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特許7503115大面積のOVJP堆積のための分割されたプリントバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】大面積のOVJP堆積のための分割されたプリントバー
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240612BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20240612BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240612BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
C23C14/24 T
C23C14/12
H05B33/10
H05B33/14 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022172886
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2018089398の分割
【原出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2023011766
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】62/501,905
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/597,605
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/968,009
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・イー・クイン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・マグロウ
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・コッタス
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0101711(US,A1)
【文献】特開2011-126082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/12
H05B 33/10
H10K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リントバーを有する有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システムであって、前記プリントバーが、
複数のプリントヘッドセグメントであって、前記複数のプリントヘッドセグメントのそれぞれが、OVJPプリントヘッドを含む前記複数のプリントヘッドセグメントと;
複数の浮上高さ(fly height)距離センサであって、前記複数の浮上高さ距離センサのそれぞれが、前記プリントバーの下に配置されている基板と少なくとも1つの前記プリントヘッドセグメントの部分との間の距離を測定するように構成される前記複数の浮上高さ距離センサと;
前記複数の浮上高さ距離センサの1つ以上によって測定された、前記プリントバーの下に配置されている基板と少なくとも1つの前記プリントヘッドセグメントの部分との間の距離に基づいて、前記複数のプリントヘッドセグメントの1つ以上の位置及び/又は配向を調節するように構成される複数のアクチュエータと、
を含み、
前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記複数のプリントヘッドセグメントの少なくとも2つに接続され、且つ前記複数のプリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御するように構成されることを特徴とする有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項2】
有機材料及び/又はキャリアガスを前記複数のプリントヘッドセグメントに輸送するために配列される1つ以上のガスチャネルを更に含む、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項3】
前記プリントバーそれぞれのプリントヘッドセグメントが、個々の有機材料蒸気源と流体連通している、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項4】
前記プリントバーそれぞれのプリントヘッドセグメントが、共通の有機材料蒸気源と流体連通している、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項5】
前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、前記複数のプリントヘッドセグメントが、前記基板に対する前記プリントバーの動作方向に本質的に垂直な方向に2列で配列されている、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項6】
前記複数のプリントヘッドセグメントが、前記列内に配置され、それによって、前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、対応するOVJPプリントヘッドの各列のプリント領域が、前記基板上に単一のプリントされたカラムを形成する、請求項5に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項7】
各OVJPプリントヘッドが、キャリアガス源と有機材料蒸気源と流体連通したOVJP堆積ノズルを含む、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項8】
前記複数のプリントヘッドセグメントの各プリントヘッドセグメントは、前記複数のプリントヘッドセグメントの他のプリントヘッドセグメントのそれぞれと独立して可動である、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【請求項9】
