(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ダイエジェクタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
H01L21/68 E
(21)【出願番号】P 2021519661
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 IB2019058780
(87)【国際公開番号】W WO2020079589
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-05
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】520503359
【氏名又は名称】ベシ スウィツァランド エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フーシュラー,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ベーラー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】プリス,ブライアン
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0107405(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0255889(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0293022(US,A1)
【文献】特開2018-46060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0075271(US,A1)
【文献】国際公開第2015/129105(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0086874(US,A1)
【文献】国際公開第2005/117072(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0059205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイエジェクタ(2)であって、
真空に供され得るチャンバ(4)であって、前記チャンバは、通路を有するカバープレート(40)を有し、前記チャンバ(4)から離れる方向に面する前記カバープレートの表面は、ダイを提供されるキャリアに対する支持表面(52)を形成する、チャンバ(4)と、
前記チャンバ(4)の内部に配置され、初期位置(58)と動作位置(60)との間で前後にそれぞれ移動可能である、複数のプレート(56)であって、
前記プレートは、前記動作位置(6)において、前記通路に係合するか、または前記通路を貫通し、前記プレートは、駆動凹部(70)を有し、前記プレートのプレート平面は、前記カバープレート(40)に対して横方向に整列され、移動方向に対して少なくともほぼ垂直に延在し、かつ前記カバープレートに向かって面する前記プレートの縁部分は、
前記キャリアからの前記ダイの除去を支援するために前記
キャリアと相互作用するように意図されている衝撃縁(77)を形成し、
前記衝撃縁(77)は、前記初期位置(58)
において、前記動作位置(60)に対して前記チャンバ(4)の前記内部に向かって後退させられる、複数のプレート(56)と、
モータによって駆動され得、かつ前記駆動凹部(70)を貫通する、駆動要素(100)であって、前記駆動凹部(70)は、移動対象の前記プレート(56)を、前記動作位置(60)から前記初期位置(58)に移動させるために、前記駆動要素(100)が駆動領域(102)と相互作用するように設計されている前記駆動領域(102)を各々有する、駆動要素(100)と、を備え、
前記プレート(56)のアンカーセクション(74)と相互作用する磁石(20)またはばねシステムは、前記プレート(56)に、前記動作位置(60)の方向に方向付けられた引力(F’)および/もしくは衝撃力または引張力を及ぼし、停止要素(78)は、前記動作位置(60)において、前記プレート(56)の移動を停止し、前記プレート(56)は、前記動作位置(60)において、前記停止要素(78)に当接していることを特徴とする、ダイエジェクタ(2)。
【請求項2】
前記停止要素(78)はまた、前記プレート(56)の前記初期位置(58)において、前記プレート(56)の移動を停止することを特徴とする、請求項1に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項3】
前記停止要素(78)は
、平坦化されたボルトとして設計され、前記プレート(56)の停止凹部(70)を貫通することを特徴とする、請求項1または2に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項4】
前記磁石(20)の場合、前記磁石(20)と前記プレート(56)との間に常に空気間隙が存在することを特徴とする、請求項1~3のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項5】
前記プレート(56)は、T字型であり、前記T字型のプレートの横梁は前記アンカーセクション(74)を形成し
、前記横梁の側部は、前記磁石(20)に面するか、
または、前記ばねシステムに面することを特徴とする、請求項1~4のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項6】
前記駆動凹部(70)は、さらなる駆動領域(104)
を有し、前記駆動領域(104)は、前記動作位置(60)の方向において、前記初期位置(58)から、移動対象の前記プレート(56)を移動させるために、前記駆動要素(100)が、前記さらなる駆動領域(104)と相互作用するように設計されており、
前記磁石(20)の場合、さらなる磁石(10)が、前記初期位置(58)に割り当てられ、前記アンカーセクション(74)は、前記磁石(20)と、前記さらなる磁石(10)との間に位置し、
前記駆動要素(100)は
、少なくとも前記磁石(20)の前記引力(F’)が前記さらなる磁石(10)の引力(F)よりも大きくなるまで、前記磁石(20)の方向において、前記さらなる磁石(10)から離れるように、前記動作位置(60)の方向において、前記初期位置(58)から、移動対象の前記プレート(56)の前記アンカーセクション(74)を移動させ、次いで、移動対象の前記プレート(56)は、前記磁石(20)の前記引力(F’)の下で前記動作位置(60)に移動し、前記プレート(56)の移動に対しては逆に、前記さらなる磁石(10)に向かって前記磁石(20)から離れるように、前記初期位置(58)の方向において、前記動作位置(60)から移動することを特徴とする、請求項1~5のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項7】
前記駆動要素(100)は、エンジンによってカムシャフト(100)の軸の周りを回転可能に駆動される前記カムシャフト(100)を備え、前記カムシャフトのカム(106)は、移動対象の前記プレート(56)の前記駆動領域(102)および前記さらなる駆動領域(104)と相互作用するように意図されていることを特徴とする、請求項6に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項8】
前記カム(106)は、前記プレート(56)が、前記初期位置(58)と前記動作位置(60)との間で所定の順序で、かつその逆で移動されるように、前記カムシャフト(100)の円周方向に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項9】
前記カム(106)は、インボリュート形状を有することを特徴とする、請求項7または8に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項10】
前記駆動領域(102)および前記さらなる駆動領域(104)は、それぞれの前記プレート(56)上に形成された肩部(102、104)によって各々形成され、前記肩部は、前記プレート(56)の移動方向に対して横方向に延在し、それぞれの前記プレート(56)に割り当てられた前記カム(106)は、前記カムシャフト(100)が回転されるとき、それぞれの前記肩部に当接することを特徴とする、請求項7~9のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項11】
