IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特許-高周波電源装置 図1
  • 特許-高周波電源装置 図2
  • 特許-高周波電源装置 図3
  • 特許-高周波電源装置 図4
  • 特許-高周波電源装置 図5
  • 特許-高周波電源装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】高周波電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240612BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H05H1/46 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020217528
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102662
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 太一
(72)【発明者】
【氏名】大上 泰幸
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135159(JP,A)
【文献】特開2010-238705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電力を生成して負荷に出力する高周波生成部と、該高周波生成部による高周波電力の出力をオン/オフに制御する制御部とを備える高周波電源装置であって、
第1抵抗器及び第1スイッチが並列に接続された回路を有し、前記高周波生成部及び前記負荷の間に直列に接続されて前記出力を抑止する高周波抑止部と、
第2抵抗器及び第2スイッチが直列的に接続された回路を有し、前記負荷に並列的に接続されて前記出力を消費する高周波消費部と
を備え、
前記制御部は、前記出力の制御と同期して前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン/オフするようにしてあり、前記出力をオフに制御する場合、前記第1スイッチをオフすると共に、前記第2スイッチをオンする高周波電源装置。
【請求項2】
前記高周波消費部は、前記第2抵抗器に一次巻線が直列に接続された第2トランスを含み、該第2トランスの二次巻線に前記第2スイッチが並列に接続されている請求項1に記載の高周波電源装置。
【請求項3】
前記高周波消費部は、前記高周波抑止部における前記高周波生成部側又は前記負荷側にて前記負荷に並列的に接続されている請求項2に記載の高周波電源装置。
【請求項4】
前記高周波抑止部は、前記高周波生成部及び前記負荷の間に一次巻線が直列に接続された第1トランスを含み、該第1トランスの二次巻線に前記第1抵抗器及び前記第1スイッチが並列に接続されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の高周波電源装置。
【請求項5】
前記高周波生成部を複数備え、複数の前記高周波生成部と前記高周波抑止部及び前記高周波消費部との間に、複数の前記高周波生成部からの高周波電力を合成する合成器を更に備える
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の高周波電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電力をバースト的に生成して負荷に出力する高周波電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ処理システムにて、プラズマ状態等の処理条件をいわゆるレシピに従って処理ステップ毎に切り替える制御が行われている。例えば、プラズマを間欠的に生成させる場合、高周波電源の出力をパルス変調して高周波をバースト的に出力させる方法が知られている。
【0003】
プラズマ処理装置では、高周波電力が供給されると放電によりプラズマが発生するが、プラズマ発生の有無に応じてプラズマ処理装置のインピーダンスが変化するため、プラズマ処理装置と高周波電源とでインピーダンスの不整合が発生する。特に、パルス変調によるバースト的な高周波電力がオフした場合、インピーダンスの不整合により、プラズマ処理装置に供給される高周波電力が徐々に減衰する現象が観測される。このように高周波電力のオフが遅れることは、プラズマの生成にとって好ましいことではない。
【0004】
