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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 L
A41D13/11 A
A41D13/11 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021018014
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022120945
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】田代 泰
(72)【発明者】
【氏名】木村 宣彦
(72)【発明者】
【氏名】小関 照雄
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05647060(US,A)
【文献】登録実用新案第3227983(JP,U)
【文献】特開2015-014061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛沫の飛散に対応するためのフェイスシールドであって、
ユーザの頭部に装着される装着部と、
前記装着部に保持されるシールド材と、
を備え、
前記シールド材は、ユーザの頭部に装着されて前記装着部から垂れ下がって当該頭部における少なくとも顔面に対向する部分である前側部分を有し、
前記装着部は、前記シールド材の前記前側部分とユーザの顔面との間の空間に対応する領域に切欠き部を有
前記シールド材は、ユーザの頭部の顔面以外の部分に対向する部分と、当該部分の下端から上方に延びる切れ目を有する、
ことを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
前記シールド材は、前記前側部分の前記装着部から垂れ下がる長さを変更可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記シールド材は、前記装着部から着脱自在である、ことを特徴とする請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項4】
飛沫の飛散に対応するためのフェイスシールドであって、
ユーザの頭部に装着される装着部と、
前記装着部に保持されるシールド材と、
を備え、
前記シールド材は、ユーザの頭部に装着されて前記装着部から垂れ下がって当該頭部における少なくとも顔面に対向する部分である前側部分を有し、
前記装着部は、前記シールド材の前記前側部分とユーザの顔面との間の空間に対応する領域に切欠き部を有し、
前記装着部は、板状部材であり、
前記装着部は、ユーザの頭部が入る略円形の穴と、当該穴の周縁部に径方向にスリットが延びて当該穴に当該頭部が下から進入すると起立して下面が当該頭部に接触する接触部と、を有する、ことを特徴とすフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスク本体と、頭の後ろから耳の上にかけるマスク支えとで成り、マスク本体とマスク支えとは、透明のポリプロビレンないし塩化ビニール製の1枚の大きなハート又は楕円形シートとして、一体につながって切り抜かれ、口前展開部のマスク本体がV字ないしU字形に形成され、シートの上半分は、更に横に広いハート又は楕円形にくり抜かれて、細長いC字形をしたマスク支えとなり、マスク本体を一方の手に持ち、口鼻の前にあてがい、他方の手でマスク支えの中央部分を頭の後ろに引き、表側部分が後頭部の後ろに接するようにかけ、マスク支えの左右部分を、メガネのつるのように耳の上にかけて装着するマスクが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、使用者の鼻部から口部を含む顔面部下部側を覆う板状又はシート状のシールド部材と、使用者の項部又は両肩甲上部の少なくとも一方に掛着される掛着部と、掛着部に連設されて前記シールド部材を使用者の顔面部に対して非接触状態でかざすように保持する保持部とを有するシールド保持部材とを備えたことを特徴とする飛沫防止用フェイスシールドが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、フレキシブル透明ビニールで作られた略長方形のフェイスシールドで、フェイスシールドの下部を上方へ折りたたみが可能で、鼻口部分の開放を可能としたフェイスシールドが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、顔面を覆える大きさの透明なシールドに、透明または半透明な顎当て(フレーム)をつけ、左右それぞれフレームとシールドの二か所に両耳で固定するための紐3をつけるフェイスシールドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3228304号公報
【文献】実用新案登録第3228469号公報
【文献】実用新案登録第3227983号公報
