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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電流ドライバ及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20240612BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20240612BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240612BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/325
H01L33/00 J
H02M3/155 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021576745
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2020067075
(87)【国際公開番号】W WO2020260147
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】19182170.1
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ホンテレ ベルトラント ヨハン エドヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】ザイルマン テオ ヘリット
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/10
H05B 45/325
H01L 33/00
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流駆動回路と、
LED装置と、
電流が前記LED装置を流れるときを感知するための電流センサであって、前記電流センサが、前記LED装置と直列に結合され、前記電流センサ及び前記LED装置の直列構成が、出力コンデンサと並列に結合される電流センサと、
前記出力コンデンサであって、前記電流駆動回路が、前記LED装置、前記電流センサ及び前記出力コンデンサを通る電流を駆動するよう適合される前記出力コンデンサと、
前記電流駆動回路によって供給される電流レベルを設定するための制御信号と、
前記制御信号の電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きするための上書き装置とを有するLED回路であって、
前記LED回路が、前記電流センサによって感知される電流が閾値電流を超えることに応答して、前記上書き装置を動作停止させるよう適合され、
前記上書き装置が、オンにされるときに前記制御信号をデフォルトの電圧に引き上げ、オフにされるときに前記デフォルトの電圧を前記制御信号から絶縁するためのプルアップトランジスタを有する回路を含み、
前記デフォルトの電流レベルが、最大電流レベル設定であるLED回路。
【請求項2】
前記電流センサが、前記LED装置と直列に電流検出抵抗器を有する請求項1に記載のLED回路。
【請求項3】
前記電流検出抵抗器と並列に更なるコンデンサを有する請求項2に記載のLED回路。
【請求項4】
前記上書き装置を動作停止させるための動作停止スイッチを有し、前記スイッチの制御端子電圧が、前記センサによって設定される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のLED回路。
【請求項5】
前記制御信号が、パルス幅変調プロファイルを有し、前記パルス幅変調プロファイルのデューティサイクルが、前記電流レベルを規定し、前記上書き装置が、前記電流駆動回路に印加する前に、前記制御信号と上書き信号との間のOR関数を実施するためのものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載のLED回路。
【請求項6】
前記動作停止スイッチが、オンにされるときに、前記プルアップトランジスタをオフにする請求項に記載のLED回路。
【請求項7】
前記電流駆動回路が、線形電流源を有する請求項1乃至のいずれか一項に記載のLED回路。
【請求項8】
主電源入力と、整流器とを有し、前記整流器の出力が、前記電流駆動回路、前記LED装置及び前記出力コンデンサに供給される請求項1乃至のいずれか一項に記載のLED回路。
