(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/60 20060101AFI20240612BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A01F12/60
A01F12/46
(21)【出願番号】P 2020147947
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 健之
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225351(JP,A)
【文献】特開2002-191226(JP,A)
【文献】特開2011-147397(JP,A)
【文献】特開2007-075000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/60
A01F 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りに回動自在に設けるグレンタンクに、そのタンク内の下部に設ける穀粒排出オーガの横ラセン側に穀粒を集める傾斜壁と、この傾斜壁の上部に連なる直立壁とを備えると共に、当該グレンタンクを外側方に回動させて開いた際にその真下が地上に臨むメンテナンスホールを、前記傾斜壁と直立壁に跨って形成する
にあたって、前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセンを収容する樋部の上部に連結する貯留部の一枚板を折曲げて傾斜壁と直立壁を一体に形成する側板に傾斜壁と直立壁に跨って孔を穿ち設けて構成すると共に、前記メンテナンスホールを側板の傾斜壁と直立壁に倣って一枚板を折曲げて形成するホールカバーで覆うことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記メンテナンスホールを脱穀装置側に臨む機体内側となる傾斜壁と直立壁に跨って形成することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセン
の軸線方向に長い略矩形状に形成し、係るメンテナンスホールから上体を入れて横ラセンの上方に設ける流板の流量調節を行えるようになすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は稲や麦等を刈取って穀粒を収穫するコンバインに係り、詳しくは収穫した穀粒を貯留するグレンタンクを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
稲や麦等を刈取って穀粒を収穫するコンバインは、走行装置を下部に備える機体フレームに脱穀装置と共に収穫した穀粒を貯留するグレンタンクを併設し、また、グレンタンクは貯留した穀粒を機外に排出する穀粒排出オーガを備える。さらに、グレンタンクは機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りに回動自在に設ける。
【0003】
そのため、グレンタンクを脱穀装置に併設する格納位置から外側方に回動させて開いたメンテナンス位置に変更すると、脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間が生まれ、この空間を利用して作業者が例えば、脱穀装置のグレンタンク側に設ける揚穀装置や還元装置の掃除口を開いて穀粒や藁屑等の除去を行ったり、或いは処理胴の外周を覆うカバーを取り外して処理室内の藁屑の除去や処理網の脱着等のメンテナンスを行うことができる。また、グレンタンクをメンテナンス位置に変更すると、穀粒排出オーガの横ラセンの下方を覆うラセンカバーが機体フレーム上からその外側方に外れる。
【0004】
そこで、このラセンカバーを機体フレームに邪魔されずに取り外すと、ラセンカバー上に残った穀粒や塵埃等を取り除くことができる。しかし、グレンタンク内の上部寄りに付着した塵埃や穀粒はラセンカバーを開いただけでは取り除くことができない。また、横ラセンの上方に設ける流板は、その出し入れによって穀粒排出オーガの流量調節を行うことができる。しかし、この流板の出し入れはグレンタンクに備える穀粒取出用の樋口を開いて、この樋口に腕を入れて手探りで行うことになるので調節作業を行い難いという問題がある。
【0005】