前記駆動要素(100)は、前記モータによってシャフト(100)の軸の周りを回転可能に駆動されるシャフト(100)を備え、前記シャフトの外周は、前記軸に対して垂直に延在する平面内にある制御カム(122)を形成し、前記シャフト(100)は、前記プレート(56)を前記動作位置(60)から前記初期位置(58)に移送するために、前記プレート(56)が前記動作位置にある動作回転位置から、前記プレート(56)が前記初期位置にある初期回転位置に回動され
、前記制御カム(122)は、前記制御カム(122)の半径の増加の結果として、前記初期位置(58)の方向において、前記磁石の場合は前記磁石(20)の重力(F’)に抗して、または、前記ばねシステムの場合は前記ばねシステムの前記衝撃力に抗して、関連する1つ以上のプレートを押す、または引くために、前記1つ以上のプレートの前記駆動領域(102)と相互作用することを特徴とする、請求項1~5のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項12】
前記動作回転位置において
、前記プレートの前記駆動領域(102)と前記制御カム(122)との間に間隙が存在することを特徴とする、請求項11に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項13】
前記シャフト(100)は、前記初期回転位置と前記動作回転位置との間で前後に駆動されることを特徴とする、請求項11または12に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項14】
前記シャフトの端面(128)は、前記チャンバに対して固定位置に配置されているピン(131)を受容するための、前記軸の中心であり、円弧状であり、かつ溝状である凹部(130)を有し、
前記凹部(130)の一端は、前記動作回転位置に割り当てられた前記シャフトの第1の回転停止部(134)を形成し、他端は、前記初期回転位置に割り当てられた前記シャフトの第2の回転停止部(138)を形成することを特徴とする、請求項13に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項15】
前記制御カム(122)は、前記プレート(56)が前記初期位置(58)と前記動作位置(60)との間で所定の順序で、かつその逆で移動されるように配置されることを特徴とする、請求項11~14のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項16】
前記プレート(56)は
、(a)前記アンカーセクション(74)および前記駆動凹部(70)を有するベースプレート(68)と、
(b)前記ベースプレート(68)
上に配置され前記衝撃縁(77)を形成する支持プレート(72)と
の少なくとも2つの部分で
構成されており、前記停止要素(78)は前記支持プレート(72)と相互作用することを特徴とする、請求項1~15のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項17】
ばねシステムの場合、前記ばねシステムは、前記ばねシステムの衝撃力を介して前記プレートを前記初期位置から前記動作位置の方向に移動させるため、および前記動作位置に前記プレートを保持するために、前記チャンバ
の底部に配置されることを特徴とする、請求項1~16のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項18】
ばねシステムの場合、前記ばねシステムは、前記チャンバ
の底部に配置された複数のばねストリップとして形成され
、1つのばねストリップがプレートに割り当てられており、および、プレートと相互作用することを特徴とする、請求項1~17のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項19】
ばねシステムの場合、前記ばねシステムは、前記チャンバ
の底部の反対側に配置され、ならびに、前記プレートを前記初期位置から前記動作位置の方向に前記ばねシステムの引力を介して移動させるように、および、前記プレートを前記動作位置に保持するように働くことを特徴とする、請求項1~16のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項20】
ばねシステムの場合、前記ばねシステムは
、前記プレートと相互作用する櫛状の屈曲ばね舌片を備えることを特徴とする、請求項1~19のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【請求項21】
ばねシステムの場合、前記ばねシステムは
、前記プレート上に、前記動作位置の方向に引力を及ぼすために、圧縮ばねもしくは引っ張りばね、またはそれらの組み合わせを備えることを特徴とする、請求項1~20のうちの1項に記載のダイエジェクタ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の総称によるダイエジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなダイエジェクタは、キャリアからの半導体ダイの取り外しおよび除去を支援するために、半導体ダイの組み立てにおいて使用される。
【0003】
(業界ではチップとして知られている)半導体ダイは、通常、半導体アセンブリデバイスで処理するために、フレーム、好ましくは業界ではテープとしても知られているフィルムによって保持されたキャリア上に提供される。ダイはキャリアに接着される。キャリアを有するフレームは、摺動するウェハテーブルによって持ち上げられる。ウェハテーブルは、周期的に位置を変えられて、所定の位置に次々にダイを提供する。次に、提供されたダイがダイグリッパーによって持ち上げられ、基板上に配置される。提供されたダイのキャリアからの除去は、(業界ではダイエジェクタとして知られている)キャリアの下に位置するダイエジェクタによって支持される。
【0004】
EP 2 184 765 A1によって知られているダイエジェクタは、通路を有するカバープレートを有する、真空に供され得るチャンバと、チャンバ内に配設され、通路内に突起し、および、カバープレートの表面に対して垂直または斜めの方向に摺動可能な複数のプレートと、プレートを変位させるための駆動手段と、を備える、ダイエジェクタである。駆動手段は、モータと、所定の直線経路に沿って移動可能なピンと、を備える、駆動機構を備える。ピンは、プレートの初期位置または動作位置を決定する2つの位置間でモータによって前後に移動され得る。プレートの初期位置において、プレートは、チャンバの内側に向かって戻るように移動され、プレートの動作位置において、プレートは、通路の方向で最上位置に到達する。各プレートは、ウェブ状の開口部を有し、ピンは、各プレートのウェブ状の開口部を通過する。ウェブ状の開口部は、ピンが経路に沿って移動されるときにプレートが初期位置または動作位置に所定の順序で移動されるように、プレートごとに変化し得る。
【0005】
このようなダイエジェクタを使用すると、ウェブ状の開口部はピンの移動によって徐々に機械的に摩耗され、その結果、プレートは、プレートの最初に決定された初期位置および動作位置に正確に到達しなくなる。そのため、プレートの耐用年数が減少し、プレートは定期的に交換されなければならず、時間の損失および保守費用の増加につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、プレートがプレートの動作位置に確実に到達するように、周知のダイエジェクタを開発することである。
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のダイエジェクタによって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に反映されている。
【0008】
本発明は、通路を有するカバープレートを有する真空チャンバを備えるダイエジェクタに関する。チャンバから離れる方向に面しているカバープレートの表面は、好ましくはプラスチックフィルムである、ダイが提供されているキャリアの支持表面を形成する。チャンバは、真空源への接続のための真空接続を有する。
【0009】
好ましい実施形態では、チャンバは、ダイエジェクタの筐体によって形成される。
【0010】
好ましい実施形態では、キャリアの一部が動作中にダイと共に載るカバープレートは、除去可能であり、および、交換可能である。筐体は、好ましくは、カバープレートが交換可能に配置される円筒形プレートキャリアを有する。しかしながら、プレートサポートとカバープレートとを一体に形成することが可能であり、これによって、この構成要素は、交換可能である。
【0011】
