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特許7502997フェノキシジアミノピリミジン化合物の新規な合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】フェノキシジアミノピリミジン化合物の新規な合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/48 20060101AFI20240612BHJP
   A61K 31/505 20060101ALN20240612BHJP
   A61P 11/00 20060101ALN20240612BHJP
   A61P 29/02 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
C07D239/48
A61K31/505
A61P11/00
A61P29/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020560241
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019028014
(87)【国際公開番号】W WO2019209607
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】62/661,362
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/662,991
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(73)【特許権者】
【識別番号】520411227
【氏名又は名称】ヴェルテンシュタイン・バイオファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マローニー,ケビン・エム
(72)【発明者】
【氏名】バス,カロール
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジョン・ワイ・エル
(72)【発明者】
【氏名】デスモンド,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ディ・マーゾ,マイケル・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ハンフリー,ガイ・アール
(72)【発明者】
【氏名】リー,アルフレッド・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】レンヘル,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,フォン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ワイゼル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラーペント,パトリック
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-150442(JP,A)
【文献】特表2010-522235(JP,A)
【文献】特表2016-528301(JP,A)
【文献】特表2007-526268(JP,A)
【文献】特表2009-506997(JP,A)
【文献】特表2010-505790(JP,A)
【文献】Carter, David S. et al.,Identification and SAR of novel diaminopyrimidines. Part 1: The discovery of RO-4, a dual P2X3/P2X2/3 antagonist for the treatment of pain.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, ,2009年,19(6),,p.1628-1631
【文献】Takahashi, Naoki et al.,Synthesis and pharmacological characterization of 1-benzyl-4-aminoindole-based thyroid hormone receptor β agonists.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2014年,22(1),p.488-498
【文献】MARTA DABROS et al.,A SUPRAMOLECULAR APPROACH TO ORGANIC ALLOYS: COCRYSTALS AND THREE- AND FOUR-COMPONENT SOLID SOLUTIONS OF 1,4-DIAZABICYCLO[2.2.2]OCTANE AND 4-X-PHENOLS (X=CL, CH3, BR).,ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION,2007年,VOL.46,p.4132-4135
【文献】Guo, Wen-sheng et al.,Cocrystal phenomena of DABCO with phenol derivatives.,Chemical Research in Chinese Universities ,1993年,9(3),p.261-3
【文献】BRIAN SCOTT WERRY,MODIFIABLE POLY(ARYLENE ETHER)S AND HYPERBRANCHED POLY(ESTERS).,MASTER OF SCIENCE,2007年,p.i-xi, 1-68
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/48
A61K 31/505
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合物A遊離塩基又はその薬学的に許容される塩の調製方法であって:
(a)2-イソプロピルフェノールを4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶へ変換し:
【化1】
(b)下記に示すように、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶を、NaOMe存在下、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールへ変換し:
【化2】
(c)2-イソプロピル-4-メトキシフェノールを、ClCHCNと反応させ、シアノエーテル化合物2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを形成し:
【化3】
(d)2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへ変換し:
【化4】
そして
(e)5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンをClSOHと反応させ、続いてNHOHにより、化合物A遊離塩基5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドを生成する:
【化5】
工程を含む、
化合物A遊離塩基又はその薬学的に許容される塩の調製方法。
【請求項2】