一方、グレンタンクを前述のように回動させて、その前部側が機体フレームの右外方に張り出してエンジンの後方側、及び脱穀装置の右側方を開放するメンテナンス位置と、全体がエンジンの後方に位置するように格納された作業位置とに位置変更可能になすコンバインにあって、そのグレンタンクの機体横外側方である右側壁に右壁面の大部分を開放する大きな開口を設け、大掛かりなメンテナンス時や掃除などの際には作業者が開口からグレンタンク内に入り込んで作業することが開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、グレンタンクの貯留量を測定するグレンセンサをグレンタンクの左側後部で掃除口よりも後方位置に設ける構成とし、従来は、グレンセンサを掃除口上にも設けていた為、掃除口蓋板の取り外しが面倒であったが、本例によると、掃除口上には余分なものがないため、掃除口の開閉が容易である。また、掃除口の上下及び後側開口縁部にフランジ片を設けることで、掃除口を簡単な形状にしながら、グレンタンク自体の強度アップを図ることが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-124787号公報
【文献】特開2016-154494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りにグレンタンクを回動自在に設けると、脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間が生まれ、作業者がこの空間を利用して脱穀装置のグレンタンク側に設ける各種装置のメンテナンスを容易に行うことができる。しかし、グレンタンク自体のメンテナンスとしては、ラセンカバーの取り外しが容易となるといった利点しかなく、改良の余地が残されている。
【0009】
また、前述の特許文献1では、グレンタンクの機体横外側方である右側壁に右壁面の大部分を開放する大きな開口を設け、大掛かりなメンテナンス時や掃除などの際には作業者が開口からグレンタンク内に入り込んで作業することが記載されている。しかし、グレンタンクの機体横外側方である右側壁に右壁面の大部分を開放する大きな開口を設けると、この開口を閉塞する大きな蓋板を多数の連結ボルトによって連結する必要があって、蓋板の着脱に時間を相当要することになると共に、蓋板の存在が機体横外側方からのコンバインの外観を阻害する要因となる。
【0010】
しかも、大きな開口はメンテナンスを行う上では好ましいが、大きな開口を備える右側壁の単体としての強度は低下し、このグレンタンクの製造拠点や右側壁の物流拠点内でのマテリアルハンドリングに悪影響を及ぼし、グレンタンクとして完成させた際にも右側壁としての強度不足が懸念される。さらに、作業者が開口からグレンタンク内に入り込んで作業する場合に、地上から相当高く離れた開口からグレンタンク内に入り込むのが困難であったり、スクリューコンベヤを収容するグレンタンクの幅狭な底部上に立って作業を行うことは一般的に困難であるといった問題がある。
【0011】
その点、前述の特許文献2では、グレンタンクの左側に掃除口を設けるから、コンバインの外観を阻害することなく掃除口を設けることができ、また、掃除口の上下及び後側開口縁部にフランジ片を設けることで、掃除口を簡単な形状にしながら、グレンタンク自体の強度アップを図ることができる。しかし、この掃除口も大きな開口としてこの開口を備える左側壁の単体としてのマテリアルハンドリングに悪影響を及ぼすと共に、これを閉鎖する大きな蓋を多数のボルトによって取り付けたり取り外さなければならず蓋の着脱に時間を相当要することになる。
【0012】
また、この掃除口からグレンタンク内に入り込んで作業する場合には、先の特許文献1と同様にスクリューコンベヤを収容するグレンタンクの幅狭な底部上に立って作業を行うことは困難である。そこで、直立する左側壁の外側から掃除口に上体を入れながらタンク内の掃除を行うことになって、無理な体勢の強要によって困難な作業となる。
【0013】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りに回動自在に設けるグレンタンク、そのタンク自体のメンテナンスを行うためにメンテナンスホール(整備や保守点検用孔)を設ける際に、必要最小限の大きさのホールを設けながら作業者に無理な体勢を強いることなくメンテナンス作業を行うことができるコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のコンバインは前述の課題を解決するため第1に、機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りに回動自在に設けるグレンタンクに、そのタンク内の下部に設ける穀粒排出オーガの横ラセン側に穀粒を集める傾斜壁と、この傾斜壁の上部に連なる直立壁とを備えると共に、当該グレンタンクを外側方に回動させて開いた際にその真下が地上に臨むメンテナンスホールを、前記傾斜壁と直立壁に跨って形成するにあたって、前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセンを収容する樋部の上部に連結する貯留部の一枚板を折曲げて傾斜壁と直立壁を一体に形成する側板に傾斜壁と直立壁に跨って孔を穿ち設けて構成すると共に、前記メンテナンスホールを側板の傾斜壁と直立壁に倣って一枚板を折曲げて形成するホールカバーで覆うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のコンバインは第2に、前記メンテナンスホールを脱穀装置側に臨む機体内側となる傾斜壁と直立壁に跨って形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のコンバインは第3に、前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセンの軸線方向に長い略矩形状に形成し、係るメンテナンスホールから上体を入れて横ラセンの上方に設ける流板の流量調節を行えるようになすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコンバインによれば、機体フレームに併設する脱穀装置との間に整備や保守点検用の空間を設けるべく穀粒排出オーガの旋回中心回りに回動自在に設けるグレンタンクに、そのタンク内の下部に設ける穀粒排出オーガの横ラセン側に穀粒を集める傾斜壁と、この傾斜壁の上部に連なる直立壁とを備えると共に、当該グレンタンクを外側方に回動させて開いた際にその真下が地上に臨むメンテナンスホールを、前記傾斜壁と直立壁に跨って形成する。
【0018】
そのため、グレンタンク内のメンテナンスを行う際にグレンタンクを外側方に回動させて開くと、メンテナンスホールの真下が地上に臨み、そこで、作業者は機体フレーム等に邪魔されることなく地上に立ってホールカバーを取り外し、また、作業者は若干屈みながらメンテナンスホールから上体をグレンタンク内に入れて例えば、タンクの内壁に付着する塵埃や穀粒をブラシ等を用いて掃き落とすことができる。従って、作業者はメンテナンス作業を行う際に無理な姿勢を強いられることなく円滑に作業を終えることができる。
【0019】
なお、作業者はタンク内へ上体を入れたり抜け出す際に、先ずメンテナンスホールの直立壁に相当する比較的高位置にある開口に頭部を入れて、次に傾斜壁に相当する低い位置にある開口に上体を入れる、或いは逆の手順を踏んでタンク内から抜け出せばよく、例えば低い傾斜壁だけにメンテナンスホールを設ける場合より上体の出し入れを容易にすることができる。また、上体を入れる傾斜壁に相当する開口は穀粒排出オーガの横ラセンに近く、そのため、作業者は地上という安定した足場のもとにタンクの深奥に上体を入れて、タンクの内壁にアクセスし易くすることができる。
【0020】
さらに、係るメンテナンスホールは作業者がタンク内へ上体を無理なく入れることができる比較的小さい孔を傾斜壁と直立壁に跨って設ければよく、メンテナンスホールを設けることに伴う傾斜壁や直立壁の強度低下を抑制し、或いは傾斜壁や直立壁を設ける側板の単体としてのマテリアルハンドリングに悪影響を及ばさず、また、メンテナンスホールを閉鎖するホールカバーにしても小さくして、少ないボルトでホールカバーの着脱を短時間で行うことができる等の効果を期待することができる。
【0021】
また、本発明のコンバインによれば、前記メンテナンスホールを脱穀装置側に臨む機体内側となる傾斜壁と直立壁に跨って形成する。そのため、グレンタンクを外側方に回動させて開いて、グレンタンク内のメンテナンスを行い、その後、脱穀装置のグレンタンク側に設ける各種装置のメンテナンスを行ったり、逆に脱穀装置側のメンテナンスを先に行ったりすることが、無駄な手順を省いて各部のトータルとしてのメンテナンスを効率化して速やかにメンテナンス作業を終えることができる。しかも、メンテナンスホールは機体内側となる傾斜壁と直立壁に跨って形成し、これを閉鎖するホールカバーも機体内側に設けることになるから、ホールカバーの存在が機体横外側方からのコンバインの外観を阻害することもない。
【0022】
さらに、本発明のコンバインによれば、前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセンを収容する樋部の上部に連結する貯留部の傾斜壁と直立壁を折曲げて一体に形成する側板に穿ち設ける。そのため、グレンタンクの下部となり穀粒排出オーガの横ラセンを収容する樋部にメンテナンスホールを設ける場合は、強度を確保するために補強板を多数設ける樋部に孔を穿つことになって強度を確保するために構造がより複雑になる。しかし、強度を樋部ほど必要としない貯留部の側板に補強板等に妨げられることなく孔をあければよく、また、側板の折曲げた傾斜壁と直立壁に跨って1つの孔を穿つだけでよいから、貯留部の側板の強度低下を防止しながら構造を複雑にせずコストアップを抑えることができる。
【0023】
そして、本発明のコンバインによれば、前記メンテナンスホールを側板の傾斜壁と直立壁に倣って折曲げて形成するホールカバーで覆う。そのため、グレンタンクに貯留する穀粒の貯留量がメンテナンスホールの新設とホールカバーの追加によって減ることを防止してそれまでの貯留量を維持することができる。また、折曲げて形成するホールカバーは強度が増して単体としての取り扱いも容易となる。
【0024】
