(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】需要分散装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20240612BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20240612BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
G06Q30/0202
G06Q30/015
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2021519414
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018722
(87)【国際公開番号】W WO2020230736
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019091431
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】篠田 謙司
(72)【発明者】
【氏名】山田 将人
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
(72)【発明者】
【氏名】木本 勝敏
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-206857(JP,A)
【文献】特開2015-153088(JP,A)
【文献】特開2017-015699(JP,A)
【文献】特開2003-122908(JP,A)
【文献】特開2017-084083(JP,A)
【文献】特開2008-009905(JP,A)
【文献】特開2018-097729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導する誘導部と、
を備え、
前記誘導部は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率
が所定の基準より高いユーザを誘導する、
需要分散装置。
【請求項2】
施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導する誘導部と、
を備え、
前記誘導部は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設が複数ある場合、それぞれの施設に対してユーザが当該一時刻に訪問する確率
がより高い施設にユーザを誘導する、
需要分散装置。
【請求項3】
施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導する誘導部と、
を備え、
前記誘導部は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率に基づいた
金額のクーポンの配信を当該ユーザに行うことでユーザを誘導する、
需要分散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、一施設から一施設へユーザを誘導する需要分散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、第1施設が満席である場合に第2施設で利用可能なクーポンをユーザに対して提供することでユーザを第2施設に誘導する提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提供装置は、現時点で第1施設が満席である場合にユーザを誘導するものであって、未来の状況は考慮していない。それゆえに、未来の状況を考慮した上でユーザを誘導することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本開示の一側面は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、より適切にユーザを誘導することができる需要分散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一側面に係る需要分散装置は、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報を取得する取得部と、取得部によって取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導する誘導部と、を備える。
【0007】
このような需要分散装置によれば、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザが誘導される。かかる構成を採れば、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足を考慮した上でユーザを誘導することができるため、より適切にユーザを誘導することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、より適切にユーザを誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る需要分散装置を含む需要分散システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る需要分散装置の利用例を説明する概念図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る需要分散装置の機能ブロック図である。
