(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】保険料算出システム及び保険料算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240612BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2021194899
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2022-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】花岡 慎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 亮人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紘士
(72)【発明者】
【氏名】村山 克巳
(72)【発明者】
【氏名】田中 英臣
(72)【発明者】
【氏名】馬場 竜平
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特許第6734457(JP,B1)
【文献】特開2006-323507(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112183283(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0201391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0401929(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0327658(US,A1)
【文献】特開2019-134690(JP,A)
【文献】犬の年齢を探る~推定年齢を決めるときの5つのポイント,日本,[online],2017年10月08日,URL:https://woofoo.jp/editors_desk/estimating-dogs-age、検索日:2023年8月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトを除く動物の顔画像及び当該動物の品種に関する情報の入力を受け付ける受付手段と、
年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、
前記品種に関する情報及び前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
【請求項2】
ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、
品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、
年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、
前記品種判定手段が予測判定した品種と前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
【請求項3】
ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、
品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、
年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、
疾患判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の疾患に罹患するかを予測判定する疾患判定手段と、
前記品種判定手段が予測判定した品種、前記年齢判定手段が予測判定した年齢、及び前記疾患判定手段が予測判定した疾患に罹患する可能性についての情報を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
【請求項4】
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の年齢の予測判定とする学習済みモデルである請求項1~3のいずれか一項記載の保険料算出システム。
【請求項5】
前記品種判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の品種との関係を学習した学習済みモデルである請求項2又は3記載の保険料算出システム。
【請求項6】
前記品種判定用学習済みモデルが、動物の顔画像とその動物の品種に関する情報を教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の品種の予測判定とする学習済みモデルである請求項5記載の保険料算出システム。
【請求項7】
前記疾患判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の疾患との関係を学習した学習済みモデルである請求項3記載の保険料算出システム。
【請求項8】
前記疾患判定用学習済みモデルが、動物の顔画像とその動物の疾患に関する情報を教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の疾患に罹患するかを予測判定とする学習済みモデルである請求項7記載の保険料算出システム。
【請求項9】
前記年齢判定手段が、学習済みモデルを複数備え、前記品種判定手段により予測判定された品種に応じた学習済みモデルを用いて判定を行う請求項2又は3記載の保険料算出システム。
【請求項10】
前記品種判定手段による品種の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する情報を用いて修正する品種判定修正手段をさらに備える請求項2又は3記載の保険料算出システム。
【請求項11】
前記年齢判定手段による年齢の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する情報を用いて修正する年齢判定修正手段をさらに備える請求項1~10のいずれか一項記載の保険料算出システム。
【請求項12】
動物の年齢と保険料を含む保険料テーブルを記憶する記憶部を更に備え、前記保険料算出手段が、保険料テーブルを用いて保険料を算出する請求項1~11のいずれか一項記載の保険料算出システム。
【請求項13】
コンピュータが、ヒトを除く動物の顔画像と当該動物の品種に関する情報を受け付けるステップと、
コンピュータが、学習済みモデルを用いて、前記動物の顔画像からその動物の顔画像撮影時の年齢の予測を出力するステップと、当該年齢の予測と品種に関する情報に基づいて当該動物に対する保険料を算出するステップと、を有する保険料算出方法であって、
前記学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の年齢とする学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
【請求項14】
コンピュータが、ヒトを除く動物の顔画像を受け付けるステップと、
コンピュータが、品種判定用学習済みモデルを用いて前記動物の顔画像からその動物の品種を予測判定するステップと、
コンピュータが、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定するステップと、
コンピュータが、予測判定した品種と予測判定した年齢を元に保険料を算出するステップと、を備える保険料算出方法であって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