カバープレートは、好ましくは、中央通路を含み、通路の形状は、処理されるダイの特性に従って選択される。好ましくは、通路は長方形であり、少なくともほぼ処理されるダイの大きさである。
【0012】
好ましい実施形態では、カバープレートは、チャンバが真空に供されたときにキャリアを吸引するように設計されている複数の貫通孔を有し、その結果、キャリアは、ダイの取り外しおよび除去中にカバープレート上に強固に保持される。
【0013】
さらに、ダイエジェクタは、チャンバの内部に配置された複数のプレートを備え、プレートの各々は、初期位置と動作位置との間で前後に移動され得る。プレートのプレート平面は横方向であり、好ましくはカバープレート、特にカバープレートの支持表面に対して少なくともほぼ垂直である。好ましくは、プレートは互いに対して平行である。
【0014】
以下では、横方向という用語は必ずしも垂直であることを意味しないが、可能な方向として垂直が含まれる。
【0015】
ダイエジェクタ筐体の縦軸は、好ましくは支持表面に対して垂直である。
【0016】
カバープレートに面するプレートの縁部分は、キャリアからのダイの除去を支持するためにキャリアと相互作用することが意図されている衝撃縁を形成する。縁領域は、好ましくは、支持表面に対して少なくともほぼ平行に延びる。好ましくは、衝撃縁は単一の連続した区分を有する。また、キャリアの別々の領域でダイの除去を支援するために、いくつかの別々の区分を有し得る。好ましい実施形態では、プレートは、処理されるダイの特性に応じて、文献CH 706 280 A1に開示されるような、衝撃縁を有する。
【0017】
「プレート」という用語は、同じ機能を実行できるすべての物体を指す。例えば、プレートは、横棒または梁でもあり得る。
【0018】
初期位置は、動作位置に対して、チャンバの内側に向かって戻るように位置を変えられる。
【0019】
初期位置から動作位置へのプレートの移動は上昇と呼ばれ、動作位置から初期位置への移動は下降と呼ばれ、プレートの移動方向を定義する。好ましくは、移動方向は、筐体の縦軸に対して平行であり、したがって支持表面に対して垂直である。
【0020】
プレートの動作位置は、プレートの衝撃縁が支持表面と少なくともほぼ同一平面上にあるか、または支持表面より上にあり、衝撃縁の最高位置にある位置である。プレートの初期位置は、プレートの動作位置がチャンバの内側に対して可能な限り後方に移動される位置を示す。これは、プレートの衝撃縁が、支持表面の下で、チャンバにおいて最も低い位置にあることを意味する。
【0021】
プレートの動作位置において、プレートは通路に係合するか、または通路を貫通する。
【0022】
プレートの複数の縁は衝撃表面を形成し、衝撃表面の形状はプレートの移動によって変わり得る。衝撃表面に対する様々な形状の形成およびそれらの変更は、キャリアの対象領域のダイの除去を支援する。したがって、ダイ除去中のキャリアは、処理されるダイおよびキャリアの特性に従って柔軟に設計され得る。
【0023】
好ましくは、プレートの初期位置における衝撃縁は、好ましくは、支持表面に対して少なくともほぼ平行な平面にある。衝撃表面の所望の形状に応じて、移動対象のプレートが移動される一方で、1つ以上のプレートは初期位置に留まることができ、移動されない。
【0024】
好ましい実施形態では、プレートの動作位置における衝撃縁は、好ましくは、支持表面に対して少なくともほぼ平行な平面にあり、かつ、この平面の上にある。したがって、衝撃表面は平坦な領域を形成し、衝撃縁はこの領域に均一に分散された圧力で、除去されるダイの下のキャリアを押す。これにより、ダイがキャリアから除去されるときにダイにかかる圧力が減少する。
【0025】
好ましい実施形態では、センサは初期位置に割り当てられ、さらなるセンサが動作位置に割り当てられて、プレートの位置を決定し得る。センサは、プレートが、所望される初期位置または動作位置にあるか、および、衝撃表面におけるプレートの正しい位置についたかどうかを確認するために使用され得る。したがって、プレートの誤った位置が検出され得、ダイの除去中に起こり得る誤差が回避され得る。
【0026】
衝撃表面または動作位置におけるプレートと通路の縁との間に円周方向の間隙が存在する。衝撃領域は、好ましくは、ダイの領域よりわずかに小さい。好ましくは、ダイの表面積は、衝撃表面上ですべての側方向に約0.05~1ミリメートル、特に好ましくは0.3ミリメートルだけ横方向に突出している。プレートの数は、ダイの寸法によって異なる。例えば、3×3ミリメートルの非常に小さな半導体ダイに対して3つのプレートが使用され得る。
【0027】
プレートは互いに対して寄り掛かることができるが、好ましくは、摩擦を最小限に抑えるために離間することによってプレートが分離される。好ましい実施形態では、プレートを誘導するためのチャンバは、対向して配置された2つの櫛状の受容レールを備え、受容レールの切り込みは、チャンバの内部に面する受容レールの側で移動方向に対して平行に延び、各々が移動方向に対して平行に延びるプレートの縁領域を受容する。例えば、プレートが多数の部分からなっているか、または筐体の縦軸の方向に、より長い長さを有する場合、プレートがより幅広の縁領域で誘導されることを確実にするために、追加の支持レールを提供することも可能である。プレートが移動されるとき、プレート間の所定の距離を確実にするように、切り込みは、離間される。これは、プレート間の摩擦を回避し、プレートが移動方向に互いに対して平行に移動することを確実にする。このような配置において、衝撃縁は、ダイが除去されるときにダイの最適な支持を確実にするために、互いに所定の距離、好ましくは均一な距離を有する。
【0028】
さらに、ダイエジェクタは、モータ、好ましくはステッピングモータによって駆動可能な駆動要素を備える。プレートは、駆動要素によって貫通される駆動凹部を各々有する。駆動凹部は、駆動要素が駆動領域と相互作用して、動作位置から初期位置に移動対象のプレートを移動させるように設計されている駆動領域を各々有する。
【0029】
本発明によれば、ダイエジェクタは、プレートのアンカーセクションと相互作用し、プレート上の動作位置に向かって方向付けられる引力を及ぼす磁石を備える。さらに、ダイエジェクタは、動作位置においてプレートの移動を停止する停止要素を備え、プレートは、動作位置において停止要素に対して寄り掛かっている。
【0030】
したがって、駆動要素のみ、または駆動凹部と共に駆動要素が動作位置を決定するのではなく、むしろ、駆動要素によって引き起こされる初期位置からの移動後の動作位置における磁石の引く力によって引き起こされるプレートの移動を停止する停止要素が決定する。停止要素は摩擦なしでプレートと接触し、幅広の接触面の停止部とのみ接触するため、停止要素は実質的に摩耗しない。したがって、プレートは、プレートが磁石によって保持されているまさにその場所で、長期間の使用にわたってプレートの動作位置に確実に到達する。
【0031】
磁石は動作位置に割り当てられ、磁石の引力によってプレートを初期位置から動作位置に移動させ、プレートを動作位置に保持するように働く。
【0032】
アンカーセクションは、磁石とカバープレートから遠隔のプレートの端部との間に延在するプレートのセクションである。アンカーセクションは、横方向に、好ましくは縦軸に対して垂直に延在する横方向領域によって形成され、好ましくは、縦軸の両側に突起するセクションを有する。
【0033】
好ましい実施形態では、駆動凹部は常にアンカーセクションに配置される。この配置は、アンカーセクションにほとんどの空間が提供されるため、駆動凹部を作成することを容易にする。この配置はまた、引力の作用点と駆動要素によって及ぼされる力の作用点が互いに接近し、プレートの変形またはプレートの望ましくない動きを引き起こすことを確実にする。
【0034】
好ましい実施形態では、磁石は、チャンバの内側に装着され、プレートの移動方向に対して垂直に延在し、その結果、横方向領域の突出部分上に少なくとも部分的に延在する。中央プレートに対して配置された最も外側のアンカーセクションに必要な引力を実現するために、磁石は、これらを超えて延在することができる。
【0035】
好ましい実施形態では、突出しているセクションは、筐体の縦軸に対して対称的に延在し、磁石は、突出しているセクション上で少なくとも部分的に対称的に延在する。したがって、プレート上の引力の対称的な分散を確実にすることできる。
【0036】
磁石は、アンカーセクション上の引力の分散が最適化されるように、特に引力がプレートの縦方向に対称の平面に対して対称的に分散されるように、多数の部分からなり得る。特に好ましい実施形態では、磁石は、プレートに対して垂直に延在するプレートの縦方向に対称の平面に対して対称に配置された少なくとも2つの磁性部品を備える。好ましくは、少なくとも2つの磁性部品は、この対称平面を横切る平面に配置される。磁石の多数の部分からなる設計はまた、いずれかの損傷した磁石の交換を単純化する。
