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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 41/40 20230101AFI20240612BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240612BHJP
   H10B 43/40 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
H10B41/40
H01L27/088 C
H01L27/088 H
H01L29/78 371
H10B43/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021077655
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171175
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀
【審査官】小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-183003(JP,A)
【文献】特開2006-245046(JP,A)
【文献】特開2013-004764(JP,A)
【文献】特開2013-201335(JP,A)
【文献】特開2005-026380(JP,A)
【文献】特開2012-004403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 41/40
H01L 21/8234
H01L 21/336
H10B 43/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性半導体メモリと、第1膜厚の第1ゲート酸化膜を有する第1トランジスタと、前記第1膜厚よりも小さい第2膜厚の第2ゲート酸化膜を有する第2トランジスタと、前記第1膜厚よりも大きい第3膜厚の第3ゲート酸化膜を有する第3トランジスタとを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1ないし第3トランジスタの形成領域において、半導体基板の表面に第1酸化膜を形成する工程と、
(b)前記第2および第3トランジスタの形成領域において、前記第1酸化膜を除去する工程と、
(c)前記第1トランジスタの形成領域において前記第1酸化膜の上に、かつ前記第2および第3トランジスタの形成領域においては前記半導体基板の前記表面上に、第1被エッチング膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程後、前記第1トランジスタの形成領域において、前記第1被エッチング膜と前記第1酸化膜の上層の一部とを除去して、前記第1酸化膜から前記第1膜厚を有する前記第1ゲート酸化膜を形成する工程と、
(e)前記第2トランジスタの形成領域において、前記第1被エッチング膜を除去する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記第2トランジスタの形成領域において、前記半導体基板の表面に第2酸化膜を形成することにより、前記第2膜厚の前記第2ゲート酸化膜を形成する工程と、を備え
前記第3トランジスタの形成領域において、前記第1被エッチング膜は前記第3膜厚の前記第3ゲート酸化膜を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記(d)工程において、前記第1被エッチング膜の除去と前記第1酸化膜の前記上層の一部の除去との各々はドライエッチングにより行なわれる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1被エッチング膜は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とシリコン酸化膜との3層からなる積層構造を有する、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記(d)工程において、前記第1被エッチング膜の除去はウエットエッチングにより行なわれ、前記第1酸化膜の前記上層の一部の除去はドライエッチングにより行なわれる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(g)前記(a)工程後、前記(b)工程前において、前記第1トランジスタの形成領域に、第2被エッチング膜を形成する工程をさらに備え、
前記第2被エッチング膜は、前記不揮発性半導体メモリにおけるフローティングゲート電極形成用導電膜である、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1酸化膜は、前記不揮発性半導体メモリにおけるカップリング酸化膜形成用酸化膜である、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1酸化膜の前記上層の一部の除去は、ケミカルドライエッチングにより行なわれる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1酸化膜の前記上層の一部の除去は、ドライエッチングした後にウエットエッチングすることにより行なわれる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1酸化膜の前記上層の一部の除去は、ウエットエッチングにより行なわれる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、たとえば、不揮発性半導体メモリとそれぞれのゲート酸化膜の厚みが異なる3種以上の電界効果トランジスタとを有する半導体装置の製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不揮発性の半導体メモリとそれぞれのゲート酸化膜の厚みが異なる3種の電界効果トランジスタとを有する半導体装置は、たとえば特開2019-79938号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、フラッシュメモリと、高耐圧MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、低耐圧MOSトランジスタと、高耐圧および低耐圧の間の耐圧を有する新たなMOSトランジスタとが開示されている。
【0003】
新たなMOSトランジスタのゲート酸化膜は、フラッシュメモリのフローティングゲート電極が形成された後にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜される。また新たなMOSトランジスタのゲート酸化膜は、高耐圧MOSトランジスタのゲート酸化膜の一部としても用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-79938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の製造方法では、新たなMOSトランジスタのゲート酸化膜は、高耐圧MOSトランジスタのゲート酸化膜の一部としても用いられる。このため新たなMOSトランジスタにおけるゲート酸化膜の形成は、高耐圧MOSトランジスタを含む他のトランジスタの製造フローに大きな影響を与える。よって新たなMOSトランジスタのゲート酸化膜を成膜するに際し、制約が大きい。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、不揮発性半導体メモリと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタとを有する半導体装置の製造方法である。第1トランジスタは、第1膜厚の第1ゲート酸化膜を有する。第2トランジスタは、第1膜厚よりも小さい第2膜厚の第2ゲート酸化膜を有する。第3トランジスタは、第1膜厚よりも大きい第3膜厚の第3ゲート酸化膜を有する。当該半導体装置の製造方法においては、まず第1トランジスタの形成領域において、半導体基板の表面に酸化膜が形成される。第1トランジスタの形成領域において、酸化膜の上に第1被エッチング膜が形成される。第1被エッチング膜と酸化膜の上層の一部とが除去されて、酸化膜から第1膜厚を有する第1ゲート酸化膜が形成される。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、他のトランジスタの製造フローに大きな影響を与えることなく、第1トランジスタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における半導体装置の構成を示す断面図である。
図2図1の領域RM、RF、RS、RTを拡大して示す部分拡大断面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図6】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す断面図である。
図7】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す断面図である。
図8】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第6工程を示す断面図である。
図9】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第7工程を示す断面図である。
