(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20240612BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
G06Q30/015
G06Q30/0601 320
(21)【出願番号】P 2021143088
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】中尾 優真
(72)【発明者】
【氏名】吉原 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慎也
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 智基
(72)【発明者】
【氏名】小林 亜令
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-042814(JP,A)
【文献】特開2009-014501(JP,A)
【文献】特開昭63-288683(JP,A)
【文献】国際公開第2021/161750(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/079448(WO,A1)
【文献】特開2006-227862(JP,A)
【文献】特開2017-204116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作品と、前記作品を構成する素材と、を関連付けて記憶する作品データベースを記憶する記憶部と、
前記作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の前記素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得する取得部と、
前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定する第1特定部と、
前記第1特定部が特定した前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付ける関連付け部と、
前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付ける追跡部と、
前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付ける受付部と、
前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定する第2特定部と、
第2特定部が特定した前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定する第3特定部と、
前記作品と前記第3特定部が特定した前記オブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて前記作品データベースに記憶させる記憶制御部と、
を有する、データ処理装置。
【請求項2】
前記追跡部は、前記作品の制作過程において、一つの前記オブジェクトが複数のサブオブジェクトに分離されたかどうかを判定し、
前記関連付け部は、前記オブジェクトが前記複数のサブオブジェクトに分離された場合、1以上の分離後のサブオブジェクトそれぞれと、分離前のオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報と、を関連付ける、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記追跡部は、前記作品の制作過程において、複数の前記オブジェクトが結合されたか否かを判定し、
前記関連付け部は、複数の前記オブジェクトが結合された場合、結合後のオブジェクトと、結合前の複数の前記オブジェクトそれぞれに関連付けられた前記素材識別情報と、を関連付ける、
請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
端末に画面を表示させる表示制御部を、さらに有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、前記作品を制作する制作者が操作する端末である制作者端末より、前記素材識別情報が含まれる関連付け依頼をさらに受け付け、
前記表示制御部は、前記素材識別情報と関連付ける前記オブジェクトを選択する画面を前記制作者端末に表示させ、
前記関連付け部は、選択された前記オブジェクトと、前記素材識別情報と、を関連付ける、
請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記素材と、前記素材に関するメタデータと、を関連付けて記憶する素材データベースをさらに記憶し、
前記表示制御部は、素材を提供する提供者が、提供する前記素材と、前記素材に関するメタデータを登録するための画面を提供者が操作する提供者端末に表示させ、
前記記憶制御部は、登録された前記素材の素材識別情報と、前記提供者が入力した前記素材に関するメタデータと、を関連付けて素材データベースに記憶させる、
請求項4又は5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記素材と、前記素材に関するメタデータと、前記素材の提供者と、を関連付けた素材データベースをさらに記憶し、
前記受付部は、ユーザが操作するユーザ端末より前記作品に関連付けられた前記メタデータを表示する表示依頼をさらに受け付け、
前記表示制御部は、前記表示依頼を受け付けると、前記作品に関連付けられた前記素材の提供者と前記表示依頼の送信元のユーザが同一である場合に、前記作品に関連付けられた前記素材に関するメタデータを前記ユーザ端末に表示させるよう制御する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得するステップと、
前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定するステップと、
