(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】反射型マスクブランク、反射型マスク、並びに反射型マスク及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20240612BHJP
G03F 1/54 20120101ALI20240612BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/54
(21)【出願番号】P 2021526874
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2020023951
(87)【国際公開番号】W WO2020256064
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019114770
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】中川 真徳
(72)【発明者】
【氏名】笑喜 勉
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/116348(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/050518(WO,A1)
【文献】特開2010-192503(JP,A)
【文献】特開2009-21582(JP,A)
【文献】特開平6-349716(JP,A)
【文献】特表2016-509270(JP,A)
【文献】特開2017-151483(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
EUV光を発する露光光源を有する露光装置に、請求項7に記載の反射型マスクをセットし、被転写基板上に形成されているレジスト膜に転写パターンを転写する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造などに使用される反射型マスク、並びに反射型マスクを製造するために用いられる反射型マスクブランクに関する。また、本発明は、上記反射型マスクを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造における露光装置の光源の種類は、波長436nmのg線、同365nmのi線、同248nmのKrFレーザ、同193nmのArFレーザと、波長を徐々に短くしながら進化している。より微細なパターン転写を実現するため、波長が13.5nm近傍の極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)を用いたEUVリソグラフィが開発されている。EUVリソグラフィでは、EUV光に対して透明な材料が少ないことから、反射型のマスクが用いられる。この反射型マスクは、低熱膨張基板、多層反射膜、保護膜及び転写用パターンを有するマスク構造を基本構造としている。低熱膨張基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成される。多層反射膜の上に、多層反射膜を保護するための保護膜が形成される。保護膜の上に、所望の転写用パターンが形成される。また、転写用パターンの代表的なものとして、EUV光を十分吸収する比較的厚い吸収体パターンからなるバイナリー型反射マスクと、EUV光を光吸収により減光させ、且つ多層反射膜からの反射光に対してほぼ位相が反転(約180°の位相反転)した反射光を発生させる比較的薄い吸収体パターンからなる位相シフト型反射マスク(ハーフトーン位相シフト型反射マスク)とがある。この位相シフト型反射マスクは、透過型光位相シフトマスクと同様に、位相シフト効果によって高い転写光学像コントラストが得られる。そのため、位相シフト型反射マスクには解像度向上効果がある。また、位相シフト型反射マスクの吸収体パターン(位相シフトパターン)の膜厚が薄いことから精度良く微細な位相シフトパターンを形成できる。
【0003】
このようなEUVリソグラフィ用の反射型マスク及びこれを作製するためのマスクブランクに関連する技術が特許文献1及び2に開示されている。
【0004】
特許文献1には、基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順に少なくとも形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクが記載されている。具体的には、特許文献1の反射型マスクブランクは、前記吸収体層が、タンタル(Ta)、窒素(N)及び水素(H)を含有し、前記吸収体層における、Ta及びNの合計含有率が50~99.9at%であり、Hの含有率が0.1~50at%であることが記載されている。特許文献1には、特許文献1の反射型マスクブランクは、吸収体層の膜の結晶状態がアモルファスになり、かつ応力及び表面粗さも低減されることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクが記載されている。具体的には、特許文献2の反射型マスクブランクは、前記吸収体層が、タンタル(Ta)、ホウ素(B)、窒素(N)及び水素(H)を少なくとも含有し、前記吸収体層において、Bの含有率が1at%以上5at%未満であり、Hの含有率が0.1~5at%であり、Ta及びNの合計含有率が90~98.9at%であり、TaとNとの組成比(Ta:N)が8:1~1:1であることが記載されている。その結果、特許文献2の反射型マスクブランクでは、吸収体層の膜の結晶状態がアモルファスになり、かつ応力及び表面粗さも低減されることが記載されている。また、特許文献2には、特許文献2の反射型マスクブランクは、吸収体層におけるBの含有率が低い(5at%未満)ため、吸収体層を成膜する際に、成膜速度の低下や、成膜時に放電が不安定になることによって生じる問題がないことが記載されている。具体的には、特許文献2には、膜組成や膜厚にばらつきが生じたり、更には成膜不能になるといった問題が生じるおそれがないことが記載されている。
【0006】
【文献】国際公開第2009/116348号
【文献】国際公開第2010/050518号
【発明の開示】
【0007】
EUVリソグラフィでは、EUV露光によって反射型マスクにカーボン膜が堆積するといった露光コンタミネーションが生じることが知られている。これを抑制するために、近年、露光中の雰囲気に水素ガスを導入する技術が採用されている。
【0008】
特許文献1及び2に開示されているように、従来から反射型マスクブランクの吸収体膜を形成する材料としてタンタル(Ta)が用いられてきた。しかしながら、上記の水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体パターンが剥がれるという問題が生じることがある。このような問題が生じる理由としては、次のように考えられる。すなわち、EUV露光の際に、水素ガスを含む露光雰囲気中の水素ガスが原子状水素(H)として吸収体パターンに吸収されることにより、吸収体パターンの体積が膨張し、圧縮応力が増大する。これにより、吸収体パターンより基板側に配置される薄膜(例えば保護膜など)において、密着性の弱い界面にクラックが発生する。吸収体パターンの基板側に保護膜が配置される場合には、保護膜にも水素が侵入することがある。保護膜に水素が侵入した場合には、保護膜と、多層反射膜との界面において、クラックが多く発生することがある。発生したクラックの空間内に原子状水素(H)が集まって水素ガスとなることで空間が膨張し、吸収体パターンを引き剥がすと考えられる。
【0009】
なお、吸収体膜の材料変更等により、吸収体パターンが剥がれるという問題を解決する場合には、吸収体膜の消衰係数kが低くなりすぎないようにすることが必要である。吸収体膜の消衰係数kが低くなると、吸収体膜による所定のEUV光の吸収を確保するために、吸収体膜の厚膜化が必要になる。吸収体膜が厚膜化すると、反射型マスクのシャドーイング効果により微細なパターンが形成できないという、別の問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体膜の厚膜化を抑制しつつ、吸収体パターンが剥がれることを抑制することができる反射型マスクを提供することを目的とする。また、本発明は、吸収体パターンが剥がれることを抑制することができる反射型マスクを製造するための反射型マスクブランクを提供することを目的とする。
【0011】
本発明者らは、吸収体膜に予め水素を含有させることにより、新たな原子状水素(H)が吸収体膜に入り込む余地をなくし、吸収体パターンが剥がれることを抑制できることを見出した。より具体的には、吸収体パターンの水素侵入による膜応力変動を抑制して、吸収体パターンが剥がれ易い状態になったり、吸収体パターンが実際に剥離した状態になったりすることを抑制できることを見出した。吸収体膜が水素を含有する場合、吸収体膜の膜密度が低下するため、消衰係数kが低くなる。そのため、吸収体膜が厚膜化するという別の問題が生じる。そこで、本発明者らは、吸収体膜の水素含有量を膜厚方向に変えることにより、吸収体膜の厚膜化を抑制しつつ、吸収体パターンの膜剥がれを防止することができることを見出し、本発明に至った。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0013】
(構成1)
本発明の構成1は、基板と、該基板上の多層反射膜と、該多層反射膜上の吸収体膜とを備える反射型マスクブランクであって、
前記吸収体膜は、吸収層及び反射率調整層を含み、
前記吸収層は、タンタル(Ta)及び窒素(N)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含み、
前記吸収層は、前記基板側の表面を含む下面領域と、前記基板とは反対側の表面を含む上面領域とを含み、
前記下面領域の前記添加元素の濃度(原子%)と、前記上面領域の前記添加元素の濃度(原子%)とが異なることを特徴とする反射型マスクブランクである。
【0014】
(構成2)