これに対し、特許文献1には、高周波出力のオフ期間に、高周波給電ラインとグランドとの間に抵抗を接続することにより、高周波給電ラインに残留している進行波及び反射波をグランドに流して残留RFパワーを消費する高周波電源が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、高周波電力の出力を停止させる場合、直流電力を高周波電力に変換するフルブリッジ回路における2つの上アーム又は下アームのスイッチング素子をオン動作させることにより、高周波電圧及び高周波電流が振動しながら減衰する現象を抑制する高周波電源が開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、2つの高周波信号生成部からの高周波電圧を合成して高周波出力を制御する高周波電源にて、2つの高周波電圧の位相差を0から180°まで漸増させた後に、2つの高周波電圧の振幅を減少させて高周波出力を停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-135159号公報
【文献】特開2018-88819号公報
【文献】特開2016-73124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の高周波電源によれば、負荷の状態により、抵抗だけでは残留RFパワーを消費できない場合があった。また、特許文献2に記載の技術を適用するには、フルブリッジで構成されたインバータが不可欠であった。更に、特許文献3に記載の技術を適用するには、2つの高周波信号生成部が不可欠である上に、高周波の位相制御及び振幅制御が煩雑であった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高周波電力の出力を速やかにオフさせることが可能な高周波電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る高周波電源装置は、高周波電力を生成して負荷に出力する高周波生成部と、該高周波生成部による高周波電力の出力をオン/オフに制御する制御部とを備える高周波電源装置であって、第1抵抗器及び第1スイッチが並列に接続されて回路を有し、前記高周波生成部及び前記負荷の間に直列に接続された前記出力を抑止する高周波抑止部と、第2抵抗器及び第2スイッチが直列的に接続された回路を有し、前記負荷に並列的に接続されて前記出力を消費する高周波消費部とを備え、前記制御部は、前記出力の制御と同期して前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン/オフするようにしてあり、前記出力をオフに制御する場合、前記第1スイッチをオフすると共に、前記第2スイッチをオンする。
【0011】
本発明の一態様に係る高周波電源装置は、前記高周波消費部は、前記第2抵抗器に一次巻線が直列に接続された第2トランスを含み、該第2トランスの二次巻線に前記第2スイッチが並列に接続されている。
【0012】
本発明の一態様に係る高周波電源装置は、前記高周波消費部は、前記高周波抑止部における前記高周波生成部側又は前記負荷側にて前記負荷に並列的に接続されている。
【0013】
本発明の一態様に係る高周波電源装置は、前記高周波抑止部は、前記高周波生成部及び前記負荷の間に一次巻線が直列に接続された第1トランスを含み、該第1トランスの二次巻線に前記第1抵抗器及び前記第1スイッチが並列に接続されている。
【0014】
本発明の一態様に係る高周波電源装置は、前記高周波生成部を複数備え、複数の前記高周波生成部と前記高周波抑止部及び前記高周波消費部との間に、複数の前記高周波生成部からの高周波電力を合成する合成器を更に備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高周波電力の出力を速やかにオフさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る高周波電源装置の構成例を示す回路図である。
図2】実施形態1に係る高周波電源装置の入出力特性を示す波形図である。
図3】高周波消費部が存在しない場合における高周波電源装置の入出力特性を示す波形図である。
図4】抵抗器の抵抗値と進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路の最大電圧との関係を示す図表並びに波形図である。
図5】抵抗器の抵抗値と進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路の最大電圧との関係を示す図表並びに波形図である。
図6】実施形態2に係る高周波電源装置の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る高周波電源装置100aの構成例を示す回路図である。高周波電源装置100aは、例えばインピーダンス整合器を介して、プラズマ処理装置のプラズマチャンバに高周波電力を供給するものである。高周波電源装置100aは、高周波電力を生成して負荷RLへ出力する高周波生成部1と、該高周波生成部1による高周波電力の出力をオン/オフに制御する制御部2aと、高周波電力のオフ時に出力を抑止する高周波抑止部10aと、高周波電力のオフ時に出力の一部を消費する高周波消費部10bとを備える。