前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、前記プリントバーと前記基板との間の領域から材料を取り除くために配列される1つ以上の真空チャネルを更に含む、請求項1に記載の有機蒸気ジェット(OVJP)堆積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示内容の全体を参照によって援用する、2017年5月5日出願の米国特許仮出願第62/501,905号及び2017年12月12日出願の米国特許仮出願第62/597,605号の非仮出願であって、それらに対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、有機発光層を含む比較的大面積のデバイスを作製するためのデバイス及び技術、有機発光ダイオードなどのデバイス、並びにそれを含む他のデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一のEMLデバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0007】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0008】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0009】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0010】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0011】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0012】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0013】
実施形態によれば、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)も提供される。前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層と、を含むことができる。実施形態によれば、前記有機発光デバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、及び/又は照明パネルから選択される1つ以上のデバイスに組み込まれる。
【0014】
実施形態によれば、有機蒸気ジェット(OVJP)堆積のためのプリントバーが提供され、前記プリントバーは、複数のプリントヘッドセグメントであって、前記複数のプリントヘッドセグメントのそれぞれは、OVJPプリントヘッドを含む前記複数のプリントヘッドセグメントと;複数の浮上高さ(fly height)距離センサであって、前記複数の浮上高さ距離センサのそれぞれは、前記プリントバーの下に配置されている基板と少なくとも1つの前記プリントヘッドセグメントの部分との間の距離を測定するように構成される前記複数の浮上高さ距離センサと;複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータのそれぞれは、前記複数の浮上高さ距離センサの1つ以上によって測定された前記基板と前記プリントバーとの間の1つ以上の距離に基づいて、前記複数のプリントヘッドセグメントの1つ以上の位置及び/又は配向を調節するように構成される前記複数のアクチュエータと、を含む。前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、前記プリントヘッドセグメントは、前記基板に対する前記プリントバーの動作方向に本質的に垂直な方向に、2列で配列されていることができる。前記プリントヘッドセグメントは、前記列内に配置され、それによって、前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、対応するOVJPプリントヘッドの各列のプリント領域は、前記基板上に単一のプリントされたカラムを形成することができる。各OVJPプリントヘッドは、キャリアガス源と有機材料蒸気源と流体連通したOVJP堆積ノズルを含むことができる。各アクチュエータは、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つに接続され、且つ前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御するように構成されることができる。若しくは、又はそれに加えて、各アクチュエータは、前記複数の浮上高さセンサの2つ以上によって得られる距離測定値に基づいて、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御することができる。若しくは、又はそれに加えて、各アクチュエータは、前記浮上高さセンサの少なくとも1つによって得られる距離測定値に基づいて、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御することができる。各プリントヘッドセグメントは、前記複数のプリントヘッドセグメントの他のプリントヘッドセグメントのそれぞれと独立して可動であることができる。各プリントヘッドセグメントは、他のプリントヘッドセグメントのそれぞれと独立して、少なくとも、前記基板と本質的に法線(normal)方向に可動であり、それによって各プリントヘッドセグメントから前記基板までの前記距離は、他のプリントヘッドセグメントのそれぞれから前記基板までの前記距離と独立して調節可能であることができる。前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、前記プリントバーは、有機材料及び/又はキャリアガスを前記複数のプリントヘッドセグメントに輸送するために配列される1つ以上のガスチャネル、前記プリントバーと前記基板との間の領域から材料を除去するために配列される1つ以上の真空チャネル、又はそれらの組合せを含むことができる。前記プリントバー及び/又は各プリントヘッドセグメントは、複数の前記プリントヘッドセグメントに隣接して配置される冷却板を含むことができる。
【0015】