本発明の構成2は、前記下面領域の前記添加元素の濃度(原子%)が、前記上面領域の前記添加元素の濃度(原子%)より高いことを特徴とする構成1の反射型マスクブランクである。
【0015】
(構成3)
本発明の構成3は、前記上面領域の前記添加元素の濃度(原子%)が、前記下面領域の前記添加元素の濃度(原子%)より高いことを特徴とする構成1の反射型マスクブランクである。
【0016】
(構成4)
本発明の構成4は、前記吸収層における前記添加元素の含有量は、0.1原子%以上30原子%以下であることを特徴とする構成1乃至3の何れかの反射型マスクブランクである。
【0017】
(構成5)
本発明の構成5は、前記反射率調整層は、タンタル(Ta)及び酸素(O)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含むことを特徴とする構成1乃至4の何れかの反射型マスクブランクである。
【0018】
(構成6)
本発明の構成6は、前記多層反射膜と前記吸収体膜との間に保護膜を含み、前記保護膜は、ルテニウム(Ru)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含むことを特徴とする構成1乃至5の何れかの反射型マスクブランクである。
【0019】
(構成7)
本発明の構成7は、構成1乃至6の何れかの反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜がパターニングされた吸収体パターンを有することを特徴とする反射型マスクである。
【0020】
(構成8)
本発明の構成8は、構成1乃至6の何れかの反射型マスクブランクの前記吸収体膜をパターニングして吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
【0021】
(構成9)
本発明の構成9は、EUV光を発する露光光源を有する露光装置に、構成7の反射型マスクをセットし、被転写基板上に形成されているレジスト膜に転写パターンを転写する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0022】
本発明により、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体膜の厚膜化を抑制しつつ、吸収体パターンが剥がれることを抑制することができる反射型マスクを提供することができる。また、本発明により、吸収体パターンが剥がれることを抑制することができる反射型マスクを製造するための反射型マスクブランクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の反射型マスクブランクの実施形態の概略構成を説明するための要部断面模式図である。
【
図2】本発明の反射型マスクブランクの別の実施形態の概略構成を説明するための要部断面模式図である。
【
図3A-E】反射型マスクブランクから反射型マスクを作製する工程を要部断面模式図にて示した工程図の一例である。
【
図4A-E】反射型マスクブランクから反射型マスクを作製する工程を要部断面模式図にて示した工程図の別の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。なお、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
【0025】
<反射型マスクブランク100の構成及びその製造方法>
図1は、本発明の実施形態の反射型マスクブランク100の構成を説明するための要部断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の反射型マスクブランク100は、基板1と、第1主面(表面)側に形成された露光光であるEUV光を反射する多層反射膜2と、多層反射膜2の上に形成されたEUV光を吸収する吸収体膜4とを有し、これらがこの順で積層される。本実施形態の反射型マスクブランク100では、吸収体膜4が、吸収層42と、吸収層42の上に設けられた反射率調整層44とを有する。吸収層42は、基板1側の表面を含む下面領域46と、基板1とは反対側の表面を含む上面領域48とを有する。また、
図1に示す本実施形態の反射型マスクブランク100は、多層反射膜2と吸収体膜4との間に、多層反射膜2を保護するために設けられる保護膜3を更に有することができる。また、基板1の第2主面(裏面)側に、静電チャック用の裏面導電膜5を形成することができる。
【0026】
図2に、別の実施形態の反射型マスクブランク100を示す。
図2に示すように、本実施形態の反射型マスクブランク100は、吸収体膜4の上に形成されたエッチングマスク膜6を更に有することができる。
【0027】
また、他の実施形態の反射型マスクブランク100は、裏面導電膜5が形成されていない構成を含む。更に、上記反射型マスクブランク100は、エッチングマスク膜6の上にレジスト膜11を形成したレジスト膜付きマスクブランクの構成を含む。
【0028】
本明細書において、例えば、「基板1の上に形成された多層反射膜2」又は「基板1上の多層反射膜2」との記載は、多層反射膜2が、基板1の表面に接して配置されることを意味する場合の他、基板1と、多層反射膜2との間に他の膜を有することを意味する場合も含む。他の膜についても同様である。また、本明細書において、例えば「膜Aが膜Bの上に接して配置される」とは、膜Aと膜Bとの間に他の膜を介さずに、膜Aと膜Bとが直接、接するように配置されていることを意味する。
【0029】
本明細書において、本実施形態の反射型マスクブランク100の、吸収体膜4等の薄膜に含まれる水素(H)及び/又は重水素(D)のことを、「添加元素」という。また、水素(H)及び重水素(D)は、同様の性質を示すので、特に説明しない限り、所定の薄膜を構成する水素(H)の一部又は全部を重水素(D)で置換することができる。
【0030】
以下、反射型マスクブランク100の各構成について具体的に説明をする。
【0031】
<<基板1>>
基板1は、EUV光による露光時の熱による吸収体パターン4aの歪みを防止するため、0±5ppb/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられる。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることができる。
【0032】
基板1の転写パターン(後述の吸収体膜4をパターニングしたものがこれを構成する)が形成される側の第1主面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。EUV露光の場合、基板1の転写パターンが形成される側の主表面の132mm×132mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。また、吸収体膜4が形成される側と反対側の第2主面は、露光装置にセットするときに静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。
【0033】
また、基板1の表面平滑度の高さも極めて重要な項目である。転写用吸収体パターン4aが形成される基板1の第1主面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.1nm以下であることが好ましい。なお、表面平滑度は、原子間力顕微鏡で測定することができる。
【0034】
更に、基板1は、その上に形成される膜(多層反射膜2など)の膜応力による変形を防止するために、高い剛性を有しているものが好ましい。特に、65GPa以上の高いヤング率を有しているものが好ましい。
【0035】
<<多層反射膜2>>
多層反射膜2は、反射型マスク200において、EUV光を反射する機能を付与する。多層反射膜2は、屈折率の異なる元素を主成分とする各層が周期的に積層された多層膜である。
【0036】
一般的には、高屈折率材料である軽元素又はその化合物の薄膜(高屈折率層)と、低屈折率材料である重元素又はその化合物の薄膜(低屈折率層)とが交互に40から60周期程度積層された多層膜が、多層反射膜2として用いられる。多層膜は、基板1側から高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層した高屈折率層/低屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層してもよいし、基板1側から低屈折率層と高屈折率層をこの順に積層した低屈折率層/高屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層してもよい。なお、多層反射膜2の最表面の層、即ち多層反射膜2の基板1と反対側の表面層は、高屈折率層とすることが好ましい。上述の多層膜において、基板1から高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層した高屈折率層/低屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層する場合は最上層が低屈折率層となる。この場合、低屈折率層が多層反射膜2の最表面を構成すると容易に酸化されてしまい反射型マスク200の反射率が減少する。そのため、最上層の低屈折率層上に高屈折率層を更に形成して多層反射膜2とすることが好ましい。一方、上述の多層膜において、基板1側から低屈折率層と高屈折率層をこの順に積層した低屈折率層/高屈折率層の積層構造を1周期として複数周期積層する場合は、最上層が高屈折率層となるので、そのままでよい。
【0037】