4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶への変換が、NBSおよびMSAの存在下で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2-イソプロピル-4-メトキシフェノールへの変換が、NaOMeの存在下、触媒としてCuBrを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
変換がMeOHおよびDMFの存在下で行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シアノエーテル化合物を形成する反応が、20℃~60℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへの変換が、NMP中、カリウムtert-ブトキシドの存在下で行われ、シアノエーテル化合物が、ギ酸エチルおよびトルエン中の溶液中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへの変換が、さらに塩酸グアニジンの存在下で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンとClSOHとの間の反応が、MeCNの存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
グリコール酸およびMeOHの存在下で、化合物A遊離塩基を化合物Aクエン酸塩に変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法
【化6】
【請求項10】
2-イソプロピルフェノールから化合物Aクエン酸塩までの全収率が55%以上である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化合物A遊離塩基又はその薬学的に許容される塩の調製方法であって、該方法は、
以下に示すように2-イソプロピルフェノールを4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶に変換する工程を含み:
【化7】
さらに、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶を、以下に示すように、メトキシフェノール化合物である2-イソプロピル-4-メトキシフェノールに変換する工程を含み:
【化8】
さらに、
2-イソプロピル-4-メトキシフェノールをClCHCNと反応させて、以下に示すように、シアノエーテル化合物である2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを形成する工程を含み:
【化9】
シアノエーテル化合物である2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを、ジアミノピリミジン化合物である5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンに変換する工程をさらに含み:
【化10】
そして、
以下に示すように、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンをClSOHと反応させ、続いてNHOHにより、化合物A遊離塩基である5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドを形成する工程をさらに含む:
【化11】
化合物A遊離塩基又はその薬学的に許容される塩の調製方法。
【請求項12】
4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶への変換が、NBSおよびMSAの存在下で行われる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
2-イソプロピル-4-メトキシフェノールへの変換が、NaOMeの存在下で、触媒としてCuBrを用いて行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記変換が、MeOHおよびDMFの存在下で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
シアノエーテル化合物を形成する反応が、20℃~60℃の温度で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへの変換が、NMP中、カリウムtert-ブトキシドの存在下で行われ、そして、シアノエーテル化合物がギ酸エチルおよびトルエン中の溶液中にある、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへの変換が、さらに塩酸グアニジンの存在下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンとClSOHとの間の反応が、MeCNの存在下で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
グリコール酸およびMeOHの存在下で、化合物A遊離塩基を化合物Aクエン酸塩に変換することをさらに含む、請求項11に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はP2Xプリン作動性受容体に関連する疾患(例えば、呼吸器および疼痛関連疾患、状態および障害)の潜在的処置に有用なフェノキシジアミノピリミジン化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
P2X受容体サブユニットは、げっ歯類やヒトの膀胱尿路上皮の求心性神経に見られる。膨張(Distention)の結果として、ATPが膀胱または他の中空器官の上皮/内皮細胞から放出される可能性を示唆するデータが存在する(Burnstock、(1999)J.Anatomy 194:335-342;およびFergusonら、(1997)、J.Physiol 505:503-511)。このようにして放出されたATPは、上皮下の成分、例えば尿路上皮下粘膜固有層に位置する感覚ニューロンに情報を伝達する役割を果たしている可能性がある(Namasivayamら、(1999)BJU Intl 84:854-860)。P2X受容体は、感覚ニューロン、交感神経ニューロン、副交感神経ニューロン、腸間膜ニューロン、中枢ニューロンを含む多くのニューロンで研究されている(Zhongら、(1998)Br.J. Pharmacol.125:771-781)。これらの研究はプリン作動性受容体が膀胱からの求心性神経伝達に役割を果たす可能性があり、P2X受容体のモジュレーターが膀胱疾患および他の泌尿生殖器疾患または症状の治療に潜在的に有用であることを示している。
【0003】
最近のエビデンスでも、マウスの侵害受容反応における内因性ATPおよびプリン受容体の役割が示唆されている(Tsudaら、(1999)Br.J.Pharmacol.128:1497-1504)。脊髄の後根神経節神経終末上のP2X受容体のATPによる活性化は、侵害受容性シグナル伝達に関与する重要な神経伝達物質であるグルタミン酸の放出を刺激することが示されている(Gu及びMacDermott、Nature 389:749-753(1997))。P2X3受容体は歯髄における侵害受容ニューロン上で同定されている(Cookら、Nature 387:505-508(1997))。損傷細胞から放出されたATPは侵害受容性感覚神経終末上の受容体を含むP2X3および/またはP2X2/3を活性化することにより、痛みを引き起こす可能性がある。これは、ヒト水疱ベースモデルにおける皮内適用ATPによる疼痛の誘導と一致する(Bleehen、Br J Pharmacol 62:573-577(1978))。P2X拮抗薬は、動物モデルにおいて鎮痛作用を示すことが示されている(Driessen及びStarke、Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 350:618-625(1994))。このエビデンスは、P2X2とP2X3が侵害受容に関与し、P2X受容体のモジュレータが鎮痛薬として潜在的に有用であることを示唆する。
