(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】搬送容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/036 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
B65D21/036
(21)【出願番号】P 2021572278
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 AT2020060165
(87)【国際公開番号】W WO2020243759
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】521529477
【氏名又は名称】ホルツライトナー・アンドレアス
(73)【特許権者】
【識別番号】521529488
【氏名又は名称】エンテンフェルナー・ペーター
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ホルツライトナー・アンドレアス
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0220758(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0113845(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第02990346(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121056(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0274362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド収容部を備える搬送底部(2)と搬送底部(2)の反対側にある容器蓋部(3)で画定されている内部空間(4)を有する搬送容器(1)であって、
内部空間の反対側にある容器蓋部の蓋外側(5)から、ガイド本体(6)が突出していて、
ガイド本体(6)が互いに間隔をあけて格子状に配置されている、
当該搬送容器(1)において、
前記ガイド本体(6)は、隣接する搬送容器(1)の掛止フック(8)が係合方向に沿って係合し得る掛止凹部(7)を有し、
前記掛止凹部(7)に係合するために係合方向に沿って移動可能な掛止フック(8)を有する掛止装置が、隣接する搬送容器(1)を取り外し可能に固定するために設けられていて、並びに
ガイド本体(6)がガイド収容部内で係合方向に停止制限されている、
ことを特徴とする搬送容器。
【請求項2】
ガイド収容部が平行に配置され、それぞれ複数のガイ
ド本体(6)のための、ガイド方向に沿って対向して位置する2つの、容器底部(2)の端面の間に延在するガイド溝(9)を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の搬送容器。
【請求項3】
ガイド方向に延在する容器底部(2)の側壁が、この側壁に接している、掛止フック(8)に係合するためのガイド溝(9)によって少なくとも部分的に貫通されている、ことを特徴とする請求項2に記載の搬送容器。
【請求項4】
掛止装置は、好ましくはガイド方向に延在し、個々の掛止フック(8)が取り付けられていて、戻しばねの力に抗して掛止位置から解放位置へ移動可能な掛止ブラケット(11)を形成する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項5】
掛止ブラケット(11)が、ガイド方向に延在する搬送容器(1)の側壁に戻しばねの力に抗して回転可能に配置されていて、且つ、レバーアームと共に作動レバー(13)を形成し、
ガイド方向に延在する回転軸(12)に関して反対側にあるレバーアームには、掛止フック(8)が取り付けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の搬送容器。
【請求項6】
掛止フック(8)は、容器底部(2)に向かって、ガイド本体(6)の蓋表面に対して傾斜し、ガイド本体(6)上に掛止フック(8)を置いた場合に、掛止フック(8)を解放位置に移動するための、蓋表面と相互作用する
変位面(14)を有する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の搬送容器。
【請求項7】
掛止ブラケット(11)の掛止フック(8)は、ガイド方向においても、ガイド方向の反対方向においても、係合方向にも、ガイド方向にも傾斜した接触面(15)を有し、
ガイド方向における掛止ブラケット(11)の最初及び最後の掛止フック(8)は、掛止ブラケットの中心に向かって係合方向に延びる停止面(16)を備える、ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項8】