【請求項9】
電流レベルを設定するための制御信号を受け取るステップと、
起動中、上書き装置によって、前記制御信号の電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きするステップと、
LED装置及び出力コンデンサの並列の組み合わせを通る前記デフォルトの電流レベルを駆動するステップと、
電流センサを使用して、電流が前記LED装置を流れるときを示すための感知をするステップと、
前記感知に応じて上書き機能を無効にするステップと、
無効にした後、前記LED装置及び前記出力コンデンサの前記並列の組み合わせを通る、受け取った前記電流レベル設定を駆動するステップとを有するLED駆動方法であって、
前記電流センサが、前記LED装置と直列に結合され、前記電流センサ及び前記LED装置の直列構成が、出力コンデンサと並列に結合され、
前記上書き装置が、オンにされるときに前記制御信号をデフォルトの電圧に引き上げ、オフにされるときに前記デフォルトの電圧を前記制御信号から絶縁するためのプルアップトランジスタを有する回路を含み、
前記デフォルトの電流レベルが、最大電流レベル設定であるLED駆動方法。
【請求項10】
電流を感知するステップが、前記LED装置と直列の電流検出抵抗器の両端の電圧を導出するステップを有する請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記上書きするステップが、前記電流レベル設定と上書き信号との間のOR関数を実施するステップを有する請求項9乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御信号が、前記上書きが無効にされるときにパルス幅変調プロファイルを有し、前記パルス幅変調プロファイルのデューティサイクルが、前記電流レベルを規定する請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLED照明負荷を駆動するための、電流ドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
コストを最小限に抑えるためには、一段で(single stage)高力率のLEDドライバを使用することが望ましい。高力率は、主電源周波数の電流リップルの量を減らすための出力コンデンサの存在に依存している。
【0003】
LEDを駆動するために使用される平均出力電流を制御するために、一般に、出力コンデンサ及びLEDの合計電流を測定するフィードバック回路が使用される。
これは、一段のスイッチモード電源及びリニアドライバの両方に当てはまる。
【0004】
スイッチモード電源は、DC負荷への伝送のために電力を効率的に変換するためにスイッチングレギュレータを内蔵する。スイッチングレギュレータは、絶えず、フルオン状態とフルオフ状態との間で切り替え、このことは、浪費されるエネルギを最小限に抑える。スイッチングレギュレータのデューティサイクルを変化させることによって、電圧又は電流の調整が達成される。これに対して、リニアドライバは、絶えず電力を消散させることによって出力電圧又は電流を調整する。それ故、リニアドライバは、電力効率は劣るが、スイッチモード電源とは異なり、ドライバの電磁干渉(EMI)性能を劣化させる高周波スイッチング要素を含まない。
【0005】
出力コンデンサ(一般的には電解コンデンサ)の値は、必要とされるリップル低減の量とLEDの動的抵抗に依存する。必要とされる低減が多ければ多いほど、コンデンサは大きくする必要がある。
【0006】
大きな出力コンデンサは、電源投入時に充電するのにかなりの時間がかかる。特に、必要とされる出力電流が低い調光値(例えば、全電流の2%)に設定される場合、何らかの光が生成されるまでの出力コンデンサの充電時間は、最大で数秒かかることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この時間遅延を短縮するが、ドライバ回路の複雑さを大幅に増すことはないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0009】
本発明の或る態様による例によれば、
電流駆動回路と、
LED装置と、
前記LED装置と並列の出力コンデンサであって、前記電流駆動回路が、前記LED装置及び前記出力コンデンサの並列の組み合わせを通る電流を駆動するよう適合される出力コンデンサと、
前記電流駆動回路によって供給される電流レベルを設定するための制御信号と、