【0018】
本実施形態1では、高周波電力の周波数が3.2MHzであるが、これに限定されるものではなく、例えば13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz等の工業用のRF帯(Radio Frequency )の周波数であってもよい。本実施形態1では、数百kHz程度からいわゆるマイクロ波帯の下限の周波数である300MHz程度までの交流の周波数を高周波という。
【0019】
高周波電源装置100aは、また、高周波生成部1の出力端に直流カット用のキャパシタC02を介して接続されたL型のフィルタ回路F1と、該フィルタ回路F1の出力側に絶縁トランスT1を介して接続されたπ型のフィルタ回路F2とを備える。絶縁トランスT1を備えずに、フィルタ回路F1の出力側とフィルタ回路F2の入力側とを直結してもよい。フィルタ回路F2の出力側には、高周波抑止部10aを介して負荷RLが接続されている。高周波抑止部10aにおける高周波生成部1側には、高周波消費部10bが負荷RLに並列的に接続されている。本実施形態1では、高周波生成部1から負荷RLに至るまでの回路の特性インピーダンスを50Ωとするが、これに限定されるものではない。
【0020】
制御部2aは、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って、高周波生成部1、高周波抑止部10a及び高周波消費部10bに対する制御を行う。CPUを用いずにFPGA(Field Programmable Gate Array )又はロジックIC(Integrated Circuit )によって制御部を構成してもよい。
【0021】
高周波生成部1は、直流電源DC1の両端に接続されてFET(Field Effect Transistor)のハーフブリッジを構成するトランジスタU1,U2と、高周波電力の信号源となる信号発生器S1,S2とを有する。直流電源DC1の両端には、バイパスコンデンサC01が接続されている。トランジスタU1,U2は、例えばSi(Silicon )、GaN(Gallium Nitride )、SiC(Silicon Carbide )等の半導体材料を含む。トランジスタU1,U2は、Nch型のFETに限定されず、Pch型のFET又はHEMT(High Electron Mobility Transistor )であってもよい。
【0022】
トランジスタU1のドレインは、直流電源DC1のプラス側に接続されている。トランジスタU2のソースは、共通電位である直流電源DC1のマイナス側に接続されている。トランジスタU1のゲート・ソース間には、信号発生器S1から抵抗器R1を介して高周波信号が印加される。トランジスタU2のゲート・ソース間には、信号発生器S2から抵抗器R2を介して高周波信号が印加される。トランジスタU1及びU2の接続点が、高周波生成部1の出力端となる。
【0023】
信号発生器S1,S2それぞれが出力する高周波信号は、位相が互いに反転している。従って、トランジスタU1,U2それぞれのゲート・ソース間に信号発生器S1,S2から高周波信号が印加された場合、トランジスタU1,U2が交互にスイッチングして高周波電力が生成される。制御部2aが信号発生器S1,S2からの高周波信号の出力を周期的にオン/オフすることにより、高周波生成部1による高周波電力の出力が周期的にオン/オフに制御される。即ち、高周波生成部1から高周波電力が一定周期でバースト的に出力される。
【0024】
フィルタ回路F1は、インダクタL1及びキャパシタC1をL型に接続したローパスフィルタである。フィルタ回路F2は、キャパシタC2,C3及びインダクタL2をπ型に接続したローパスフィルタである。フィルタ回路F1及びF2のカットオフ周波数は略3MHzである。これらのフィルタ回路の構成はL型及びπ型に限定されるものでもない。
【0025】
高周波抑止部10aは、フィルタ回路F2及び負荷RLの間に一次巻線が直列に接続されたトランスT11と、トランスT11の二次巻線に並列に接続された抵抗器Rdとを有する。高周波抑止部10aは、更に、Nch型のFETであるトランジスタU11,U12が逆直列に接続されたスイッチ回路SW11(第1スイッチに相当)と、トランジスタU11,U12を駆動する駆動信号を発生する信号発生器S11とを有する。スイッチ回路SW11は、トランスT11の二次巻線及び抵抗器Rdと並列に接続されている。本実施形態1では、例えばトランスT11の巻数比が1であり、抵抗器Rdの抵抗値が50Ωであるがこれに限定されるものではない。
【0026】
トランジスタU11,U12は、Si、GaN、SiC等の半導体材料を含み、Pch型のFET等であってもよい。トランジスタU11,U12はゲート同士及びソース同士がそれぞれ接続されている。トランジスタU11,U12のゲート・ソース間には、共通の抵抗器R12が接続されている。トランジスタU11,U12のゲート・ソース間には、信号発生器S11から抵抗器R11を介して矩形状の駆動信号が印加される。