図10】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第8工程を示す断面図である。
図11】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第9工程を示す断面図である。
図12】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第10工程を示す断面図である。
図13】実施の形態1における半導体装置の製造方法の第11工程を示す断面図である。
図14】実施の形態2における半導体装置の構成を示す断面図である。
図15図14の領域RM、RF、RS、RTを拡大して示す部分拡大断面図である。
図16】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図17】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図18】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図19】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第4工程を示す断面図である。
図20】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第5工程を示す断面図である。
図21】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第6工程を示す断面図である。
図22】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第7工程を示す断面図である。
図23】実施の形態2における半導体装置の製造方法の第8工程を示す断面図である。
図24】実施の形態3における半導体装置の構成を示す断面図である。
図25図24の領域RM、RF、RS、RTを拡大して示す部分拡大断面図である。
図26】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図27】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図28】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第3工程を示す断面図である。
図29】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第4工程を示す断面図である。
図30】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第5工程を示す断面図である。
図31】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第6工程を示す断面図である。
図32】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第7工程を示す断面図である。
図33】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第8工程を示す断面図である。
図34】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第9工程を示す断面図である。
図35】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第10工程を示す断面図である。
図36】実施の形態3における半導体装置の製造方法の第11工程を示す断面図である。
図37】実施の形態3の第1変形例における半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図38】実施の形態3の第1変形例における半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
図39】実施の形態3の第2変形例における半導体装置の製造方法の第1工程を示す断面図である。
図40】実施の形態3の第2変形例における半導体装置の製造方法の第2工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成または製造方法を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0011】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
まず実施の形態1における半導体装置の構成について図1および図2を用いて説明する。
【0012】
図1に示されるように、本実施の形態における半導体装置は、不揮発性半導体メモリMCと、第1トランジスタFTと、第2トランジスタSTと、第3トランジスタTTとを有している。
【0013】
不揮発性半導体メモリMCは、メモリ領域MCRに配置されている。第1トランジスタFTは、第1トランジスタ領域FTR(第1トランジスタFTの形成領域)に配置されている。第2トランジスタSTは、第2トランジスタ領域STRに配置されている。第3トランジスタTTは、第3トランジスタ領域TTRに配置されている。
【0014】
不揮発性半導体メモリMCは、たとえばスプリットゲート型のフラッシュメモリである。不揮発性半導体メモリMCは、1対の不純物領域IRa、IRbと、カップリング酸化膜CIと、フローティングゲート電極FGと、トンネル酸化膜TIと、コントロールゲート電極CGとを有している。
【0015】
1対の不純物領域IRa、IRbの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。記憶内容を書き込む際には、不純物領域IRaがソース領域として機能し、不純物領域IRbがドレイン領域として機能する。記憶内容を読み出す際には、不純物領域IRaがドレイン領域として機能し、不純物領域IRbがソース領域として機能する。
【0016】
1対の不純物領域IRa、IRbは、半導体基板SBの表面に互いに距離を隔てて配置されている。半導体基板SBは、たとえば単結晶シリコンよりなっている。1対の不純物領域IRa、IRbは、たとえばn型の不純物を半導体基板SBの表面に導入することにより構成されている。
【0017】
1対の不純物領域IRa、IRbの間に挟まれた半導体基板SBの表面上にカップリング酸化膜CIを介在してフローティングゲート電極FGが配置されている。カップリング酸化膜CIは、たとえばシリコンよりなる半導体基板SBの表面を熱酸化することにより形成されたシリコン酸化膜である。カップリング酸化膜CIは、たとえば100Åの厚みを有している。
【0018】
フローティングゲート電極FGは、たとえば不純物が導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)よりなっている。フローティングゲート電極FGは、たとえば1000Åの厚みを有している。
【0019】
フローティングゲート電極FG上には、トンネル酸化膜TIを介在してコントロールゲート電極CGが配置されている。トンネル酸化膜TIは、酸化膜TI1と、酸化膜TI2とを有している。酸化膜TI1は、フローティングゲート電極FGの上面に接している。酸化膜TI2は、酸化膜TI1の上面と、フローティングゲート電極FGの側面と、半導体基板SBの表面とに接している。
【0020】
酸化膜TI1は、たとえばRTO(Rapid Thermal Oxidation)により形成されたシリコン酸化膜と、HTO(High Temperature Oxidation)により形成されたシリコン酸化膜との積層構造を有している。RTOは、熱酸化法の一種である。HTOは化学気相成長法(CVD法)の一種である。酸化膜TI1は、たとえば48Åの厚みを有している。
【0021】
酸化膜TI2は、たとえばHTOにより形成されたシリコン酸化膜である。酸化膜TI2は、たとえば139Åの厚みを有している。コントロールゲート電極CGは、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。
【0022】
コントロールゲート電極CGは、酸化膜TI1、TI1を介在してフローティングゲート電極FGの上面と対向している。またコントロールゲート電極CGは、酸化膜TI2を介在してフローティングゲート電極FGの側面および半導体基板SBの表面と対向している。半導体基板SBとコントロールゲート電極CGとの間に位置する酸化膜TI2は、ゲート酸化膜として機能する。コントロールゲート電極CGの側壁は、サイドウォール絶縁膜SWにより覆われている。
【0023】
第1トランジスタFT、第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各々は、絶縁ゲート型電界効果トランジスタであり、ゲート絶縁膜にシリコン酸化膜を採用したMOSトランジスタである。第1トランジスタFT、第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各々は、駆動電圧が互いに異なるように構成されている。
【0024】
第1トランジスタFTの駆動電圧は、第2トランジスタSTの駆動電圧よりも高く、第3トランジスタTTの駆動電圧よりも低い。第1トランジスタFTの駆動電圧はたとえば3.3Vである。第1トランジスタFTは、たとえばAD(Analog Digital)コンバータなどのアナログ回路のトランジスタとして用いられる。
【0025】
第2トランジスタSTの駆動電圧はたとえば1.5Vである。第2トランジスタSTは、たとえばコアトランジスタである。コアトランジスタとは、半導体装置内において最も駆動能力の高いトランジスタである。
