IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グアンジョウ パワー サプライ ビューロー オブ グァンドン パワー グリッド カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7503109ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス
<>
  • 特許-ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス 図1
  • 特許-ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス 図2
  • 特許-ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス 図3
  • 特許-ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法、システム、媒体及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/44 20060101AFI20240612BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20240612BHJP
   G06N 3/096 20230101ALI20240612BHJP
   G06N 3/0464 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
G01N29/44
G01N29/04
G06N3/096
G06N3/0464
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165384
(22)【出願日】2022-10-14
(65)【公開番号】P2023178932
(43)【公開日】2023-12-18
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】202210628385.0
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520360121
【氏名又は名称】グアンジョウ パワー サプライ ビューロー オブ グァンドン パワー グリッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】黄 嘉盛
(72)【発明者】
【氏名】張 飛
(72)【発明者】
【氏名】石 銀霞
(72)【発明者】
【氏名】韓 卓展
(72)【発明者】
【氏名】李 濛
(72)【発明者】
【氏名】徐 涛
(72)【発明者】
【氏名】汪 霧潔
(72)【発明者】
【氏名】冉 倩
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113740434(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114022715(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110702792(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0149881(US,A1)
【文献】特開平09-304358(JP,A)
【文献】特開平05-126803(JP,A)
【文献】渡邉 敬祐,HTS-SQUIDを用いた配管の非破壊検査へのAIの導入,電子情報通信学会2020年総合大会講演論文集 エレクトロニクス講演論文集2,2020年03月03日,p.15
【文献】XU et al.,Guided Wave-Convolutional Neural Network Based Fatigue Crack Diagnosis of Aircraft Structures,Sensors,Volume 19, issue 16,2019年08月15日,<URL:https://doi.org/10.3390/s19163567>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G06V 10/82
G06N 3/0464
G06N 3/096
G06N 20/00-20/20
G01B 17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法であって、
S1.現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するステップであって、前記現場と実験室から収集された誘導波監視信号は、前記現場と実験室のアルミニウムシースに超音波を印加して、超音波誘導波を監視することによって生成および収集される誘導波監視信号である、ステップと、
S2.収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行うステップと、
S3.ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行うステップと、
S4.ディープ畳み込みニューラルネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るステップと、
S5.前記2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴によって特徴分類器をトレーニングし、前記特徴分類器を利用し、前記ターゲットドメイン信号の特徴に対して特徴識別を行うステップと、を含み、
ステップS3の具体的な実現プロセスとして、
S31.4層の1次元畳み込み層とプーリング層を介して、前記ソースドメイン信号と前記ターゲットドメイン信号をそれぞれ計算し、前記ソースドメイン信号と前記ターゲットドメイン信号を同じ次元の隠れ層特徴空間へマッピングし、
S32.
【数1】
(Y は、活性化後のユニットノード値であり、X は、前層のユニットノード値の加重和であり、λは、マッチング係数である)で表される漏れを伴うRelu活性化関数をニューラルネットワークの畳み込み演算で使用し、
ステップS4において、ネットワークトレーニングによって特徴マッチング関数を最小化し、前記ターゲットドメイン信号の損傷特徴を適合し、2つのシーンにおける誘導波監視信号の腐食特徴を選別し、具体的に、下記式で示され、
【数2】
ここで、Eは、ユークリッド距離を表し、fは、特徴抽出器を表し、G は、実験室で収集された誘導波ソースドメイン信号を表し、G は、現場で収集された誘導波ターゲットドメイン信号を表し、Dは、特徴マッチング関数を表す、
ことを特徴とするケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法。
【請求項2】
ステップS1において、ソースドメイン信号は、既知腐食度のラベル付きの複数の時系列であり、ターゲットドメイン信号は、ラベル付けが行われていない複数の時系列である、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法。