【請求項15】
コンピュータが、ヒトを除く動物の顔画像を受け付けるステップと、
コンピュータが、品種判定用学習済みモデルを用いて前記動物の顔画像からその動物の品種を予測判定するステップと、
コンピュータが、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定するステップと、
コンピュータが、疾患判定用学習済みモデルを用いて前
記動物の顔画像からその動物の疾患に罹患するかを予測判定するステップと、
コンピュータが、予測判定した品種と予測判定した年齢を元に保険料を算出するステップと、を備える保険料算出方法であって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ディープニューラルネットワーク又畳み込みニューラルネットワークであり、
前記年齢判定学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険料算出システム及び保険料算出方法に関し、詳しくは、動物の顔の画像から、動物の年齢に関する予測を提供し、当該年齢に関する予測に基づいた保険料を算出する保険料算出システム及び保険料算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫、ウサギを始めとする愛玩動物、牛や豚を始めとする家畜は、人間にとってかけがえのない存在である。近年、人間が飼育する動物の平均寿命が大幅に伸びた一方で、動物がその一生の中で何らかの疾患に罹患することが多くなり、飼育者が負担する医療費の増大が問題となっている。
【0003】
そのため、愛玩動物の医療費をカバーするペット保険が提供されている。ペット保険は、人間に対する生命保険や医療保険と同様に、動物の年齢に応じて保険料や加入の可否が決まることが多い。ところが、戸籍制度が整備され、身分証明書などにより年齢確認が容易な人間とは異なり、動物は正確な年齢が把握できないことがある。例えば、路上で保護された動物は出生日や年齢が不明であるし、ブリーダーやペットショップを通じて譲渡された動物についても、飼い主が出生に関する記録を紛失したり、年齢を失念することもある。また、ペット保険加入に際して、年齢についての虚偽申告がなされる可能性も否定できない。
また、ペット保険は、高額の医療費をカバーするものであることから必要性が高いにもかかわらず普及率には未だ改善の余地がある。その理由の一つとして、飼い主のペット保険加入へのモチベーションが上がらないことが考えられる。
【0004】
そこで、簡易な方法で、ペット保険の対象となる動物の年齢を知る手段が求められている。ペット保険の加入時又は加入審査時の動物の年齢を知ることができれば、年齢に応じた保険料の算出や保険の加入審査が可能となるため、有用である。また、簡易な方法でペットの年齢、例えば、実年齢、健康年齢やペットの容貌が何歳に相当するのかを把握することができれば、飼い主に対して、ペットの健康に気をつけるきっかけともなり、ひいてはペット保険加入へのモチベーションを上げることも期待できる。
【0005】
特許文献1には、疾病の種類に応じた保険金を算出する装置であって、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む検出データを取得する取得部と、前記検出データと、少なくとも前記被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に保険金を決定する決定部とを備える保険金算出装置が開示されている。特許文献2には、飼育動物の保険加入支援システムが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている算出装置は、人の保険を対象とした保険金算出装置であり、動物用の保険の保険料算出を対象としたものではない。また、特許文献1に記載の保険金算出装置では、被保険者の年齢は予め把握されている。また、特許文献2に記載されている保険加入支援システムは、動物の基本情報と疾病情報から保険加入時期を判定するものであって、動物の年齢の判定機能とそれに基づく保険料算出機能を含むものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-26100号公報
【文献】特開2017-224188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、簡易な方法で、動物の年齢を予測判定し、年齢の予測判定に応じた保険料算出システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
動物を対象とする健康保険、いわゆるペット保険を運営する保険会社には、膨大な数の動物の写真と、その動物の写真撮影時の年齢に関する情報が蓄積されており、本発明者らは、これらを用いて上記課題が解決できないかを検討してきた。その結果、動物の写真とその動物の撮影時の年齢を教師データとして人工知能を学習させると、動物の写真からその動物の年齢を予測判定する予測モデルを生成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の[1]~[17]である。
[1]ヒトを除く動物の顔画像及び当該動物の品種に関する情報の入力を受け付ける受付手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、前記品種に関する情報及び前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
[2]ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、前記品種判定手段が予測判定した品種と前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
[3]ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、疾患判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の疾患に罹患するかを予測判定する疾患判定手段と、前記品種判定手段が予測判定した品種、前記年齢判定手段が予測判定した年齢、及び前記疾患判定手段が予測判定した疾患に罹患する可能性についての情報を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出システム。
[4]前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の年齢の予測判定とする学習済みモデルである[1]~[3]のいずれかの保険料算出システム。
[5]前記品種判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の品種との関係を学習した学習済みモデルである[2]~[4]のいずれかの保険料算出システム。
[6]前記品種判定用学習済みモデルが、動物の顔画像とその動物の品種に関する情報を教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の品種の予測判定とする学習済みモデルである[5]の保険料算出システム。
[7]前記疾患判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の疾患との関係を学習した学習済みモデルである[3]~[6]のいずれかの保険料算出システム。
[8]前記疾患判定用学習済みモデルが、動物の顔画像とその動物の疾患に関する情報を教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の疾患に罹患するかを予測判定とする学習済みモデルである[7]の保険料算出システム。