【0026】
第3トランジスタTTの駆動電圧はたとえば5.0Vである。第3トランジスタTTは、たとえばIO(Input Output)インターフェースに用いられるトランジスタである。
【0027】
各トランジスタFT、ST、TTは、それぞれ異なる膜厚のゲート酸化膜GI1、GI2、GI3を有している。第2トランジスタSTにおけるゲート酸化膜GI2の膜厚は、第1トランジスタFTにおけるゲート酸化膜GI1の膜厚より小さい。第3トランジスタTTにおけるゲート酸化膜GI3の膜厚は、第1トランジスタFTにおけるゲート酸化膜GI1の膜厚より大きい。
【0028】
第1トランジスタFTは、1対の不純物領域IR1と、ゲート酸化膜GI1と、ゲート電極GE1とを有している。1対の不純物領域IR1の一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。1対の不純物領域IR1の各々は、高濃度領域HI1と、低濃度領域LI1とを有しており、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。1対の不純物領域IR1の各々は、半導体基板SBの表面に配置されている。1対の不純物領域IR1に挟まれる半導体基板SBの表面上にゲート酸化膜GI1を介在してゲート電極GE1が配置されている。ゲート電極GE1の側壁は、サイドウォール絶縁膜SWにより覆われている。
【0029】
ゲート酸化膜GI1は、たとえばシリコンよりなる半導体基板SBの表面を熱酸化することにより形成されたシリコン酸化膜である。ゲート酸化膜GI1は、たとえば75Åの厚みを有している。ゲート電極GE1は、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。
【0030】
第2トランジスタSTは、1対の不純物領域IR2と、ゲート酸化膜GI2と、ゲート電極GE2とを有している。1対の不純物領域IR2の一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。1対の不純物領域IR2の各々は、高濃度領域HI2と、低濃度領域LI2とを有しており、LDD構造を有している。1対の不純物領域IR2の各々は、半導体基板SBの表面に配置されている。1対の不純物領域IR2に挟まれる半導体基板SBの表面上にゲート酸化膜GI2を介在してゲート電極GE2が配置されている。ゲート電極GE2の側壁は、サイドウォール絶縁膜SWにより覆われている。
【0031】
ゲート酸化膜GI2は、たとえばシリコンよりなる半導体基板SBの表面を熱酸化することにより形成されたシリコン酸化膜である。ゲート酸化膜GI2は、たとえば27Åの厚みを有している。ゲート電極GE2は、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。
【0032】
第3トランジスタTTは、1対の不純物領域IR3と、ゲート酸化膜GI3と、ゲート電極GE3とを有している。1対の不純物領域IR3の一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。1対の不純物領域IR3の各々は、高濃度領域HI3と、低濃度領域LI3とを有しており、LDD構造を有している。1対の不純物領域IR3の各々は、半導体基板SBの表面に配置されている。1対の不純物領域IR3に挟まれる半導体基板SBの表面上にゲート酸化膜GI3を介在してゲート電極GE3が配置されている。ゲート電極GE3の側壁は、サイドウォール絶縁膜SWにより覆われている。
【0033】
ゲート酸化膜GI3は、酸化膜GI3aと、酸化膜GI3bとを有している。酸化膜GI3aは、半導体基板SBの表面に接している。酸化膜GI3bは、酸化膜GI3aの上面に接している。ゲート電極GE3は、酸化膜GI3bの上面に接している。
【0034】
酸化膜GI3aは、たとえばRTOにより形成されたシリコン酸化膜と、HTOにより形成されたシリコン酸化膜との積層構造を有している。酸化膜GI3aは、たとえば48Åの厚みを有している。酸化膜GI3bは、たとえばHTOにより形成されたシリコン酸化膜である。酸化膜GI3bは、たとえば139Åの厚みを有している。ゲート電極GE3は、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。
【0035】
図2は、図1の領域RM、RF、RS、RTを拡大して示す部分拡大断面図である。図2に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI1の界面は、メモリ領域MCRにおける半導体基板SBおよびカップリング酸化膜CIの界面よりも下側に位置している。メモリ領域MCRにおける半導体基板SBおよびカップリング酸化膜CIの界面と第1トランジスタ領域FTRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI1の界面との高低差は、第2トランジスタ領域STRにおけるゲート酸化膜GI2の厚みの44%より小さい。
【0036】
また第3トランジスタ領域TTRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI3の界面は、第1トランジスタ領域FTRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI1の界面よりも下側に位置している。第2トランジスタ領域STRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI2の界面は、第3トランジスタ領域TTRにおける半導体基板SBおよびゲート酸化膜GI3の界面よりも下側に位置している。
【0037】
<不揮発性半導体メモリMCの動作>
次に、図1に示す不揮発性半導体メモリMCの動作について説明する。
【0038】
図1に示されるように、データの書き込み時には、不純物領域IRaに比較して、不純物領域IRbが高電位とされる。これにより、フローティングゲート電極FG下のチャネルの不純物領域IRa側でホットエレクトロン(高エネルギー状態の電子)が発生する。このホットエレクトロンがカップリング酸化膜CIを通じてフローティングゲート電極FGに注入される。これによって、データの書き込みが行われる。
【0039】
データ消去時には、コントロールゲート電極CGに所定の電圧が印加される。これによりフローティングゲート電極FGに蓄積された電子が、トンネル酸化膜TIを通じてコントロールゲート電極CGへ引き抜かれる。これによって、データの消去が行なわれる。
【0040】
データ読み出し時には、コントロールゲート電極CGおよび不純物領域IRaに所定の電圧が印加される。このとき不純物領域IRaと不純物領域IRbとの間に電流(読み出し電流)が流れるか否かによりデータの読み出し判定が行われる。
【0041】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図3図12を用いて説明する。
【0042】
図3に示されるように、たとえば単結晶シリコンよりなる半導体基板SBが準備される。半導体基板SBの表面に、STI(Shallow Trench Isolation)が形成される。STIは、半導体基板SBの表面に溝を形成した後、その溝を絶縁膜により埋め込むことによって形成される。STIが形成された後、半導体基板SB内にウエルが形成される。この後、ウエットエッチングにより下敷酸化膜が除去される。
【0043】
下敷酸化膜が除去された後、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これによりメモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜COがたとえば100Åの厚みで形成される。シリコン酸化膜COは、不揮発性半導体メモリMCにおけるカップリング酸化膜CIを形成するための酸化膜(カップリング酸化膜形成用酸化膜)である。
【0044】
メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、シリコン酸化膜COの表面上に、導電膜CL1が成膜される。導電膜CLは、不揮発性半導体メモリMCにおけるフローティングゲート電極FGを形成するための導電膜(フローティングゲート電極形成用導電膜)である。導電膜CL1は、たとえば1000Åの厚みで形成される。導電膜CL1は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0045】
図4に示されるように、フォトレジストPR1が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCRおよび第1トランジスタ領域FTRの各々を覆うレジストパターンPR1が形成される。
【0046】
レジストパターンPR1をマスクとして、ドライエッチングが行なわれる。ドライエッチングにより第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて導電膜CL1が除去され、シリコン酸化膜COの表面が露出する。この後、レジストパターンPR1が酸により剥離除去される。
【0047】
図5に示されるように、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて露出したシリコン酸化膜COがエッチングにより除去される。これにより第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて、半導体基板SBの表面が露出する。
【0048】