実施形態においては、有機蒸気ジェット(OVJP)堆積を用いてデバイスを作製する方法が提供される。前記方法は、前に開示されるように、前記OVJPプリントバーを操作することを含むことができる。例えば、前記方法は、複数のプリントヘッドセグメントを操作し、基板上に材料を堆積することであって、前記複数のプリントヘッドセグメントのそれぞれが、OVJPプリントヘッドを含むことと;複数の浮上高さ距離センサのそれぞれから距離測定値を受け取ることであって、前記複数の浮上高さ距離センサは、前記プリントバーの下に配置されている基板と少なくとも1つの前記プリントヘッドセグメントの部分との間の距離を測定するように構成されることと;複数のアクチュエータの1つ以上のアクチュエータを作動させ、前記距離測定値の1つ以上に基づいて、前記複数のプリントヘッドセグメントの1つ以上の位置及び/又は配向を調節することと、を含むことができる。前記プリントバー、プリントヘッドセグメント、及びその部品は、前に記載されるように、本明細書中に開示されるように、任意の構成で配列されることができる。例えば、前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、前記プリントヘッドセグメントは、前記基板に対する前記プリントバーの動作方向に本質的に垂直な方向に、2列で配列されていることができる。前記方法は、前記複数のプリントヘッドセグメントに対する前記基板、前記基板に対する前記複数のプリントヘッドセグメント、又はそれらの組合せを、前記動作方向に動かすことを更に含むことができる。前記プリントヘッドセグメントは、前記列内に配置され、それによって、前記プリントバーが操作されて、前記基板上に材料を堆積するときに、対応するOVJPプリントヘッドの各列のプリント領域は、前記基板上に単一のプリントされたカラムを形成することができる。各アクチュエータが操作されて、前記複数のプリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御することができる。前記方法は、前記複数の浮上高さセンサの2つ以上によって得られる距離測定値に基づいて、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御するための前記アクチュエータの少なくとも1つを作動させることを含むことができる。前記方法はまた、前記浮上高さセンサの少なくとも1つによって得られる距離測定値に基づいて、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも2つの前記位置及び/又は配向を制御するための前記アクチュエータの少なくとも1つを作動させること含むことができる。前記方法は、他のプリントヘッドセグメントのそれぞれと独立して、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも1つを動かすことを更に含むことができる。例えば、前記方法は、前記基板と本質的に法線方向に、他のプリントヘッドセグメントのそれぞれと独立して、前記プリントヘッドセグメントの少なくとも1つを動かし、それによって他のプリントヘッドセグメントのそれぞれから前記基板までの前記距離に独立して、前記プリントヘッドセグメントから前記基板までの前記距離が調節されることを更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本明細書中で開示される実施形態を用いて作製されることができる有機発光デバイスの例を示す。
【0017】
図2図2は、本明細書中で開示される実施形態を用いて作製されることができる別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスの例を示す。
【0018】
図3A図3Aは、現世代の基板と、全体の基板をプリントするために用いられる例示的な単一のリジッドなプリントヘッドの模式図を示す。プリントヘッドと支持構造は、長さ2.5メートル超である。
図3B図3Bは、現世代(current-generation)の基板と、全体の基板をプリントするために用いられる例示的な単一のリジッドなプリントヘッドの模式図を示す。プリントヘッドと支持構造は、長さ2.5メートル超である。
【0019】
図4A図4Aは、プリントヘッド及び基板の模式的立面図を示す。図4Aは、プリントヘッドと、理論的に完全に平坦な基板との間の均一なギャップを示す。
図4B図4Bは、プリントヘッド及び基板の模式的立面図を示す。図4Bは、プリントヘッドと完全な平坦性を有さない基板との間の不均一なギャップを示す。
【0020】
図5A図5Aは、一定の又は略一定のプリントヘッドを基板距離に維持することができる、平らではない基板の上に配置されている連結されたプリントヘッドを有する本明細書中に開示される実施形態に係る分割されたプリントバーを示す。
【0021】
図5B図5Bは、プリンティングアパーチャの重複がなく、且つプリントヘッドの交互の列間のギャップがなく、完全な列がプリントされるように、プリントヘッドの各列のプリンティングアパーチャが配列されている本明細書中に開示される実施形態に係る2列のプリントヘッドを有する例示的なプリントバーを示す。
【0022】
図5C図5Cは、図5Bに示される長方形のセグメントを含む長方形のプリントバーの模式図を示す。
【0023】
図6図6は、「T」形状セグメントを有する本明細書中に開示される実施形態に係る部分的なプリントバーの例を示す。
【0024】
図7図7は、三角形のプリントヘッドセグメントを有する明細書中に開示される実施形態に係る部分的なプリントバーの例を示す。
【0025】
図8図8は、明細書中に開示される実施形態に係る長方形セグメントを有する先行する冷却板及び後に続く冷却板を有するプリントバーの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0027】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0028】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green 有機発光デバイスs based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0029】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0030】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0031】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0032】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0033】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0034】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0035】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0036】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、モバイル電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~80度で用いることもできる。
