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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02212 20210101AFI20240612BHJP
   H01S 5/026 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
H01S5/02212
H01S5/026 616
H01S5/026 650
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020213344
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099537
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519283819
【氏名又は名称】CIG Photonics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-46210(JP,A)
【文献】特開2013-89903(JP,A)
【文献】特開2010-225991(JP,A)
【文献】特開2020-178117(JP,A)
【文献】特開2019-40949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に間隔があく一対の第1パッドを備え、前記一対の第1パッドの間に第2パッドを備える半導体光素子と、
前記第1方向に隣り合う第1回路及び第2回路を表面に備え、前記第1回路に重なって導通する第1裏面電極を裏面に備え、前記第2回路に重なって導通する第2裏面電極を前記裏面に備え、前記第1方向に交差する第2方向に前記半導体光素子の隣にあるサブ基板と、
前記一対の第1パッドをそれぞれ前記第1回路に電気的に接続する一対の第1ワイヤと、
前記第2パッドを前記第2回路に電気的に接続する第2ワイヤと、
前記サブ基板が上にかけ渡され、前記第1方向に相互に隣り合う第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
を有し、
前記第1コンデンサは、前記第1裏面電極に対向して電気的に接続され、
前記第2コンデンサは、前記第2裏面電極に対向して電気的に接続され、
前記第1回路及び前記第2回路のそれぞれは、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの対応する1つに重なる本体領域を有し、
前記第1回路及び前記第2回路の少なくとも一方の回路は、他方の回路に向けて前記本体領域から延びる延長領域を有し、
前記一対の第1ワイヤの1つ及び前記第2ワイヤの少なくとも一方は、前記延長領域にボンディングされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記一対の第1ワイヤが前記第1回路にボンディングされる一対の位置は、前記第1方向に相互にずれていることを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載された光モジュールであって、
前記第2ワイヤは、前記第1方向に前記一対の位置の間で、前記第2回路にボンディングされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記第1回路が、前記延長領域を有し、
前記一対の第1ワイヤの前記1つが、前記第1回路の前記延長領域にボンディングされていることを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載された光モジュールであって、
前記第1回路の前記延長領域は、前記第2ワイヤが前記第2回路にボンディングされる位置よりも、前記半導体光素子から遠いことを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載された光モジュールであって、
前記第1回路の前記延長領域は、前記第2ワイヤが前記第2回路にボンディングされる前記位置よりも、前記第1コンデンサから遠いことを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された光モジュールであって、
前記第1回路の前記延長領域は、前記第2コンデンサに重なることを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記第1回路及び前記第2回路のそれぞれが、前記延長領域を有し、
前記一対の第1ワイヤの前記1つが前記延長領域にボンディングされる位置は、前記第2ワイヤが前記延長領域にボンディングされる前記位置よりも、前記第1コンデンサから遠いことを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載された光モジュールであって、
前記第1回路の前記延長領域及び前記第2回路の前記延長領域は、前記第2方向に隣り合うことを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載された光モジュールであって、
前記第2回路の前記延長領域は、前記第1回路の前記延長領域よりも、前記半導体光素子に近いことを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記第1回路及び前記第2回路の少なくとも一方は、配線及びパッド並びに前記配線及び前記パッドの間に直列接続された抵抗器を含み、