また、本発明のコンバインによれば、前記メンテナンスホールを穀粒排出オーガの横ラセンの軸線方向に長い略矩形状に形成し、係るメンテナンスホールから上体を入れて横ラセンの上方に設ける流板の流量調節を行えるようになす。そのため、作業者はメンテナンスを行う際に、横ラセンの軸線方向に長いメンテナンスホールに倣って、その上体を横ラセン軸に向かうように略矩形状の孔に入れて流板の流量調節を行うことができる。また、それによりメンテナンスホールは、作業者の肩幅より若干余裕を持たせた長さを備える比較的小さなメンテナンスホールにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を適用するコンバインの右側面図である。
【
図4】グレンタンクの取付構造を説明する側面図である。
【
図5】グレンタンクをメンテナンス位置に開いた状態を示す平面図である。
【
図6】メンテナンスホールからタンク内に上体を入れてメンテナンスを行う状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至
図3に示すように稲や麦を刈取って穀粒を収穫する6条刈りの自脱型コンバイン1は、略矩形状に枠組みする機体フレーム(機体)2の下方に走行フレーム3を介して左右のクローラ走行装置4を設ける。なお、左右のクローラ走行装置4は、トランスミッションケース5の左右から延出する駆動軸に取付ける駆動スプロケット6と、走行フレーム3に軸支するアイドルホイール7及びトラックローラ8と、これらに巻回するゴムクローラ9を備える。
【0027】
また、機体フレーム2の機体前進方向の右側前部には、略直方体状に枠組みする運転フレーム10を一体的に連結し、この運転フレーム10及びその後方のエンジンルームAの前部寄り上方にかけて操縦部11を設ける。なお、操縦部11はフロアの後方に運転席を設け、また、フロアの前部にはフロントコンソール(前部操作盤)を、フロアと運転席の左側にはサイドコンソール(側部操作盤)を設け、さらに、キャビン12でこれ等を覆っている。
【0028】
また、機体フレーム2の左側前部から操縦部11の前方にかけて刈取部13を図示しない油圧シリンダによって昇降自在に設ける。そして、刈取部13は、その前端下部に設ける分草体14とナローガイド15によって、圃場の立毛穀稈を刈取穀稈と未刈取穀稈とに区分けし、左右の分草体14の間に入った刈取穀稈を引起爪を備える引起装置16によって引起し、その後、突起付き掻込ベルトとスターホイール17で構成する掻込装置で寄せ集めながら穀稈の株元をレシプロ方式の刈刃装置18によって切断する。
【0029】
さらに、刈刃装置18によって切断して刈取った穀稈は、掻込装置のスターホイール17で後方に送り、また、後方に送った穀稈は左右と中央に設ける株元搬送装置に引き継がせて更に後方に向けて搬送する。そして、中央に設ける株元搬送装置の終端部は右株元搬送装置の搬送経路の中途に設ける合流部に臨み、この中株元搬送装置によって搬送した穀稈は、中途の合流部において右株元搬送装置によって搬送してきた穀稈と合流し、以後、右株元搬送装置に引き継がれる。
【0030】
一方、左側に設ける株元搬送装置の終端部は右株元搬送装置の搬送経路の終端部に臨み、この左株元搬送装置によって搬送した穀稈は、右株元搬送装置によって搬送してきた穀稈と、両搬送装置の終端部となる合流部において合流する。また、合流した穀稈は、その始端部を両合流部に臨ませる扱深さ搬送装置19に引き継がせ、更に後上方に向けて搬送する。
【0031】
そして、扱深さ搬送装置19に引き継がせた穀稈は、扱深さ搬送装置19の終端部から補助搬送装置を介して脱穀フイードチェーン20に引き継がせる。なお、ここまで主に穀稈の株元側の搬送経路について説明したが、穀稈の穂先側は右株元搬送装置と扱深さ搬送装置19、及び補助搬送装置の上方側に設ける穂先搬送装置21と、左株元搬送装置及び中株元搬送装置の上方側に設ける左掻込搬送装置と中掻込搬送装置の各搬送チェーンに取付ける搬送爪に係止して搬送する。
【0032】
また、脱穀部は脱穀装置22を主体として刈取部13後方の機体フレーム2の左側に設け、この脱穀装置22の上方を覆うシリンダーカバー23の下方に扱室と処理室を設ける。この内、扱室には刈取部13から搬送してきた穀稈を扱口に沿って搬送する脱穀フイードチェーン20とその挟持レール24、扱歯を備える扱胴とその受網等を設ける。また、処理室は扱胴の後端穂先側より機体の後方に向かうように扱室に併設し、扱室で脱粒処理しきれなかった穀粒の混ざった藁屑等を処理する処理胴とその処理網を設ける。
【0033】
一方、扱室と処理室の下方には選別室を設ける。この選別室には揺動運動する揺動流板、1番ラセン及び2番ラセン、唐箕ファン及び吸引ファン等を設け、扱室や処理室の受網等より漏下した穀粒等を揺動流板上において選別し、選別した穀粒は1番ラセンから揚穀装置25を介してグレンタンク(穀粒タンク)26に移送し、藁屑等が混じった2番物は2番ラセンから2番還元装置を介して揺動流板上に戻す。
【0034】