【
図4】受け入れ可能需要マスタのテーブル例を示す図である。
【
図5】受け入れ可能需要データのテーブル例を示す図である。
【
図6】需要予測学習用データのテーブル例を示す図である。
【
図7】需要予測予測用データのテーブル例を示す図である。
【
図9】訪問確率データのテーブル例を示す図である。
【
図10】エリア別訪問確率データのテーブル例を示す図である。
【
図11】ユーザ位置履歴データのテーブル例を示す図である。
【
図12】店舗位置マスタのテーブル例を示す図である。
【
図13】配信先マスタのテーブル例を示す図である。
【
図14】最適金額グラフのグラフ例を示す図である。
【
図15】クーポン配信履歴データのテーブル例を示す図である。
【
図16】ユーザ属性データのテーブル例を示す図である。
【
図17】クーポン配信スケジュールデータのテーブル例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る需要分散装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の実施形態に係る需要分散装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面とともに需要分散装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明における実施形態は、本発明の具体例であり、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0011】
図1は、本実施形態に係る需要分散装置1を含む需要分散システム3のシステム構成図である。
図1に示す通り、需要分散システム3は、需要分散装置1及び一つ以上の携帯端末2を含んで構成される。需要分散装置1と各携帯端末2とは移動体通信ネットワーク等のネットワークによって互いに通信接続され、互いに情報を送受信可能である。
【0012】
需要分散装置1は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導するコンピュータ装置である。需要は、商品又はサービス等に対する購買力の裏付けのある欲望、又は当該欲望の社会的総量である。本実施形態では、需要として、店舗などの施設における来客数、売上金額又は販売個数などを想定するが、これに限るものではない。受け入れ可能な需要が超過する(過剰となる)とは、例えば店舗などの施設において、施設の席数を超える来客数又は(席数に基づく)売上金額となる、施設のスタッフでまかなえきれない売上金額又は来客数となる、施設で準備した商品を超える販売個数となる、などである。一方、受け入れ可能な需要が不足する(過少となる)とは、例えば店舗などの施設において、施設の席数よりも少ない来客数又は(席数に基づく)売上金額となる、施設のスタッフが余る(手持ち無沙汰になる)売上金額又は来客数となる、施設で準備した商品よりも少ない販売個数となる、などである。施設は、店舗、飲食店及びイベント施設などの、需要を提供する商業施設などを想定するが、これに限るものではない。また、本実施形態では、用語「施設」を、単に物理的な施設のみを示すのではなく、当該施設が提供するサービスなども含めた意味でも用いるものとする。本実施形態において、「店舗」は適宜「施設」に読み替えてもよい。需要分散装置1によるユーザの誘導は、需要分散装置1が、ユーザが携帯する携帯端末2に情報(指示)を送信することで行われる。需要分散装置1の詳細については後述する。
【0013】
携帯端末2は、移動体通信を行う移動体通信端末又はノートパソコンなどのコンピュータ装置である。本実施形態では、携帯端末2として、スマートフォンを想定するが、これに限るものではない。携帯端末2は、携帯端末2のユーザによって携帯される。携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)を備え、GPSを利用して当該携帯端末2の現在の位置情報(緯度、経度等)を取得する。なお、携帯端末2は、GPSを利用せずに、基地局情報に基づいて現在の位置情報を取得してもよい。携帯端末2は、位置情報を適宜取得し、取得した位置情報を需要分散装置1に適宜送信してよい。携帯端末2は、一般的なスマートフォンが備えるその他のセンサや機能を備えてもよい。
【0014】
携帯端末2は、需要分散装置1から情報(指示)を受信し、受信した情報を当該携帯端末2を携帯するユーザに出力(表示)する。ユーザは、出力された情報に基づいて何らかの動機付けが発生し、何らかの行動をとる。すなわち、ユーザは需要分散装置1により誘導される。本実施形態では、需要分散装置1が携帯端末2を介してユーザに施設のクーポン(割引券)を提示することで、当該施設にユーザを誘導することを想定するが、これに限るものではない。
【0015】
