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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】レコメンド装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/047 20230101AFI20240612BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240612BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240612BHJP
【FI】
G06Q10/047
G01C21/34
G16Y40/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020186517
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076209
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】山田 曉
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095256(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163351(WO,A1)
【文献】特開2010-281722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/34
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の目的地を巡回するために利用可能な複数の巡回順序と2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを提示するレコメンド装置であって、
前記2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報に基づいて、前記複数の移動手段のそれぞれに対して前記ユーザの満足度を示す効用を算出する算出部と、
前記効用に基づいて、前記最適な組み合わせを決定する決定部と、
前記最適な組み合わせを示すレコメンド情報を提示する提示部と、を備え
前記地点間情報は、前記ユーザが前記2つの目的地間を移動する移動期間に応じて変化する変動情報を含み、
前記変動情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段に含まれる移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際に通るルートの景観の良さを示す景観情報を含む、レコメンド装置。
【請求項2】
前記嗜好情報は、前記ユーザが旅行中に景観を重視する度合いを示す景観嗜好度を含む、請求項に記載のレコメンド装置。
【請求項3】
前記変動情報は、前記ユーザが前記2つの目的地間を移動する際の前記2つの目的地間の天気情報を含む、請求項1又は請求項2に記載のレコメンド装置。
【請求項4】
前記変動情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段に含まれる移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際の移動にかかる時間を示す移動時間を含む、請求項~請求項のいずれか一項に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
前記嗜好情報は、前記ユーザが旅行中に商店に関心を持つ度合いを示す第1嗜好度を含み、
前記地点間情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際に通るルートの商店の充実度を示す第1充実度を含む、請求項1~請求項のいずれか一項に記載のレコメンド装置。
【請求項6】
前記嗜好情報は、前記ユーザが旅行中に飲食店に関心を持つ度合いを示す第2嗜好度を含み、
前記地点間情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段に含まれる移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際に通るルートの飲食店の充実度を示す第2充実度を含む、請求項1~請求項のいずれか一項に記載のレコメンド装置。
【請求項7】
複数の目的地を巡回するために利用可能な複数の巡回順序と2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを提示するレコメンド装置であって、
前記2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報に基づいて、前記複数の移動手段のそれぞれに対して前記ユーザの満足度を示す効用を算出する算出部と、
前記効用に基づいて、前記最適な組み合わせを決定する決定部と、
前記最適な組み合わせを示すレコメンド情報を提示する提示部と、を備え、
前記嗜好情報は、前記ユーザが旅行中に商店に関心を持つ度合いを示す嗜好度を含み、
前記地点間情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際に通るルートの商店の充実度を含む、レコメンド装置。
【請求項8】
複数の目的地を巡回するために利用可能な複数の巡回順序と2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを提示するレコメンド装置であって、
前記2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報に基づいて、前記複数の移動手段のそれぞれに対して前記ユーザの満足度を示す効用を算出する算出部と、
前記効用に基づいて、前記最適な組み合わせを決定する決定部と、
前記最適な組み合わせを示すレコメンド情報を提示する提示部と、を備え、
前記嗜好情報は、前記ユーザが旅行中に飲食店に関心を持つ度合いを示す嗜好度を含み、
前記地点間情報は、前記ユーザが前記複数の移動手段に含まれる移動手段によって前記2つの目的地間を移動する際に通るルートの飲食店の充実度を含む、レコメンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レコメンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが指定した複数の地点間の移動経路をユーザに提示する技術が知られている。特許文献1は、天気情報、観光地の開催時刻等のイベント時間及び観光地から観光地までのアクセス時間に関する時間情報等を加味して、利用者が選択した観光地を巡る観光コースを作成する地理情報提供装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-114135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旅行中のユーザが複数の目的地を巡回する場合、巡回順序によって、2つの目的地間ごとに利用可能な複数の移動手段が存在し得る。しかしながら、特許文献1に記載の地理情報提供装置では、利用可能な複数の移動手段を考慮することなく観光プランを決定しているので、ユーザにとって満足度が高い観光プランとならないおそれがある。
【0005】
本開示は、ユーザの満足度が高い巡回経路を提示できるレコメンド装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るレコメンド装置は、複数の目的地を巡回するために利用可能な複数の巡回順序と2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを提示する装置である。このレコメンド装置は、2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報に基づいて、複数の移動手段のそれぞれに対してユーザの満足度を示す効用を算出する算出部と、効用に基づいて、最適な組み合わせを決定する決定部と、最適な組み合わせを示すレコメンド情報を提示する提示部と、を備える。
【0007】
この構成においては、2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報が考慮されて、上記複数の移動手段のそれぞれに対して効用が算出されるので、移動手段に対するユーザの満足度を示す効用を精度良く得ることができる。そして、精度良く得られた効用であって上記複数の移動手段のそれぞれに対する効用が考慮されるので、複数の巡回順序と、2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、ユーザの満足度が高い最適な組み合わせ(巡回経路)を決定することが可能となる。よって、上記構成によれば、ユーザの満足度が高い巡回経路を提示できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザの満足度が高い巡回経路を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るレコメンド装置を含むレコメンドシステムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示される行動情報DBに格納されている行動情報の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示されるノード情報DBに格納されているノード情報の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示されるエッジ情報DBに格納されているエッジ情報の一例を示す図である。
図5図5は、図1に示されるレコメンド装置の機能構成を示すブロック図である。
図6図6は、図1に示されるレコメンド装置が行うレコメンド方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、複数の目的地の例を示す図である。
図8図8は、複数の順序候補の例を示す図である。
図9図9は、図6の算出処理を詳細に示すフローチャートである。
図10図10は、図1に示される端末装置に表示される画面例を示す図である。
図11図11は、図1に示されるレコメンド装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0011】
図1図4を参照して、一実施形態に係るレコメンドシステム1の構成を説明する。図1は、一実施形態に係るレコメンド装置80を含むレコメンドシステム1の概略構成図である。図2は、図1に示される行動情報DB20に格納されている行動情報の一例を示す図である。図3は、図1に示されるノード情報DB30に格納されているノード情報の一例を示す図である。図4は、図1に示されるエッジ情報DB40に格納されているエッジ情報の一例を示す図である。