【文献】実用新案登録第3228407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、家族や親族、友人知人など気がおけない仲間と飲食する場合には、会話を楽しむことでコミュニケーションを図ることが非常に大切である。その一方で、新型コロナウィルスの感染拡大により、唾液等の飛沫の拡散を防止することで、感染の拡大を防止する対策が急務となっている。
【0008】
しかしながら、従来のフェイスシールドは顔面、特に口部近傍のすぐ前にあるので、飲食をする場合には、取り外さなければならない。また、フェイスシールドを取り外したまま会話をすると、万が一感染者がいた場合にはウィルスを拡散させてしまうおそれがあるものの、飲食するときにフェイスシールドを外し、会話するときには装着するというやり方ではあまりに煩わしく、会話も弾み難く飲食も美味しく感じなくなってしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、装着しながらの飲食が可能なフェイスシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が適用されるフェイスシールドは、飛沫の飛散に対応するためのフェイスシールドであって、ユーザの頭部に装着される装着部と、前記装着部に保持されるシールド材と、を備え、前記シールド材は、ユーザの頭部に装着されて前記装着部から垂れ下がって当該頭部における少なくとも顔面に対向する部分である前側部分を有し、前記装着部は、前記シールド材の前記前側部分とユーザの顔面との間の空間に対応する領域に切欠き部を有前記シールド材は、ユーザの頭部の顔面以外の部分に対向する部分と、当該部分の下端から上方に延びる切れ目を有する、ことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、記シールド材は、前記前側部分の前記装着部から垂れ下がる長さを変更可能である、ことを特徴とすることができる。また、前記シールド材は、前記装着部から着脱自在である、ことを特徴とすることができる。
本発明が適用されるフェイスシールドは、飛沫の飛散に対応するためのフェイスシールドであって、ユーザの頭部に装着される装着部と、前記装着部に保持されるシールド材と、を備え、前記シールド材は、ユーザの頭部に装着されて前記装着部から垂れ下がって当該頭部における少なくとも顔面に対向する部分である前側部分を有し、前記装着部は、前記シールド材の前記前側部分とユーザの顔面との間の空間に対応する領域に切欠き部を有し、前記装着部は、板状部材であり、前記装着部は、ユーザの頭部が入る略円形の穴と、当該穴の周縁部に径方向にスリットが延びて当該穴に当該頭部が下から進入すると起立して下面が当該頭部に接触する接触部と、を有する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装着しながらの飲食が可能なフェイスシールドを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るフェイスシールドを示す斜視図である。
図2】フェイスシールドの本体部を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は、装着部の部分拡大図であり、(c)はユーザの頭部が本体部に受け入れられる状態を説明する図である。
図3】シート材単体を示す斜視図であり、(a)は、前側右上方から見下ろした状態を示し、(b)は、後ろ左上方から見下ろした状態を示す。
図4】切れ目でシート材の三方面部を持ち上げた状態を示す斜視図である。
図5】フェイスシールドを図1とは異なる状態で使用する使用状態を示す斜視図である。
図6】切欠き部の変形例を説明する図であり、(a)はその一例、(b)は他の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るフェイスシールド10を示す斜視図であり、ユーザに装着されている状態を示す。
図1に示すフェイスシールド10は、例えば食事するユーザに装着されて顔面を覆うものである。ユーザの顔面と顔面に対向するフェイスシールド10の面との間には、比較的大きな隙間を確保しており、フェイスシールド10内の顔面の周囲を広く囲むように配設されていることから、複数人で食事したときであっても飛沫の飛散を防止することができる。
【0015】
前後方向において、ユーザの顔面からフェイスシールド10までの距離は、顔面とフェイスシールド10との間にユーザの腕が入る程度であれば良い。フェイスシールド10が顔面からあまりにも遠いと無駄であり、また、ユーザ装着時にフェイスシールド10の前側が左右のいずれかに偏ると不安定となるおそれがある。その一方で、フェイスシールド10が顔面に近いと、ユーザの腕が自由に動かせなくなるおそれがある。このため、前後方向におけるユーザの顔面とフェイスシールド10との距離は、10cm~30cmとする。好ましくは、12cm~25cmで、より好ましい範囲は、13cm~20cmであり、例えば15cmとしてもよい。成人の後頭から鼻先端までの長さは、約20cmであることから、より好ましい範囲の上限は、成人の頭一つ分の長さである。
なお、図1等に示す左右方向は、フェイスシールド10を装着したユーザに向かって見た場合の左右を示す。
【0016】