【0037】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0038】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折ることができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0039】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配置又は白色及びカラーフィルター画素配置を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0040】
発光領域の幾つかの実施形態においては、前記発光領域は、ホストを更に含む。
【0041】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる。
【0042】
本明細書において開示されるOLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。前記有機層は、発光層であることができ、幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0043】
前記有機層は、ホストを含むこともできる。幾つかの実施形態においては、2つ以上のホストが好ましい。幾つかの実施形態においては、使用される前記ホストは、a)双極性(bipolar)材料、b)電子輸送材料、c)正孔輸送材料、又はd)電荷輸送の役割がほとんどないワイドバンドギャップ材料であることができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、無機化合物であることができる。
他の材料との組合せ
【0044】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
【0045】
様々な材料が、様々な発光及び非発光層、並びに本明細書中に開示されている配置に用いられることができる。好適な材料の例は、その開示内容の全体を参照によって援用する、米国特許出願公開第2017/0229663号に開示される。
【0046】
伝導性(導電性)ドーパント:
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
HIL/HTL:
【0047】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。
EBL:
【0048】
電子ブロキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして、同じ分子又は同じ官能基を含む。
ホスト:
【0049】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いられてもよい。
HBL:
【0050】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
ETL:
【0051】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
電荷発生層(CGL)
【0052】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0053】
前述したように、OVJPは、ディスプレイなどの比較的大面積のOLEDデバイスのための、マスクのない、溶媒のないプリンティング技術である。この技術において、OLED材料は、蒸発又は昇華温度まで加熱され、キャリアガスのスチーム中においてプリントヘッドまで運ばれる。従来のOVJPプリントヘッドは、典型的には、その上にOLED材料が堆積される基板に、蒸気を向ける複数のノズル又はアパーチャを含む。ディスプレイ作製技術においては、一般的には、各アパーチャは、ディスプレイピクセルの一列をプリントする。プリントヘッドは、ピクセルの列全てが同時的であることができるように、基板の幅に跨るプリント「バー」を形成するために多重化されることができる(multiplexed)。
【0054】
現在、OVJPは、研究ツールとして、主に注目されている。しかしながら、OVJP技術は、並んだRGBピクセルフォーマットを用いるOLEDディスプレイを製造することにおける使用のための必要とされる線幅及び横切ったピクセル(across-pixel)フィルムの膜厚均一性を実証してきた。大量生産系においては、効率的な全体の生産を維持するために、製造工程を完了する時間は、比較的低く保つことが望ましい。完了した製造工程間の時間は、多くの場合、「TAKT」時間と呼ばれる。OLEDデバイス製造のための望ましいTAKT時間を達成するために、大量生産OVJPプリンタは、複数のピクセル又はピクセル列を平行にプリントする必要があることがある。例えば、ピクセルの列全てが同時にプリントされれば、最も良好なTAKT時間が達成されるであろう。具体的な例として、現在の4Kディスプレイは、同時にプリントされる、ディスプレイの幅を跨る3,840列のピクセルを必要とするであろう。6つの55インチディスプレイは、単一の現世代2.200m×2.500mの基板上に製造されることができる。この場合、OVJP堆積システムは、基板の2.2メートル幅に跨がり、2つのディスプレイ又は7680ピクセルを同時にプリントすることができるであろう。図3A及び図3Bは、現世代(「Gen8」)基板300、プリントヘッド支持構造301、及びディスプレイガラスの幅に跨る単一の一体化したプリントヘッド302の例を示す。
【0055】
しかしながら、大パネルディスプレイなどのデバイスを製造するために用いられる基板は、完全には平坦ではなく、リジッドなプリントバーは、プリントヘッドと基板との間の間隔(separation)の適正な制御を提供しないであろう。このため、現在のOVJP-型技術は、シングルパスにおける、基板の制限された幅上に効率的且つ正確な堆積を可能にするのみである。例えば、多くの従来のOVJP-型技術は、ラスター技術を用いることなく、約0.5平方メートル超又はそれと等価な基板の場合において、大きい基板上の堆積には適していない。より大きい基板に堆積するために、現在の技術は、典型的には、基板を渡ってラスター化(rastered)させる多数の堆積アパーチャを含む単一のOVJPノズルアレイを用いる。例えば、幾つかの構成は、OVJPノズルアレイに100以上までの堆積アパーチャを含む。全体として、基板とノズルアレイアセンブリとの間のギャップを正確に維持するために、ノズルアレイは、センサと、モーションアクチュエータとを含むことができる。このような技術は、浮上高さの変動及びそれによる基板の平坦性の変動に対して、かなり影響を受けにくい。しかしながら、これらは、複雑な管理システムも必要とし、比較的非常に高いTAKT時間を有する。