図6に示されるように、半導体基板SBの表面上の全体に、RTOにより熱酸化が行なわれる。これによりメモリ領域MCRと各トランジスタ領域FTR、STR、TTRとの各々に、熱酸化によるシリコン酸化膜が形成される。また半導体基板SBの表面上の全体に、HTOによりシリコン酸化膜が堆積される。上記によりメモリ領域MCRと各トランジスタ領域FTR、STR、TTRとの各々に、RTOによるシリコン酸化膜とHTOによるシリコン酸化膜との積層構造よりなるシリコン酸化膜HO1が形成される。シリコン酸化膜HO1は、たとえば48Åの厚みで形成される。
【0049】
図7に示されるように、フォトレジストPR2が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCRの一部および各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々を覆うレジストパターンPR2が形成される。
【0050】
レジストパターンPR2をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、メモリ領域MCRにおいてシリコン酸化膜HO1が選択的に除去され、導電膜CL1が露出する。この後、ドライエッチングが行なわれる。このドライエッチングにより、露出した導電膜CL1が選択的に除去され、シリコン酸化膜COが露出する。この後、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、露出したシリコン酸化膜COが選択的に除去され、半導体基板SBの表面が露出する。
【0051】
これによりメモリ領域MCRにおいては、シリコン酸化膜COからカップリング酸化膜CIが形成され、導電膜CL1からフローティングゲート電極FGが形成され、シリコン酸化膜HO1からトンネル酸化膜の一部を構成するシリコン酸化膜TI1が形成される。この後、レジストパターンPR2が酸により剥離除去される。
【0052】
図8に示されるように、半導体基板SBの表面上の全体に、HTOによりシリコン酸化膜HO2が堆積される。シリコン酸化膜HO2は、たとえば139Åの厚みで形成される。
【0053】
図9に示されるように、フォトレジストPR3が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR3が形成される。
【0054】
レジストパターンPR3をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいてシリコン酸化膜HO2、HO1が選択的に除去され、導電膜CL1が露出する。この後、ドライエッチングが行なわれる。
【0055】
このドライエッチングは、たとえばケミカルドライエッチング(CDE:Chemical Dry Etching)により行なわれる。このドライエッチングにより、露出した導電膜CL1が選択的に除去され、シリコン酸化膜COが露出する。
【0056】
図10に示されるように、上記のドライエッチング時に、露出したシリコン酸化膜COの上層の一部もオーバエッチングされて除去される。このCDEのオーバエッチングを調整することにより、シリコン酸化膜COの残膜の厚みが、たとえば75Åに調整される。この後、レジストパターンPR3が酸により剥離除去される。
【0057】
図11に示されるように、フォトレジストPR4が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第1トランジスタ領域FTRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR4が形成される。
【0058】
レジストパターンPR4をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、第2トランジスタ領域STRにおいてシリコン酸化膜HO2、HO1が選択的に除去され、半導体基板SBの表面が露出する。この後、レジストパターンPR4が酸により剥離除去される。
【0059】
図12に示されるように、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これにより第2トランジスタ領域STRにおいて、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜OXがたとえば27Åの厚みで形成される。
【0060】
この後、メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、導電膜CL2が成膜される。導電膜CL2は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0061】
図13に示されるように、導電膜CL2が写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされる。これによりメモリ領域MCRにおいては、導電膜CLからコントロールゲート電極CGが形成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE1が形成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE2が形成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE3が形成される。
【0062】
またメモリ領域MCRにおいては、シリコン酸化膜TI1、TI2からトンネル酸化膜TIが構成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、シリコン酸化膜COからゲート酸化膜GI1が構成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、シリコン酸化膜OXからゲート酸化膜GI2が構成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、シリコン酸化膜HO1、HO2からシリコン酸化膜GI3a、GI3bよりなるゲート酸化膜GI3が構成される。
【0063】
この後、ソース領域およびドレイン領域を構成する不純物領域IRa、IRb、IR1、IR2、IR3などが形成されることにより、図1に示す本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0064】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0065】
本実施の形態においては図3に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、半導体基板SBの表面にシリコン酸化膜COが形成され、そのシリコン酸化膜COの上に図8に示されるようにシリコン酸化膜HO1、HO2(第1被エッチング膜)が形成される。この後、図9および図10に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、シリコン酸化膜HO1、HO2とシリコン酸化膜COの上層の一部とがエッチングにより除去される。これによりシリコン酸化膜COから第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1(図13)が形成される。
【0066】
このようにシリコン酸化膜COの上層の一部をエッチング除去することによりゲート酸化膜GI1の厚みが調整される。これにより、第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3とは別途にゲート酸化膜GI1の膜厚調整が可能となる。このため第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3の形成に大きな影響を与えることなく、ゲート酸化膜GI1を形成することが可能となる。
【0067】
また本実施の形態においては、図1に示されるように、不揮発性半導体メモリMC以外に、それぞれ駆動電圧が異なる3種以上のトランジスタFT、ST、TTが混在している。上記のとおり、第1トランジスタFTの駆動電圧はたとえば3.3Vであり、第2トランジスタSTの駆動電圧はたとえば1.5Vであり、第3トランジスタTTの駆動電圧はたとえば5.0Vである。このように1つのチップ内に第1トランジスタFTおよび第3トランジスタTTが混在することにより以下のメリットがある。
【0068】
5Vの駆動電圧を有する第3トランジスタTTだけで1チップ内のすべてのトランジスタが構成されると、ADコンバータなどのアナログ回路にも5Vの駆動電圧を有する第3トランジスタTTが用いられることになる。しかし当該アナログ回路は3Vで動作させるため、電圧低下により変換スピードが遅くなるという問題がある。
【0069】
一方、3Vの駆動電圧を有する第1トランジスタFTだけで1チップ内のすべてのトランジスタが構成されると、Li(リチウム)イオン電池の電圧が3.6Vを越えてしまう。このため、DCDC(Direct Current to Direct Current)コンバータを常に動作させる必要があり、待機時の電流が大きくなるという問題がある。
【0070】
また、5Vの駆動電圧を有する第3トランジスタTTだけで構成されたチップと、3Vの駆動電圧を有する第1トランジスタFTだけで構成されたチップとの2つのチップを準備すれば上記の問題は解決するが、コストが高くなる。
【0071】
本実施の形態では、5Vの駆動電圧を有する第3トランジスタTTと3Vの駆動電圧を有する第1トランジスタFTとが1つのチップ内に混在する。これにより、IOインターフェースの電圧は5Vの耐圧を持ち、Liイオン電池から直接電源供給が可能となり、待機時の電流が低減される。またADコンバータなどのアナログ回路と、3Vで使用するIOインターフェースとに3Vの駆動電圧を有する第1トランジスタFTが用いられることにより、3Vの電圧で最適な性能のADコンバータを実現することができる。また、これらのメリットが1チップで実現され、コスト的にも有利である。