【0004】
他の研究者らは、P2X3受容体がヒト結腸で発現し、炎症結腸では正常結腸よりも高レベルで発現することを示している(YYiangouら、Neuroeastroenterol Mot(2001)13:365-69)。他の研究者らは、P2X3受容体を、腸における膨張または管腔内圧の検出、および反射収縮の開始に関与させ(XBianら、J Physiol(2003)551.1:309-22)、そしてこれを大腸炎に関連させた(GWynnら、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol(2004)287:G647-57);Inge Brounsら(Am J Respir Cell Mol Biol(2000)23:52-61)は、P2X3受容体が肺神経上皮体(NEB)において発現され、肺における疼痛伝達における受容体を関与させることを見出した。研究者らはまた、肺NEBにおけるpO2検出にP2X2およびP2X3受容体を関与させた(WRongら、J Neurosci(2003)23(36):11315-21)。
【0005】
したがって、P2X3およびP2X2/3受容体を含む、P2X受容体の有効なモジュレーターである化合物を作製する改善された方法が必要とされている。
【0006】
米国特許第7,858,632号および第7,741,484号は、フェノキシジアミノピリミジン誘導体を調製するために使用され得る方法論および合成経路を開示する。しかしながら、現在知られている方法は、複雑な化学および/またはより低い収率を含む様々な欠点を有する。単純化された化学的性質および/またはより高い収率を有するフェノキシジアミノピリミジン誘導体を調製するための改良された合成方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7,858,632号
【文献】米国特許第7,741,484号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化合物Aである、以下の式のフェノキシジアミノピリミジン化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するための新規な方法を本明細書に開示する:
【化1】
【0009】
化合物Aの種々の塩および溶媒和物も本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】4ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶のXRPDパターン。
図2】4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールモノ-DABCO共結晶のXRPDパターン。
図3】2-イソプロピル-4-メトキシフェノール形態1のXRPDパターン。
図4】2-イソプロピル-4-メトキシフェノールDMAP共結晶のXRPDパターン。
図5】5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン形態1のXRPDパターン。
図6】5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンNMP溶媒和物1のXRPDパターン。
図7】化合物A遊離塩基アセトニトリル溶媒和物1のXRPDパターン。
図8】化合物Aクエン酸塩メタノール溶媒和物1のXRPDパターン。
図9】化合物Aクエン酸塩IPA溶媒和物1のXRPDパターン。
図10】化合物Aクエン酸塩水和メタノール溶媒和物1のXRPDパターン。
図11】化合物Aグリコール酸塩形態1のXRPDパターン。
【発明を実施するための形態】
【0011】
単純化された化学およびより高い収率を有する化合物A遊離塩基またはその薬学的に許容される塩を調製するための方法が、本明細書中に開示される。
【0012】
一実施形態では、化合物Aのクエン酸塩は、スキーム1に示すように、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶の合成および単離、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールおよび2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルの合成および単離、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンの合成および単離、化合物A遊離塩基である、5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドの合成、ならびに化合物A遊離塩基の対応するクエン酸塩への最終変換を含む方法によって得られる。
【0013】
スキーム1
【化2】
【0014】
一実施形態では、2-イソプロピルフェノールを、MSAの存在下、NBSで処理して、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールを形成する。この化合物をDABCOで処理して、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールとDABCOとの固体共結晶を生成する。
【0015】
一実施形態において、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶は、臭化銅(I)、DMFおよびナトリウムメトキシドの存在下、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールに変換される。1つの実施形態において、DMFおよびDABCOは、両方とも、生成物の二量化を防止するためにこの反応において必要とされる。
【0016】
代替の実施形態では、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールは、ジレニウムデカルボニルおよびプロピレンの存在下、高温および高圧でメキノールから合成される。
【0017】
一実施形態では、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールをアルキル化剤で処理して、所望の2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを得る。一実施形態では、この反応は、アセトニトリル中、炭酸カリウムを用いて行われる。別の実施形態において、この反応は、トルエンおよびNMPの混合物中、水酸化ナトリウムを用いて行われる。これらの反応条件はフェノールの2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルへの完全な変換を可能にするが、以前の方法はフェノールの2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルへの完全な変換を達成することができなかった。
【0018】
一実施形態では、2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルをNMP中のギ酸エチルで処理し、この混合物を、NMP中カリウムtert-ブトキシドの溶液に添加する。この添加の順序は所望の結合が形成されることを可能にするが、代替の順序での反応物の添加は、シアノメチルエーテル出発物質の二量体化および一酸化炭素の生成をもたらし得る。得られたエノラートをグアニジンで処理して、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンを得る。