【請求項3】
ステップS2の具体的な実現プロセスとして、
波形プロファイルのアライメント:幅係数rを設定し、監視信号の幅比が幅係数を超えた時点を校正時点にセットし、すべての監視信号の新しい到着時点は、実験室条件下の監視信号を基準とし、
スケールの正規化処理:50kHz~200kHzの周波数帯域のバンドパスフィルターを選択し、バンドパスフィルタリングによって監視信号のノイズ低下処理を行い、ノイズ低下後、信号の最大幅の20%をスケール係数Aとして選択し、すべての信号に対して、スケール係数Aに従って正規化処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法。
【請求項4】
ステップS5の具体的な実現プロセスとして、
S51.前記2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴に対応する前記ソースドメイン信号の特徴及び対応する腐食度ラベルを入力し、特徴分類器モデルをトレーニングし、
S52.前記ターゲットドメイン信号の特徴を入力し、アルミニウムシース溶接腐食特徴識別及び腐食度分類を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法。
【請求項5】
ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークにおいて、特徴マッチング関数とクロスエントロピー関数によって全トレーニング損失関数を構成し、0.01にセットされたマッチング係数λで接続し、Adam最適器を利用してディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークのパラメータ更新を行い、パラメータ更新の学習率を0.001にセットする、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別方法。
【請求項6】
ケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別システムであって、
現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するデータセット分割モジュールであって、前記現場と実験室から収集された誘導波監視信号は、前記現場と実験室のアルミニウムシースに超音波を印加して、超音波誘導波を監視することによって生成および収集される誘導波監視信号である、データセット分割モジュールと、
収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行う誘導波監視信号処理モジュールと、
ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行う特徴抽出モジュールと、
ディープ畳み込みニューラルネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るアルミニウムシース溶接腐食特徴取得モジュールと、
前記2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴によって特徴分類器をトレーニングし、前記特徴分類器を利用し、前記ターゲットドメイン信号の特徴に対して特徴識別を行う特徴識別モジュールと、を含み、
特徴抽出モジュールは、具体的に、
4層の1次元畳み込み層とプーリング層を介して、前記ソースドメイン信号と前記ターゲットドメイン信号をそれぞれ計算し、前記ソースドメイン信号と前記ターゲットドメイン信号を同じ次元の隠れ層特徴空間へマッピングし、
【数3】
(Y は、活性化後のユニットノード値であり、X は、前層のユニットノード値の加重和であり、λは、マッチング係数である)で表される漏れを伴うRelu活性化関数をニューラルネットワークの畳み込み演算で使用し、
前記アルミニウムシース溶接腐食特徴取得モジュールは、ネットワークトレーニングによって特徴マッチング関数を最小化し、前記ターゲットドメイン信号の損傷特徴を適合し、2つのシーンにおける誘導波監視信号の腐食特徴を選別し、具体的に、下記式で示され、
【数4】
ここで、Eは、ユークリッド距離を表し、fは、特徴抽出器を表し、G は、実験室で収集された誘導波ソースドメイン信号を表し、G は、現場で収集された誘導波ターゲットドメイン信号を表し、Dは、特徴マッチング関数を表す、
ことを特徴とするケーブルアルミニウムシース溶接腐食の識別システム。
【請求項7】
コンピュータプログラムが格納されている記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~のいずれか一項に記載の識別方法のステップを実現することを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
メモリと、プロセッサと、メモリに格納されてプロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスであって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~のいずれか一項に記載の識別方法を実現することを特徴とするコンピュータデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検出の技術分野に係り、特にケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法、システム、媒体及びデバイスに係る。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波と比較して、超音波誘導波は、検出範囲が広く、伝播距離が長く、検出効率が高いといった利点がある。さまざまな産業材料は、ライニングされた防食パイプラインによる被覆を有する防食層又は断熱層で超音波誘導波の減衰を引き起こし、超音波誘導波の伝播特性を利用し、被覆層を有する材料に応用して検出を実現することができる。高電圧ケーブル付属部材の腐食損傷検出への超音波誘導波の導入は、重要な実用的価値と潜在的な経済的利益を有する。
【0003】
ディープ学習に基づく超音波誘導波検出は、特徴抽出に大きな可能性を秘めているが、さまざまなシーンの特徴抽出には、まだ解決すべき問題がいくつかある。まず、異なるシーンにおける環境要因の変化は、ケーブルアルミニウムシース溶接の腐食度が誘導波信号に及ぼす影響を覆い隠す可能性がある。ディープニューラルネットワークに基づく従来の方法では、腐食度を直接反映する誘導波特徴情報を抽出できないため、アルミニウムシース溶接腐食度のその後の識別に影響を及ぼす。更に、収集された誘導波信号の次元とスケールが一致していないため、ディープニューラルネットワークのモデル汎用化に更に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に存在する技術的問題を解決するために、本発明は、実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号によって監視モデルのパラメータ結合トレーニングを完了し、実験室と現場との間の腐食特徴マッチングを完了し、ケーブルアルミニウムシースの腐食度識別を促進するケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法、システム、媒体及びデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法は、以下の技術手段を採用して実現される。ケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法であって、
