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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】圧力開放装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/12 20060101AFI20240612BHJP
   F16K 17/04 20060101ALI20240612BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20240612BHJP
   G21C 9/004 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
F16K17/12
F16K17/04 B
F16K31/18 C
G21C9/004
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020181230
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072035
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室園 佳孝
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-86323(JP,A)
【文献】特開2000-149887(JP,A)
【文献】特開平7-318679(JP,A)
【文献】特開2019-120537(JP,A)
【文献】特開平7-83339(JP,A)
【文献】特開昭56-150394(JP,A)
【文献】実開昭60-35971(JP,U)
【文献】実開昭61-97421(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00-17/168
F16K 31/18
G21C 9/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物の外壁に形成された連通路に設置される圧力開放装置において、
前記連通路の開口を開閉可能に塞ぐ閉塞材を備え、
前記閉塞材は、前記建築構造物の内部の圧力が規定値を超えると、前記連通路の開口を開放し、前記建築構造物の内部の圧力が前記規定値よりも下がると、前記閉塞材の自重、前記閉塞材の浮力又は、弾性部材の弾性力により前記開口を塞ぐ閉塞位置に戻り、
前記連通路には、前記閉塞材が鉛直方向に移動可能に配置される設置部が形成され、
前記閉塞材は、
前記建築構造物の内部の圧力により鉛直方向の上方に向けて上昇し、前記設置部の壁面から離反し、
前記建築構造物の内部の圧力が前記規定値よりも下がると、前記閉塞材の自重により前記設置部の壁面に接触する閉塞位置に戻る
圧力開放装置。
【請求項2】
前記設置部は、鉛直方向の下方に向かうにつれて、その開口の大きさが連続して小さく形成されている
請求項に記載の圧力開放装置。
【請求項3】
建築構造物の外壁に形成された連通路に設置される圧力開放装置において、
前記連通路の開口を開閉可能に塞ぐ閉塞材を備え、
前記閉塞材は、前記建築構造物の内部の圧力が規定値を超えると、前記連通路の開口を開放し、前記建築構造物の内部の圧力が前記規定値よりも下がると、前記閉塞材の自重、前記閉塞材の浮力又は、弾性部材の弾性力により前記開口を塞ぐ閉塞位置に戻り、
前記外壁の外側には、水が貯蔵される貯水部が設けられ、
前記貯水部は、前記連通路が形成された前記外壁と接して配置され、
前記連通路における前記外壁の外側に形成された外側開口を覆い、一部が前記貯水部に貯蔵された水に挿入される支持部材を備え、
前記閉塞材は、前記貯水部に貯蔵された前記水の中において、前記支持部材により移動可能に支持され、
前記建築構造物の内部の圧力が前記規定値を超えると、前記閉塞材は、前記圧力により鉛直方向の下方に沈降し、
前記建築構造物の内部の圧力が前記規定値よりも下がると、前記閉塞材の浮力により前記支持部材の内壁面に接触する閉塞位置に戻る
圧力開放装置。
【請求項4】
前記支持部材における鉛直方向の下端部の内壁面には、前記閉塞材が接触するテーパー部が形成されており、
前記テーパー部は、鉛直方向の上方に向かうにつれて、その開口の大きさが連続して小さく形成されている
請求項に記載の圧力開放装置。
【請求項5】
前記閉塞材は、球状に形成されている
請求項1又は3に記載の圧力開放装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物に設けられて建築構造物内の圧力が上昇した際に、その圧力を開放する圧力開放装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所や工場等の構造物には、安全対策として、建築構造物内の圧力が上昇した際に、建築構造物に設けた開口部を開放し、建築構造物内の圧力を低下させる圧力開放装置が設置されている。従来の圧力開放装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、第1の固定具で外壁に仮固定される第1ブローアウトパネルと、第2の固定具で外壁に仮固定される第2ブローアウトパネルと、保護パネルと、保護パネル作動器とを備えた技術が記載されている。特許文献1に記載された技術では、建屋の内圧が所定値以上に上昇すると、第1の固定具が外れ第1のブローアウトパネルが外れて下側開口部が開放される。そして、第1の固定具が外れたのが保護パネル作動器によって検知されて保護パネルが下動し、第2のブローアウトパネルが建屋内に露出するとともに、保護パネルによって下側開口部が塞がれる。