【0019】
一実施形態では、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンを、アセトニトリルの存在下、クロロスルホン酸で処理して、塩化スルホニル中間体を形成する。アセトニトリル中では、この反応は均一であり、水酸化アンモニウム水溶液中で直接クエンチして、化合物A遊離塩基、5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドを得ることができる。
【0020】
一実施形態では、化合物A遊離塩基、5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドを、メタノール中、グリコール酸で処理して、グリコール酸塩を形成する。クエン酸を加えると、メタノールとイソプロパノールの混合物中でグリコール酸塩がクエン酸塩に変換され、化合物Aのクエン酸塩が生成する。単離へのこの新規な塩メタセシスアプローチは、所望の形態および不純物制御を可能にする。
【0021】
スキーム1の手順は、いくつかの重要な利点を提供する。2-イソプロピル-5-メトキシフェノール中間体の合成は、以前の合成で必要とされた多段階順序の代わりに1または2段階で完了する。所望のアルキル化は、極端な発熱を伴わずに安全で制御された様式で行われる。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンは、いかなる中間体または単離もなく、そして、所望の化合物の精製を複雑にし得るアニリンを使用せずに、2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルから直接合成される。クロロスルホニル化反応は、アセトニトリル中で行われ、オキシ塩化リンを必要とせずに塩化スルホニルを直接提供する。遊離塩基5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドは、所望の生成物のいくつかの形態の容易な結晶化を可能にする水およびアセトニトリルの混合物から単離される。このプロセスは、単純化された化学的性質、より高い収率を提供し、標準的な製造装置を利用し、それによって、生産的で、環境に優しく、簡便な製造プロセスを提供する。
【0022】
一実施形態では、本方法は、2-イソプロピルフェノールを4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶に変換するステップを含む:
【化3】
【0023】
一実施形態では、上記の変換は、NBS、MSA、および、MeCNのような溶媒の存在下で行われる。別の実施形態では、過酸化水素および臭化水素酸を使用することができる。別の実施形態では、ピリジニウムトリブロミドが使用される。別の実施形態では、他の臭素化試薬を使用することができる。
【0024】
一実施形態では、上記変換は、約-5℃~10℃、より具体的には約-5℃~0℃で行われる。
【0025】
一実施形態では、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶として単離される。別の実施形態では、共結晶は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールモノ-DABCO共結晶として単離される。
【0026】
一実施形態では、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶を製造するための方法は、以下の工程を含む:
【化4】
【0027】
一実施形態では、本方法は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶をNaOMeと反応させて2-イソプロピル-4-メトキシフェノールを形成するステップをさらに含む:
【化5】
【0028】
一実施形態では、上記反応は、触媒として臭化銅(I)の存在下で行われる。他の実施形態では、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、および他の銅(I)または銅(II)塩を触媒として使用することができる。
【0029】
一実施形態では、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶として負荷される。別の実施形態では、共結晶は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールモノ-DABCO共結晶として負荷される。
【0030】
一実施形態では、反応は、MeOHおよびDMFの存在下で行われる。他の実施形態では、ジメチルアセトアミド、ジオキサンまたはDMSOを溶媒として使用することができる。
【0031】
一実施形態では、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールは単離されない。別の実施形態において、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールは、無水物として単離される。さらなる実施形態において、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールは、DMAP共結晶として単離される。
【0032】
一実施形態では、本方法は、2-イソプロピル-4-メトキシフェノールをClCHCNと反応させて、以下に示すような2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを形成する工程をさらに含む:
【化6】
【0033】
一実施形態では、上記の反応は、NMPおよびトルエンの存在下で行われる。別の実施形態において、反応は、アセトニトリルの存在下で行われる。さらに別の実施形態では、他の極性非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0034】
1つの実施形態において、上記の反応は、塩基の存在下で行われる。一実施形態では、塩基はNaOHである。別の実施形態では、塩基は炭酸カリウムである。別の実施形態では、他の水酸化物または炭酸塩基を使用することができる。
【0035】
一実施形態では、クロロアセトニトリルがアルキル化試薬として使用される。別の実施形態では、ブロモアセトニトリル、ヨードアセトニトリル、および他の2-置換アセトニトリルを使用することができる。
【0036】
一実施形態では、上記の反応が約0℃~約10℃の温度で実施される。別の実施形態では、上記反応が約25℃~約35℃の温度で実施される。
【0037】
一実施形態では、本方法は、以下の式のシアノエーテル化合物を5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンに変換するステップをさらに含む:
【化7】
【0038】
一実施形態では、上記変換は、最初に、トルエン中、ギ酸エチルと2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルの溶液を形成して、3-ヒドロキシ-2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アクリロニトリルイノレート中間体を形成することによって行われる。他の実施形態において、これらの化合物は、NMP、DMI、または他の極性非プロトン性溶媒に溶解される。
【0039】
