(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】電力変換装置、及び車載充電器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240612BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240612BHJP
H01F 30/12 20060101ALI20240612BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H02M7/12 S
H01F30/10 C
H01F30/10 A
H01F30/12 A
H01F30/12 C
H01F30/10 M
H01F30/10 Z
H01F27/28 K
H02M7/12 P
(21)【出願番号】P 2022023991
(22)【出願日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃則
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112134336(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112996688(CN,A)
【文献】特表2013-526787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H01F 30/10
H01F 30/12
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流が入力する第1コイル、第2コイル、及び第3コイルが磁気的に結合された磁気結合インダクタと、
前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記第3コイルから出力された交流を直流に変換する変換部と、
三相交流電源に対して前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記第3コイルを接続する三相接続状態と、単相交流電源に対して前記第1コイル、及び前記第2コイルを接続し前記第3コイルを遮断する単相接続状態とを切り替える切替部と
を備え、
前記磁気結合インダクタは、
前記第1コイルに挿通された第1軸と、前記第2コイルに挿通された第2軸と、前記第3コイルに挿通された第3軸と、前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸と並列された第4軸とが一体化されたコアと
を備え、
前記切替部は、前記単相接続状態における前記第2コイルの入力側と出力側とを、前記三相接続状態における前記第2コイルの入力側と出力側とが反転した状態にする電力変換装置。
【請求項2】
前記変換部は、
前記第1コイルに接続される第1スイッチングレグと、
前記第2コイルに接続される第2スイッチングレグと、
前記第3コイルに接続される第3スイッチングレグと
を備え、
前記切替部は、
前記第2コイルの一方側を、前記三相接続状態では電源非接地側に接続し、前記単相接続状態では前記第2スイッチングレグに接続し、
前記第2コイルの他方側を、前記三相接続状態では前記第2スイッチングレグに接続し、前記単相接続状態では前記電源非接地側に接続し、
前記第3コイルを、前記三相接続状態では前記電源非接地側と前記第3スイッチングレグとに接続し、前記単相接続状態では前記電源非接地側と前記第3スイッチングレグとから遮断し、
前記第3スイッチングレグを、前記三相接続状態では前記第3コイルに接続し、前記単相接続状態では電源接地側に接続する請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記変換部は、
前記第1コイルに接続される第1前段スイッチングレグと、電源接地側に接続される第1後段スイッチングレグとを備え、前記第1コイルから出力された交流を直流に変換する第1変換部と、
前記第2コイルに接続される第2前段スイッチングレグと、前記電源接地側に接続される第2後段スイッチングレグとを備え、前記第2コイルから出力された交流を直流に変換する第2変換部と、
前記第3コイルに接続される第3前段スイッチングレグと、前記電源接地側に接続される第3後段スイッチングレグとを備え、前記第3コイルから出力された交流を直流に変換する第3変換部と
を備え、
前記切替部は、
前記第2コイルを、前記三相接続状態では電源非接地側に接続し、前記単相接続状態では前記電源接地側に接続し、
前記第2後段スイッチングレグを、前記三相接続状態では前記電源接地側に接続し、前記単相接続状態では前記電源非接地側に接続し、
前記第3コイルを、前記三相接続状態では前記電源非接地側に接続し、前記単相接続状態では前記電源非接地側から遮断する請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記単相接続状態では、前記第1コイルの入力電圧と前記第2コイルの入力電圧との位相差は180°である請求項1~3の何れか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の電力変換装置を備える車載充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、及び車載充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
車載充電器として、三相交流電源と単相交流電源との双方に対応させる三相/単相切替回路を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、三相交流電源に対応した三相PFCコンバータとして、3個の平滑インダクタを磁気的に一体化した磁気結合インダクタを備えるものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【文献】中井戸 博樹、梅谷 和弘、平木 英治、「平滑インダクタの一体化による三相PFCコンバータの小型化技術の提案」、パワーエレクトロニクス学会誌 Vol.41(2016.3) 160頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の磁気結合インダクタを特許文献1に記載の車載充電器の三相/単相切替回路に適用することで、インダクタの小型化による車載充電器の小型化を図ることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の車載充電器では、三相交流電源の接続時には、磁気結合インダクタの三相の磁束が相殺されるのに対して、単相交流電源の接続時には、磁気結合インダクタの三相の磁束が重畳される。
【0006】