これにより、特許文献1に記載された技術では、開放動作した後に再度使用可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-138756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、圧力を開放した後、再び建築構造物の開口を塞ぐ復帰動作を行うために、保護パネルや第2のブローアウトパネルが必要となっていた。そのため、特許文献1に記載された技術では、圧力を開放した後に再び開口を塞ぐ機構が複雑なものとなっていた。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、簡易な構成で圧力を開放した後の開口を閉じることができる圧力開放装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するため、圧力開放装置は、建築構造物の外壁に形成された連通路に設置される圧力開放装置であり、連通路の開口を開閉可能に塞ぐ閉塞材を備えている。そして、閉塞材は、建築構造物の内部の圧力が規定値を超えると、連通路の開口を開放し、建築構造物の内部の圧力が規定値よりも下がると、閉塞材の自重、閉塞材の浮力又は、弾性部材の弾性力により開口を塞ぐ閉塞位置に戻る。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の圧力開放装置によれば、簡易な構成で圧力を開放した後の開口を閉じることができる。
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置を示す模式図である。
図2】第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置が動作し、連通路が開放した状態を示す模式図である。
図3】第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置を示す模式図である。
図4】第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置が動作し、連通路が開放した状態を示す模式図である。
図5】第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置を示す模式図である。
図6】第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置が開放された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、圧力開放装置の実施の形態例について説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0011】
1.第1の実施の形態例
1-1.圧力開放装置の構成例
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる圧力開放装置について、図1を参照して説明する。
図1は、圧力開放装置を示す模式図である。
【0012】
図1に示す圧力開放装置1は、原子力発電所や工場等の建築構造物に設置される。建築構造物の外壁100には、建築構造部の内側と外側を連通させる連通路101が形成されている。連通路101における外壁100の外壁面100a側の外側開口101aは、鉛直方向の上側を向いている。また、連通路101における外壁100の内壁面100b側の内側開口101bは、水平方向に沿って形成されている。なお、内側開口101bは、鉛直方向の下側に向いていてもよい。
【0013】
連通路101の壁面には、設置部102が形成されている。設置部102は、外側開口101aから内側開口101bに向かうにつれて、その開口径が連続して小さくなるように略円錐形状又は、略半球状に窪んでいる。この設置部102には、圧力開放装置1が設置される。
【0014】
圧力開放装置1は、閉塞材2と、気密パッキン3とを有している。閉塞材2は、例えば、略球状に形成されている。閉塞材2は、連通路101における外側開口101aから連通路101内に挿入される。そして、閉塞材2は、設置部102において鉛直方向に移動可能に配置される。図1に示す閉塞状態では、閉塞材2は、自重により設置部102の鉛直方向の下部に配置され、連通路101の開口を塞ぐ。この図1に示す閉塞材2の位置を閉塞位置とする。また、閉塞材2の重量は、圧力開放装置1が建築構造物の開口を開放する規定の圧力に応じた重量に設定されている。
【0015】
なお、本例では、閉塞材2を球状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。閉塞材2の形状としては、鉛直方向の下側に向かうにつれて外径が連続して小さくなる形状であればよく、例えば、円錐や円錐台形状等その他各種の形状であってもよい。しかしながら、開閉動作する際に、閉塞材2が連通路101内で回転することを考慮すると、閉塞材2は、略球状に形成することが好ましい。
【0016】
気密パッキン3は、設置部102における内側開口101b側に配置されている。気密パッキン3は、設置部102の内壁面の周方向に沿って連続して配置される。そして、気密パッキン3は、閉塞材2と設置部102との隙間を密閉する。これにより、建築構造物の内側は、圧力開放装置1により気密性が確保される。
【0017】
1-2.圧力開放装置の動作例
次に、上述した構成を有する圧力開放装置1の動作例について図1及び図2を参照して説明する。
図2は、圧力開放装置が動作し、連通路が開放した状態を示す模式図である。
【0018】