電流が前記LED装置を流れるときを感知するためのセンサと、
前記制御信号の電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きする(override)ための上書き装置とを有するLED回路であって、
前記センサによる感知に応じて、前記上書き装置を動作停止させるよう適合されるLED回路が提供される。
【0010】
このLED回路は、前記LED装置を通る閾値電流が感知されるまで、ドライバの電流設定を無視する上書き装置を有する。このやり方においては、並列出力コンデンサが充電する間、前記電流駆動回路の前記電流レベルは、高レベルに設定されることができる。前記電流駆動回路は、小さな電流が前記LED装置を流れるとすぐに、所望の電流レベルに戻ることができ、従って、前記LED装置のオーバードライブ、又はフラッシュの発生を防止する。しかしながら、(光出力を伴わない、又は最大調光に対応する最小レベルより低い光出力を伴う)前記出力コンデンサの最初の起動時の充電に関連する遅延は防止される。
【0011】
電流が流れるときの感知は、実際の電流の感知に基づいてもよく、又は流れる電流によって生じる、オプトカプラ若しくはLED装置自体からの光出力の感知に基づいてもよい。
【0012】
電流が流れるときの感知は、閾値電流又は対応する量の光出力の検出に基づいてもよい。
【0013】
前記デフォルトの電流レベルは、例えば、最大電流レベル設定である。従って、前記出力コンデンサは可能な限り迅速に充電される。
【0014】
前記センサは、例えば、前記LED装置と直列に電流検出抵抗器を有する。これは、LED電流を単独でモニタする簡単なやり方を提供する。前記抵抗器は、主ドライバICの外部にあってもよいが、同様に、前記ドライバIC内に組み込まれてもよい。
【0015】
前記上書き装置を動作停止させるために動作停止スイッチが設けられてもよく、前記スイッチの制御端子電圧は、前記センサ、例えば、前記電流検出抵抗器の両端の電圧によって設定される。従って、前記動作停止スイッチは、流れる前記LED電流に依存してオン及びオフにされる。或る例においては、前記動作停止スイッチは、起動中、オフにされる。十分な電流が流れて、前記動作停止スイッチがオンにされるとき、上書き機能が無効にされ、通常の電流制御が再開する。
【0016】
好ましくは、コンデンサが、前記電流検出抵抗器と並列にある。これは、ゲート端子電圧を蓄える。
【0017】
前記制御信号は、好ましくは、パルス幅変調プロファイルを有し、前記パルス幅変調プロファイルのデューティサイクルが、前記電流レベルを規定し、前記上書き装置が、前記電流駆動回路に印加する前に、前記制御信号と上書き信号との間のOR関数を実施するためのものである。
【0018】
その場合、前記上書き信号は、前記OR関数の結果が前記電流駆動回路がその最大レベルに駆動されるようなものであることを意味する。前記上書き信号は、例えば、前記PWM信号のハイの電圧レベル以上のDC信号である。
【0019】
或る例においては、前記上書き装置は、オンにされるときに前記制御信号を(例えば、前記PWMのハイの電圧以上の)デフォルトの電圧に引き上げ、オフにされるときに前記デフォルトの電圧を前記制御信号から絶縁するためのプルアップトランジスタを有する回路を含む。
【0020】
従って、前記デフォルトの電圧が、通常の電流制御信号を上書きする。
【0021】
前記動作停止スイッチは、オンにされるときに、前記プルアップトランジスタをオフにする。これは、前記制御信号が上書きされることなく動作することを可能にする。
【0022】
前記電流駆動回路は、例えば、線形電流源を有する。これは、低コストの実施例を提供する。
【0023】
前記回路は、好ましくは、主電源入力と、整流器とを有し、前記整流器の出力は、前記電流駆動回路、前記LED装置及び前記出力コンデンサに供給される。
【0024】
本発明は、
電流レベル設定を受け取るステップと、
起動中、前記電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きするステップと、
LED装置及び出力コンデンサの並列の組み合わせを通る前記デフォルトの電流レベルを駆動するステップと、
電流が前記LED装置を流れるときの感知をするステップと、
前記感知に応じて上書き機能を無効にするステップと、
無効にした後、前記LED装置及び前記出力コンデンサの前記並列の組み合わせを通る、受け取った前記電流レベル設定を駆動するステップとを有するLED駆動方法も提供する。