かかるフェイスシールド10は、本体部20と、本体部20に保持されるシート材30と、を備える。本体部20は、シート材30の内面側に位置する。
本体部20は、略矩形の板状部材で構成されており、本実施の形態では、厚紙ないしボール紙である。ある程度の剛性がある一方で比較的軽い材料で構成することで、長時間ユーザが装着した場合の負担を軽減させることができる。厚紙以外の材料、例えばアクリル等の透明部材を用いてもよく、その場合には、複数の穴を形成することで軽量化を図ることができる。
シート材30は、透明なシートであり、ユーザの頭部の周囲(本体部20の4辺)を囲む。シート材30は、透光性の高い部材であることが好ましく、また、無色のほか、有色であってもよい。シート材30は、例えば接着材や面ファスナー等の周知慣用の手段で本体部20に取り付けられる。シート材30の下端は、ユーザのあごの位置よりも下方に位置し、肩よりも下側である。シート材30は、シールド材の一例である。
【0017】
[本体部20]
図2は、フェイスシールド10の本体部20を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は、頭部受入れ部22の部分拡大図であり、(c)はユーザの頭部が頭部受入れ部22に受け入れられる状態を説明する図である。
図2(a)に示すように、本体部20は、本体部20の周縁部分をなす保持部21と、保持部21に囲まれ前後方向後ろ側寄りに位置する頭部受入れ部22と、保持部21に囲まれ頭部受入れ部22よりも前後方向前側に位置する切欠き部23と、を含んで構成されている。本体部20は装着部の一例であり、切欠き部23は切欠き部の一例である。
本実施の形態に係る本体部20は、4つの角部20a、20b、20c、20dが円弧形状に形成されており、より具体的には、前後方向前側の2つの角部20a、20bと後ろ側の2つの角部20c、20dを比較すると、前側の角部20a、20bの円弧形状は、後ろ側の角部20c、20dよりも半径が小さい。本体部20は、左右略対称に形成されている。
【0018】
[本体部20の保持部21]
保持部21は、本体部20の四辺にわたって連続する周縁部分であり、シート材30を保持する部分である。保持部21は、本体部20の外形形状によりその形状が画定される。本体部20の外形が大きいと、シート材30で広い空間を覆うことができる。
上述のとおり、本体部20において、前側の角部20a、20bは、後ろ側の角部20c、20dよりも小さい半径である。かかる半径の差に起因して、フェイスシールド10のシート材30で仕切られる空間は、前側が後ろ側よりも広くなる。
【0019】
[本体部20の頭部受入れ部22]
頭部受入れ部22は、図2(a)に示すように、ユーザの頭部が入る略円形の穴22aを有する。また、頭部受入れ部22は、同図(b)に示すように、穴22aの周縁部に略等間隔で径方向に延びるスリット22bと、スリット22bにより隣り同士が互いに分離される複数の接触部22cと、接触部22cの角部を面取りした面取り部22dと、を有する。
本体部20が頭部受入れ部22を備えることにより、ユーザはサンバイザーのように被ることができ、頭部に対する着脱動作を容易に行うことができる。
【0020】
さらに説明すると、図2(c)に示すように、頭部受入れ部22は、ユーザの頭部が穴22aに下面側から入ると、穴22aの周囲にある接触部22cは、頭部に押し上げられて折れ曲がり、破線で示す位置から実線で示す位置までユーザの頭部に沿うように起立する。こうして、接触部22cは下面でユーザの頭部に接触するようになる。
本体部20は平たんで平面状態であることから、重ねて収納することができ、収納スペースを少なくすることが可能になる。
このように平面状態である本体部は、接触部22cが起立することで立体状態になる。接触部22cは元に戻すことで本体部20は平面状態に移行する。すなわち、本体部20は、ユーザの頭部が穴22aに入らない状態では、平たんであるが、ユーザの頭部が穴22aに入ると立体的になり、ユーザの頭部が接触部22cと広い面積で接触するようになり、安定的にユーザの頭部に取り付けられる。
【0021】
[本体部20の切欠き部23]
切欠き部23は、本体部20の前端辺20eと頭部受入れ部22との間に形成されている。この前端辺20eは、本体部20の前後方向において前側に位置する辺であり、角部20a、20bに連続する。
本体部20に切欠き部23を形成することで、本体部20が透光性を有しない場合や透光の程度が低い場合には、フェイスシールド10の外の光を取り入れる明かり取り窓としての機能を持たせることができる。かかる明かり取りにより、食事中の食品に影ができずにおいしそうに見え、食事を楽しむことが可能になる。
また、透光性の有無を問わず、切欠き部23により、ユーザが本体部20を被ったときの前側が軽量化される。本実施の形態に係るフェイスシールド10は、ユーザの頭部に被る形式を採用することから、フェイスシールド10を装着したユーザが頭部を上下左右に動かすと、フェイスシールド10も追随して動く。このため、ユーザの頭部から張り出す本体部20の前側を軽量化することにより、装着時のユーザの頭部ないし首への負担を軽減させることができる。
【0022】