例えば、建築構造物の内側において蒸気配管が判断した場合、建築構造物内の圧力が上昇する。そのため、圧力開放装置1の閉塞材2に対して鉛直方向の上向きの圧力が加わる。建築構造物内の圧力が規定値を超えると、図2に示すように、閉塞材2は、建築構造物内の圧力により鉛直方向の上方に向けて上昇し、設置部102の壁面から離反する。閉塞材2が上昇することで、閉塞材2と設置部102の壁面との間に隙間が発生し、連通路101が開放される。この閉塞材2と設置部102との間に生じた隙間が圧力流路M1となり、建築構造物内の圧力が外側へ開放される。
【0019】
また、連通路101が開放されることで、建築構造物内の圧力が低下する。そして、建築構造物内の圧力が規定値よりも下がると、閉塞材2は、自重により設置部102の壁面に沿って下降する。これにより、閉塞材2は、図1に示す閉塞位置に戻り、連通路101が閉塞材2により塞がれる。このように、本例の圧力開放装置1によれば、閉塞材2が圧力と自重(重力)により、鉛直方向に移動することで、連通路101の開放と、閉塞を自動的に行うことができる。その結果、簡易な構成で圧力を開放した建築構造物の開口を閉じることができる。
【0020】
また、圧力開放時に閉塞材2が連通路101の外側開口101aから外側に抜け出ることを防止するために、抜け止め突起を設けてもよい。抜け止め突起は、設置部102よりも鉛直方向の上側や、外側開口101aに内壁部に設けられる。
【0021】
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置について図3及び図4を参照して説明する。
図3は、第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置を示す模式図、図4は、第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置が動作し、連通路が開放した状態を示す模式図である。
【0022】
この第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置10が、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と異なる点は、閉塞材が浮力により移動する点である。そのため、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0023】
図3に示すように、建築構造物の外壁100には、連通路101が形成されている。連通路101の外側開口101aと内側開口101bは、水平方向に沿って形成されている。なお、外側開口101a及び内側開口101bを鉛直方向に沿って形成してもよい。また、建築構造物における外壁100の外側には、貯水部105が形成されている。この貯水部105は、連通路101の外側開口101aの近傍において、連通路101が形成された外壁100に接している。この貯水部105には、水W1が貯蔵されている。
【0024】
第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置10は、外壁100の外壁面100a及び貯水部105に配置されている。圧力開放装置10は、閉塞材12と、中空の支持部材13とを有している。
【0025】
支持部材13は、外壁100の外壁面100aに固定される固定部13aと、一部が貯水部105に貯蔵された水W1に挿入される支持部13bとを有している。支持部13bは、固定部13aにおける外壁面100aとは反対側の端部から連続して形成されている。そして、固定部13a及び支持部13bは、連通路101における外側開口101aの周囲を覆う。支持部13bは、固定部13aから鉛直方向の下側に向けて延在している。そして、支持部13bの下端部は、貯水部105に貯蔵された水W1内に配置される。
【0026】
支持部13bの下端部の内壁面には、テーパー部13cが形成されている。テーパー部13cは、鉛直方向の上方に向かうにつれて、その開口径が小さくなっている。テーパー部13cと貯水部105の側面部105bの間には、閉塞材12が移動可能に配置されている。すなわち、閉塞材12は、貯水部105に貯蔵された水W1の中に配置される
【0027】
閉塞材12は、第1の実施の形態例にかかる閉塞材2と同様に略球状に形成されている。閉塞材12は、支持部13bにより鉛直方向に沿って移動可能に支持される。また、閉塞材12は、所定の浮力を有している。そのため、図3に示す閉塞状態では、閉塞材2は、浮力により支持部材13のテーパー部13cにおける鉛直方向の上部側に配置される。そして、閉塞材12は、テーパー部13c及び貯水部105の側面部105bに密接する。これにより、建築構造物の内側と外側を連通する開口が閉塞材12及び支持部材13によって塞がれ、建築構造物の内側は、圧力開放装置10により気密性が確保される。この図3に示す閉塞材12の位置を閉塞位置とする。
【0028】
また、閉塞材12の浮力は、圧力開放装置10が建築構造物の開口を開放する規定の圧力に応じた浮力に設定されている。なお、支持部13bを筒状に形成し、支持部13bの筒孔内に閉塞材12を配置してもよい。
【0029】
閉塞材12の形状としては、球状に限定されるものではなく、鉛直方向の上側に向かうにつれて外径が連続して小さくなる形状であればよく、例えば、円錐や円錐台形状等その他各種の形状であってもよい。しかしながら、開閉動作する際に、閉塞材12が支持部13b内で回転することを考慮すると、閉塞材12は、略球状に形成することが好ましい。
【0030】
次に、第2の実施形態例にかかる圧力開放装置10の動作例について説明する。