搬送容器(1)の側壁においてスライド方向に沿って延在する、スライドレール(20)のための、スライド溝(17)が設けられている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項9】
搬送容器(1)の掛止装置がスライド溝(17)内に突出し、及び棚(18)がスライド溝(17)内に係合するスライドレール(20)を有し、スライドレール(20)は掛止装置用のロック装置(21)を備える、ことを特徴とする請求項8に記載の搬送容器(1)を有する棚(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間を有する搬送容器に関するものである。この内部空間は、ガイド収容部を備える容器底部と容器底部の反対側にある容器蓋部とで画定されていて、内部空間とは反対側にある容器蓋部の蓋外側からガイド本体が突出する。
【背景技術】
【0002】
容器底部と容器底部の反対側にある容器蓋部との間にある内部空間を有する積み重ね可能な搬送容器が知られている(特許文献1)。搬送容器を互いに積み重ねた際、これら搬送容器を互いに適切に整列することができるようにするために、容器蓋部から突出するガイド本体が設けられていて、このガイド本体は、隣接する搬送容器の容器底部に埋め込まれた相応のガイド収容部に装入可能である。しかしながら、このように形成されている搬送容器を積み重ねた物は、安全な搬送のために、テンションベルト又はストラップのような追加の補助手段を用いて固定されなければならない、という欠点がある。この場合、このような安全対策にもかかわらず、搬送過程中に生じる搬送運動の結果として、テンションベルト若しくはストラップに相当する補助手段が緩む又は破損する可能性があるという危険が依然としてある。最悪の場合には、搬送容器を積み重ねた物が崩れ落ちる、若しくは搬送容器内にある搬送物品を破損することになる可能性がある。加えて、異なる寸法を持つ搬送容器を積み重ねてまとめなければならない場合、例えば、テンションベルト、テンションネット、又はストラップによって積み重ねた物を十分に固定できるようにするために、可能な限り均等な高さになるよう搬送容器を積み重ねた構造にしなければならないので、安全な搬送のために必要な措置はさらに困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、冒頭で述べられているタイプの搬送容器を提供することを課題とし、この搬送容器は、安全に搬送するため、搬送容器の寸法にかかわらず他の搬送容器と確実かつ迅速に、別の補助手段による追加の搬送固定を省略できるように、積み重ね可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、掛止凹部を有するガイド本体が互いに間隔をあけて格子状に配置され、掛止凹部に係合するために係合方向に沿って移動可能な掛止フックを有する掛止装置が、隣接する搬送容器を取り外し可能に固定するために設けられていて、ガイド本体がガイド収容部内で係合方向に停止制限されている、ことによって課題を解決する。
【0006】
これら特徴の結果として、本発明による複数の搬送容器は、搬送容器のガイド本体が、それぞれ、ガイド本体上に容器底部が載置され隣接する搬送容器のガイド収容部に係合し、そこで少なくとも1つの係合方向が停止制限されるので、搬送容器の寸法にかかわらず、ガイド本体によって設定されている格子状の内側の任意の位置及び向きで積み重ねることができる。掛止装置を作動した後、掛止フックはガイド本体の掛止凹部に連結してかみ合い、したがって、搬送容器は係合方向に対しても互いに固定し、且つポジティブロックによって横方向にも固定される。その結果、2つの搬送容器は、すべての空間方向において互いに整列され、互いに固定される。それ故、搬送する目的で積み重ねられた搬送容器を互いに安全に接続することができるようにするために、本発明による掛止装置のみが唯一の固定手段として必要である。その結果、テンションベルト又はストラップなどの追加の固定手段を省略できる。この場合、可能な限り均等な高さになるよう積み重ねた構造を気にする必要はなく、むしろ、ガイド収容部内へ案内されたガイド本体の格子状配置によって、搬送容器のガイド本体が、確実に接続する為に正確な距離で隣接する搬送容器の掛止フックに常に整列されていることを、保障する。その結果、積み重ねた構造は、その外側の幾何学的形状を自由に選択することができ、それにより、多数の積み重ねた物の変形が可能になり、したがって、搬送容器を積み重ねた物の構成そして分解においても、かなりの時間の節約と高い汎用性をもたらす。
【0007】