【0037】
好ましくは、磁石、または場合によっては、磁性部品は、一体型磁石または磁性部品と同じ引力を実現するために、実質的に互いに当接する磁性片を備える。しかしながら、必要に応じて、磁石または適切な場合には磁石部品の磁力の分散を最適化するために、隣接する磁石片の間に間隙を設けることが可能である。間隙は、非磁性材料で充填され得る。磁石、または場合によっては、磁性部品は、異なる形状を有し、好ましくはロッドの形態であり得る。必要に応じて、プレートの移動方向を横切る方向から見たときに、磁石または磁性部品の厚さは変化し得る。これは、必要に応じて引力の分散も最適化できることを意味する。
【0038】
好ましい実施形態では、チャンバ内の磁石の位置、ならびに磁石およびアンカーセクションの形状は、アンカーセクションに及ぼされる引力がプレートの各々に対して少なくともほぼ等しくなるように寸法が決められている。したがって、駆動要素は、移動対象のプレートを動作位置から初期位置の方向に移動させるために、それぞれの駆動領域上の磁石の引力に対して少なくともほぼ同じ力を及ぼすことができる。これは、駆動要素の移動の簡単な制御を可能にし、仮にあったとしても、駆動要素および駆動領域の均一な低摩耗につながる。
【0039】
好ましくは、アンカーセクションは、プレート上の磁石の引力の分散を最適化するための凹部を有する。好ましい構成では、凹部、好ましくは長方形の凹部は、横方向領域の突出部分に、好ましくは磁石に面する突出部分の側に、例えば、1枚おきのプレートに形成され得る。
【0040】
好ましい実施形態では、停止要素は、衝撃縁に隣接するプレートの領域でプレートと相互作用する。これにより、停止要素と衝撃縁との間の距離が最小限に抑えられ、プレートの動作位置における衝撃縁の正確な位置を確実にする。
【0041】
好ましい実施形態では、停止要素はまた、プレートの初期位置でのプレートの移動を停止する。必要な変更を加えて、動作位置について上述したものと同じ理由で、プレートは、プレートの初期位置に確実に到達する。
【0042】
好ましい実施形態では、別の停止要素が、プレートの初期位置でプレートの移動を停止する。初期位置における精度とは対照的に、通常、動作位置において衝撃縁の位置のより高い精度が必要とされる。停止要素およびさらなる停止要素の特性は、所望の精度に従って決定することができ、必要に応じて、異なる製造工程および材料を選択することができる。その結果、費用が最適化され得る。
【0043】
好ましい実施形態では、停止要素は、停止要素がプレートを誘導するようにも働くように設計され得る。これは、さらなる停止要素の場合にも当てはまる。
【0044】
好ましくは、停止要素、および必要に応じて、さらなる停止要素は、それらが交換され得るように、筐体に取り付けられる。例えば、チャンバは、停止要素が押し込まれる対向して配置された2つの開口部を有し得、および、停止要素はまた、留め具を使用して筐体に固定され得る。停止要素は、いくつかの部品から構成され得、例えば、プレートの移動方向から見たときに互いの上に横たわる、好ましくはプレート形状のいくつかの部品を備え得る。そのため、部品の数を調整することによって、停止要素の厚さ、したがって動作位置におけるプレートの位置を調整することができる。また、動作位置におけるプレートの位置を調整するために、例えば、調整ネジによって停止要素を調整可能にすることが可能である。これは、処理されるダイの特性へのダイエジェクタの容易な適合を可能にする。同様の構造がさらに停止要素に対して提供され得る。
【0045】
好ましい実施形態では、停止要素は、それぞれのプレートの停止凹部を介して係合する、好ましくは平坦化されたボルトとして設計されている。平坦化されたボルトは、少なくとも1つの第1の平坦化された停止側部、好ましくは第1の停止側部に対して平行な第2の停止側部を有する。縦軸の方向から見た停止凹部は、停止要素の厚さとプレートのストロークの合計に対応する長さにわたって延在している。初期位置および動作位置において、プレートをより確実に停止するために、第1および第2の停止側部は、幅広の接触面上のそれぞれの停止凹部に対して横たわっている。したがって、動作位置に到達するための精度、ならびに初期位置に到達するための精度が増加され得る。
【0046】
好ましくは、停止凹部は、それぞれ第1および第2の停止側部に対して平行に形成された第1および第2の平坦な縁部分を各々有し、縁部分は、プレートをより高精度に停止するために第1および第2の停止側部と相互作用する。したがって、動作位置に到達するための精度ならびに初期位置に到達するための精度は、長い動作時間にわたってさらに増加され得る。
【0047】
好ましい実施形態では、磁石とプレートとの間に常に間隙が存在する。これは、動作位置に到達したときに、プレートが磁石に当たるのを防止する。好ましくは、間隙は、空気間隙である。これは、機械的破壊から磁石を保護し、かつ磁石の破損のリスクを減少させる。
【0048】
また、磁石とプレートとの間に間隙を設けないことも可能である。この場合、磁石は停止要素の機能を果たす。必要に応じて、磁石は、機械的破壊から磁石を保護するための保護層によって保護され得る。
【0049】
好ましくは、プレートは、縦方向領域と、少なくとも1つの横梁と、を有する。少なくとも1つの横梁は、アンカーセクションを形成し、一方で、カバープレートに面する縦方向領域の自由端は、衝撃縁を形成する。例えば、プレートは、十字形であり得るか、または好ましくは互いに対して平行である2つの離間された横梁を有し得る。
【0050】
好ましい実施形態では、プレートはT字型である。横梁は、アンカーセクションを形成し、一方で、縦方向の領域の自由端は、衝撃縁を形成する。磁石に面する横方向梁の側部は、アンカーセクションに面する磁石の表面に対して少なくともほぼ平行である。したがって、プレートは、チャンバ内で逆さまのTの位置に配置される。有利には、T字型は、ダイエジェクタの近くに他のモジュール用の空間が存在するように、磁石との効率的な相互作用のためのアンカーセクションとして働く幅広の横梁と、カバープレートに面する部分のパッケージの小型で省スペースの設計を可能にする幅狭の縦方向に延在する縦部分とを組み合わせる。
【0051】
好ましい実施形態では、プレートは、駆動凹部を含み、かつアンカーセクションを有する、磁石が相互作用するベースプレートと、機械的接続を介してベースプレートに配置され得る衝撃縁を有する支持プレートと、を有する、いくつかの部分、好ましくは2つの部分で形成される。支持プレートは、ダイエジェクタの特定の用途に従って選択され、ベースプレートを交換することなく、通常の方法でベースプレートに装着される。これは、処理するダイの特性、例えば、ダイの大きさへのダイエジェクタの容易な適合を可能にする。支持プレートの数は、ベースプレートの数より少なくてもよい。支持プレートは、同じ設計であり得る。
【0052】
プレートが動作位置または初期位置にあるとき、支持プレートおよびベースプレートは、動作位置または初期位置にあることを以下で理解されたい。
【0053】
好ましい実施形態では、ベースプレートは、T字型であり、横梁および縦方向領域の一部を有し、一方で、縦方向領域の残りの部分は、支持プレートを形成する。ベースプレートは、同じ設計であり得る。
【0054】
好ましい実施形態では、ベースプレートは、アンカーセクションを各々有する。好ましくは、横梁は、アンカーセクションを形成する。
【0055】
好ましい実施形態では、ベースプレートは、装着レールによって誘導され、支持プレートは、さらに同じように設計された装着レールによって誘導される。
【0056】
好ましい実施形態では、支持プレートは、停止要素によって貫通される停止凹部を各々有する。好ましくは、停止凹部は、衝撃縁に隣接するプレートの領域に形成され、その結果、停止要素と衝撃縁との間の距離が最小化される。したがって、プレートの動作位置における衝撃縁の正確な位置が達成され得る。
【0057】
好ましい実施形態では、停止要素は、支持プレートの動作位置および支持プレートの初期位置で支持プレートの移動を停止させる。したがって、支持プレートは、対応するベースプレートを同時に停止させる。しかしながら、支持プレートが特定のベースプレート上に配置されていない場合にベースプレートも停止され得るように、追加の停止要素によって貫通される追加の停止凹部をベースプレートに形成することが好ましい。好ましい実施形態では、さらなる停止要素は、ベースプレートの初期位置においてベースプレートの移動を停止させ、停止要素は、支持プレートの動作位置において支持プレートの移動を停止させる。
【0058】
好ましい実施形態では、ダイエジェクタは、初期位置に割り当てられたさらなる磁石を備える。
【0059】