また、揺動流板の終端に至った藁屑、吸引ファンに捕捉された藁屑、或いは処理胴の終端から排出された藁屑は、脱穀装置22後方の機外に排出する。さらに、脱穀処理を完了して扱室から排出する排稈は、排藁搬送装置27によってディスク型カッター28に向けて搬送し、さらに、ディスク型カッター28は、排藁搬送装置27で搬送してきた排稈を細断して刈取跡地に切藁として放出する。
【0035】
そして、前述のグレンタンク26は、操縦部11の後方に設けるディーゼルエンジンやこのエンジンの冷却水を冷やすラジエータ、或いはエンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナや排気ガス後処理装置等から構成する原動部29のさらに後方に設け、脱穀装置22の揚穀装置25によって移送してきた穀粒を一時的に貯留する。また、グレンタンク26内に穀粒が満杯になると、グレンタンク26から穀粒を排出して機外のコンテナ等に放出すべく穀粒排出オーガ30を設ける。
【0036】
さらに、この穀粒排出オーガ30は、
図4に示すように機体フレーム2の右側後部寄りに駆動用油圧モータ(不図示)を備える入力ギヤケース31を固設し、この入力ギヤケース31の上部に駆動ケース32を回動自在に支持する。また、駆動ケース32の前部にはグレンタンク26の後壁の下部寄りを取付け、駆動ケース32の上部には第1縦パイプ33を回動自在に支持する。さらに、第1縦パイプ33の上部寄りは機体フレーム2に立設するオーガーステー34にメタル35を介して回動自在に支持する。
【0037】
また、第1縦パイプ33の上部寄りにホルダ36を相対回転自在に取付け、このホルダ36をグレンタンク26の後壁の上部寄りに取付ける。さらに、第1縦パイプ33の下部寄りの外周にギヤ体を固設し、このギヤ体に噛み合う駆動ギヤを備える旋回モータ37をブラケット38を介してオーガーステー34に取付ける。また一方、第1縦パイプ33の上部には相互に回動自在に連結する1対のエルボ状のギヤケース39、40の一方を取り付け、また、他方のギヤケース40に第2縦パイプ41を取付けて設ける。
【0038】
そして、前記駆動ケース32とグレンタンク26の底部に
図8乃至
図10に示すように横ラセン42を横設してベアリングを介して回転自在に軸支する。また、駆動ケース32と第1縦パイプ33、ギヤケース39、40、及び第2縦パイプ41内に縦ラセン43を設けてベアリングを介して回動自在に軸支する。さらに、これらの横ラセン42と縦ラセン43を、駆動用油圧モータによってギヤケース31、駆動ケース32、及びギヤケース39、40内に設ける歯車伝達機構を介して駆動するように構成し、これによって、グレンタンク26内の穀粒を横ラセン42と縦ラセン43によって移送して、第2縦パイプ41の先端に設ける排出口44から穀粒を機外に放出する。
【0039】
また、その場合、ギヤケース39と第2縦パイプ41との間に設ける油圧シリンダ45を作動させると第2縦パイプ41をコンバイン1の上方に格納した姿勢から起立させた旋回・排出姿勢に起伏(上下)させることができる。また、前述の旋回モータ37を作動させると第1縦パイプ33、ギヤケース39、40、及び第2縦パイプ41を、穀粒排出オーガ30の旋回中心となる第1縦パイプ33内に設ける縦ラセン43の軸心を中心に一体的に時計回り、或いは半時計回りに回転させることができ、それにより穀粒排出オーガ30を格納位置と排出位置に亘って旋回させることができる。
【0040】
その一方、前述のようにグレンタンク26は、その後壁の上下をホルダ36と駆動ケース32に取付ける。そのため、グレンタンク26は、穀粒排出オーガ30の旋回中心(第1縦パイプ33内に設ける縦ラセン43の軸心)回りに回動自在に設けることになって、これによりグレンタンク26は、
図3に示すようにその前部寄りを機体内側方に回動させて機体フレーム2に設ける脱穀装置22に併設する穀粒を貯留する位置と、
図5に示すようにその前部寄りを機体外側方に回動させて脱穀装置22、或いは原動部29との間に整備や保守点検用の空間を設けるメンテナンス位置に回動させることができる。
【0041】
以上、コンバイン1の概要と穀粒排出オーガ30並びにグレンタンク26の回動構造について説明したが、次に、グレンタンク26自体のメンテナンスについて説明すると、先ずグレンタンク26は
図7乃至
図10に示すように、鋼板で形成する前壁と後壁と左右の傾斜側壁で倒三角柱状に形成する下部寄りの樋部46と、この樋部46の上方にあって前壁と後壁と右側壁と左側壁と天井壁で略々直方体状に形成する上部寄りの貯留部47をボルトで一体に連結して穀粒を貯留するタンクに構成する。
【0042】
そして、前記樋部46は、その内部に横ラセン42をその軸心が前後方向となるように収容し、横ラセン42の前端部は前壁48に取付ける前取付板49にベアリングを介して回転自在に軸支する。また、横ラセン42の後端部は駆動ケース32に軸支するが、樋部46はその後壁50に取付ける後取付板51を介して駆動ケース32に取付ける。さらに、横ラセン42の下方を覆うラセンカバー52を左傾斜側壁53の下端にヒンジを介して回動自在に取付け、また、ラセンカバー52の右側端部を複数の蝶ナットで右傾斜側壁54に開閉自在に取付ける。