【0027】
高周波消費部10bは、フィルタ回路F2及びトランスT11の一次巻線の接続点に一端が接続された抵抗器Rcと、抵抗器Rcの他端に一次巻線の一端が接続されたトランスT21とを有する。トランスT21の一次巻線の他端は共通電位に接続されている。高周波消費部10bは、更に、FETであるトランジスタU21,U22が逆直列に接続されたスイッチ回路SW21(第2スイッチに相当)と、トランジスタU21,U22を駆動する駆動信号を発生する信号発生器S21とを有する。スイッチ回路SW21は、トランスT21の二次巻線に並列に接続されている。本実施形態1では、例えばトランスT21の巻数比が6であり、抵抗器Rcの抵抗値が25Ωであるがこれに限定されるものではない。
【0028】
信号発生器S11及びS21は、制御部2aと接続されている。制御部2aからの制御信号の周期的なオン/オフに応じて、信号発生器S11からの駆動信号が周期的にオン/オフした場合、スイッチ回路SW11が周期的にオン/オフする。同様に、制御部2aからの制御信号の周期的なオフ/オンに応じて、信号発生器S21からの駆動信号が周期的にオフ/オンした場合、スイッチ回路SW21が周期的にオフ/オンする。これにより、スイッチ回路SW11及びSW21が相補的にオン/オフする。
【0029】
上述の構成において、制御部2aは、信号発生器S1,S2からの高周波信号の出力を周期的にオン/オフすることによって高周波生成部1による高周波電力の出力を周期的にオン/オフに制御する。この制御と同期して、制御部2aは、信号発生器S11に対する制御信号を周期的にオン/オフすると共に、信号発生器S21に対する制御信号を周期的にオフ/オンすることにより、信号発生器S11からの駆動信号を周期的にオン/オフし、信号発生器S21からの駆動信号を周期的にオフ/オンする。
【0030】
即ち、制御部2aは、高周波生成部1による高周波電力の出力をオフに制御する場合、信号発生器S11に対する制御信号をオフすると共に、信号発生器S21に対する制御信号をオンする。これにより、スイッチ回路SW11がオフするため、フィルタ回路F2の出力側と負荷RLとの間に、抵抗器Rdの抵抗値をトランスT11でインピーダンス変換した抵抗値を有する抵抗器が等価的に挿入されて、負荷RL側に対する出力が抑止される。また、これと同時にスイッチ回路SW21がオンしてトランスT21の二次巻線が短絡されるため、抵抗器Rcの他端がトランスT21の一次巻線によって高周波的に共通電位に接続されて、負荷RL側に対する出力の一部が抵抗器Rcで消費される。
【0031】
ここで、負荷RLに対する高周波電力の出力がオン/オフに制御される場合における高周波電源装置100aの動作について、シミュレーションの結果を説明する。シミュレーション時の負荷RLは50Ωの純抵抗とした(以下の各シミュレーションにて同様)。図2は、実施形態1に係る高周波電源装置100aの入出力特性を示す波形図である。図2B図2Aの波形の時間軸を部分的に拡大したものである。図3は、高周波消費部10bが存在しない場合における高周波電源装置100aの入出力特性を示す波形図である。図3B図3Aの波形の時間軸を部分的に拡大したものである。
【0032】
図2A及び図2Bそれぞれに示す4つの波形図は、何れも時間軸を横軸に、縦軸を電圧にしてあり、各図の上段から順に、負荷RLに向かう進行波電圧、信号発生器S2の出力電圧、信号発生器S11の出力電圧、及び信号発生器S21の出力電圧を示す。信号発生器S1の出力電圧は、信号発生器S2の出力電圧に対して位相が反転している(不図示)。信号発生器S11及びS21の出力電圧は、互いに位相が反転している。
【0033】
制御部2aが信号発生器S1,S2による高周波信号の出力をオフからオンにした場合、進行波電圧は、主にフィルタ回路F1及びF2の過渡特性によって、略2μsの間に緩やかに立ち上がる。この場合、信号発生器S11の出力電圧により、トランジスタU11,U12がオンしてトランスT11の二次巻線が短絡されているため、一次巻線を介して接続されたフィルタ回路F2と負荷RLとが高周波的に直結されている。また、信号発生器S21の出力電圧により、トランジスタU21,U22がオフしてトランスT21の二次巻線が開放されているため、一次巻線を介して共通電位に接続された抵抗器Rcは、高周波的に共通電位から絶縁されている。
【0034】
一方、制御部2aが信号発生器S1,S2による高周波信号の出力をオンからオフにした場合、進行波電圧は立ち上がりのときよりも速やかに立ち下がる。図2Bによれば、立ち下がり時間は略1μs以内に収まっている。これは、進行波電力が高周波抑止部10aによって抑止され、且つ、高周波消費部10bによって一部が消費されるためである。この場合、信号発生器S11の出力電圧により、トランジスタU11,U12がオフしているため、抵抗器Rdの抵抗値をトランスT11でインピーダンス変換した抵抗値を有する抵抗器が、フィルタ回路F2及び負荷RLの間に等価的に挿入されている。また、信号発生器S21の出力電圧により、トランジスタU21,U22がオンしてトランスT21の二次巻線が短絡されているため、抵抗器Rcの他端がトランスT21の一次巻線によって高周波的に共通電位に接続されている。