さらに、駆動凹部はさらなる駆動領域を各々有する。さらなる駆動領域は、駆動要素がさらなる駆動領域と相互作用して、移動対象のプレートを初期位置から動作位置の方向に移動させるように設計されている。
【0060】
好ましい実施形態では、すべてのプレートの駆動凹部は同じ設計である。
必要に応じて、初期位置に到達したときにプレートが他の磁石にぶつかるのを防止するために、他の磁石とプレートとの間に常にさらなる間隙が存在する。さらなる間隙もまた、空気間隙であり得る。したがって、さらなる磁石も機械的破壊から保護され、さらなる磁石の破損の危険性が低減される。
【0061】
プレートのアンカーセクションは、磁石と他の磁石との間に位置する。
横方向梁を有するT字型プレートを備える好ましい実施形態では、さらなる磁石に面する横方向梁の側部は、アンカーセクションに面するさらなる磁石の表面に対して少なくともほぼ平行に延びることができる。
【0062】
アンカーセクション上に引力を最適に分散させるために、さらなる磁石もまた多数の部分からなり得る。さらに、多数の部分からなる設計は、いずれかの損傷した磁石の交換を単純化する。特に好ましい実施形態では、さらなる磁石は、プレートの縦方向の対称平面に対して対称に配置された、少なくとも2つのさらなる磁石部品を備える。好ましくは、少なくとも2つのさらなる磁石部品は、この対称平面を横切る平面に配置される。さらなる磁石は、特に好ましい実施形態では、チャンバの底部に位置する。
【0063】
好ましくは、さらなる磁石または磁石部品は、磁石または磁石部品と同様の様態でさらなる磁石片を備える。
【0064】
好ましい実施形態では、磁石およびさらなる磁石は、それらが反対の分極方向に分極されるように配置される。好ましくは、分極方向は、移動方向に対して少なくともほぼ平行である。したがって、磁石の磁場およびさらなる磁石の磁場は、磁化可能な材料、例えば、鉄などの金属で作られたプレート上の移動方向に対して実質的に平行に方向付けられた引力を各々及ぼす。磁石の引力およびさらなる磁石の引力は、動作位置または初期位置の方向に方向付けられている。好ましくは、磁石およびさらなる磁石は永久的に磁化されている。
【0065】
磁石およびさらなる磁石を有する好ましい実施形態では、駆動要素は、少なくとも磁石の引力がさらなる磁石の引力よりも大きくなるまで、さらなる磁石を離れて磁石に向かって、初期位置から動作位置に向かって移動対象のプレートのアンカーセクションを移動させる。次に、移動対象のプレートは、磁石の引力の下で動作位置に移動する。逆に、駆動要素は、少なくともさらなる磁石の引力が磁石の引力よりも大きくなるまで、移動対象のそれぞれのプレートのアンカーセクションを、磁石から離れてさらなる磁石の方向に、動作位置から初期位置の方向に移動させる。次に、移動対象のプレートは、磁石の引力の下で初期位置に移動する。
【0066】
磁石と他の磁石を、それらが同じ分極方向に分極するように配置することも考えられる。この配置は、磁石とさらなる磁石との間の距離が、磁石の引力およびさらなる磁石の引力が著しく重ならないような距離である場合に使用され得る。
【0067】
好ましくは、アンカーセクションは、プレートへのさらなる磁石の引力を最適化するために、さらなる磁石に面する縁部分に、凹部、好ましくは長方形の凹部を有する。
【0068】
好ましい実施形態では、駆動要素は、エンジンによって回転可能に駆動されるカムシャフトを備え、カムシャフトのカムは、移動対象のプレートの駆動領域およびさらなる駆動領域と相互作用することが意図されている。好ましくは、カムは、単一のプレートの駆動領域およびさらなる駆動領域と共に相互作用する。しかしながら、カムが2つ以上のプレートの駆動領域およびさらなる駆動領域と相互作用することも可能である。カムを有するカムシャフトの使用は、プレートの移動の迅速および容易な調整を可能にする。ダイエジェクタの特定の用途に応じて、外形の異なるカムシャフトを事前に製造して、設置することができる。この実施形態は、シャフトを単一の回転方向に駆動することによってプレートを移動することを可能にし、シャフトを制御することを特に容易にする。
【0069】
このようなカムシャフトは、例えば、積層造形によって鋼で作られ得る。
特に好ましい実施形態では、カムは、プレートが初期位置と動作位置との間で所定の順番で、およびその逆で移動されるように、カムシャフトの円周方向にオフセットされる。
【0070】
カムは、カムシャフトの円筒形シャフト部分に対して半径方向外向きに突出し、カムシャフトの縦方向から見て前後に配置されてもよく、好ましくは円周方向にオフセットされ得る。
【0071】
カムは、好ましくは歯形であり、回転方向から見て、前衝撃側部および後側部を各々有する。カム側部の互いに対する配置は、カム側部とプレートの駆動領域およびさらなる駆動領域との相互作用の順番を決定し、したがって、初期位置から動作位置への、または動作位置から初期位置へのプレートの移動を決定する。
【0072】
2つの連続するカムの衝撃側部の間の円周方向で測定された距離とカムシャフトの回転速度が、関係するプレートの移動の間の時間遅延を決定する。
【0073】
特に好ましい実施形態では、カムは、中央に配置されたカムを通って延びる鏡面に対して、カムシャフトの回転軸に対して直角に対称的に配置されている。カムのこの配置は、プレートが初期位置から動作位置に、または動作位置から初期位置に、中央に配置されたカムに割り当てられたプレートに対して対称的に移動することを可能にする。
【0074】
好ましくは、カムは、カムシャフトの巻き戻しに見られるようにV字型に配置され、中央のカムはV字型の先端を形成し、残りのカムは回転方向に見られるように前方にオフセットされている。したがって、最初に、動作位置から初期位置へ向かう移動中に、最も外側のプレートを、中央に配置されたカムに割り当てられたプレートに対して対称的に移動することができ、最後に、中央に配置されたカムに割り当てられたプレートを移動することができる。この配置により、ダイの側部からダイの中心に向かってダイからフィルムを徐々に剥離することが可能になる。
【0075】
好ましい実施形態では、カムはインボリュート形状を有する。カムのインボリュート形状は、カムと駆動領域の相互摺動、および関連する摩耗および熱の発生を最小限に抑えるのに役立つ。好ましくは、カムの衝撃側部はインボリュート形状を有する。しかしながら、カムシャフトが両回転方向に駆動される必要がある場合、カムの後部をインボリュート形状にすることもできる。
【0076】
好ましい実施形態では、駆動領域は、当該プレート上に形成された肩部によって形成され、さらなる駆動領域は、好ましくはプレートの移動方向に対して横方向に延在する、当該プレート上に形成されたさらなる肩部によって形成される。プレートの移動方向を横切る肩部および他の肩部の形成は、肩部および他の肩部が駆動要素の幾何学的要件に従って任意の角度で整列され得ることを意味する。肩部および他の肩部を移動方向に対して本質的に直角に形成することによって、カムによって肩部またはさらなる肩部に及ぼされる力が移動方向に可能な限り作用することが確実にされ、その結果、横方向の力がほぼ完全に回避される。したがって、肩部とさらなる肩部の整列は、カムと当該プレートとの間の摩擦を最小限に抑えるように選ばれる。当該カム、すなわち当該プレートに割り当てられたカムは、カムシャフトを回動させるときに肩部を押し、さらに回動させるときにさらなる肩部を押す。
【0077】
好ましい実施形態では、駆動要素は、シャフトの軸の周りでモータによって回転可能に駆動されるシャフトとして設計されており、駆動要素の外周は、軸に対して垂直な平面に制御カムを形成する。各制御カムは、不均一な縁を有するシャフトの平らなディスク状の部分を囲み、不均一な縁の厚さは、制御カムが単一のプレートまたはいくつかのプレートと接触するような厚さである。制御カムを有するシャフト領域は、好ましくは一体に設計されている。しかしながら、制御カムと共にシャフト領域を形成する、不均一な縁を有する多数の別々のディスクを接続することも可能である。
【0078】
この実施形態では、ダイエジェクタは、磁石を備え、さらなる磁石、すなわち初期位置に割り当てられた磁石は省かれ得る。
【0079】
各制御カムは、接触点でプレートの駆動領域と相互作用する。好ましくは、制御カムは、各プレートに割り当てられる。しかしながら、制御カムが2つ以上のプレートの駆動領域と同時に相互作用するように制御カムを形成することが可能である。
【0080】
好ましくは、駆動領域は、チャンバの底部に面する駆動凹部の領域に形成される。好ましい実施形態では、駆動領域は、当該プレート上に形成された肩部によって形成され、肩部は、好ましくは、プレートの移動方向に対して横方向に、特に好ましくは実質的に直角に延びる。肩部は本質的に移動方向に対して直角に形成されており、制御カムと駆動領域との間の摩擦が最小限に抑えられる。