特定された前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付けるステップと、
前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付けるステップと、
前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付けるステップと、
前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定するステップと、
特定された前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定するステップと、
前記作品と特定された前記作品を構成するオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて、記憶部が記憶する作品データベースに記憶させるステップと、
を有する、データ処理方法。
【請求項9】
コンピュータに実行させる、
作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得するステップと、
前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定するステップと、
特定された前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付けるステップと、
前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付けるステップと、
前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付けるステップと、
前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定するステップと、
特定された前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定するステップと、
前記作品と特定された前記作品を構成するオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて、記憶部が記憶する作品データベースに記憶させるステップと、
を有する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不用品を使用して作品を制作する活動であるいわゆるアップサイクル活動の需要が高まりつつある。特許文献1には、素材を出品する販売者及び購入者の間における電子商取引を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、特許文献1に係るシステムを利用することにより、出品されている複数の素材の中から作品に使用する素材を探すことができる。ところで、素材を提供する提供者と、素材を活用した作品を制作する制作者と、作品の制作者とをマッチングさせるプラットフォームを提供することでアップサイクル活動を拡大していくことが考えられる。
【0005】
ここで、アップサイクル活動を拡大していくためには、どのような素材からどのような作品が制作されたかを記憶し、プラットフォームのユーザが閲覧できることが重要である。このような作品と素材とを関連付ける情報は、制作者の記憶を頼りに手動でシステムに登録されることとなるが、登録作業の失念や制作者の記憶違いにより、作品と素材とを正確に関連付けられない問題が発生しうる。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、制作された作品と作品に用いられた素材とを関連付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のデータ処理装置においては、作品と、前記作品を構成する素材と、を関連付けて記憶する作品データベースを記憶する記憶部と、前記作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の前記素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得する取得部と、前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定する第1特定部と、前記第1特定部が特定した前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付ける関連付け部と、前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付ける追跡部と、前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付ける受付部と、前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定する第2特定部と、第2特定部が特定した前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定する第3特定部と、前記作品と前記第3特定部が特定した前記オブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて前記作品データベースに記憶させる記憶制御部と、を有する。
【0008】
前記追跡部は、前記作品の制作過程において、一つの前記オブジェクトが複数のサブオブジェクトに分離されたかどうかを判定し、前記関連付け部は、前記オブジェクトが前記複数のサブオブジェクトに分離された場合、1以上の分離後のサブオブジェクトそれぞれと、分離前のオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報と、を関連付けてもよい。
【0009】
前記追跡部は、前記作品の制作過程において、複数の前記オブジェクトが結合されたか否かを判定し、前記関連付け部は、複数の前記オブジェクトが結合された場合、結合後のオブジェクトと、結合前の複数の前記オブジェクトそれぞれに関連付けられた前記素材識別情報と、を関連付けてもよい。
【0010】
前記データ処理装置は、端末に画面を表示させる表示制御部を、さらに有していてもよい。