[9]前記年齢判定手段が、学習済みモデルを複数備え、前記品種判定手段により予測判定された品種に応じた学習済みモデルを用いて判定を行う[2]~[8]のいずれかの保険料算出システム。
[10]前記品種判定手段による品種の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する情報を用いて修正する品種判定修正手段をさらに備える[2]~[9]のいずれかの保険料算出システム。
[11]前記年齢判定手段による年齢の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する情報を用いて修正する年齢判定修正手段をさらに備える[1]~[10]のいずれかの保険料算出システム。
[12]動物の年齢と保険料を含む保険料テーブルを記憶する記憶部を更に備え、前記保険料算出手段が、保険料テーブルを用いて保険料を算出する[1]~[11]のいずれかの保険料算出システム。
[13]ヒトを除く動物の顔画像と当該動物の品種に関する情報を用意するステップと、
前記顔画像を学習済みモデルに入力し、コンピュータが前記学習済みモデルを用いて、前記入力された動物の顔画像からその動物の顔画像撮影時の年齢の予測を出力するステップと、当該年齢の予測と品種に関する情報に基づいて当該動物に対する保険料を算出するステップと、を有する保険料算出方法であって、前記学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の年齢とする学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
[14]ヒトを除く動物の顔画像を用意するステップと、品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定するステップと、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定するステップと、前記品種判定手段が予測判定した品種と前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出するステップと、を備える保険料算出方法であって、前記学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
[15]ヒトを除く動物の顔画像を用意するステップと、品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定するステップと、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定するステップと、疾患判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の疾患に罹患するかを予測判定するステップと、
前記品種判定手段が予測判定した品種と前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出するステップと、を備える保険料算出方法であって、前記年齢判定学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする保険料算出方法。
[16]ヒトを除く動物の顔画像及び当該動物の品種に関する情報の入力を受け付ける受付手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段、を備える年齢予測システムであって、
前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであり、かつ、前記年齢判定手段が、品種に応じた複数の年齢判定用学習済みモデルを含むことを特徴とする年齢予測システム。
[17]ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、品種判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段、を備える年齢予測システムであって、前記品種判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の品種との関係を学習した学習済みモデルであり、前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであり、かつ、前記年齢判定手段が、品種に応じた複数の年齢判定用学習済みモデルを含むことを特徴とする年齢予測システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡易な方法で、動物の年齢を判定する年齢予測システム、年齢の判定結果に基づいて動物の保険料を算出する保険料算出システム等を提供することが可能となる。また、簡易な方法で動物の年齢、例えば、実年齢、健康年齢や当該動物の容貌が何歳に相当するのかを把握できることにより、飼い主に対して、飼育している動物の健康に気をつけるきっかけともなり、ひいてはペット保険加入へのモチベーションを上げることやペット保険加入率の改善も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明の保険料算出システムの一実施態様を表す構成概略図である。
【
図4】本発明の保険料算出システムの一実施態様を表す構成概略図である。
【
図6】本発明の保険料算出システムによる保険料算出の流れの一例を表すフローチャート図である。
【
図7】本発明の保険料算出システムによる保険料算出の流れの一例を表すフローチャート図である。
【
図8】本発明の保険料算出システムの一実施態様を表す構成概略図である。
【
図9】実施例の学習に用いた動物の顔画像(写真)である。
【
図10】実施例の学習に用いた動物の顔画像(写真)である。
【
図11】実施例の学習に用いた動物の顔画像(写真)である。
【
図12】実施例の学習に用いた画像の枚数とテスト結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<年齢予測システム>
本発明の年齢予測システムは、ヒトを除く動物の顔画像及び当該動物の品種に関する情報の入力を受け付ける受付手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段、を備える。
また、本発明の他の年齢予測システムは、ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、品種判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段、を備える。
【0014】
[受付手段]
本発明の受付手段は、年齢を予測したい動物の顔画像の入力を受け付ける手段である。また、受付手段は、動物の顔画像のほか、当該動物の品種に関する情報を受け付ける構成とすることもできる。動物としては、犬、猫、ウサギ、フェレット等の哺乳類、鳥類、爬虫類、愛玩動物が挙げられ、哺乳類が好ましく、犬及び猫がより好ましい。画像の受付方法は、スキャン、画像データの入力、送信、その場で撮影しての画像取り込みなどいずれの方法であってもよい。顔画像のフォーマットは特に限定されないが、顔画像は、動物の顔を正面から撮影した写真であることが好ましく、
図1に表すような動物の顔が大きく写っている写真がより好ましい。そのような写真として、ヒトの運転免許証の写真のような写真が挙げられる。
図2のように、動物の健康保険証に用いられる画像も好ましい。画像は、白黒、グレースケール、カラーのいずれであってもよい。動物の顔全体が写っていない画像、画像編集ソフトウェアで形状が編集された画像、複数の動物が写っている画像、目や耳が判別出来ないほど顔が小さく写っている画像あるいは不鮮明な画像は好ましくない。画像については、ノーマライゼーションが施され、解像度等が統一されたものが好ましい。