【0081】
シャフトを回動させると、制御カムが同時に回転する。このように、シャフトの回転に起因する制御カムの移動は、駆動領域を介してプレートに機械的に伝達される。
【0082】
プレートを動作位置から初期位置に移送するために、シャフトは、プレートが動作位置にある動作回転位置から、プレートが初期位置にある初期回転位置に回動される。動作位置に割り当てられた磁石は、磁石の引力を介してプレートを初期位置から動作位置の方向に移動させ、プレートを動作位置に保持するように働く。シャフトが回転すると、制御カムは関連する1つ以上のプレートの駆動領域と相互作用して、制御カムの半径の増加の結果として、磁石の引力に抗して1つ以上のプレートを初期位置に向かって押す。
【0083】
初期位置から動作位置へのプレートの移動も、制御カムを介して制御される。
【0084】
シャフトの軸と駆動領域の接触点との間で測定される距離は、制御カムの有効半径と呼ばれる。動作回転位置におけるそれぞれの制御カムの有効半径は、初期回転位置におけるよりも小さい。
【0085】
シャフトが回動したときに制御カムがプレートの駆動領域と接触する制御カムの部分は、制御カムの有効部分と呼ばれる。したがって、シャフト軸と制御カムの外周との間で測定された制御カムの半径、および有効半径は、制御カムの有効部分において等しい。
【0086】
制御カムの駆動領域と接触しない制御カムの部分は、制御カムの受動部分と呼ばれる。これは、半径が有効半径よりも小さい部分の場合であるため、シャフトが回動したときに、制御カムは当該プレートの駆動領域と接触しない。これは、シャフトがそのセクションまで回転しないために駆動領域と接触しない制御カムのセクションについての場合でもある。
【0087】
シャフトを動作回転位置から初期回転位置に回動させると、制御カムの有効部分はプレートの駆動領域と相互作用する。制御カムは、シャフトが動作回転位置から初期回転位置に回動したときに、それぞれの制御カムの半径が増加するように設計されている。シャフトが回転し続けると、制御カムが関連するプレート(複数可)を初期位置の方向にさらに押し、一方で、同時に磁石は動作位置の方向に引力を及ぼす。その結果、プレートは動作位置から下げられ、制御カムと接触したままになる。
【0088】
半径は、動作位置と初期位置との間で連続的に増加し、シャフトが回転するときにプレートの連続した移動を可能にすることが好ましい。
【0089】
プレートを初期位置から動作位置に移送するために、シャフトは初期回転位置から動作回転位置に回動させられる。シャフトが回転すると、制御カムは関連する1つ以上のプレートの駆動領域と相互作用し、1つ以上のプレートは、制御カムの半径の減少の結果として、磁石の引っ張りによって動作位置に向かって引かれる。動作位置に到達すると、プレートは停止要素に寄り掛かり、磁石によって動作位置に保持される。
【0090】
好ましい実施形態では、プレートの駆動領域と動作位置の制御カムとの間に間隙が存在する。これは、有効半径が制御カムの半径よりも大きいため、移動対象のプレートが動作位置においてシャフトとの接触点を有しないことを意味する。これは、プレートが停止要素によって動作位置で停止させられ、もはや制御カムと接触しないことを確実にする。したがって、プレートは停止要素に対して寄り掛かることができるため、確実に動作位置に到達する。
【0091】
この実施形態では、制御カムの受動部分は、プレートの駆動領域の反対側の動作位置にある。シャフトを動作回転位置から初期回転位置に回動させるとき、どの制御カムも、開始時に関係する駆動領域との接触点を有しない。
【0092】
シャフトが動作位置から初期位置に回転すると、それぞれの制御カムの半径が増加するため、シャフトが回転し続けると、制御カムは、駆動領域において移動対象のプレートに接触する。接触点に到達すると、駆動領域は、制御カムの有効部分と相互作用し始める。動作位置から初期位置へのプレートの移動の所望の開始に応じて、制御カムの有効部分の開始が形成される。それぞれの制御カムの半径は増加し続け、その結果、制御カムの半径の増加の結果として、プレートは、磁石の引力に抗して動作位置から初期位置に向かって押される。
【0093】
各制御カムの有効部分は、動作位置に関連付けられた第1の半径から、初期位置に関連付けられたより大きな第2の半径まで延在する。好ましくは、有効部分の半径は、連続的に増加し、制御カムは、本質的にらせん状の弓部を形成する。
【0094】
動作回転位置において、プレートは、動作位置にあり、各カムの第1の半径は、各カムの有効半径よりも小さい。これは、制御カムの受動部分が駆動領域の反対側にある、つまりどのプレートも制御カムと接触していない、シャフトの回転位置に対応する。プレートは、停止要素と接触しており、制御カムと駆動領域との間に間隙が存在する。
【0095】
初期回転位置では、プレートは、初期位置にあり、第2の半径は、制御カムの有効半径と同じ大きさである。これは、駆動領域が制御カムの有効部分の端部に到達したシャフトの回転位置に対応する。
【0096】
受動部分において、半径は、第2の半径から第1の半径まで連続的または徐々に減少し得る。例えば、受動部分は、部分的に直線であり得る。
【0097】
シャフトの回転は、プレートの所望される移動に応じてモータ制御によって制御され得る。したがって、シャフトの回転は、一回転方向に連続的または段階的に設計され得る。好ましい実施形態では、シャフトは、初期回転位置と動作回転位置との間で前後に駆動される。
【0098】
好ましい実施形態では、シャフトの円周方向の制御カムは、プレートが初期位置と動作位置との間で所定の順序で、およびその逆で移動されるように形成される。
【0099】
特に好ましい実施形態では、制御カムは、シャフトの回転軸に対して垂直に、中央に配置された制御カムを通って延びる鏡面に対して対称である。制御カムのこの実施形態は、プレートが、初期位置から動作位置に、または動作位置から初期位置に、中央に配置された制御カムに割り当てられたプレートに対して対称的に移動されることを可能にする。
【0100】
好ましくは、シャフトの巻き戻しにおいて見られる、制御カムの有効セクションは、V字形の配置を有し、それによって、中央の有効セクションは、V字型の先端を形成し、回転の動作位置から回転の初期位置までの方向に見られる、残りの有効セクションは、V字型の先端に対して前方にオフセットされている。したがって、最初に、動作位置から初期位置へ向かう移動中に、最も外側のプレートを中央に配置された制御カムに割り当てられたプレートに対して対称的に移動させることができ、最後に、中央に配置された制御カムに割り当てられたパネルを移動することができる。この配置は、ダイの側部からダイの中心に向かって、ダイからフォイルを徐々に剥離することを可能にする。
【0101】
好ましい実施形態では、シャフトの一方の端面は、軸の中心に凹部を有し、弧状であり、チャンバに対して固定されたピンを収容するために溝が付けられている。凹部の一方の端部は、動作回転位置に割り当てられたシャフトの第1の回転停止部を形成し、他方の端部は、開始回転位置に割り当てられたシャフトの第2の回転停止部を形成する。したがって、シャフトの回転は、動作回転位置および初期回転位置において確実に停止され得る。第1および第2のフェンスは、すべてのプレートがそれぞれプレートの動作位置およびプレートの初期位置に到達したときにのみ、ピンがそれぞれ第1および第2のフェンスと接触するように設計されている。
【0102】
好ましい実行形態では、制御カムは、プレートが初期位置と動作位置との間で所定の順序で、およびその逆で移動するように配置される。
【0103】
好ましい構成では、ダイエジェクタは、プレートのアンカーセクションと相互作用し、かつ動作位置の方向にプレートに衝撃力を及ぼすばねシステムを備える。磁石と他の磁石を備えないで行うことが可能である。磁石を備えないダイエジェクタは、ダイエジェクタの内側または外側の他の構成要素との磁場の相互作用の可能性を回避する必要がある場合に有利な配置である。
【0104】
さらに、駆動要素は、モータによって駆動され、かつ軸を中心に回転可能なシャフトとして設計されている。シャフトは、前の実施形態と同じであり得、シャフトの外周は、軸に対して垂直な平面内に制御カムを形成する。制御カムは、同じ特性を有し、上で説明したようにプレートの駆動領域で動作する。
【0105】
ばねシステムは、チャンバの底部に配置することができ、プレートをばねシステムの衝撃力を介して初期位置から動作位置に移動させ、プレートを動作位置に保持するように働く。
【0106】
ばねシステムは、チャンバの底部に配置された複数のばねストリップとして設計することができ、それによって、1つのばねストリップが各プレートに割り当てられ、1つのプレートと相互作用する。