ここで、磁気結合インダクタのコアを、各コイルに挿通される第1~第3の軸と、リップル電流に起因する磁束の経路を確保する目的で設けられる第4の軸とを一体化した構成とすることが考えられる。三相交流電源の接続時には、リップル電流に起因する微小な磁束が第4の軸を流れるが、単相交流電源の接続時には、三相の磁束が重畳された大きな磁束が第4の軸を流れる。そのため、第4の軸を単相交流電源の接続時の条件に応じて設計しなければならず、磁気結合コンダクタの小型化が妨げられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、三相交流電源と単相交流電源との双方に対応可能で磁気結合インダクタを備える電力変換装置及び車載充電器であって、磁気結合インダクタの小型化を実現できる電力変換装置及び車載充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力変換装置は、三相交流が入力する第1コイル、第2コイル、及び第3コイルが磁気的に結合された磁気結合インダクタと、前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記第3コイルから出力された交流を直流に変換する変換部と、三相交流電源に対して前記第1コイル、前記第2コイル、及び前記第3コイルを接続する三相接続状態と、単相交流電源に対して前記第1コイル、及び前記第2コイルを接続し前記第3コイルを遮断する単相接続状態とを切り替える切替部とを備え、前記磁気結合インダクタは、前記第1コイルに挿通された第1軸と、前記第2コイルに挿通された第2軸と、前記第3コイルに挿通された第3軸と、前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸と並列された第4軸とが一体化されたコアとを備え、前記切替部は、前記単相接続状態における前記第2コイルの入力側と出力側とを、前記三相接続状態における前記第2コイルの入力側と出力側とが反転した状態にする。
【0009】
本発明の車載充電器は、上記電力変換装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、三相交流電源と単相交流電源との双方に対応可能で磁気結合インダクタを備える電力変換装置及び車載充電器において、磁気結合インダクタの小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載充電器を示す回路図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すPFC回路の三相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すPFC回路の単相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図4】
図4は、比較例に係るPFC回路の三相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図5】
図5は、比較例に係るPFC回路の単相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図6】
図6は、U相電流、V相電流、及びW相電流に対応するインダクタを別体にする場合と、本実施形態に係る磁気結合インダクタとを示す図である。
【
図7】
図7は、比較例に係る磁気結合インダクタを示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るPFC回路の三相交流電源の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るPFC回路の単相交流電源の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。
【
図10】
図10は、比較例に係るPFC回路の単相交流電源の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。
【
図11】
図11は、本発明の他の実施形態に係る車載充電器を示す回路図である。
【
図12】
図12は、
図11に示すPFC回路の三相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図13】
図13は、
図11に示すPFC回路の単相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図14】
図14は、比較例に係るPFC回路の三相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【
図15】
図15は、比較例に係るPFC回路の単相交流電源の接続時の状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載充電器1を示す回路図である。この回路図に示す車載充電器1は、三相交流電源2と単相交流電源3(
図3参照)との双方に対応可能であり、三相交流電源2又は単相交流電源3から供給される電力を変換してバッテリ4を充電する。この車載充電器1は、3レグ型のPFC回路20と、DC/DCコンバータ30とを備える。
【0014】
PFC回路20は、磁気結合インダクタ10と、三相/単相切替回路100と、第1スイッチングレグ21、第2スイッチングレグ22、及び第3スイッチングレグ23と、第1出力コンデンサ24、及び第2出力コンデンサ25とを備える。このPFC回路20は、三相交流電源2又は単相交流電源3から入力された交流電力を力率が調整され高調波を抑制した直流電力に変換してDC/DCコンバータ30に出力する。
【0015】
磁気結合インダクタ10は、U相電流に対応する第1コイル11U、V相電流に対応する第2コイル11V、及びW相電流に対応する第3コイル11Wと、第1コイル11U、第2コイル11V、及び第3コイル11Wを磁気的に結合するコア12とを備える。この磁気結合インダクタ10の構成の詳細については後述する。
【0016】
三相/単相切替回路100は、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで第2コイル11V、及び第3コイル11WのPFC(Power factor correction)回路20での接続状態を切り替える。ここで、三相/単相切替回路100は、単相交流電源3の接続時に第3コイル11Wを遮断する機能に加えて、第2コイル11Vの入力側と出力側とを、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで反転させる機能を備える。これらの機能の詳細については後述する。
【0017】
第1スイッチングレグ21は、直列に接続された一対のスイッチング素子Q1,Q2を備える。第2スイッチングレグ22は、直列に接続された一対のスイッチング素子Q3,Q4を備える。また、第3スイッチングレグ23は、直列に接続された一対のスイッチング素子Q5,Q6を備える。第1~第3スイッチングレグ21~23は、並列に接続されている。第1スイッチングレグ21が前段に配され、第3スイッチングレグ23が後段に配されている。スイッチング素子Q1~Q6は、双方向遮断能力を備える半導体スイッチング素子であり、MOSFET(Metal-oxide-semiconductor-field-effect transistor)やIGBT(Insulated gate bipolar transistor)等である。
【0018】
第1出力コンデンサ24と第2出力コンデンサ25とは直列に接続されている。また、第1出力コンデンサ24と第2出力コンデンサ25とは、第3スイッチングレグ23の後段側に第1~第3スイッチングレグ21~23と並列に接続されている。また、第1出力コンデンサ24と第2出力コンデンサ25との間(第1及び第2出力コンデンサ24,25の中点)は、N線111Nにより三相交流電源2又は単相交流電源3の接地側に接続されている。
【0019】
PFC回路20は、制御装置(図示省略)から入力されるPWM(Pulse width modulation)制御信号に応じて、スイッチング素子Q1~Q6をスイッチング制御する。このPFC回路20は、高力率コンバータを構成しており、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング制御により、力率の調整に加えて出力電圧の大きさを調整する。
【0020】