【0015】
[年齢判定手段]
本発明の年齢判定手段は、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢(出生日からの経過年数)とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物の撮影時の年齢に関する予測とする学習済みモデルを含む。年齢としては、月単位であっても、年単位であってもよく、区分けであってもよい。区分けとしては、例えば、犬を例にすると、乳幼齢(1歳)、中間齢(2歳~7歳)、高齢(8歳以上)という区分けが挙げられる。区分けの仕方はこれに限られず、乳幼齢(1歳未満)、成犬(2~7歳)、高齢犬(8~10歳)、老齢(11歳以上)といった区分けの仕方等も挙げられる。猫や、フェレット等の他の動物についても、平均寿命に応じて、年齢を区分けすることができる。
【0016】
前記学習済みモデルとしては、人工知能(AI)が好ましい。人工知能(AI)とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムであり、具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをいう。人工知能としては、汎用型、特化型のいずれであってもよく、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク等のいずれであってもよく、公開されているソフトウェアを使用することができる。
【0017】
学習済みモデルを生成するために、人工知能を教師データを用いて学習させる。学習としては、機械学習とディープラーニング(深層学習)のいずれであってもよいが、ディープラーニングが好ましい。ディープラーニングは、機械学習を発展させたものであり、特徴量を自動的に見つけ出す点に特徴がある。
【0018】
学習済みモデルを生成するための学習方法としては、特に制限されず、公開されているソフトウェアを用いることができる。例えば、NVIDIAが公開しているDIGITS (the Deep Learning GPU Training System)を用いることができる。その他、例えば、「サポートベクターマシン入門」(共立出版)等において公開されている公知のサポートベクターマシン法(Support Vector Machine法)等によって学習させてもよい。
【0019】
学習のための教師データは、好ましくは動物の顔画像とその動物の撮影当時の年齢である。教師データとしての動物の顔画像は、上記受付方法で説明した顔画像と同様である。当該動物の年齢についての情報は、例えば、保険加入申請時に提供される情報として、動物病院あるいは保険をかけようとする当該動物の飼い主等から入手可能である。年齢としては、月単位であっても、年単位であってもよく、区分けであってもよい。区分けとしては、例えば、犬を例にすると、乳幼齢(1歳未満)、中間齢(2~7歳)、老齢(8歳以上)、という区分けが挙げられる。区分けの仕方はこれに限られず、乳幼齢(1歳未満)、成犬(2~7歳)、高齢犬(8~10歳)、老齢(11歳以上)といった区分けの仕方等も挙げられる。猫や、フェレット等の他の動物についても、平均寿命に応じて、年齢を区分けすることができる。
【0020】
[品種判定手段]
本発明の年齢予測システムは、品種判定手段をさらに含むことが好ましい。品種判定手段は、品種判定用の学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の画像からその動物の品種を判定する手段である。
【0021】
人間の場合には、顔の要部(例えば目、鼻、口等)の位置や形状にさほど大きな違いはないため、品種判定手段を設ける理由はないが、ペットは人間によって品種改良が重ねられてきたため、品種ごとに顔の要部の位置や形状が大きく異なることが多い。このため、例えば、年齢判定手段の前に品種判定手段を設けることにより、より正確に年齢を判定することが可能になる。また、ペットは、品種ごとの特徴(大きさ、顔立ち、毛並等)を維持するために、同一品種間で近親交配をしているという実情があり、遺伝病への罹患率が品種ごとに大きく異なる。したがって、品種判定手段を設けることで、後述する保険料算出をより効率的に実施することができる。
【0022】
品種判定手段に関する画像の詳細については上記の年齢判定手段におけるものと同様である。
【0023】
品種判定用の学習済みモデルは、動物の画像と当該動物の品種との関係を学習した学習済みモデルである。好ましくは、動物の画像とその動物の品種とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の画像とし、出力をその動物の品種の判定とする学習済みモデルを含む。教師データ用の動物の画像については、上記の年齢判定手段におけるものと同様である。また、品種判定用の学習済みモデルは、動物の画像と当該動物の品種との関係を学習したという点以外は、上記の年齢判定手段における学習済みモデルと同様である。上記の年齢判定手段における学習済みモデルと異なるアルゴリズム、ソフトウェア、ライブラリ、学習方法を用いてもよいし、同一のアルゴリズム、ソフトウェア、ライブラリ、学習方法を用いてもよい。
【0024】
品種とは、生物の種以下の生物集団の単位である。例えば、犬でいうと、犬の品種は犬種とも呼ばれ、具体的には、トイプードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフント、柴犬、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、パピヨン、マルチーズ、ラブラドール、ダルメシアン、チャウチャウ等が挙げられる。猫でいうと、猫の品種は猫種とも呼ばれ、スコティッシュ・フォールド、アメリカン・ショートヘア、ノルウェージャン・フォレストキャット、ロシアンブルー、ブリティッシュ・ショートヘア、ラグドール、メイン・クーン、ペルシャ等が挙げられる。ウサギでいうと、ネザーランドドワーフ、ホーランドロップ、ロップイヤー、ミニレッキス、ドワーフロップ、アメリカンファジーロップ等が挙げられる。
【0025】
本発明の年齢予測システムは、年齢判定手段として学習済みモデルを複数備え、前記品種判定手段による品種の判定結果や、受付手段による画像の受付時に同時に入力された品種に関する情報に対応した学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の画像からその動物の年齢を予測判定するものであることが好ましい。特に、本発明の年齢予測システムが、品種判定手段を備える場合、受付手段に入力された動物の画像から、当該動物の品種を判定し、当該判定結果に基づいて、年齢判定手段において対応した学習済みモデルを用いて年齢判定を行うことが好ましい。
【0026】
品種に対応した年齢判定用学習済みモデルとしては、1又は複数の特定の品種に係る動物の画像と、該動物の年齢に関するラベルとを教師データとして用いて学習を行ったものが好ましい。例えば、特定の品種のみを集めた動物の画像とその動物の年齢に関するラベルとを用いて学習を行った学習済みモデルである。この場合の特定の品種のみを集めた動物の画像とは、ひとつの品種、例えば、トイプードルの画像のみであってもよいし、複数の品種、例えば、トイプードル、ポメラニアン及びミニチュア・ダックスフントの画像のみであってもよい。また、複数の品種の場合、大型の品種の画像を用いて学習を行った大型品種用の学習済みモデル、中型の品種の画像を用いて学習を行った中型品種用の学習済みモデル、小型の品種の画像を用いて学習を行った小型品種用の学習済みモデル、超小型の品種の画像を用いて学習を行った超小型品種用の学習済みモデルというように、品種を分類し、各分類に対応した学習済みモデルを備える構成としてもよい。分類としては、例えば、犬の例でいうと、成体(成犬)の平均体重が4kg未満の犬種を超小型犬、4~10kg未満の犬種を小型犬、10~25kg未満の犬種を中型犬、25kg以上の犬種を大型犬というように、平均体重によって分類することができる。その他、体高、体長、遺伝的関係等によって品種を分類してもよい。