なお、本実施の形態では、本体部20を厚紙で一体に形成されているが、これに限られず、本体部20を例えば保持部21と頭部受入れ部22を別部材で構成しても良い。例えば保持部21をアクリル等の樹脂部材で構成し、頭部受入れ部22をゴム等の弾性部材で構成する例である。
【0023】
[シート材30]
図3は、シート材30単体を示す斜視図であり、(a)は、前側右上方から見下ろした状態を示し、(b)は、後ろ左上方から見下ろした状態を示す。(a)と(b)は、前後方向及び左右方向の逆側の外観を示している。
図3(a)及び(b)に示すように、シート材30は、本体部20(図2(a)参照)の外形に対応した形状で本体部20の上面全体を覆う平面部31と、本体部20の前端辺20e(図2(a)参照)から上下方向下側に垂れる前面部32と、本体部20の前端辺20e以外の3辺から上下方向下側に垂れる三方面部33と、を有する。本体部20の4辺から下方に垂れる前面部32及び三方面部33により、フェイスシールド10を装着したユーザの頭部の周囲が覆われる。
シート材30は、平面部31、前面部32及び三方面部33が一体になっているが、これに限られず、別部材で構成し、互いに接続して用いるようにしてもよい。
【0024】
シート材30の前面部32には、四隅部分にナイロン製の面ファスナー34a、34bが取り付けられている。面ファスナー34aと面ファスナー34bのいずれか一方がかぎ状の雄で、他方が環状の雌であり、上下関係の位置にある面ファスナー34a、34b同士をかみ合わせて結合できる。
なお、本実施の形態では、面ファスナー34a、34bを左右方向の右側と左側にそれぞれ1組ずつの2組を用いているが、左右方向略中央位置に面ファスナー34a、34bを1組用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、面ファスナー34a、34bを用いているが、これに限られず、他の結合手段、例えば磁石で互いに結合する部材や、挟んで結合するグリップ部材等を用いてもよい。
【0025】
シート材30の三方面部33には、前面部32から前後方向に離れた位置に切れ目35が形成されている。この切れ目35は、ユーザがフェイスシールド10を頭部に装着したときにユーザの両肩辺りに位置する。切れ目35は、図3(a)及び(b)に示すように、右側の面及び左側の面の両方に形成されている。
切れ目35は、三方面部33の上下方向の途中から下端まで延びている。本実施の形態では、切れ目35は、上下方向の中央位置から下側に形成されている。
【0026】
ここで、シート材30の厚さは、薄すぎると装着の際の取扱いがしにくく、厚すぎると曲げ部の加工がしにくい。できるだけ薄くて、取扱いのしやすい厚さが良く、例えば40μmを採用することができる。
また、シート材30の透明度は、厚さにも関係するが、前面が見える程度の透明度が必要である。少なくとも、テーブルの反対側に着席している者の顔が見えなければならない。
さらに、下部開口部は、食事の際にユーザの腕と接触することが考えられるので、容易に持ち上げられる程度の柔らかさが必要となる。
【0027】
図4は、切れ目35でシート材30の三方面部33を持ち上げた状態を示す斜視図である。
図4に示すように、切れ目35でシート材30の三方面部33を持ち上げることができ、ユーザの脱着を容易に行うことができる。
より詳細に説明すると、このような切れ目35を三方面部33に形成することで、ユーザがフェイスシールド10を被る際に、頭に装着する動作をシート材30が妨げることを抑制でき、また、ユーザがフェイスシールド10を外す際に頭から遠ざける動作をシート材30が妨げることを抑制できる。すなわち、切れ目35をシート材30に形成することで、切れ目35を形成しない場合に比べて、上下方向に長いシート材30がフェイスシールド10の着脱動作をより容易に行うことができる。
【0028】
[本体部20及びシート材30]
ここで、図1を用いて説明を続ける。フェイスシールド10を構成する本体部20及びシート材30は、使用時には互いに接続されているが、互いに分離することが可能である。また、使用時に互いに接続されないようにし、まず本体部20だけをユーザの頭部に装着し、その後にシート材30を本体部20に保持されるように本体部20の上から装着する構成を採用してもよい。
【0029】
また、上述したように、本体部20及びシート材30を分離可能であり、シート材30が本体部20から着脱自在な構成を採用する場合、本体部20とシート材30とを別々に収納しておくことができる。
また、本体部20の外形が同じである一方で頭部受入れ部22の大きさが異なるものを用意しておくことで、ユーザごとに頭部の大きさに合った本体部20を使用することができるようになる。
また、ユーザがフェイスシールド10を使用しているときに、シート材30だけを交換したり本体部20だけを交換したりすることが可能になる。例えば、使用中にシート材30が汚れてしまった場合などに、必要に応じた交換を行うことができる。
【0030】
[フェイスシールド10の使用態様]