図2は、需要分散装置1の利用例を説明する概念図である。未来の一時刻である時刻tにおいて、施設S1は受け入れ可能な需要が超過する(高需要が見込まれる)と予測されているものとする。また、未来の一時刻である時刻t’において、施設S2は受け入れ可能な需要が不足する(低需要が見込まれる)と予測されているものとする。需要分散装置1は、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足を考慮し、施設S1から施設S2への訪問を推奨するよう、施設S1から施設S2へユーザを誘導する。需要分散装置1によるユーザの誘導方法としては、店舗及び/又は時間限定のクーポンを配信すること、クーポン金額が状況に応じ動的に変更されるクーポンを配信することなどが挙げられる。需要分散装置1によってユーザが誘導されることで、例えば、施設S1は、時刻tにおいて「スタッフが少ないのにお客さんがたくさん来そうだ(汗)」という状態から、時刻t’において「お客さんが過剰に来ずに、助かった」という状態になる。また、例えば、施設S2は、時刻tにおいて「スタッフが多いのにお客さんがあんまり来てくれないかも…」という状態から、時刻t’において「お客さんがきてくれてスタッフが余らずに済んだ!」という状態になる。すなわち、施設S1及び施設S2はWin-Winの関係となる。なお、時刻t及び時刻t’は、別の時刻であってもよいし、同じ時刻であってもよい。また、施設S1及び施設S2は、別の施設であってもよいし、同じ施設であってもよい。
【0016】
続いて、需要分散装置1の機能の詳細について説明する。
図3は、需要分散装置1の機能ブロック図である。
図3に示す通り、需要分散装置1は、格納部10、算出部11、取得部12及び誘導部13を含んで構成される。
【0017】
需要予測装置1の各機能ブロックは、需要予測装置1内にて機能することを想定しているが、これに限るものではない。例えば、需要予測装置1の機能ブロックの一部は、需要予測装置1とは異なるコンピュータ装置であって、需要予測装置1とネットワーク接続されたコンピュータ装置内において、需要予測装置1と情報を適宜送受信しつつ機能してもよい。また、需要予測装置1の一部の機能ブロックは無くてもよいし、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックに統合してもよいし、一つの機能ブロックを複数の機能ブロックに分解してもよい。
【0018】
以下、
図3に示す需要分散装置1の各機能ブロックについて説明する。
【0019】
格納部10は、需要分散装置1が行う各種処理で用いる各種データを格納する。格納部10によって格納された各種データは、需要分散装置1が行う各種処理において各機能ブロックによって適宜参照及び更新される。
【0020】
算出部11は、施設の未来の予測リソース及び予測需要に基づいて、当該施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報を算出する。リソースは、施設が提供し得る資源であり、例えば施設のスタッフ(数)及び施設の空き状況などである。算出部11による需要情報の算出例について、
図4~
図8に示すテーブル例を用いて説明する。
【0021】
図4は、受け入れ可能需要マスタのテーブル例を示す図である。受け入れ可能需要マスタは、ある店舗のある日時におけるスタッフ数の閾値及び受け入れ可能な需要(売上金額)を示すマスタデータである。
図4に示す通り、受け入れ可能需要マスタは、店舗(を識別する店舗名)と、日にちと、時間と、当該店舗の当該日時(当該日にちの当該時間)におけるスタッフ数の下限の閾値と、当該店舗の当該日時におけるスタッフ数の上限の閾値と、当該店舗の当該日時における受け入れ可能需要とが対応付いている。受け入れ可能需要マスタは、各店舗の関係者などによって予め作成され、格納部10によって予め格納される。
【0022】
図5は、受け入れ可能需要データのテーブル例を示す図である。受け入れ可能需要データは、ある店舗のある日時における受け入れ可能な需要(売上金額)を示すデータである。
図5に示す通り、受け入れ可能需要データは、店舗(を識別する店舗名)と、日にちと、時間と、当該店舗の当該日時(当該日にちの当該時間)における予定スタッフ数(施設の未来の予測リソース)と、当該店舗の当該日時における受け入れ可能需要とが対応付いている。受け入れ可能需要データは、当初は予定スタッフ数と受け入れ可能需要とが空欄である。まず、各店舗の関係者などが、当該店舗のシフト予定表などに基づいて予定スタッフ数を登録する。次に、各店舗の関係者などが、受け入れ可能需要マスタを参照して、受け入れ可能需要データの店舗と日時とスタッフ数に(最も)対応付いている受け入れ可能需要を抽出し、抽出した受け入れ可能需要を登録する。受け入れ可能需要データは、格納部10によって格納される。
【0023】
図6は、需要予測学習用データのテーブル例を示す図である。需要予測学習用データは、ある店舗のある日時における需要(売上金額)を予測するための予測モデルを生成するための学習用データであり、過去のデータである。
図6に示す通り、需要予測学習用データは、店舗(を識別する店舗名)と、期間と、当該店舗周辺における当該期間の30分前の在圏人数と、当該店舗周辺における当該期間の雨量と、当該店舗周辺における当該期間の風量と、当該店舗における当該期間の1年前の同週同曜日の売上平均(1年前同週同曜日売上平均)と、当該店舗における当該期間の3ヶ月前の同週同曜日の売上平均(3ヶ月前同週同曜日売上平均)と、当該店舗における当該期間の売上金額の実績値とが対応付いている。雨量及び風量は気象情報であり、1年前同週同曜日売上平均及び3ヶ月前同週同曜日売上平均は売上実績統計量であり、気象情報及び売上実績統計量は学習用特徴量である。需要予測学習用データは、各店舗の関係者などによって予め作成され、格納部10によって予め格納される。