【0011】
前記受付部は、前記作品を制作する制作者が操作する端末である制作者端末より、前記素材識別情報が含まれる関連付け依頼をさらに受け付け、前記表示制御部は、前記素材識別情報と関連付ける前記オブジェクトを選択する画面を前記制作者端末に表示させ、前記関連付け部は、選択された前記オブジェクトと、前記素材識別情報と、を関連付けてもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記素材と、前記素材に関するメタデータと、を関連付けて記憶する素材データベースをさらに記憶し、前記表示制御部は、素材を提供する提供者が、提供する前記素材と、前記素材に関するメタデータを登録するための画面を提供者が操作する提供者端末に表示させ、前記記憶制御部は、登録された前記素材の素材識別情報と、前記提供者が入力した前記素材に関するメタデータと、を関連付けて素材データベースに記憶させてもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記素材と、前記素材に関するメタデータと、前記素材の提供者と、を関連付けた素材データベースをさらに記憶し、前記受付部は、ユーザが操作するユーザ端末より前記作品に関連付けられた前記メタデータを表示する表示依頼をさらに受け付け、前記表示制御部は、前記表示依頼を受け付けると、前記作品に関連付けられた前記素材の提供者と前記表示依頼の送信元のユーザが同一である場合に、前記作品に関連付けられた前記素材に関するメタデータを前記ユーザ端末に表示させるよう制御してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様のデータ処理方法においては、コンピュータが実行する、作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得するステップと、前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定するステップと、特定された前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付けるステップと、前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付けるステップと、前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付けるステップと、前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定するステップと、特定された前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定するステップと、前記作品と特定された前記作品を構成するオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて、記憶部が記憶する作品データベースに記憶させるステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに実行させる、作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置により前記作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された前記制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得するステップと、前記3次元時系列情報に基づいて、前記制作場所に配置された前記素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及び前記オブジェクトが配置された位置を特定するステップと、特定された前記オブジェクトと、前記素材を識別する素材識別情報と、を関連付けるステップと、前記3次元時系列情報に含まれる複数の前記オブジェクトのうち同一の素材に対応する前記オブジェクトを対応付けるステップと、前記作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付けるステップと、前記完了情報が入力された場合、前記3次元時系列情報に基づいて前記作品が占有する領域を特定するステップと、特定された前記作品が占有する領域と、前記完了情報の入力時点において前記オブジェクトが、配置されていた位置とに基づいて、前記作品を構成する前記オブジェクトを特定するステップと、前記作品と特定された前記作品を構成するオブジェクトに関連付けられた前記素材識別情報とを関連付けて、記憶部が記憶する作品データベースに記憶させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制作された作品と作品に用いられた素材とを関連付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】データ処理システムSの構成を示す図である。
【
図2】データ処理システムSのユースケースを説明する図である。
【
図3】データ処理装置1の動作の概要を説明する図である。
【
図4】データ処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図5】記憶部12が記憶する作品データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】記憶部12が記憶する素材データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】素材が分離された場合のデータ処理装置1の動作の一例を示す図である。
【
図9】素材が結合された場合のデータ処理装置1の動作の一例を示す図である。
【
図10】データ処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本実施の形態において前提となるデータ処理システムSの概要]
まず、本実施の形態において前提となるデータ処理システムSの概要について説明する。