【0056】
したがって、OVJP-型システムを用いて、望ましいピクセル幅を達成するために、基板とプリントヘッドとの間の距離が、しっかりと制御されることが望ましいであろう。そのために、基板の平坦性の変動に適応させ、本明細書中で開示される実施形態は、互いに独立して動き、プリントヘッドと基板との間の必要とされる距離を維持することができる複数のセグメントを有するデバイスである「分割されたプリントバー」を提供する。各セグメントは、1つ以上のOVJPプリントヘッドを含むことができる。本明細書中で開示される実施形態はまた、基板を覆ってノズルをラスターする(raster)ために、y方向(基板の平面内で、基板の進行方向に対して垂直で)にのみプリントヘッドの有意な運動を可能にすることができ、一方従来のOVJPシステムは、x方向及びy方向の両方において有意な運動を必要とする。本明細書中で開示される実施形態の開発の前には、本明細書中で開示されるような大規模の基板をプリントするためにOVJP-型技術を用いることは、実現可能であるとは考えられなかった。それによって、以前の従来システムは、材料堆積中の浮上高さ調節の考慮を除外し、このような調節を行うためのメカニズムを含んでいなかった。
【0057】
具体的な例として、55インチ4Kディスプレイピクセルは、幅約50μmである。OVJPプリントヘッドを用いて得られた線幅は、ジェットアパーチャの幅及びジェットヘッドから基板までの距離と同じオーダーにある。したがって、約50μmのプリント幅を得るためのOVJP技術においては、プリントアパーチャ又はプリントヘッドと基板との浮上高さ間隔は、目的浮上高さの+/-5μm内又はそれより良好に、正確に維持されるべきである。すなわち、プリントヘッドから基板への材料の堆積の間、プリントヘッドアパーチャのエッジと基板の最も近い表面との距離の変動は、+/-5μm以下だけであるべきである。いずれの方向における+/-5μm超の浮上高さの偏差(ずれ、deviation)は、堆積線を広げ、それによって近くのピクセルに当たり、ピクセルサイズの仕様の範囲外の線厚みにすることがある。2.2×2.5mの寸法、0.5mmの厚みで、前に開示されるような現世代のガラス基板上にディスプレイをプリントするために、プリントヘッドは、図3Aに示されるように、少なくとも2.2m超である必要があり、適正な浮上高さを維持するために、ガラスは、+/-5μmまでの平面である必要がある。
【0058】
しかしながら、前に記載したように、現世代のガラス基板は、表面の平坦性においてある程度の変動を有することが予期される。例えば、現世代のディスプレイガラスは、典型的には、約40μmの平面表面からの最大偏差を有する。具体的な例としては、コーニングは、Lotus NXT Glass(登録商標)は、表1に示される仕様を有することを示す。
【表1】
【0059】
他の例において、Schott Glassは、表2に示される、ガラス平坦性の尺度である「移動ウィンドウサイズ(moving window size)」を提供する。
【表2】
【0060】
表1及び表2中の特性値は、例としてのみによって提供され、当業者であれば、表1中の平坦性の仕様が基板ガラスの古い世代のためのものであり、表2中の値が、基板ガラスの現世代のためのものであることを認識するであろう。
【0061】
ディスプレイ又は基板などの幅に跨る平坦プリントバーは、最大基板偏差の少なくとも半分(すなわち、本例では20μm)に等しいプリントヘッドから基板の距離における最大偏差を有する。したがって、従来の一体固体プリントバーは、プリント中、+/-5μmの望ましい間隔を保持することができない。
【0062】
図4Aは、例示的な2.2mプリントヘッド及び完全に平らなガラスパネル基板の断面を示す。プリントアセンブリ400は、基板401の幅に跨る。プリントヘッド402のための支持構造403は、プリントヘッドが基板の全体の幅に跨ることができるように、基板よりも幅が広い。基板401とプリントヘッド402との間の浮上高さギャップ405は、基板の幅を亘って均一である。しかしながら、前に述べられたように、実際の基板は完全に平らではなく、ギャップは、基板の幅を亘って均一ではない。図4Bは、前に開示されるように、2.2m長のプリントバーと、40μmまでの平坦性の偏差を有するガラスパネル406との模式的な例を示す。理想的な浮上高さからの得られた偏差は、407及び408で示される。浮上高さの変動は、表1の平坦性仕様に比例していることが分かる。
【0063】
図4Bに示されるように、適正な浮上高さを維持するために、プリントヘッドは、基板ガラスのトポグラフィーに順応する、又は他の点では基板の平坦性における不均一性を調節することができるべきであることが決定されている。
【0064】
本明細書中に開示される実施形態は、個々に且つ互いに独立して移動することができる(例えば、基板に対して上下に動かされる)及び/又は回転させる(例えば、基板に対して傾けられることができる)プリントヘッドをそれぞれ含む複数のセグメントを有するプリントバーを提供する。図5は、そのようなデバイスの例を示し、プリントバーを互いに独立して動かすことが可能な小さいプリントヘッドに分割することが、基板と各プリントヘッドとの間の間隔を望ましい値で維持されることを可能にする。例示的な基板の真横向きの模式図が示される。平坦からの平坦性までの偏差は強調され、分割されたプリントバーの模式的なプロファイルは、個々のセグメント502/503/504がどのように基板のプロファイルに伴うために連結するかを示すものである。
【0065】