本発明による搬送容器は、基本的には、積み重ねるためのガイド本体及びガイド収容部を介して互いに入れることができるにもかかわらず、ガイド収容部が平行に配置され、それぞれ複数のガイド本体のためのガイド方向に沿って延在するガイド溝が、対向して位置する2つの、容器底部の端面の間に形成される場合に、好ましくは有利な積み重ね条件が生じる。その結果、搬送容器を互いに入れることができるだけではなく、積み重ねた構造を素早く合わせるために、ガイド方向、即ちガイド溝の長手延在方向に相互に位置をずらすこともできる。搬送容器の向き、したがってガイド溝とガイド本体との相対的な向きに応じて、格子を拡げた2つの基本方向の位置をずらすことが可能である。この場合、ガイド方向に対して横のガイド溝も、ガイド本体も、2つの格子方向に、所定の格子基本寸法で、互いに離間されている際、特に好ましい製造条件をもたらす。さらに、ガイド溝が容器底部の端面を貫通する場合、積み重ねるべき搬送容器を、前もって重ねて入れる必要はなく、初めから重ねて押し入れることもできる。押し込み式の搬送容器を、基本的に側面から隣接する搬送容器に近づけることができることによって、特に上からアクセスすることが困難な搬送容器の場合、例えば空間の高さが上の方で制限されている場合に、有利な積み重ね条件をもたらす。さらに、別の搬送容器を、既存の搬送容器を積み重ねた物にはめ込むことができる、又はそこから取り出すことができる。
【0008】
簡単な構造条件で、掛止装置へのアクセスを容易にするために、且つ、場合によっては搬送容器が隣り合って配置されていても掛止フックのための十分な運動のすき間を設けるために、ガイド方向に延在する容器底部の側壁を、この側壁に接しているガイド溝が、掛止フックに係合するために、少なくとも部分的に貫通することが企図される。搬送容器を掛止位置で接続するために、1つの搬送容器の掛止フックが、隣接する搬送容器のガイド溝に収容されているガイド本体の掛止収容部にかみ合う。搬送容器の確実な接続並びに良好な操作に関して、搬送容器のガイド方向に延在する互いに対向して位置する2つの側壁が、側壁に接しているそれぞれ1つのガイド溝によって少なくとも部分的に貫通されている場合に有利である。しかしながら、一方又は両方の側壁は、それぞれ接しているガイド溝によって完全に貫通され得る。その結果、それぞれの側壁はガイド溝に移行し、溝本体は側壁に接続する。
【0009】
好ましい製造条件を作り出し、積み重ねと積み重ね固定をすべて迅速に実施することができるようにするために、掛止装置は、好ましくはガイド方向に延在し、個々の掛止フックが取り付けられていて、戻しばねの力に抗して掛止位置から解放位置へ移動可能な掛止ブラケットを形成することができる。掛止フックはもはや個別に運動する必要はなく、複数の掛止フックを含む掛止ブラケットのみが掛止位置又は解放位置へ運動する必要があることで、全体的に有利な操作条件をもたらす。掛止ブラケットの作動を容易にするために、この掛止ブラケットが、搬送容器のハンドル凹部に装入され得る。掛止ブラケットは、掛止フックと共に一体の構成要素として製造され得る。
【0010】
これに関連して、掛止ブラケットが、ガイド方向に延在する搬送容器の側壁で戻しばねの力に抗して回転可能に配置されていて、且つ、レバーアームと共に作動レバーを形成する場合に、確実な操作が得られ、その際、ガイド方向に延在する回転軸に関して反対側にあるレバーアームには、掛止フックが取り付けられている。したがって、作動レバーが作動すると、掛止ブラケットはガイド方向に延在する回転軸を中心に旋回され、掛止フックは、ガイド方向に対して横に、係合方向に抗して、ガイド本体の掛止凹部から引き出される。逆に、掛止ブラケットのばね荷重に基づいて、掛止フックは、作動しない場合、ガイド本体の掛止凹部に自動的にかみ合う。その結果、搬送容器の互いに対する自動的なロックが可能になる。
【0011】
搬送容器は、積み重ねる場合に、掛止ブラケットを手動で操作する必要なく、搬送方向に対して横に且つ係合方向に対して横に重ねて入れることができ、且つ互いにロックすることができるために、掛止フックは、容器底部に向かってガイド本体の蓋表面に対して傾斜し、ガイド本体上に掛止フックを置いた場合に、掛止フックを解放位置に移動するための、蓋表面と相互作用する停止面を有することを推奨する。下方にある搬送容器の上に搬送容器を押し込む場合には、掛止フックのそれぞれの停止面が、最初に、ガイド本体のそれぞれの蓋表面上に載置することになり、ばね荷重によって掛止フックが、ガイド本体の掛止凹部に再び自動的に係合する前に、掛止フックが、それらの停止面に対して作用するガイド本体の蓋表面によって、さらなる押し込み動作の結果として、解放位置に移動される。
【0012】
さらに、搬送容器がガイド方向に互いに押し付けられ、係合方向に対して横方向に押されるときに、掛止装置装置の別個の作動を省略することができるように、掛止ブラケットの掛止フックは、ガイド方向においても、ガイド方向の反対方向においても、係合方向にもガイド方向にも傾斜した接触面15を有することが企図され、その際、ガイド方向における最初及び最後の掛止フックは、掛止ブラケットの中心に向かって係合方向に延在する停止面を備える。この場合、掛止ブラケットは、ガイド本体と相互作用するそれらの接触面に基づいて、戻しばねの力に抗して、最初に外向き、即ち係合方向とは反対に、解放位置に変位される。ガイド方向にさらにスライドすると、掛止ブラケット、したがって掛止フックは、復元力によって掛止位置に戻され、その上、ガイド本体の掛止凹部に係合する。ガイド方向へ先行する第1の掛止フックが隣接する搬送容器のガイド本体のロック凹部に係合するように、搬送容器が隣接する搬送容器上に押される場合、押されるべき搬送容器は、依然としてガイド方向へ押すことができるが、係合方向に掛止ブラケットの中心に向かって延在する、第1の掛止フックの停止面が、隣接する搬送容器の掛止凹部と相互作用する停止部を形成するので、もはやガイド方向に反して戻すことができない。さらに、搬送容器が、ガイド方向で最も後方の、すなわち最後の掛止フックも、隣接する搬送容器の対応する掛止凹部に係合するように押し付けられる場合、搬送容器はガイド方向にもガイド方向に逆らっても互いに移動することができず、したがって掛止装置によって完全に固定される。