【0012】
図1に示されるレコメンドシステム1は、複数の巡回順序と2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段との複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを提示するシステムである。巡回順序は、ユーザUが複数の目的地を巡回する順序である。移動手段は、巡回順序において互いに隣り合う2つの目的地間を移動するのに利用可能な手段である。複数の目的地は、ユーザUが各目的地を巡回可能な範囲内に位置している。各目的地は、例えば、ユーザUが旅行する際に立ち寄る観光スポットである。目的地の例としては、美術館、公園、博物館、及び神社が挙げられる。移動手段の例としては、徒歩、レンタルサイクル、鉄道、タクシー、及びバスが挙げられる。以下、巡回順序において互いに隣り合う2つの目的地間を単に「区間」という場合がある。レコメンドシステム1は、例えば、旅行中のユーザUが複数の観光スポットを巡回する際の巡回順序と、区間ごとの移動手段と、の組み合わせを提示する。
【0013】
複数の目的地を巡回するにあたっては、例えば、3つの目的地A~Cの場合、「目的地A→目的地B→目的地C」、「目的地A→目的地C→目的地B」、・・といったように、複数の巡回順序の候補(以下、「複数の順序候補」という)が考えられる。また、各区間を移動するにあたっては、徒歩、バス、及びタクシー等、複数の移動手段の候補が考えられる。そこで、レコメンドシステム1では、後述する手法を用いて、複数の順序候補と、複数の移動手段候補と、の複数の組み合わせの中から、最適な組み合わせを巡回経路として提示する。順序候補は、巡回順序の候補である。移動手段候補は、区間において取り得る(利用可能な)移動手段である。移動手段候補は、区間によって異なる。具体的には、目的地A-目的地B間の移動手段候補は、徒歩、レンタルサイクル、及びタクシーであって、目的地B-目的地C間の移動手段候補は、徒歩、バス、鉄道、及びタクシーである、といったように、区間ごとに取り得る移動手段が移動手段候補となる。
【0014】
レコメンドシステム1では、グラフ理論(Graph theory)におけるグラフと、効用の概念と、が用いられて、巡回経路が決定される。グラフは、ノードの集合とエッジの集合とによって構成される。ノードは、出発地、目的地、帰着地に相当する。各順序候補は、ノードの並び順によって表される。ノード間は、エッジである。ノード間ごとに、複数のエッジ(すなわち、複数の移動手段候補)が存在する。
【0015】
レコメンドシステム1では、各ノードについて第1効用が算出され、各エッジについて第2効用が算出される。第1効用は、目的地(ノード)に対するユーザUの満足度を示す。第2効用は、移動手段(エッジ)に対するユーザUの満足度を示す。そして、レコメンドシステム1では、第1効用及び第2効用に基づいて、最適な組み合わせが決定される。最適な組み合わせの決定方法の詳細については、後述する。
【0016】
レコメンドシステム1は、1又は複数の端末装置10と、行動情報DB20と、ノード情報DB30と、エッジ情報DB40と、観光地情報DB50と、天気情報DB60と、交通情報DB70と、レコメンド装置80と、を含む。レコメンド装置80は、1又は複数の端末装置10、行動情報DB20、ノード情報DB30、エッジ情報DB40、観光地情報DB50、天気情報DB60、及び交通情報DB70とネットワークを介して互いに通信可能に構成されている。ネットワークは、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。ネットワークの例としては、移動体通信網、インターネット、及びWAN(Wide Area Network)が挙げられる。以下の説明では、1つの端末装置10に着目して説明を行うが、他の端末装置10についても同様である。
【0017】
端末装置10は、ユーザUにより用いられる。端末装置10の例としては、スマートフォン及びタブレット端末を含む携帯端末が挙げられる。端末装置10は、ユーザUの居住地、及びユーザUの旅行に関する旅行嗜好情報を記憶している。旅行嗜好情報は、例えば、旅行に関する嗜好のアンケートに対する回答が、予めユーザUによって端末装置10に入力されている。
【0018】
端末装置10は、スケジューラ等のアプリケーションを用いてユーザUのスケジュール(予定)を管理し、目的地候補情報を生成する。ユーザUがスケジュールを入力してもよく、アプリケーションがメール等から検出したスケジュールを入力してもよい。スケジュール情報は、ユーザUが訪れる予定の目的地(観光スポット)を含むスケジュールが行われる場所、スケジュールが行われる未来の日時を含む。目的地候補情報は、後述する決定目的地情報を決定するための処理に用いられる。
【0019】
端末装置10は、スケジュール情報に基づいて目的地候補を取得する。具体的には、端末装置10は、例えば、入力されたスケジュール情報を外部のサーバ等に送信し、外部のサーバ等からユーザUが訪れる予定の目的地を示す情報を受信することで、目的地候補を取得する。そして、端末装置10は、目的地候補を示す目的地候補情報を生成し、目的地候補情報をレコメンド装置80に送信する。なお、端末装置10は、スケジュール情報にユーザUが訪れる予定の目的地が含まれていない場合等、スケジュール情報に基づいて目的地候補を取得しない場合、目的地候補情報を生成しない。端末装置10は、後述するレコメンド処理が行われる度に、旅行嗜好情報、及び目的地候補情報を、レコメンド装置80に送信する。
【0020】
端末装置10は、レコメンド条件情報を生成する。レコメンド条件情報は、ユーザUが出発する出発地及び出発時刻、ユーザUが巡回する複数の目的地、並びにユーザUが帰着する帰着地及び帰着時刻を示す。レコメンド条件情報は、ユーザUが端末装置10において巡回経路のレコメンド用のアプリケーションを実行し、当該アプリケーションにおいて上記各項目を指定することにより得られる。端末装置10は、ユーザUが上記各項目を指定する度に、レコメンド条件情報をレコメンド装置80に送信する。
【0021】
端末装置10は、ユーザ設定情報を生成する。ユーザ設定情報は、ユーザUが巡回経路のレコメンド用のアプリケーションにおいて指定した複数の設定項目を示す情報である。複数の設定項目は、ユーザUが複数の目的地間を移動する際にユーザUが好む移動の仕方を示す情報である。具体的には、複数の設定項目は、徒歩許容範囲、利用移動手段情報、優先コスト情報、及び優先項目を含む。
【0022】
徒歩許容範囲は、ユーザUが徒歩で移動する時間又は距離の許容範囲である。徒歩許容範囲は、例えば、「X分」、及び「Ym」等、ユーザUが設定することにより得られる。なお、後述する徒歩許容時間を決定する処理のために、ユーザUによって徒歩許容範囲が「Ym」と設定された場合、端末装置10は、例えば、「Ym」を、例えば「80m/分」等、所定の速度で除算した値(すなわち、距離を時間に換算した値)に変換する。利用移動手段情報は、ユーザUが指定する移動手段である。ユーザUが指定する移動手段の例としては、例えば、徒歩、鉄道、バス、タクシー、及びレンタルサイクルが挙げられる。移動利用手段情報は、ユーザUが移動手段を指定することにより得られる。ユーザUは、複数の移動手段を指定可能である。
【0023】
優先コスト情報は、ユーザUが金額及び時間のいずれを優先するかを示す情報である。「ユーザUが金額を優先する」とは、ユーザUがより小さい金額コストでの移動を優先することを意味する。「ユーザUが時間を優先する」とは、ユーザUがより小さい時間コストでの移動を優先することを意味する。優先コスト情報は、ユーザUが金額及び時間のいずれかを選択することにより得られる。
【0024】
優先項目は、ユーザUが複数の目的地間を移動する際に優先する事項である。具体的には、優先項目は、景観、飲食店の充実、及び商店の充実を含む。優先項目として景観が指定されたことは、景観を楽しめるルートを通る移動手段による移動をユーザUが優先することを意味する。例えば、2つの目的地間として海岸沿いを移動する場合において、景観を楽しめる移動手段としては、徒歩又はレンタルサイクルが挙げられる。優先項目として飲食店の充実が指定されたことは、飲食店が充実しているルートを通る移動手段での移動をユーザUが優先することを意味する。優先項目として商店の充実が指定されたことは、商店が充実しているルートを通る移動手段での移動をユーザUが優先することを意味する。商店の例としては、観光地の土産店が挙げられる。優先項目は、ユーザUが指定することにより得られる。ユーザUは、複数の優先項目を指定可能である。端末装置10は、ユーザ設定情報を生成する度に、ユーザ設定情報をレコメンド装置80に送信する。
【0025】
端末装置10は、ユーザUの行動情報を生成する。行動情報は、ユーザUが端末装置10を用いて行った行動に関する情報である。行動情報は、端末装置10が記憶する情報に基づいて生成される。
【0026】
例えば、端末装置10は、ユーザUが、レンタルサイクル、タクシー、及び飲食店のそれぞれを利用した履歴、及びユーザUが商品を購入した履歴を記憶する。レンタルサイクル等を利用した履歴、及びユーザUが商品を購入した履歴は、ユーザUが端末装置10にインストールされている決済アプリケーションを用いて決済を行うことにより得られる。端末装置10は、ユーザUが利用した飲食店を識別可能な情報、及びユーザUが商品を購入した商店を識別可能な情報を記憶する。端末装置10は、ユーザUが連続して歩いた期間を記憶する。ユーザUが連続して歩いた期間は、ユーザUが端末装置10にインストールされている歩数計アプリケーションを用いて連続して歩くことにより得られる。
【0027】
端末装置10は、ユーザUがキャンペーンに参加した旨を示す情報を記憶する。ユーザUがキャンペーンに参加した旨を示す情報は、端末装置10にインストールされているキャンペーン参加用のアプリケーションを用いてキャンペーンに参加することにより得られる。キャンペーンは、金銭価値を有するポイント、及び割引券等、ユーザUに金銭的な利益を付与するキャンペーンである。そして、端末装置10は、対象期間(例えば、1年間)においてユーザUが端末装置10を用いて行った行動に関する情報に基づいて、行動情報を生成する。端末装置10は、対象期間が経過するごとに、行動情報を生成する。行動情報の詳細については後述する。端末装置10は、例えば、行動情報を生成するごとに、行動情報を行動情報DB20に送信する。
【0028】
行動情報DB20は、各ユーザUの行動情報を格納するデータベースである。図2に示されるように、行動情報は、ユーザIDと、徒歩情報と、レンタルサイクル利用回数と、タクシー利用回数と、キャンペーン参加回数と、商品購入回数と、飲食店利用回数と、を含む。ユーザIDは、ユーザUを一意に認識可能な情報である。徒歩情報は、対象期間においてユーザUが連続して歩いた期間の第三四分数を示す。レンタルサイクル利用回数は、対象期間においてユーザUがレンタルサイクルを利用した回数を示す。タクシー利用回数は、対象期間においてユーザUがタクシーを利用した回数を示す。キャンペーン参加回数は、対象期間においてユーザUがキャンペーンに参加した回数を示す。