例えば、建築構造物の内側において蒸気配管が判断した場合、建築構造物内の圧力が上昇すると、連通路101及び支持部材13を介して建築構造物内の圧力が閉塞材12に加わる。そして、建築構造物内の圧力が規定値を超えると、図4に示すように、閉塞材12は、鉛直方向の下方に向けて沈降する。閉塞材12が沈降することで、閉塞材12と支持部材13及び貯水部105の側面部105bの間に隙間が発生する。この隙間が圧力流路M1となり、連通路101が開放され、建築構造物内の圧力が外側へ開放される。
【0031】
また、連通路101が開放されることで、建築構造物内の圧力が低下する。そして、建築構造物内の圧力が規定値よりも下がると、閉塞材12は、浮力により支持部材13のテーパー部13cに沿って浮き上がる。これにより、閉塞材12は、図3に示す閉塞位置に戻り、連通路101及び支持部材13の開口が閉塞材12により塞がれる。このように、第2の実施の形態例の圧力開放装置10によれば、閉塞材12が圧力と浮力により、移動することで、連通路101の開放と、閉塞を自動的に行うことができ、簡易な構成で圧力を開放した建築構造物の開口を閉じることができる。
【0032】
また、圧力開放時に閉塞材12が支持部材13から外側に抜け出ることを防止するために、支持部材13の鉛直方向の下端部に抜け止め突起を設けてもよい。また、支持部材13における支持部13bの下端部と貯水部105の底面部105aの間隔の長さh1と、閉塞材12の直径h2よりも小さくしてもよい。これにより、閉塞材12が支持部材13から外側に抜け出ることを防止することができる。
【0033】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する圧力開放装置10によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置10と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
3.第3の実施の形態例
次に、第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置について図5及び図6を参照して説明する。
図5は、第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置を示す模式図、図6は、第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置が動作し、連通路が開放した状態を示す模式図である。
【0035】
この第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置20が、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と異なる点は、閉塞材が弾性部材の弾性力により移動する点である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、建築構造物の外壁100には、連通路101が形成されている。また、外壁100の外壁面100aには、連通路101の外側開口101aを囲むようにして設置部106が形成されている。設置部106は、外壁面100aから建築構造物の内側に向けて凹んだ凹部である。また、設置部106は、外壁面100aから建築構造物の内側に向かうにつれてその開口が小さくなるすり鉢状に形成されている。この設置部106には、後述する圧力開放装置20の閉塞材22が離反可能に嵌り込む。
【0037】
圧力開放装置20は、可動機構21と、閉塞材22と、気密パッキン23とを有している。閉塞材22は、略平板状に形成されている。閉塞材22の外縁部22aは、設置部106の形状に傾斜している。閉塞材22の外縁部22aは、設置部106の壁面と対向する。図5に示す閉塞状態では、閉塞材22は、設置部106に嵌り込み、連通路101の外側開口101aを塞ぐ。この閉塞材22の位置を閉塞位置とする。
【0038】
また、閉塞材22の外縁部22aと設置部106との間には、気密パッキン23が設けられている。気密パッキン23は、閉塞材22と設置部106との隙間を密閉する。
【0039】
閉塞材22における建築構造物の内側を向く端面には、接続穴22bが形成されている。接続穴22bには、雌ねじが形成されている。この接続穴22bには、後述する可動機構21の軸部24が接続される。
【0040】
可動機構21は、軸部24と、第1受け部25と、弾性部材26と、第2受け部27と、固定部材28とを有している。軸部24は、棒状に形成されている。軸部24の軸方向の一端部24aには、雄ねじが形成されている。軸部24の一端部24aは、閉塞材22の接続穴22bに挿入され、雌ねじと雄ねじを螺合することで、閉塞材22に接続される。そして、軸部24は、連通路101を挿通し、軸部24の軸方向の他端部24bは、連通路101の内側開口101bから建築構造物の内側に突出する。なお、軸部24と閉塞材22の接続方法は、螺合に限定されるものではなく、溶接や接着等その他各種の接続方法が適用されるものである。
【0041】
軸部24の他端部24bには、第1受け部25が固定されている。第1受け部25は、略平板状に形成されており、軸部24の他端部24bから半径方向の外側に向けて張り出している。また、軸部24は、第2受け部27によって軸方向に沿って移動可能に支持される。
【0042】
第2受け部27は、略平板状に形成されている。第2受け部27には、支持孔27aが形成されている。支持孔27aには、軸部24が挿通する。そして、第2受け部27は、軸部24を移動可能に支持する。この第2受け部27は、固定部材28によって外壁100の内壁面100bに固定されている。固定部材28は、第2受け部27が固定される固定ピン28aと、内壁面100bに固定される固定部28bとを有している。