【0035】
なお、図1及び図2では、高周波消費部10bが、高周波抑止部10aにおける高周波生成部1側に接続されている場合について説明したが、高周波抑止部10aにおける負荷RL側に接続されている場合についても、シミュレーションの結果は同等であった。
【0036】
図3に移って、図3A及び図3Bそれぞれに示す3つの波形図は、何れも時間軸を横軸に、縦軸を電圧にしてあり、上段から順に、負荷RLに向かう進行波電圧、信号発生器S2の出力電圧、及び信号発生器S11の出力電圧を示す。制御部2aが信号発生器S1,S2による高周波信号の出力をオフからオンにする場合、進行波電圧の立ち上がりが略2μs遅延するのは図2の場合と同様である。一方、制御部2aが信号発生器S1,S2による高周波信号の出力をオンからオフにする場合、進行波電力が高周波抑止部10aによって抑止されるが、高周波消費部10bが無い分だけ、図2の場合よりも進行波電圧の立ち下がりが遅くなる。図3Bによれば、立ち下がり時間は1μsを超えている。図2ではこの立ち下がり時間が略1μs以内に改善されているため、実施形態1に係る高周波電源装置100aの効果が顕著に示されていると言える。
【0037】
次に、抵抗器Rc及びRdの抵抗値を変化させた場合の影響について説明する。図4は、抵抗器Rcの抵抗値と進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路SW11,SW21の最大電圧との関係を示す図表並びに波形図である。図5は、抵抗器Rdの抵抗値と進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路SW11,SW21の最大電圧との関係を示す図表並びに波形図である。図4A及び図5Aそれぞれの図表に示す一部のケースについて、図4B及び図5Bに波形図を示す。各波形図の横軸は時間(t)を表し、縦軸は電圧又はオン/オフ状態を表す。
【0038】
図4Aでは、抵抗器Rcの抵抗値が1Ω、10Ω、25Ω、50Ω、100Ω及び1000Ωの場合について、進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路SW11,SW12それぞれの最大電圧(0-p)をシミュレーションによって比較した。抵抗器Rdの抵抗値は50Ωに固定した。スイッチ回路SW11の両端電圧は、トランジスタU11,U12の直列回路の両端電圧(以下、単に両端電圧という)である。スイッチ回路SW21の両端電圧は、トランジスタU21,U22の直列回路の両端電圧(以下、単に両端電圧という)である。
【0039】
図4Bの上段には、抵抗器Rcの抵抗値が25Ω及び1000Ωそれぞれの場合について、太い実線及び細い実線により、スイッチ回路SW21の両端電圧であるトランジスタU21,U22の両端電圧のうち、トランジスタU21の両端電圧の波形図を示す。但し、トランジスタU21,U22の両端電圧は、該両端電圧の極性に応じてトランジスタU21又はU22の何れかの寄生ダイオード(不図示)がオンするため、トランジスタU21又はU22の何れか一方の両端電圧と同等となる。トランジスタU22の両端電圧の波形図についても同様である。図4Bの下段には、進行波電圧の出力状態をオン/オフで示す。
【0040】
図4Aによれば、抵抗器Rcの抵抗値が1Ω、10Ω、25Ω、50Ω、100Ω及び1000Ωと増大するに連れて、進行波電圧の立ち下がり時間が1.4μs、1.2μs、1.0μs、1.2μS、1.4μs及び1.6μsと、下に凸の曲線を描くように変化する。このうち、立ち下がり時間が最も短くなるのは、抵抗器Rcの抵抗値が25Ωの場合である。進行波電圧の立ち下がり時間の低減を目的とすれば、抵抗器Rcの抵抗値は25Ωとすることが好ましい。
【0041】
スイッチ回路SW21に含まれるトランジスタU21,U22の両端電圧が最大となるのは、トランジスタU21,U22がオフである期間内、即ち進行波電圧の出力状態がオンである期間内である。図4Aによれば、トランジスタU21,U22の両端の最大電圧は81Vから57Vまで変化するが、概ね80Vで一定している。これは、トランスT21の巻数比が6であることから、一次巻線に抵抗器Rcを介して印加される進行波電圧(0-pで最大480V:図2A参照)が1/6に降圧されてトランジスタU21,U22の直列回路の両端に印加されることから説明される。抵抗器Rcの抵抗値が1000Ωにもなると、トランスT21の一次巻線に印加される高周波電圧が、抵抗器Rcで分圧されるため、トランスT21を介してトランジスタU21,U22の両端に印加される電圧も低下する。