【0027】
このように、品種に対応した年齢判定用学習済みモデルを用いたり、品種をサイズや体重ごとに分類(クラス分け)し、分類ごとに対応した年齢判定用学習済みモデルを用いることで、より正確な年齢の予測判定をすることが可能となる。このような効果をもたらす理由は定かではないものの、考え得る理由のひとつとして、各品種には、品種ごとに固有の顔や加齢の傾向があり、また、サイズごとに分類について、小型犬には小型犬特有の顔や加齢の傾向があり、大型犬には大型犬特有の顔や加齢の傾向があるということが挙げられる。
【0028】
[出力]
本発明の年齢判定手段は、入力情報として、動物の顔画像を受け付けると、上記学習済みモデルによって、当該動物の顔画像撮影時の年齢の予測判定を行う。出力の年齢としては、実年齢(出生時からの経過年月数)であってもよく、健康年齢(当該動物の健康状態又は容姿の状態が、何歳相当であるのか)であってもよい。
出力の形式は特に限定されず、例えば、パソコンの画面上において、「1歳2ヶ月」、あるいは、「幼齢」、「乳幼齢」、「老齢」といった表示をすることで予測判定を出力することができる。また、付随的な情報として、年齢の予測判定の確実性を同時に出力してもよい。例えば、「1歳2ヶ月(信頼度:80%)」といった具合である。また、年齢を数値範囲で出力してもよい。例えば、「11ヶ月~1歳2ヶ月」、「1歳未満」、「1~2歳」、「8歳以上」といった具合である。
本発明の年齢予測システムは、判定手段から判定結果を受信し、判定結果を出力する出力手段を別途有していてもよい。
本発明の年齢予測システムを利用することで、後述するような保険料の算出のほか、判定された年齢が実年齢よりも高い場合に、動物の飼い主に対して、健康管理に気をつけるように促す、老化抑止に効果的なフードを提案することが可能となる。
【0029】
<保険料算出システム>
本発明の保険料算出システムは、ヒトを除く動物の顔画像及び当該動物の品種に関する情報の入力を受け付ける受付手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、前記品種に関する情報及び前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、前記年齢判定用学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするものである。
また、本発明の他の保険料算出システムは、ヒトを除く動物の顔画像の入力を受け付ける受付手段と、品種判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の品種を予測判定する品種判定手段と、年齢判定用学習済みモデルを用いて前記受付手段に入力された動物の顔画像からその動物の年齢を予測判定する年齢判定手段と、前記品種判定手段が予測判定した品種と前記年齢判定手段が予測判定した年齢を元に保険料を算出する保険料算出手段と、を備える保険料算出システムであって、前記学習済みモデルが、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時の年齢との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするものである。
【0030】
すなわち、本発明の保険料算出システムのひとつは、保険の対象となる動物の顔画像、或いは動物の顔画像と品種に関する情報を上記の年齢予測システムに入力し、出力された年齢の予測結果や品種の判定結果に応じて当該動物の保険料を算出するものである。年齢や品種に応じた保険料の算出方法は公知の方法によることができる。保険料の決定には、年齢の予測や品種の判定結果のほか、当該動物の疾患罹患の予測、当該動物の種類、性別、体重、既往歴等の情報を用いてもよい。当該動物の疾患罹患の予測については学習モデルを用いることができる。また、当該動物の種類、品種、性別、体重、既往歴等の情報については、利用者(動物の飼い主、保険加入申請をしようとする者等)に端末からの入力を促すことで入手することができる。
【0031】
[品種判定修正手段]
本発明の保険料算出システムは、品種判定修正手段をさらに備えることが好ましい。品種判定修正手段は、前記品種判定手段による品種の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する正誤情報や申告品種などを用いて修正する手段である。例えば、本発明の保険料算出システムは、品種判定結果を利用者の端末上に表示する。品種判定結果を確認した利用者は、その品種判定結果が「正しい」のか、「誤っている」のかを画面上で選択し、「誤っている」を選択した場合、正しい品種を入力、あるいは、端末の画面上に提示された選択肢から選択する。そして、品種判定修正手段は、利用者が入力した品種情報を用いて、品種判定手段が予測判定した品種を修正する。
また、品種判定手段が、判定結果として、複数の品種の可能性を出力し、それを利用者に提示して選択させ、品種判定修正手段は、その選択結果に応じて品種判定結果を修正するという構成であってもよい。例えば、品種判定手段による品種判定の結果が、「トイプードルの可能性60%、チワワの可能性20%、ポメラニアンの可能性20%」というものであった場合、品種判定修正手段を備えない場合は、保険料算出システムは、品種判定結果のうちで最も確率の高いトイプードルを品種として、その後の年齢判定や保険料算出を行う。一方で、品種判定修正手段を備える場合、利用者は、例えば、上記品種判定の結果を端末の画面等で確認し、「チワワ」を正しい品種であるとして選択することができる。この場合、当該利用者が入力した情報をもとにして、品種判定修正手段は、当該動物の品種を「チワワ」に修正し、本発明の保険料算出システムは、当該動物の品種がチワワであるとして、年齢予測や保険料の算出を行う。
また、品種判定手段による品種判定の結果の選択肢の中に、利用者が考える正確な品種が含まれていない場合、年齢判定用学習済みモデルを用いた年齢予測とそれに続く保険料算出を中止し、マニュアルによる保険料算出に移行するという構成とすることもできる。例えば、利用者がチャイニーズ・クレステッド・ドッグという希少品種の犬の顔画像を本発明の保険料算出システムに入力し、品種判定手段が、「トイプードルの可能性10%、チワワの可能性10%、混血(MIX)の可能性30%、その他の可能性50%」という判定結果を出力し、利用者が、「その他」を選択(画面上で『その他の犬種』をクリックする等)すると、本発明の保険料算出システムは、年齢判定用学習済みモデルを用いた年齢予測とそれに続く保険料算出を中止する。以後は、保険料算出に必要な情報の入力を利用者に促し、必要な情報が入力されれば、それに応じて保険料の算出を行う。
【0032】
[年齢判定修正手段]
本発明の保険料算出システムは、年齢判定修正手段をさらに備えることが好ましい。年齢判定修正手段は、前記年齢判定手段による年齢の予測判定結果を、利用者が入力した予測判定結果に関する正誤情報や申告年齢などを用いて修正する手段である。例えば、本発明の保険料算出システムは、年齢判定結果を利用者の端末上に表示する。年齢判定結果を確認した利用者は、その年齢判定結果が「正しい」のか、「誤っている」のかを画面上で選択し、「誤っている」を選択した場合、正しい年齢を入力、あるいは、端末の画面上に提示された選択肢から選択する。そして、年齢判定修正手段は、利用者が入力した正しい年齢の情報を用いて、年齢判定手段が予測判定した年齢を修正する。