【0029】
商品購入回数は、旅行中のユーザUが商品を購入した回数を示す。一例として、商品購入回数は、対象期間においてユーザUが旅行したと推定される日にユーザUが商品を購入した回数の平均値である。例えば、端末装置10によって、ユーザUが決済した商店の識別情報に基づいて、外部のサーバ(図示せず)から商店の居所が取得され、端末装置10に記憶されているユーザUの居住地と、商店の居所とが所定の距離以上離れている場合に、ユーザUが旅行中に商品を購入したと判定される。そして、端末装置10によって、ユーザUが旅行中に商品を購入したと判定された回数に応じて、上記商品購入回数が得られる。なお、商品購入回数は、上記例に限られず、例えば、対象期間においてユーザUが旅行したと推定される日にユーザUが商品を購入した回数の中央値であってもよい。
【0030】
飲食店利用回数は、旅行中のユーザUが飲食店を利用した回数を示す。一例として、飲食店利用回数は、対象期間においてユーザUが旅行したと推定される日にユーザUが飲食店を利用した回数の平均値である。例えば、端末装置10によって、ユーザUが決済した飲食店の識別情報に基づいて、外部のサーバ(図示せず)から飲食店の居所が取得され、端末装置10に記憶されているユーザUの居住地と、飲食店の居所とが所定の距離以上離れている場合に、ユーザUが旅行中に飲食店を利用したと判定される。そして、端末装置10によって、飲食店を利用したと判定された回数に応じて、上記飲食店利用回数が得られる。なお、飲食店利用回数は、上記例に限られず、例えば、対象期間においてユーザUが旅行したと推定される日にユーザUが飲食店を利用した回数の中央値であってもよい。なお、行動情報は、ユーザUが決済した商店の識別情報及び飲食店の識別情報を更に含む。商店の識別情報及び飲食店の識別情報は、後述する商店の居所及び飲食店の居所を特定するための処理に用いられる。
【0031】
行動情報DB20は、各端末装置10からユーザUの行動情報を受信すると、ユーザUの行動情報を更新する。行動情報DB20には、端末装置10(ユーザU)ごとの行動情報が格納されている。
【0032】
ノード情報DB30は、ノード情報を格納するデータベースである。図3に示されるように、ノード情報は、目的地名/出発地名/帰着地名と、ノードIDと、位置情報と、第1効用関数と、を含む。目的地名は、目的地の名称である。ノードIDは、ノードを一意に識別可能な情報である。ノードは、目的地に相当する。位置情報は、例えば、目的地の絶対位置を示す。第1効用関数は、第1効用を求めるための関数である。第1効用関数は、ノード(目的地)ごとに異なる。第1効用関数、及び第1効用の詳細については後述する。ノード情報DB30には、ノードごとのノード情報が格納されている。
【0033】
なお、ノード情報DB30には、出発地或いは帰着地に相当する地点(以下、「出発地/帰着地」という)のノード情報も含まれている。出発地/帰着地のノード情報は、出発地/帰着地名と、ノードIDと、位置情報とを含むが、第1効用関数は含まない。出発地名/帰着地名は、出発地/帰着地の名称である。出発地/帰着地に相当するノードは、後述する第1効用が算出されないダミーノードである。出発地/帰着地のノード情報は、後述する訪問時刻等を推定するための処理に用いられる。
【0034】
エッジ情報DB40は、エッジ情報を格納するデータベースである。図4に示されるように、エッジ情報は、エッジIDと、区間ノードIDと、移動手段と、第2効用関数と、を含む。エッジIDは、エッジを一意に識別可能な情報である。区間ノードIDは、エッジIDが示すエッジの2つの端点に相当する2つのノードを示す。エッジIDが示すエッジは、上記2つの目的地間(すなわち、区間)に相当する。以下、ノード及びエッジに関する説明においては、ノード、及び目的地については「ノード」と称呼を統一し、エッジ、及び区間については「エッジ」と称呼を統一して説明する。また、以下、ノード及びエッジに関する説明においては、ノードID「N1」が示すノードを「ノードN1」といい、エッジID「E1」が示すエッジを「エッジE1」といい、区間ノードID「N1-N2」が示す2つのノードを「ノードN1-N2」という。なお、N1,N2は、任意のノードIDを示し、E1は、任意のエッジIDを示す。
【0035】
移動手段は、エッジIDが示すエッジの移動手段である。例えば、ノードb-cを示す区間ノードID、及び鉄道を示す移動手段をエッジ情報が含む場合、ノードb-c間は鉄道で移動可能であることを意味する。「移動可能である」とは、例えば、ノードbの周辺に第1駅があり、ノードcの周辺に第2駅がある場合に、第1駅-第2駅間を所定の時間内(例えば、数十分内)に移動可能であることを意味する。すなわち、2つのノード間ごとの各エッジ情報は、一般的にユーザUが移動するのに取り得る移動手段に対応する移動手段を含む。2つのノード間においては、利用可能な複数の移動手段が存在する。すなわち、同一の区間ノードIDを含む複数のエッジ情報に着目すると、移動手段ごとに異なるエッジIDが割り当てられている。
【0036】
第2効用関数は、第2効用を求めるための関数である。第2効用関数は、エッジごとに異なる。第2効用関数、及び第2効用の詳細については後述する。一例として、図4に示されるように、エッジAB1及びエッジAB2のそれぞれは、ノードa-b間のエッジを示す。エッジAB1に含まれる第2効用関数gAB1は、ノードa-b間を移動するための移動手段が徒歩である場合の第2効用関数である。エッジAB2に含まれる第2効用関数gAB2は、ノードa-b間を移動するための移動手段がレンタルサイクルである場合の第2効用関数である。つまり、ノードa-b間を移動するのに取り得る移動手段は、2つ(すなわち、徒歩、及びレンタルサイクル)である。エッジ情報DB40には、エッジごとのエッジ情報が格納されている。
【0037】
なお、エッジ情報DB40には、出発地-目的地間、及び目的地-帰着地間のエッジ情報も含まれている。これらのエッジ情報は、目的地間のエッジ情報と同様に、エッジIDと、区間ノードIDと、移動手段と、第2効用関数を含む。ノード出発地-目的地間、及び目的地-帰着地間のエッジ情報は、後述する訪問時刻等を推定するための処理に用いられる。
【0038】
観光地情報DB50は、観光地情報、エリア景観情報、及びルート景観情報(景観情報)を格納するデータベースである。観光地情報は、複数の目的地を含む複数の観光地に関する情報である。観光地情報は、複数の観光地のそれぞれの位置情報、属性情報、観光地を訪れる旅行者の平均滞在時間、及び観光景観情報を含む。エリア景観情報は、観光エリアごとに、景観の良さを示す情報を含む。ルート景観情報は、複数の目的地間ごとに、2つの目的地間を移動するためのルートに対する景観の良さを示す情報を含む。ルート景観情報に含まれる景観の良さを示す情報は、時間帯別に記憶されている。当該景観の良さを示す情報は、例えば、景観の良さを示す度合い(以下、「以下、景観良好度」という)であって、景観が良いほど大きく、景観が悪いほど小さい。観光地の平均滞在時間等に変化が生じると、観光地情報は更新される。
【0039】
天気情報DB60は、天気情報を格納するデータベースである。天気情報は、ユーザUが巡回する複数の目的地の天気を示す情報を含む。具体的には、天気情報は、複数の目的地の数時間ごとの天気予報である。天気情報は、出発地、目的地、及び帰着地のすべてを含むエリアの全体の天気を示してもよく、当該エリアを分割した分割エリアごとの天気を示してもよい。天気情報は、所定の期間が経過するごとに更新される。
【0040】
交通情報DB70は、交通情報を格納するデータベースである。交通情報は、交通機関情報と、状態情報と、遅延情報と、料金情報と、を含む。交通機関情報は、交通機関を示す情報である。交通機関の例としては、鉄道、バス、及び道路が挙げられる。状態情報は、交通機関の状態を示す情報である。例えば、交通機関が正常であれば、状態情報は正常を示す。鉄道に遅延が生じている場合には、状態情報は遅延を示す。道路に渋滞が発生している場合には、状態情報は渋滞を示す。鉄道等に遅延が生じている場合には、遅延情報は、正常な運行時刻から遅れている時間を示す。料金情報は、各交通機関の利用に係る料金を示す料金表を示す。交通情報は、ルート検索に用いられる時刻表等の情報を更に含む。交通機関の状態又は遅延時間に変化が生じると、交通情報は更新される。
【0041】
レコメンド装置80は、最適な組み合わせを提示する装置である。レコメンド装置80の例としては、サーバ装置等の情報処理装置が挙げられる。本実施形態では、巡回経路は、ユーザUの旅行に関する嗜好が反映されて決定される。具体的には、レコメンド装置80は、以下の第1モード及び第2モードのいずれかにおいて巡回経路を決定し、決定した巡回経路を提示する。
【0042】
第1モードは、行動情報DB20に記憶されている行動情報が、ユーザUの旅行中の嗜好情報として巡回経路の決定に反映されるモードである。第1モードの場合、レコメンド装置80は、行動情報DB20から、ユーザUの行動情報を取得する。第2モードは、端末装置10を介してユーザUによって設定されたユーザ設定情報が、ユーザUの旅行中の嗜好情報として巡回経路の決定に反映されるモードである。第2モードの場合、レコメンド装置80は、端末装置10から、ユーザ設定情報を受信する。第1モード及び第2モードは、例えば、端末装置10を介してユーザUが事前に指定することによって決定される。第1モード及び第2モードの詳細な説明については後述する。
【0043】
図5を参照して、レコメンド装置80の機能構成について説明する。図5は、図1に示されるレコメンド装置80の機能構成を示すブロック図である。図5に示されるように、レコメンド装置80は、機能的には、取得部81と、決定部82と、取得部83と、算出部84と、決定部85と、提示部86と、を備えている。後述のレコメンド方法の説明において、各機能部の機能(動作)を詳細に説明するので、ここでは各機能部の機能を簡単に説明する。
【0044】
取得部81は、旅行嗜好情報、目的地候補情報、及びレコメンド条件情報を取得する機能部である。取得部81は、端末装置10から、旅行嗜好情報、目的地候補情報、及びレコメンド条件情報を取得する。以下、旅行嗜好情報、目的地候補情報、及びレコメンド条件情報を総称して「目的地決定用情報」という場合がある。取得部81は、目的地決定用情報を決定部82に出力し、レコメンド条件情報を算出部84に出力する。
【0045】
決定部82は、目的地決定用情報に基づいて、複数の目的地を決定する機能部である。決定部82は、取得部81から受け取った目的地決定用情報に基づいて、複数の目的地を決定する。決定部82は、複数の目的地を示す情報(以下、「確定目的地情報」という)を、取得部83、及び算出部84に出力する。
【0046】