【0013】
本発明による搬送容器を棚システムに一体化できるようにするために、スライド方向に沿って延在するスライドレールのためのスライド溝が搬送容器の側壁に設けられていることが企図される。さらに、本発明による掛止装置を介してすでに互いに接続されているいくつかの搬送容器を搬送容器アセンブリとして同時に棚へ押すことができるようにするためには、単に積み重ねられた搬送容器の積み重ね高さの方向におけるそれぞれのスライド溝の距離が、積み重ねられた状態において棚のそれぞれのスライドレールの、棚側壁高さの方向における距離に対応するようにスライド溝の距離を選択すればよい。さらに、スライド方向がガイド方向と一致する場合、個々の搬送容器を、棚に装入されている搬送容器アセンブリから取り外すこともできる。この場合、スライドレールは、搬送容器の掛止装置を作動させるように形成することができる。その結果、掛止フックがガイド本体を解放する。これは、例えば、スライドレールが掛止装置のレバーアームを内側に押圧し、掛止フックが解放位置に移動することによって行うことができる。
【0014】
これに関連して、棚に装入された搬送容器を棚自体に接続することができることが、望ましい。
【0015】
したがって、本発明は、本発明による搬送容器を有する棚に関するものでもある。その棚の掛止装置は、スライド溝内に突出し、棚は、スライド溝内に係合するためのスライドレールを有する。棚蓋部は、容器底部に対応するガイド溝を有し、棚底部は本発明による搬送容器の容器蓋部の格子状の配置に対応するガイド本体を有することができる。個々の搬送容器を棚に接続するために、スライドレールは、スライド溝内に突出する掛止装置のためのロック装置を有することができ、例えば、ロック装置のロック本体は、掛止装置のロック本体凹部に係合することができる。例えば、これらのロック装置は、電気機械式アクチュエータを形成することができる。
【0016】
本発明の対象は、例えば図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による搬送容器の結合体による概略断面図を示す。
【
図2】掛止フックとガイド本体を有する搬送容器とを備える掛止ブラケットの分解詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による搬送容器1は、容器底部2と、容器底部2の反対側にある容器蓋部3とを備える。容器底部2及び容器蓋部3は、搬送物品を収納することができる内部空間4を画定する。内部空間4の反対側にある蓋外側5には、この蓋外側5から突出するガイド本体6が設けられていて、ガイド本体6が互いに間隔をあけて格子状に配置されている。ガイド本体6は、隣接する搬送容器1の掛止フック8が係合方向に沿って係合し得る掛止凹部7を有する。これらの掛止フック8は、
図1に示す掛止位置と解放位置との間で係合方向に沿って変位可能である。
【0019】
容器底部2は、ガイド収容部として、ガイド方向に互いに平行に延びるガイド溝9を有することが可能で、このガイド溝は、係合方向においてガイド本体6のためのブラケット停止制限部を形成する。特に好ましい実施形態では、ガイド溝9は、容器底部2の2つが対向して位置する端面の間に延在することが可能である。
【0020】
ガイド本体6の掛止凹部7へ、掛止フック8の簡単な係合を可能にするために、ガイド方向に延在する容器底部2の側壁は、それぞれの側壁に隣接するガイド溝9によって貫通され得る。その結果、そのガイド溝9の溝基部10は、側壁に直接接続する。
【0021】
個々の掛止フック8は、
図2に詳細に記載されている、ガイド方向に延在する掛止ブラケット11に取り付けられ得る。記載されている実施形態では、この掛止ブラケット11は、ガイド方向に延びる搬送容器1の側壁に、明示されていない戻しばねの力に逆らって回転軸12を中心として回転可能に支承されていて、回転軸12もガイド方向に延在する。掛止ブラケット11は、回転軸12に関して、対向して位置する2つのレバーアームを形成することが可能で、そのレバーアームのうちの一方は作動レバー13を有し、且つ他方は掛止フック8を備える。
【0022】
搬送容器1を別の搬送容器1の上に置いたときに、ガイド本体6の掛止凹部7に掛止フック8の自動的な掛止を可能にするために、掛止フック8は、容器底部2に向かう、且つ、ガイド本体6の蓋表面に対して傾斜した変位面14を有することができる。その結果、掛止フック8は、ガイド本体6上に置かれたときに戻しばねの力に抗して押し戻され、続いて、掛止凹部7に掛止留めされる。