本実施の形態に係るフェイスシールド10は、図1に示すように、本体部20をユーザの頭部に装着することで、顔の周囲がシート材30により覆われる。そして、ユーザの顔とシート材30(図3(a)に示す前面部32)との間に、食事するのに十分な隙間があることから、飛沫の飛散を防止しながら食事を楽しむことができる。かかる食事は、例えば外食時であるが、家庭内での食事の場面にも使用することができる。
【0031】
図5は、フェイスシールド10を図1とは異なる状態で使用する使用状態を示す斜視図である。すなわち、図5は、シート材30の前面部32を下まで垂らしている図1とは異なり、前面部32を面ファスナー34a、34b同士の結合により折りたたんでいる状態(折りたたみ状態)である。
図5に示すように、フェイスシールド10は、シート材30の前面部32に取り付けられている面ファスナー34a、34b同士を結合した状態で使用することができる。面ファスナー34a、34bを結合したり外したりすることは、容易な操作で行うことができる。
折りたたみ状態にすると、前面部32が折りたたまれて顔の前側下側が開放されるので、フェイスシールド10を装着したまま、食事を楽しむことができ、食事をしないときは図1に示す使用状態に戻すことができる。
また、ユーザの顔の前の空間が比較的大きいことから、図1に示す使用状態でも食事を楽しむことができ、その場合には、折りたたみ状態にすることで、食べ物の匂いを楽しんだり比較的大きな容器に入っているスープを飲んだりすることができるようになる。
【0032】
[各種の変形例]
本実施の形態に係る切欠き部23は、短辺の長さ方向が前後方向に沿う長方形状であるが、これに限られず、他の形状であってもよい。
図6は、切欠き部23の変形例を説明する図であり、(a)はその一例、(b)は他の一例を示す。
同図(a)に示す切欠き部23の一例は、前後方向に延びるスリットを左右方向に配列して構成されている。かかる一例によれば、図2に示す場合に比べて、切欠き部23を頭部受入れ部22の近くまで形成している。
同図(b)に示す切欠き部23の他の例は、左右方向に延びるスリットを前後方向に配列して構成されている。かかる他の例によれば、図2に示す場合に比べて、スリットの長手方向が左右方向に長く形成している。
このように図6(a)、(b)に示す変形例に依れば、切欠き部23をスリットとすることで、本体部20の剛性低下を抑制しつつ、明かり取りを広く確保することができる。
【0033】
また、切欠き部23を上述のスリットとする場合のほか、パンチ穴としてもよい。
また、切欠き部23を図2に示す矩形形状のほか、例えば、三角形状の場合、円形状の場合、楕円形状の場合等としてもよい。また、切欠き部23は、スリットやパンチ穴の場合の他、複数の形状を配置したものであってもよい。かかる複数の形状は、同じ種類の形状の場合のほか、異なる種類の形状である場合でもよい。同種形状は、同じ大きさの場合や違う大きさの場合でもよい。
【0034】
また、フェイスシールド10の内部空間内にある細菌の殺菌やウイルスの不活性化を行うための紫外線を発する光源等の手段を本体部20に取り付ける変形例も考えられる。
また、フェイスシールド10の内部空間に空気がこもってしまう事態に対応するために、シート材30に通気口を設ける変形例も考えられる。例えば、シート材30の平面部31に通気口となる開口部を設け、かつ、その通気部と本体部20の切欠き部23のいずれか一方または両方に、マスクに使用される不織布を取り付けることで、通気の確保と飛沫の飛散防止を図ることができる。
【0035】
このように、本実施の形態に係るフェイスシールド10は、ユーザの頭部に装着される本体部20と、本体部20に保持されるシート材30と、を備え、シート材30は、ユーザの頭部に装着されて本体部20から垂れ下がって頭部における少なくとも顔面に対向する部分である前面部32を有し、本体部20は、シート材30の前面部32とユーザの顔面との間の空間に対応する領域に切欠き部23を有する。これにより、食事中等の飛沫の飛散に対応することが可能になる。
この場合、シート材30は、ユーザの頭部の顔面以外の部分に対向する三方面部33と、当該部分の下端から上方に延びる切れ目35を有するのが好ましい。また、シート材30は、前面部32の本体部20から垂れ下がる長さを変更可能であるのが好ましい。また、シート材30は、本体部20から着脱自在であるのが好ましい。さらに、本体部20は、板状部材であり、本体部20は、ユーザの頭部が入る略円形の穴22aと、穴22aの周縁部に径方向にスリット22bが延びて穴22aに頭部が下から進入すると起立して下面が頭部に接触する接触部22cと、を有するのが好ましい。
【0036】
以上説明した本実施の形態によれば、フェイスシールド10を装着したままでも、飲食と会話を同時に楽しむことができる。
なお、本実施の形態に係るフェイスシールド10は、食事中のほか、例えばオフィスでの仕事中に使用したり、接客する場面で使用したりすることが考えられる。
【符号の説明】
【0037】
10…フェイスシールド、20…本体部、20a、20b、20c、20d…角部、20e…前端辺、21…保持部、22…頭部受入れ部、22a…穴、22b…スリット、22c…接触部、22d…面取り部、23…切欠き部、30…シート材、31…平面部、32…前面部、33…三方面部、34a、34b…面ファスナー、35…切れ目
図1
図2
図3
図4
図5
図6