【0024】
算出部11は、需要予測学習用データを用いて学習することで、予測モデルを生成し、生成した予測モデルを格納部10によって格納させる。生成した予測モデルは、任意のタイミングでの売上金額の予測値を算出することができる。
【0025】
図7は、需要予測予測用データのテーブル例を示す図である。需要予測予測用データは、予測モデルに適用することで、ある店舗のある日時における需要(売上金額)を予測するための予測用データである。需要予測予測用データのテーブル内容は、需要予測学習用データのテーブル内容と同様である。例えば、各店舗の関係者などが、予測用特徴量として、指定されたタイミングに関連する雨量(天気予報などに基づいて取得)、風量(天気予報などに基づいて取得)、1年前同週同曜日売上平均及び3ヶ月前同週同曜日売上平均を登録し、(
図6の売上金額実績値に対応する)売上金額予測値は空欄として、需要予測予測用データを作成し、格納部10によって格納させる。そして算出部11は、格納部10によって格納された需要予測予測用データを、格納部10によって格納された予測モデルに適用することで、指定されたタイミングでの売上金額が、(
図7のテーブル例の一番右の)売上金額予測値(施設の未来の予測需要)として予測される。算出部11は、予測された売上金額予測値で更新登録された需要予測予測用データを格納部10によって格納させる。
【0026】
図8は、需要情報のテーブル例を示す図である。需要情報は、算出部11によって、格納部10によって格納された受け入れ可能需要データと、格納部10によって格納された需要予測予測用データとに基づいて算出される。より具体的には、算出部11は、受け入れ可能需要データにおいて、ある店舗のある日時における受け入れ可能な需要を取得し、需要予測予測用データにおいて、当該店舗の当該日時における売上金額予測値を取得し、取得した受け入れ可能な需要に対して取得した売上金額予測値が一定閾値以上の場合は超過と判定し(需要情報の超過・不足フラグを「超過」として登録する)、取得した受け入れ可能な需要に対して取得した売上金額予測値が一定閾値以下の場合は不足と判定する(需要情報の超過・不足フラグを「不足」として登録する)。算出部11は、算出した需要情報を格納部10によって格納させる。
【0027】
取得部12は、施設の需要情報を取得する。取得部12は、算出部11によって算出された施設の需要情報を取得してもよい。取得部12は、格納部10によって格納された施設の需要情報を取得してもよい。取得部12は、ネットワークを介して他の装置から施設の需要情報を取得してもよい。取得部12は、取得した需要情報を誘導部13に出力する。
【0028】
誘導部13は、取得部12によって取得(入力)された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザを誘導する。例えば、誘導部13は、
図8に示す需要情報のテーブル例に基づき、A店からB店にユーザを誘導する。
【0029】
誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設が、ユーザを誘導することで当該一時刻において受け入れ可能な需要が不足しないようにユーザを誘導してもよい。誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設が、ユーザを誘導することで当該一時刻において受け入れ可能な需要が超過しないようにユーザを誘導してもよい。例えば、誘導部13は、誘導したユーザの数をカウントし、所定の数以上のユーザは誘導しないようにする。
【0030】
誘導部13は、クーポン利用の対象施設及び対象時間の少なくとも一つを限定したクーポンの配信をユーザに行うことでユーザを誘導してもよい。例えば、誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設のみで利用できるクーポンの配信を行う。また例えば、誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設がある場合、当該一時刻近辺の時間のみ利用できるクーポンの配信を行う。
【0031】
誘導部13は、ユーザが未来の一時刻に一施設へ訪問する確率(可能性)を算出し、算出した確率に基づいてユーザを誘導してもよい。ユーザが一施設へ訪問する確率は、当該ユーザと当該一施設との距離、又は、当該ユーザの過去の移動履歴に基づいてもよい。以下、誘導部13の処理の3つの具体例を挙げる。
【0032】
[ユーザ選択]
誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率に基づいてユーザを誘導してもよい。具体的には、誘導部13は、ユーザごとに時刻tに施設へ訪問する確率を算出し、高確率(所定の確率よりも高い確率)で高需要である(受け入れ可能な需要が超過する)施設(施設S1)に訪問が見込まれるユーザへ優先的にクーポン配信を実施する。誘導部13は、施設へ訪問する確率を、ユーザの現在位置が施設S1への距離から遠ければ小さく、近ければ高くなるように算出する。または、誘導部13は、施設へ訪問する確率を、ユーザの未来の経路を予測し、時刻tでの施設S1からの距離をもとに算出する。なお、誘導部13は、ユーザから取得した過去の経路・在圏情報をもとに、ある位置からスタートした所定時刻後での各エリア在圏確率を予め算出しておき、算出した各エリア在圏確率を参照することで未来の経路を予測する。