前記パッドの少なくとも一部が前記延長領域であることを特徴とする光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ、光変調器及び増幅器がモノリシック集積された半導体光素子が知られている(特許文献1)。半導体レーザ及び増幅器のそれぞれに、バイパスコンデンサを並列に接続すれば、直流信号に重畳される高周波信号を分離することができる。光変調器には終端抵抗が並列接続されて、信号の不要反射を防いでいる。終端抵抗にデカップリングコンデンサを直列接続して、直流成分を流さないようにすれば、低消費電力化が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-40949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気的接続を行うワイヤは、インダクタンスによる高周波特性の低下が問題にならない程度に、本数が少ないことが好ましい。また、ボンディング位置によっては、ワイヤの接触を避けられないことがあり、短絡防止の工夫が必要になる。
【0005】
本開示は、ワイヤボンディングの問題を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示に係る光モジュールは、第1方向に間隔があく一対の第1パッドを備え、前記一対の第1パッドの間に第2パッドを備える半導体光素子と、前記第1方向に隣り合う第1回路及び第2回路を表面に備え、前記第1回路に重なって導通する第1裏面電極を裏面に備え、前記第2回路に重なって導通する第2裏面電極を前記裏面に備え、前記第1方向に交差する第2方向に前記半導体光素子の隣にあるサブ基板と、前記一対の第1パッドをそれぞれ前記第1回路に電気的に接続する一対の第1ワイヤと、前記第2パッドを前記第2回路に電気的に接続する第2ワイヤと、前記サブ基板が上にかけ渡され、前記第1方向に相互に隣り合う第1コンデンサ及び第2コンデンサと、を有し、前記第1コンデンサは、前記第1裏面電極に対向して電気的に接続され、前記第2コンデンサは、前記第2裏面電極に対向して電気的に接続され、前記第1回路及び前記第2回路のそれぞれは、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの対応する1つに重なる本体領域を有し、前記第1回路及び前記第2回路の少なくとも一方の回路は、他方の回路に向けて前記本体領域から延びる延長領域を有し、前記一対の第1ワイヤの1つ及び前記第2ワイヤの少なくとも一方は、前記延長領域にボンディングされていることを特徴とする。
【0007】
第1回路及び第2回路は、それぞれ、第1裏面電極及び第2裏面電極によって、第1コンデンサ及び第2コンデンサに電気的に接続される。これにより、ワイヤの本数を減らすことができる。また、延長領域は、第1回路から前記第2回路に(あるいはその逆に)延びる。これにより、一対の第1ワイヤと第2ワイヤの接触を避けることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光モジュールにおいて、前記一対の第1ワイヤが前記第1回路にボンディングされる一対の位置は、前記第1方向に相互にずれていることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された光モジュールにおいて、前記第2ワイヤは、前記第1方向に前記一対の位置の間で、前記第2回路にボンディングされていることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路が、前記延長領域を有し、前記一対の第1ワイヤの前記1つが、前記第1回路の前記延長領域にボンディングされていることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(4)に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路の前記延長領域は、前記第2ワイヤが前記第2回路にボンディングされる位置よりも、前記半導体光素子から遠いことを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(5)に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路の前記延長領域は、前記第2ワイヤが前記第2回路にボンディングされる前記位置よりも、前記第1コンデンサから遠いことを特徴としてもよい。
【0013】
(7)(5)又は(6)に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路の前記延長領域は、前記第2コンデンサに重なることを特徴としてもよい。
【0014】
(8)(5)から(7)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路及び前記第2回路のそれぞれが、前記延長領域を有し、前記一対の第1ワイヤの前記1つが前記延長領域にボンディングされる位置は、前記第2ワイヤが前記延長領域にボンディングされる前記位置よりも、前記第1コンデンサから遠いことを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(8)に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路の前記延長領域及び前記第2回路の前記延長領域は、前記第2方向に隣り合うことを特徴としてもよい。
【0016】
(10)(9)に記載された光モジュールにおいて、前記第2回路の前記延長領域は、前記第1回路の前記延長領域よりも、前記半導体光素子に近いことを特徴としてもよい。
【0017】