【0072】
また本実施の形態によれば図9および図10に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおけるシリコン酸化膜HO2、HO1の除去はウエットエッチングにより行なわれ、シリコン酸化膜COの上層の一部の除去はドライエッチングにより行なわれる。これによりシリコン酸化膜HO1の除去はエッチングによるダメージが抑制され、シリコン酸化膜COの上層の除去は膜厚の制御性が良好となる。
【0073】
また本実施の形態によれば図8に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、シリコン酸化膜COとシリコン酸化膜HO1、HO2との間に、導電膜CL1が形成される。この導電膜CL1は、不揮発性半導体メモリMCにおけるフローティングゲート電極FGを形成するための導電膜である。これによりフローティングゲート電極FGを形成するための導電膜CL1をエッチングする際のオーバエッチングによりシリコン酸化膜COの上層の一部を除去することが可能となる。
【0074】
また本実施の形態によれば図9および図10に示されるように、第1トランジスタ領域FTRに形成されるシリコン酸化膜COは、不揮発性半導体メモリMCにおけるカップリング酸化膜CIを形成するための酸化膜である。これにより第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1を不揮発性半導体メモリMCのカップリング酸化膜CIと同じシリコン酸化膜から形成することができる。このためゲート酸化膜GI1の成膜時における数百℃以上の熱処理がカップリング酸化膜CIの形成とは別途に必要となることはない。
【0075】
また第1トランジスタFTを追加することによる、第1トランジスタFT以外の既存部分(不揮発性半導体メモリMC、第2トランジスタST、第3トランジスタTTRなど)の構造変化がほとんど無い。このため第1トランジスタFTが追加されても、不揮発性半導体メモリMCおよび他の素子の特性、信頼性が変動するリスクを低減することができる。
【0076】
また第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1が熱酸化膜として形成できるため、CVD法で形成する場合と比較して信頼性低下のリスクを低減することができる。
【0077】
また本実施の形態によれば図9および図10に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、シリコン酸化膜COの上層の一部を除去するためのドライエッチングはCDEである。CDEとは、放電室がエッチング室から離され、放電室で発生した長寿命の反応種がエッチング室に輸送される、いわゆる放電室分離型のエッチング方式である。この方式では、放電室から熱、光、プラズマなどがエッチング室に到達せず、イオンがエッチングに寄与することがほとんど無い。このため、被エッチング膜のエッチングによるダメージを抑制することができ、良好な膜質を有するゲート酸化膜GI1を得ることができる。
【0078】
(実施の形態2)
<半導体装置の構成>
実施の形態2における半導体装置の構成について図14および図15を用いて説明する。
【0079】
図14に示されるように、本実施の形態における半導体装置の構成は、不揮発性半導体メモリMCの構成において実施の形態1の構成と異なっている。本実施の形態においては、不揮発性半導体メモリMCは、たとえばスタックゲート型のフラッシュメモリである。
【0080】
不揮発性半導体メモリMCは、1対の不純物領域IRと、トンネル酸化膜TIと、フローティングゲート電極FGと、絶縁膜ILと、コントロールゲート電極CGとを有している。
【0081】
1対の不純物領域IRの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。1対の不純物領域IRは、半導体基板SBの表面に互いに距離を隔てて配置されている。半導体基板SBは、たとえば単結晶シリコンよりなっている。1対の不純物領域IRは、たとえばn型の不純物を半導体基板SBの表面に導入することにより構成されている。
【0082】
1対の不純物領域IRの各々は、高濃度領域HIと、低濃度領域LIとを有しており、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有していてもよい。高濃度領域HIは、低濃度領域LIよりも高いn型不純物濃度を有している。
【0083】
1対の不純物領域IRの間に挟まれた半導体基板SBの表面上にトンネル酸化膜TIを介在してフローティングゲート電極FGが配置されている。トンネル酸化膜TIは、たとえばシリコンよりなる半導体基板SBの表面を熱酸化することにより形成されたシリコン酸化膜である。トンネル酸化膜TIは、たとえば100Åの厚みを有している。
【0084】
フローティングゲート電極FGは、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。フローティングゲート電極FGは、たとえば1000Åの厚みを有している。フローティングゲート電極FG上には、絶縁膜ILを介在してコントロールゲート電極CGが配置されている。
【0085】
絶縁膜ILは、たとえば150Åの厚みを有している。コントロールゲート電極CGは、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。フローティングゲート電極FGおよびコントロールゲート電極CGの各側壁は、サイドウォール絶縁膜SWにより覆われている。
【0086】
図15に示されるように、メモリ領域MCRにおける絶縁膜ILは、シリコン酸化膜OX1と、シリコン窒化膜NIと、シリコン酸化膜OX2との3層からなる積層構造を有している。シリコン酸化膜OX1は、フローティングゲート電極FGの上面に接している。シリコン窒化膜NIは、シリコン酸化膜OX1の上面に接している。シリコン酸化膜OX2は、シリコン窒化膜NIの上面に接している。
【0087】
なお本実施の形態における上記以外の構成は実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0088】
<不揮発性半導体メモリMCの動作>
次に、図14に示す不揮発性半導体メモリMCの動作について説明する。
【0089】
図14に示されるように、データの書き込み時には、1対の不純物領域IRの一方(ソース)に比較して、1対の不純物領域IRの他方(ドレイン)が高電位とされる。これにより、ドレイン近傍の電界が強まり、電子が加速されるため、ホットエレクトロンが発生する。このホットエレクトロンがトンネル酸化膜TIを通じてフローティングゲート電極FGに注入される。これによって、データの書き込みが行われる。
【0090】
データ消去時には、1対の不純物領域IRの一方(ソース)が高電位とされる。これにより1対の不純物領域IRの一方(ソース)とフローティングゲート電極FGとの間に高電界が加わり、ファウラーノルドハイム・トンネル効果により、フローティングゲート電極FGに蓄積された電子が、トンネル酸化膜TIを通じて1対の不純物領域IRの一方(ソース)へ引き抜かれる。これによって、データの消去が行なわれる。
【0091】
データ読み出し時には、1対の不純物領域IR間に電圧を加え、コントロールゲート電極CGに所定の電圧が印加される。このとき1対の不純物領域IRの間に電流(読み出し電流)が流れるか否かによりデータの読み出し判定が行われる。
【0092】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図16図23を用いて説明する。
【0093】
図16に示されるように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、半導体基板SBが準備され、半導体基板SBにSTIおよびウエルが形成される。この後、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これによりメモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜OXAがたとえば100Åの厚みで形成される。シリコン酸化膜OXAは、不揮発性半導体メモリMCにおけるトンネル酸化膜TIを形成するための酸化膜(トンネル酸化膜形成用酸化膜)である。
【0094】
メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、シリコン酸化膜OXAの表面上に、導電膜CL1が成膜される。導電膜CL1は、不揮発性半導体メモリMCにおけるフローティングゲート電極FGを形成するための導電膜(フローティングゲート電極形成用導電膜)である。導電膜CL1は、たとえば1000Åの厚みで形成される。導電膜CL1は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0095】
メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、導電膜CL1の表面上に、シリコン酸化膜OX1、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX2が、この順で形成される。
【0096】