DC/DCコンバータ30は、PFC回路20から出力される直流電力を変圧してバッテリ4に出力する。なお、以下に説明するDC/DCコンバータ30の構成は一例であり、特に限定されるものではない。一例に係るDC/DCコンバータ30は、一次側フルブリッジ回路31と、トランス32と、二次側フルブリッジ回路33とを備える。
【0021】
一次側フルブリッジ回路31は、単相電圧型フルブリッジインバータであり、PFC回路20から出力される直流電力を所定周波数の交流電力に変換してトランス32に出力する。この一次側フルブリッジ回路31は、制御装置(図示省略)から入力されるPWM制御信号に応じて、スイッチング素子をスイッチング制御することにより、トランス32への出力電力の周波数を調整する。
【0022】
トランス32は、一次側フルブリッジ回路31と二次側フルブリッジ回路33とを絶縁すると共に、一次側フルブリッジ回路31の出力電圧を変圧してバッテリ4の入力電圧を調整する。また、二次側フルブリッジ回路33は、単相電圧側フルブリッジインバータであり、トランス32から出力される交流電力を直流電力に変換してバッテリ4へ出力する。
【0023】
図2は、
図1に示すPFC回路20の三相交流電源2の接続時の状態を示す回路図であり、
図3は、PFC回路20の単相交流電源3の接続時の状態を示す回路図である。これらの回路図に示すように、PFC回路20では、三相/単相切替回路100が、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで、第2コイル11V及び第3コイル11Wの接続状態を切り替える。
【0024】
三相/単相切替回路100は、第1スイッチ101と、第2スイッチ102と、第3スイッチ103と、第4スイッチ104とを備える。これらの第1スイッチ101、第2スイッチ102、第3スイッチ103、及び第4スイッチ104が、制御装置(図示省略)から入力される切替信号に応じて切り替えられることにより、第2コイル11V及び第3コイル11Wの接続状態が切り替えられる。
【0025】
三相/単相切替回路100は、電力線として、U相111Uと、V相111Vと、W相111Wと、N線111Nと、V相切替線112V,113Vと、N線切替線114Nとを備える。U相111Uは、入力端子Uと第1スイッチングレグ21とを接続している。このU相111Uには、第1コイル11Uが設けられている。第1コイル11Uの入力側は、U相111Uにより入力端子Uに接続され、第1コイル11Uの出力側は、U相111Uにより第1スイッチングレグ21におけるスイッチング素子Q1,Q2の間に接続されている。
【0026】
V相111Vは、入力端子Vと第2スイッチングレグ22とを接続している。このV相111Vには、第1スイッチ101、第2コイル11V、及び第2スイッチ102が設けられている。第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時の入力側は、V相111Vにより入力端子Vに接続され、第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時の出力側は、V相111Vにより第2スイッチングレグ22におけるスイッチング素子Q3,Q4の間に接続されている。第1スイッチ101は、入力端子Vと第2コイル11Vとの間に設けられ、第2スイッチ102は、第2コイル11Vと第2スイッチングレグ22との間に設けられている。
【0027】
W相111Wは、入力端子Wと第3スイッチングレグ23とを接続している。このW相111Wには、第3コイル11Wと第3スイッチ103とが設けられている。第3コイル11Wの入力側は、W相111Wにより入力端子Wに接続され、第3コイル11Wの出力側は、W相111Wにより第3スイッチングレグ23におけるスイッチング素子Q5,Q6の間に接続されている。第3スイッチ103は、第3コイル11Wと第3スイッチングレグ23との間に設けられている。
【0028】
N線111Nは、第1及び第2出力コンデンサ24,25の中点と端子Nとを接続している。このN線111Nには、第4スイッチ104が設けられている。
【0029】
V相切替線112Vは、U相111Uにおける入力端子Uと第1コイル11Uとの間と、V相111Vにおける第2コイル11Vと第2スイッチングレグ22との間とを接続している。ここで、V相切替線112VとV相111Vとの接続点に第2スイッチ102が設けられている。第2スイッチ102は、V相切替線112VとV相111Vとを遮断する状態と、V相切替線112VとV相111Vとを接続する状態とを切り替える。
図2に示す三相交流電源2の接続時に、第2スイッチ102は、V相切替線112VとV相111Vとを遮断し、第2コイル11Vの出力側と第2スイッチングレグ22とを接続する。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時に、第2スイッチ102は、V相切替線112VとV相111Vとを接続し、第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時における出力側と第2スイッチングレグ22とを遮断する。
【0030】
V相切替線113Vは、V相111Vにおける入力端子Vと第2コイル11Vとの間と、V相111Vにおける第2スイッチ102と第2スイッチングレグ22との間とを接続している。ここで、V相111Vにおける入力端子Vと第2コイル11Vとの間に対するV相切替線113Vの接続点に第1スイッチ101が設けられている。第1スイッチ101は、V相切替線113VとV相111Vとを遮断する状態と、V相切替線113VとV相111Vとを接続する状態とを切り替える。
図2に示す三相交流電源2の接続時に、第1スイッチ101は、V相切替線113VとV相111Vとを遮断し、第2コイル11Vの入力側と入力端子Vとを接続する。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時に、第1スイッチ101は、V相切替線113VとV相111Vとを接続し、第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時における入力側と入力端子Vとを遮断する。
【0031】
N線切替線114Nは、W相111Wにおける第3スイッチ103と第3スイッチングレグ23との間と、N線111Nとを接続している。ここで、W相111WにおけるN線切替線114Nとの接続点と第3コイル11Wとの間には、第3スイッチ103が設けられている。第3スイッチ103は、第3コイル11Wと第3スイッチングレグ23とを接続する状態と、第3コイル11Wと第3スイッチングレグ23とを遮断する状態とを切り替える。
図2に示す三相交流電源2の接続時に、第3スイッチ103は、第3コイル11Wを第3スイッチングレグ23に接続する。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時に、第3スイッチ103は、第3コイル11Wを第3スイッチングレグ23に対して遮断する。
【0032】
また、N線切替線114NとN線111Nとの接続点には、第4スイッチ104が設けられている。第4スイッチ104は、N線切替線114NとN線111Nとを遮断する状態と、N線切替線114NとN線111Nとを接続する状態とを切り替える。
図2に示す三相交流電源2の接続時に、第4スイッチ104は、N線切替線114NとN線111Nとを遮断し、端子Nと第1及び第2出力コンデンサ24,25の中点とを接続する。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時に、第4スイッチ104は、N線切替線114NとN線111Nとを接続し、端子Nと第1及び第2出力コンデンサ24,25の中点とを遮断する。
【0033】