一実施形態では、エノラート中間体3-ヒドロキシ-2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アクリロニトリルを含有する溶液を、エノラートを単離することなく直接グアニジン源と混合する。
【0040】
一実施形態では、グアニジン源は塩酸グアニジンである。別の実施形態では、炭酸グアニジンおよび硫酸水素グアニジンを含む他の塩形態のグアニジンを使用することができる。
【0041】
一実施形態において、アンモニウム塩は、グアニジンの添加中に存在する。
【0042】
一実施形態では、トルエンが結晶化の前に反応混合物から蒸留される。他の実施形態において、トルエンは、結晶化の前に除去されない。
【0043】
一実施形態では、N-メチルピロリジノンが溶媒として使用される。別の実施形態では、他の極性非プロトン性溶媒が使用される。
【0044】
一実施形態では、混合物とグアニジン-HClとの間の上記反応が約80℃~98℃の温度で実施される。別の実施形態では、反応温度は、約95℃~110℃である。
【0045】
一実施形態では、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンは、無水物として単離される。別の実施形態において、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンは、NMP溶媒和物として単離される。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンは、アセトン、DMAまたはDMIとも溶媒和物を形成する。
【0046】
一実施形態では、本方法は、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンをClSOHと反応させ、続いてアンモニアを反応させて化合物A遊離塩基を形成する工程をさらに含む:
【化8】
【0047】
一実施形態では、アンモニアは水酸化アンモニウムとして導入される。別の実施形態では、他のアンモニウム塩を使用することができる。別の実施形態では、有機溶媒中のアンモニアが使用される。
【0048】
一実施形態では、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンとClSOHとの間の上記の反応は、MeCNの存在下で行われる。
【0049】
一実施形態では、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンとClSOHとの間の上記の反応は、約25℃~約35℃で行われる。別の実施形態では、反応温度は約35℃~約45℃である。さらに別の実施形態では、反応温度は約45℃~約70℃である。
【0050】
一実施形態では塩化スルホニルの化合物Aへの変換中にメタノールが存在する。別の実施形態では塩化スルホニルの化合物Aへの変換中に水が存在する。
【0051】
1つの実施形態において、化合物A遊離塩基は、無水物として得られる。別の実施形態において、化合物A遊離塩基は、アセトニトリル溶媒和物として得られる。化合物A遊離塩基はまた、DMSO、DMAc、DMF、アセトン、NMP、IPA、メタノール、THF、MEK、スルホラン、またはNMP/IPAと溶媒和物を形成する。
【0052】
1つの実施形態において、化合物A遊離塩基は、上記反応から80%を超える収率で得られる。別の実施形態では、収率は85%を超える。さらに別の実施形態では、収率は90%を超える。
【0053】
一実施形態において、本発明の方法は、化合物Aの遊離塩基を化合物Aのクエン酸塩に変換する工程をさらに含む。
【化9】
【0054】
一実施形態では、変換は、MeOHおよびグリコール酸の存在下で行われる。別の実施形態では、変換中にIPAも存在する。
【0055】
一実施形態では、クエン酸塩は無水物として単離される。別の実施形態において、クエン酸塩は、メタノールまたはイソプロパノールの溶媒和物として単離される。クエン酸塩はまた、メタノール/水、エタノール/水、IPA/水、THFまたはNMPと溶媒和物を形成する。
【0056】
1つの実施形態において、グリコール酸塩は、無水物として単離され、次いで、クエン酸塩に変換される。グリコール酸塩はまた、メタノール、IPA、tert-アミルアルコール、水、またはこれらの溶媒の組み合わせと溶媒和物または水和物を形成し、これらの溶媒和物/水和物から脱溶媒/脱水形態を形成する。
【0057】
一実施形態では、上記変換は85%を超える収率を有する。別の実施形態では、収率は90%を超える。さらに別の実施形態では、収率は約93%である。
【0058】
一実施形態では、化合物Aのクエン酸塩の製造方法は、以下の工程を含む:
(a)2-イソプロピルフェノールを4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶へ変換し:
【化10】

(b)得られた4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶をNaOMeと反応させて2-イソプロピル-5-メトキシフェノールを生成し:
【化11】

(c)2-イソプロピル-5-メトキシフェノールをClCHCNと反応させて、2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを生成し:
【化12】

(d)2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンへ変換し:
【化13】

(e)5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンをClSOHと反応させ、続いてNHOHにより、化合物A遊離塩基である、5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドを形成し:
【化14】

(f)化合物A遊離塩基5-((2,4-ジアミノピリミジン-5-イル)オキシ)-4-イソプロピル-2-メトキシベンゼンスルホンアミドをグリコール酸およびMeOHの存在下で化合物Aクエン酸塩に変換する:
【化15】
【0059】
一実施形態では、2-イソプロピルフェノールから化合物Aのクエン酸塩までの全収率は50%を超える。別の実施形態では、全体の収率は55%を超える。さらに別の実施形態では、全体の収率は60%を超える。
【0060】
一実施形態では、2-イソプロピルフェノールから化合物Aのクエン酸塩までの全収率は50%を超える。別の実施形態では、全体の収率は55%を超える。さらに別の実施形態では、全体の収率は60%を超える。
【実施例
【0061】
実験
以下の実施例は例示のみを意図するものであり、決して限定するものではない。本明細書および明細書で使用される略語は、当技術分野または以下で慣用的なものである。
【0062】
℃ 摂氏度
DABCO 1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
DMA ジメチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMI 1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
h 時間
IPA イソプロピルアルコール
kg キログラム
L リットル
LC 液体クロマトグラフィー
MeOH メタノール
MSA メタンスルホン酸
MeCN アセトニトリル
MEK メチルエチルケトン
min 分
mLまたはml ミリリットル
モル モル
N 規定
NBS N-ブロモスクシンイミド
nM ナノモル
NMP N-メチル-2-ピロリドン
RTまたはrt 室温
sat. 飽和
THF テトラヒドロフラン
wtまたはwt 重量
XRPD X線粉末回折
【0063】