本実施形態において、高屈折率層としては、ケイ素(Si)を含む層が採用される。Siを含む材料としては、Si単体の他に、Siに、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、及び酸素(O)を含むSi化合物でもよい。Siを含む層を高屈折率層として使用することによって、EUV光の反射率に優れたEUVリソグラフィ用反射型マスク200が得られる。また、本実施形態において基板1としては、ガラス基板が好ましく用いられる。Siはガラス基板との密着性においても優れている。また、低屈折率層としては、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、及び白金(Pt)から選ばれる金属単体、又はこれらの合金が用いられる。例えば波長13nmから14nmのEUV光に対する多層反射膜2としては、好ましくはMo膜とSi膜を交互に40から60周期程度積層したMo/Si周期積層膜が用いられる。なお、多層反射膜2の最上層である高屈折率層をケイ素(Si)で形成し、当該最上層(Si)とRu系保護膜3との間に、ケイ素と酸素とを含むケイ素酸化物層を形成するようにしてもよい。これにより、マスク洗浄耐性を向上させることができる。
【0038】
このような多層反射膜2の単独での反射率は通常65%以上であり、上限は通常73%である。なお、多層反射膜2の各構成層の厚み及び周期は、露光波長により適宜選択すればよく、ブラッグ反射の法則を満たすように選択される。多層反射膜2において高屈折率層及び低屈折率層はそれぞれ複数存在するが、高屈折率層同士、そして低屈折率層同士の厚みが同じでなくてもよい。また、多層反射膜2の最表面のSi層の膜厚は、反射率を低下させない範囲で調整することができる。最表面のSi(高屈折率層)の膜厚は、3nmから10nmとすることができる。
【0039】
多層反射膜2の形成方法は当該技術分野において公知である。例えばイオンビームスパッタリング法により、多層反射膜2の各層を成膜することで形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、例えばイオンビームスパッタリング法により、まずSiターゲットを用いて厚さ4nm程度のSi膜を基板1上に成膜し、その後Moターゲットを用いて厚さ3nm程度のMo膜を成膜する。このように成膜したSi膜及びMo膜を1周期として、40から60周期積層して、多層反射膜2を形成する(最表面の層はSi層とする)。また、多層反射膜2の成膜の際に、イオン源からクリプトン(Kr)イオン粒子を供給して、イオンビームスパッタリングを行うことにより多層反射膜2を形成することが好ましい。
【0040】
<<保護膜3>>
本実施形態の反射型マスクブランク100は、多層反射膜2と吸収体膜4との間に、保護膜3を有することが好ましい。多層反射膜2上に保護膜3が形成されていることにより、反射型マスクブランク100を用いて反射型マスク200(EUVマスク)を製造する際の多層反射膜2表面へのダメージを抑制することができる。そのため、EUV光に対する反射率特性が良好となる。
【0041】
保護膜3は、後述する反射型マスク200の製造工程におけるドライエッチング及び洗浄から多層反射膜2を保護するために、多層反射膜2の上に形成される。また、保護膜3は、電子線(EB)を用いた吸収体パターン4aの黒欠陥修正の際の多層反射膜2の保護も兼ね備える。保護膜3は、エッチャント、及び洗浄液等に対して耐性を有する材料で形成される。ここで、
図1では保護膜3が1層の場合を示しているが、3層以上の積層構造とすることもできる。例えば、最下層と最上層を、上記Ruを含有する物質からなる層とし、最下層と最上層との間に、Ru以外の金属、若しくは合金を介在させた保護膜3としても構わない。例えば、保護膜3は、ルテニウムを主成分として含む材料により構成されることもできる。すなわち、保護膜3の材料は、Ru金属単体でもよいし、Ruにチタン(Ti)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ホウ素(B)、ランタン(La)、コバルト(Co)、及びレニウム(Re)などから選択される少なくとも1種の金属を含有したRu合金であってよく、窒素を含んでいても構わない。このような保護膜3は、特に、吸収体膜4のうちの吸収層42を、塩素系ガス(Cl系ガス)のドライエッチングでパターニングする場合に有効である。保護膜3は、塩素系ガスを用いたドライエッチングにおける保護膜3に対する吸収体膜4のエッチング選択比(吸収体膜4のエッチング速度/保護膜3のエッチング速度)が1.5以上、好ましくは3以上となる材料で形成されることが好ましい。
【0042】
このRu合金のRu含有量は50原子%以上100原子%未満、好ましくは80原子%以上100原子%未満、更に好ましくは95原子%以上100原子%未満である。特に、Ru合金のRu含有量が95原子%以上100原子%未満の場合は、保護膜3への多層反射膜2を構成する元素(ケイ素)の拡散を抑えつつ、EUV光の反射率を十分確保しながら、マスク洗浄耐性、吸収体膜4をエッチング加工したときのエッチングストッパー機能、及び多層反射膜2の経時変化防止の保護膜機能を兼ね備えることが可能となる。
【0043】
本実施形態の反射型マスクブランク100の保護膜3は、ルテニウム(Ru)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含むことが好ましい。保護膜3が添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))を含む場合、添加元素の合計含有量は、5原子%超であることが好ましく、10原子%以上であることがより好ましい。多層反射膜2と吸収体膜4との間に、保護膜3を有することにより、反射型マスクブランク100を用いて反射型マスク200を製造する際の多層反射膜2の表面へのダメージを抑制することができる。また、保護膜3の材料として所定の材料を用いることにより、多層反射膜2と吸収体膜4との間の密着性をより高めることができる。そのため、保護膜3と吸収体パターン4aが剥がれることを、より確実に抑制することができる。更に、保護膜3が、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素を含むことにより、保護膜3の界面に起因する膜剥がれを抑制することができる。
【0044】
なお、保護膜3中の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))の合計含有量が、吸収層42中の添加元素の合計含有量より多い場合には、保護膜3中の水素(H)又は重水素(D)の合計含有量が、必ずしも5原子%超である必要はなく、5原子%以下であることができる。
【0045】
なお、本発明者らの知見によると、保護膜3の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))の合計含有量が、5原子%超である場合には、保護膜3の界面に起因する膜剥がれを充分に防止することができる可能性がある。その場合には、吸収体膜4中に、必ずしも添加元素を含有させる必要はないか、又は低濃度の添加元素で良い場合がある。
【0046】
すなわち、その場合の実施形態の反射型マスクブランク100は、基板1上に、多層反射膜2、保護膜3及び吸収体膜4をこの順で有する反射型マスクブランク100である。この反射型マスクブランク100の吸収体膜4は、タンタル(Ta)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含む。この反射型マスクブランク100の保護膜3は、ルテニウム(Ru)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つ添加元素とを含む。この反射型マスクブランク100の保護膜3の添加元素の含有量が5原子%超である。このような反射型マスクブランク100を用いることによっても、反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを抑制することができる。
【0047】
EUVリソグラフィでは、露光光に対して透明な物質が少ないので、マスクパターン面への異物付着を防止するEUVペリクルが技術的に簡単ではない。このことから、ペリクルを用いないペリクルレス運用が主流となっている。また、EUVリソグラフィでは、EUV露光によってマスクにカーボン膜が堆積したり、酸化膜が成長したりするといった露光コンタミネーションが起こる。そのため、EUV反射型マスク200を半導体装置の製造に使用している段階で、度々洗浄を行ってマスク上の異物やコンタミネーションを除去する必要がある。このため、EUV反射型マスク200では、光リソグラフィ用の透過型マスクに比べて桁違いのマスク洗浄耐性が要求されている。Tiを含有したRu系保護膜3を用いると、硫酸、硫酸過水(SPM)、アンモニア、アンモニア過水(APM)、OHラジカル洗浄水、又は濃度が10ppm以下のオゾン水などの洗浄液に対する洗浄耐性が特に高く、マスク洗浄耐性の要求を満たすことが可能となる。
【0048】
このようなRu又はその合金などにより構成される保護膜3の厚みは、その保護膜3としての機能を果たすことができる限り特に制限されない。EUV光の反射率の観点から、保護膜3の厚みは、好ましくは、1.0nmから8.0nm、より好ましくは、1.5nmから6.0nmである。
【0049】
保護膜3の形成方法としては、公知の膜形成方法と同様のものを特に制限なく採用することができる。具体例としては、スパッタリング法及びイオンビームスパッタリング法が挙げられる。
【0050】
<<吸収体膜4>>
本実施形態の反射型マスクブランク100では、多層反射膜2の上(保護膜3が形成されている場合には、保護膜3の上)に、EUV光を吸収する吸収体膜4が形成される。吸収体膜4は、EUV光を吸収する機能を有する。本実施形態の吸収体膜4は、吸収層42と、吸収層42の上(吸収層42の2つの表面のうち、基板1とは反対側の表面の上)に設けられた反射率調整層44とを有する。
【0051】
本実施形態の吸収体膜4は、吸収層42を有する。吸収層42は、タンタル(Ta)及び窒素(N)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含む。吸収体膜4が予め水素等の添加元素を含むことにより、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、新たな原子状水素(H)が吸収体膜に入り込む余地をなくし、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることができる。