【0042】
一方、スイッチ回路SW11に含まれるトランジスタU11,U12の両端電圧が最大となるのは、トランジスタU11,U12がオフである期間内、即ち進行波電圧の出力状態がオフである期間内である。図4Aによれば、この期間内におけるトランジスタU11,U12の両端の最大電圧は69Vから187Vまで変化する。これは、トランスT11の巻数比が1であることから、トランスT11の一次巻線を流れる進行波電流と同じ大きさの電流が抵抗器Rdに流れて、抵抗器Rdの両端電圧がトランジスタU11,U12の両端に印加されることによるものである。
【0043】
トランスT21の一次巻線と直列に接続された抵抗器Rcの抵抗値の大/小に応じて、トランスT11の二次巻線に接続されたトランジスタU11,U12の両端電圧が高/低に変化するのは、抵抗器Rcの抵抗値の大/小に応じて、進行波電圧及び進行波電流が大/小に変化するためである。本実施形態1では、進行波電圧の立ち下がり時間が1.0μsと最も短くなり、且つトランジスタU11,U12の両端電圧が102Vという比較的低い値にできるときの抵抗器Rcの抵抗値として、25Ωを採用した。
【0044】
図5に移って、図5Aでは、抵抗器Rdの抵抗値が1Ω、10Ω、25Ω、50Ω、100Ω及び1000Ωの場合について、進行波電圧の立ち下がり時間及びスイッチ回路SW11,SW12それぞれの最大電圧(0-p)をシミュレーションによって比較した。抵抗器Rcの抵抗値は25Ωに固定した。ここでも、スイッチ回路SW11の両端電圧は、トランジスタU11,U12の両端電圧であり、トランジスタU11又はU12の両端電圧でもある。また、スイッチ回路SW21の両端電圧はトランジスタU21,U22の両端電圧であり、トランジスタU21又はU22の両端電圧でもある。
【0045】
図5Bの上段には、抵抗器Rdの抵抗値が50Ω及び1000Ωそれぞれの場合について、太い実線及び細い実線により、スイッチ回路SW11の両端電圧であるトランジスタU11,U12の両端電圧のうち、トランジスタU1の両端電圧の波形図を示す。トランジスタU12の両端電圧の波形図についても同様である。図5Bの下段には、進行波電圧の出力状態をオン/オフで示す。
【0046】
図5Aによれば、抵抗器Rdの抵抗値が1Ω、10Ω、25Ω、50Ω、100Ω及び1000Ωと増大するに連れて、進行波電圧の立ち下がり時間が1.8μs、1.5μs、1.2μs、1.0μS、0.8μs及び0.7μsと短縮化される。これに連れて、スイッチ回路SW11に含まれるトランジスタU11,U12の両端の最大電圧が4V、33V、68V、102V、137V及び197Vと増大する。このように、進行波電圧の立ち下がり時間とスイッチ回路SW11の最大電圧とはトレードオフの関係にある。
【0047】
スイッチ回路SW21に含まれるトランジスタU21,U22の両端電圧が最大となるのは、トランジスタU21,U22がオフである期間内、即ち進行波電圧の出力状態がオンである期間内である。図5Aによれば、トランジスタU21,U22の両端の最大電圧は、80Vで一定している。この理由は上述したとおりである。
【0048】
一方、スイッチ回路SW11に含まれるトランジスタU11,U12の両端電圧が最大となるのは、トランジスタU11,U12がオフである期間内、即ち進行波電圧の出力状態がオフである期間内である。図5Aによれば、この期間内におけるトランジスタU11,U12の両端の最大電圧は4Vから197Vまで変化する。これは、トランスT11の巻数比が1であることから、トランスT11の一次巻線を流れる進行波電流と同じ大きさの電流が抵抗器Rdに流れて、抵抗器Rdの両端電圧がトランジスタU11,U12の両端に印加されることによるものである。
【0049】
トランスT11の二次巻線と並列に接続された抵抗器Rdの抵抗値が大/小に変化する割合よりも、トランスT11の二次巻線に接続されたトランジスタU11,U12の両端電圧が高/低に変化する割合の方が小さいのは、抵抗器Rdの抵抗値の大/小に応じて、進行波電圧及び進行波電流が小/大に変化するためである。本実施形態1では、進行波電圧の立ち下がり時間が1.8μsから1.0μsと改善され、且つトランジスタU11,U12の両端電圧が102Vという妥当な値にできるときの抵抗器Rdの抵抗値として、50Ωを採用した。
【0050】
トランジスタU11,U12の最大定格に応じて、トランスT11の巻数比を変えてもよい。例えば、トランスT11の巻数比をnにする場合、抵抗器Rdを一次巻線側から見たインピーダンスは、実際の抵抗値のnの2乗倍となるから、抵抗器Rdの抵抗値を1/(nの2乗)にすれば同様の抑止効果が得られる。この場合、トランジスタU11,U12がオフである間にトランジスタU11,U12の両端に印加される電圧は、実施形態1の場合の1/n倍になる。また、トランジスタU11,U12がオンである間にトランジスタU11,U12に流れる電流は、実施形態1の場合のn倍になる。このような電圧及び電流のトレードオフと、トランジスタU11,U12の最大定格とに応じて、トランスT11の巻数比を決定することができる。