【0025】
この方法は、前記回路の起動時の、前記出力コンデンサの充電に関連する最初の遅延を防止する。
【0026】
前記デフォルトの電流レベルは、例えば、最大電流レベル設定である。
【0027】
電流を感知するステップは、例えば、前記LED装置と直列の電流検出抵抗器の両端の電圧を導出するステップを有する。
【0028】
前記上書きするステップは、例えば、前記電流レベル設定と上書き信号との間のOR関数を実施するステップを有する。前記上書き信号は、前記デフォルトの電流レベルが設定されることをもたらす。
【0029】
前記上書きするステップは、前記電流レベル設定をデフォルトの電圧に規定する、制御信号を引き上げるステップを有してもよい。前記制御信号は、例えば、前記上書きが無効にされるときにパルス幅変調プロファイルを有し、前記パルス幅変調プロファイルのデューティサイクルが、前記電流レベルを規定する。
【0030】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】本発明によるLED回路の或る例を示す。
図2】LED駆動方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図を参照して本発明について説明する。
【0033】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0034】
本発明は、LED装置及び出力コンデンサの並列の組み合わせを通る電流を駆動するための電流駆動回路を有するLED回路を提供する。上書き装置が、起動中、電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きし、上書き装置は、センサによって(直接又は間接的に)電流の流れが感知されるときには、動作停止される。ドライバの電流設定は、LED装置を通る閾値電流が感知されるまで、無視される。それによって、出力コンデンサの最初の起動時の充電に関連する遅延が防止される。
【0035】
図1は、本発明によるLED回路10の或る例を示している。
【0036】
回路10は、電圧源V1によって表されている主電源入力を有する。抵抗器R1は、入力の下流に設けられ、ヒューズの役割も果たす突入電流制限抵抗器である。
【0037】
主電源入力は、ダイオードD1乃至D4から成るフルブリッジ整流器に接続する。整流器出力は、バス(又は線間)電圧VBUSである。
【0038】
整流器出力はまた、電流駆動回路B1と、LED装置D10及び出力コンデンサC2の並列の組み合わせとを有する直列回路に供給される。コンデンサC2は、整流された出力を平滑化するための大きな(例えば100uFの)電解コンデンサである。電流駆動回路は、LED装置D10及び出力コンデンサC2の並列の組み合わせを通る電流を駆動するよう適合される。LED装置は、LEDの直列構成であってもよく、又は実際には、LEDの複数の並列分岐であってもよい。
【0039】
電流駆動回路B1によって供給される電流レベルを設定するために制御信号PWMが使用される。
【0040】
PWM信号によって電流源B1の平均電流が調整される。電流の形状は、電流源の実施例に応じて、定電流、又は電流源B1における損失を制限するための成形電流波形のいずれかである。B1の両端の高電圧は、平均値を予め設定されたレベルに保ちながら、B1のより低い瞬時電流設定をもたらす。
【0041】
ツェナーダイオードD8は、(以下で更に述べる)2つのトランジスタQ1及びQ2の間の高電圧を吸収するために、電流源と並列にある。これは、より低い電圧定格(Vce)のトランジスタQ1の使用を可能にし、従って、より低いコストを可能にする可能性がある。
【0042】
LED装置D10を通る電流は、電流センサ、とりわけ、電流検出抵抗器R3を使用して測定される。電流センサR3は、LED装置D10と直列に配置され、電流センサR3及びLED装置D10の直列構成は、出力コンデンサC2と並列に配置される。電流センサR3は、LED装置D10を流れる電流しか感知されないように配置されてもよい。
【0043】
LED装置D10を流れる電流に基づいて、ユーザ規定電流レベルが、例えば、ユーザ選択調光レベル設定を達成するために、電流駆動回路B1によって実施される場合がある、あるいは、この設定が、より多くの電流が流れることを可能にし、従って、出力コンデンサC2をより迅速に充電するよう、上書きされる場合がある。この上書きは、回路の起動中に行われる。
【0044】