【0052】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の反射型マスクブランク100の吸収層42は、基板1側の表面を含む下面領域46と、基板1とは反対側の表面を含む上面領域48とを含む。本実施形態では、吸収層42の下面領域46の添加元素の濃度(原子%)と、上面領域48の添加元素の濃度(原子%)とが異なる。吸収体膜の必要な部分(下面領域46又は上面領域48)に、より高い濃度で添加元素を添加することにより、吸収体膜の膜密度の低下を防止することができるので、吸収体膜の厚膜化を抑制することができる。したがって、吸収体膜4の水素含有量を膜厚方向に変えることにより、吸収体膜4の厚膜化を抑制しつつ、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることができる。
【0053】
なお、本明細書において、吸収層42のうち、下面領域46を含む層のことを下層という場合がある。同様に、上面領域48を含む層のことを上層という場合がある。また、下層と上層との間に中間領域を含むことができる。なお、
図1及び
図2の例では、下層が下面領域46と同一であり、上層が上面領域48と同一であり、中間領域を有しない場合を示している。
【0054】
下面領域46は、吸収体膜4の吸収層42において、基板1側の表面を含む領域である。
図1及び
図2に示す例では、下面領域46は、吸収体膜4の表面(界面)うち、保護膜3と接する表面(本明細書では、「下面」という。)を含み、その表面近傍の領域である。また、上面領域48は、吸収体膜4の吸収層42の二つの表面(界面)うち、基板1とは反対側の表面(本明細書では、「上面」という。)を含む領域である。
図1及び
図2に示す例では、上面領域48は、吸収体膜4の反射率調整層44と接する表面を含み、その表面近傍を含む領域である。吸収層42は、下面領域46及び上面領域48の二つの領域のみを有することができる。この場合、下面領域46は下層に相当し、上面領域48は上層に相当する。また、吸収層42は、下面領域46及び上面領域48の間に、中間領域(図示せず)を含むことができる。下面領域46及び上面領域48は、添加元素の濃度が互いに異なる。ただし、添加元素以外の元素、特に、タンタル(Ta)及び窒素(N)の2つの元素の濃度の比率は、基本的に同じとすることができる。ただし、下面領域46及び上面領域48の中の所定の元素の濃度分布は均一である必要はない。下面領域46及び上面領域48の中の所定の元素の濃度は、各領域内での所定の元素の濃度の平均値であることができる。
【0055】
本実施形態では、下面領域46の添加元素の濃度(原子%)を、上面領域48の添加元素の濃度(原子%)より高くすることができる。上面領域48と比べて、下面領域46の添加元素の濃度を高くすることにより、吸収体パターン4aの側壁から水素が侵入しようとする場合でも、水素が下面領域46から、吸収層42とその下の層との界面へ侵入することを抑制することができる。そのため、保護膜3と吸収体パターン4aが剥がれることを、より確実に抑制することができる。また、上面領域48の添加元素の濃度は比較的低いので、上面領域48の膜密度の低下を防止することができる。そのため、吸収体膜4の厚膜化を抑制することができる。吸収層42の膜厚に対する下面領域46の膜厚の割合(下面領域46の膜厚/吸収層42の膜厚)は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。
【0056】
本実施形態では、上面領域48の添加元素の濃度(原子%)が、下面領域46の添加元素の濃度(原子%)より高くすることができる。下面領域46と比べて、上面領域48の添加元素の濃度を高くすることにより、吸収体パターン4aの表面から水素が侵入することを抑制することができる。そのため、保護膜3と吸収体パターン4aが剥がれることを、より確実に抑制することができる。また、下面領域46の添加元素の濃度は比較的低いので、下面領域46の膜密度の低下を防止することができる。そのため、吸収体膜4の厚膜化を抑制することができる。吸収層42の膜厚に対する上面領域48の膜厚の割合(上面領域48の膜厚/吸収層42の膜厚)は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。
【0057】
下面領域46の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))の含有量は、下面領域46の全体にわたって、均一、又は実質的に均一であることができる。また、上面領域48の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))の含有量は、上面領域48の全体にわたって、均一、又は実質的に均一であることができる。また、下面領域46及び/又は上面領域48の添加元素の含有量は、所定の濃度分布を有することができる。吸収層42への添加元素の添加により、吸収体膜4の膜密度が低下しやすくなる。したがって、吸収層42への添加元素の添加は、必要な領域のみに行うことが好ましい。そのためには、上述のように、上面領域48及び下面領域46のうち一方の添加元素の濃度が、他方より高い濃度であること必要である。上面領域48及び下面領域46の濃度は、露光雰囲気の水素ガスの濃度等を考慮して、上面領域48及び下面領域46のどちらから水素の侵入が起こりやすいかを検討することにより、どちらを高い濃度にするかを決めることができる。
【0058】
吸収層42の下面領域46と上面領域48との間には、中間領域を有することができる。中間領域の添加元素の濃度分布は任意である。吸収層42(下面領域46及び上面領域48、並びに中間領域を含む場合には中間領域)の、添加元素の濃度分布は、深さ方向に単調減少又は単調増加する分布であることができる。下面領域46の添加元素の濃度が、上面領域48の添加元素の濃度より低い場合、吸収層42の添加元素の濃度は、吸収層42の深さ方向に上面領域48から下面領域46に向かって、単調減少することができる。また、下面領域46の添加元素の濃度が、上面領域48の添加元素の濃度より高い場合、吸収層42の添加元素の濃度は、吸収層42の深さ方向に上面領域48から下面領域46に向かって、単調増加することができる。上面領域48内においても、添加元素の濃度は、深さ方向に単調減少又は単調増加することができる。同様に、下面領域46内においても、添加元素の濃度は、深さ方向に単調減少又は単調増加することができる。添加元素の濃度の深さ方向の濃度変化は、傾斜的に一様に変化することができ、また、ステップ状に変化(増加又は減少)することもできる。本明細書において、元素の濃度の単調減少とは、元素の濃度がステップ状に減少することを含む。本明細書において、元素の濃度の単調増加とは、元素の濃度がステップ状に増加することを含む。
【0059】
下面領域46及び上面領域48を含む吸収層42中のタンタル含有量は、40原子%以上であることが好ましく、50原子%以上であることが好ましく、60原子%以上であることがより好ましい。吸収層42中のタンタル含有量は、95原子%以下であることが好ましい。吸収層42中の窒素の含有量の上限は、50原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることがより好ましい。
【0060】
下面領域46及び上面領域48を含む吸収層42の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))の含有量(水素(H)及び重水素(D)の両方が含まれる場合には、両方の合計含有量)は、0.1原子%以上30原子%以下であり、5原子%以上が好ましく、10原子%以上がより好ましく、15原子%超であることがさらに好ましい。吸収層42が、添加元素として水素(H)及び/又は重水素(D)を含むことにより、水素ガスを含む露光雰囲気中でのEUV露光の際に、新たな原子状水素(H)が吸収体膜4に入り込む余地をなくすことができる。そのため、本実施形態の反射型マスクブランク100を用いることにより、反射型マスク200の吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することをより確実にできる。また、添加元素の含有量が30原子%超の場合、吸収層42の膜密度が低下し、消衰係数kが小さくなり、EUV光を吸収する機能を有することが困難となってしまう。
【0061】
水素ガスを含む露光雰囲気中でのEUV露光の際に、吸収層42への原子状水素(H)の侵入を低減するという点では、水素(H)及び重水素(D)のいずれの添加元素を用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。ただし、水素(H)と比較して、重水素(D)は、吸収層42中で他の元素との結合が強いので、吸収層42中で安定的に存在することができる。したがって、吸収層42の添加元素として、重水素(D)を用いることが好ましい。
【0062】
吸収層42は、ホウ素(B)を含有することができる。吸収層42のホウ素(B)の含有量は、5原子%超、好ましくは10原子%以上30原子%以下である。吸収体膜4がホウ素(B)を含有することによって、結晶構造をアモルファス化することが容易になり、平滑性に優れた吸収体膜4とすることができる。また、本実施形態では、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制するために、吸収体膜4が水素を含有する。吸収体膜4が水素を含有する場合、吸収体膜4の膜密度が低下しやすい。本実施形態の吸収体膜4がホウ素を含有することにより、膜密度の低下を抑制した、アモルファス構造の吸収体膜4を得ることができる。
【0063】
なお、吸収層42がホウ素(B)を含む場合、窒素の含有量はホウ素の含有量よりも少ない方が好ましい。窒素の含有量が少ない方が塩素ガスでのエッチングレートが速くなり、吸収層42を除去しやすいからである。
【0064】