即ち、本実施形態の三相/単相切替回路100では、U相電流に対応する第1コイル11Uは、三相交流電源2と単相交流電源3との何れの接続時にも接続状態とされ、且つ、入力側と出力側とが不変である。それに対して、W相電流に対応する第3コイル11Wは、
図2に示す三相交流電源2の接続時には接続状態とされ、
図3に示す単相交流電源3の接続時には遮断状態とされる。
【0034】
さらに、V相電流に対応する第2コイル11Vは、三相交流電源2と単相交流電源3との何れの接続時にも接続状態とされ、且つ、
図2に示す三相交流電源2の接続時と
図3に示す単相交流電源3の接続時とで、入力側と出力側とが反転される。具体的には、
図2に示す三相交流電源2の接続時には、第2コイル11Vの入力側と出力側との位置関係は、第1及び第3コイル11U,11Wの入力側と出力側との位置関係と同じである。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時には、第2コイル11Vの入力側と出力側との位置関係は、第1コイル11Uの入力側と出力側との位置関係に対して逆である。
【0035】
加えて、
図2に示す三相交流電源2の接続時には、第1及び第2出力コンデンサ24,25の中点が、三相交流電源2の接地側に接続される。他方で、
図3に示す単相交流電源3の接続時には、第3スイッチングレグ23が、単相交流電源3の接地側に接続される。
【0036】
図4は、比較例に係るPFC回路20’の三相交流電源2の接続時の状態を示す回路図であり、
図5は、比較例に係るPFC回路20’の単相交流電源3の接続時の状態を示す回路図である。これらの図に示すように、比較例に係るPFC回路20’は、磁気結合インダクタ10’と、三相/単相切替回路100’と、第1スイッチングレグ21、第2スイッチングレグ22、及び第3スイッチングレグ23と、第1出力コンデンサ24、及び第2出力コンデンサ25とを備える。なお、上述の実施形態に係るPFC回路20と同様の構成については同一の符号を付し、上述の実施形態についての説明を援用する。また、磁気結合インダクタ10’の詳細については後述する。
【0037】
三相/単相切替回路100’は、電力線として、U相111U、V相111V、W相111W、及びN線111Nに加えて、入力切替線112を備える。入力切替線112は、第2コイル11V及び第3コイル11Wの入力側を入力端子Uに接続する。
【0038】
入力切替線112とV相111Vとの接続点には、第1スイッチ101’が設けられている。第1スイッチ101’は、入力切替線112とV相111Vとを遮断する状態と、入力切替線112とV相111Vとを接続する状態とを切り替える。
図4に示す三相交流電源2の接続時には、第1スイッチ101’は、入力端子Vと第2コイル11Vの入力側とを接続する。他方で、
図5に示す単相交流電源3の接続時には、第1スイッチ101’は、入力端子Uと第2コイル11Vの入力側とを接続する。
【0039】
入力切替線112とW相111Wとの接続点には、第2スイッチ102’が設けられている。第2スイッチ102’は、入力切替線112とW相111Wとを遮断する状態と、入力切替線112とW相111Wとを接続する状態とを切り替える。
図4に示す三相交流電源2の接続時には、第2スイッチ102’は、入力端子Wと第3コイル11Wの入力側とを接続する。他方で、
図5に示す単相交流電源3の接続時には、第2スイッチ102’は、入力端子Uと第3コイル11Wの入力側とを接続する。
【0040】
即ち、比較例の三相/単相切替回路100’では、
図4に示す三相交流電源2の接続時には、U相電流に対応する第1コイル11Uは入力端子Uに、V相電流に対応する第2コイル11Vは入力端子Vに、W相電流に対応する第3コイル11Wは入力端子Wに、それぞれ接続される。他方で、
図5に示す単相交流電源3の接続時には、第1コイル11U、第2コイル11V、及び第3コイル11Wが、入力端子Uに接続される。ここで、第1コイル11U、第2コイル11V、及び第3コイル11Wの入力側と出力側との位置関係は、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで同じである。
【0041】
図6は、U相電流、V相電流、及びW相電流に対応するインダクタ10U,10V,10Wを別体にする場合と、本実施形態に係る磁気結合インダクタ10とを示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る磁気結合インダクタ10は、U相電流、V相電流、及びW相電流に対応するインダクタ10U,10V,10Wを一体化したものである。また、本実施形態の磁気結合インダクタ10は、U相電流に対応する第1コイル11U、V相電流に対応する第2コイル11V、及びW相電流に対応する第3コイル11Wをコア12により磁気的に結合したものである。この図に示すように、本実施形態の磁気結合インダクタ10は、U相電流、V相電流、及びW相電流に対応するインダクタ10U,10V,10Wを一体化することにより小型化が実現されている。
【0042】
ここで、本実施形態の磁気結合インダクタ10のコア12は、第1軸12U、第2軸12V、第3軸12W、及び第4軸12Xが相互に並列に配され一体化された構成である。第1軸12Uは、第1コイル11Uに挿通され、第2軸12Vは、第2コイル11Vに挿通され、第3軸12Wは、第3コイル11Wに挿通されている。第4軸12Xは、第3軸12Wに隣接されており、コイルには挿通されていない。この第4軸12Xは、詳細は後述するが、第1~第3コイル11U,11V,11Wのコイル電流のリップル成分に起因する磁束の経路を確保する目的で設けられている。
【0043】
図7は、比較例に係る磁気結合インダクタ10’を示す図である。この図に示すように、比較例に係る磁気結合インダクタ10’は、上述の実施形態に係る磁気結合インダクタ10に比して、第4軸12X’の断面積(軸方向に対して直交する断面の面積)が大きい。それにより、比較例に係る磁気結合インダクタ10’のコア12’が上述の実施形態に係る磁気結合インダクタ10のコア12に比して大型化している。そのため、比較例に係るPFC回路20’(
図4及び
図5参照)では、磁気結合インダクタ10’を採用することによる小型化の効果が得られ難いという難点がある。
【0044】
以下、本実施形態に係るPFC回路20において磁気結合インダクタ10を小型化できる要因について、比較例に係るPFC回路20’と比較しながら説明する。
【0045】
図8は、本実施形態に係るPFC回路20の三相交流電源2の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。入力電圧を示す波形図では、第1コイル11Uの入力電圧(図中のU相)と、第2コイル11Vの入力電圧(図中のV相)と、第3コイル11Wの入力電圧(図中のW相)とを示している。この波形図に示すように、三相交流電源2の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wの入力電圧は、振幅が同じで120°ずつ位相がずれた正弦波として現れる。
【0046】
コイル電流を示す波形図では、第1コイル11Uのコイル電流(図中のU相)と、第2コイル11Vのコイル電流(図中のV相)と、第3コイル11Wのコイル電流(図中のW相)と、N線111Nの電流とを示している。この波形図に示すように、三相交流電源2の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wのコイル電流は、振幅が同じで120°ずつ位相がずれた正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、三相交流電源2の接続時のN線111Nの電流は、0にはならず、スイッチングリップルによる三角波状の波形として現れる。