【0043】
また、右傾斜側壁54の下部寄りに孔54aを穿ち設け、この孔54aを塞ぐシャッター55とシューター56を設けて樋口となし、この樋口に例えば籾袋を臨ませてタンク内の穀粒を籾袋に取り出すことができるようにする。また、右傾斜側壁54には
図4に示すように樋部46の外方側を覆うタンク下部カバー57を着脱自在に取付ける前後のブラケット54bとタンク固定レバー58を取付けるブラケット54cを設ける。
【0044】
さらに、前壁48に取付ける前取付板49にはタンクロックレバー59をスプリング60に抗して引き操作可能に又上方に回動自在に取付け、このタンクロックレバー59を機体フレーム2上に固着するプレート2aの直立片に係脱自在に設ける。また、前取付板49の下部にベアリング61を軸支し、このベアリング61をプレート2a上に置いてグレンタンク26の前部寄りを機体フレーム2に支持させる。また、前取付板49に形成する取っ手49aに手を入れてグレンタンク26をメンテナンス位置に引っ張ると、ベアリング61が回動しながグレンタンク26を支持するので、軽くグレンタンク26を回動させることができる。
【0045】
なお、樋部46には穀粒や貯留部47の構成部材等の荷重が作用するので強度アップを図る必要があり、例えばその左傾斜側壁53には前後方向となる多数の補強板Bを固着し、その右傾斜側壁54には上下方向となる補強板Cを固着し、或いは左右の傾斜側壁53、54の上部寄りに亘って左右方向となる複数の梁を固着して設け、上方に設ける貯留部47より強固に構成して構造が複雑になっている。
【0046】
次に、樋部46の上部にボルトで取付ける貯留部47について説明すると、貯留部47の前壁62は鋼板を折り曲げて形成し、樋部46の前壁48の上端に取付ける下部寄りの直立壁62aと後方に向けて傾斜させる傾斜壁62bと上部寄りの直立壁62cと、直立壁62aと傾斜壁62bの左端に連なる後端をやや左側方に拡げる直立壁62dによって形成し、特に上部寄りの直立壁62cを樋部46の前壁48より後方に位置させることによって、原動部29の上部寄り後部に設ける排気ガス後処理装置やプレクリーナとの干渉を防止する。
【0047】
また、貯留部47の後壁63は、その下部寄りを第1縦パイプ33側となる後方に向けて若干張り出すように折り曲げて設ける直立壁63aの上部寄りを前方にやや傾斜させて設ける傾斜壁63bを備え、この直立壁63aの上部寄りに前述のホルダ36を取付けて、第1縦パイプ33にグレンタンク26の上部寄りを支えさせる。さらに、貯留部47の右側壁64は、前後方向となる補強部材64aを上下方向の中間部内側に固着して設ける直立壁64bと、この直立壁64bの内側に固着して貯留部47の前壁62と後壁63の右端部にボルトで取付ける取付壁64cを備え、この前後の取付壁64cは貯留部47の前壁62と後壁63の一部と見做すこともできる。
【0048】
なお、後取付壁64cと後壁63との取付部にはブラケットを取付け、このブラケットに支持ピンを設けて穀粒排出オーガ30の第1縦パイプ33等を覆うタンク後部カバー65を回動自在に設け、タンク後部カバー65の後部寄りに設けるフックをオーガーステー34に設ける係止部34aのピンに止着して閉じ状態に保持する。また、貯留部47の左側壁66は、樋部46の左傾斜側壁53の上部にボルトで取付ける下側板67とこの下側板67の上端部にリベット止め又は溶接して一体化する上側板68によって構成する。
【0049】
また、この下側板67と上側板68の前後の端部は、前壁62と後壁63の各壁62b、62c、62d、63a、63bの左端部にリベット止め又は溶接してこれらと一体化する。そして、下側板67は上下方向の中間部でく字状に折曲げて形成し、この下側板67の下部となる傾斜壁67aは、樋部46の左傾斜側壁53を上方に延長するように同角度機体内側に向けて傾けて設ける。また、下側板67の上部は右側壁64の直立壁64bと平行な直立壁67bとする。
【0050】
従って、グレンタンク26内に貯留する穀粒を穀粒排出オーガ30の作動によって機外に排出する際に、貯留部47の前記機体内側となる傾斜壁67aと樋部46の左傾斜側壁53の上面に堆積した穀粒は、これ等の上面を滑落して穀粒排出オーガ30の横ラセン42側に向けて集められて、その後、横ラセン42及び縦ラセン43の回転によって機外に排出することができる。
【0051】
一方、前述の貯留部47の機体内側となる傾斜壁67aと直立壁67bに跨って孔を穿ち設けて、本発明の特徴とするメンテナンスホール(整備や保守点検用孔)67cを設ける。即ち、下側板67の前後方向(横ラセン42の軸線方向)となるやや前方側の中央部に孔67cを穿ち、この孔67cの傾斜壁67aと直立壁67bに沿う縦方向の長さは略等しく、また、前後方向となる横方向の長さが若干、縦方向の長さより長い略矩形状の孔67cを設ける。
【0052】