また、吸収層42がホウ素(B)を含む場合、下面領域46(下層)及び上面領域48(上層)のうち一方のみがホウ素(B)を含むことができる。また、下面領域46(下層)及び上面領域48(上層)の両方がホウ素(B)を含むことができる。
【0065】
吸収体膜4のうち、下面領域46を含む下層の材料は、添加元素を含む場合には、TaNH膜又はTaBNH膜であることが好ましく、添加元素を含まない場合には、TaN膜又はTaBN膜であることが好ましい。吸収体膜4のうち、上面領域48を含む上層の材料は、下層と同様に、添加元素を含む場合には、TaNH膜又はTaBNH膜であることが好ましく、添加元素を含まない場合には、TaN膜又はTaBN膜であることが好ましい。平滑性に優れた吸収体膜4を得るために、吸収体膜4の下面領域46(下層)及び上面領域48(上層)の材料は、ホウ素(B)を含むことがより好ましい。なお、上記の材料において、水素(H)は重水素(D)に置換可能である。
【0066】
上述の材料からなる吸収層42は、DCスパッタリング法及びRFスパッタリング法などのマグネトロンスパッタリング法で形成することができる。例えば、吸収層42は、タンタルからなるターゲットを用い、窒素ガス及び添加元素ガス(水素(H)ガス及び/又は重水素(D)ガス)を添加したアルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス及び/又はキセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いた反応性スパッタリング法により、成膜することができる。なお、下面領域46及び上面領域48の一方が、添加元素を含まない場合の成膜は、添加元素ガスを含まず、窒素ガスを添加した希ガスを用いた反応性スパッタリング法により、成膜することができる。また、吸収層42がホウ素(B)を含有する場合には、タンタル及びホウ素を含むターゲットを用いて成膜することができる。
【0067】
なお、吸収層42中に水素を含有させるためには、マグネトロンスパッタリング法により成膜する際のパワーを下げることが好ましい。一方、成膜の際のパワーを下げると、成膜される薄膜中の引張応力が増大し、基板1の変形量が大きくなるという別の問題が生じることがある。本発明者らは、吸収層42中の水素と窒素との組成比を規定することにより、吸収体膜4の膜応力を低減しつつ、吸収体パターン4aの膜剥がれを防止することができることを見出した。すなわち、吸収層42の組成において、窒素(N)の含有量を0.1原子%以上40原子%以下、添加元素の含有量を0.1原子%以上30原子%以下、添加元素と窒素(N)との組成比(添加元素:窒素)が5:95~50:50、好ましくは15:85~40:60であることにより、成膜される吸収層42の薄膜中の引張応力が増大し、基板1の変形量が大きくなるという別の問題を抑制することができる。
【0068】
吸収層42の膜厚は、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。また、吸収層42の膜厚は、80nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましい。
【0069】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の吸収体膜4は、吸収層42の上(基板1とは反対側)に反射率調整層44を有する。
【0070】
吸収体膜4を、吸収層42の上に反射率調整層44を有する積層膜とし、反射率調整層44の膜厚を所定の膜厚とすることにより、例えば、DUV光等の検査光を用いたマスクパターン欠陥検査の際、この反射率調整層44が反射率を調整する膜となる。そのため、マスクパターン欠陥検査の際の検査感度を上げることができる。例えば、反射率調整層44の材料がTaBOである場合には、膜厚を約14nmとすることにより、マスクパターン欠陥検査の際の反射率を調整する膜として有効に機能する。
【0071】
反射率調整層44は、タンタル(Ta)及び酸素(O)と、水素(H)及び重水素(D)から選ばれる少なくとも1つの添加元素とを含むことが好ましい。吸収層42と同様に、反射率調整層44が所定の添加元素を含むことにより、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、反射率調整層44からの原子状水素(H)の侵入を抑制することができる。そのため、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることができる。
【0072】
反射率調整層44が所定の添加元素を含む場合、反射率調整層44中の添加元素の含有量は、0.1原子%以上30原子%以下であることが好ましく、15原子%超かつ30原子%以下であることがより好ましい。また、反射率調整層44中の添加元素の含有量は、吸収層42中の添加元素の含有量と比べて、10原子%以上高いことが好ましい。反射率調整層44中の添加元素の含有量が所定の範囲であることにより、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることが、より確実になる。
【0073】
反射率調整層44は、ホウ素(B)を更に含むことが好ましい。反射率調整層44がホウ素(B)を含有することによって、結晶構造をアモルファス化することが容易になり、平滑性に優れた吸収体膜4とすることができる。アモルファス化を確実にするために、反射率調整層44中のホウ素(B)の含有量は、5原子%超が好ましく、10原子%以上30原子%以下であることがより好ましい。
【0074】
上述のように、反射率調整層44の材料は、タンタル(Ta)及び酸素(O)、並びに必要に応じて、所定の添加元素(水素(H)及び/又は重水素(D))及び/又はホウ素(B)を含む。反射率調整層44は、TaO膜又はTaBO膜であることが好ましい。反射率調整層44が、添加元素を含む場合には、TaOH膜(又はTaOD膜)、TaBOH膜(又はTaBOD膜)を用いることが好ましい。
【0075】
上述の材料からなる反射率調整層44は、DCスパッタリング法及びRFスパッタリング法などのマグネトロンスパッタリング法で形成することができる。例えば、所定の添加元素及びホウ素(B)を含む反射率調整層44は、タンタル及びホウ素を含むターゲットを用い、酸素ガス及び添加元素ガス(水素(H)ガス及び/又は重水素(D)ガス)を添加したアルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス及び/又はキセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いた反応性スパッタリング法により、成膜することができる。また、例えば、反射率調整層44が、所定の添加元素を含まない場合には、タンタル及びホウ素を含むターゲットを用い、酸素ガスを添加した希ガスを用いた反応性スパッタリング法により、反射率調整層44を成膜することができる。反射率調整層44が、ホウ素(B)を含まない場合には、タンタルからなるターゲットを用いて反射率調整層44を成膜することができる。
【0076】
反射率調整層44の膜厚は、15nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましい。また、吸収体膜4の膜厚は、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。また、吸収体膜4の表面の表面粗さ(RMS)は、0.5nm以下であることが好ましい。
【0077】
本実施形態の吸収体膜4の材料であるTaは、EUV光の吸収係数(消衰係数)が大きく、塩素系ガス及び/又はフッ素系ガスで容易にドライエッチングすることが可能な材料である。そのため、Taは、加工性に優れた吸収体膜4の材料であるといえる。更にTaにB(更にはSi及び/又はGe等)を加えることにより、アモルファス状の材料を容易に得ることができる。この結果、吸収体膜4の平滑性を向上させることができる。また、TaにN及び/又はOを加えれば、吸収体膜4の酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができるという効果が得られる。
【0078】
本実施形態の吸収体膜4のエッチングのために、フッ素系ガスとしては、CF4、CHF3、C2F6、C3F6、C4F6、C4F8、CH2F2、CH3F、C3F8、SF6、及びF2等を用いることができる。塩素系ガスとしては、Cl2、SiCl4、CHCl3、CCl4、及びBCl3等を用いることができる。また、これらのエッチングガスは、必要に応じて、更に、He及び/又はArなどの不活性ガスを含むことができる。
【0079】
本実施形態の反射型マスクブランク100では、上述の吸収体膜4を用いることにより、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体膜4の厚膜化を抑制しつつ、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることができる。
【0080】
本実施形態の吸収体膜4は、EUV光の位相差も考慮した位相シフト機能を有する吸収体膜4であることができる。位相シフト機能を有する吸収体膜4とは、EUV光を吸収するとともに一部を反射させて位相をシフトさせるものである。すなわち、位相シフト機能を有する吸収体膜4がパターニングされた反射型マスク200において、吸収体膜4が形成されている部分では、EUV光を吸収して減光しつつパターン転写に悪影響がないレベルで一部の光を反射させる。また、吸収体膜4が形成されていない領域(フィールド部)では、EUV光は、保護膜3を介して多層反射膜2から反射する。そのため、位相シフト機能を有する吸収体膜4からの反射光と、フィールド部からの反射光との間に所望の位相差を有することになる。位相シフト機能を有する吸収体膜4は、吸収体膜4からの反射光と、多層反射膜2からの反射光との位相差が170度から190度となるように形成される。180度近傍の反転した位相差の光同士がパターンエッジ部で干渉し合うことにより、投影光学像の像コントラストが向上する。その像コントラストの向上に伴って解像度が上がり、露光量裕度、焦点裕度等の露光に関する各種裕度を大きくすることができる。