S1.現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するステップと、
S2.収集された誘導波監視信号に対して波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行うステップと、
S3.ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行うステップと、
S4.ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るステップと、
S5.特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行うステップと、を含む。
【0006】
本発明のシステムは、以下の技術手段を採用して実現される。ケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別システムであって、
現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するデータセット分割モジュールと、
収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行う誘導波監視信号処理モジュールと、
ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行う特徴抽出モジュールと、
ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るアルミニウムシース溶接腐食特徴取得モジュールと、
特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行う特徴識別モジュールと、を含む。
【0007】
本発明は、コンピュータプログラムが格納されている記憶媒体を更に提案し、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、本発明のクロスシーン識別方法のステップを実現する。
【0008】
本発明は、メモリと、プロセッサと、メモリに格納されてプロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスを更に提案し、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、本発明のクロスシーン識別方法を実現する。
【発明の効果】
【0009】
従来技術と比較して、本発明は、以下の利点と有益な効果を有する。
1.本発明は、実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号によって、監視モデルのパラメータ結合トレーニングを完了し、実験室と現場との間の腐食特徴マッチングを完了し、ケーブルアルミニウムシースの腐食度識別を促進する。
2.本発明は、ケーブルアルミニウムシース溶接腐食損傷のクロスシーン損傷識別の問題を解決し、対応する腐食度類別を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の方法のフローチャートである。
図2】波形プロファイルのアラインメントとスケールの正規化処理プロセスの概略図です。
図3】ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークの構造の概略図である。
図4】特徴認識プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例及び添付図面を参照して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではない。
【0012】
実施例
図1に示されるように、本実施例のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法は、
S1.現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するステップと、
S2.サンプルの一致性を確保するために、収集された誘導波監視信号に対して波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行うステップと、
S3.ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行うステップと、
S4.ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、異なるシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るステップと、
S5.特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行うステップと、を含む。
【0013】
具体的に、本実施例のステップS1において、調節可能な超音波誘導波監視システムを利用して実験室及び現場のアルミニウムシースを監視し、実験室シーンにおけるアルミニウムシースの異なる溶接腐食度の超音波誘導波検出信号をソースドメイン信号として分割し、現場のアルミニウムシースの異なる溶接腐食度の超音波誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として分割する。ここで、ソースドメイン信号は、既知腐食度のラベル付きの複数の時系列であり、ターゲットドメイン信号は、ラベル付けが行われていない複数の時系列である。取得した2つのドメインのデータは、その後の波形プロファイルのアライメントとスケールの正規化処理を受ける必要がある。そして処理されたデータを畳み込み特徴抽出ネットワークに入力して損傷特徴抽出を行い、ネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、異なるシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得て、腐食特徴を特徴分類器に入力してアルミニウムシースの現在の腐食度を算出する。
【0014】
図2に示すように、本実施例において、ステップS2における波形プロファイルのアライメントの具体的な実現プロセスは、幅係数rを設定し、監視信号の幅比が幅係数を超えた時点を校正時点にセットし、すべての監視信号の新しい到着時点は、実験室条件下の監視信号を基準とする。ステップ2におけるスケールの正規化処理の具体的な実現プロセスは、50kHz~200kHzの周波数帯域のバンドパスフィルターを選択し、バンドパスフィルタリングによって監視信号のノイズ低下処理を行い、ノイズ低下後、信号の最大幅の20%をスケール係数Aとして選択し、すべての信号に対して、スケール係数Aに従って正規化処理を行う。
