることが可能となる。
【0064】
付記5に記載の耐震壁によれば、透光部材は耐震壁の面方向において複数枚並べられていることにより、例えば、持ち運びに適した形状又はサイズの透光部材を用いて耐震壁を構成することが可能となる。
【0065】
付記6に記載の耐震壁によれば、透光部材は耐震壁の厚み方向において複数枚並べられていることにより、例えば、ニーズに沿って任意の厚みの耐震壁を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 透光部材
1A 透光部材
1B 透光部材
11 透光部材
12 透光部材
13 透光部材
14 透光部材
15 透光部材
21 プライマー
22 接着剤
100 耐震壁
100A 耐震壁
901 床
902 柱
903 梁