図17に示されるように、フォトレジストPR11が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第1トランジスタ領域FTRおよび第2トランジスタ領域STRの各々を覆うレジストパターンPR11が形成される。
【0097】
レジストパターンPR11をマスクとして、ドライエッチングが行なわれる。ドライエッチングにより第3トランジスタ領域TTRにおいて、シリコン酸化膜OX2、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX1が順に除去される。この後、ドライエッチングにより導電膜CL1が除去される。この後、ウエットエッチングによりシリコン酸化膜OXAが除去される。これにより第3トランジスタ領域TTRにおいて、半導体基板SBの表面が露出する。この後、レジストパターンPR11が酸により剥離除去される。
【0098】
図18に示されるように、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これにより第3トランジスタ領域TTRにおいて、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜HO3がたとえば150Åの厚みで形成される。
【0099】
図19に示されるように、フォトレジストPR12が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR12が形成される。
【0100】
レジストパターンPR12をマスクとして、ドライエッチングが行なわれる。このドライエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいて、シリコン酸化膜OX2、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX1が順に除去され、導電膜CL1が露出する。この後、ドライエッチングが行なわれる。
【0101】
図20に示されるように、上記のドライエッチングは、たとえばCDEにより行なわれる。このドライエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいて、露出した導電膜CL1が選択的に除去され、シリコン酸化膜OXAが露出する。
【0102】
上記のドライエッチング時に、露出したシリコン酸化膜OXAの上層の一部もオーバエッチングされて除去される。このCDEのオーバエッチングを調整することにより、シリコン酸化膜OXAの残膜の厚みが、たとえば75Åに調整される。この後、レジストパターンPR12が酸により剥離除去される。
【0103】
図21に示されるように、フォトレジストPR13が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第1トランジスタ領域FTRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR13が形成される。
【0104】
レジストパターンPR13をマスクとして、ドライエッチングが行なわれる。ドライエッチングにより第2トランジスタ領域STRにおいて、シリコン酸化膜OX2、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX1が順に除去される。この後、ドライエッチングにより導電膜CL1が除去される。この後、ウエットエッチングによりシリコン酸化膜OXAが除去される。これにより第2トランジスタ領域STRにおいて、半導体基板SBの表面が露出する。この後、レジストパターンPR13が酸により剥離除去される。
【0105】
図22に示されるように、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これにより第2トランジスタ領域STRにおいて、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜OXがたとえば27Åの厚みで形成される。
【0106】
この後、メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、導電膜CL2が成膜される。導電膜CL2は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0107】
図23に示されるように、導電膜CL2が写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされる。これによりメモリ領域MCRにおいては、導電膜CL2からコントロールゲート電極CGが形成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE1が形成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE2が形成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE3が形成される。
【0108】
またメモリ領域MCRにおいては、シリコン酸化膜OX2、シリコン窒化膜NI、シリコン酸化膜OX1、導電膜CL1およびシリコン酸化膜OXAが選択的に除去される。これによりシリコン酸化膜OX2、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX1から絶縁膜ILが形成される。また導電膜CL1からフローティングゲート電極FGが形成される。
【0109】
またメモリ領域MCRにおいては、シリコン酸化膜OXAからトンネル酸化膜TIが構成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、シリコン酸化膜OXAからゲート酸化膜GI1が構成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、シリコン酸化膜OXからゲート酸化膜GI2が構成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、シリコン酸化膜HO3からゲート酸化膜GI3が構成される。
【0110】
この後、ソース領域およびドレイン領域を構成する不純物領域IR、IR1、IR2、IR3などが形成されることにより、図14に示す本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0111】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0112】
本実施の形態においては図16に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、半導体基板SBの表面にシリコン酸化膜OXAが形成され、シリコン酸化膜OXAの上に絶縁膜OX1、NI、OX2(第1被エッチング膜)が形成される。この後、図19および図20に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、絶縁膜OX1、NI、OX2とシリコン酸化膜OXAの上層の一部とがエッチングにより除去される。これによりシリコン酸化膜OXAから第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1が形成される。
【0113】
このようにシリコン酸化膜OXAの上層の一部をエッチング除去することによりゲート酸化膜GI1の厚みが調整される。これにより、第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3とは別途にゲート酸化膜GI1の膜厚調整が可能となる。このため第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3の形成に大きな影響を与えることなく、ゲート酸化膜GI1を形成することが可能となる。
【0114】
また本実施の形態によれば図19および図20に示されるように、絶縁膜OX1、NI、OX2の除去とシリコン酸化膜OXAの上層の一部の除去との各々はドライエッチングにより行なわれる。これにより当該ドライエッチングによるシリコン酸化膜OXAの残膜の厚み制御が容易となる。
【0115】
また本実施の形態によれば、上記以外に、実施の形態1と同様の効果も得られる。
(実施の形態3)
<半導体装置の構成>
実施の形態3における半導体装置の構成について図24および図25を用いて説明する。
【0116】
図24および図25に示されるように、本実施の形態における半導体装置の構成は、不揮発性半導体メモリMCの構成において実施の形態1の構成と異なっている。本実施の形態においては、不揮発性半導体メモリMCは、たとえば消去ゲート電極EGと選択ゲート電極WGとを有するスプリットゲート型のフラッシュメモリである。
【0117】
不揮発性半導体メモリMCは、ソース領域SRと、ドレイン領域DRと、カップリング酸化膜CIと、フローティングゲート電極FGと、絶縁膜ILと、コントロールゲート電極CGと、絶縁膜HMとを有している。不揮発性半導体メモリMCは、トンネル酸化膜TIと、消去ゲート電極EGと、ゲート酸化膜GIと、選択ゲート電極WGとをさらに有している。
【0118】
ソース領域SRとドレイン領域DRとは、半導体基板SBの表面に互いに距離を隔てて配置されている。半導体基板SBは、たとえば単結晶シリコンよりなっている。ソース領域SRおよびドレイン領域DRの各々は、たとえばn型の不純物を半導体基板SBの表面に導入することにより構成されている。
【0119】
ドレイン領域DRは、高濃度領域HIと、低濃度領域LIとを有しており、LDD構造を有していてもよい。高濃度領域HIは、低濃度領域LIよりも高いn型不純物濃度を有している。
【0120】