【0033】
本具体例の処理において誘導部13が利用するデータを
図9~
図13を用いて説明する。各データは、誘導部13、需要分散装置1又は各店舗の関係者などによって、携帯端末2及び他の装置などから適宜情報を取得し、適宜作成され、格納部10によって格納される。
【0034】
図9は、訪問確率データのテーブル例を示す図である。訪問確率データは、あるユーザがある曜日のある時間のある時間後にある店舗を訪問する確率を示すデータである。
図9に示す通り、訪問確率データは、ユーザを識別するユーザIDと、曜日と、時間と、各店舗ごとに当該ユーザが当該曜日の当該時間のある時間後に当該店舗に訪問する確率とが対応付いている。
【0035】
図10は、エリア別訪問確率データのテーブル例を示す図である。エリア別訪問確率データは、訪問確率データに対してさらにユーザの現在在圏エリアが対応付いたデータである。
図10に示す通り、エリア別訪問確率データは、ユーザを識別するユーザIDと、曜日と、時間と、当該ユーザの現在在圏エリアと、各店舗ごとに当該現在在圏エリアに在圏する当該ユーザが当該曜日の当該時間のある時間後に当該店舗に訪問する確率とが対応付いている。
【0036】
図11は、ユーザ位置履歴データのテーブル例を示す図である。ユーザ位置履歴データは、ユーザの位置履歴を示すデータである。
図11に示す通り、ユーザ位置履歴データは、ユーザを識別するユーザIDと、日時と、当該ユーザが当該日時に位置した緯度及び経度とが対応付いている。
【0037】
図12は、店舗位置マスタのテーブル例を示す図である。店舗位置マスタは、店舗の位置を示すマスタデータである。
図12に示す通り、店舗位置マスタは、店舗を識別する店舗名と、当該店舗が位置する緯度及び経度とが対応付いている。
【0038】
図13は、配信先マスタのテーブル例を示す図である。配信先マスタは、ユーザの配信先を示すマスタデータである。
図13に示す通り、配信先マスタは、ユーザを識別するユーザIDと、当該ユーザの配信先(メールアドレス)とが対応付いている。
【0039】
[誘導先の決定]
誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設が複数ある場合、それぞれの施設に対してユーザが当該一時刻に訪問する確率に基づいてユーザを誘導してもよい。具体的には、誘導部13は、受け入れ可能な需要が超過する施設(施設S1)からの誘導先施設が複数存在する場合、以下の3つの方法の何れか又は組み合わせで決定する。
(1)各ユーザの現在位置を取得し、ユーザにより近い店舗へ誘導する。
(2)各ユーザの未来の経路を計算し、誘導したい時刻においてユーザが最も近い店舗へ誘導する。
(3)各ユーザの各施設への誘導コストを計算し、最も誘導コストが小さくなる組み合わせで誘導する。なお、誘導コストは、例えば、後述の[金額決定]の[[方法2]]により決定される。
【0040】
本具体例の処理において誘導部13は、上述した訪問確率データ、エリア別訪問確率データ、ユーザ位置履歴データ及び店舗位置マスタなどを利用する。
【0041】
[金額決定]
誘導部13は、ユーザへのクーポンの過去の配信に対する当該ユーザの反応度合に基づいたクーポンの配信を行うことでユーザを誘導してもよい。誘導部13は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率に基づいたクーポンの配信を当該ユーザに行うことでユーザを誘導してもよい。
【0042】
具体的に、誘導部13は、クーポン金額について、事前に蓄積したクーポン配信数、クーポン金額及び反応者数から、どの程度の金額に対しどの程度のユーザが反応したかをあらかじめ算出しておき、算出結果に基づいて今回誘導したい人数に最適な金額を決定する。さらに、誘導部13は、以下の方法1又は方法2により、ユーザごとに個別にクーポン金額を決定してもよい。
【0043】
[[方法1]]
各ユーザの、クーポン配信時点における施設への距離や到達時間に応じてクーポン金額を決定する。
【0044】
[[方法2]]
ユーザごと、あるいは属性情報(性年代、飲食好き、美術館好きなど)が同一のユーザ群ごとに、施設への距離に対してどの程度の金額に対しどの程度反応したかを予め算出しておき、クーポン金額を決定する。
図14は、最適金額グラフのグラフ例を示す図である。
図14に示す通り、x軸が施設からユーザへの距離を示し、y軸がクーポン金額を示すグラフにおいて、各ユーザ群ごとに最適な金額が関数として示され、対応する関数において、ある時刻でのユーザの位置を入力することで、当該ユーザにとって最適な金額を決定することができる。
【0045】
本具体例の処理において誘導部13が利用するデータを
図15~
図17を用いて説明する。各データは、誘導部13、需要分散装置1又は各店舗の関係者などによって、携帯端末2及び他の装置などから適宜情報を取得し、適宜作成され、格納部10によって格納される。
【0046】
図15は、クーポン配信履歴データのテーブル例を示す図である。クーポン配信履歴データは、クーポンを配信した際の状況とユーザの反応の履歴を示すデータである。