(11)(1)から(10)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記第1回路及び前記第2回路の少なくとも一方は、配線及びパッド並びに前記配線及び前記パッドの間に直列接続された抵抗器を含み、前記パッドの少なくとも一部が前記延長領域であることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図2】ステム及びこれに搭載される電子部品の斜視図である。
図3】ステム及びこれに搭載される電子部品の平面図である。
図4】第1コンデンサ及び第2コンデンサ並びにサブ基板を示す平面図である。
図5図4に示す構造のV-V線断面図である。
図6】光モジュールの等価回路図である。
図7】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、比較例及び第1の実施形態の周波数特性を示す図である。
図8】第2の実施形態のステム及びこれに搭載される電子部品の平面図である。
図9】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、第1の実施形態及び第2の実施形態の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。光モジュール100は、TO-CAN(Transistor Outline-Can)型光モジュールであり、発光素子を備える光送信サブアセンブリ(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)、受光素子を備える光受信サブアセンブリ(ROSA: Receiver Optical Sub-Assembly)、発光素子及び受光素子の両方を備える双方向モジュール(BOSA;Bidirectional Optical Sub-Assembly)のいずれであってもよい。光モジュール100は、フレキシブル基板(FPC)102を有し、プリント基板(PCB)104に接続されるようになっている。光モジュール100は、ステム10を有する。
【0021】
図2は、ステム10及びこれに搭載される電子部品の斜視図である。図3は、ステム10及びこれに搭載される電子部品の平面図である。ステム10は、金属などの導電材料からなる。ステム10は、アイレット12を含む。アイレット12は、厚み方向の表裏面の間でそれぞれ貫通する複数の貫通孔14を有する。ステム10は、アイレット12に一体的な台座部16を有する。台座部16は、アイレット12の表面から突出する。台座部16も導電材料からなる。ステム10は、基準電位(例えばグランド)に接続される。
【0022】
光モジュール100は、複数のリードピンLを有する。複数のリードピンLは、複数の貫通孔14の内側に、ガラスなどの絶縁体でステム10とは絶縁されてそれぞれ固定されている。複数のリードピンLは、フレキシブル基板102(図1)に接続される。
【0023】
光モジュール100は、熱電冷却器18を有する。熱電冷却器18は、上面及び下面を有する。上面及び下面は、セラミックなどの絶縁体からなる。下面がステム10(アイレット12)に固定されている。固定には、熱伝導性の接着剤を使用してもよい。熱電冷却器18は、上面及び下面の間で熱を移動させるためのペルチェ素子(図示せず)を内部に有する。例えば、上面が吸熱面になり、下面が放熱面になるが、その逆に切り替えられるようになっている。熱電冷却器18の電極は、ワイヤW1によって、リードピンL1に接続されている。
【0024】
熱電冷却器18の上面には金属層20が積層する。金属層20は、基準電位プレーン(例えばグランドプレーン)となる。サーミスタ22が金属層20に載って、電気的に接続し、温度を測定できるようになっている。サーミスタ22は、ワイヤW2によってリードピンL2に接続されており、電圧が印加されるようになっている。
【0025】
[半導体光素子]
光モジュール100は、半導体光素子24を有する。半導体光素子24は、電気信号及び光信号を少なくとも一方から他方に変換するようになっている。半導体光素子24には、光源として半導体レーザ26がモノリシック集積されている。半導体光素子24には、光変調器28(例えば電界吸収型変調器)がモノリシック集積されて、半導体レーザ26からの出力光に変調を加えるようになっている。さらに、半導体光素子24には、光増幅器30(例えば半導体光増幅器)がモノリシック集積されて、レーザ出力を改善するようになっている。半導体光素子24は、直方体になっている。
【0026】
半導体光素子24は、長手方向に並ぶ一対の第1パッド32を備える。一対の第1パッド32は、第1方向D1に間隔があく。一対の第1パッド32は、それぞれ、半導体レーザ26及び光増幅器30に電気的に接続されて、直流信号(直流電圧)が入力されるようになっている。半導体光素子24は、一対の第1パッド32の間に第2パッド34を備える。一対の第1パッド32及び第2パッド34は、半導体光素子24の長手方向に並ぶ。第2パッド34は、光変調器28に電気的に接続されて、高周波信号が入力されるようになっている。
【0027】
[搭載基板]
半導体光素子24は、搭載基板36に搭載されている。搭載基板36は、半導体光素子24が搭載される搭載面を有する。搭載面に平行な方向に光軸を向けるように、半導体光素子24は配置されている。なお、半導体光素子24は、端面から斜めに光を出射するようになっているため、第1方向D1に対して斜めに配置されている。熱電冷却器18の上面と搭載面は、相互に交差(例えば直交)する方向を向く。搭載基板36は、搭載面に第1グランドパターン38及び第1信号パターン40を有する。
【0028】