取得部83は、効用算出のための各種情報を取得する機能部である。具体的には、取得部83は、レコメンド条件情報、複数のノード情報、複数のエッジ情報、観光地情報、天気情報、及び交通情報を取得する。第1モードの場合、取得部83は、行動情報を更に取得する。
【0047】
取得部83は、端末装置10から、レコメンド条件情報を取得する。取得部83は、レコメンド条件情報、及び確定目的地情報を参照して、ノード情報DB30に格納されている複数のノード情報から、出発地に対応するノード(以下「出発地ノード」という)、複数の目的地に対応する複数のノード情報、及び帰着地に対応するノード(以下、「帰着地ノード」という)を抽出することによって、複数のノード情報を取得する。
【0048】
取得部83は、取得したレコメンド条件情報、及び確定目的地情報を参照して、エッジ情報DB40に格納されている複数のエッジ情報から、複数のエッジ情報を取得する。具体的には、取得部83は、出発地に対応するノード、確定目的地情報に含まれるすべてのノード、及び帰着地に対応するノードの中から、取り得るすべてのノードのペアのそれぞれについて、エッジ情報を取得する。各ノードのペアは、2つの目的地間に対応する。順序候補が示す区間ごとの複数のエッジ情報を抽出することによって、複数のエッジ情報を取得する。
【0049】
取得部83は、決定部82から受け取った確定目的地情報を参照して、観光地情報DB50に格納されている複数の観光地情報から、複数の目的地に対応する複数の観光地情報を抽出することによって、複数の観光地情報を取得する。取得部83は、確定目的地情報を参照して、観光地情報DB50から、複数の目的地間に対応する複数のルート景観情報を抽出することによって、複数のルート景観情報を取得する。取得部83は、確定目的地情報、及び取得したノード情報に含まれる位置情報を参照して、天気情報DB60に格納されている複数の天気情報から、複数の目的地及び複数の目的地間の天気情報を抽出することによって、天気情報を取得する。取得部83は、確定目的地情報、及び位置情報を参照して、交通情報DB70に格納されている複数の交通情報から、各エッジの交通情報を抽出することによって、交通情報を取得する。
【0050】
第1モードの場合、取得部83は、行動情報DB20に格納されている複数の行動情報から、ユーザUの行動情報を抽出することによって、行動情報を取得する。第2モードの場合、取得部83は、端末装置10からユーザ設定情報を取得する。以下、複数のノード情報、複数のエッジ情報、観光地情報、天気情報、交通情報、行動情報(第1モードの場合)、及びユーザ設定情報(第2モードの場合)を総称して「効用算出用情報」という場合がある。取得部83は、効用算出用情報を算出部84に出力する。なお、「複数の目的地間」は、上記すべてのノードのペアに対応する複数のノード間である。
【0051】
算出部84は、各ノードの第1効用、及び各エッジの第2効用を算出する機能部である。算出部84は、取得部81から受け取ったレコメンド条件情報、決定部82から受け取った確定目的地情報、及び取得部83から受け取った効用算出用情報に基づいて、各ノードの第1効用、及び各エッジの第2効用を算出する。算出部84は、各ノードの第1効用、及び各エッジの第2効用を、決定部85に出力する。
【0052】
決定部85は、各ノードの第1効用、及び各エッジの第2効用に基づいて、最適な組み合わせを決定する機能部である。決定部85は、算出部84から受け取った各ノードの第1効用、及び各エッジの第2効用に基づいて、最適な組み合わせを決定する。決定部85は、最適な組み合わせを示すレコメンド情報を生成し、レコメンド情報を提示部86に出力する。
【0053】
提示部86は、レコメンド情報を提示する機能部である。レコメンド情報は、最適な組み合わせを示す情報である。提示部86は、例えば、決定部85から最適な組み合わせを受け取ると、レコメンド情報を生成し、レコメンド情報を端末装置10に出力する。これにより、レコメンド情報がユーザUに提示される。
【0054】
次に、図6図10を参照して、レコメンド装置80が行うレコメンド方法について説明する。図6は、図1に示されるレコメンド装置80が行うレコメンド方法の一連の処理を示すフローチャートである。図7は、複数の目的地の例を示す図である。図8は、複数の順序候補の例を示す図である。図9は、図6の算出処理を詳細に示すフローチャートである。図10は、図1に示される端末装置10に表示される画面例を示す図である。図6に示される一連の処理は、例えば、レコメンド装置80が、ユーザUの端末装置10においてレコメンド用のアプリケーションから巡回経路のレコメンド要求を受信したことによって開始される。
【0055】
図6に示されるように、まず、取得部81が、端末装置10から目的地決定用情報(旅行嗜好情報、目的地候補情報、及びレコメンド条件情報)を取得する(ステップS01)。そして、取得部81は、目的地決定用情報を決定部82に出力し、レコメンド条件情報を算出部84に出力する。
【0056】
続いて、決定部82は、取得部81から目的地決定用情報を受け取ると、目的地決定用情報に基づいて、複数の目的地を決定する(ステップS02)。一例として、決定部82は、複数の手法により複数の目的地候補を選出し、複数の目的地候補の中から複数の目的地を決定する。まず、決定部82は、例えば、取得部81から受け取ったレコメンド条件情報に含まれるユーザUが巡回する複数の目的地のそれぞれを、目的地候補として選出する。
【0057】
決定部82は、例えば、取得部81から受け取った目的地候補情報(スケジュール情報に基づいて取得された目的地候補情報)が示す目的地候補を、目的地候補として選出する。また、決定部82は、例えば、取得部81から受け取った旅行嗜好情報に基づいて、ユーザUの興味のある分野を推定する。そして、決定部82は、観光地情報DB50を参照して、例えば、レコメンド条件情報に含まれるユーザUが巡回する複数の目的地の付近にあり、かつユーザUの興味のある分野に対応する観光スポットを、目的地候補として選出する。
【0058】
そして、決定部82は、選出した複数の目的地候補の中から、複数の目的地を決定する。一例として、決定部82は、複数の目的地候補を示す情報を、端末装置10に出力することによって、端末装置10に複数の目的地候補を表示させる。そして、ユーザUが、端末装置10に表示された複数の目的地候補の中から、いくつかの目的地候補を選択する。そして、決定部82は、ユーザUが選択した複数の目的地候補を、複数の目的地として決定する。なお、複数の目的地の決定方法は上記例に限られず、決定部82は、例えば、目的地候補を抽出せずに、レコメンド条件情報に含まれる複数の目的地のみを、複数の目的地として決定してもよい。この場合、ステップS02の処理は省略される。そして、決定部82は、複数の目的地を示す確定目的地情報を取得部83及び算出部84に出力する。
【0059】
続いて、取得部83は、効用算出用情報を取得する(ステップS03)。取得部83は、取得部81から受け取ったレコメンド条件情報、及び決定部82から受け取った確定目的地情報を参照して、ノード情報DB30から複数のノード情報を取得する。具体的には、取得部83は、レコメンド条件情報に含まれる出発地に対応するノード情報、及びレコメンド条件情報に含まれる帰着地に対応するノード情報を取得する。また、取得部83は、ノード情報DB30を参照して、確定目的地情報に含まれる目的地に対応する目的地名を含むノード情報を、確定目的地情報に含まれる目的地ごとに取得する。
【0060】
そして、取得部83は、取得した複数のノード情報を参照して、エッジ情報DB40から、複数のエッジ情報を取得する。具体的には、取得部83は、出発地に対応するノード、確定目的地情報に含まれるすべてのノード、及び帰着地に対応するノードの中から、取り得るすべてのノードのペアのそれぞれについて、エッジ情報を取得する。ただし、出発地と帰着地とのペアは、取り得るすべてのノードのペアから除かれる。言い換えれば、取得部83は、取り得るすべてのノードのペアのそれぞれを示す区間ノードIDを含むエッジ情報を取得する。
【0061】
さらに、取得部83は、観光地情報DB50から、複数の目的地の観光地情報、及び複数の目的地間のルート景観情報を取得し、天気情報DB60から、複数の目的地及び複数の目的地間の天気情報を取得する。取得部83は、交通情報DB70から、複数の目的地間の交通情報を取得する。取得部83は、第1モードの場合、行動情報DB20から、ユーザUの行動情報を更に取得する。取得部83は、第2モードの場合、端末装置10から、ユーザ設定情報を更に取得する。そして、取得部83は、効用算出用情報を算出部84に出力する。
【0062】
続いて、算出部84は、決定部82から確定目的地情報を受け取り、取得部83から効用算出用情報を受け取ると、算出処理を行う(ステップS04)。第1効用は、ノードに対するユーザUの満足度を示す値である。本実施形態では、第1効用は、ユーザUが目的地(ノード)を訪問する訪問時刻、及びノードにおける天気によって変動する。第2効用は、移動手段に対するユーザUの満足度を示す値である。本実施形態では、第2効用は、2つの目的地間(エッジ)の移動時間、移動料金、天気、景観の良さ、商店の充実度、及び飲食店の充実度によって変動する。
【0063】
ここで、具体例及び図9を用いて、第1効用及び第2効用の算出方法の一例について説明する。なお、第1モード及び第2モードのいずれにおいても、算出部84による第1効用の算出方法は共通している。一方、算出部84による第2効用の算出方法は、第1モードと第2モードとによって異なる。
【0064】
図9に示されるように、第1効用及び第2効用の算出処理では、まず、算出部84が、複数の順序候補の中から、1の順序候補を選択する(ステップS21)。複数の順序候補は、確定目的地情報に含まれる複数の目的地を訪問する順序の候補である。本実施形態では、複数の順序候補は、確定目的地情報に含まれるすべての目的地を巡回する場合に配列可能なすべての順序の候補である。図7、及び図8に示される具体例では、複数の目的地A~Eが複数の目的地として決定されている。図8には、複数の順序候補に含まれる順序候補K1、順序候補K2、及び順序候補K3が示されている。以下、具体例では、説明の都合上、ステップS02において、目的地A~Cが複数の目的地として決定され、ステップS21において、順序候補K1が選択されたとして説明する。なお、算出部84は、複数のノード情報を参照して、順序候補ごとの各目的地を、ノードIDに置き換えて以下の各処理を行う。
【0065】
続いて、算出部84が、選択された順序候補におけるすべてのパターンを決定し、各パターンにおける移動期間等を推定する(ステップS22)。ここでいう「すべてのパターン」は、選択された順序候補の各区間において利用可能な複数の移動手段候補のすべての組み合わせである。算出部84は、選択された順序候補、及び取得した複数のエッジ情報を参照し、選択された順序候補におけるすべてのパターンを決定する。
【0066】