図5に示されるように、各セグメントは、プリントヘッド支持構造501と、連結された取り付け支持体502と、プリントヘッド503と、及び1つ以上のアパーチャプレート504とを含むことができる。各連結された支持構造は、プリントヘッドから基板までの距離を測定する、各プリントヘッド中にある1つ以上のセンサに反応する可動エレメントを含むことができる。好適な距離センサを用いることができる。例えば、差圧、音響、静電容量、赤外線、レーザー、超音波、光学、及び/又は他のセンサータイプが用いられることができる。具体的な例として、全体において参照によりその開示が組み込まれる、同時係属中の米国出願第15/968,166号で開示された静電容量センサが用いられることができる。各センサからのデータは、プリントヘッドセグメントの1つ以上に提供されることができ、測定及び望ましい浮上高さに基づいて、基板に対してプリントヘッドセグメントを動かすことができ、基板に対してプリントヘッドの望ましい位置及び/又は配向を達成することができる。若しくは、又はそれに加えて、単一のセンサアレイ又はデバイスは、各プリントヘッドから基板までの距離を測定するために用いられることができる。例えば、画像認識ソフトウェアと共にデジタルイメージング又はビデオシステムを用いて、各プリントヘッドセグメントの位置を認識及び測定し、対応する支持構造にフィードバックを提供することができる。各センサによって測定された距離に基づいて、可動するエレメントは、関連するプリントヘッドを動かし、底部のアパーチャプレート504などプリントヘッドの底部と基板505との間の一定の距離506を維持する。更に、基板に平行な堆積アパーチャ又は基板に垂直な堆積ノズルの長軸を維持するように、各セグメントは、基板に対して傾けることもできる。一般的に、基板から望ましい距離で望ましい配向において維持するように、各プリントヘッドは、それぞれ他のプリントヘッドに独立して配向されることができる。
【0066】
各プリントヘッドは、完全に機能的なOVJPノズル又は同様の堆積デバイスを含むことができる。例えば、各セグメントは、形状を維持するために、硬く曲がらない材料で画定された1つ以上のプリンティングアパーチャを含むことができる。例えば、金属、セラミック、又はシリコンなどの材料が適切であることができる。各アパーチャは、長方形のガス出口であることができ、望ましいプリントプロファイルを作製するための任意の形状を有することができる。各線をプリントするための独特のパターンにおいて構成される複数の小さなアパーチャによって形成されることもできる。
【0067】
各プリントヘッドセグメントは、真空口(port)及びアパーチャを含み、キャリアガス及び過剰な有機材料を除去することもできる。真空口は、ガス出口アパーチャと同じ材料でできていることができる。
【0068】
有機材料の凝結を防止するために、プリントヘッドセグメントは、ヒーターを含むことができる、又はヒーターと熱的接触することができる。
【0069】
有機蒸気、キャリアガス、及び真空口は、輸送のための適切な管を介して、それぞれの源又はポンプと接続されることができる。
【0070】
更に一般的には、各プリントヘッドセグメントは、OVJPプリントヘッド及び任意の必要な部品及び接続を含み、分割されたプリントバーにおける他のプリントヘッドのそれぞれと独立して、完全に機能的なプリントヘッドとして働くことができる。
【0071】
幾つかの実施形態においては、幾つかの又は全ての個々のプリントヘッドは、共通の真空源、有機材料源などと流体連通することができる、又は各プリントヘッドは、別の源と連通することができる。
【0072】
幾つかの実施形態においては、各プリントヘッドセグメントは、プリントヘッドの各端部と基板との間の距離を測定するための2つ以上のセンサを含むことができ、それによって、基板に対するセグメントの位置決め及び配列をより正確にすることを可能にする。
【0073】
本明細書中で開示される分割されたプリントバーは、隣接するセグメント間にギャップを含むことができる。幾つかの実施形態においては、セグメント間のギャップは、ギャップを満たす第1の列と比べてずれているプリントヘッドセグメントの第2の列によって充填することができる。図5Bは、同じ長さのプリントセグメントを含む2列プリントバーを図示する。一体化された高さセンサ552を有する個々のプリントヘッド551は、2つの列553及び554に配列され、それによって各列のプリンティングゾーンが重複やギャップのないピクセルの線をプリントする。プリントヘッドのための有機材料及び又は真空の供給は、前に開示されるように、共通の源によって、個々の源、又はそれらの組合せによって、供給されることができる。図5Bに示されるようにプリントバーを順次配列することによって、垂直アクチュエータのための、及び基板バックプレーンにおける製作公差に適応させるためのプリントヘッド間の距離における僅かな調節のための、又は基板の熱拡張のための、追加のスペースを提供することができる。交互に設けられた配置はまた、セグメント中にプリントダイを取り付けるためのマニホールドのためのスペースを可能にすることができる。マニホールドは、典型的にはそれらが持つダイよりも幅が広く、そのため1つ以上のピクセル列をプリントされていないままにせずに、互いにすぐ隣に置くことができない。プリントダイの2つの列を交互に設けることによって、完全なディスプレイが、どのピクセル列もプリントされていないままにせずに、シングルパスでプリントすることができる。
【0074】
幾つかの実施形態においては、プリントヘッドセグメントの幅は、例えば、表2に示されるように移動ウィンドウサイズ及び/又は表1に示されるようにうねり値による、基板の局所領域平坦性によって決定されることができる。そのような寸法は、本明細書において開示される分割されたデバイス中に個々のプリントヘッドの最小、最適、又は許容できるサイズを決定するために用いられることができる。より一般的には、プリントセグメントの最大幅は、典型的には、浮上高さ公差に等しい高さ変動を有する基板上の距離と同じ長さにすることができる。例えば、例として、表2からの値を用いて、150mmのプリントセグメントを有するプリントバーは、所定の9μm(最大)厚み変化で、+/-5μmの公差内である。
【0075】
より一般的には、本明細書中に開示されている実施形態においては、プリントダイの長さは、プリントヘッドデザインの浮上高さ要件、ディスプレイデザインによって必要とされる解像度、及びガラス基板の局所領域平坦性に応じて決定されることができる。現世代のGen8-型ガラスにおいては、典型的なプリントダイの長さは、75mm~100mmの範囲にあることができる。
【0076】
図5B及び5Cに示されるものなどの実施形態は、長方形のプリントヘッドセグメントを含む。前に開示されるように、各長方形のプリントヘッドセグメントは、プリントダイと基板との間のギャップを測定するための1つ以上の距離センサと、センサからのフィードバックに基づくセグメントと基板との間のギャップを調節するための1つ以上のアクチュエータと、基板上の形成要素(features)にプリントダイを合わせるために用いられることができる視覚センサなどの1つ以上の他のセンサと、を含むことができる。