ソース領域SRとドレイン領域DRとの間に挟まれた半導体基板SBの表面上にカップリング酸化膜CIを介在してフローティングゲート電極FGが配置されている。カップリング酸化膜CIは、たとえばシリコンよりなる半導体基板SBの表面を熱酸化することにより形成されたシリコン酸化膜である。カップリング酸化膜CIは、たとえば100Åの厚みを有している。
【0121】
フローティングゲート電極FGは、たとえばドープドポリシリコンよりなっている。フローティングゲート電極FGは、たとえば280Åの厚みを有している。フローティングゲート電極FG上には、絶縁膜ILを介在してコントロールゲート電極CGが配置されている。コントロールゲート電極CGの上には、製造プロセスにおいてハードマスクとして機能する絶縁膜HMが配置されている。
【0122】
フローティングゲート電極FGのソース領域SR側の側壁は、コントロールゲート電極CGのソース領域SR側の側壁よりもソース領域SR側に突き出している。フローティングゲート電極FGおよびコントロールゲート電極CGの各ドレイン領域DR側の側壁と、コントロールゲート電極CGのソース領域SR側の側壁とは、サイドウォール絶縁膜SW1により覆われている。
【0123】
消去ゲート電極EGは、半導体基板SBの表面上にトンネル酸化膜TIを介在して配置されている。消去ゲート電極EGは、フローティングゲート電極FGのソース領域SR側の側面および上面とトンネル酸化膜TIを介在して対向している。消去ゲート電極EGは、コントロールゲート電極CGのソース領域SR側の側面とサイドウォール絶縁膜SWおよびトンネル酸化膜TIとを介在して対向している。
【0124】
選択ゲート電極WGは、半導体基板SBの表面上にゲート酸化膜GIを介在して配置されている。選択ゲート電極WGは、フローティングゲート電極FGおよびコントロールゲート電極CGの各々のドレイン領域DR側の側面とサイドウォール絶縁膜SW1を介在して対向している。選択ゲート電極WGのドレイン領域DR側の側面は、サイドウォール絶縁膜SW2により覆われている。
【0125】
なお本実施の形態における上記以外の構成は実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0126】
<不揮発性半導体メモリMCの動作>
次に、図24に示す不揮発性半導体メモリMCの動作について説明する。
【0127】
図24に示されるように、データの書き込み時には、ソース領域SR、コントロールゲート電極CG、選択ゲート電極WGおよびドレイン領域DRのそれぞれに所定の電圧が印加される。これによりドレイン領域DRからフローティングゲート電極FGへ電子が注入される。これによってデータの書き込みが行われる。
【0128】
データの消去時には、消去ゲート電極EGが高電位とされる。これによりフローティングゲート電極FGに蓄積された電子が、トンネル酸化膜TIを通じて消去ゲート電極EGへ引き抜かれる。これによってデータの消去が行なわれる。
【0129】
データの読み出し時には、コントロールゲート電極CG、選択ゲート電極WGおよびドレイン領域DRの各々に所定の電圧が印加される。これにより、ドレイン領域DRとソース領域SRとの間に電流(読み出し電流)が流れるか否かによりデータの読み出しが行なわれる。
【0130】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図26図36を用いて説明する。
【0131】
図26に示されるように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、半導体基板SBが準備され、半導体基板SBにSTIおよびウエルが形成される。この後、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これによりメモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜COがたとえば100Åの厚みで形成される。シリコン酸化膜COは、不揮発性半導体メモリMCにおけるカップリング酸化膜CIを形成するための酸化膜(カップリング酸化膜形成用酸化膜)である。
【0132】
メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、シリコン酸化膜COの表面上に、導電膜CL1が成膜される。導電膜CL1は、不揮発性半導体メモリMCにおけるフローティングゲート電極FGを形成するための導電膜(フローティングゲート電極形成用導電膜)である。導電膜CL1は、たとえば280Åの厚みで形成される。導電膜CL1は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0133】
この後、フォトレジストPR21が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCRおよび第1トランジスタ領域FTRの各々を覆うレジストパターンPR21が形成される。
【0134】
レジストパターンPR21をマスクとして、ドライエッチングが行なわれる。ドライエッチングにより第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて導電膜CL1が除去され、シリコン酸化膜COの表面が露出する。この後、レジストパターンPR21が酸により剥離除去される。
【0135】
図27に示されるように、フォトレジストPR22が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR22が形成される。
【0136】
レジストパターンPR22をマスクとして、第1トランジスタ領域FTRにおいて、導電膜CL1およびシリコン酸化膜CO越しに不純物が半導体基板SBに注入される。これにより半導体基板SBにウエル領域が形成される。この後、レジストパターンPR22が酸により剥離除去される。
【0137】
この後、図には表われていないが、メモリ領域MCRにおいて導電膜CL1が選択的に除去されることにより、導電膜CL1からフローティングゲート電極FGが形成される。またフローティングゲート電極FGの真下に位置するシリコン酸化膜COからカップリング酸化膜CIが構成される。またイオン注入などにより、半導体基板SBの表面にソース領域SR(図24)が形成される。
【0138】
図28に示されるように、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて露出したシリコン酸化膜COがエッチングにより除去される。これにより第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRにおいて、半導体基板SBの表面が露出する。
【0139】
図29に示されるように、半導体基板SBの表面上の全体に、RTOにより熱酸化が行なわれる。これによりメモリ領域MCRと各トランジスタ領域FTR、STR、TTRとの各々に、熱酸化によるシリコン酸化膜が形成される。また半導体基板SBの表面上の全体に、HTOによりシリコン酸化膜が堆積される。以上によりメモリ領域MCRと各トランジスタ領域FTR、STR、TTRとの各々に、RTOによるシリコン酸化膜とHTOによるシリコン酸化膜との積層構造よりなるシリコン酸化膜HO1が形成される。シリコン酸化膜HO1は、たとえば48Åの厚みで形成される。
【0140】
図30に示されるように、フォトレジストPR23が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これにより各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々を覆うレジストパターンPR23が形成される。
【0141】
レジストパターンPR23をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、メモリ領域MCRにおいてシリコン酸化膜HO1が選択的に除去され、フローティングゲート電極FGが露出する。この後、レジストパターンPR23が酸により剥離除去される。
【0142】
図31に示されるように、半導体基板SBの表面上の全体に、HTOによりシリコン酸化膜HO2が堆積される。シリコン酸化膜HO2は、たとえば139Åの厚みで形成される。
【0143】
図32に示されるように、フォトレジストPR24が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第2トランジスタ領域STRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR24が形成される。
【0144】
レジストパターンPR24をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいてシリコン酸化膜HO2、HO1が選択的に除去され、導電膜CL1が露出する。この後、ドライエッチングが行なわれる。
【0145】
このドライエッチングは、たとえばCDEにより行なわれる。このドライエッチングにより、露出した導電膜CL1が選択的に除去され、シリコン酸化膜COが露出する。
【0146】
図33に示されるように、上記のドライエッチング時に、露出したシリコン酸化膜COの上層の一部もオーバエッチングされて除去される。このCDEのオーバエッチングを調整することにより、シリコン酸化膜COの残膜の厚みが、たとえば75Åに調整される。この後、レジストパターンPR24が酸により剥離除去される。
【0147】
図34に示されるように、フォトレジストPR25が半導体基板SBの表面上の全体に塗布された後、選択的に露光・現像される。これによりメモリ領域MCR、第1トランジスタ領域FTRおよび第3トランジスタ領域TTRの各々を覆うレジストパターンPR25が形成される。