第1グランドパターン38には、半導体光素子24の裏面(カソード電極)が接合されている。第1グランドパターン38は、図示しない側面電極やスルーホールによって、搭載面とは反対側での電気的接続が可能になっている。第1グランドパターン38は、ワイヤW3によって、台座部16に接続されている。第1信号パターン40は、ワイヤW5によって半導体光素子24(光変調器28)の第2パッド34に電気的に接続されて、高周波信号が入力されるようになっている。
【0029】
搭載基板36は、支持ブロック42に搭載されている。支持ブロック42は導電材料(例えば金属)からなる。支持ブロック42は、ワイヤW6によって台座部16に電気的に接続されている。台座部16には、中継基板44が載っている。中継基板44は、第2信号パターン46を有する。第2信号パターン46は、リードピンL3に電気的に接続されている。詳しくは、リードピンL3の端部と第2信号パターン46の端子との間に、溶加材48(はんだ、ろう材)が介在して両者が電気的に接続されている。
【0030】
第2信号パターン46は、ワイヤW7を介して、第1信号パターン40に接続されている。中継基板44は、第2グランドパターン50を有する。第2グランドパターン50は、側面電極と一体化して、裏面での電気的接続が可能になり、台座部16に電気的に接続されている。また、第2グランドパターン50は、ワイヤW8によって支持ブロック42に接続されている。
【0031】
[第1コンデンサ]
光モジュール100は、第1コンデンサ52(バイパスコンデンサ)を有する。第1コンデンサ52は、半導体レーザ26及び光増幅器30(一対の第1パッド32)のそれぞれに並列に接続されて、直流信号に重畳される高周波信号を分離するようになっている。第1コンデンサ52は、支持ブロック42に搭載されている。
【0032】
[第2コンデンサ]
光モジュール100は、第2コンデンサ54(デカップリングコンデンサ)を有する。第2コンデンサ54は、信号の不要反射を防ぐための終端抵抗に直流成分を流さないようにして、低消費電力化を図っている。第2コンデンサ54は、第1方向D1に、第1コンデンサ52の隣にある。第1コンデンサ52及び第2コンデンサ54は、短絡を防止するため、厚みを同じ設計値とし、150μm以上の間隔を置いて搭載されている。第2コンデンサ54は、支持ブロック42に搭載されている。
【0033】
[サブ基板]
サブ基板56が、第1コンデンサ52及び第2コンデンサ54の上にかけ渡されている。固定には、導電性接着剤を使用してもよい。省スペースな実装となるため、第1コンデンサ52及び第2コンデンサ54の容量を大きくすることができ、特性の改善を見込むことができる。サブ基板56は、第1方向D1に交差(例えば直交)する第2方向D2に半導体光素子24の隣にある。
【0034】
図4は、第1コンデンサ52及び第2コンデンサ54並びにサブ基板56を示す平面図である。図5は、図4に示す構造のV-V線断面図である。
【0035】
サブ基板56は、第1回路58を表面に備える。サブ基板56は、第1回路58に重なって導通する第1裏面電極60を裏面に備える。第1回路58と第1裏面電極60の導通には、側面電極又はビアを使用することができる。第1コンデンサ52(上電極)は、第1裏面電極60に対向して電気的に接続されている。第1コンデンサ52の下電極が支持ブロック42に導通し、基準電位(例えばグランド)に接続される。ワイヤを使用しないので、寄生インダクタンスを低減することができる。
【0036】
サブ基板56は、第2回路62を表面に備える。第1回路58及び第2回路62は、第1方向D1に隣り合う。サブ基板56は、第2回路62に重なって導通する第2裏面電極64を裏面に備える。第2回路62と第2裏面電極64の導通には、側面電極又はビアを使用することができる。第2コンデンサ54(上電極)は、第2裏面電極64に対向して電気的に接続されている。第2コンデンサ54の下電極が支持ブロック42に導通し、基準電位(例えばグランド)に接続される。ワイヤを使用しないので、寄生インダクタンスを低減することができる。
【0037】
第1回路58及び第2回路62は、それぞれ、第1裏面電極60及び第2裏面電極64によって、第1コンデンサ52及び第2コンデンサ54に電気的に接続される。これにより、ワイヤの本数を減らすことができる。
【0038】
第1回路58は、第1コンデンサ52に重なる本体領域66を有する。第1回路58の本体領域66は、ワイヤW4によってリードピンL4に接続されている(図2及び図3)。第1回路58は、第2回路62に向けて本体領域66から延びる延長領域68を有する。第1回路58の延長領域68は、第2コンデンサ54に重なる。
【0039】
第2回路62は、第2コンデンサ54に重なる本体領域66を有する。第2回路62は、第1回路58に向けて本体領域66から延びる延長領域68を有する。第1回路58の延長領域68及び第2回路62の延長領域68は、第2方向D2に隣り合う。第2回路62の延長領域68は、第1回路58の延長領域68よりも、半導体光素子24に近い。
【0040】
第2回路62は、配線70及びパッド72並びに配線70及びパッド72の間に直列接続された抵抗器74(終端抵抗)を含む。パッド72の少なくとも一部が延長領域68である。抵抗器74は、高周波信号のエネルギーを消費させて、信号の不要反射を防ぐようになっている。抵抗器74に第2コンデンサ54を直列接続することで、直流成分を流さないようになっている。これにより、低消費電力化が可能になる。
【0041】
[第1ワイヤ]
図3に示すように、光モジュール100は、一対の第1ワイヤ76を有する。一対の第1ワイヤ76は、一対の第1パッド32をそれぞれ第1回路58に電気的に接続する。一対の第1ワイヤ76が第1回路58にボンディングされる一対の位置P1A,P1B(図4)は、第1方向D1に相互にずれている。一対の第1ワイヤ76の1つが、第1回路58の延長領域68にボンディングされている。