図15に示す通り、クーポン配信履歴データは、クーポンを識別するクーポンIDと、当該クーポンを配信した配信日時と、当該クーポンを配信したユーザを識別する配信ユーザと、当該クーポンの割引金額(又はクーポン内容)と、当該クーポンによってユーザを誘導した誘導先店舗(を識別する店舗名)と、当該配信ユーザの当該誘導先店舗までの距離及び所要時間と、当該配信ユーザが当該クーポンを開封したか否かの開封有無と、当該配信ユーザが当該クーポンを使用したか否かの使用有無とが対応付いている。
【0047】
図16は、ユーザ属性データのテーブル例を示す図である。ユーザ属性データは、ユーザの属性を示すデータである。
図16に示す通り、ユーザ属性データは、ユーザを識別するユーザIDと、当該ユーザの性別と、当該ユーザの年代と、当該ユーザの趣味嗜好とが対応付いている。
【0048】
図17は、クーポン配信スケジュールデータのテーブル例を示す図である。クーポン配信スケジュールデータは、誘導部13が実際にクーポンを配信するスケジュールを示すデータである。
図17に示す通り、クーポン配信スケジュールデータは、クーポンを識別するクーポンIDと、当該クーポンを配信する予定の配信日時と、当該クーポンを配信する先のユーザを識別する配信ユーザと、当該クーポンの割引金額(又はクーポン内容)と、当該クーポンによって当該配信ユーザを誘導する誘導先店舗(クーポン利用可能店舗)と、当該クーポンによって当該配信ユーザを誘導する誘導先時間(クーポン利用可能時間帯)とが対応付いている。
【0049】
誘導部13は、クーポン配信履歴データ及びユーザ属性データの情報を用いて、ユーザ全体の、又はユーザ別の、又はユーザ属性別の、クーポン金額(又はクーポン内容)と施設へ訪問する確率との関係を算出し、配信するクーポンの量及び金額を決定し、クーポン配信スケジュールデータに登録する。
【0050】
続いて、
図18に示すフローチャートを用いて、需要分散装置1における需要分散方法の処理について説明する。まず、算出部11により、施設の未来の予測リソース及び予測需要に基づいて、当該施設の需要情報が算出される(ステップS1)。次に、取得部12により、S1にて算出された施設の需要情報が取得される(ステップS2)。次に、誘導部13により、S2にて取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザが誘導される(ステップS3)。なお、S1は省略可能であり、その場合、S2では予め格納された需要情報が取得されたり、他の装置から需要情報が取得されたりする。
【0051】
次に、本実施形態のように構成された需要分散装置1の作用効果について説明する。
【0052】
本実施形態の需要分散装置1によれば、取得部12により、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足に関する需要情報が取得され、誘導部13により、取得部12によって取得された需要情報に基づいて、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設から、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ、ユーザが誘導される。これにより、施設の受け入れ可能な需要の未来の過不足を考慮した上でユーザを誘導することができるため、より適切にユーザを誘導することができる。それゆえに、より確実に需要をバランシング(分散)できる。
【0053】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、ユーザが未来の一時刻に一施設へ訪問する確率が算出され、算出された確率に基づいてユーザが誘導される。これにより、例えば、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する施設に訪問する確率が所定の基準より高いユーザを別の施設に誘導したり、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設に訪問する確率が所定の基準より高いユーザを当該施設に誘導したりすることができるなど、より確実に需要をバランシングできるよう、ユーザを誘導することができる。
【0054】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、ユーザが一施設へ訪問する確率は、当該ユーザと当該一施設との距離、又は、当該ユーザの過去の移動履歴に基づくものである。これにより、より精度良く確率を算出することができる。
【0055】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率に基づいてユーザが誘導される。これにより、例えば、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する施設に訪問する確率が所定の基準より高いユーザを別の施設に誘導することができるなど、より確実に需要をバランシングできるよう、ユーザを誘導することができる。
【0056】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設が複数ある場合、それぞれの施設に対してユーザが当該一時刻に訪問する確率に基づいてユーザが誘導される。これにより、当該確率がより高い施設に当該ユーザを誘導することができるなど、より確実に需要をバランシングできるよう、ユーザを誘導することができる。