具体例の順序候補K1においては、区間[出発地ノード-ノードa]の移動手段候補は、徒歩及び鉄道であって、区間[ノードa-ノードb]の移動手段候補は、徒歩及びレンタルサイクルである。区間[ノードb-ノードc]の移動手段候補は、徒歩及び鉄道であって、区間[ノードc-帰着地ノード]の移動手段候補は、徒歩及びタクシーである。したがって、算出部84は、[出発地→鉄道→ノードa→徒歩→ノードb→徒歩→ノードc→徒歩→帰着地]、及び[出発地→鉄道→ノードa→徒歩→ノードb→徒歩→ノードc→タクシー→帰着地]、・・といったように、選択された順序候補が示す順序(ノードa→ノードb→ノードc)においてとり得る移動手段候補のすべてのパターンを決定する。
【0067】
そして、算出部84は、各パターンにおいてユーザUが、ノード間の移動にかかると推定される移動時間、ノードを訪問すると推定される訪問時刻、ノードに滞在すると推定される滞在時間、及びノード間を移動すると推定される移動期間を算出する。移動期間は、1のノードから出発すると推定される時刻から次のノードに到着すると推定される時刻(すなわち、訪問時刻)までを示す。
【0068】
算出部84は、取得部81から受け取ったレコメンド条件情報に含まれる出発地及び出発時刻、並びに帰着地及び帰着時刻を参照して、各パターンにおける移動時間、訪問時刻、滞在時間、及び移動期間を推定する。以下、各パターンにおける移動時間、訪問時刻、滞在時間、及び移動期間の推定方法を、具体例の順序候補K1を用いて説明する。まず、算出部84は、区間[出発地-ノードa]の移動手段候補において、区間[出発地-ノードa]を移動するのに要する移動時間を推定する。移動時間の推定は、移動手段によって異なる。
【0069】
移動手段候補が、タクシー、鉄道、及びバスの場合、算出部84は、出発時刻、交通情報、及びノード情報に含まれる位置情報等を用いて、移動時間を推定する。移動時間の推定は、例えば、公知の技術を用いて行うことができるので、詳細な説明を省略する。一般的に、鉄道及び道路の混雑度は、ユーザUが鉄道又は道路を利用して移動する時間帯によって異なる。したがって、移動手段候補が、タクシー、鉄道、及びバスの場合、ノード間を移動する際の移動時間は、ユーザUが移動する移動期間によって異なり得る。
【0070】
移動手段候補が、徒歩及びレンタルサイクルである場合、算出部84は、ノード情報に含まれる位置情報、及び外部のサーバ等に記憶されている地図アプリケーションを用いて、移動時間を推定する。例えば、移動手段候補が徒歩である場合、算出部84は、ノード情報に含まれる位置情報及び上記地図アプリを参照して、徒歩で移動する場合の区間の距離を推定し、推定した距離を徒歩の推定速度によって除算することにより移動時間を推定する。算出部84は、移動手段候補がレンタルサイクルである場合、徒歩の場合と同様の手法により、移動時間を推定する。徒歩の推定速度は、例えば、80m/分であって、レンタルサイクルの推定速度は、例えば、150m/分である。
【0071】
算出部84は、出発時刻に区間[出発地-ノードa]の移動時間を加算した時刻を、ノードaの訪問時刻と推定する。そして、算出部84は、出発地ノードを出発した時刻からノードaの訪問時刻(ノードaに到着した時刻)までを、区間[出発地ノード-ノードa]の移動期間と推定する。そして、算出部84は、ノードaの滞在時間を推定する。算出部84は、ノードaに対応する観光地情報に含まれる平均滞在時間を、ノードaの滞在時間と推定する。そして、算出部84は、ノードaの訪問時刻にノードaの滞在時間を加算した時刻を、ノードaを出発した時刻と推定する。
【0072】
そして、算出部84は、区間[ノードa-ノードb]の移動手段候補において、区間[ノードa-ノードb]を移動するのに要する移動時間を推定する。そして、算出部84は、ノードaを出発した時刻に、区間[ノードa-ノードb]の移動時間を加算した時刻を、ノードbの訪問時刻と推定する。そして、算出部84は、ノードaを出発した時刻からノードbの訪問時刻(ノードbに到着した時刻)までを、区間[ノードa-ノードb]の移動期間と推定する。算出部84は、以上の処理を繰り返すことにより、各パターンにおける移動時間、訪問時刻、滞在時間、及び移動期間を推定する。
【0073】
続いて、算出部84が、取得部83から受け取った各ノード情報に含まれる第1効用関数を用いて、各ノードの第1効用を算出する(ステップS23)。
【0074】
ステップS23においては、算出部84は、以下の式(1)に示される第1効用関数を用いて、ノード情報ごとに(ノード情報が示すノードに対して)第1効用を算出する。以下、任意のノードnに対する第1効用の算出方法に着目して説明する。本実施形態では、第1効用が大きいほど、ユーザUの満足度が高いことを示し、第1効用が小さいほど、ユーザUの満足度が低いことを示す。
【0075】
【数1】
【0076】
変数Vntは、ユーザUがノードnを訪問する訪問時刻(或いは、訪問時刻に対応する値)が代入される変数である。変数Vnwは、ノードnの天気によって変動する値が代入される変数である。ノードnの天気は、ユーザUがノードnを訪問する訪問時刻における天気情報が示す天気である。すなわち、第1効用は、ユーザUがノードnを訪問する訪問時刻、及びノードnにおける天気によって変動する。算出部84は、ステップS22において推定した訪問時刻における天気に基づいて、変数Vnwの値を決定する。算出部84は、取得部83から受け取った天気情報が示すノードnの天気に基づいた値を変数Vnwに代入する。変数Vnwに代入される値は、例えば、離散的な数値である。
【0077】
第1効用関数は、ノードに対応する目的地の特性とユーザUの満足度との関係に応じて、ノードごとに異なる。具体的には、第1効用関数は、変数Vntに所定時刻が代入された場合に、第1効用が高くなり、変数Vntに代入された時刻が所定時刻から離れるほど第1効用が小さくなるように設定されている。所定時刻は、ノードに訪れたユーザUの満足度が最大になると推定される時刻に設定されている。一例として、ノードaが神社である場合、ユーザUの満足度は、空いている午前中に満足度が最大になり得るので、当該時刻は、午前10時に設定される。
【0078】
また、ユーザUの満足度が天気に影響されやすいノードに対応する第1効用関数は、ユーザUの満足度が天気に影響されにくいノードに対応する第1効用関数と比較して、変数Vnwに代入される値に応じて第1効用の変動率が大きくなるように設定されている。
【0079】
具体的には、ノードaが屋外の神社である場合、ノードaは、ユーザUの満足度が天気に影響されやすいノードであるといえる。一方、ノードbが屋内の美術館である場合、ノードbは、ユーザUの満足度が天気に影響されにくいノードであるといえる。したがって、ノードaの第1効用関数は、ノードbの第1効用関数と比較して、変数Vnwに代入される値に応じて第1効用の変動率が大きくなるように設定されている。
【0080】
続いて、算出部84が、取得部83から受け取った複数のエッジ情報に含まれるすべての移動手段(すべての移動手段候補)の中から、条件を満たさない移動手段候補を除外する(ステップS24)。続いて、算出部84が、残りの移動手段を含むエッジ情報ごとに(エッジ情報が示すエッジに対して)第2効用を算出する(ステップS25)。以下、第1モードにおけるステップS24,S25の処理について説明し、次に、第2モードにおけるステップS24,S25の処理について説明する。
【0081】
第1モードでは、算出部84は、取得部83から受け取った行動情報を参照して、条件を満たさない移動手段候補を除外する。本実施形態では、除外対象の移動手段候補は、徒歩、レンタルサイクル、及びタクシーのいずれかである。例えば、算出部84は、行動情報に含まれるレンタルサイクル利用回数及びタクシー利用回数に基づいて、条件を満たさない移動手段候補を除外する。レンタルサイクル利用回数が少ないユーザUは、レンタルサイクルの利用を好まないと考えられる。同様に、タクシー利用回数が少ないユーザUは、タクシーの利用を好まないと考えられる。そこで、算出部84は、行動情報に含まれるレンタルサイクル利用回数が、所定の第1閾値未満である場合、条件を満たさない移動手段候補としてレンタルサイクルを除外する。また、算出部84は、行動情報に含まれるタクシー利用回数が、所定の第2閾値未満である場合、条件を満たさない移動手段候補としてタクシーを除外する。
【0082】
算出部84は、徒歩である移動手段候補の移動時間(ステップS22参照)及び行動情報に基づいて、ユーザUの徒歩許容時間を推定し、徒歩である移動手段候補の中から、徒歩許容時間を超える移動期間に対応する移動手段候補を、条件を満たさない移動手段候補として除外する。
【0083】
具体的には、算出部84は、行動情報に含まれる徒歩情報をユーザUの徒歩許容時間と推定する。徒歩情報は、対象期間においてユーザUが連続して歩いた期間の第三四分数を示す。仮に、ユーザUが過去に連続して歩いた最長期間を徒歩情報とした場合、ユーザUが本意ではなく長距離を連続して歩いたことが1度でもあると、当該期間が徒歩許容時間と推定されてしまう。本実施形態では、ユーザUが連続して歩いた期間の第三四分数をユーザUの徒歩許容時間と推定するので、ユーザUの徒歩許容時間が精度良く推定される。そして、算出部84は、選択された巡回順序の各ノード間において、徒歩である移動手段候補ごとの移動時間と、推定した徒歩許容時間とを比較し、徒歩許容時間を超える移動時間に対応する徒歩の移動手段候補を、条件を満たさない移動手段候補として除外する。
【0084】
以上のように、算出部84は、徒歩、レンタルサイクル、及びタクシーのいずれかである複数の移動手段候補のうち、条件を満たさない移動手段候補を除外する。徒歩、レンタルサイクル、及びタクシー以外の移動手段候補は、除外されずに第2効用の算出に用いられる。なお、ステップS24の処理は、省略されてもよい。この場合、算出部84は、すべての移動手段候補(取得部83から受け取ったすべてのエッジ情報)に対する第2効用を算出してもよい。
【0085】
具体例の順序候補K1においては、いずれの移動手段候補も除外されずに、第2効用の算出に用いられるとする。したがって、算出部84は、区間[出発地ノード-ノードa]の各移動手段候補、区間[ノードa-ノードb]の各移動手段候補、区間[ノードb-ノードc]の各移動手段候補、及び区間[ノードc-帰着地ノード]の各移動手段候補に対するエッジ情報を取得部83から受け取る。そして、算出部84は、受け取った各エッジ情報に含まれる第2効用関数を用いて各区間に対する第2効用を算出する。
【0086】
続いて、算出部84は、複数のエッジ情報に基づいて第2効用を算出する。ステップS25においては、算出部84は、以下の式(2)に示される第2効用関数を用いて、第2効用を算出する。以下、任意のノード間n1-n2の移動手段に対する第2効用の算出方法に着目して説明する。本実施形態では、第2効用が大きいほど、ユーザUの満足度が高いことを示し、第2効用が小さいほど、ユーザUの満足度が低いことを示す。
【数2】
【0087】
