(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】Pt-キサントフォス-ヨウ素錯体及びPt-キサントフォス-臭素錯体
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6564 20060101AFI20240612BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20240612BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20240612BHJP
C07F 15/00 20060101ALN20240612BHJP
C07C 45/50 20060101ALN20240612BHJP
C07C 47/02 20060101ALN20240612BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
C07F9/6564 CSP
B01J31/24 Z
C07F19/00
C07F15/00 F
C07C45/50
C07C47/02
C07B61/00 300
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193974
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523448406
【氏名又は名称】エボニック オクセノ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カロリン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ジャックステル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルラー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-512817(JP,A)
【文献】特開2018-193361(JP,A)
【文献】特表2012-526110(JP,A)
【文献】Journal of Organometallic Chemistry,1998年,Vol.551(1-2),p.165-170
【文献】Journal of the American Chemical Society,2020年,Vol.142(42),p.18251-18265
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
B01J
C07C
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)Ptと、
b)下記一般式(I)に適合するリガンドと、
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は、-H、-(C
1~C
12)アルキル及び-(C
6~C
20)アリールから選択される。)
c)臭素リガンド又はヨウ素リガンドと、
を含む錯体
を、ヒドロホルミル化の触媒として使用する錯体の使用。
【請求項2】
R
5、R
6、R
7、R
8は、-(C
6~C
20)アリールであることを特徴とする請求項1記載の錯体
の使用。
【請求項3】
R
5、R
6、R
7、R
8は、-Phであることを特徴とする請求項1又は2記載の錯体
の使用。
【請求項4】
R
1及びR
4は、-(C
1~C
12)アルキルであることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の錯体
の使用。
【請求項5】
R
2及びR
3は、-Hであることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の錯体
の使用。
【請求項6】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記式(1)の構造を有することを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の錯体
の使用。
【化2】
【請求項7】
前記錯体が、前記式(I)に相当するリガンドを1つ有することを特徴とする請求項1~6いずれか1項記載の錯体
の使用。
【請求項8】
前記錯体が、ヨウ素リガンドを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項1~7いずれか1項記載の錯体
の使用。
【請求項9】
前記錯体が、ヨウ素リガンドを2つ有することを特徴とする請求項8記載の錯体
の使用。
【請求項10】
前記錯体が、臭素リガンドを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項1~7いずれか1項記載の錯体
の使用。
【請求項11】
前記錯体が、臭素リガンドを2つ有することを特徴とする請求項10記載の錯体
の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Pt-キサントフォス-ヨウ素錯体及びPt-キサントフォス-臭素錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
P. Meessen et al., Journal of Organometallic Chemistry, 551, (1998), 165-170は、3-ペンテノエートのヒドロホルミル化のためのPt(キサントフォス)Cl2の使用を記載している。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規の錯体を提供することである。ヒドロホルミルの触媒作用において高い収率を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1記載の方法により達成される。
a)Ptと、
b)下記一般式(I)に適合するリガンドと、
【0006】
【0007】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、-H、-(C1~C12)アルキル及び-(C6~C20)アリールから選択される。)
c)臭素リガンド又はヨウ素リガンドと、
を含む錯体。
【0008】
(C1-C12)-アルキルという表現は、1~12個の炭素原子を有する直鎖および分枝アルキル基を包含する。これらは、好ましくは(C1-C8)-アルキル基、より好ましくは(C1-C6)-アルキル、最も好ましくは(C1-C4)-アルキルである。
【0009】
適切な(C1-C12)-基は、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1 ,2-ジメチルプロピル, 1,1-ジメチルプロピル, 2,2-ジメチルプロピル, 1-エチルプロピル, n-ヘキシル, 2-ヘキシル, 2-メチルペンチル, 3-メチルペンチル, 4-メチルペンチル, 1,1-ジメチルブチル, 1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、ノニル、デシルである。
【0010】
(C6-C20)-アリールという表現は、6~20個の炭素原子を有する単環式または多環式芳香族ヒドロカルビル基を包含する。 これらは、好ましくは(C6-C14)-アリール、より好ましくは(C6-C10)-アリールである。
【0011】
適切な(C6-C20)-アリール基は、特にフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル、コロネニルである。 好ましい(C6-C20)-アリールは、フェニル、ナフチルおよびアントラセニルである。
【0012】
1つの変形では、R5、R6、R7、R8は、-(C6~C20)アリールである。
【0013】
1つの変形では、R5、R6、R7、R8は、-Phである。
【0014】
1つの変形では、R1及びR4は、-(C1~C12)アルキルである。
【0015】
1つの変形では、R1及びR4は、-CH3である。
【0016】
1つの変形では、R2及びR3は、-Hである。
【0017】
1つの変形では、一般式(I)で表される化合物が、下記式(1)の構造を有する。
【0018】
【0019】
1つの変形では、前記錯体が、前記式(I)に相当するリガンドを1つ有する。
【0020】
1つの変形では、前記錯体が、ヨウ素リガンドを少なくとも2つ有する。
【0021】
1つの変形では、前記錯体が、ヨウ素リガンドを2つ有する。
【0022】
1つの変形では、前記錯体が、臭素リガンドを少なくとも2つ有する。
【0023】
1つの変形では、前記錯体が、臭素リガンドを2つ有する。
【0024】
錯体それ自体と同様に、ヒドロホルミル化反応の触媒作用のためのその使用も特許請求されている。
【0025】
ヒドロホルミル化の触媒としての上述した錯体の使用。
【0026】
本発明は、以下、実施例によって詳細に説明される。
【実施例】
【0027】
バイアルにPtX2(X=ハロゲン)、リガンド、およびオーブンで乾燥させたスターラーバーを入れた。バイアルを、セプタム(PTFEコーティングスチレン-ブタジエンゴム)とフェノール樹脂キャップで密閉した。バイアルを排気し、アルゴンを3回再充填した。シリンジを使用して、トルエンおよび1-オクテンをバイアルに添加した。バイアルを合金板に入れ、これをアルゴン雰囲気下でパー・インスツルメント社の4560シリーズのオートクレーブに移した。オートクレーブをCO/H2で3回パージした後、合成ガスの圧力を室温で40バールに上げた。反応は80℃で18時間行った。反応が終了したら、オートクレーブを室温まで冷却し、注意深く減圧した。収率および選択性はGC分析によって決定した。
【0028】
【0029】
反応条件:1.0mmolの1-オクテン、0.5mol%のPtI2、2.0当量のリガンド、溶媒:トルエン、p(CO/H2):40バール、T:80℃、t:18h
収率:
【0030】
【0031】
<ハロゲンの変化>
反応条件:10mmolの1-オクテン、0.1mol%のPtX2、2.2当量のリガンド(1)、溶媒:トルエン、p(CO/H2):40バール、T:80℃、t:20h
収率:
PtI2:95%
PtBr2:48%
PtCl2:<1%
【0032】
実験結果が示すように、この問題は本発明による方法によって解決される。