一実施形態では、化合物A遊離塩基およびそのクエン酸塩は、以下に示すように、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶の合成および単離、2-イソプロピルフェニル、2-イソプロピル-5-メトキシフェノールおよび2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルの合成および単離、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンの合成および単離、化合物A遊離塩基の合成、ならびに化合物A遊離塩基の対応するクエン酸塩への最終変換を含む方法によって得られる。
【0064】
【化16】
【0065】
ステップ1. 4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールDABCO共結晶の調製
下記の4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶は、下記の方法により、純度99%超および約85-92%の収率で得られる:
【化17】
【0066】
アセトニトリル(225mL)中の2-イソプロピルフェノール(75.0g、550mmol)の溶液に、MSA(0.520g、5.41mmol)を添加した。混合物を-10℃に冷却し、内部温度を10℃未満に維持しながら、NBS(98.01g、550mmol)を少しずつ添加した。反応物を30分間~1時間熟成させ、次いで20℃に温め、水(450mL)で希釈し、トルエン(225mL)で抽出した。有機層を9重量%リン酸(150mL)および5重量%NaCl(150mL)で連続的に洗浄した。有機層を約150mLに濃縮し、清浄な反応器に濾過した。混合物を30~40℃に加熱し、n-ヘプタン(28.5mL)、続いてDABCO(30.89g、275mmol)を添加した。この混合物を、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶(75mg、0.277ミリモル)で播種し(播種せずに予め形成されたこの手順の前のバッチから種を合成することができる)、52.5mLのn-ヘプタンで希釈し、そして1時間撹拌した。スラリーを1時間かけて20℃に冷却し、370mLのn-ヘプタンを2時間かけて添加した。スラリーを2時間かけて5℃に冷却し、2時間熟成し、濾過し、n-ヘプタン(2×75mL)で洗浄した。固体を真空下で20~25℃で乾燥させ、固体として4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶(134.8g、90%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ7.20(d、J=2.5Hz、1H)、7.13(dd、J=8.5、2.6Hz、2H)、6.73(d、J=8.5Hz、2H)、3.16(hept、J=6.9Hz、2H)、2.60(s、12H)、1.14(d、J=6.9Hz、12H)。
【0067】
ステップ1の結晶化は、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶、ブロモフェノールモノ-DABCO共結晶、またはブロモフェノールヘミ-DABCO共結晶とブロモフェノールモノ-DABCO共結晶との混合物を生成する。ブロモフェノールヘミ-DABCO共結晶のXRPDパターンを図1に示す。
【0068】
ブロモフェノールモノ-DABCO共結晶は、以下の手順で生成することができる:
【化18】
【0069】
撹拌棒を有するバイアルに、DABCO(1.7g、15mmol)、フェノール(2.5g、15mmol)、および2mLのn-ヘプタンを入れた。得られたスラリーを23℃で一晩撹拌した。次にスラリーを濾過し、得られた湿ったケーキを2mLの5℃のn-ヘプタンで洗浄した。ケーキを、窒素排気下の真空下で乾燥させて、4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールモノ-DABCO共結晶(2.9g、収率70%)を固体として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ9.65(s、1H)、7.20(s、1H)、7.14(d、J=8.5Hz、1H)、6.74(d、J=8.5Hz、1H)、3.17(hept、J=6.8Hz、1H)、2.61(s、12H)、1.15(d、J=6.9Hz、6H)。
【0070】
ブロモフェノールモノ-DABCO共結晶のXRPDパターンを図2に示す。
【0071】
ステップ2a. 2-イソプロピル-4-メトキシフェノールの調製
以下に示す2-イソプロピル-4-メトキシフェノールは、以下の方法により約92%の収率で得られる:
【化19】
【0072】
メタノール(430g)中の25重量%ナトリウムメトキシド中の4-ブロモ-2-イソプロピルフェノールヘミ-DABCO共結晶(120g、442mmol)の溶液に、60mLのDMFを添加した。溶液を窒素で加圧パージし、臭化銅(I)(3.23g、22.5mmol)を混合物に添加し、反応物を12~16時間加熱還流した。反応物を0~5℃に冷却し、溶液のpHが5未満になるまで6M HClでクエンチする。スラリーを492mLのトルエンおよび720mLの水で希釈して、層間にラグを有する均一な溶液を得る。水層を分離して廃棄する。有機層を濾過してラグを除去し、240mLの水で洗浄して、トルエン中の溶液として2-イソプロピル-4-メトキシルフェノール(491g、13.3重量%、89%アッセイ収率)を得る。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ8.73(s、1H)、6.68(d、J=8.6Hz、1H)、6.66(d、J=3.0Hz、1H)、6.55(dd、J=8.6、3.1Hz、1H)、3.65(s、3H)、3.17(hept、J=6.9Hz、1H)、1.14(d、J=6.9Hz、6H)。
【0073】
ステップ2b. 2-イソプロピル-4-メトキシフェノールの調製
代替的に、メトキシフェノールは、以下の方法によって得られる:
【化20】

【0074】
高圧容器に、400mlの無水トルエン、Re(CO)10(3.16g、4.84mmol)およびメキノール(100g、806mmol)を室温で充填した。次に、容器をプロピレンで脱気し、プロピレン(85.0g、2.02mol)を充填した。容器を密封し、170℃に加熱した。内圧は250psi付近で測定された。反応物をこの条件で72時間撹拌した。次に、容器を23℃に冷却した。内圧を注意深く1気圧に解放し、トルエン溶液を91%としてアッセイし、次の工程に直接使用するか、または固体として単離した。
【0075】
工程2a/2bは、無水2-イソプロピル-4-メトキシフェノール形態1を生じる。メトキシフェノール形態1のXRPDパターンを図3に示す。
【0076】
別の実施形態では、生成物がDMAP共結晶として単離される:
【化21】
【0077】
撹拌棒を有するバイアルに、DMAP(3.67g、30.1mmol)、2.5mlのトルエン、および2-イソプロピル-4-メトキシルフェノール(5.00g、30.1mmol)を充填した。反応混合物をRTで5分間撹拌し、均一な溶液を形成した。次いで、反応混合物を5℃に冷却した。10mLのn-ヘプタンを20分間かけてゆっくりと装入した。得られたスラリーを5℃で一晩撹拌した。スラリーを濾過し、得られた湿潤ケーキを3mLの5℃n-ヘプタンで洗浄した。ケーキを窒素排気を用いて真空下で乾燥させて、固体として2-イソプロピル-4-メトキシフェノールDMAP共結晶(7.01g、81%)を得た。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ8.78(s、1H)、8.10(d、J=6.1Hz、2H)、6.71~6.65(m、2H)、6.57(dd、J=11.3、6.0Hz、3H)、3.66(s、3H)、3.17(hept、J=6.8Hz、1H)、2.95(s、6H)、1.14(d、J=6.9Hz、6H)。