図1は、データ処理システムSの構成を示す図である。データ処理システムSは、提供者が不用品を素材として出品し、制作者が出品された素材を活用して制作した作品の提供を仲介するサービスを提供するためのシステムである。
【0019】
提供者は、素材を提供するユーザである。素材は、作品を制作するための材料であり、データ処理システムSにおいて取引される。素材は、例えば、提供者にとって不要となった不用品又は廃棄物等である。素材は、使用可能ではあるが提供者にとって不要となった素材(例えば、壊れていない素材)であってもよいし、使用不能な素材(例えば、壊れている素材)であってもよい。素材は、例えば、家具、電化製品、食器又は玩具等である。
【0020】
制作者は、廃材を含む材料を使用して作品を制作するアーティストであり、依頼者による作品の制作の依頼に応じて、当該作品を制作する。依頼者は、制作者に作品の制作を依頼するユーザである。以下では提供者、制作者、依頼者はいずれもデータ処理システムSのユーザであるため、これらをまとめてユーザという場合がある。作品は、制作者が素材をアップサイクルして制作され、データ処理システムSにおいて取引される商品である。
【0021】
オークションをはじめとする個人間商取引では、商品価値を有する素材(例えば、壊れていない使用可能な素材等)は流通し得るが、商品価値を有しない素材(例えば、壊れている使用不能な素材、コーヒーかす、大豆かす及び卵の殻等のような生ごみ等)は流通し得えない。そのため、商品価値を有しない素材においては、アップサイクル活動における作品に使用することができるにもかかわらず、廃棄されてしまうという問題があった。
【0022】
そこで、データ処理システムSは、このような商品価値を有しない素材を含む素材を流通させ、当該素材を使用して制作された作品を提供するサービスを提供する。データ処理システムSは、データ処理装置1、依頼者端末2、提供者端末3及び制作者端末4を有する。
【0023】
データ処理装置1は、依頼者に作品を提供するサービスを管理する装置であり、例えば、サーバである。データ処理装置1は、過去において制作者が制作した作品に関する情報と、素材に関する情報と、を対応付けて管理している。
【0024】
依頼者端末2、提供者端末3及び制作者端末4はそれぞれ、依頼者、提供者及び制作者が使用する端末である。依頼者端末2、提供者端末3及び制作者端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット、VR(Virtual Reality)表示が可能なヘッドセット又はパーソナルコンピュータである。
【0025】
[データ処理システムSのユースケースの一例]
次に、本実施の形態において前提となるデータ処理システムSのユースケースについて説明する。
図2は、データ処理システムSのユースケースを説明する図である。提供者は、提供者端末3を操作し、提供可能な素材をデータ処理装置1に登録する(
図2における(1))。他のユーザは、データ処理装置1に登録された素材を閲覧することができる。
【0026】
依頼者は、依頼者端末2において、登録された素材から活用したい素材と、制作者に制作してほしい作品とを選択し、作品の制作を依頼する操作をする。依頼者端末2は、データ処理装置1に選択された素材と作品の情報を含む制作依頼を送信する(
図2における(2))。データ処理装置1は、作品の制作が依頼されたことを制作者端末4に通知する(
図2における(3))。作品の制作が依頼されると、作品の制作に必要な素材を素材の保管場所から制作者の制作場所に輸送する手配がされる。
【0027】
制作者は、依頼された作品を制作する。作品が完成すると、制作者は、制作者端末4を操作し、完成した作品と作品に活用した素材とを関連付けてデータ処理装置1に登録する(
図2における(4))。他のユーザは、登録された作品を閲覧することができる。制作者は、完成した作品を依頼者に納品する(
図2における(5))。
【0028】
依頼者は、作品を受け取ると代金を支払う操作をする。そして、依頼者端末2は、作品の代金をデータ処理装置1に送金する(
図2における(6))。データ処理装置1は、支払われた代金からプラットフォーム利用料と素材の代金を差し引いた制作者の報酬を制作者端末4に送金する(
図2における(7))。データ処理装置1は、提供者に素材の提供に対する報酬を提供者端末3に送金する(
図2における(8))。
【0029】
[データ処理装置1の概要]
ところで、どのような素材からどのような作品が制作されたかを知ることが、ユーザの作品の需要を喚起し、素材の提供に対するユーザの動機付けなる。そのため、制作された作品と作品に使用された素材との関係が登録される必要がある。しかし、制作された作品と作品に使用された素材との関連付けの登録を作品の制作者に委ねると、制作者が登録を失念したり、活用した素材を勘違いしたりして、不正確な登録がなされる問題が生じる。そこで、実施の形態にかかるデータ処理装置1においては、作品の制作過程を計測し、作品と素材とを関連付けたデータを記憶する。
【0030】
図3は、データ処理装置1の動作の概要を説明する図である。
図3の上部は、制作者が制作する過程を計測する例を示し、
図3の下部は、計測装置により取得された3次元時系列情報を示している。
【0031】
図3の上部に示すように、制作者のアトリエに複数の3次元計測装置Dが複数の方向から制作過程を計測できるように配置されている。3次元計測装置Dは、3次元情報を計測する装置であり、例えばLIDAR(Light Imaging Detection And Ranging)である。そして、3次元計測装置Dは、制作者の制作過程において、アトリエに配置された素材を計測した3次元情報を時系列に記録した3次元時系列情報を、データ処理装置1に送信する。
【0032】
データ処理装置1は、3次元計測装置Dより3次元時系列情報を取得する。3次元時系列情報は、3次元情報が時間的に変化する情報を有する時系列データであり、例えば所定の時間単位に計測された複数の時刻における3次元情報の集合である。所定の時間とは、計測され素材の位置および見えの変化量が十分に小さくなるように設定される時間であり、例えば1秒である。
【0033】