【0015】
図3に示すように、本実施例において、ステップS3の具体的な実現プロセスとして、
S31.4層の1次元畳み込み層とプーリング層を介して、実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号をそれぞれ計算し、元々異なる次元の実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号を同じ次元の隠れ層特徴空間へマッピングし、
S32.誘導波の豊富な情報を最大限に活用するために、実験室や現場で収集された誘導波監視信号におけるアルミシースの溶接腐食度を反映する特徴を取りこぼさないように、
【数1】
(Yは、活性化後のユニットノード値であり、Xは、前層のユニットノード値の加重和であり、λは、マッチング係数である)で表される漏れを伴うRelu活性化関数をニューラルネットワークの畳み込み演算で使用する。
【0016】
本実施例のステップS4において、ネットワークトレーニングによって特徴マッチング関数を最小化し、現場で収集された誘導波監視信号の損傷特徴を適合し、2つのシーンにおける誘導波監視信号の腐食特徴を選別し、具体的に、下記式で示され、
【数2】
ここで、Eは、ユークリッド距離を表し、fは、特徴抽出器を表し、Gは、実験室で収集された誘導波ソースドメイン信号を表し、Gは、現場で収集された誘導波ターゲットドメイン信号を表す。
【0017】
図4に示すように、ステップS5の具体的な実現プロセスとして、
S51.実験室で収集された誘導波監視信号の特徴及び対応する腐食度ラベルを入力し、特徴分類器モデルをトレーニングし、
S52.現場で収集された誘導波監視信号の特徴を入力し、アルミニウムシース溶接腐食特徴識別及び腐食度分類を行う。
【0018】
本実施例において、ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークにおいて、特徴マッチング関数とクロスエントロピー関数によって全トレーニング損失関数を構成し、0.01にセットされたマッチング係数λで接続し、Adam最適器を利用してディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークのパラメータ更新を行い、パラメータ更新の学習率を0.001にセットする。
【0019】
同じ発明思想に基づいて、本発明は、ケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別システムを更に提案し、現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するデータセット分割モジュールと、収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行う誘導波監視信号処理モジュールと、ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行う特徴抽出モジュールと、ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るアルミニウムシース溶接腐食特徴取得モジュールと、特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行う特徴識別モジュールと、を含む。
【0020】
また、本発明は、記憶媒体及びコンピュータデバイスを更に提案する。ここで、記憶媒体には、コンピュータプログラムが格納されている。前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、本発明のクロスシーン識別方法のステップS1~S5を実現する。コンピュータデバイスは、メモリと、プロセッサと、メモリに格納されてプロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを含む。プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、本発明のクロスシーン識別方法、即ち上記ステップS1~S5を含むプロセスを実現する。
【0021】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態である。ただし、本発明の実施形態は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨や原理から逸脱することなく為したその他の変更、修正、置換、組み合わせ、単純化は、いずれも同等の置換方法であり、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0022】
(付記)
(付記1)
ケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法であって、
S1.現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するステップと、
S2.収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行うステップと、
S3.ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行うステップと、
S4.ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るステップと、
S5.特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行うステップと、を含むことを特徴とするケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0023】
(付記2)
ステップS1において、ソースドメイン信号は、既知腐食度のラベル付きの複数の時系列であり、ターゲットドメイン信号は、ラベル付けが行われていない複数の時系列である、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0024】
(付記3)
ステップS2の具体的な実現プロセスとして、
波形プロファイルのアライメント:幅係数rを設定し、監視信号の幅比が幅係数を超えた時点を校正時点にセットし、すべての監視信号の新しい到着時点は、実験室条件下の監視信号を基準とし、
スケールの正規化処理:50kHz~200kHzの周波数帯域のバンドパスフィルターを選択し、バンドパスフィルタリングによって監視信号のノイズ低下処理を行い、ノイズ低下後、信号の最大幅の20%をスケール係数Aとして選択し、すべての信号に対して、スケール係数Aに従って正規化処理を行う、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0025】
(付記4)
ステップS3の具体的な実現プロセスとして、
S31.4層の1次元畳み込み層とプーリング層を介して、実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号をそれぞれ計算し、実験室で収集された誘導波監視信号と現場で収集された誘導波監視信号を同じ次元の隠れ層特徴空間へマッピングし、
S32.