この目的のため、電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きするための上書き装置10が存在する。上書き装置20は、電流駆動回路B1に、強制的に、デフォルトの、例えば最大の、電流を供給させる(それによって、電流レベルのユーザ設定を上書きする)、あるいは、ユーザ電流設定が使用されることを可能にする。
【0045】
電流センサR3によって閾値電流が感知されるときに上書き装置20を動作停止させるために動作停止スイッチQ1が設けられる。従って、十分電流がLED装置を流れるまで、上書き装置20は動作している。
【0046】
従って、LED回路10は、LED装置D10を通る閾値電流が感知されるまで、ドライバの電流設定を無視する上書き装置20を有する。このやり方においては、並列出力コンデンサC2が充電する間、電流駆動回路B1の電流レベルは、高レベルに設定されることがされるできる。電流駆動回路B1は、小さな電流がLED装置D10自体を流れるとすぐに、ユーザ選択電流レベルに戻り、従って、LED装置D10のオーバードライブ(overdriving)、又はフラッシュの発生を防止する。しかしながら、出力コンデンサC2の最初の起動時の充電に関連する遅延は、全光出力の始動における遅延とほぼ同じ時間まで最小化される。
【0047】
閾値電流は、例えば、(2%の)最小調光レベルよりも5乃至20倍小さい。これは、閾値電流が、全出力電流の0.1%(0.02/20)から0.4%(0.02/5)の間であり得ることを意味する。
【0048】
これは、相対的に高いオーム抵抗器R3をもたらすが、抵抗器R3の両端の全電圧降下は、Q1が完全にオンになると、決してQ1のベースエミッタ電圧Vbeを超えない。
【0049】
抵抗器R3の両端の期待電圧は約0.7Vとなり、電流は主にトランジスタQ1のエミッタ・ベースダイオードを流れる。これは、電流測定回路R3における損失を最小限に抑える。
【0050】
トランジスタQ1は、より広くは、動作停止スイッチである。制御ゲート(ベース)端子電圧は、電流検出抵抗器R3の両端の電圧によって設定される。示されている例においては、前記動作停止スイッチは、起動中、オフにされる。電流が増加するにつれて、ベース電圧は、或る特定の電流においてpnpトランジスタがオンになるまで、(R3の両端の電圧降下の増加によって)引き下げられる。次いで、以下に説明するやり方で上書き機能が無効にされ、通常の電流制御が再開する。電流検出抵抗器R3と並列のコンデンサC3がベース電圧を蓄える。
【0051】
上書き装置20は、例えば、示されているように、入力として制御信号PWMを受信する回路を有する。制御信号PWMは、(一般に無線制御の)マイクロコントローラユニット(MCU)によって生成される。それは、例えば、Zigbee、又は赤外線若しくはWiFi通信を使用するRF MCUであってもよい。
【0052】
制御信号PWMの供給源は、図1においては電圧源V3として表されている。通常、制御信号は電流駆動回路B1に直接供給される。本発明は、追加の上書き装置を提供する。
【0053】
示されている例における上書き装置20は、オンにされるときに制御信号PWMを(抵抗器R3を通して)デフォルトの電圧V2に引き上げ、オフにされるときにデフォルトの電圧V2を制御信号から絶縁するためのプルアップトランジスタQ3を有する。
【0054】
従って、デフォルトの電圧V2が、通常の電流制御信号を上書きする。
【0055】
抵抗器R9は、プルアップトランジスタQ3と電圧源V3との間の抵抗分割器R8、R9の一部である。
【0056】
例えば、電圧源V3からの出力は、0V及び3.3V(即ち、コントローラICの電圧レール)の間のPWM信号であってもよい。V2は、16Vの定電圧であってもよい。
【0057】
従って、Q3がオフであるとき、制御信号は、0V乃至3.3VのPWM信号である。Q3がオンであるときは、R8及びR9から成る分圧器は、制御信号PWMが、(V3=0のときの)3.2V又は(V3=3.3Vのときの)5.8Vであることを意味する。これらの両方とも、電流駆動回路に印加されるときに最大駆動電流に対応する。
【0058】
電流駆動回路は、5.8V入力に対するのと同じように3.2V入力に対して反応する。
【0059】
従って、制御信号PWMは、プルアップトランジスタがオフにされるときにパルス幅変調プロファイルを有し、パルス幅変調プロファイルのデューティサイクルが、電流レベルを規定する。
【0060】