【0023】
上述したように、掛止ブラケット11の掛止フック8は、ガイド方向においても、ガイド方向の反対方向においても、係合方向にもガイド方向にも傾斜した接触面15を有することができ、その際、ガイド方向における掛止ブラケット11の最初及び最後の掛止フック8は、掛止ブラケットの中心に向かって係合方向に延びる停止面16を備える。
【0024】
特に
図3及び
図4から分かるように、スライド方向に延在するスライド溝17を搬送容器1の側壁に設けることが可能で、このスライド溝は、好ましい実施形態では、ガイド方向又は回転軸12の方向に延在する。
図4に記載されている棚18は棚底部19を備え、この棚底部19は容器蓋部3に対応してガイド本体6を有し、このガイド本体6は、容器蓋部3と一致して格子状に配置されている。さらに、棚18は、明示されていない棚蓋部を備え、この棚蓋部は、その構造において容器底部2に対応することができる。棚18は、複数のスライドレール20を備え、そのスライドレールの上に、搬送容器1をそのスライド溝17を介して押すことができる。
【0025】
搬送容器アセンブリを棚18に押し込むと、掛止ブラケット11は解放位置に移動することができる。その結果、装入された搬送容器アセンブリの個々の搬送容器1が再び互いに解放される。個々の搬送容器1を棚に接続するために、スライドレール17は、スライド溝17内に突出する掛止装置の掛止ブラケット11のためのロック装置21を有することができ、ロック装置21のロック本体22は、掛止ブラケット11のロック本体凹部に係合する。これらのロック装置21は、例えば、電気機械式アクチュエータを形成し得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
ガイド収容部を備える搬送底部(2)と搬送底部(2)の反対側にある容器蓋部(3)で画定されている内部空間(4)を有する搬送容器(1)であって、
内部空間の反対側にある容器蓋部の蓋外側(5)から、ガイド本体(6)が突出していて、
ガイド本体(6)が互いに間隔をあけて格子状に配置されている、
当該搬送容器(1)において、
掛止凹部(7)に係合するために係合方向に沿って移動可能な掛止フック(8)を有する掛止装置が、隣接する搬送容器(1)を取り外し可能に固定するために設けられていて、並びに
ガイド本体(6)がガイド収容部内で係合方向に停止制限されている、
ことを特徴とする搬送容器。
2.
ガイド収容部が平行に配置され、それぞれ複数のガイド本体(6)のための、ガイド方向に沿って対向して位置する2つの、容器底部(2)の端面の間に延在するガイド溝(9)を形成する、ことを特徴とする上記1に記載の搬送容器。
3.
ガイド方向に延在する容器底部(2)の側壁が、この側壁に接している、掛止フック(8)に係合するためのガイド溝(9)によって少なくとも部分的に貫通されている、ことを特徴とする上記2に記載の搬送容器。
4.
掛止装置は、好ましくはガイド方向に延在し、個々の掛止フック(8)が取り付けられていて、戻しばねの力に抗して掛止位置から解放位置へ移動可能な掛止ブラケット(11)を形成する、ことを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の搬送容器。
5.
掛止ブラケット(11)が、ガイド方向に延在する搬送容器(1)の側壁に戻しばねの力に抗して回転可能に配置されていて、且つ、レバーアームと共に作動レバー(13)を形成し、
ガイド方向に延在する回転軸(12)に関して反対側にあるレバーアームには、掛止フック(8)が取り付けられている、ことを特徴とする上記4に記載の搬送容器。
6.
掛止フック(8)は、容器底部(2)に向かって、ガイド本体(6)の蓋表面に対して傾斜し、ガイド本体(6)上に掛止フック(8)を置いた場合に、掛止フック(8)を解放位置に移動するための、蓋表面と相互作用するその変位面(14)を有する、ことを特徴とする上記4又は5に記載の搬送容器。
7.
掛止ブラケット(11)の掛止フック(8)は、ガイド方向においても、ガイド方向の反対方向においても、係合方向にも、ガイド方向にも傾斜した接触面(15)を有し、
ガイド方向における掛止ブラケット(11)の最初及び最後の掛止フック(8)は、掛止ブラケットの中心に向かって係合方向に延びる停止面(16)を備える、ことを特徴とする上記4から6のいずれか一つに記載の搬送容器。
8.
搬送容器(1)の側壁においてスライド方向に沿って延在する、スライドレール(20)のための、スライド溝(17)が設けられている、ことを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の搬送容器。
9.
搬送容器(1)の掛止装置がスライド溝(17)内に突出し、及び棚(18)がスライド溝(17)内に係合するスライドレール(20)を有し、スライドレール(20)は掛止装置用のロック装置(21)を備える、ことを特徴とする上記8に記載の搬送容器(1)を有する棚(18)。