そして、このメンテナンスホール67cを覆って閉鎖する略矩形状のホールカバー69を、下側板67の傾斜壁67aと直立壁67bに倣って鋼板をく字状に折曲げて形成し、このホールカバー69をメンテナンスホール67cの周縁部に機体内方側からあてがって複数のボルトで着脱自在に締結して取付ける。なお、係るホールカバー69の周縁部69aは外側方に向けて折り曲げて、ホールカバー69、延いては下側板67の強度をアップする補強部に構成する。
【0053】
また、前述の上側板68は、下側板67の直立壁67bと同様の直立壁68aを備え、この直立壁68aの前方寄りの上部には後上方に向かう矩形状の穀粒の受入口68bを穿ち設け、この受入口68bは揚穀装置25の出口ケース25aにシールを介して密着して、揚穀装置25によって移送した穀粒をグレンタンク26内に受け入れる孔となる。さらに、直立壁67bの前方寄りの中程外面にはブラケット70を取付け、このブラケット70にはタンク固定レバー58にワイヤーを介して回動操作されるフック71を設ける。そして、フック71は揚穀装置25に設けるピンに係脱してグレンタンク26を穀粒を貯留する位置に固定、或いはその固定を解除することができる。
【0054】
さらに、上側板68の後部寄りには機体内側に向けて膨出する穀粒の拡張室72を設ける。そして、この拡張室72は前壁72a、後壁72b、左傾斜壁72c、左直立壁72d、天井壁72eを備え、これ等の壁の右側となる周縁部を上側板68の後部寄りに設ける開口68cの周縁部にボルト又はリベット止め或いは溶接して上側板68と一体化し、この内部を穀粒の拡張室72となす。
【0055】
なお、グレンタンク26の貯留部47の上方を覆う天井壁は略矩形状の天板73によって構成し、この天板73はその下方となる各壁62c、63b、64b、68aの上端部にボルトで着脱自在に取付ける。また、天板73の前部寄りには矩形状の点検孔73aを設け、この点検孔73aを後部のヒンジを中心に開閉自在な透明カバー74で覆う。さらに、点検孔73aの後方には穀粒の品質を測る計測装置を後付け可能な矩形状の孔73bを設けると共に、この孔73bを塞ぐカバー75をボルトで固定する。
【0056】
また、
図8乃至
図10に示すように、穀粒排出オーガ30の横ラセン42の上方には、逆V字状になす流板76を固着したパイプ77を駆動ケース32と前取付板49に回動自在に軸支する。また、横ラセン42の前端寄りに設ける偏心カムにパイプ77の前端寄りに設けるアーム77aを係合させて、流板76の左右端側が横ラセン42の回転に伴って上下動するように揺動運動させる。
【0057】
そのため、この流板76は横ラセン42の上方に堆積しようとする穀粒の重量を自ら受け止めて、横ラセン42に大きな穀粒圧が加わることを防止する。また、横ラセン42の回転に伴って流板76の左右端側が上下方向に揺動して周辺の穀粒に振動を与えるから、穀粒を流板76と右傾斜側壁54との間、また、流板76と左傾斜側壁53との間に形成する流路に導き、そして、この穀粒を横ラセン42に順次流下させて、穀粒の停滞を防止する。
【0058】
さらに、流板76の左傾斜部には、その長穴の範囲で進退させてフランジナットによって固定する流量調節板78を2枚に分けて設ける。そのため、流板76と左傾斜側壁53との間の間隔はこの流量調節板78の進退調節によって変更することができ、例えば、横ラセン42に一時に穀粒が流下して横ラセン42、延いては横ラセン42と縦ラセン43の搬送負荷が大きくなる場合は、両者の間隔が狭くなるように流量調節板78を調節して搬送負荷を少なくする。また、逆に搬送負荷に余裕があれば両者の間隔を拡げて穀粒の迅速な機外への排出を促す。
【0059】
そして、以上のように構成するグレンタンク26の内壁や、グレンタンク26の後壁63、72bに取付けて設ける籾センサ79のダイヤフラム等に付着する塵埃や穀粒を取り除いて掃除したり、或いは、上述の流板76の流量調節等を行う場合には、脱穀装置22や原動部29のメンテナンスを行う場合と同様に、グレンタンク26をメンテナンス位置に回動させて作業を行う。より詳細に説明すると、グレンタンク26をメンテナンス位置に回動させる際には、先ずタンク下部カバー57を取り外すと共に、タンク後部カバー65の閉じ状態を解除してこのカバーを自由に回動できるようにする(
図4参照)。
【0060】
次に、樋部46の前部右下部寄りに設けるタンクロックレバー59を後方に向けて引くと共に上方に回動操作して、樋部46と機体フレーム2との固定を解除する。また、タンク固定レバー58を左手で上方に回動操作して、貯留部47の機体フレーム2側との固定を解除しながら、右手で前取付板49に形成する取っ手49aを掴んで手前に引っ張ると、グレンタンク26の下部は機体フレーム2にベアリング61を介して支持されながら、グレンタンク26の前部寄りを機体の右外方に引き出すことができる。
【0061】
そして、引き出したグレンタンク26は、図示しない機体フレーム2とグレンタンク26の下部に設けたストッパが互いに当接するまで最大に回動させることができるが、その若干、手前の回動位置となる