【0148】
レジストパターンPR25をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、第2トランジスタ領域STRにおいてシリコン酸化膜HO2、HO1が選択的に除去され、半導体基板SBの表面が露出する。この後、レジストパターンPR25が酸により剥離除去される。
【0149】
図35に示されるように、半導体基板SBの表面が熱酸化される。これにより第2トランジスタ領域STRにおいて、半導体基板SBの表面に、熱酸化膜よりなるシリコン酸化膜OXがたとえば27Åの厚みで形成される。
【0150】
この後、メモリ領域MCRおよび各トランジスタ領域FTR、STR、TTRの各々において、導電膜CL2が成膜される。導電膜CL2は、たとえばドープドポリシリコンよりなる。
【0151】
図36に示されるように、導電膜CL2が写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされる。これによりメモリ領域MCRにおいては、導電膜CL2から消去ゲート電極EGが形成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE1が形成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE2が形成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、導電膜CL2からゲート電極GE3が形成される。
【0152】
またメモリ領域MCRにおいては、シリコン酸化膜HO2からトンネル酸化膜TIが構成される。第1トランジスタ領域FTRにおいては、シリコン酸化膜COからゲート酸化膜GI1が構成される。第2トランジスタ領域STRにおいては、シリコン酸化膜OXからゲート酸化膜GI2が構成される。第3トランジスタ領域TTRにおいては、シリコン酸化膜HO1、HO2からシリコン酸化膜GI3a、GI3bよりなるゲート酸化膜GI3が構成される。
【0153】
この後、図には表われていないが、メモリ領域MCRにおいては、導電膜CL2の残膜から選択ゲート電極WGが形成される。またメモリ領域MCRにおいてはドレイン領域DRが形成され、各トランジスタ領域FTR、STR、TTRにおいてはソース領域およびドレイン領域を構成する不純物領域IR1、IR2、IR3が形成されることにより、図24に示す本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0154】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0155】
本実施の形態においては図26に示されるように、第1トランジスタ領域FTRにおいて、半導体基板SBの表面にシリコン酸化膜COが形成され、シリコン酸化膜COの上に図31に示されるようにシリコン酸化膜HO1、HO2(第1被エッチング膜)が形成される。この後、図32および図33に示されるように、シリコン酸化膜HO1、HO2とシリコン酸化膜COの上層の一部とがエッチングにより除去される。これによりシリコン酸化膜COから第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1が形成される。
【0156】
このようにシリコン酸化膜COの上層の一部をエッチング除去することによりゲート酸化膜GI1の厚みが調整される。これにより、第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3とは別途にゲート酸化膜GI1の膜厚調整が可能となる。このため第2トランジスタSTおよび第3トランジスタTTの各ゲート酸化膜GI2、GI3の形成に大きな影響を与えることなく、ゲート酸化膜GI1を形成することが可能となる。
【0157】
また本実施の形態によれば、上記以外に、実施の形態1と同様の効果も得られる。
<変形例1>
実施の形態3においては、第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1は、導電膜CL1のエッチングにおけるオーバーエッチングのみにより膜厚制御されたが、オーバーエッチングとウエットエッチングとの組合せにより膜厚制御されてもよい。
【0158】
本変形例の製造方法は、図26図32に示す実施の形態3の工程と同様の工程を経る。ただし本変形例の製造方法では、図32に示す導電膜CL1のCDEによるエッチング工程において、シリコン酸化膜COの残膜の安定化のため、シリコン酸化膜に対する選択比が可能な限り高く設定される。これにより導電膜CL1をエッチング除去する際のシリコン酸化膜COのオーバエッチングによる膜減り量が減少する。
【0159】
図37に示されるように、上記によりCDEによるエッチング後のシリコン酸化膜COの残膜の厚みが、たとえば90Åとされる。
【0160】
図38に示されるように、この後、レジストパターンPR24をマスクとして、ウェットエッチングが行なわれる。このウェットエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいてシリコン酸化膜COが選択的に除去される。これによりシリコン酸化膜COの最終的な厚みが、たとえば50Åに調整される。
【0161】
この後、本変形例の製造方法は、図34図36に示す実施の形態3と同様の工程を経ることにより、図24に示す半導体装置と同様の構成を有する半導体装置が製造される。
【0162】
本変形例によれば、上記のように第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1(CO)の最終的な厚みが50Åに調整される。このため駆動電圧が3.3Vのトランジスタに代えて駆動電圧が2.5Vのトランジスタを第1トランジスタFTとして用いることができる。
【0163】
<変形例2>
また実施の形態3においては、第1トランジスタFTのゲート酸化膜GI1は、ドライエッチングにより膜厚制御されたが、ウエットエッチングにより膜厚制御されてもよい。
【0164】
本変形例の製造方法は、図26図32に示す実施の形態3の工程と同様の工程を経る。ただし本変形例の製造方法では、図32に示す導電膜CL1のCDEによるエッチング工程において、導電膜CL1のエッチングの途中でCDEが停止される。
【0165】
図39に示されるように、上記CDEによるエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいて、導電膜CL1の下部を残すように、導電膜CL1の上部のみが除去される。これにより、導電膜CL1の下部がシリコン酸化膜CO上に薄く残存する。この後、レジストパターンPR24が酸により剥離除去され、その後にウエットエッチングが行なわれる。
【0166】
ウエットエッチングは、高温DAPM(Dilute Ammonia hydrogen Peroxide Mixture)を用いて行なわれる。高温DAPMは、シリコン酸化膜HO2の削れ量を最小にするため、シリコン酸化膜HO2との選択比が高い条件とされる。高温DAPMは、たとえばNH4OH:H22:H2O=1:10:400とされ、65℃の温度とされる。
【0167】
このウエットエッチングにより、第1トランジスタ領域FTRにおいて、導電膜CL1の残膜(下部)とシリコン酸化膜COの上層の一部とが除去される。
【0168】
図40に示されるように、上記のウエットエッチングにより、シリコン酸化膜COの厚みが、たとえば75Åに調整される。
【0169】
この後、本変形例の製造方法は、図34図36に示す実施の形態3と同様の工程を経ることにより、図24に示す半導体装置と同様の構成を有する半導体装置が製造される。
【0170】
本変形例によれば、上記のようにウエットエッチングによってシリコン酸化膜COの厚みが調整されるため、エッチングによるダメージが少ない良質なゲート酸化膜GI1を得ることができる。
【0171】
なお上記においては不純物領域IR、IR1、IR2、IR3、IRa、IRbがn型の不純物領域である場合について説明したが、p型の不純物領域であってもよい。また不揮発性半導体メモリMCの構成は上記に限定されず、電源を供給しなくても記憶を保持できるメモリであればよい。
【0172】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0173】
CG コントロールゲート電極、CI カップリング酸化膜、CL,CL1,CL2 導電膜、CO,GI3a,HO1,HO2,HO3,OX,OX1,OX2,OXA,TI1 シリコン酸化膜、DR ドレイン領域、EG 消去ゲート電極FT 第1トランジスタ、FTR 第1トランジスタ領域、GE1,GE2,GE3 ゲート電極、GI,GI1,GI2,GI3 ゲート酸化膜、GI3a,GI3b,TI1,TI2,OX1,OX2 シリコン酸化膜、HI,HI1,HI2,HI3 高濃度領域、HM,IL 絶縁膜、IR,IR1,IR2,IR3,IRa,IRb 不純物領域、LI,LI1,LI2,LI3 低濃度領域、MC 不揮発性半導体メモリ、MCR メモリ領域、NI シリコン窒化膜、PR1,PR2,PR3,PR4,PR11,PR12,PR13,PR21,PR22,PR23,PR24,PR25 レジストパターン、SB 半導体基板、SR ソース領域、ST 第2トランジスタ、STR 第2トランジスタ領域、SW,SW1,SW2 サイドウォール絶縁膜、TI トンネル酸化膜、TT 第3トランジスタ、TTR 第3トランジスタ領域、WG 選択ゲート電極。
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