【0081】
<<エッチングマスク膜6>>
本実施形態の反射型マスクブランク100は、吸収体膜4の上にエッチングマスク膜6を備えることができる。
【0082】
エッチングマスク膜6に対する吸収体膜4(特に反射率調整層44)のエッチング選択比が高いエッチングマスク膜6の材料としては、クロム及びクロム化合物の材料が挙げられる。この場合、吸収体膜4はフッ素系ガス又は塩素系ガスでエッチングすることができる。クロム化合物としては、クロム(Cr)と、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)及びホウ素(B)から選ばれる少なくとも一つの元素とを含む材料が挙げられる。クロム化合物としては、例えば、CrN、CrC、CrO、CrON、CrOC、CrCN、CrCON、CrBN、CrBC、CrBO、CrBC、CrBON、CrBCN及びCrBOCNが挙げられる。また、これらのクロム化合物に、水素(H)及び/又は重水素(D)が添加された材料が挙げられる。塩素系ガスでのエッチング選択比を上げるためには、エッチングマスク膜6を、実質的に酸素を含まない材料とすることが好ましい。実質的に酸素を含まないクロム化合物として、例えばCrN、CrC、CrCN、CrBN、CrBC及びCrBCN、これらのクロム化合物にH及び/又はDが添加された材料が挙げられる。エッチングマスク膜6のクロム化合物のCr含有量は、50原子%以上100原子%未満であることが好ましく、80原子%以上100原子%未満であることがより好ましい。また、「実質的に酸素を含まない」とは、クロム化合物における酸素の含有量が10原子%以下、好ましくは5原子%以下であるものが該当する。なお、前記材料は、本発明の実施形態の効果が得られる範囲で、クロム以外の金属を含有することができる。
【0083】
エッチングマスク膜6を形成した場合には、レジスト膜11の膜厚を薄くすることが可能となり、パターンの微細化に対して有利である。エッチングマスク膜6の膜厚は、転写パターンを精度よく吸収体膜4に形成するエッチングマスクとしての機能を得る観点から、3nm以上であることが望ましい。また、エッチングマスク膜6の膜厚は、レジスト膜11の膜厚を薄くする観点から、15nm以下であることが望ましく、10nm以下がより好ましい。
【0084】
<<レジスト膜11>>
本実施形態の反射型マスクブランク100は、吸収体膜4の上(エッチングマスク膜6が形成される場合には、エッチングマスク膜6の上)にレジスト膜11を有することができる。本実施形態の反射型マスクブランク100には、レジスト膜11を有する形態も含まれる。本実施形態の反射型マスクブランク100では、適切な材料及び/又は適切な膜厚の吸収体膜4(吸収層42及び反射率調整層44)及びエッチングガスを選択することにより、レジスト膜11の薄膜化も可能である。
【0085】
レジスト膜11の材料としては、例えば化学増幅型レジスト(CAR:chemically-amplified resist)を用いることができる。レジスト膜11をパターニングし、吸収体膜4(吸収層42及び反射率調整層44)をエッチングすることにより、所定の転写パターンを有する反射型マスク200を製造することができる。
【0086】
<<裏面導電膜5>>
基板1の第2主面(裏面)側(多層反射膜2形成面の反対側)には、一般的に、静電チャック用の裏面導電膜5が形成される。静電チャック用の裏面導電膜5に求められる電気的特性(シート抵抗)は通常100Ω/□(Ω/Square)以下である。裏面導電膜5の形成方法は、例えばマグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法により、クロム、タンタル等の金属や合金のターゲットを使用して形成することができる。
【0087】
裏面導電膜5のクロム(Cr)を含む材料は、Crにホウ素、窒素、酸素、及び炭素から選択した少なくとも一つを含有したCr化合物であることが好ましい。Cr化合物としては、例えば、CrN、CrON、CrCN、CrCON、CrBN、CrBON、CrBCN及びCrBOCNなどを挙げることができる。
【0088】
裏面導電膜5のタンタル(Ta)を含む材料としては、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、又はこれらの何れかにホウ素、窒素、酸素及び炭素の少なくとも一つを含有したTa化合物を用いることが好ましい。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON、及びTaSiCONなどを挙げることができる。
【0089】
タンタル(Ta)又はクロム(Cr)を含む材料としては、その表層に存在する窒素(N)が少ないことが好ましい。具体的には、タンタル(Ta)又はクロム(Cr)を含む材料の裏面導電膜5の表層の窒素の含有量は、5原子%未満であることが好ましく、実質的に表層に窒素を含有しないことがより好ましい。タンタル(Ta)又はクロム(Cr)を含む材料の裏面導電膜5において、表層の窒素の含有量が少ない方が、耐摩耗性が高くなるためである。
【0090】
裏面導電膜5は、タンタル及びホウ素を含む材料からなることが好ましい。裏面導電膜5が、タンタル及びホウ素を含む材料からなることにより、耐摩耗性及び薬液耐性を有する導電膜23を得ることができる。裏面導電膜5が、タンタル(Ta)及びホウ素(B)を含む場合、B含有量は5~30原子%であることが好ましい。裏面導電膜5の成膜に用いるスパッタリングターゲット中のTa及びBの比率(Ta:B)は95:5~70:30であることが好ましい。
【0091】
裏面導電膜5の厚さは、静電チャック用としての機能を満足する限り特に限定されない。裏面導電膜5の厚さは、通常10nmから200nmである。また、この裏面導電膜5はマスクブランク100の第2主面側の応力調整も兼ね備えている。裏面導電膜5は、第1主面側に形成された各種膜からの応力とバランスをとって、平坦な反射型マスクブランク100が得られるように調整されている。
【0092】
<反射型マスク200及びその製造方法>
本実施形態の反射型マスク200は、上述の反射型マスクブランク100における吸収体膜4がパターニングされた吸収体パターン4aを有する。
【0093】
反射型マスク200の吸収体パターン4aがEUV光を吸収し、吸収体パターン4aの開口部でEUV光を反射することができるため、所定の光学系を用いてEUV光を反射型マスク200に照射することにより、所定の微細な転写パターンを被転写物に対して転写することができる。
【0094】
本実施形態の反射型マスクブランク100を使用して、反射型マスク200を製造する。ここでは概要説明のみを行い、後に実施例において詳細に説明する。また、ここでは、
図3Aから
図3Eに示すように、反射型マスクブランク100がエッチングマスク膜6を備える場合について説明する。
【0095】
反射型マスクブランク100を準備して、その第1主面の吸収体膜4の上に形成されたエッチングマスク膜6の上に、レジスト膜11を形成し(
図3A参照、反射型マスクブランク100としてレジスト膜11を備えている場合は不要)、このレジスト膜11に所望のパターンを描画(露光)し、更に現像、リンスすることによって所定のレジストパターン11aを形成する(
図3B参照)。
【0096】
反射型マスクブランク100の場合は、このレジストパターン11aをマスクとしてエッチングマスク膜6をエッチングして、エッチングマスクパターン6aを形成する(
図3C参照)。レジストパターン11aを酸素アッシング又は熱硫酸などのウェット処理で剥離する。次に、エッチングマスクパターン6aをマスクとして吸収体膜4(反射率調整層44及び吸収層42)をエッチングすることにより、吸収体パターン4a(反射率調整層パターン44a及び吸収層パターン42a)が形成される(
図3D参照)。エッチングマスクパターン6aを除去して、吸収体パターン4a(反射率調整層パターン44a及び吸収層パターン42a)を形成する(
図3E参照)。最後に、酸性やアルカリ性の水溶液を用いたウェット洗浄を行うことにより、反射型マスク200を製造することができる。
【0097】
なお、エッチングマスクパターン6aの除去は、吸収層42のパターニングの際に、吸収層42と同時にエッチングして除去することも可能である。
【0098】
本実施形態の反射型マスク200では、エッチングマスクパターン6aを除去せずに、吸収体パターン4aの上に残すことができる。ただし、その場合、エッチングマスクパターン6aを均一な薄膜として残す必要がある。エッチングマスクパターン6aの薄膜としての不均一性を避ける点から、本実施形態の反射型マスク200では、エッチングマスクパターン6aを配置せず、除去することが好ましい。
【0099】
本実施形態の反射型マスク200の製造方法は、上述の本実施形態の反射型マスクブランク100のエッチングマスク膜6を、塩素系ガスと酸素ガスとを含むドライエッチングによってパターニングすることが好ましい。クロム(Cr)を含有するエッチングマスク膜6の場合には、塩素系ガス及び酸素ガスを用いて好適にドライエッチングをすることができる。また、反射率調整層44を、フッ素系ガスを含むドライエッチングガスによってパターニングすることが好ましい。タンタル(Ta)及び酸素(O)を含有する材料からなる反射率調整層44の場合には、フッ素系ガスを用いて好適にドライエッチングをすることができる。吸収層42を、フッ素系ガス又は酸素を含まない塩素系ガスを含むドライエッチングガスによってパターニングすることが好ましい。タンタル(Ta)及び窒素(N)を含有する材料からなる吸収層42の場合には、フッ素系ガス又は酸素を含まない塩素系ガスを用いて好適にドライエッチングをすることができる。このようにして、反射型マスク200の吸収体パターン4aを形成することできる。
【0100】
以上の工程により、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200を得ることができる。
【0101】
<半導体装置の製造方法>