また、年齢判定手段が、判定結果として、複数の年齢の可能性を出力し、それを利用者に提示して選択させ、年齢判定修正手段は、その選択結果に応じて年齢判定結果を修正するという構成であってもよい。例えば、年齢判定手段による年齢の予測判定の結果が、6歳が最も可能性が高く、3~10歳までの可能性があるという場合、年齢判定修正手段を備えない場合は、保険料算出システムは、年齢判定結果のうちで最も確率の高い6歳を当該動物の年齢として、その後の保険料算出を行う。一方で、年齢判定修正手段を備える場合、利用者は、例えば、上記年齢判定の結果を端末の画面等で確認し、「7歳」を正しい年齢であるとして入力することができる。この場合、当該利用者が入力した情報をもとにして、年齢判定修正手段は、当該動物の年齢を「7歳」に修正し、本発明の保険料算出システムは、当該動物の年齢が7歳であるとして、保険料の算出を行う。
また、年齢判定手段による年齢判定の結果の選択肢の中に、利用者が考える正確な年齢が含まれていない場合、保険料算出を中止し、マニュアルによる保険料算出に移行するという構成とすることもできる。例えば、利用者が13歳と考えている犬の顔画像を本発明の保険料算出システムに入力し、年齢判定手段が、「10歳の可能性が30%、11歳の可能性が20%、その他の可能性50%」という判定結果を出力し、利用者が、「その他」を選択(画面上で『その他の年齢』をクリックする等)すると、本発明の保険料算出システムは、続く保険料算出を中止する。以後は、保険料算出に必要な情報の入力を利用者に促し、必要な情報が入力されれば、それに応じて保険料の算出を行う。
【0033】
以下、本発明の保険料算出システムの一実施態様を
図3を参照しながら説明する。
【0034】
図3中、端末40は、利用者(保険契約申込者、ユーザ)が利用する端末である。端末40は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末などが挙げられる。端末40は、CPUなどの処理部、ハードディスク、ROMあるいはRAMなどの記憶部、液晶パネルなどの表示部、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力部、ネットワークアダプタなどの通信部などを含んで構成される。
利用者は、端末40から、サーバにアクセスし、保険の対象となる動物の顔画像(写真)、及び、当該動物の種類、品種、性別、体重、既往歴などの情報を入力、送信する。保険料の算出あるいは保険加入可否の判定にあたっては、保険加入申込時点における動物の年齢を予測判定することが望まれるため、動物の顔画像(写真)は、保険契約者が保険申込みをする時点において撮影時から時間が経っていないものが好ましい。例えば、撮影時から6ヶ月以内ものが好ましく、3ヶ月以内のものがより好ましく、1ヶ月以内のものがさらに好ましい。また、利用者が、申込み時に、その場でスマートフォンのカメラを使って対象となる動物の顔写真を撮影し、それを入力、送信するという態様であってもよい。例えば、利用者は、端末40の画面上に表示される指示に従って保険対象となる動物の顔写真を撮影し、適切な写真が撮れたらそれをサーバに送信する。このとき、サーバが、別途、画像判定プログラムからなる写真撮影補助手段を備え、写真撮影補助手段が、動物の顔全体が撮像されていること、動物の顔の正面からの写真であるといった、年齢の予測判定に好適な写真であるかどうかを判定し、その判定結果をインターフェースや端末を通じて利用者に伝達するという構成を備えていてもよい。
また、利用者は、端末40がサーバにアクセスすることによって、サーバにおける年齢予測結果や保険料算出結果を受信することができる。
【0035】
本実施形態においては、サーバはコンピュータによって構成されるが、本発明にかかる機能を有する限りにおいて、どのような装置であってもよい。サーバは、クラウド上にあるサーバであってもよい。
【0036】
記憶部10は、例えばROM、RAMあるいはハードディスクなどから構成される。記憶部10には、サーバの各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶され、特に、年齢判定手段(学習済みモデル)11と、必要に応じて保険料算出手段12が記憶される。保険料の算出を目的とせず、単に年齢の予測を出力する年齢予測システムとして構成する場合には保険料算出手段12は無くてもよい。
【0037】
年齢判定手段(学習済みモデル)11は、上記のように、利用者が入力した保険対象となる動物の顔画像を入力とし、当該画像に含まれる動物の写真撮影時の年齢の予測を出力するものである。本実施形態における年齢判定手段(学習済みモデル)11は、例えばディープニューラルネットワーク又は畳み込みニューラルネットワークを含んで構成される。
【0038】
保険料算出手段12は、上記年齢判定手段11が出力した年齢の予測から、当該動物の保険料を算出するソフトウェアである。必要に応じて、利用者が入力した当該動物の種類、品種、性別、写真撮影時の体重、既往歴などの情報も保険料の算出に用いてもよい。例えば、ソフトウェアは、当該動物の種類、品種、性別、体重、既往歴等に応じて、保険料の等級分けを行い、最後に、上記判定手段11が出力した年齢の予測を加味して当該等級を修正し、最終的な保険料を算出するためのソフトウェアである。ソフトウェアは、先に年齢の予測判定結果に応じて等級分けを行い、当該動物の種類、品種、性別、体重、既往歴等に応じて保険料を修正することで最終的な保険料を算出してもよい。また、ソフトウェアは、先に品種の予測判定結果に応じて、保険料テーブルの選択を行い、当該保険料テーブルを用いて、年齢の予測結果や、動物の種類、性別、体重、既往歴等に応じて保険料を算出してもよい。保険料算出手段12と年齢判定手段(学習済みモデル)11は一つのソフトウェアであってもよい。また、保険料算出手段は、保険料算出のための計算式を用い、当該計算式に、動物の年齢等の情報を挿入することによって保険料を計算するものであってもよく、あるいは、予め
図5のような保険料テーブルを記憶部に記憶しておき、保険料算出手段がそれを参照することによって保険料を算出するというものであってもよい。
図5に記載された保険料は、月額の保険料の例である。
【0039】
処理演算部20は、記憶部に記憶された年齢判定手段(学習済みモデル)11や保険料算出手段12を用いて、年齢の予測や保険料の計算を実行する。
【0040】
インターフェース部(通信部)30は、受付手段31と出力手段32を備え、利用者の端末から、動物の顔画像やその他の情報を受け付け、利用者の端末に対して、年齢の予測や保険料の算出結果を出力する。
【0041】
次に、品種判定手段14や保険料テーブル13を備える本発明の保険料算出システムの一実施態様を
図4に示す。品種判定手段14や保険料テーブル13を備える以外は、上記
図3で示された実施態様と同様である。品種判定手段14は、受付手段に入力された動物の顔画像から、当該動物の品種を予測判定する。年齢判定手段11が複数存在する場合、品種の予測判定結果に応じて最適な年齢判定手段が選択され、年齢を予測判定する。また、保険料テーブルが、品種に応じて、或いは、品種ごとに複数記憶されている場合、品種の予測判定結果に応じて、最適な保険料テーブルが選択され、当該保険料テーブル内において、年齢の予測判定結果等に応じて保険料が算出される。
【0042】