【0047】
出力電流を示す波形図では、第1コイル11Uの出力電流(図中のU相)と、第2コイル11Vの出力電流(図中のV相)と、第3コイル11Wの出力電流(図中のW相)と、第1出力コンデンサ24に出力された合成電流とを示している。この波形図に示すように、三相交流電源2の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wの出力電流は、振幅が同じで120°ずつ位相がずれた正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。但し、当該正弦波の振幅の中心は、当該正弦波の振幅の1/2の値である。また、三相交流電源2の接続時の合成電流は、一定にはならず、スイッチングリップルによる三角波形状の波形として現れる。
【0048】
磁束を示す波形図では、第1軸12Uの磁束(図中のU相)と、第2軸12Vの磁束(図中のV相)と、第3軸12Wの磁束(図中のW相)と、第4軸12Xの磁束とを示している。この波形図に示すように、三相交流電源2の接続時の第1~第3軸12U,12V,12Wの磁束は、振幅が同じで120°ずつ位相がずれた正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、三相交流電源2の接続時の第4軸12Xの磁束は、0にはならず、スイッチングリップルによる三角波状の波形として現れる。
【0049】
ここで、三相交流電源2の接続時には、第1~第3軸12U,12V,12Wには、正弦波成分の磁束が流れるので、当該磁束に対応可能に、第1~第3軸12U,12V,12Wの断面積を設定する必要がある。それに対して、第4軸12Xには、リップル成分の磁束が流れるのみであり、当該磁束は正弦波成分の磁束に比して微小である。そのため、単相交流電源3の接続時に第4軸12Xに流れる磁束を同様に微小に抑制できる場合には、第4軸12Xの断面積を、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して小さく設定することができる。
【0050】
図9は、本実施形態に係るPFC回路20の単相交流電源3の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。入力電圧を示す波形図では、第1コイル11Uの入力電圧(図中のU相)と、第2コイル11Vの入力電圧(図中のV相)と、第3コイル11Wの入力電圧(図中のW相)とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1コイル11U及び第2コイル11Vの入力電圧は、振幅が同じで180°位相がずれた正弦波として現れる。また、第3コイル11Wの入力電圧は、高周波で振動する波形として現れる。
【0051】
コイル電流を示す波形図では、第1コイル11Uのコイル電流(図中のU相)と、第2コイル11Vのコイル電流(図中のV相)と、N線111Nの電流とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1、第2コイル11U,11Vのコイル電流は、振幅が同じで180°位相がずれた正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、単相交流電源3の接続時のN線111Nの電流は、0にはならず、スイッチングリップルによる三角波状の波形として現れる。
【0052】
出力電流を示す波形図では、第1コイル11Uの出力電流(図中のU相)と、第2コイル11Vの出力電流(図中のV相)と、第3コイル11Wの出力電流(図中のW相)と、第1出力コンデンサ24に出力された合成電流とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1、第2コイル11U,11Vの出力電流は、振幅と位相とが同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。但し、当該正弦波の振幅の中心は、当該正弦波の振幅の1/2の値である。また、単相交流電源3の接続時の合成電流は、第1、第2コイル11U,11Vの出力電流に対して振幅が2倍で位相が同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。但し、当該正弦波の振幅の中心は、当該正弦波の振幅の1/2の値である。
【0053】
磁束を示す波形図では、第1軸12Uの磁束(図中のU相)と、第2軸12Vの磁束(図中のV相)と、第4軸12Xの磁束とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1,第2軸12U,12Vの磁束は、振幅が同じで180°位相がずれた正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、単相交流電源3の接続時の第4軸12Xの磁束は、0にはならず、スイッチングリップルによる三角波状の波形として現れる。
【0054】
ここで、単相交流電源3の接続時には、第1,第2軸12U,12Vには、正弦波成分の磁束が流れる。それに対して、第4軸12Xには、リップル成分の磁束が流れるのみであり、当該磁束は正弦波成分の磁束に比して微小である。そのため、第4軸12Xの断面積を、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して小さく設定することができる。
【0055】
図10は、比較例に係るPFC回路20’の単相交流電源3の接続時における入力電圧、コイル電流、出力電流、及び磁束を示す波形図である。入力電圧を示す波形図では、第1コイル11Uの入力電圧(図中のU相)と、第2コイル11Vの入力電圧(図中のV相)と、第3コイル11Wの入力電圧(図中のW相)とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wの入力電圧は、振幅と位相とが同じである正弦波として現れる。
【0056】
コイル電流を示す波形図では、第1コイル11Uのコイル電流(図中のU相)と、第2コイル11Vのコイル電流(図中のV相)と、第3コイル11Wのコイル電流(図中のW相)と、N線111Nの電流とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wのコイル電流は、振幅と位相とが同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、単相交流電源3の接続時のN線111Nの電流は、第1~第3コイル11U,11V,11Wのコイル電流に比して振幅が3倍で位相が同じである正弦波として現れる。
【0057】
出力電流を示す波形図では、第1コイル11Uの出力電流(図中のU相)と、第2コイル11Vの出力電流(図中のV相)と、第3コイル11Wの出力電流(図中のW相)と、第1出力コンデンサ24に出力された合成電流とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1~第3コイル11U,11V,11Wの出力電流は、振幅と位相とが同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。但し、当該正弦波の振幅の中心は、当該正弦波の振幅の1/2の値である。また、単相交流電源3の接続時の合成電流は、第1~第3コイル11U,11V,11Wの出力電流に対して振幅が3倍で位相が同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。但し、当該正弦波の振幅の中心は、当該正弦波の振幅の1/2の値である。
【0058】