本実施形態の半導体装置の製造方法は、EUV光を発する露光光源を有する露光装置に、本実施形態の反射型マスク200をセットし、被転写基板上に形成されているレジスト膜に転写パターンを転写する工程を有する。
【0102】
本実施形態の半導体装置の製造方法では、上述の反射型マスクブランク100を用いて製造されるので、本実施形態の反射型マスク200を用いて、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる。そのため、半導体装置の製造の際に、高い歩留まりで、微細でかつ高精度の転写パターンを有する半導体装置を製造することができる。
【0103】
上記の本実施形態の反射型マスク200を使用してEUV露光を行うことにより、半導体基板上に反射型マスク200上の吸収体パターン4aに基づく所望の転写パターンを形成することができる。このリソグラフィ工程に加え、被加工膜のエッチング、絶縁膜及び導電膜の形成、ドーパントの導入、並びにアニールなど種々の工程を経ることで、所望の電子回路が形成された半導体装置を製造することができる。
【0104】
より詳しく説明すると、EUV露光装置は、EUV光を発生するレーザープラズマ光源、照明光学系、マスクステージ系、縮小投影光学系、ウエハステージ系、及び真空設備等から構成される。光源にはデブリトラップ機能と露光光以外の長波長の光をカットするカットフィルタ及び真空差動排気用の設備等が備えられている。照明光学系と縮小投影光学系は反射型ミラーから構成される。EUV露光用反射型マスク200は、その第2主面に形成された導電膜により静電吸着されてマスクステージに載置される。
【0105】
EUV光源の光は、照明光学系を介して反射型マスク200垂直面に対して6°から8°傾けた角度で反射型マスク200に照射される。この入射光に対する反射型マスク200からの反射光は、入射とは逆方向にかつ入射角度と同じ角度で反射(正反射)し、通常1/4の縮小比を持つ反射型投影光学系に導かれ、ウエハステージ上に載置されたウエハ(半導体基板)上のレジストへの露光が行われる。この間、少なくともEUV光が通る場所は真空排気される。なお、露光コンタミネーションを防止するために、露光中の雰囲気に水素ガスを導入する。また、この露光にあたっては、マスクステージとウエハステージを縮小投影光学系の縮小比に応じた速度で同期させてスキャンし、スリットを介して露光を行うスキャン露光が主流となっている。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、半導体基板上にレジストパターンを形成することができる。本実施形態では、水素ガスを含む雰囲気でEUV露光を行った場合に、吸収体パターン4aが剥がれることを抑制することができる反射型マスク200が用いられている。このため、本実施形態の反射型マスク200を繰り返しEUV露光に使用したとしても、半導体基板上に形成されたレジストパターンは高い寸法精度を持つ所望のものとなる。そして、このレジストパターンをマスクとして使用してエッチング等を実施することにより、例えば半導体基板上に所定の配線パターンを形成することができる。このような露光工程や被加工膜加工工程、絶縁膜や導電膜の形成工程、ドーパント導入工程、あるいはアニール工程等その他の必要な工程を経ることで、半導体装置が製造される。
【実施例】
【0106】
以下、実施例について図面を参照しつつ説明する。なお、実施例において同様の構成要素については同一の符号を使用し、説明を簡略化若しくは省略する。
【0107】
下記の説明において、成膜した薄膜のTa、B、N、及びOの元素組成は、X線光電子分光法(XPS)により測定し、Hの元素組成は弾性反跳検出分析法(ERDA)により測定した。
【0108】
[実施例1]
実施例1の反射型マスクブランク100について説明する。
図2に示すように、実施例1の反射型マスクブランク100は、裏面導電膜5と、基板1と、多層反射膜2と、保護膜3と、吸収体膜4とを有する。吸収体膜4は、吸収層42及び反射率調整層44からなる。吸収層42は、下層である下面領域46及び上層である上面領域48からなる。そして、
図4Aに示されるように、吸収体膜4の上にレジスト膜11を形成する。
図4Aから
図4Eは、反射型マスクブランク100から反射型マスク200を作製する工程を示す要部断面模式図である。
【0109】
実施例1に用いた基板1の作製は、次のようにして行った。すなわち、第1主面及び第2主面の両主表面が研磨された6025サイズ(約152mm×152mm×6.35mm)の低熱膨張ガラス基板であるSiO2-TiO2系ガラス基板を準備し基板1とした。平坦で平滑な主表面となるように、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、局所加工工程、及びタッチ研磨加工工程よりなる研磨を行った。
【0110】
SiO2-TiO2系ガラス基板1の第2主面(裏面)に、CrN膜からなる裏面導電膜5をマグネトロンスパッタリング(反応性スパッタリング)法により下記の条件にて形成した。
裏面導電膜5の形成条件:Crターゲット、ArとN2の混合ガス雰囲気(Ar:90%、N:10%)、膜厚20nm。
【0111】
次に、裏面導電膜5が形成された側と反対側の基板1の主表面(第1主面)上に、多層反射膜2を形成した。基板1上に形成される多層反射膜2は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜2とするために、MoとSiからなる周期多層反射膜2とした。多層反射膜2は、MoターゲットとSiターゲットを使用し、Arガス雰囲気中でイオンビームスパッタリング法により基板1上にMo層及びSi層を交互に積層して形成した。まず、Si膜を4.2nmの厚みで成膜し、続いて、Mo膜を2.8nmの厚みで成膜した。これを1周期とし、同様にして40周期積層し、最後にSi膜を4.0nmの厚みで成膜し、多層反射膜2を形成した。ここでは40周期としたが、これに限るものではなく、例えば60周期でも良い。60周期とした場合、40周期よりも工程数は増えるが、EUV光に対する反射率を高めることができる。
【0112】
引き続き、Arガス雰囲気中で、RuNbターゲットを使用したイオンビームスパッタリング法によりRuNb膜からなる保護膜3を2.5nmの膜厚で成膜した。
【0113】
次に、保護膜3の上に吸収層42(下層である下面領域46及び上層である上面領域48)及び反射率調整層44からなる吸収体膜4を形成した。なお、表1に、実施例1の保護膜3、吸収層42(下層及び上層)、及び反射率調整層44の材料、膜厚、成膜(スパッタリング)の際に用いたターゲット及び成膜ガスの種類、水素(H)含有量、ホウ素(B)含有量、及び材料の組成比を示す。表1中、材料の含有量及び組成比の「at%」は、原子%(atomic %)を意味する。表1中、「RMS(nm)」は、吸収体膜4を形成後のマスクブランクの二乗平均平方根粗さ(RMS)を示す。
【0114】
具体的には、まず、DCマグネトロンスパッタリング法により、TaBNH膜からなる吸収層42の下層(下面領域46)を形成した。TaBNH膜は、TaB混合焼結ターゲットを用いて、Xeガス、N2ガス、及びH2ガスの混合ガス雰囲気にて反応性スパッタリングで、表1に示す膜厚で成膜した。
【0115】
次に、DCマグネトロンスパッタリング法により、TaBN膜からなる吸収層42の上層(上面領域48)を形成した。TaBN膜は、TaB混合焼結ターゲットを用いて、Xeガス、及びN2ガスの混合ガス雰囲気にて反応性スパッタリングで、表1に示す膜厚で成膜した。
【0116】
表1に、実施例1のTaBNH膜(下層である下面領域46)及びTaBN膜(上層である上面領域48)の元素比率を示す。
【0117】
次に、マグネトロンスパッタリング法により、TaBO膜からなる反射率調整層44を形成した。TaBO膜は、TaB混合焼結ターゲットを用いて、ArガスとO2ガスの混合ガス雰囲気にて、反応性スパッタリングで、表1に示す膜厚で成膜した。
【0118】
表1に、実施例1のTaBO膜(反射率調整層44)の元素比率を示す。また、表1に、TaBO膜(反射率調整層44)の形成後の二乗平均平方根粗さRMSを示す。
【0119】
以上のようにして、実施例1の反射型マスクブランク100を製造した。
【0120】
次に、上記実施例1の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1の反射型マスク200を製造した。
【0121】
反射型マスクブランク100の吸収体膜4の上に、レジスト膜11を150nmの厚さで形成した(
図4A)。レジスト膜11の形成には、化学増幅型レジスト(CAR)を用いた。このレジスト膜11に所望のパターンを描画(露光)し、更に現像、リンスすることによって所定のレジストパターン11aを形成した(
図4B)。次に、レジストパターン11aをマスクにして、TaBO膜(反射率調整層44)のドライエッチングを、CF
4ガスを用いて行うことで、反射率調整層パターン44aを形成した(
図4C)。その後、Cl
2ガスを用いたドライエッチングにより、TaBN膜(上層である上面領域48)及びTaBNH膜(下層である下面領域46)をパターニングし、吸収層パターン42aを形成した(
図4D)。
【0122】
その後、レジストパターン11aを酸素アッシングで剥離した(
図4E)。最後に純水(DIW)を用いたウェット洗浄を行って、実施例1の反射型マスク200を製造した。
【0123】
なお、必要に応じてウェット洗浄後マスク欠陥検査を行い、マスク欠陥修正を適宜行うことができる。
【0124】
実施例1で作製した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。露光コンタミネーションを防止するため、EUV露光の際には、露光中の雰囲気に水素ガスを導入した。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。
【0125】
このレジストパターンをエッチングにより被加工膜に転写し、また、絶縁膜及び導電膜の形成、ドーパントの導入、並びにアニールなど種々の工程を経ることで、所望の特性を有する半導体装置を製造することができた。