変数Vetは、ステップS22において推定された移動時間(或いは、移動時間に対応する値)が代入される変数である。変数Vefは、ノード間n1-n2の移動料金(或いは、移動料金に対応する値)が代入される変数である。例えば、ノード間n1-n2において、移動手段候補がタクシーである場合に変数Vefに代入される値は、移動手段候補が鉄道である場合に変数Vefに代入される値よりも大きい。変数Vefに代入される値は、例えば、予めエッジ情報DB40に記憶されている。或いは、算出部84は、交通情報DB70に記憶されている交通情報に含まれる移動料金を参照して、変数Vefに代入される値を得てもよい。
【0088】
第1モードでは、重みWefは、行動情報に含まれるタクシー利用回数及びキャンペーン参加回数に基づいて変動する重みである。頻繁にタクシーを利用するユーザUは、移動にかかるコストの削減よりも時間にかかるコストの削減を重視していると考えられ、頻繁にキャンペーンに参加するユーザUは、時間にかかるコストよりも移動にかかるコストの削減を重視していると考えられる。算出部84は、行動情報に含まれるタクシー利用回数及びキャンペーン参加回数に基づいて、最適な重みWefを設定する。一例として、算出部84は、タクシー利用回数が小さいほど、重みWefを大きい値に設定する。算出部84は、キャンペーン参加回数が大きいほど、重みWefを大きい値に設定する。
【0089】
変数Vewは、ノード間n1-n2の天気によって変動する値が代入される変数である。ノード間n1-n2天気は、ユーザUがノード間n1-n2を移動する移動期間における天気情報が示す天気である。変数Vewの値は、変数Vnwの値と同様に決定される。重みWewは、移動手段候補ごとに変動する重みである。具体的には、算出部84は、天気の影響の受けやすい移動手段候補であるほど重みWewを大きい値に設定する。例えば、鉄道に対するユーザUの満足度よりも、徒歩に対するユーザUの満足度は天気の影響を受けやすい。算出部84は、徒歩である移動手段候補に対する重みWewを、鉄道である移動手段候補に対する重みWewよりも大きい値に設定する。すなわち、算出部84は、各移動手段候補について、天気の影響を受けやすい移動手段候補であるほど、2つの目的地間の天気に応じて第2効用の変動率を大きく設定する。重みWewは、例えば、予めエッジ情報DB40に記憶されている。
【0090】
変数Vevは、景観良好度が代入される変数である。算出部84は、ステップS22で推定した移動期間、及びルート景観情報に基づいて、景観良好度を推定する。景観良好度は景観の良さを示す度合いである。具体的には、算出部84は、移動期間と、ルート景観情報とを照合して、移動期間におけるノード間n1-n2のルートの景観良好度を推定する。
【0091】
第1モードでは、重みWevは、景観嗜好度によって変動する重みである。景観嗜好度は、ユーザUが旅行中に景観を重視する度合いを示す。算出部84は、取得部83から受け取った行動情報に基づいて、景観嗜好度を推定する。具体的には、算出部84は、行動情報に含まれ、かつユーザUが決済した商店の識別情報及び飲食店の識別情報を参照して、商店の居所及び飲食店の居所を特定する。そして、算出部84は、観光地情報DBを参照して、特定した商店の居所及び飲食店の居所と、エリア景観情報とを照合して、対象期間においてユーザUが景観の良いエリアに訪れた回数を推定する。そして、算出部84は、例えば、推定した回数が大きいほど、重みWevを大きい値に設定する。
【0092】
変数Vesは、第1充実度が代入される変数である。第1充実度は、ユーザUが移動手段によってノード間n1-n2を移動する際に通るルートの商店の充実度を示す。第1充実度は、商店が充実しているほど大きく、商店が充実していないほど小さい。変数Vesは、例えば、予めエッジ情報DB40に記憶されている。
【0093】
第1モードでは、重みWesは、第1嗜好度によって変動する重みである。第1嗜好度は、ユーザUが旅行中に商店に関心を持つ度合いを示す。第1嗜好度は、行動情報に含まれる商品購入回数である。第1モードにおいて、算出部84は、取得部83から受け取った行動情報に基づいて、例えば、行動情報に含まれる商品購入回数が大きいほど、重みWesを大きい値に設定する。
【0094】
変数Verは、第2充実度が代入される変数である。第2充実度は、ユーザUが移動手段によってノード間n1-n2を移動する際に通るルートの飲食店の充実度を示す。第2充実度は、飲食店が充実しているほど大きく、飲食店が充実していないほど小さい。変数Verは、例えば、予めエッジ情報DB40に記憶されている。
【0095】
第1モードでは、重みWerは、第2嗜好度によって変動する重みである。第2嗜好度は、ユーザUが旅行中において飲食店に関心を持つ度合いを示す。第2嗜好度は、行動情報に含まれる飲食店利用回数である。第1モードにおいて、算出部84は、取得部83から受け取った行動情報に基づいて、例えば、行動情報に含まれる飲食店利用回数が大きいほど、重みWerを大きい値に設定する。
【0096】
以上のように、算出部84は、第2効用関数の各変数Vet,Vef,Vew,Vev,Ves,Ver、重みWef,Wew,Vev,Wes,Werに基づいて、第2効用を得る。すなわち、第2効用は、移動時間、利用料金、ノード間n1-n2の天気、景観の良さ、商店の充実度、及び飲食店の充実度によって変動する。
【0097】
上述した景観情報、天気情報、及び移動時間は、ユーザUが2つの目的地間を移動する移動期間に応じて変化する変動情報に含まれる。上述した変動情報(景観情報、天気情報、及び移動時間)、第1充実度、及び第2充実度は、2つの目的地間に関する地点間情報に含まれる。景観嗜好度、第1嗜好度、及び第2嗜好度は、ユーザUの嗜好に関する嗜好情報に含まれる。つまり、算出部84は、2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザUの嗜好に関する嗜好情報に基づいて、各移動手段候補に対して第2効用を算出する。
【0098】
続いて、第2モードにおける第2効用の算出方法について、第1モードと異なる点を主に説明する。第2モードでは、算出部84は、取得部83から受け取ったユーザ設定情報に含まれる利用移動手段情報を参照して、ユーザUが指定しない移動手段を、移動手段候補から除外する。算出部84は、ユーザ設定情報に含まれる徒歩許容範囲をユーザUの徒歩許容時間とし、徒歩である移動手段候補の中から、徒歩許容時間を超える移動期間に対応する移動手段候補を、条件を満たさない移動手段候補として除外する。
【0099】
続いて、算出部84は、第2効用を算出する。第2モードでは、算出部84が、ユーザ設定情報に基づいて重みWef,Wev,Wer,Wesを設定する点で、第1モードにおいての第2効用の算出方法と異なる。具体的には、算出部84は、ユーザ設定情報に含まれる優先コスト情報が、ユーザUが金額を優先することを示す場合において、ユーザUが時間を優先することを示す場合と比較して、重みWefを大きい値に設定する。
【0100】
算出部84は、ユーザ設定情報に含まれる優先項目(景観、飲食店の充実、及び商店の充実)のうち、ユーザUが指定する項目に対応する重みを、ユーザUが当該項目を指定しない場合と比較して大きい値に設定する。具体的には、ユーザUが優先項目として景観を指定した場合、算出部84は、重みWevを、優先項目として景観を指定していない場合と比較して大きい値に設定する。ユーザUが優先項目として商店の充実を指定した場合、算出部84は、重みWesを、優先項目として商店の充実を指定していない場合と比較して大きい値に設定する。ユーザUが優先項目として飲食店の充実を指定した場合、算出部84は、重みWerを、優先項目として飲食店の充実を指定していない場合と比較して大きい値に設定する。
【0101】
続いて、算出部84は、すべての順序候補を選択したか否かを判定する(ステップS26)。算出部84は、すべての順序候補を選択したわけではないと判定した場合(ステップS26:NO)、次の順序候補を選択し(ステップS21)、ステップS22~S26の処理を再び行う。算出部84は、すべての順序候補を選択したと判定した場合(ステップS26:YES)、第1効用、及び第2効用を決定部85に出力し、ステップS04の算出処理を終了する。
【0102】
続いて、決定部85が、算出部84から受け取った第1効用及び第2効用に基づいて、最適な組み合わせを決定する(ステップS05)。決定部85は、複数の目的地のそれぞれに対する第1効用と、2つの目的地間ごとの移動手段に対する第2効用との合計値が最大となるように、最適な組み合わせを決定する。具体的には、決定部85は、複数の順序候補と、各順序候補において互いに隣り合う区間ごとの複数の移動手段候補と、のすべての組み合わせについて、合計値を算出する。組み合わせは、上記パターンに相当する。すなわち、決定部85は、組み合わせごとに、目的地に対応する各ノードの第1効用と、移動手段候補に対応する各エッジの第2効用との合計値を算出する。
【0103】
例えば、具体例の順序候補K1における[出発地→鉄道→ノードa→徒歩→ノードb→徒歩→ノードc→徒歩→帰着地]のパターンにおいては、決定部85は、ノードa,b,cのそれぞれの第1効用と、区間[出発地-ノードa]の移動手段(鉄道)に対する第2効用と、区間[ノードa-ノードb]の移動手段(徒歩)に対する第2効用と、区間[ノードb-ノードc]の移動手段(徒歩)に対する第2効用と、区間[ノードc-帰着地]の移動手段(徒歩)に対する第2効用と、の合計値を算出する。
【0104】
そして、決定部85は、すべての組み合わせのうちの最大の合計値を有する組み合わせを、最適な組み合わせとして決定する。なお、算出部84は、上記すべての組み合わせ(すべてのパターン)のうち、帰着地への帰着時刻に相当する帰着地の訪問時刻が、ユーザUが指定したレコメンド条件情報に含まれる帰着時刻よりも遅い組み合わせについては、最適な組み合わせの対象から外してもよい。また、算出部84は、すべての組み合わせではなく、例えば特定の条件を満たす複数の組み合わせについて合計値を算出してもよい。そして、決定部85は、レコメンド情報を提示部86に出力する。
【0105】
続いて、提示部86は、決定部85からレコメンド情報を受け取ると、レコメンド情報を提示する(ステップS06)。レコメンド情報は、最適な組み合わせを示す。ステップS06においては、提示部86は、レコメンド要求を送信した端末装置10にレコメンド情報を出力する。図10に示される画面例においては、複数の目的地の巡回順序と、2つの目的地間の移動手段(具体的には、移動手段を示すアイコン)との最適な組み合わせが周遊プランとして表示される。なお、提示部86は、決定した最適な組み合わせとともに、他の組み合わせも提示してもよい。一例として、算出部84は、第2効用関数に含まれる重みWef,Wew,Wev,Wes,Werのいずれかを変更して第2効用を算出し、第1効用、及び変更した第2効用に基づいて最大の合計値を有する組み合わせを更に提示してもよい。
【0106】