ばねシステムは、好ましくは、取り付けプレートから突出している櫛状の曲げばね舌片を備えることができ、曲げばねタングはプレートと各々相互作用する。
【0107】
動作位置の方向の衝撃力がそれぞれのプレートに及ぼされ得る限り、他のばねシステムもまた好適である。
【0108】
衝撃力は、移動対象のプレートが停止要素に到達していない限り、移動対象のプレートの駆動領域を、シャフトが回動されたときにシャフトの外周と、すなわち、移動対象のプレートに割り当てられた制御カムとの少なくとも1つの接触点で接触したままにする。シャフトは、プレートが停止要素に到達するとすぐに、移動対象のプレートの駆動領域から持ち上げられる。初期位置に残っているプレートは、関係する制御カムを介してシャフトによって初期位置に保持される。
【0109】
本発明によれば、衝撃力は、正の値だけでなく負の値も含むので、その結果、負の衝撃力は、正の引力に等しい。
【0110】
本発明によれば、ばねシステムは、圧縮ばねもしくは引力ばね、またはそれらの組み合わせを備え、動作位置に向かって、好ましくはプレート上に方向付けられる引力を及ぼす。
【0111】
本発明のさらなる利点および特徴は、例示的な実施形態の以下の説明に見ることができ、これは、付属の図を使用して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】斜視図で表された、本発明によるダイエジェクタの第1の実施形態の縦方向の断面を示す。
【
図2】
図1に示されるようなダイエジェクタに設置されたカムシャフトの斜視図を示す。
【
図3】本発明によるダイエジェクタの第2の実施形態の一部の縦方向の断面図を示す。
【
図4】
図3に示されるようなダイエジェクタに組み込まれたシャフトの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
第1の実施形態において、
図1に示されるようなダイエジェクタ2は、真空に供することができ、かつ縦軸Lを規定する多数の部品からなる筐体6によって形成されるチャンバ4を備える。チャンバ6は、縦軸Lを規定する多数の部品からなる筐体6によって形成される。筐体6は、筐体カバー16と、縦軸Lに対して垂直に延在する気密ベース12と、2つの側壁14または14’と、端壁(図示せず)と、後壁(図示せず)と、を備える、平行六面体の筐体部8を備える。筐体カバー16は、筐体部8に気密様態で取り付けられており、円形の開口部24を有し、開口部24から縦軸Lに沿って延在する管部22が突出している。
【0114】
さらに、筐体6は、管部22に押し付けられる円筒形の通路を有するフランジ36を備える。筐体カバー16に面するフランジの第1の端部領域において、通路は、管部22の外径よりもわずかに大きい直径を有する。フランジの第1の端部領域において、フランジ36は、フランジ36に配置されたOリング34を介して管部22に対して気密様態で置かれている。筐体カバー16から遠隔のフランジの第2の端部領域において、通路は、管部22の外径よりも大きな直径を有し、円筒形プレート支持体30を受容するように意図されている円周方向の凹部38を形成する。
【0115】
筐体6はまた、円筒形プレートキャリア30を備え、その上で、カバープレート40は気密であり、さらなるOリング42を介して交換可能である。プレートキャリア30は、管部22に押し付けられ、円周方向の凹部38に押し込まれ、組み立てられた状態で、フランジ36に配置されたさらなるOリング44を介して管部22に対して気密に置かれている。
【0116】
チャンバ4は、真空源への接続のための真空ポート46を有する。
【0117】
カバープレート40は、通路50を有し、チャンバ4から離れる方向に面するカバープレート40の表面は、ダイが提供されているキャリアのための支持表面52を形成し、このキャリアは
図1には示されていない。支持表面52は、ダイエジェクタ2の筐体6の縦軸Lに対して垂直である。さらに、カバープレート40は、真空がチャンバ4に加えられるときにキャリアにおいて吸引するように働く、通路50の周りに配置された複数の貫通孔54を有し、その結果、キャリアは、ダイの取り外しおよび除去中にカバープレート40上に強固に保持される。
【0118】
ダイエジェクタ2はさらに、チャンバ4の内部に配置され、かつ互いに対して平行であり、かつ筐体6の縦軸Lに対して平行である、複数のプレート56を備え、複数のプレート56は、それぞれ初期位置58と動作位置60との間で縦軸Lの方向における移動Bの方向に前後に移動可能である。プレート56のプレート平面は、カバープレート40および側壁14および14’に対してそれぞれ垂直である。したがって、設計により、プレート平面は縦軸Lに対して平行である。
【0119】
筐体カバー16は、筐体部8の内側に面する筐体カバー16の側部に、2つの設置凹部18および18’をそれぞれ有し、設置凹部18および18’は、側壁に対して平行に延び、縦軸Lを囲むプレート4の縦方向の対称面に対して対称に配置されている。多数の部品からなる磁石20は、各設置凹部に配置されている。さらなる多数の部品からなる磁石10が底部に配置されている。
【0120】
磁石20は、動作位置60に割り当てられ、磁石10は、初期位置58に割り当てられる。磁石20およびさらなる磁石10は、プレート平面に対して垂直に延在し、それぞれSNおよびNSによって印を付けられた反対の分極方向に永久的に分極され、反対の分極方向は、少なくとも移動方向Bに対して平行である。そのため、磁石20およびさらなる磁石10の磁場は、プレート56にそれぞれ引力FおよびF’を及ぼし、引力は、移動方向Bに対して実質的に平行である。
【0121】
プレート56は2つの部分で形成され、駆動凹部70を含むベースプレート68と、ベースプレート68上に配置され、機械的接続73によってベースプレート68に接続される支持プレート72と、を各々備える。すべてのベースプレート68の駆動凹部は同じ設計である。
【0122】
ベースプレート68は、T字型であり、支持プレート72が取り付けられている縦方向領域75と、横梁74と、を各々有する。横梁74は、アンカーセクション74を形成する。さらなる磁石10に面する横梁74の側部66は、横梁74に面するさらなる磁石10の表面に対して平行に延び、磁石20に面する横梁74の側部64は、横梁74に面する磁石20の表面に対して平行に延びる。
【0123】
カバープレート40に面する支持プレート72の縁部分は、衝撃縁77を形成し、衝撃縁77は、キャリアからのダイの除去を支援するために、キャリアと相互作用することが意図されている。支持プレート72は、停止凹部76を各々有し、これは、停止要素78によって貫通される。すべての支持プレート72の停止凹部76は、同じ設計である。
停止要素78は、それぞれのプレート56の停止凹部76を貫通する平坦化されたボルトとして設計されている。平坦化されたボルトは、第1の平坦化された停止側部78aと、第1の停止側部に対して平行な第2の停止側部78bと、を有する。縦軸Lの方向から見た停止凹部76は、停止要素78の厚さとプレート56のストロークの合計に対応する長さにわたって延在する。
【0124】
さらに、ベースプレート74は、アンカーセクションに形成された2つのさらなる停止凹部80を各々備え、停止凹部80は、ボルトとして形成されたさらなる停止要素82によって貫通される。ベースプレート68はまた、縦方向領域75にスロット状の凹部84を各々備え、これは、ピン形状のガイド要素86によって貫通される。凹部84は、プレート56の移動方向Bが縦軸Lに対して平行なままであるように、縦方向領域75の移動を誘導するように働く。すべてのベースプレート68の凹部84は、同じ設計を有する。
【0125】
ベースプレート68を誘導するために、2つの櫛状の装着レール90が側壁14または14’上で互いに対向して配置され、装着レール90の切り込みは、チャンバの内部に面する装着レール90の側部に移動方向Bに対して平行に延びる。切り込みは、移動方向に対して平行に延びるベースプレート68の縁領域を各々占め、プレート56が移動されるときにベースプレート68間に所定の距離が確保されるように互いに離間される。
【0126】
ベースプレート68を誘導するために、管部22はまた、2つのさらなる装着レール92を含み、さらなる装着レール92は、装着レール90と同じように設計されており、両側に配置される。
【0127】
駆動凹部70は、駆動要素100によって貫通され、駆動領域102およびさらなる駆動領域104を各々有する。駆動要素100は、カムシャフト100として設計されており、その歯状カム106は、駆動領域102および移動対象のプレート56のさらなる駆動領域104と相互作用する。
【0128】