【0077】
例えば、図5Cは、基板(不図示)に向かう方向にプリントヘッドの上から、又はプリントヘッド560に向かって基板に対する法線(normal)に沿って見ている基板の表面から見たときの、本明細書中に開示される分割されたプリントバー560の概略図を示す。分割されたプリントバー560は、前に開示されるように、それぞれ形状が長方形であることができる1つ以上のセグメント561を含むことができる。各プリントバーセグメントの表面に隣接する基板は、プリントヘッドから熱的に分離されていることができ、又は冷却されることができ、プリントバーの加熱されたエレメントを、基板を加熱することから防ぐ熱シールド564として作用する。示されている例示的配置において、各セグメントは、2つの浮上高さセンサ562、2つの浮上高さアクチュエータ563(基板に対してプリントセグメントの表面の上に配置されていることができ、それによって基板から見たときに目に見えないことがある)、及びプリントダイ565を含む。本明細書中に使用されるように、プリントダイ565などのプリントダイは、堆積、排出(exhaust)、閉じ込め(confinement)、及び他のガスアパーチャを含むことができる。そのようなダイは、例えば、MEMS微細加工技術を用いたシリコンにおいて作製されることができる。方向566においてプリントバーに対して基板が動かされると、プリントされた領域においてギャップがないように、セグメント及びプリントダイは、並べられることができる。セグメント間の僅かなギャップを除いては、冷却された表面は、連続的である。
【0078】
幾つかの実施形態においては、少数のセンサ及びアクチュエータ、及び/又はより小さなセグメントが用いられることができる。更に、先行するプリントヘッドセグメント及び後に続くプリントヘッドセグメントの運動は、連結している。そのような配置は、大規模OVJPシステムのためのスペース、複雑さ、及びコストの低減を提供することができる。
【0079】
例えば、幾つかの実施形態においては、図5B及び5Cに関しては、前に示されて記載されるように、同じように交互に設ける構想を用いて、プリントヘッドセグメントは、異なる形状であることができる及び/又は単一のセンサが、2つのセグメント(1つは先行するもの、1つは後に続くもの)に用いられることを可能にする異なる配置で置かれることができる。セグメント表面は、熱いプリントダイ及びプリントヘッドの加熱された他の部品からの熱が基板へ放散することを制限することができる冷却された表面を形成する。セグメント間の任意の大きいギャップは、基板に対するかなり大きい熱的損傷を起こし、そのようなギャップを最小化することが望ましいことがある。したがって、開示されるように、分割されたプリントバーの表面は、連続した冷却された表面としてシステムの操作中働くことができ、前に開示されるように基板の表面に続き、一定の又は実質的に一定の浮上高さを維持するための動作の十分な程度を更に提供する。
【0080】
図6は、本明細書中に開示される実施形態に係る、各セグメント601がT字形状を有する、例示的な分割されたプリントバーを示す。セグメント601は、基板に対する進行方向620において、他のダイに対して、どのダイが「先行する」及び「後に続く」とみなされるかを明確にして、各浮上高さセンサ602及びアクチュエータ対603が2つのプリントダイ605(交互に設けられた配置において、1つの先行されたダイ及び1つの後に続くダイ)に働くように構成される。即ち、OVJP堆積システムの操作中、各浮上高さセンサは、2つのセグメントに距離情報を提供することができる、及び/又は各アクチュエータ603を用いて、基板に対する2つのセグメントの距離及び/又は配向を調節することができる。具体的な例として、図6に示されるように、浮上高さセンサ602aは、アクチュエータ603aを調節し、2つのセグメント601a及び601bの距離及び/又は傾きを制御するために用いられることができる高さ情報を提供することができる。浮上高さ距離センサ、アクチュエータ、及びプリントダイを並べることによって、他の構成よりも、基板に対するダイの位置をより精細且つ正確に制御することを可能にすることができる。例えば、プリントダイの端部に2つの浮上高さセンサを並べ、ダイの他の側の同じ位置においてアクチュエータを配置することで、ダイの各端部の位置決めは、基板からのプリントダイの各端部の距離を正確に表し得る距離測定値に基づいて、精細に制御されることができる。前に記載されているように、冷却された表面604は、プリントダイからの熱の放散における制限を提供することができる。
【0081】
図7は、本明細書中に開示される実施形態に係る分割されたプリントバー700の他の例を示す。この例は、三角形のプリントヘッドセグメント701を用いる。図5図6に示される構成と同様に、プリントヘッド700は、1つ以上の高さセンサ702と、アクチュエータ703と、及びプリントダイ705とを含むことができる。高さセンサ及び/又はアクチュエータは、前に開示されるように、隣接するセグメント間で「共有される」ことができる。操作において、分割されたプリントバー700を基板に対する方向710に動かすことができる。即ち、三角形のプリントヘッドセグメント701のプリントダイ705及び上部/底部エッジは、進行方向に対して垂直である、又は本質的に垂直である。図7に示される構成は、分割されたプリントバーの潜在的に良好な緻密度のために、幾つかの設計において、適用には望ましいことがある。前に開示されるように、三角形のセグメントは、長方形のセグメントよりも潜在的により緻密ではあるが、図6に関して記載される「T」字形状セグメント及び同様のデザインほど大きい傾きの能力を提供しないことがある。
【0082】