本実施形態の保険料算出システムにより、保険契約者は、ペットの健康保険証を作成するための写真をサーバにアップロードすることで、ペットの健康保険証が作成されると同時に、ペットの保険料の算出結果を得ることができる。本実施形態では、年齢判定手段、保険料算出手段や受付手段がサーバに格納され、利用者の端末とインターネットやLAN等の接続手段で接続される態様を説明したが、本発明はこれに限定されず、年齢判定手段、受付手段、保険料算出手段、インターフェース部が一つのサーバや装置内に格納される態様や、利用者が利用する端末を別途必要としない態様等であってもよい。
【0043】
本発明の保険料算出システムは、利用者に動物の年齢を申告させたうえで、利用者から提供された動物の顔画像から年齢を予測判定し、予測判定結果に基づいて、利用者が申告した年齢を修正した上で保険料を算出するという態様であってもよい。また、本発明の保険料算出システムは、保険料算出手段が、予測判定された年齢が所定値以上であった場合、保険料の算出に代えて、又は保険料の算出とともに、保険加入不適との判断結果を提示する機能を有していてもよい。例えば、犬の場合、年齢の予測判定結果が、11歳以上、12歳以上、13歳以上、14歳以上、又は15歳以上となった場合に保険加入不適との判断結果を提示する。猫の場合、年齢の予測判定結果が、13歳以上、14歳以上、15歳以上、16歳以上、又は17歳以上となった場合に保険加入不適との判断結果を提示する。保険加入不適と判断する年齢の所定値は動物の種類や品種ごとに設定することができる。
【0044】
本発明の保険料算出システムの一実施態様に基づく保険料算出のフローチャートを
図6に示す。利用者が端末を用いて、サーバの受付手段に、保険加入を検討している動物の種類、品種、体重等の基本情報を入力するとともに、当該動物の顔画像をアップロードする(ステップS1)。サーバの処理演算部は、判定手段(学習済みモデル)を用いて、アップロードされた顔画像から、その動物の撮影時の年齢を予測判定する(ステップS2)。処理演算部は、保険料算出手段を用いて、年齢の予測判定結果を基に保険料を算出する(ステップS3)。出力手段は、算出された保険料を利用者の端末画面に表示するなどして出力し、利用者に提示する(ステップS4)。
【0045】
[疾患判定手段]
本発明の保険料算出システムは、上記年齢判定手段と品種判定手段に加えて、動物の顔画像から、その動物が疾患に罹患するかを予測判定する疾患判定手段を備えていてもよい。疾患判定手段は、ヒトを除く動物の顔画像とその動物の撮影時から所定期間内の疾患罹患の事実とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の顔画像とし、出力をその動物が疾患に罹患する予測とする学習済みモデルを含む。上記年齢判定手段と品種判定手段に加えて、疾患判定手段を備えることで、保険加入申請時に、年齢や品種を判定するだけでなく、その動物の将来の疾患罹患可能性も予測することができ、より合理性の高い保険料の算出が可能となる。
【0046】
疾患判定手段15を備える場合の本発明の保険料算出システムの一実施態様に基づく保険料算出のフローチャートを
図7に示す(構成図は、
図8)。利用者が端末を用いて、サーバの受付手段に、保険加入を検討している動物の顔画像をアップロードする(ステップS21)。サーバの処理演算部は、年齢判定手段を用いて、アップロードされた顔画像から、その動物の撮影時の年齢を予測判定する(ステップS22)。動物の品種については、顔画像のアップロード(ステップS21)と同時に利用者が入力するか、品種判定手段を用いて、アップロードされた顔画像から、その動物の品種判定する(ステップS22-2)。処理演算部は、保険料算出手段を用いて、年齢の予測判定結果及び品種を基に保険料を算出する(ステップS23)。疾患判定手段が、当該動物の顔画像からその動物の将来の疾患への罹患可能性を予測判定する(ステップS24)。そして、疾患への罹患可能性が高ければ、保険料算出手段が、年齢に基づいて算出された保険料を上げる方向で保険料を補正し、疾患への罹患可能性が低ければ、保険料を下げる方向で保険料を補正する(ステップS25)。また、保険料算出手段は、疾患への罹患可能性が、その動物の平均と変わらない場合には、年齢に基づく保険料を補正しないで算出する機能を有していてもよい。また、疾患への罹患可能性が所定値以上の場合には、年齢の予測判定結果にもかかわらず、保険加入不適との判定結果を出力をする機能を有していてもよい。出力手段は、算出された保険料を利用者の端末画面に表示するなどして出力し、利用者に提示する(ステップS26)。
【0047】
疾患罹患可能性の学習のための教師データは、動物の顔画像とその動物が顔画像撮影時から所定期間内に、好ましくは3年以内、より好ましくは2年以内、さらに好ましくは1年以内に疾患に罹患したか、罹患しなかったかの罹患の有無である。教師データとしての動物の顔画像は、上記受付方法で説明した顔画像と同様である。当該動物が疾患に罹患したかどうかの情報は、例えば、保険請求の事実(「事故」ともいう)として、動物病院あるいは保険をかけた飼い主等から入手可能である。つまり、当該動物がペット保険をかけられた動物である場合、当該動物が病院にかかり疾患に罹患したとの診断を受ければ、動物病院あるいは飼い主(ペット保険の契約者)が、保険会社に対して疾患への罹患の事実とともに保険金支払いを請求するので、保険会社は当該動物が疾患に罹患したことを知ることができる。他方、顔画像の作成から所定時間経過までに保険金の請求がなければ、保険をかけられた当該動物はその期間疾患に罹患しなかったと判断することができる。
【0048】
学習済みモデルは、個々の疾患ごとに生成してもよく、複数の疾患をまとめて生成してもよい。個々の疾患ごとに学習済みモデルを生成する場合には、特定の疾患に罹患した動物について、当該疾患への罹患から所定期間前に撮影された顔画像と、当該疾患に罹患したこと、比較対象として顔画像撮影から所定期間疾患に罹患しなかった動物の顔画像と、所定期間疾患に罹患しなかったことを教師データとして学習を行う。複数の疾患をまとめて学習させる場合には、教師データとして、ある疾患に罹患した動物とその罹患から所定期間前に撮影された顔画像、その疾患とは別の疾患に罹患した動物とその罹患から所定期間前に撮影された顔画像、さらに別の疾患に罹患した動物とその罹患から所定期間前に撮影された顔画像、というように、複数の種類の教師データを用意すればよい。
【0049】
[疾患]
本発明において対象となる疾患の種類は特に限定されず、例えば、眼科系疾患、耳科系疾患、皮膚系疾患が挙げられる。眼科系疾患としては、結膜炎、目やに、角膜炎、角膜潰瘍/びらん、流涙症、白内障、緑内障が挙げられる。耳科系疾患としては、外耳炎、中耳炎が挙げられる。皮膚系疾患としては、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、膿皮症が挙げられる。
【0050】
[保険加入可否判定システム]
本発明の保険加入可否判定システムは、上記の年齢の予測判定結果をもとにして、保険加入可否を判定するシステムである。すなわち、本発明の保険料算出システムでは、保険加入可否判定手段が、動物の顔写真から予測判定された年齢が所定値以上であった場合、保険加入不適との判定を行う。例えば、犬の場合、年齢の予測判定結果が、11歳以上、12歳以上、13歳以上、14歳以上、又は15歳以上となった場合に保険加入不適との判断結果を提示する。猫の場合、年齢の予測判定結果が、13歳以上、14歳以上、15歳以上、16歳以上、又は17歳以上となった場合に保険加入不適との判断結果を提示する。保険加入不適と判断する年齢の所定値は動物の種類や品種ごとに設定することができる。保険加入可否判定手段は、上記判定手段11が出力した年齢の予測から、当該動物の保険加入可否を判定するソフトウェアである。必要に応じて、利用者が入力した当該動物の種類、品種、性別、写真撮影時の年齢(申告年齢)、体重、既往歴などの情報も保険加入可否の判定に用いてもよい。