【0126】
実施例1の反射型マスク200を用いて、繰り返し1000回、露光中の雰囲気に水素ガスを導入してEUV露光を行った。1000回の露光後、実施例1の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0127】
[実施例2]
実施例2の反射型マスクブランク100について説明する。実施例2の反射型マスクブランク100は、吸収層42の下層(下面領域46)の水素含有量及び膜厚が実施例1とは異なる以外は、実施例1の反射型マスクブランク100と同様である。表1に、実施例2の吸収層42(下層及び上層)の組成を示す。すなわち、実施例2の反射型マスクブランク100は、吸収層42の成膜の際に、表1に示す下層である下面領域46の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスのうち、H2ガスの流量及び成膜時間を変更した。
【0128】
表1に、実施例2のTaBNH膜(下層である下面領域46)の元素比率を示す。なお、実施例2のTaBO膜(反射率調整層44)及びTaBN膜(上層である上面領域48)の元素比率は、実施例1と同じであった。
【0129】
以上のようにして、実施例2の反射型マスクブランク100を製造した。
【0130】
次に、上記実施例2の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1と同様にして実施例2の反射型マスク200を製造した。実施例1と同様に、実施例2の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0131】
[実施例3]
実施例3の反射型マスクブランク100について説明する。実施例3の反射型マスクブランク100は、吸収層42(下層及び上層)及び反射率調整層44がホウ素(B)を含有しない点で実施例1と異なる以外は、実施例1の反射型マスクブランク100と同様である。表1に、実施例3の吸収層42(下層及び上層)及び反射率調整層44の組成を示す。すなわち、実施例3の反射型マスクブランク100は、吸収層42(下層及び上層)及び反射率調整層44の成膜の際に、表1に示す反射率調整層44の組成になるように、反応性スパッタリングの際のターゲットとして、ホウ素(B)を含まないTaターゲットを使用した。なお、反応性スパッタリングの際の混合ガスは、実施例1の場合と同様である。
【0132】
表1に、実施例3のTaNH膜(下層である下面領域46)、TaN膜(上層である上面領域48)及びTaO膜(反射率調整層44)の元素比率を示す。
【0133】
以上のようにして、実施例3の反射型マスクブランク100を製造した。
【0134】
次に、上記実施例3の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1と同様にして実施例3の反射型マスク200を製造した。実施例1と同様に、実施例3の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0135】
[実施例4]
実施例4の反射型マスクブランク100について説明する。実施例4の反射型マスクブランク100は、吸収層42の下面領域46である下層が水素(H)を含まず、上面領域48である上層が水素(H)を含む点で実施例1とは異なる以外は、実施例1の反射型マスクブランク100と同様である。表1に、実施例4の吸収層42(下層である下面領域46及び上層である上面領域48)の組成を示す。すなわち、実施例4の反射型マスクブランク100は、下面領域46である下層の成膜の際に、表1に示す下層のTaBN膜の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスとして、H2ガスを用いずに、Xeガス及びN2ガスの混合ガスを用いた。また、上面領域48である上層の成膜の際に、表1に示す上層のTaBNH膜の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスとして、Xeガス、N2ガス及びH2ガスの混合ガスを用いた。
【0136】
表1に、実施例4のTaBN膜(下層である下面領域46)及びTaBNH膜(上層である上面領域48)の元素比率を示す。なお、実施例4のTaBO膜(反射率調整層44)の元素比率は、実施例1と同じであった。
【0137】
以上のようにして、実施例4の反射型マスクブランク100を製造した。
【0138】
次に、上記実施例4の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1と同様にして実施例4の反射型マスク200を製造した。このとき、吸収体パターン4aとして、パターンが疎な領域と密な領域とが形成されるようにした。実施例1と同様に、実施例4の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、パターンが疎な領域では膜剥がれが生じたが、パターンが密な領域では膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0139】
[実施例5]
実施例5の反射型マスクブランク100について説明する。実施例5の反射型マスクブランク100は、吸収層42の下面領域46である下層、上面領域48である上層及び反射率調整層44が水素(H)を含む点で実施例1とは異なる以外は、実施例1の反射型マスクブランク100と同様である。表1に、実施例5の吸収層42(下層である下面領域46及び上層である上面領域48)及び反射率調整層44の組成を示す。すなわち、実施例5の反射型マスクブランク100は、表1に示す下層及び上層のTaNH膜の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスとして、Xeガス、N2ガス及びH2ガスの混合ガスを用いた。また、反射率調整層44の成膜の際に、表1に示すTaOH膜の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスとして、Arガス、O2ガス及びH2ガスの混合ガスを用いた。
【0140】
表1に、実施例5のTaNH膜(下層である下面領域46)、TaNH膜(上層である上面領域48)、TaOH膜(反射率調整層44)の元素比率を示す。
【0141】
以上のようにして、実施例5の反射型マスクブランク100を製造した。
【0142】
次に、上記実施例5の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1と同様にして実施例5の反射型マスク200を製造した。このとき、吸収体パターン4aとして、パターンが疎な領域と密な領域とが形成されるようにした。実施例1と同様に、実施例5の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、パターンが疎な領域及び密な領域の何れも膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0143】
[実施例6]
実施例6の反射型マスクブランク100について説明する。実施例6の反射型マスクブランク100は、吸収層42が(水素(H)ではなく)重水素(D)を含むことが実施例1と異なる以外は、実施例1の反射型マスクブランク100と同様である。表1に、実施例6のTaBND膜(下層である下面領域46)及びTaBN膜(上層である上面領域48)の組成を示す。すなわち、実施例6の反射型マスクブランク100は、吸収層42の成膜の際に、表1に示すTaBND膜(下層である下面領域46)の組成になるように、反応性スパッタリングの際の混合ガスのうち、H2ガスの代わりにD2ガスを用いてTaBND膜を成膜した。
【0144】
表1に、実施例6のTaBND膜(下層である下面領域46)及びTaBN膜(上層である上面領域48)の元素比率を示す。なお、実施例6のTaBO膜(反射率調整層44)の元素比率は、実施例1と同じであった。
【0145】
以上のようにして、実施例6の反射型マスクブランク100を製造した。
【0146】
次に、上記実施例6の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1と同様にして実施例6の反射型マスク200を製造した。実施例1と同様に、実施例5の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、膜剥がれが生じていないことが確認できた。
【0147】
[比較例1]
比較例1として、TaBN膜を吸収層42とするマスクブランクを製造した。比較例1は、吸収層42をTaBN膜(単層膜)とした以外は、基本的に実施例1と同様である。吸収層42のTaBN膜の成膜は、実施例1の吸収層42の上層のTaBN膜と同様にして行った。
【0148】
次に、上記比較例1の反射型マスクブランク100を用いて、実施例1の場合と同様に、比較例1の反射型マスク200を製造した。
【0149】
比較例1で作製した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。露光コンタミネーションを防止するため、EUV露光の際には、露光中の雰囲気に水素ガスを導入した。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。
【0150】
比較例1の反射型マスク200を用いて、繰り返し1000回、露光中の雰囲気に水素ガスを導入してEUV露光を行った。1000回の露光後、比較例1の反射型マスク200の吸収体パターン4aの膜剥がれを評価したところ、膜剥がれが生じたことが確認できた。
【0151】
【符号の説明】
【0152】
1 基板
2 多層反射膜
3 保護膜
4 吸収体膜
4a 吸収体パターン
5 裏面導電膜
6 エッチングマスク膜
6a エッチングマスクパターン
11 レジスト膜
11a レジストパターン
42 吸収層
42a 吸収層パターン
44 反射率調整層
44a 反射率調整層パターン
46 下面領域
48 上面領域
100 反射型マスクブランク
200 反射型マスク