【0042】
[第2ワイヤ]
図3に示すように、光モジュール100は、第2パッド34を第2回路62に電気的に接続する第2ワイヤ78を有する。第2ワイヤ78は、第1方向D1に一対の位置P1A,P1B(図4)の間で、第2回路62にボンディングされている。第2ワイヤ78は、延長領域68にボンディングされている。
【0043】
一対の第1ワイヤ76の1つが延長領域68にボンディングされる位置P1A(図4)は、第2ワイヤ78が延長領域68にボンディングされる位置P2(図4)よりも、第1コンデンサ52から遠い。第1回路58の延長領域68は、第2ワイヤ78が第2回路62にボンディングされる位置P2よりも、半導体光素子24から遠い。第1回路58の延長領域68の先端は、第2ワイヤ78が第2回路62にボンディングされる位置P2よりも、第1コンデンサ52から遠い。
【0044】
延長領域68は、第1回路58から第2回路62に(あるいは逆に)延びる。これにより、一対の第1ワイヤ76と第2ワイヤ78の接触を避けることができる。
【0045】
[等価回路]
図6は、光モジュール100の等価回路図である。半導体レーザ26及び光増幅器30には、それぞれ、電流源80から直流信号が入力される。光変調器28には、高周波信号が入力される。半導体レーザ26、光変調器28及び光増幅器30は、図示しないカソード電極を共有する。そのため、半導体レーザ26及び光増幅器30が高周波信号の影響を受ける。そこで、半導体レーザ26及び光増幅器30のそれぞれに第1コンデンサ52が並列接続されており、これにより、直流信号に重畳される高周波信号が分離される。
【0046】
光変調器28には抵抗器74が並列接続されている。これにより、高周波信号のエネルギーを消費させて、信号の不要反射を防ぐようになっている。また、抵抗器74には第2コンデンサ54が直列接続されているので、直流成分を流さないようになっている。これにより、低消費電力化が可能になる。
【0047】
[シミュレーション]
図7は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、比較例及び第1の実施形態の周波数特性を示す図である。比較例では、デカップリングコンデンサと終端抵抗をワイヤで接続した。第1の実施形態では、第2コンデンサ54(デカップリングコンデンサ)と抵抗器74(終端抵抗)の間にワイヤが無いので、インダクタンスが低減され、特性が大幅に改善されている。
【0048】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態のステム及びこれに搭載される電子部品の平面図である。第1回路258は、配線270及びパッド272並びに配線270及びパッド272の間に直列接続された抵抗器274(ダンピング抵抗)を含む。パッド272の少なくとも一部が延長領域268である。延長領域268にボンディングされる第1ワイヤ276は、光増幅器230の第1パッド232にボンディングされる。したがって、抵抗器274及び第1コンデンサ252が、光増幅器230に並列接続される。これにより、半導体レーザ226に分流する電流量を多くすることができる。また、光増幅器230は光変調器228に近いことで高周波信号が重畳しやすいが、抵抗器274によってノイズを減らすことができる。その他の内容には、第1の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0049】
図9は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、第1の実施形態及び第2の実施形態の周波数特性を示す図である。第2の実施形態では、抵抗器274(ダンピング抵抗)によって、第1回路258に重畳される高周波信号が低減されている。その効果によって、48GHz付近のロスが改善している。抵抗値をさらに上げることで、さらなるロスの改善が可能となるが、消費電力とのトレードオフがあるので、最適な抵抗値は使用条件などで異なる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ステム、12 アイレット、14 貫通孔、16 台座部、18 熱電冷却器、20 金属層、22 サーミスタ、24 半導体光素子、26 半導体レーザ、28 光変調器、30 光増幅器、32 第1パッド、34 第2パッド、36 搭載基板、38 第1グランドパターン、40 第1信号パターン、42 支持ブロック、44 中継基板、46 第2信号パターン、48 溶加材、50 第2グランドパターン、52 第1コンデンサ、54 第2コンデンサ、56 サブ基板、58 第1回路、60 第1裏面電極、62 第2回路、64 第2裏面電極、66 本体領域、68 延長領域、70 配線、72 パッド、74 抵抗器、76 第1ワイヤ、78 第2ワイヤ、80 電流源、100 光モジュール、102 フレキシブル基板、226 半導体レーザ、228 光変調器、230 光増幅器、232 第1パッド、252 第1コンデンサ、258 第1回路、268 延長領域、270 配線、272 パッド、274 抵抗器、276 第1ワイヤ、D1 第1方向、D2 第2方向、L リードピン、L1 リードピン、L2 リードピン、L3 リードピン、L4 リードピン、P1A 位置、P1B 位置、P2 位置、W1 ワイヤ、W2 ワイヤ、W3 ワイヤ、W4 ワイヤ、W5 ワイヤ、W6 ワイヤ、W7 ワイヤ、W8 ワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9