図8は、本明細書中に開示される実施形態に係る分割されたプリントバーの他の配置を示す。この配置において、長方形面プリントヘッド801は、複数の列(rank)で並べられることができ、前部ヘッド802及び後部ヘッド803は、基板に対する進行方向830に個々のプリントヘッドが部分的に重複するように、重複された配置において配置されている。前に開示された配置と同様に、アクチュエータ804、並びに距離センサ807及び808を用いて、基板に対する個々のプリントヘッドセグメントの距離と傾きを調節することができる。例えば、図8に示される配置において、各アクチュエータ804は、上下運動を前列プリントヘッド820の後部コーナー805及び後列プリントヘッド825の前部コーナー806に伝達することができる。本明細書中に開示される他の配置において、各アクチュエータと、それを2つのプリントヘッドに接続する機能する連結部は、プリント方向に即して配置されていることができる。更に、他の配置において前に開示されるように、前列プリントヘッド上の浮上高さセンサ807はそれぞれ、プリント方向に沿って関連したアクチュエータに即して、異なるアクチュエータと関連させることができる。第2のセットの浮上高さセンサ808は、後列のプリントヘッドの上に配置されていることができる。基板に対して前方に及び後方に動くときに、プリントヘッドは、デポジタ(depositors)に対する基板の高さの変更に応答することが可能であるため、第2のセットの浮上高さセンサ808は、双方向的な走査における分割されたプリントヘッドバーの性能を改善することができる。プリントヘッドセグメントは、分割されたプリントヘッドの前部及び/又は後部に配置された固定された冷却板809によって囲まれることができる。示されるように、プリントヘッドの互い違いに設けられているラインと一体化している前部及び/又は後部エッジ上に、冷却板は、延びている部分810(「フィンガー」)を含むことができる。そのような配置は、個々のプリントヘッドセグメントのそれぞれと関連している冷却板間の領域をカバーし、更にOVJP機構によって発生された熱から基板を保護することができる。冷却板フィンガーは、小さなギャップ811によって、プリントヘッドから分離され、前に開示されるように分割されたプリントヘッドの動作を可能にすることができる。
【0083】
本明細書中に用いられるように、プリントバー又は他のOVJP堆積装置、及び基板は、互いに相対する方向に動かされる、又は方向620、710、830など相対的な方向に動かされると記載され、そのような運動は、望ましい相対運動を達成するために、プリントバー又は装置を動かして基板を静止状態に保持することで、堆積装置を静止状態に保持しながら基板を動かすことで、又は両方の部品を動かすことで、達成されることが理解される。
【0084】
本明細書中に開示される実施形態は、リジッドな支持構造から垂下されることができる複数の独立した幾つかのプリントヘッドを有する分割されたOVJP-型プリントバーを提供する。プリントバーセグメントは、一定のプリントヘッドから基板距離を維持するために、単一の一体化したプリントバーではできなかったことを解決しつつ、大きなプリントバーの完全な機能性を提供する。本明細書中に開示されるように、基板の方向に動作範囲を有する複数の分離したプリントヘッドに、プリントバーを分割することで、OVJP好適な基板の非平坦性を補填するためのプリントシステムの能力を提供する。
【0085】
更に、同じ表面領域に堆積するために用いられる従来のプリントヘッド又は単一のプリントヘッドバーと比べた場合、本明細書中に開示される分割されたプリントバーは、プリントヘッドバー自身に必要とされるより寛大な公差を有することもできる。例えば、+/-5μm以下の平坦性公差及び端から端までの同様にタイトなデポジタ配置公差を有する非常に大きいプリントヘッドバー(例えば、長さ1~2m以上)を、従来の技術を用いて作製することは不可能ではないにしても、非常に難しいであろう。対照的に、本明細書中に開示されるように、分割されたプリントバーを用いることで、特定の大きさにされることができる個々のセグメントが必要とされる公差を満たすようにすることを可能にする。例えば、150mm以下の寸法を有する部品は、公知の半導体作製技術によって作製されることができる。個々のセグメントは、直接基板上の形成要素に見当され(registered)、プリントヘッド及び基板の両方における付加的な許容誤差に対して、プロセスをより寛大なものにすることができる。
【0086】
本明細書中に開示されるように、分割されたプリントバーはまた、プリントヘッドから基板の間隔が、完全に平坦ではない基板上において維持されることができるので、単一の線型プリントバーと比べると有利なことがある。本明細書中に開示されるように、プリントヘッドから基板の距離が一定の望ましい値で維持されない場合、線幅及び堆積厚みが変わることがあり、堆積は仕様どおりにならなかったり、又は許容できる性能を提供するには十分な公差にならなかったり、不十分な性能を提供するには十分な公差にすらならないことがある。一般的には、間隔が大きすぎると、堆積された線は広くなりすぎて、間隔が減少すると、厚みが大きくなりすぎる。したがって、大画面OLEDの作製を達成するためには、正確な間隔の維持が、望ましい幅と厚みを有するプリント線を作製するためには不可欠であることがある。
【0087】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【文献】米国特許第5,844,363号明細書
【文献】米国特許第6,303,238号明細書
【文献】米国特許第5,707,745号明細書
【文献】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0089】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード
300 基板
301 プリントヘッド支持構造
302 プリントヘッド
400 プリントアセンブリ
401 基板
402 プリントヘッド
403 支持構造
405 浮上高さギャップ
406 ガラスパネル
407 偏差
408 偏差
501 プリントヘッド支持構造
502 取り付け支持体
503 プリントヘッド
504 アパーチャプレート
505 基板
506 距離
551 プリントヘッド
552 高さセンサ
553 列
554 列
560 プリントヘッド(分割されたプリントバー)
561 セグメント
562 浮上高さセンサ
563 浮上高さアクチュエータ
564 熱シールド
565 プリントダイ
566 方向
601 セグメント
601a セグメント
601b セグメント
602 浮上高さセンサ
602a 浮上高さセンサ
603 アクチュエータ
603a アクチュエータ
604 表面
605 プリントダイ
620 方向
700 プリントバー
701 三角形のプリントヘッドセグメント
702 高さセンサ
703 アクチュエータ
705 プリントダイ
710 方向
801 長方形面プリントヘッド
802 前部ヘッド
803 後部ヘッド
804 アクチュエータ
805 後部コーナー
806 前部コーナー
807 浮上高さセンサ
808 浮上高さセンサ
809 冷却板
810 部分(フィンガー)
811 ギャップ
820 前列プリントヘッド
825 後列プリントヘッド
830 方向

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8