【0051】
進行波電圧の立ち下がり時間とスイッチ回路SW11の最大電圧とは、トランジスタU11,U12の出力容量(Coss)にも依存する。即ち、抵抗器Rdに流れるべき進行波電流は、スイッチ回路SW11にも分流するから、トランジスタU11,U12の出力容量が大きいほど、進行波電圧の立ち下がり時間の短縮効果が減殺され、スイッチ回路SW11の最大電圧が低減される。従って、進行波電圧の立ち下がり時間を短縮するには、抵抗器Rdの抵抗値を、高周波電力の周波数におけるトランジスタU11,U22の出力容量のインピーダンスの絶対値と同等以下にすることが妥当である。
【0052】
図5に結果を示すシミュレーションでは、トランジスタU11,U12の出力容量を90~200pFとした。例えばこの出力容量を150pFとすると、スイッチ回路SW11がオフである場合、進行波電圧の周波数におけるスイッチ回路SW11のインピーダンスは330Ω程度となる。このため、図1に示す回路で進行波電圧の立ち下がり時間を短縮するには、抵抗器Rdの抵抗値を330Ω以下とすることが妥当であると言える。なお、図5Aによれば、抵抗器Rdの抵抗値が100Ω以上である場合に、進行波電圧の立ち下がり時間の更なる低減効果が薄れることが推察される。
【0053】
一方、抵抗器Rdの抵抗値が小さ過ぎると進行波電圧の立ち下がり時間を短縮する効果が期待できないため、ある程度の大きさの抵抗値が必要である。ここでは、抵抗器Rdの抵抗値が1Ωである場合の進行波電圧の立ち下がり時間の低減効果は、抵抗値が0Ωである場合とほぼ同等であることが分かっている。従って、図5Aより、例えば進行波電圧の立ち下がり時間を6割程度短縮するには、抵抗器Rdの抵抗値を50Ω以上とすることが好ましい。換言すれば、抵抗器Rdの抵抗値は、回路の特性インピーダンスの値以上とすることが好ましい。
【0054】
以上のように本実施形態1によれば、高周波生成部1が生成して負荷RLに出力する高周波電力を制御部2aがオフに制御する場合、高周波生成部1及び負荷RLの間に直列に接続された高周波抑止部10aが有するスイッチ回路SW11を制御部2aがオフすると共に、負荷RLに並列的に接続された高周波消費部10bが有するスイッチ回路SW21を制御部2aがオンする。これにより、スイッチ回路SW11と並列に接続された抵抗器Rdが高周波生成部1と負荷RLとの間に高周波的に直列に接続されると共に、スイッチ回路SW21と高周波的に直列に接続された抵抗器Rcが負荷RLと並列的に接続される。従って、高周波電力の出力を速やかにオフさせることが可能となる。
【0055】
また、実施形態1によれば、高周波消費部10bに含まれる抵抗器RcとトランスT21の一次巻線との直列回路が負荷RLに並列的に接続され、トランスT21の二次巻線にスイッチ回路SW21が並列に接続されている。即ち、抵抗器Rcとスイッチ回路SW21がトランスT21を介して高周波的に直列に接続されている。従って、スイッチ回路SW21がオンした場合に、抵抗器Rcが負荷RLに並列的に接続されて高周波電力の一部を消費する。また、スイッチ回路SW21がオフの間にスイッチ回路SW21に印加される高周波電圧と、スイッチ回路SW21がオンの間にスイッチ回路SW21に流れる高周波電流とをトランスT21の巻数比に応じて変化させることができる。
【0056】
更に、実施形態1によれば、高周波生成部1及び負荷RLの間に直列に接続された高周波抑止部10aにおける高周波生成部1からの入力側又は負荷RLに対する出力側に、高周波消費部10bが並列に接続されている。高周波抑止部10aにおける上記何れの側に高周波消費部10bが接続されている場合であっても、高周波電力の一部を消費する点では同等の効果を奏する。
【0057】
更に、実施形態1によれば、高周波抑止部10aに含まれるトランスT11の一次巻線が高周波生成部1と負荷RLとの間に直列に接続され、二次巻線に抵抗器Rd及びスイッチ回路SW11の並列回路が接続されている。従って、スイッチ回路SW11がオフした場合に、抵抗器Rdが高周波生成部1及び負荷RLの間にトランスT11を介して高周波的に直列に接続されて高周波電力の出力を抑止する。また、スイッチ回路SW11がオフの間にスイッチ回路SW11に印加される高周波電圧と、スイッチ回路SW11がオンの間にスイッチ回路SW11に流れる高周波電流とをトランスT11の巻数比に応じて変化させることができる。
【0058】
なお、本実施形態1にあっては、高周波抑止部10aにトランスT11を用いたが、トランスT11を用いずに、フィルタ回路F2及び負荷RLの間に高周波用のスイッチ及び抵抗器Rdの並列回路を接続しても、実施形態1と同様の効果を奏する。また、高周波消費部10bにトランスT21を用いずに、抵抗器Rc及び共通電位の間に高周波用のスイッチを接続しても、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0059】