3次元情報は、計測対象の形状を表す情報であり、例えば点群データである。3次元情報は、複数の3次元計測装置Dにより計測された結果を合成することにより生成された情報であってもよい。
【0034】
図3の下部は、3次元計測装置Dにより計測された3次元時系列情報の概要を示す図である。左からそれぞれ時刻P1、P2及びP3における3次元情報を示している。そして、データ処理装置1は、取得した時刻P1における3次元情報に基づいて、制作場所に配置された素材M1及びM2の3次元情報であるオブジェクト及びオブジェクトが配置された位置を特定する。そして、データ処理装置1は、特定されたオブジェクトと素材M1及びM2の素材識別情報とを関連付ける。素材識別情報は、提供者から提供された素材を一意に識別するID(Identification)である。
【0035】
そして、データ処理装置1は、時刻P1におけるオブジェクトと時刻P1の次の時刻における同一の素材に対応するオブジェクトを対応付ける。時刻P1の次の時刻における、素材M1及びM2それぞれと同一の素材として対応付けられたオブジェクトそれぞれは、素材M1及びM2それぞれの素材識別情報を有する。データ処理装置1は、オブジェクトを対応付ける処理を3次元時系列情報に含まれるそれぞれの時刻の3次元情報について繰り返し行う。
【0036】
時刻P2における3次元情報は、素材M1が材料M1AとM1Bとに、素材M2が材料M2AとM2Bとに、それぞれ分離されている。データ処理装置1は、素材が分離又は結合された場合、加工前のオブジェクトに関連付けられた素材識別情報と、を関連付ける。この結果、材料M1A及びM1Bに対応するオブジェクトは、素材M1の素材識別情報を、材料M2A及びM2Bに対応するオブジェクトは、素材M2の素材識別情報を、それぞれ有している。
【0037】
そして、時刻P3においては、素材M1と素材M2とを活用して制作した作品G1が完成している。制作が完了したことを示す完了情報受け付けると、データ処理装置1は、時刻P3における3次元情報に基づいて、作品G1が占有する領域を特定する。
【0038】
データ処理装置1は、特定した作品が占有する領域と、完了情報が入力された時点においてオブジェクトが配置されていた位置とに基づいて作品を構成するオブジェクトを特定する。そして、データ処理装置1は、作品と特定したオブジェクトに対応する素材識別情報とを関連付けて作品データベースに記憶させる。すなわち、データ処理装置1は、作品G1は、素材M1及び素材M2から構成されることを作品データベースに記憶する。
【0039】
<第1の実施形態>
[データ処理装置1の構成]
図4は、データ処理装置1の構成を示すブロック図である。データ処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、第1特定部132、関連付け部133、追跡部134、受付部135、第2特定部136、第3特定部137、記憶制御部138及び表示制御部139を有する。
【0040】
通信部11は、制作者端末4とデータを送受信するための通信インターフェースである。記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行する各種のプログラムを記憶する。
【0041】
記憶部12は、作品と、作品を構成する素材と、を関連付けて記憶する作品データベースを記憶する。
図5は、記憶部12が記憶する作品データベースのデータ構造の一例を示す図である。作品データベースは、作品情報と素材情報とを有する。作品情報は、作品の種類を示す「作品情報」と作品の区分を示す「属性」と「作品ID」とを有する。作品IDは制作された作品を一意に識別するIDである。作品情報は、作品を撮像した画像である作品画像又は作品の形状を示す3Dモデル情報を記憶してもよい。素材情報は作品を構成する複数の素材識別情報が含まれる。
【0042】
記憶部12は、素材と、素材に関するメタデータと、を関連付けて記憶する素材データベースをさらに記憶する。
図6は、記憶部12が記憶する素材データベースのデータ構造の一例を示す図である。素材データベースは、素材情報とメタデータとを有する。素材情報は、素材の種類と素材識別情報とを有する。メタデータは、例えば、提供者の素材についての思い出を示す情報又は提供者の思い出情報が存在するウェブページのURLである。
【0043】
記憶部12は、素材と、素材に関するメタデータと、素材の提供者と、を関連付けた素材データベースをさらに記憶してもよい。
図5に示す素材データベースは、素材情報として素材識別情報に関連付けて提供者識別情報を有する。提供者識別情報は提供者を一意に識別するIDであり、素材を提供した提供者に対応するユーザIDである。
【0044】
図4に戻り、制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより、取得部131、第1特定部132、関連付け部133、追跡部134、受付部135、第2特定部136、第3特定部137、記憶制御部138及び表示制御部139として機能する。
【0045】
取得部131は、作品を制作する制作場所に配置された3次元計測装置Dにより作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得する。
【0046】
第1特定部132は、3次元時系列情報に基づいて、制作場所に配置された素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及びオブジェクトが配置された位置を特定する。第1特定部132は、取得部131が取得した3次元時系列情報に含まれる個々の時間における3次元情報に含まれる素材をオブジェクトとして特定し、オブジェクトが配置された位置を特定する。第1特定部132は、例えば、計測した3次元時系列情報と、素材を配置する前に計測された制作場所の3次元情報との差分をとり、素材を配置する前に計測した3次元情報は存在しない物体をオブジェクトとして特定する。一例として、第1特定部132は、特定したオブジェクトを一位に識別するオブジェクトIDをオブジェクトに対して付与する。そして、第1特定部132は、特定したオブジェクトが配置されている座標を特定する。
【0047】