以上により、レコメンド方法の一連の処理が終了する。なお、ステップS24及びステップS25は、ステップS23よりも前に行われてもよく、ステップS23と並行して行われてもよい。また、ステップS22~ステップS25の処理は、複数の順序候補に対して同時に行われもよい。この場合、ステップS21及びステップS26の処理は省略される。
【0107】
以上説明したレコメンド装置80では、複数の目的地の天気を示す天気情報が取得され、天気情報に基づいて、最適な組み合わせが決定され、最適な組み合わせを示すレコメンド情報が提示される。複数の目的地の巡回順序と複数の移動手段との組み合わせに対するユーザの満足度は、ユーザが巡回する目的地の天気によって変動するといえる。上記構成によれば、ユーザが巡回する複数の目的地の天気が考慮されて、巡回順序、及び2つの目的地間ごとの移動手段の組み合わせの中から最適な組み合わせが決定されるため、最適な組み合わせ(巡回経路)としてユーザUの満足度が高い組み合わせを決定できる。したがって、ユーザUにとって満足度が高い巡回経路を提示できる。
【0108】
例えば、午前中は雨で、午後から晴れる場合において、午前中に屋外の目的地に向かった後に次の目的地に徒歩で移動するのと、午前中に屋内の目的地に向かった後に次の目的地にタクシーで移動するのとでは、ユーザUの満足度は後者の方が高いと考えられる。この例のように、天気は、上記組み合わせに対するユーザUの満足度に影響を与えるといえる。レコメンド装置80では、ユーザが巡回する複数の目的地の天気が考慮されて最適な組み合わせが決定されるので、ユーザUの満足度が高い巡回経路を提示できる。
【0109】
例えば、ユーザUが雨の中公園を訪れる場合には、目的地である公園に対するユーザUの満足度は低いと考えられる。この例のように、天気は、目的地に対するユーザUの満足度に影響を与えると考えられるが、1日の中でも目的地をユーザUが訪問する時刻によって大きく変わる場合もある。すなわち、目的地をユーザUが訪れる時刻は、目的地に対するユーザUの満足度に影響を与えるといえる。この点に対し、決定部85は、目的地に対するユーザUの満足度を示す第1効用と、移動手段に対するユーザUの満足度を示す第2効用と、に基づいて、最適な組み合わせを決定する。第1効用は、目的地を訪問する訪問時刻及び目的地における天気によって変動する。第2効用は、2つの目的地間の天気によって変動する。したがって、目的地を訪問する時刻における天気が考慮されて最適な組み合わせが決定される結果、ユーザUの満足度が高い巡回経路を提示できる。
【0110】
2つの目的地間を移動する際の移動料金及び移動時間は、移動手段に対するユーザUの満足度に影響を与えると考えられる。この点に対し、第2効用は、更に2つの目的地間の移動時間及び移動料金によって変動する。つまり、天気情報に加えて、更に移動料金及び移動時間が考慮されて第2効用が算出される。したがって、第2効用を精度良く得ることができる。
【0111】
決定部85は、複数の目的地のそれぞれに対する第1効用と、2つの目的地間ごとの複数の移動手段のそれぞれに対する第2効用との合計値が最大となるように、最適な組み合わせを決定する。各目的地に対する第1効用、及び各移動手段に対する第2効用の合計値が最大となる組み合わせは、ユーザUの満足度が最大となる組み合わせといえる。したがって、ユーザUの満足度が高い巡回経路を確実に決定できる。
【0112】
具体的には、決定部85は、複数の順序候補と、複数の移動手段候補と、の複数の組み合わせについて、合計値を算出し、複数の組み合わせのうちの最大の合計値を有する組み合わせを、最適な組み合わせとして決定する。この構成によれば、複数の目的地及び2つの目的地間ごとの移動手段を含む巡回経路全体として最適な組み合わせを決定することができる。例えば、ある順序候補と複数の移動手段候補との組み合わせにおいて、1の目的地に対する第1効用、及び1の移動手段に対する第2効用が比較的低かったとしても、上記目的地以外の目的地の第1効用等が高い等、合計値が高い場合には、当該組み合わせが、ユーザUにレコメンドする組み合わせとして決定される。すなわち、レコメンド装置80では、ユーザUが巡回し得るあらゆる目的地の巡回順序及びあらゆる移動手段の組み合わせが総合的に考慮されて、最適な組み合わせを決定可能である。
【0113】
例えば、徒歩による移動に対するユーザUの満足度に天気が与える影響は、鉄道による移動に対するユーザUの満足度に天気が与える影響と比較して大きいといえる。この点に関し、算出部84は、複数の移動手段について、天気の影響を受けやすい移動手段であるほど、2つの目的地間の天気に応じて第2効用の変動率を大きくする(すなわち、移動手段の種別によって第2効用に対する天気の影響度を変化させる)ので、第2効用を精度良く得ることができる。
【0114】
レコメンド装置80においては、2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザUの嗜好に関する嗜好情報が考慮されて、2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な移動手段に対して第2効用が算出されるので、第2効用を精度良く得ることができる。そして、精度良く得られた第2効用が考慮されるので、複数の巡回順序と、2つの目的地間のそれぞれにおいて利用可能な複数の移動手段とのすべての組み合わせの中から、巡回組み合わせ(最適な組み合わせ)が決定可能である。よって、上記構成によれば、ユーザUの満足度が高い巡回経路を提示できる。
【0115】
例えば、ユーザUが雨の中を徒歩で移動する場合には、ユーザUの移動手段(徒歩)に対する満足度は低いと考えられる。この例のように、天気は、移動手段に対するユーザUの満足度に影響を与えると考えられるが、1日の中でも2つの目的地間をユーザUが移動する期間(時間帯)によって大きく変わる場合もある。すなわち、2つの目的地間をユーザUが移動する期間(ユーザUが1の目的地を出発した時刻から他の目的地に到着する時刻)は、移動手段に対するユーザUの満足度に影響を与えるといえる。この点に対し、地点間情報は、ユーザUが2つの目的地間を移動する移動期間に応じて変化する変動情報を含むので、2つの移動期間に応じて変化する変動情報が考慮されて移動手段ごとの第2効用が算出される。したがって、第2効用を精度良く得ることができる。
【0116】
例えば、夕焼けが臨めるルート、及び昼間に海が良く見えるルートといったルートでは、景観の良さは時刻によって変化するといえる。また、例えば、2つの目的地間を移動する場合、地下鉄で移動するルートと徒歩で移動するルートとでは、景観が大きく異なるといえる。変動情報は景観情報を含むので、景観情報が考慮されて各移動手段の第2効用が算出される。したがって、第2効用をより一層精度良く得ることができる。
【0117】
嗜好情報は、ユーザUが旅行中に景観を重視する度合いを示す景観嗜好度を含む。2つの目的地間を移動する際の景観は、景観を重視するユーザUの移動手段に対する満足度に大きく影響を与えると考えられる。この点に対し、嗜好情報は、ユーザUが旅行中に景観を重視する度合いを示す景観嗜好度を含むので、上記景観情報と、景観嗜好度とが考慮されて各移動手段の第2効用が算出される。したがって、第2効用をより精度良く得ることができる。例えば、景観を重視するユーザUには、地下鉄と比較してバスが上記巡回組み合わせに含まれる移動手段として選ばれやすくなる。
【0118】
上述したように、ユーザUの満足度に影響を与えると考えられる天気は、時刻によって変化し得る。変動情報は、ユーザUが2つの目的地間を移動する際の2つの目的地間の天気情報を含むので、2つの目的地間を移動する際の2つの目的地間の天気が考慮されて第2効用が算出される。したがって、第2効用をより一層精度良く得ることができる。
【0119】
例えば、同じ道路のルートでも、早朝と夕方のラッシュ時間とでは混雑度に差があることから、2つの目的地間の移動時間は、時刻によって変化するといえる。変動情報は、ユーザUが移動手段によって2つの目的地間を移動する際の移動にかかる時間を示す移動時間を含むので、2つの目的地間の移動にかかる移動時間が考慮されて第2効用が算出される。したがって、第2効用をより一層精度良く得ることができる。
【0120】
例えば、旅行中での商店に対する関心が高いユーザUにとって、2つの目的地間を移動する際の商店の充実度は、ユーザUの満足度に大きく影響を与えると考えられる。嗜好情報は、第1嗜好度を含み、地点間情報は、第1充実度を含むので、ユーザUが旅行中に商店に関心を持つ度合いと、移動手段によって2つの目的地間を移動する際に通るルートの商店の充実度とが考慮されて第2効用が算出される。したがって、第2効用をより一層精度良く得ることができる。
【0121】
例えば、旅行中での飲食店に対する関心が高いユーザUにとって、2つの目的地間を移動する際の飲食店の充実度は、ユーザUの満足度に大きく影響を与えると考えられる。嗜好情報は、第2嗜好度を含み、地点間情報は、飲食店充実度を含むので、ユーザUが旅行中に飲食店に関心を持つ度合いと、移動手段によって2つの目的地間を移動する際に通るルートの飲食店の充実度とが考慮されて第2効用が算出される。したがって、第2効用をより一層精度良く得ることができる。
【0122】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0123】
レコメンド装置80は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、レコメンド装置80は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。以上のように、レコメンド装置80の構成は、レコメンド装置80の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。
【0124】
ユーザUが巡回する複数の目的地は、ユーザUによって指定された複数の目的地のみであってもよい。この場合、取得部81は、指定レコメンド情報のみを取得し、レコメンド装置80は、決定部82を備えていなくてもよい。
【0125】
レコメンド装置80は、行動情報DB20、ノード情報DB30、エッジ情報DB40、観光地情報DB50、天気情報DB60、及び交通情報DB70の少なくとも1つを備えていてもよい。また、行動情報DB20、ノード情報DB30、エッジ情報DB40、観光地情報DB50、天気情報DB60,及び交通情報DB70の少なくとも1つは、複数のデータベースによって構成されていてもよい。
【0126】
第1効用及び第2効用の算出方法は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1効用関数、及び第2効用関数は、上記各変数とは異なる変数、及び上記各重みとは異なる重みを含んでもよい。一例として、第1効用関数、及び第2効用関数は、混雑度を示す変数を含んでいてもよい。レコメンド装置80は、第1モード及び第2モードのいずれかのモードに予め設定されていてもよい。レコメンド装置80が第2モードのみに設定される場合、レコメンドシステム1は、行動情報DB20を備えていなくてもよい。