【数3】
(Yは、活性化後のユニットノード値であり、Xは、前層のユニットノード値の加重和であり、λは、マッチング係数である)で表される漏れを伴うRelu活性化関数をニューラルネットワークの畳み込み演算で使用する、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0026】
(付記5)
ステップS4において、ネットワークトレーニングによって特徴マッチング関数を最小化し、現場で収集された誘導波監視信号の損傷特徴を適合し、2つのシーンにおける誘導波監視信号の腐食特徴を選別し、具体的に、下記式で示され、
【数4】
ここで、Eは、ユークリッド距離を表し、fは、特徴抽出器を表し、Gは、実験室で収集された誘導波ソースドメイン信号を表し、Gは、現場で収集された誘導波ターゲットドメイン信号を表す、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0027】
(付記6)
ステップS5の具体的な実現プロセスとして、
S51.実験室で収集された誘導波監視信号の特徴及び対応する腐食度ラベルを入力し、特徴分類器モデルをトレーニングし、
S52.現場で収集された誘導波監視信号の特徴を入力し、アルミニウムシース溶接腐食特徴識別及び腐食度分類を行う、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0028】
(付記7)
ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークにおいて、特徴マッチング関数とクロスエントロピー関数によって全トレーニング損失関数を構成し、0.01にセットされたマッチング係数λで接続し、Adam最適器を利用してディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークのパラメータ更新を行い、パラメータ更新の学習率を0.001にセットする、
ことを特徴とする付記1に記載のケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別方法。
【0029】
(付記8)
ケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別システムであって、
現場と実験室から収集された誘導波監視信号に対してデータセット分割をし、実験室で収集された誘導波監視信号をソースドメイン信号として設定し、現場で収集された誘導波監視信号をターゲットドメイン信号として設定するデータセット分割モジュールと、
収集された誘導波監視信号に対して、波形プロファイルのアライメント及びスケールの正規化処理を行う誘導波監視信号処理モジュールと、
ディープ畳み込み誘導波特徴抽出ネットワークを利用し、2つのシーンの信号に対して特徴抽出を行う特徴抽出モジュールと、
ディープ畳み込みネットワークの特徴層に特徴マッチング関数を追加してディープ誘導波特徴ドメイン適応ネットワークを形成し、ターゲットドメインの特徴がソースドメインの特徴とマッチングするようにして、2つのシーンで共通するアルミニウムシース溶接腐食特徴を得るアルミニウムシース溶接腐食特徴取得モジュールと、
特徴分類器を利用し、現場のアルミニウムシース溶接腐食特徴に対して特徴識別を行う特徴識別モジュールと、を含むことを特徴とするケーブルアルミニウムシース溶接腐食のクロスシーン識別システム。
【0030】
(付記9)
コンピュータプログラムが格納されている記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、付記1~7のいずれか一つに記載のクロスシーン識別方法のステップを実現することを特徴とする記憶媒体。
【0031】
(付記10)
メモリと、プロセッサと、メモリに格納されてプロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスであって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、付記1~7のいずれか一つに記載のクロスシーン識別方法を実現することを特徴とするコンピュータデバイス。
図1
図2
図3
図4