(実施形態2)
実施形態1は、高周波生成部1が1つであって電力合成が不要な形態であるのに対し、実施形態2は、2つの高周波生成部1,1からの高周波電力を合成する形態である。図6は、実施形態2に係る高周波電源装置100bの構成例を示す回路図である。
【0060】
高周波電源装置100bは、2つの高周波生成部1,1と、制御部2bと、高周波生成部1,1それぞれの出力端にキャパシタC02,C02を介して接続された2つのフィルタ回路F1,F1と、フィルタ回路F1,F1の出力側にて高周波電力を合成する電力合成器4と、フィルタ回路F2と、高周波抑止部10aと、高周波消費部10bとを備える。即ち、高周波電源装置100bは、実施形態1に係る高周波電源装置100aに、もう1組の高周波生成部1及びフィルタ回路F1と、電力合成器4とを加えたものである。電力合成器4の構成を変えることにより、2m個(mは2以上の整数)の高周波生成部1からの高周波電力が合成されるようにしてもよい。
【0061】
電力合成器4は、巻数比が1のトランスT4と、該トランスT4の一方の巻線及び他方の巻線の一端(巻初め記号側)同士及び他端同士にそれぞれ接続されたキャパシタC41及びC42と、トランスT4の他方の巻線の一端及び共通電位の間に接続された抵抗器R4とを有する。電力合成器4は、クワドラチャ合成器と称されるものである。
【0062】
トランスT4の一方の巻線の一端は、一方の高周波生成部1に対応する一方のフィルタ回路F1の出力側に接続されている。トランスT4の他方の巻線の他端は、他方の高周波生成部1に対応する他方のフィルタ回路F1の出力側に接続されている。トランスT4の一方の巻線の他端は、直流カット用のキャパシタC03を介してフィルタ回路F2の入力側に接続されている。
【0063】
電力合成器4は、上記の構成により、一方のフィルタ回路F1からの電力と、他方のフィルタ回路F1からの電力とを合成し、合成した電力をキャパシタC03を介してフィルタ回路F2に出力する。一方のフィルタ回路F1からの電力に対して、他方のフィルタ回路F1からの電力の位相が90度遅れている場合は、抵抗器R4で消費される電力がゼロとなり、理想的にはフィルタ回路F1及びF2それぞれからの電力が無損失で合成される。このような無損失の合成を行うために、一方の高周波生成部1が有する信号発生器S1からの高周波信号に対して、他方の高周波生成部1が有する信号発生器S1からの高周波信号の位相が90度だけ遅れるようになっている。
【0064】
上述の構成において、制御部2bは、2組の信号発生器S1,S2からの高周波信号の出力を同時的に且つ周期的にオン/オフすることによって高周波生成部1,1による高周波電力の出力を周期的にオン/オフに制御する。この制御と同期して、制御部2bは、信号発生器S11に対する制御信号を周期的にオン/オフすると共に、信号発生器S21に対する制御信号を周期的にオフ/オンすることにより、信号発生器S11からの駆動信号を周期的にオン/オフし、信号発生器S21からの駆動信号を周期的にオフ/オンする。
【0065】
即ち、制御部2bは、高周波生成部1,1による高周波電力の出力をオフに制御する場合、信号発生器S11に対する制御信号をオフすると共に、信号発生器S21に対する制御信号をオンする。これにより、スイッチ回路SW11がオフするため、フィルタ回路F2の出力側と負荷RLとの間に抵抗器Rdが高周波的に挿入されて、負荷RL側に対する高周波電力の出力が抑止される。また、これと同時にスイッチ回路SW21がオンするため、高周波抑止部10aが有するトランスT11の一次巻線の一端と共通電位との間に抵抗器Rcが高周波的に挿入されて、負荷RL側に対する高周波電力の一部が消費される。このような作用は、実施形態1の場合と同様である。
【0066】
以上のように本実施形態2によれば、2つの高周波生成部1,1からの高周波電力を電力合成器4で合成して高周波抑止部10aに入力する。従って、2倍に増大させた高周波電力の立ち下がり特性を高周波抑止部10aにて改善することができる。
【0067】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
100a,100b 高周波電源装置、 1 高周波生成部、 DC1 直流電源、 S1,S2 信号発生器、 U1,U2 トランジスタ、 2a,2b 制御部、 4 電力合成器、 10a 高周波抑止部、 10b 高周波消費部、 S11,S21 信号発生器、SW11,SW21 スイッチ回路、 U11,U12,U21,U22 トランジスタ、 T11,T21 トランス、 F1,F2 フィルタ回路、 Rc,Rd 抵抗器、 RL 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6