【0127】
算出部84は、第2効用のみに基づいて最適な組み合わせを決定してもよい。第2効用は、2つの目的地間に関する地点間情報、及びユーザの嗜好に関する嗜好情報に基づいて算出されればよく、上記第2効用関数には、上述したすべての変数及び重みが含まれている必要はない。例えば、第2効用関数には、Vev,Wes,変数Vev,Ves,Ver及び重みWev,Wes,Werのみが含まれていてもよい。
【0128】
本開示において、「複数の移動手段」は、複数の移動する方法を意味する。例えば、1の区間を移動可能な複数の移動手段は、第1ルートを徒歩で移動する第1移動手段、及び第1ルートとは異なる第2ルートを徒歩で移動する第2移動手段であってもよい。この場合、第1ルートは、第2ルートと異なるため、第1移動手段に対応するエッジ情報に含まれる第2効用関数は、第2移動手段に対応するエッジ情報に含まれる第2効用関数と異なる。
【0129】
なお、上記実施形態の説明に用いられたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0130】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、及び割り振り(assigning)などがあるが、これらの機能に限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0131】
例えば、本開示の一実施形態におけるレコメンド装置80は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図11は、本開示の一実施形態に係るレコメンド装置80のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のレコメンド装置80は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0132】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、及びユニットなどに読み替えることができる。レコメンド装置80のハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0133】
レコメンド装置80における各機能は、プロセッサ1001及びメモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0134】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のレコメンド装置80の各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0135】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明された動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、レコメンド装置80の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理では、1つのプロセッサ1001によって実行される旨が説明されたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0136】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、及びRAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、又はメインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存できる。
【0137】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、及び磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバ、又はその他の適切な媒体であってもよい。
【0138】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、又は通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の取得部81、取得部83、及び提示部86などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0139】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0140】
プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0141】
レコメンド装置80は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0142】
情報の通知は、本開示において説明された態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0143】
本開示において説明された各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム、及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも1つに適用されてもよい。複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0144】
本開示において説明された各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、及びフローチャートなどにおいては、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明された方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示された特定の順序に限定されない。
【0145】
情報等は、上位レイヤから下位レイヤへ、又は下位レイヤから上位レイヤへ出力され得る。情報等は、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0146】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0147】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0148】
本開示において説明された各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
【0149】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明された実施形態に限定されないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有しない。
【0150】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0151】
ソフトウェア、命令、及び情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0152】
本開示において説明された情報、及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0153】
なお、本開示において説明された用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0154】
本開示において使用される「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0155】
本開示において説明された情報、及びパラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0156】
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示された数式等と異なる場合もある。
【0157】
本開示で使用される「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、又は「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0158】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、及び「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0159】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0160】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、又は通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0161】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的或いは論理的であってもよく、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用される場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0162】
本開示において使用される「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0163】
本開示において使用される「第1の」、及び「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、及び何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことのいずれも意味しない。
【0164】
上記の各装置の構成における「部」が、「回路」、「デバイス」等に置き換えられてもよい。
【0165】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0166】
本開示において、例えば、英語での「a」、「an」、及び「the」のように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0167】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、及び「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0168】
80…レコメンド装置、84…算出部、85…決定部、86…提示部、A~E…目的地、U…ユーザ。
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