【0057】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、ユーザへのクーポンの過去の配信に対する当該ユーザの反応度合に基づいたクーポンの配信を行うことでユーザが誘導される。これにより、ユーザがクーポンにより確実に反応するようにクーポンを配信することができるため、より確実に需要をバランシングできるよう、ユーザを誘導することができる。
【0058】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設へ当該一時刻にユーザが訪問する確率に基づいたクーポンの配信を当該ユーザに行うことでユーザが誘導される。これにより、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する施設へユーザをより確実に誘導することができるため、より確実に需要をバランシングできる。
【0059】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、クーポン利用の対象施設及び対象時間の少なくとも一つを限定したクーポンの配信をユーザに行うことでユーザが誘導される。これにより、より確実に対象施設及び/又は対象時間にユーザを誘導することができるため、より確実に需要をバランシングできる。
【0060】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、誘導部13により、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に超過する一施設が、ユーザを誘導することで当該一時刻において受け入れ可能な需要が不足しないようにユーザが誘導される、又は、受け入れ可能な需要が未来の一時刻に不足する一施設が、ユーザを誘導することで当該一時刻において受け入れ可能な需要が超過しないようにユーザを誘導される。これにより、より確実に需要をバランシングできる。
【0061】
また、本実施形態の需要分散装置1によれば、算出部11により、施設の未来の予測リソース及び予測需要に基づいて、当該施設の需要情報が算出され、取得部12により、算出部11によって算出された施設の需要情報が取得される。これにより、任意のタイミングで需要情報を算出及び取得することができるため、よりタイムリーに需要をバランシングできる。
【0062】
ここで、本開示の一側面の背景として、需要予測に基づいてスタッフの稼働調整を行い、飲食店やイベント施設等の人的負担を軽減したいという要求があった。すなわち、ある日に店舗に割り当てたリソースを最大限に活用し、業務効率化を行えることが価値であった。既存技術としては、施設付近に在圏しているユーザを把握し、施設の空き状況を加味して所定施設への訪問を勧奨するようなクーポン配信を行う技術が存在する。しかしながら、あくまで現時点での空き状況のみを加味した勧奨となっており、現在時刻から所定時刻後の施設の混み具合・空き具合といった状況を加味した勧奨にはなっていない。そのため、所定時刻後に大きな需要があったとき、施設の人的なリソースを逼迫してしまう可能性がある。また逆に、所定時刻後に施設来訪がほとんどない場合には、人的なリソースを活用できない可能性がある。すなわち、未来の需要予測を考慮できていない。
【0063】
本実施形態の需要分散装置1は、クーポン配信による店舗需要バランシングを行うもの、又は、需要予測に基づくクーポン配信と需要バランシングを行うものであって、各施設の施設状況(空き状況、スタッフ配置人数)から受け入れ可能需要(人数・売上等)を計算する。次に複数の施設における訪問実績・天候情報・人口情報等を用いて需要予測を行い、それが各時刻で受け入れ可能需要を超えうるか下回るかを計算する。各施設の受け入れ可能需要の超過有無に基づき、時刻tにおいて高需要が見込まれる施設S1から時刻t’(t=t’の場合もある)に低需要が見込まれる施設S2(S2=S1の場合もある)への訪問を勧奨するように、ユーザへ店舗・時間限定のクーポンを配信する。
【0064】
また、本実施形態の需要分散装置1は、受入可能需要算出、需要予測、需要過剰見込店舗及び需要過少見込店舗抽出、誘導対象ユーザ抽出、誘導先店舗抽出、クーポン金額(内容)決定及びクーポン配信を順に行ってもよい(一部処理は省略可能、一部処理は入れ替え可能)。
【0065】
また、本実施形態の需要分散装置1は、途中の処理において以下の処理を行ってもよい(一部処理は省略可能、一部処理は入れ替え可能)。
(1)売上情報、天候情報及び人口情報の各種情報を取得する。
(2)特徴量計算を行い、回帰用テーブルを作成する。
(3)売上金額を推論する。
(4)店舗状態(時間、スタッフ数など)を取得する。
(5)店舗状態から受け入れ可能需要を計算する。
(6)受け入れ可能需要と推論された売上金額から、過剰・過少店舗を判別する。
【0066】
以上のような需要分散装置1は、未来の需要予測を考慮し、来訪時間あるいは来訪施設(=時空間)のシフトによる需要バランシングを実現することができる。
【0067】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0068】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0069】
例えば、本開示の一実施の形態における需要分散装置1などは、本開示の需要分散方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図19は、本開示の一実施の形態に係る需要分散装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の需要分散装置1は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0070】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。需要分散装置1のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0071】
需要分散装置1における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0072】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の算出部11、取得部12及び誘導部13などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0073】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、算出部11、取得部12及び誘導部13は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0074】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0075】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0076】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の算出部11、取得部12及び誘導部13などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0077】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0078】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0079】
また、需要分散装置1は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0080】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0081】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0082】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0083】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0084】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0085】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0086】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0087】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0088】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0089】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0090】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0091】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0092】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0093】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。
【0094】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0095】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0096】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0097】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0098】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0099】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0100】
本開示において、例えば、英語でのa、an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0101】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…需要分散装置、2…携帯端末、3…需要分散システム、10…格納部、11…算出部、12…取得部、13…誘導部。