【実施例】
【0051】
[年齢判定]
[実施例1]
トイプードルの顔写真(一例として、
図9~
図11のカラー写真。256×256ピクセルに統一した。)を用いて、ディープラーニングを行い、学習済みモデルを生成した。使用した顔写真は、乳幼児(1歳未満)のものが11519枚、老齢(8歳以上)のものが11519枚であった。
AnacondaでのTensorFlow環境下にて、畳み込みニューラルネットワークを用い、写真データを乳幼児又は老齢でラベル付けをしてディープラーニングを行った。
生成された学習モデルを用いて、検証として、上記学習済みモデルの評価に用いた「乳幼児」および「老齢」の顔写真各1000枚を、「乳幼児」か「老齢」かの判定をさせたところ、正答率は、93.5%であった。
また、生成された学習モデルを用いて、テストとして、上記学習済みモデルの生成に用いた顔写真とは別の「乳幼児」および「老齢」の顔写真各1000枚について「乳幼児」か「老齢」かの判定をさせたところ、正答率は、92.5%であった。
【0052】
[実施例2]
トイプードルの顔写真を用いて、ディープラーニングを行い、学習済みモデルを生成した。使用した顔写真は、乳幼児(1歳未満)のものが11519枚、中間齢(3~5歳)のものが11519枚、老齢(8歳以上)のものが11519枚であった。
AnacondaでのTensorFlow環境下にて、畳み込みニューラルネットワークを用い、写真データを乳幼児、中間齢又は老齢でラベル付けをしてディープラーニングを行った。
生成された学習モデルを用いて、検証として、上記学習済みモデルの評価に用いた顔写真のうち、「乳幼児」、「中間齢」および「老齢」の顔写真各1000枚を、「乳幼児」、「中間齢」又は「老齢」かの判定をさせたところ、「老齢」についての正答率は、87.5%であった。
また、生成された学習モデルを用いて、テストとして、上記学習済みモデルの生成に用いた顔写真とは別の「乳幼児」、「中間齢」および「老齢」の顔写真各1000枚について、「乳幼児」、「中間齢」又は「老齢」かの判定をさせたところ、「老齢」についての正答率は、87.8%であった。
【0053】
[実施例3]
次に、第2段階の学習として、乳幼児の顔写真40207枚と、中間齢の顔写真40207枚を用いてディープラーニングを行った。
生成された学習モデルを用いて、検証として、上記学習済みモデルの評価に用いた顔写真のうち、「乳幼児」および「中間齢」の顔写真各3000枚を、「乳幼児」か「中間齢」かの判定をさせたところ、正答率は、92.2%であった。
また、生成された学習モデルを用いて、テストとして、上記学習済みモデルの生成に用いた顔写真とは別の「乳幼児」および「中間齢」の顔写真各3000枚について、「乳幼児」か「中間齢」かの判定をさせたところ、正答率は、91.5%であった。
【0054】
[疾患判定]
[実施例4]
トイプードルの顔写真(一例として、
図9~
図11のカラー写真。256×256ピクセルに統一した。)を
図12の表記載の枚数用いて、ディープラーニングを行い、学習済みモデルを生成した。
人工知能(ニューラルネットワーク)としては、GoogleNetを用い、学習用ソフトウェ
アとして、NVIDIA DIGITS Ver.3.0.0を用い、写真データを疾患への罹患の有無でラベ
ル付けをしてディープラーニングを行った。
【0055】
眼科系疾患については、教師データ用写真として、写真撮影後1年以内に眼科系疾患に罹患したトイプードルの写真を4800枚、1年以内に眼科系疾患に罹患しなかったトイプードルの写真を4800枚用いて学習済みモデルAの生成を行った。
生成された学習済みモデルAについて、学習用に用いた9600枚の写真のうち、2400枚を用いてテストを行ったところ、眼科系疾患の有無の判定の正答率(実際に1年以内に疾患に罹患した動物の写真を「疾患罹患あり」と判定した写真の枚数と、実際に1年以内に疾患に罹患しなかった動物の写真を「疾患罹患なし」と判定した写真の合計枚数の、全体の枚数に対する割合)は70.5%であった。
【0056】
耳科系疾患については、教師データ用写真として、写真撮影後1年以内に耳科系疾患に罹患したトイプードルの写真を6400枚、1年以内に耳科系疾患に罹患しなかったトイプードルの写真を6400枚用いて学習済みモデルBの生成を行った。
生成された学習済みモデルBについて、学習用に用いた12800枚の写真のうち、3200枚を用いてテストを行ったところ、耳科系疾患の有無の判定の正答率は56.4%であった。
【0057】
皮膚系疾患については、教師データ用写真として、写真撮影後1年以内に皮膚科系疾患に罹患したトイプードルの写真を6400枚、1年以内に皮膚科系疾患に罹患しなかったトイプードルの写真を6400枚用いて学習済みモデルCの生成を行った。
生成された学習済みモデルCについて、学習用に用いた12800枚の写真のうち、3200枚を用いてテストを行ったところ、皮膚科系疾患の有無の判定の正答率は64.9%であった。
【0058】
上記で生成された学習済みモデルA~Cについて、教師用データとして用いなかったトイプードルの画像を用いて判定を行った。
【0059】
眼科系疾患については、教師用データとして用いなかったトイプードルの画像を4066枚使用し、うち、2033枚が眼科系疾患に罹患しなかったトイプードルの画像(「事故なし」)であり、2033枚が撮影から1年以内に眼科系疾患に罹患したトイプードルの画像(「事故あり」)であった。学習済みモデルAは、トイプードルの疾患の予測として、正答率が70.1%であった。
【0060】
耳科系疾患については、教師用データとして用いなかったトイプードルの画像を4000枚使用し、うち、2000枚が耳科系疾患に罹患しなかったトイプードルの画像(「事故なし」)であり、2000枚が撮影から1年以内に耳科系疾患に罹患したトイプードルの画像(「事故あり」)であった。学習済みモデルBは、トイプードルの疾患の予測として、正答率が55.0%であった。
【0061】
皮膚科系疾患については、教師用データとして用いなかったトイプードルの画像を4000枚使用し、うち、2000枚が皮膚科系疾患に罹患しなかったトイプードルの画像(「事故なし」)であり、2000枚が撮影から1年以内に皮膚科系疾患に罹患したトイプードルの画像(「事故あり」)であった。学習済みモデルCは、トイプードルの疾患の予測として、正答率が63.9%であった。
【0062】
[品種判定]
[実施例5]
トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、パピヨン、マルチーズ、シー・ズー、ミニチュア・ダックスフント、柴、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ウェルシュ・コーギー・ぺンブローク、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバーの品種ごとに400枚の画像を用意し、教師あり学習を行って品種判定用の学習済みモデルを生成した。
学習方法は、人工知能(ニューラルネットワーク)としてMobileNetNetv3_largeを使用した転移学習であり、機械学習ライブラリ(Deep Learningライブラリ)としてPytorchを用いた。
【0063】
得られた学習済みモデルそれぞれを用いて、品種ごとに150枚、計2400枚の画像を用いてテストを行った。すなわち、トイプードルを例にすると、正解の画像が150枚、不正解(トイプードル以外の品種)の画像が2250枚という条件でテストを行った。
品種ごとの正答率(トイプードルを例にすると、2400枚の画像のうち、トイプードルの画像をトイプードルと判定できた割合)を下記表1に示す。
【0064】