最初は、動作停止スイッチQ1はオフにされている。トランジスタQ2はオフであり、Q3のベースはベース抵抗器R7を通してハイに引き上げられている。
【0061】
動作停止スイッチQ1は、オンにされるときに、プルアップトランジスタQ3をオフにする。これは、制御信号が上書きされることなく動作することを可能にする。とりわけ、Q1がオンにされるとき、Q2は、電流が、Q1を通して、ツェナーダイオードD11及び抵抗器R5を通してベースに供給されることから、オンにされる。Q2は、Q3のベースを引き下げ、Q3をオフにする。
【0062】
上書き装置の機能は、制御信号と上書き信号(トランジスタQ3を通して供給されるときの電圧源V2)との間のOR関数を実施するものであることが分かる。このOR関数は、電流設定信号が電流駆動回路に印加される前に行われる。
【0063】
PWM信号は、例えば、2乃至5%の低い調光レベルに対応する非常に低い電流を設定するためのものであり得る。しかしながら、最初は、小さな閾値電流がLED装置を流れ始めるまで、電流駆動回路は100%の電流レベルを供給し得る。
【0064】
図1は実施のほんの一例に過ぎないことに留意されたい。回路の一部又は全てが電流駆動回路に組み込まれてもよい。電流感知は、駆動ICの内部で実施されてもよく、又は外部で実施されてもよい。IC実施例においては、電流感知は様々なやり方で同様にうまく行われることができる。例えば、Q2及びQ3を備えるアナログ回路は、上書き信号が、上で説明したのと同様のやり方でPWMを強制的に論理1にさせる論理回路に置き換えられることができる。
【0065】
Q1は、(D11と組み合わさって)十分な電圧定格を持つ必要があり、これは或る程度のコストと関係がある。本発明の目的は、電流がLEDを流れ始めるとすぐに急速充電を停止することである。
【0066】
抵抗器R3によるLED電流の直接感知は1つの選択肢にすぎない。代替手段は、オプトカプラのLED側をLEDと直列に配置するものであり、その場合、検出電流は、Q2と同じ機能を持つオプトカプラの出力トランジスタを直接作動させることができる。これは、感知回路の代替実施例である。この選択肢は、光の生成及び検出を使用する。他の代替手段は、フォトダイオード又はフォトトランジスタを使用してLED装置からの光の検出を実施するものである。
【0067】
これらの場合には、電流がLEDを流れることを感知するためのセンサは、電流を直接検出するのではなく、電流の流れによって生じる光を感知する光学センサを利用する。
【0068】
図1には幾つかの構成要素の値が示されている。これらは、単に、大きさのオーダーの例を示すためのものであり、決して限定することを目的とするものではない。
【0069】
図2は、LED駆動方法であって、
ステップ30において、電流レベル設定を受け取ること、
ステップ32において、起動中、電流レベル設定をデフォルトの電流レベルに上書きすること、
ステップ34において、LED装置D10及び出力コンデンサC2の並列の組み合わせを通る、デフォルトの電流レベルを駆動すること、
ステップ36において、電流がLED装置を流れるときを感知すること、
ステップ38において、感知に応じて上書き機能を無効にすること、及び
ステップ40において、無効にした後、LED装置D10及び出力コンデンサC2の並列の組み合わせを通る、受け取った電流レベル設定を駆動することを含むLED駆動方法を示している。
【0070】
電流が流れるときを感知することは、特定の閾値電流が流れるときを、直接、又は対応する光出力の光学的感知に基づいて、感知することを含み得る。
【0071】
この方法は、回路の起動時の、出力コンデンサの充電に関連する最初の遅延を防止する。
【0072】
上記の例は、リニア電流ドライバをベースにしている。しかしながら、本発明は、スイッチモード電源を利用するドライバにも適用され得る。
【0073】
上記の例は、アナログ上書き回路及び動作停止スイッチをベースにしている。しかしながら、LED電流は、(電流検出抵抗器の両端の電圧として)感知されてもよく、その場合、信号は、動作停止スイッチの代わりに信号処理装置に供給されてもよく、その場合、信号処理装置が、上で説明した機能の全てをデジタル的に実施する。
【0074】
本発明は、広くは、トポロジとは無関係に、ICドライバ回路などの、SMPCドライバ、又は(ICベースの、若しくは個別構成要素を備える)LEDランプのためのリニアドライバにとって興味深い。
【0075】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2