【0078】
結晶化は、無水2-イソプロピル-4-メトキシフェノールDMAP共結晶を生成する。2-イソプロピル-4-メトキシフェノールDMAP共結晶のXRPDパターンを図4に示す。
【0079】
ステップ3a. シアノエーテルである、2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルの調製
シアノエーテルは、次の方法により約95%の収率で得られる:
【化22】
【0080】
2-イソプロピル-4-メトキシフェノール(314.3g、12重量%、226.8mmol)の12~15重量%溶液を、40~50℃の真空下でトルエン中の50重量%を超える2-イソプロピル-4-メトキシフェノールに濃縮した。溶液に189mLのNMPを加え、混合物を5℃に冷却した。内部温度を10℃未満に維持しながら、水酸化ナトリウム(27.2g、水中50重量%、340mmol)およびクロロアセトニトリル(36g、340mmol)を混合物に連続的に添加した。反応物を2時間熟成させ、次いで、温度を10℃未満に維持しながら、150mLのトルエンおよび226mLの水で希釈した。混合物を20~25℃に加温し、層を分離し、有機層を75mLの20重量%NaCl(aq.)で洗浄した。有機層を濾過して、トルエン溶液として2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリル(56.8g、74.6重量%)を得た。フィルターをNMPで洗浄して、NMP中の溶液として追加の2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリル(27.1g、5.0重量%)を得た。合計収率は約94%であった。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ7.05(d、J=8.8Hz,1H),6.81(d、J=3.0Hz,1H),6.78(dd、J=8.8,3.1Hz,1H),5.11(s,2H),3.73(s,3H),3.20(hept、J=6.9Hz,1H),1.17(d、J=6.9Hz,6H)。
【0081】
ステップ3b. シアノエーテルである、2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルの調製
あるいは、以下に示すシアノエーテルが以下の方法により約92%の収率で得られる:
【化23】
【0082】
トルエン中の2-イソプロピル-4-メトキシフェノールの溶液(491g、13.3重量%、393mmol)を濃縮し、溶媒を40~50℃の真空下でアセトニトリルに切り替えた。炭酸カリウム(164.5g、1190mmol)および硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.5g、4.42mmol)を別の容器に加え、容器を窒素ガスで加圧パージした。フェノールのアセトニトリル溶液およびクロロアセトニトリル溶液を反応容器に連続的に添加した。容器を40℃に加熱し、4時間熟成させた。混合物を25℃に冷却し、326mLの水で希釈した。層を分離し、有機層を130mLの10重量%NaClで洗浄した。トルエンへの溶媒切り替えを真空下で行い、有機層を2つの16D Cuno#5カートリッジを通して濾過した。有機層を濃縮して、トルエン中で2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリルを得た(128.2g、58重量%、収率92%)。
【0083】
ステップ4. ジアミノピリミジンである、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンの調製
ジアミノピリミジンは、以下の方法によって約90%の収率で得られる:
【化24】
【0084】
NMP(180mL)中のカリウムtert-ブトキシド(44.8g、399ミリモル)の溶液を、-10℃に冷却した。トルエン中の2-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)アセトニトリル、シアノエーテル(59.3g、61.4重量%、177mmol)の溶液およびギ酸エチル(26.3g、355mmol)を、-12℃~-8℃の間の内部温度を維持しながら、塩基溶液に充填した。3時間の成熟後、塩酸グアニジン(136g、1420ミリモル)を混合物に添加し、反応物を115℃に6時間加熱した。混合物を90℃に冷却し、200mLの水で希釈し、反応混合物が均一になるまで熟成させた(約30~45分)。全ての固体が溶解した後、真空(400mmHg)を反応器に適用してトルエンを除去した。真空を切り、溶液を85℃に冷却した。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン種(49.8mg)(米国特許第7,741,484号に記載されている経路によって種を合成することができる)を入れ、溶液を2時間熟成させ、200mLの水を添加し、バッチを6時間かけて20℃に冷却させた。スラリーを20℃で10時間成熟させ、濾過し、2:1の水:NMP(3×100mL)および水(3×100mL)で洗浄し、50℃で真空下で乾燥させて、表題化合物(42.2g、88%)を固体として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ7.23(s、1H)、6.83(d、J=3.0Hz、1H)、6.70(dd、J=8.9、3.0Hz、1H)、6.63(d、J=8.8Hz、1H)、6.32(s、2H)、5.75(s、2H)、3.71(s、3H)、3.28(hept、J=6.9Hz、1H)、1.20(d、J=6.9Hz、6H);13C NMR(126MHz、DMSO-d)δ159.7、157.2、155.1、148.4、144.2、139.0、130.4、116.9、112.5、111.3、55.4、26.57、22.83。
【0085】
ステップ4の結晶化により、無水5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン形態1を生成する。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン形態1のXRPDパターンを図5に示す。
【0086】
一実施形態では、5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンNMP溶媒和物1は、過剰量の5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン形態1を密閉容器中でNMPに添加して懸濁液を形成することによって得られる。この懸濁液を、形態転移が完了するまで室温で撹拌する。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンNMP溶媒和物1の結晶を濾過によって収集し、脱溶媒和を防ぐためにXRPDによって直ちに測定することができる。5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミンNMP溶媒和物1のXRPDパターンを図6に示す。
【0087】
ステップ5. 化合物A遊離塩基の調製
化合物A遊離塩基は、以下の工程を含む方法によって約91%の収率で得られる:
【化25】
【0088】