図5に示すメンテナンス位置に回動させる。そこで、
図7に示す樋部46の左傾斜側壁53にその一端部を回動自在に取り付けるロッド26aをクランプ26bから外して、その他端部を機体フレーム2に固着する孔2bに嵌めて係止すると、グレンタンク26をメンテナンス位置に保持することができる。
【0062】
また、このようにグレンタンク26をメンテナンス位置に回動させた場合に、前述のグレンタンク26に設けるメンテナンスホール67cは、その真下が地上に臨む。そこで、作業者は
図6に示すように機体フレーム2やクローラ走行装置4等に邪魔されることなく地上に立ってホールカバー69を工具を用いて取り外す。また、作業者は若干屈みながらメンテナンスホール67cから上体をタンク26内に入れて例えば、タンク26の内壁に付着する塵埃や穀粒をブラシやブロワー等を用いて掃き落とすことができる。
【0063】
なお、作業者はタンク26内へ上体を入れたり抜け出す際に、先ずメンテナンスホール67cの直立壁67bに相当する比較的高位置にある開口に頭部を入れて、次にメンテナンスホール67cの傾斜壁67aに相当する低い位置にある開口に上体を入れる、或いは逆の手順を踏んでタンク26内から抜け出せばよく、例えば低い傾斜壁67aだけにメンテナンスホールを設ける場合より上体の出し入れを容易にすることができる。また、上体を入れる傾斜壁67aに相当する開口は穀粒排出オーガ30の横ラセン42に近く、そのため、作業者は地上という安定した足場のもとにタンク26の深奥に上体を入れて、タンク26の内壁にアクセスし易くなる。
【0064】
さらに、係るメンテナンスホール67cは作業者がタンク内へ上体を無理なく入れることができる比較的小さい孔を傾斜壁67aと直立壁67bに跨って設ければよく、メンテナンスホールを設けることに伴う傾斜壁67aや直立壁67bの強度低下を抑制し、或いは傾斜壁67aや直立壁67bを設ける下側板67の単体としてのマテリアルハンドリングに悪影響を及ばさず、また、メンテナンスホール67cを閉鎖するホールカバー69にしても小さくして、少ないボルトでホールカバー69の着脱を短時間で行うことができる。
【0065】
また、メンテナンスホール67cは脱穀装置22側に臨む機体内側となる貯留部47の左側壁66の傾斜壁67aと直立壁67bに跨って形成するから、グレンタンク26を外側方に回動させて開いて、メンテナンスホール67cから上体をタンク26内に入れてグレンタンク26内のメンテナンスを行い、その後、脱穀装置22のグレンタンク26側に設ける各種装置のメンテナンスを行ったり、逆に脱穀装置22側のメンテナンスを先に行ったりすることが、無駄な手順を省いて各部のメンテナンスを効率的に行うことができる。
【0066】
なお、グレンタンク26の内壁に付着する塵埃や穀粒をブラシやブロワー等を用いて掃き落とすと、これ等は最終的に穀粒排出オーガ30の横ラセン42やラセンカバー52上に堆積することになる。そこで、これ等を機外に排出するためにメンテナンス終了後に穀粒排出オーガ30を駆動して穀粒排出オーガ30の排出口44から排出させる。或いは、完璧を期すのであればラセンカバー52を開放させて取り除くことができる。
【0067】
また、穀粒排出オーガ30の横ラセン42に付設する流板76の流量調節を行う場合には、前述のように作業者がメンテナンスホール67cからタンク26内に上体を入れて、横ラセン42の上方に設ける流量調節板78をフランジナットを緩めて左傾斜側壁53との間の間隔を目視しながら進退調節して流板76の流量調節を行う。
【0068】
そして、この場合、下側板67の横ラセン42の軸線方向となるやや前方側の中央部にメンテナンスホール67cを穿って設けるから、横ラセン42の軸線方向に沿って設ける2つの流量調節板78に対面しながら手を伸ばして、その進退調節を確実に行うことができる。また、それによりメンテナンスホール67cは、作業者の肩幅より若干余裕を持たせた長さを備える比較的小さなメンテナンスホールにすることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明したが、グレンタンク26のメンテナンスホール67cは貯留部47の左側壁66に限らず、貯留部47の右側壁64に直立壁の他に傾斜壁を備えるものであれば、この右側壁64に設けてもよく、或いはメンテナンスホール67cを樋部46の左傾斜側壁53の上部まで跨って形成してもよく、本発明は、その技術的思想に基づいて様々な形態に変更して実施することができ、必ずしも前述の実施形態に限定するものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 コンバイン
2 機体フレーム
22 脱穀装置
26 グレンタンク
30 穀粒排出オーガ
42 横ラセン
46 樋部
47 貯留部
67 下側板(側板)
67a 傾斜壁
67b 直立壁
67c メンテナンスホール
69 ホールカバー