第1特定部132は、例えば、記憶部12に記憶された、素材モデル情報と比較し、3次元情報に含まれる素材をオブジェクトとして特定してもよい。素材モデル情報は、素材の様々な方向からの見えを示す情報である。
【0048】
関連付け部133は、第1特定部132が特定したオブジェクトと、素材を識別する素材識別情報と、を関連付ける。関連付け部133は、オブジェクトに付与されたオブジェクトIDと素材識別情報とを関連付ける。関連付け部133は、オブジェクトに付与されたオブジェクトIDと素材識別情報とを関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。
【0049】
図7は、追跡部134の動作の一例を示す図である。
図7(a)は時刻T1における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
図7(b)は、時刻T1の次の時刻(時刻T2)における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
【0050】
追跡部134は、3次元時系列情報に含まれる複数のオブジェクトのうち同一の素材に対応するオブジェクトを対応付ける。時刻T1におけるオブジェクトO01の位置及び形状が、時刻T2にオブジェクトO03の位置及び形状とほぼ一致している場合に、追跡部134は、オブジェクトO01とオブジェクトO03とを同一の素材に対応するオブジェクトとして対応付ける。同一の素材に対応付けられたオブジェクトは、同一の素材識別情報を有する。追跡部134は、オブジェクトを対応付ける処理を3次元時系列情報に含まれるそれぞれの時刻の3次元情報について繰り返し行い、それぞれの時刻における同一の素材に対応するオブジェクトを対応付ける。
【0051】
図4に戻り、受付部135は、作品の制作が完了したことを示す完了情報の入力を受け付ける。表示制御部139は、作品の制作が完了したことを通知するための画面を制作者端末4に表示させるよう制御する。一例として、表示制御部139は、制作完了を通知するための完了ボタンを制作者端末4の画面上に表示させる。そして制作者が制作者端末4に表示された完了ボタンを押下すると、制作者端末4は、完了情報をデータ処理装置1へ送信する。受付部135は、作品の名前、作品のテーマ又は作品を撮像した画像等の入力受け付けてもよい。
【0052】
第2特定部136は、完了情報が入力された場合、3次元時系列情報に基づいて作品が占有する領域を特定する。第2特定部136は、例えば、記憶部12に記憶された、3次元情報に含まれるオブジェクトと作品モデル情報とを比較し、作品と、作品が占有する領域と、を特定する。作品モデル情報は、作品の様々な方向からの見えを示す情報である。作品が占有する領域は、作品と特定したオブジェクトが占有する領域の座標を示す情報である。
【0053】
第3特定部137は、第2特定部136が特定した作品が占有する領域と、完了情報の入力時点においてオブジェクトが配置されていた位置とに基づいて、作品を構成するオブジェクトを特定する。第3特定部137は、第2特定部136が特定した作品が占有する領域と、追跡部134が対応付けた、完了情報の入力時点における素材識別情報と関連付けられたオブジェクトの位置と、を比較する。一例として、第3特定部137は、作品が占有する領域の座標情報と、オブジェクトの位置を示す座標情報とを比較する。素材識別情報と関連付けられたオブジェクトの位置が、作品が占有する領域から所定の範囲内に存在する場合、第3特定部137は、オブジェクトに関連付けられた素材が作品を構成すると特定する。
【0054】
記憶制御部138は、作品と第3特定部137が特定したオブジェクトに関連付けられた素材識別情報とを関連付けて作品データベースに記憶させる。記憶制御部138は、作品IDと、第3特定部137が特定した素材を構成するオブジェクトに関連付けられた素材識別情報とを関連付けて記憶する。
【0055】
記憶制御部138は、例えば、記憶部12が記憶する制作者に関する情報、受付部135が受け付けた作品の名前、作品のテーマ、作品の画像等の情報を作品IDと関連付けて作品データベースに記憶させてもよい。表示制御部139は、端末に画面を表示させる。
【0056】
データ処理装置1がこのように構成されることで、制作された作品と作品に用いられた素材とを関連付けることができる。
【0057】
ところで、作品の形状が予めわかっていない場合も想定される。そのため、作品を撮像した画像から作品を特定できるよう、データ処理装置1が構成されてもよい。この場合、受付部135は、制作者端末4から作品を複数の方向から撮像した複数の画像の入力を受け付ける。そして、第2特定部136は、写真測量することで、作品の形状を特定する。さらに第2特定部136は、特定した作品の形状と類似するオブジェクトを作品と特定する。データ処理装置1がこのように構成されることで、作品の形状が予めわかっていない場合においても、制作者に負担が少ない方法で作品を特定することができる。
【0058】
また、作品の形状が予めわかっていない場合において、受付部135は、完了情報に加えて、制作された作品が占有する領域の入力を受け付けるよう構成されてもよい。すなわち、制作者は、制作者端末4を操作し、作品が存在する領域を指定する。例えば、製作者は、作品が存在する領域を囲む操作により、作品が存在する領域を指定する。
【0059】
第2特定部136は、受付部135が受け付けた作品が存在する領域に存在するオブジェクトを作品と特定してもよい。そして、第2特定部136は、特定したオブジェクトが占有する領域を作品が占有する領域として特定する。データ処理装置1が、受付部135が受け付けた領域から作品として特定することで、予め作品の形状がわかっていない場合においても作品を特定することができる。
【0060】
ところで、作品を制作する過程においては、素材が様々な部材に分離される場合がある。素材が分離された場合においても、分離後の部材が素材から分離されたものであることを管理する必要がある。そこで、データ処理装置1は、分離された場合に、分離前の素材識別情報を分離後の部材と関連付けるよう構成されていてもよい。
【0061】