磁束を示す波形図では、第1軸12Uの磁束(図中のU相)と、第2軸12Vの磁束(図中のV相)と、第3軸12Wの磁束(図中のW相)と、第4軸12X’の磁束とを示している。この波形図に示すように、単相交流電源3の接続時の第1~第3軸12U,12V,12Wの磁束は、振幅と位相とが同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。また、単相交流電源3の接続時の第4軸12X’の磁束は、第1~第3軸12U,12V,12Wの磁束に比して振幅が3倍で位相が同じである正弦波にスイッチングリップルが重畳した波形として現れる。
【0059】
ここで、単相交流電源3の接続時には、第1~第3軸12U,12V,12Wには、正弦波成分の磁束が流れる。それに対して、第4軸12X’には、第1~第3軸12U,12V,12Wに流れる磁束に比して振幅が3倍の正弦波成分の磁束が流れる。そのため、第4軸12X’の断面積を、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して大きく設定しなければならない。従って、比較例に係るPFC回路20’では、上述の実施形態に係るPFC回路20に比して、磁気結合インダクタ10’のコア12’が大型化し、磁気結合インダクタ10’の採用によるPFC回路20’の小型化という効果が得られない。
【0060】
それに対して、本実施形態に係るPFC回路20では、三相/単相切替回路100が、単相交流電源3の接続時における第2コイル11Vの入力側と出力側とを、三相交流電源2の接続時における第2コイル11Vの入力側と出力側とが反転した状態にする。即ち、三相/単相切替回路100が、第1コイル11Uの入力電圧と第2コイル11Vの入力電圧との位相差を180°にする。これによって、第4軸12Xを流れる磁束を、リップル成分の磁束のみという正弦波成分の磁束に比して微小な磁束に抑えることができる。従って、第4軸12Xの断面積を、比較例の第4軸12X’に比して小さくすることができ、さらには、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して小さく設定することができる。よって、磁気結合インダクタ10の小型化を実現でき、磁気結合インダクタ10の採用によるPFC回路20の小型化という効果を得ることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る3レグ型のPFC回路20において、三相/単相切替回路100は、第1コイル11Uについては、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時との双方で常時接続し、入力側と出力側との反転も行わない。他方で、三相/単相切替回路100は、第2コイル11Vについては、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時との双方で常時接続し、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで入力側と出力側との反転を行う。また、三相/単相切替回路100は、第3コイル11Wについては、三相交流電源2の接続時には接続し、単相交流電源3の接続時には遮断する。
【0062】
具体的には、三相/単相切替回路100は、第2コイル11Vの一方側を、三相交流電源2の接続時には入力端子V(電源非接地側)に接続し、単相交流電源3の接続時には第2スイッチングレグ22に接続する。また、三相/単相切替回路100は、第2コイル11Vの他方側を、三相交流電源2の接続時には第2スイッチングレグ22に接続し、単相交流電源3の接続時には入力端子U(電源非接地側)に接続する。また、三相/単相切替回路100は、第3コイル11Wを、三相交流電源2の接続時には入力端子W(電源非接地側)と第3スイッチングレグ23とに接続し、単相交流電源3の接続時には入力端子Wと第3スイッチングレグ23とから遮断する。さらに、三相/単相切替回路100は、第3スイッチングレグ23を、単相交流電源3の接続時には端子N(電源接地側)に接続する。
【0063】
これによって、3レグ型のPFC回路20において、単相交流電源3の接続時に、第3コイル11Wを遮断すると共に、第2コイル11Vの入力側と出力側とを、三相交流電源2の接続時に対して反転した状態にすることができる。従って、3レグ型のPFC回路20において、第4軸12Xの断面積を抑えることによる磁気結合インダクタ10の小型化を実現でき、磁気結合インダクタ10の採用によるPFC回路20の小型化という効果を得ることができる。
【0064】
図11は、本発明の他の実施形態に係る車載充電器1Aを示す回路図である。この回路図に示すように、車載充電器1Aは、U相電流に対応するモジュラーコンバータ300Uと、V相電流に対応するモジュラーコンバータ300Vと、W相電流に対応するモジュラーコンバータ300Wとを備える。モジュラーコンバータ300U,300V,300Wは、並列に接続されており、三相交流電源2と単相交流電源3(
図13参照)との双方に対応可能であり、三相交流電源2又は単相交流電源3から供給される電力を変換してバッテリ4を充電する。なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、上述の実施形態についての説明を援用する。
【0065】
U相電流に対応するモジュラーコンバータ300Uは、U相交流を直流に変換して出力するPFC回路120Uと、PFC回路120Uから出力される直流を変圧してバッテリ4に出力するDC/DCコンバータ30Uとを備える。また、V相電流に対応するモジュラーコンバータ300Vは、V相交流を直流に変換して出力するPFC回路120Vと、PFC回路120Vから出力される直流を変圧してバッテリ4に出力するDC/DCコンバータ30Vとを備える。さらに、W相電流に対応するモジュラーコンバータ300Wは、W相交流を直流に変換して出力するPFC回路120Wと、PFC回路120Wから出力される直流を変圧してバッテリ4に出力するDC/DCコンバータ30Wとを備える。DC/DCコンバータ30U,30V,30Wの構成は相互に共通であり、且つ、上述の実施形態のDC/DCコンバータ30(
図1参照)の構成と共通である。
【0066】
PFC回路120U,120V,120Wは、三相/単相切替回路200と、磁気結合インダクタ10とを共有する。PFC回路120U,120V,120Wは、それぞれ、第1スイッチングレグ21と、第2スイッチングレグ22と、出力コンデンサ26とを備える。PFC回路120U,120V,120Wは、それぞれ、三相交流電源2又は単相交流電源3から入力された交流電力を力率が調整され高調波を抑制した直流電力に変換してDC/DCコンバータ30U,30V,30Wに出力する。
【0067】
三相/単相切替回路200は、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで第2コイル11V、及び第3コイル11WのPFC回路120U,120V,120Wでの接続状態を切り替える。ここで、三相/単相切替回路200は、単相交流電源3の接続時に第3コイル11Wを切断する機能に加えて、第2コイル11Vの入力側と出力側とを、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで反転させる機能を備える。これらの機能の詳細については後述する。
【0068】
第1スイッチングレグ21と第2スイッチングレグ22とは、並列に接続されている。第1スイッチングレグ21が前段に配され、第2スイッチングレグ22が後段に配されている。出力コンデンサ26は、第2スイッチングレグ22の後段側に第1、第2スイッチングレグ21,22と並列に接続されている。