駆動領域102およびさらなる駆動領域104は、プレート56上に形成され、かつプレート56の移動方向Bに対して横方向に延びる肩部102またはさらなる肩部104によって各々形成される。
【0129】
カムシャフト100は、エンジンによって一回転方向Dに駆動される。
【0130】
図2に示されるカムシャフト100は、第1および第2のシャフトハブ112および114をそれぞれ有する円筒形シャフト部110を備える。組み立てられた状態では、第1のシャフトハブ112は、端壁において回転可能に摺動して配置され、第2のシャフトハブ114は、筐体6の後壁において回転可能に摺動して配置される。
【0131】
それぞれ第1および第2のシャフトハブ112および114の間で、カム106は、シャフト部分110に対して半径方向外向きに突出している。カム106は、中央に配置されたカムを通って延びる鏡面に対して対称的に配置され、カムは、カムシャフト100の回転軸Hに対して垂直である。カムシャフト100の巻き戻しにおいて見られるカム106は、V字型の配置を有し、中央のカムが、V字型の先端を形成し、回転方向に見られるカム106が、前方にオフセットされている。
【0132】
回転方向Dにおいて見られるカム106は、前衝撃側部116を各々有し、前衝撃側部116の形状は、インボリュート形状である。2つの連続するカム106の衝撃側部116は、円周方向で測定された距離Aを示す。
【0133】
図1に示されるプレート56の配置は、ダイエジェクタ2の一時的な実施形態に対応し、それによって、すべてのプレート56は、動作位置60にあり、停止要素78に寄り掛かっている。衝撃縁77は、支持表面52上に突出している。カムシャフト100が回転方向Dに回転すると、衝撃側部116は、それぞれの肩部102と相互作用して、移動対象のプレート56を、動作位置60から初期位置58の方向に移動させる。
【0134】
カム106の衝撃側部116の互いに対する相対的な配置は、衝撃側部116と肩部102との相互作用の順序を決定する。すべてのベースプレート68の駆動凹部は同じ設計であり、カム106はカムシャフト100の展開に見られるようにV字型の配置を有するため、中央に配置されたカムに割り当てられたプレート56と対称である2つの最も外側のプレート56は、最初に、動作位置60から初期位置58の方向に移動される。衝撃側部116と肩部102との相互作用は、少なくとも、さらなる磁石10の引力Fが磁石20の引力F’よりも大きくなるまで起こる。次に、プレート56は、さらなる磁石10の引力Fの下で、初期位置58の方向に移動する。
【0135】
カムシャフト100が回転し続けると、カムシャフト100の円周方向に見られる、2つの次の外側プレート56の次の衝撃側部116は、中央に配置されたカムに割り当てられたプレート56と対称である2つの次の外側プレート56の肩部102と相互作用し、次の外側プレートを動作位置60から初期位置58の方向に移動させる。
【0136】
最後に、中央に配置されたカムに割り当てられたプレート56は、動作位置60から初期位置58の方向に移動される。
【0137】
カムシャフト100が回転方向Dに回転し続けると、衝撃側部116は、さらなる肩部104と相互作用して、移動対象のプレート56を初期位置58から動作位置60に移動させる。すでに説明されたように、必要な変更を加えて、最初に、最も外側の2つのプレート56が、初期位置58から動作位置60の方向に、中央に配置されたカム56に割り当てられたプレート56に対称的に移動される。
【0138】
図3によるダイエジェクタ2の第2の実施形態では、筐体6は
図1と同じであるが、筐体部8のみが、チャンバ4の内部およびプレート56と共に示されている。以下では、第1の実施形態と同じ効果を有する部品について、同じ参照番号が使用される。さらに、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に構築されている。したがって、主な相違が以下に説明される。
【0139】
図3に示されるプレート56の配置は、ダイエジェクタの一時的な実施形態に対応し、示されるプレート56は、動作位置60にある。支持表面52は、
図3において破線でのみ示されている。
【0140】
プレート56の動作位置60は、設置凹部18または18’に配置された多数の部品からなる磁石20に割り当てられている。
図1に示されるダイエジェクタとは対照的に、
図3に示されるダイエジェクタのベース12は、さらなる磁石がないので、さらなる磁石は、初期位置58に割り当てられていない。したがって、磁石20の磁場は、プレート56に引力F’を及ぼし、引力F’は、移動方向Bに対して本質的に平行に方向付けられる。したがって、磁石20の磁場は、プレート56の磁場と同じである。磁石20とプレート56との間に間隙118が存在し、プレート56は、停止要素78によって動作位置60において停止され、磁石20によって動作位置60において保持される。
【0141】
駆動凹部70は、駆動要素100によって貫通されており、駆動領域102を各々有する。駆動要素100は、接触点103で移動対象のプレート56の駆動領域102と相互作用し、かつモータによって駆動されるシャフト100として設計されている。
【0142】
駆動領域102は、プレート56上に形成され、かつプレート56の移動方向Bに対して垂直に延びる肩部102によって各々形成される。
【0143】
シャフト100の設計は、
図4に関連してより詳細に説明される。シャフト100は、それぞれ第1および第2のシャフトハブ112および114の間に配置された円筒形シャフト部110を備える。組み立てられると、第1のシャフトハブ112は端壁において摺動して回転し、第2のシャフトハブ114は後壁において摺動して回転する。
【0144】
回転軸Hに対して垂直な平面におけるシャフト部110の外周は、接触点103でプレート56の駆動領域102と相互作用することを意図されている制御カム122を形成する。制御カム122は、中央に配置された制御カムを通って延びる鏡面に関して対で対称であり、制御カムは、シャフト100の回転軸Hに対して垂直である。
【0145】
シャフト100が回動したときに制御カムが関係するプレート56の駆動領域102と接触する制御カム122のセクションは、制御カム122の有効部分124と呼ばれる。
【0146】
制御カム122の有効部分124は、シャフトの巻き戻しにおいて見られるとV字型の配置を有し、中央の有効部分はV字型の先端を形成し、他の有効部分124は、動作位置から初期位置への回転方向Sに見られるとV字型の先端に対して前方にオフセットされている。回転方向Wは、初期回転位置から動作回転位置までの回転方向を示す。
【0147】
図4の点Aから点Cに延在する制御カムの有効部分124において、半径Rは、点Aに対応する第1の半径R1から、点Cに対応するより大きな半径R2に対応する第2の半径R2まで連続的に増加する。半径R1およびR2は、それぞれ、それぞれのプレート56の動作位置60および初期位置58に割り当てられる。有効セクション124は、制御カム122の本質的にらせん状の弧を形成する。
【0148】
シャフト100の一方の端面128は、チャンバに対して固定されたピン131を収容するための、回転軸Hを中心とする円弧状の溝130を有する。溝130の一方の端部132は、動作回転位置に割り当てられたシャフト100の第1の回転停止部134を形成し、他方の端部136は、初期回転位置に割り当てられたシャフト100の第2の回転停止部138を形成する。
【0149】
プレート56を動作位置60から初期位置58に移送するために、シャフト100は、プレート56が動作位置60にある動作回転位置から、プレート56が初期位置58にある初期回転位置まで一回転方向Sに回動される。
図3において、シャフト100は動作回転位置に示されている。
【0150】
制御カム122は、シャフト100を動作回転位置から初期回転位置に回動させるときに、それぞれの制御カムの半径が増加するように設計されている。半径は、動作位置と初期位置との間で連続的に増加し、シャフト100を回動させるときにプレート56の連続的な移動を可能にする。
【0151】
シャフト100を動作回転位置から初期回転位置に回動させるとき、制御カム122は、当該プレート56の駆動領域102と接触する。
したがって、シャフト100が回転し続けると、制御カムは、制御カムに割り当てられたプレート56を初期位置58の方向にさらに押し、磁石20は、同時に、動作位置60の方向に引力F’を及ぼす。結果として、プレート56は、動作位置60から下げられ、プレート56は、対応する制御カム122と接触したままである。
【0152】
プレート56を初期位置58から動作位置60に移動させるために、シャフト100は、回転方向Sとは反対の方向に回転させられる。
【0153】
シャフト100は、モータによって、初期回転位置と動作回転位置との間で前後に駆動される。