図8は、素材が分離された場合のデータ処理装置1の動作の一例を示す図である。
図8(a)は時刻T3における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
図8(b)は、時刻T3の次の時刻(時刻T4)における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
【0062】
具体的には、追跡部134は、作品の制作過程において、一つのオブジェクトが複数の分離後のオブジェクト(以下、サブオブジェクトという場合がある)に分離されたかどうかを判定してもよい。追跡部134は、オブジェクトO05の位置及び形状と、サブオブジェクトO06及びO07それぞれの位置及び形状とを比較する。一例として、追跡部134は、オブジェクトO05を複数の特徴部分に分割する。そして、追跡部134は、オブジェクトO05とサブオブジェクトO06及びO07の位置が所定範囲内であり、かつ、オブジェクトO05の特徴部分のいずれかの形状と、サブオブジェクトO06及びO07それぞれの形状とが類似している場合、オブジェクトO05が分離されたと判定する。所定範囲とは、同一の素材から分離されたと判定するのに十分な距離である。
【0063】
関連付け部133は、オブジェクトが複数のサブオブジェクトに分離された場合、1以上の分離後のサブオブジェクトそれぞれと、分離前のオブジェクトに関連付けられた素材識別情報と、を関連付ける。追跡部134が、O05がO06及びO07に分離されたと判定した場合、関連付け部133は、サブオブジェクトO06及びO07と、分離前のオブジェクトO05が有している素材識別情報M0001とを関連付ける。分離前のオブジェクトの素材識別情報と関連付けられたサブオブジェクトO06及びO07は、それぞれ素材識別情報M0001を有する。
【0064】
データ処理装置1が、素材が分離された場合に、分離前の素材識別情報を分離後の部材と関連付けるよう構成されることで、分離された部材がどの素材から分離されたものかを管理することができる。
【0065】
さらに、作品を制作する過程においては、素材が他の素材と結合される場合がある。素材が結合された場合においても、データ処理装置1は、結合後の素材が元の素材から構成されていることを管理する必要がある。そこで、データ処理装置1は、素材同士が結合された場合に、結合する前の素材識別情報を結合後の素材と関連付けるよう構成されていてもよい。
【0066】
図9は、素材が結合された場合のデータ処理装置1の動作の一例を示す図である。
図9(a)は、時刻T5における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
図9(b)は、時刻T5の次の時刻(時刻T6)における3次元時系列情報から特定されたオブジェクトである。
【0067】
具体的には、追跡部134は、作品の制作過程において、複数のオブジェクトが結合されたか否かを判定する。追跡部134は、オブジェクトO08及びオブジェクトO09それぞれの位置及び形状と、オブジェクトO10の位置及び形状とを比較する。一例として、追跡部134は、オブジェクトO10を複数の特徴部分に分割する。そして、追跡部134は、オブジェクトO08及びオブジェクトO09それぞれとオブジェクトO10の位置が所定範囲内であり、かつ、オブジェクトO08及びO09それぞれの形状とオブジェクト10の特徴部分の形状とが類似している場合、オブジェクトO08及びO09が結合されたと判定する。
【0068】
関連付け部133は、複数のオブジェクトが結合された場合、結合後のオブジェクトと、結合前の複数のオブジェクトそれぞれに関連付けられた素材識別情報と、を関連付ける。追跡部134が、O08及びO09が結合されたと判定した場合、関連付け部133は、結合後のオブジェクトO10と、結合前のオブジェクトO08及びO09それぞれが有している素材識別情報M0001及びM0002とを関連付ける。結合前のオブジェクトの素材識別情報と関連付けられたオブジェクトO10は、素材識別情報M0001及びM002を有する。
【0069】
データ処理装置1が、素材が結合された場合に、結合する前の素材識別情報を結合後の素材と関連付けるよう構成されることで、結合された素材が、どの素材が結合されたものかを管理することができる。その結果、データ処理装置1は、作品と素材の関係を関連付けることができる。
【0070】
図4に戻る。ところで、制作者に負担の少ない方法で素材とオブジェクトとの関連付けができることが望ましい。そこで、素材に付された素材識別情報に対応するタグを読み取ることで、素材とオブジェクトを関連付けることができるよう、データ処理装置1が構成されてもよい。まず、提供者は、素材を提供する際に素材識別情報読み取ることができるタグを素材に付ける。タグは、例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)が記載されたタグまたはRFID(Radio Frequency IDentification)タグである。そして、タグが付けられた素材が制作場所に搬入される。
【0071】
そして、受付部135は、作品を制作する制作者が操作する端末である制作者端末4より、素材識別情報が含まれる関連付け依頼を受け付ける。制作者端末4は、素材に付けられたタグから素材識別情報を読み取る。制作者端末4は、素材識別情報を読み取ると、素材識別情報を含む関連付け依頼を受付部135に送信する。
【0072】
表示制御部139は、素材識別情報と関連付けるオブジェクトを選択する画面を制作者端末4に表示させる。関連付け依頼を受信すると、表示制御部139は、読み取った素材識別情報と関連付けるオブジェクトを選択する画面を制作者端末4に表示させる。表示制御部139は、例えば、制作場所を撮像した画像の中から関連付ける素材を選択する画面を表示する。
【0073】
関連付け部133は、選択されたオブジェクトと、素材識別情報と、を関連付ける。関連付け部133は、選択されたオブジェクトに付与されたオブジェクトIDと関連付け依頼に含まれる素材識別情報とを関連付ける。データ処理装置1がこのように構成されることで、制作者に負担の少ない方法で素材とオブジェクトとの関連付けることができる。