【0069】
PFC回路120U,120V,120Wは、それぞれ、制御装置(図示省略)から入力されるPWM制御信号に応じて、スイッチング素子Q1~Q4をスイッチング制御する。これらのPFC回路120U,120V,120Wは、高力率コンバータを構成しており、スイッチング素子Q1~Q4のスイッチング制御により、力率の調整に加えて出力電圧の大きさを調整する。
【0070】
図12は、
図11に示すPFC回路120U,120V,120Wの三相交流電源2の接続時の状態を示す回路図であり、
図13は、PFC回路120U,120V,120Wの単相交流電源3の接続時の状態を示す回路図である。これらの回路図に示すように、PFC回路120U,120V,120Wでは、三相/単相切替回路200が、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで、第2コイル11V及び第3コイル11Wの接続状態を切り替える。
【0071】
三相/単相切替回路200は、第1スイッチ201と、第2スイッチ202と、第3スイッチ203とを備える。これらの第1スイッチ201、第2スイッチ202、及び第3スイッチ203が、制御装置(図示省略)から入力される切替信号に応じて切り替えられることにより、第2コイル11V及び第3コイル11Wの接続状態が切り替えられる。
【0072】
三相/単相切替回路200は、電力線として、U相211Uと、V相211Vと、W相211Wと、N線211NU,NV,NWと、V相切替線212V,213Vとを備える。U相211Uは、入力端子Uと第1スイッチングレグ21とを接続している。このU相211Uには、第1コイル11Uが設けられている。第1コイル11Uの入力側は、U相211Uにより入力端子Uに接続され、第1コイル11Uの出力側は、U相211Uにより第1スイッチングレグ21におけるスイッチング素子Q1,Q2の間に接続されている。
【0073】
V相211Vは、入力端子Vと第1スイッチングレグ21とを接続している。このV相211Vには、第1スイッチ201と第2コイル11Vとが設けられている。第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時の入力側は、V相211Vにより入力端子Vに接続され、第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時の出力側は、V相211Vにより第1スイッチングレグ21におけるスイッチング素子Q1,Q2の間に接続されている。第1スイッチ201は、入力端子Vと第2コイル11Vとの間に設けられている。
【0074】
W相211Wは、入力端子Wと第1スイッチングレグ21とを接続している。このW相211Wには、第3コイル11Wと第3スイッチ203とが設けられている。第3コイル11Wの入力側は、W相211Wにより入力端子Wに接続され、第3コイル11Wの出力側は、W相211Wにより第1スイッチングレグ21におけるスイッチング素子Q1,Q2の間に接続されている。第3スイッチ203は、入力端子Wと第3コイル11Wとの間に設けられている。
【0075】
N線211NU,211NV,211NWは、それぞれ、第2スイッチングレグ22におけるスイッチング素子Q3,Q4の間と端子Nとを接続している。PFC回路120VのN線211NVには、第2スイッチ202が設けられている。
【0076】
V相切替線212Vは、U相211Uにおける入力端子Uと第1コイル11Uとの間と、N線211N
Vとを接続している。ここで、V相切替線212VとN線211N
Vとの接続点に第2スイッチ202が設けられている。第2スイッチ202は、V相切替線212VとN線211N
Vとを遮断する状態と、V相切替線212VとN線211N
Vとを接続する状態とを切り替える。
図12に示す三相交流電源2の接続時に、第2スイッチ202は、V相切替線212VとN線211N
Vとを遮断し、第2スイッチングレグ22と端子Nとを接続する。他方で、
図13に示す単相交流電源3の接続時に、第2スイッチ202は、V相切替線212VとN線211N
Vとを接続し、第2スイッチングレグ22と端子Nとを遮断する。
【0077】
V相切替線213Vは、V相211Vにおける入力端子Vと第2コイル11Vとの間と、端子Nとを接続している。ここで、V相切替線213VとV相211Vとの接続点に第1スイッチ201が設けられている。第1スイッチ201は、V相切替線213VとV相111Vとを遮断する状態と、V相切替線213VとV相211Vとを接続する状態とを切り替える。
図12に示す三相交流電源2の接続時に、第1スイッチ201は、V相切替線213VとV相211Vとを遮断し、第2コイル11Vの入力側と入力端子Vとを接続する。他方で、
図13に示す単相交流電源3の接続時に、第1スイッチ201は、V相切替線213VとV相211Vとを接続し、第2コイル11Vの三相交流電源2の接続時における入力側と入力端子Vとを遮断する。
【0078】
第3スイッチ203は、W相211Wにおける入力端子Wと第3コイル11Wとの間に設けられている。第3スイッチ203は、入力端子Wと第3コイル11Wと接続する状態と、入力端子Wと第3コイル11Wとを遮断する状態とを切り替える。
図12に示す三相交流電源2の接続時に、第3スイッチ203は、入力端子Wと第3コイル11Wとを接続する。他方で、
図13に示す単相交流電源3の接続時に、第3スイッチ203は、入力端子Wと第3コイル11Wとを遮断する。
【0079】
即ち、本実施形態の三相/単相切替回路200では、U相電流に対応する第1コイル11Uは、三相交流電源2と単相交流電源3との何れの接続時にも接続状態とされ、且つ、入力側と出力側とが不変である。それに対して、W相電流に対応する第3コイル11Wは、
図12に示す三相交流電源2の接続時には接続状態とされ、
図13に示す単相交流電源3の接続時には遮断状態とされる。
【0080】
さらに、V相電流に対応する第2コイル11Vは、三相交流電源2と単相交流電源3との何れの接続時にも接続状態とされ、且つ、
図12に示す三相交流電源2の接続時と
図13に示す単相交流電源3の接続時とで、入力側と出力側とが反転される。具体的には、
図12に示す三相交流電源2の接続時には、第2コイル11Vの入力側と出力側との位置関係は、第1及び第3コイル11U,11Wの入力側と出力側との位置関係と同じである。他方で、
図13に示す単相交流電源3の接続時には、第2コイル11Vの入力側と出力側との位置関係は、第1コイル11Uの入力側と出力側との位置関係に対して逆である。
【0081】
図14は、比較例に係るPFC回路120U’,120V’,120W’の三相交流電源2の接続時の状態を示す回路図であり、
図15は、比較例に係るPFC回路120U’,120V’,120W’の単相交流電源3の接続時の状態を示す回路図である。これらの図に示すように、当該比較例の三相/単相切替回路200’の構成が、上述の実施形態の三相/単相切替回路200の構成とは相違する。また、当該比較例の磁気結合インダクタ10’の構成は、
図7に示す磁気結合インダクタ10’の構成と同様である。なお、上述の実施形態に係るPFC回路120U,120V,120Wと同様の構成については同一の符号を付し、上述の実施形態についての説明を援用する。
【0082】
三相/単相切替回路200’は、電力線として、U相211U、V相211V、W相211W、及びN線211NU,211NV,211NWに加えて、入力切替線212’を備える。入力切替線212’は、第2コイル11V及び第3コイル11Wの入力側を入力端子Uに接続する。
【0083】