-10℃で、アセトニトリル141mL中の5-(2-イソプロピル-4-メトキシフェノキシ)ピリミジン-2,4-ジアミン、ジアミノピリミジン(47.0g、171mmol)の懸濁液に、内部温度を25℃未満に維持しながら、クロロスルホン酸(63.1mL、942mmol)を添加した。溶液を25℃で1時間成熟させ、次いで45℃で12時間加熱した。溶液を20℃に冷却し、内部温度を15℃未満に維持しながら、-10℃で235mLの水酸化アンモニウムおよび71mLのアセトニトリルの溶液に添加した。スラリーを10℃で1時間成熟させ、25℃に加熱し、1時間成熟させた。スラリーを564mLの水および188mLの50重量%水酸化ナトリウムで希釈して、均質な溶液を得、これを35℃で2時間加熱した。溶液を22℃に冷却し、クエン酸の2M溶液により溶液のpHを12.9に調整した。溶液に化合物A遊離塩基(470mg、1.19mmol)を播種し(米国特許第7,741,484号に記載されている経路によって種を合成することができる)、2時間熟成し、クエン酸の2M溶液でpH10.5~11.3に5~10時間かけて酸性化し、次いで2時間熟成した。スラリーを濾過し、得られたケーキを90:10の水:アセトニトリル(2×118mL)および水(2×235mL)で洗浄し、真空下で55℃で乾燥させて、化合物A遊離塩基(50.9g、91%)を固体として得た。H NMR(500MHz、DMSO-d)δ7.36(s、1H)、7.07(s、1H)、7.05-6.89(m、3H)、6.37(s、2H)、5.85(s、2H)、3.89(s、3H)、3.41(hept、J=6.6Hz、1H)、1.27(d、J=6.8Hz、6H)。
【0089】
工程5の結晶化は、無水化合物A遊離塩基形態1を生成する。
【0090】
一実施形態において、化合物A遊離塩基アセトニトリル溶媒和物1は、密閉容器中、アセトニトリル中で過剰量の化合物A遊離塩基形態1を添加して懸濁液を形成することによって調製することができる。この懸濁液を、形態転移が完了するまで50℃で撹拌する。化合物A遊離塩基アセトニトリル溶媒和物1の結晶は濾過によって収集し、脱溶媒和を防止するためにXRPDによって直ちに測定することができる。化合物Aの遊離塩基アセトニトリル溶媒和物1のXRPDパターンを図7に示す。
【0091】
ステップ6a. 化合物Aクエン酸塩の調製
化合物Aクエン酸塩は、以下の工程を含む方法によって得られる:
【化26】
【0092】
化合物A遊離塩基(30.0g、84.9mmol)およびグリコール酸(22.6g、297mmol)をメタノール(360mL)に加えた。溶液を60℃に加熱し、1時間熟成し、0.6μmフィルターを通して清浄な容器に濾過した。2-プロパノール(180mL)中のクエン酸(32.6g、170mmol)の室温の溶液を、メタノール溶液の温度を58~62℃に維持しながら、0.6μmフィルターを通して30分間かけてメタノール溶液中に濾過した。溶液に化合物Aクエン酸塩(450mg、0.825mmol)を播種し(種は特許出願番号PCT/US17/66562に記載されている経路によって合成することができる)、1時間熟成し、温度を58~62℃に維持しながら、180mLの2-プロパノールで3時間かけて希釈した。スラリーを3時間かけて50℃に冷却した。スラリーを50℃で濾過し、1:1メタノール:2-プロパノール(120mL)および2-プロパノール(120mL)で50℃で洗浄し、35℃で真空下で乾燥させて、化合物Aクエン酸塩(45.1g、97%)を固体として得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ10.89(s、3H)、7.33(s、1H)、7.10(s、1H)、7.07(s、3H)、7.04(s、2H)、6.44(s、2H)、3.91(s、3H)、3.34(hept、J=6.7Hz、1H)、2.69(d、J=15.3Hz、2H)、2.60(d、J=15.3Hz、2H)、1.26(d、J=6.9Hz、6H)。
【0093】
ステップ6b. 化合物Aクエン酸塩の代替調製
あるいは、化合物Aクエン酸塩は、以下の工程を含むプロセスによって得られる:
【化27】
【0094】
50℃で、メタノール(72mL)および2-プロパノール(36mL)中の化合物Aクエン酸塩(4.5g、8.25mmol)の懸濁液に、別々の0.6μmフィルターを通して、50℃の360mLのメタノール中の化合物A遊離塩基(30.0g、84.9mmol)およびグリコール酸(22.6g、297mmol)の溶液、ならびに2-プロパノール180mL中のクエン酸(19.5g、101mmol)の溶液を、25℃で8時間かけて、60℃の種溶液温度を維持しながら同時に添加した。同時添加が完了した後、温度を60℃に維持しながら、180mLの2-プロパノール中のクエン酸(13.2g、68.7mmol)を8時間かけてスラリーに添加した。スラリーを50℃に冷却し、1時間成熟させ、50℃で濾過し、1:1メタノール:2-プロパノール(2×120mL)および2-プロパノール(120mL)で洗浄し、35℃で真空下で乾燥させて、化合物Aクエン酸塩(45.1g、88%)を固体として得た。
【0095】
工程6a/6bの結晶化は、無水化合物Aクエン酸塩形態1を生成する。
【0096】
別の実施形態において、化合物Aクエン酸塩メタノール溶媒和物1は、50℃のメタノール中の化合物Aクエン酸塩形態1の飽和溶液を介して調製することができる。溶液を、化合物Aクエン酸塩メタノール溶媒和物1の結晶が得られるまで、周囲温度に自然冷却するか、または周囲温度で蒸発させる。化合物Aクエン酸塩メタノール溶媒和物1のXRPDパターンを図8に示す。
【0097】
別の実施形態において、化合物Aクエン酸塩IPA溶媒和物1は、密閉容器中でIPAに過剰量の化合物Aクエン酸塩メタノール溶媒和物1を添加して懸濁液を形成することによって調製することができる。この懸濁液を、5℃以下で、形態転移が完了するまで撹拌する。化合物Aクエン酸塩IPA溶媒和物1の結晶は濾過によって収集し、脱溶媒和を防止するためにXRPDによって直ちに測定することができる。化合物Aクエン酸塩IPA溶媒和物1のXRPDパターンを図9に示す。
【0098】
別の実施形態では、化合物Aクエン酸塩水和メタノール溶媒和物1は、過剰量の化合物Aクエン酸塩形態1を、密閉容器中でメタノール:水 3:1(v/v)に添加して懸濁液を形成することによって調製することができる。この懸濁液を、形態転移が完了するまで室温で撹拌する。化合物Aのクエン酸塩水和メタノール溶媒和物1の結晶は濾過によって収集し、脱溶媒和を防止するためにXRPDによって直ちに測定することができる。化合物Aクエン酸塩水和メタノール溶媒和物1のXRPDパターンを図10に示す。
【0099】
別の実施形態では、無水化合物Aグリコール酸塩形態1は、過剰量の化合物A遊離塩基形態1および4~5当量のグリコール酸を、密閉容器中でメタノール:IPA 3:1(v/v)に添加して懸濁液を形成することによって調製することができる。この懸濁液を、形態転移が完了するまで50℃で撹拌する。化合物Aグリコール酸塩形態1の結晶は50℃で濾過することによって収集し、50℃で熱IPAで洗浄し、50℃で真空乾燥することができる。化合物Aグリコール酸塩形態1のXRPDパターンを図11に示す。
【0100】
前述の明細書は本発明の原理を教示するが、例示の目的のために提供される例を用いて、本発明の実施は以下の特許請求の範囲内にある通常の変形、適応、および/または修正のすべてを包含する。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参照により本開示に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11