【0074】
ところで、アップサイクルに提供される素材は、提供者が思い入れを持つものや、由緒のある物である場合がある。素材が加工される際に、元の素材の形状がわからなくなる場合もあるが、素材に関する思い出や素材の由緒を記録しておきたい場合がある。そこで、データ処理装置1は、素材に関する情報であるメタ―データを記憶するよう構成されていてもよい。メタデータは例えば、テキストデータ、動画データ、画像データ、音楽データである。メタデータは、素材に関連する情報を記憶したウェブページのURLであってもよい。
【0075】
表示制御部139は、素材を提供する提供者が、提供する素材と、素材に関するメタデータを登録するための画面を提供者が操作する提供者端末3に表示させる。すなわち、表示制御部139は、素材の提供を受け付ける際、素材に関するメタデータを登録する画面を提供者端末3に表示させる。表示制御部139は、素材の提供を受け付ける画面において、例えば、メタデータ並びに関連付けたいURL情報を入力するためのテキストボックス又はファイルをアップロードするためのボタンを提供者端末3に表示させる。
【0076】
記憶制御部138は、登録された素材の素材識別情報と、提供者が入力した素材に関するメタデータと、を関連付けて素材データベースに記憶させる。
図5に示す素材データベースには、素材に関連付けて取得した素材のメタデータが含まれている。受付部135は、提供者端末3の画面に入力されたメタデータを取得する。そして、記憶制御部138は、提供される素材の素材識別情報と、提供される素材のメタデータと、を関連付けて素材データベースに記憶させる。
【0077】
データ処理装置1が、素材に関するメタ―データを記憶するよう構成されることで、素材に関する思い出や素材の由緒を作品に関連付けてデータ処理装置1に記憶することが可能となる。
【0078】
データ処理装置1が記憶するメタデータの中には、提供者のみに重要な情報や、提供者が他のユーザに見られたくない情報が存在する。そこで、データ処理装置1はメタデータの表示依頼を受信した際に、表示依頼の送信元が提供者か否かを判定するよう構成されていてもよい。
【0079】
受付部135は、ユーザが操作するユーザ端末(不図示)より作品に関連付けられたメタデータを表示する表示依頼を受け付ける。表示依頼は、作品IDと、表示を依頼するユーザを識別するユーザIDを含む。
【0080】
表示制御部139は、表示依頼を受け付けると、作品に関連付けられた素材の提供者と表示依頼の送信元のユーザが同一である場合に、作品に関連付けられた素材に関するメタデータをユーザ端末に表示させるよう制御する。表示制御部139は、表示依頼を受け付けると、作品データベースと素材データベースを参照し、作品に関連付けられた素材識別情報に対応する素材を特定する。表示制御部139は、特定した素材に関連付けられたメタデータ及び素材の提供者に対応する提供者IDを特定する。そして、表示制御部139は、表示依頼に含まれるユーザIDと、提供者IDが一致するかどうかを判定する。そして、表示依頼に含まれるユーザIDと提供者IDとが一致する場合に、表示制御部139は、素材に関連付けられたメタデータをユーザ端末に表示させる。
【0081】
データ処理装置1がメタデータの表示依頼の送信元が作品を構成する素材の提供者か否かに基づいてメタデータの表示可否を判定するよう構成されることで、意図しないメタデータの表示を防止することが可能となる。
【0082】
図10は、データ処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、制作者が制作者端末4を操作し、作品の制作を開始する操作をした時点から開始している。取得部131は、3次元計測装置Dにより作品の制作過程において計測された、1以上の素材が配置された制作場所を計測した3次元情報の時系列情報である、3次元時系列情報を取得する(S101)。
【0083】
第1特定部132は、取得部131が取得した3次元時系列情報に基づいて、制作場所に配置された素材を3次元計測した3次元情報であるオブジェクト及びオブジェクトが配置された位置を特定する(S102)。関連付け部133は、第1特定部132が特定したオブジェクトと、素材を識別する素材識別情報と、を関連付ける(S103)。
【0084】
追跡部134は、3次元時系列情報に含まれる複数のオブジェクトのうち同一の素材に対応するオブジェクトを対応付ける(S104)。追跡部134は、素材が分離又は結合されたか否かを判定する(S105)。素材が分離又は結合された場合(S105におけるYES)、1以上の加工後のオブジェクトと、加工前のオブジェクトに関連付けられた素材識別情報と、を関連付ける(S106)。素材が分離又は結合されていない場合、データ処理装置1は、処理をS107に進める。
【0085】
データ処理装置1は、受付部135が完了情報の入力を受け付けたか否かを判定する(S107)。完了情報を受け付けていない場合(S107におけるNO)、データ処理装置1は、処理をS102に進める。完了情報を受け付けた場合(S107におけるYES)、データ処理装置1は、処理をS108に進める。
【0086】
第2特定部136は、3次元時系列情報に基づいて作品が占有する領域を特定する(S108)。第3特定部137は、第2特定部136が特定した作品が占有する領域とオブジェクトが完了情報の入力時点において配置されていた位置に基づいて、作品を構成するオブジェクトを特定する(S109)。記憶制御部138は、作品と、第3特定部137が特定したオブジェクトに関連付けられた素材識別情報と、を関連付けて作品データベースに記憶させる(S110)。そして、データ処理装置1は、処理を終了する。
【0087】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
1 データ処理装置
2 依頼者端末
3 提供者端末
4 制作者端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 第1特定部
133 関連付け部
134 追跡部
135 受付部
136 第2特定部
137 第3特定部
138 記憶制御部
139 表示制御部