入力切替線212’とV相211Vとの接続点には、第1スイッチ201’が設けられている。第1スイッチ201’は、入力切替線212’とV相211Vとを遮断する状態と、入力切替線212’とV相211Vとを接続する状態とを切り替える。
図14に示す三相交流電源2の接続時には、第1スイッチ201’は、入力端子Vと第2コイル11Vの入力側とを接続する。他方で、
図15に示す単相交流電源3の接続時には、第1スイッチ201’は、入力端子Uと第2コイル11Vの入力側とを接続する。
【0084】
入力切替線212’とW相211Wとの接続点には、第2スイッチ202’が設けられている。第2スイッチ202’は、入力切替線212’とW相211Wとを遮断する状態と、入力切替線212’とW相211Wとを接続する状態とを切り替える。
図14に示す三相交流電源2の接続時には、第2スイッチ202’は、入力端子Wと第3コイル11Wの入力側とを接続する。他方で、
図15に示す単相交流電源3の接続時には、第2スイッチ202’は、入力端子Uと第3コイル11Wの入力側とを接続する。
【0085】
即ち、比較例の三相/単相切替回路200’では、
図14に示す三相交流電源2の接続時には、U相電流に対応する第1コイル11Uは、入力端子Uに接続され、V相電流に対応する第2コイル11Vは、入力端子Vに接続され、W相電流に対応する第3コイル11Wは、入力端子Wに接続される。他方で、
図15に示す単相交流電源3の接続時には、第1コイル11U、第2コイル11V、及び第3コイル11Wが、入力端子Uに接続される。
【0086】
ここで、第1コイル11U、第2コイル11V、及び第3コイル11Wの入力側と出力側との位置関係は、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで同じである。そのため、比較例に係るPFC回路120U’,120V’,120W’は、上述の比較例に係るPFC回路20’(
図4及び
図5参照)と同様の課題を有する。即ち、コア12’の第4軸12X’において、第1~第3軸12U,12V,12Wに流れる磁束に比して振幅が3倍の正弦波成分の磁束が流れる。そのため、第4軸12X’の断面積を、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して大きく設定しなければならない。従って、比較例に係るPFC回路120U’,120V’,120W’では、上述の実施形態に係るPFC回路120(
図12及び
図13参照)に比して、磁気結合インダクタ10’のコア12’が大型化し、磁気結合インダクタ10’の採用によるPFC回路120U’,120V’,120W’の小型化という効果が得られない。
【0087】
それに対して、上述の実施形態に係るPFC回路120U,120V,120Wでは、V相電流に対応する第2コイル11Vは、
図12に示す三相交流電源2の接続時と
図13に示す単相交流電源3の接続時とで、入力側と出力側とが反転される。そのため、単相交流電源3の接続時には、第1,第2軸12U,12Vには、正弦波成分の磁束が流れるのに対して、第4軸12Xには、リップル成分の磁束が流れるのみであり、当該磁束は正弦波成分の磁束に比して微小である。そのため、第4軸12Xの断面積を、第1~第3軸12U,12V,12Wに比して小さく設定することができる。
【0088】
即ち、モジュラーコンバータ300U,300V,300Wが並列に接続された本実施形態に係るPFC回路120U,120V,120Wにおいて、三相/単相切替回路200は、第1コイル11Uについては、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時との双方で常時接続し、入力側と出力側との反転も行わない。他方で、三相/単相切替回路200は、第2コイル11Vについては、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時との双方で常時接続し、三相交流電源2の接続時と単相交流電源3の接続時とで入力側と出力側との反転を行う。また、三相/単相切替回路200は、第3コイル11Wについては、三相交流電源2の接続時には接続し、単相交流電源3の接続時には遮断する。
【0089】
具体的には、三相/単相切替回路200は、V相電流に対応する第2コイル11Vを、三相交流電源2の接続時には入力端子V(電源非接地側)に接続し、単相交流電源3の接続時には端子N(電源接地側)に接続する。また、三相/単相切替回路200は、V相電流に対応する第2スイッチングレグ22を、三相交流電源2の接続時には端子Nに接続し、単相交流電源3の接続時には入力端子Vに接続する。また、三相/単相切替回路200は、W相電流に対応する第3コイル11Wを、三相交流電源2の接続時には入力端子W(電源非接地側)に接続し、単相交流電源3の接続時には入力端子Wから遮断する。
【0090】
これによって、モジュラーコンバータ300U,300V,300Wが並列に接続されたPFC回路120U,120V,120Wにおいて、単相交流電源3の接続時に、第3コイル11Wを遮断すると共に、第2コイル11Vの入力側と出力側とを、三相交流電源2の接続時に対して反転した状態にすることができる。従って、モジュラーコンバータ300U,300V,300Wが並列に接続されたPFC回路120U,120V,120Wにおいて、第4軸12Xの断面積を抑えることによる磁気結合インダクタ10の小型化を実現でき、磁気結合インダクタ10の採用によるPFC回路20の小型化という効果を得ることができる。
【0091】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0092】
例えば、上述の実施形態に係るPFC回路20では、第3スイッチ103を第3コイル11Wと第3スイッチングレグ23との間に設けたが、第3スイッチ103を第3コイル11Wと入力端子Wとの間に設けてもよい(
図2及び
図3参照)。同様に、上述の実施形態に係るPFC回路120Wでは、第3スイッチ203を第3コイル11Wと入力端子Wとの間に設けたが、第3スイッチ203を第3コイル11Wと第2スイッチングレグ22との間に設けてもよい(
図12及び
図13参照)。即ち、三相/単相切替回路100,200の各スイッチや電力線の配置は、要求される機能が実現可能な範囲で適宜変更してもよい。
【0093】
さらに、V相電流に対応する第2コイル11Vの入力側と出力側との反転が可能となるように構成し、W相電流に対応する第3コイル11Wを接続/遮断が可能となるように構成したが、これも必須ではない。例えば、U相電流に対応する第1コイル11Uの入力側と出力側との反転が可能であるように構成し、V相電流に対応する第2コイル11Vを接続/遮断が可能となるように構成する等してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 :車載充電器
1A :車載充電器
2 :三相交流電源
3 :単相交流電源
10 :磁気結合インダクタ
11U :第1コイル
11V :第2コイル
11W :第3コイル
12 :コア
12U :第1軸
12V :第2軸
12W :第3軸
12X :第4軸
20 :PFC回路(電力変換装置)
21 :第1スイッチングレグ(変換部、第1~第3変換部、第1~第3前段スイッチングレグ)
22 :第2スイッチングレグ(変換部、第1~第3変換部、第1~第3後段スイッチングレグ)
23 :第3スイッチングレグ(変換部、第1~第3変換部)
100 :三相/単相切替回路(切替部)
120U :PFC回路(電力変換装置)
120V :PFC回路(電力変換装置)
120W :PFC回路(電力変換装置)
200 :三相/単相切替回路(切替部)
N :端子(電源接地側)
U :入力端子(電源非接地側)
V :入力端子(電源非接地側)
W :入力端子(電源非接地側)