【0043】
また、軸部24に固定された第1受け部25と、軸部24を支持する第2受け部27は、軸部24の軸方向に沿って間隔を開けて対向している。第1受け部25と第2受け部27の間には、弾性部材26が介在される。
【0044】
弾性部材26としては、例えば、圧縮コイルばね適用される。弾性部材26の一端部は、第1受け部25に当接し、弾性部材26の他端部は、第2受け部27に当接している。そして、弾性部材26は、第1受け部25を第2受け部27から離反する向き、すなわち建築構造物の内側に向けて付勢する。これにより、第1受け部25及び軸部24に接続された閉塞材22は、設置部106及び気密パッキン23に所定の弾性力で押圧される。その結果、圧力開放装置20により連通路101の気密性、すなわち建築構造物の気密性を確保することができる。
【0045】
また、弾性部材26の弾性力は、圧力開放装置10が建築構造物の開口を開放する規定の圧力に応じた弾性力に設定されている。なお、弾性部材26として、圧縮コイルばねを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、板ばねやゴム等その他各種の弾性を有する部材が適用してもよい。
【0046】
次に、第3の実施形態例にかかる圧力開放装置20の動作例について説明する。
例えば、建築構造物の内側において蒸気配管が判断した場合、建築構造物内の圧力が上昇すると、連通路101を介して建築構造物内の圧力が閉塞材22に加わる。そして、建築構造物内の圧力が弾性部材26の弾性力、すなわち規定値を超えると、図6に示すように、閉塞材22は、弾性部材26の弾性力に抗して設置部106から離反する向きに移動する。
【0047】
このとき、閉塞材22に接続された軸部24は、第2受け部27の支持孔27aに支持されて、外壁100の外壁面100a側に向けて移動する。そして、弾性部材26は、軸部24に接続された第1受け部25により圧縮される。
【0048】
閉塞材22が設置部106から離反することで、閉塞材22の外縁部22aと設置部106との間に隙間が発生する。この隙間が圧力流路M1となり、連通路101の外側開口101aが開放され、建築構造物内の圧力が外側へ開放される。
【0049】
また、連通路101が開放されることで、建築構造物内の圧力が低下する。そして、建築構造物内の圧力が規定値である弾性部材26の弾性力よりも下がると、閉塞材22は、弾性部材26の弾性力により設置部106に接近する向きに移動する。これにより、閉塞材22は、その外縁部22aが設置部106及び気密パッキン23に密着する閉塞位置に戻る。その結果、連通路101の外側開口101aが閉塞材22により塞がれる。
【0050】
このように、第3の実施の形態例の圧力開放装置20によれば、閉塞材22が圧力と弾性部材26の弾性力により、移動することで、連通路101の開放と、閉塞を自動的に行うことができ、簡易な構成で圧力を開放した建築構造物の開口を閉じることができる。さらに、第2受け部27に軸部24を移動可能に支持する支持孔27aを設けたことで、閉塞材22の開放及び閉塞動作をスムーズに行うことができる。
【0051】
なお、第3の実施の形態例にかかる圧力開放装置20では、外壁100に閉塞材22が接触する設置部106を設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、設置部106を設けずに、閉塞材22を外壁100の外壁面100aに接触させてもよい。
【0052】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する圧力開放装置20によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置10と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
なお、弾性部材26の弾性力で閉塞材22を閉塞位置に戻る圧力開放装置20によれば、連通路101の開口の向きに限定されずに、圧力の開放及び開口の閉塞を行うことができる。
【0054】
以上、圧力開放装置の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、圧力開放装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0055】
例えば、第1の実施の形態例にかかる圧力開放装置1や第2の実施の形態例にかかる圧力開放装置10において、閉塞材2、12に第3の実施の形態例にかかる可動機構21を接続してもよい。これにより、重力や浮力だけでなく、弾性部材26の弾性力を閉塞材2、12に付与することができる。その結果、閉塞材2、12を開放状態から閉塞位置に確実に戻ることができ、圧力開放装置の信頼性を向上させることができる。
【0056】
本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、10、20…圧力開放装置、 2、12、22…閉塞材、 3、23…気密パッキン、 13…支持部材、 13a…固定部、 13b…支持部、 13c…テーパー部、 21…可動機構、 22a…外縁部、 22b…接続穴、 24…軸部、 24a…一端部、 24b…他端部、 25…第1受け部、 26…弾性部材、 27…第2受け部、 27a…支持孔、 28…固定部材、 100…外壁、 100a…外壁面、 100b…内壁面、 101…連通路、 101a…外側開口、 101b…内側開口、 102、106…設置部、 105…貯水部、 105a…底面部、 M1…圧力流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6