(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】特に陸上風車および/または洋上風車のための支持構造物
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20240612BHJP
E04H 12/10 20060101ALI20240612BHJP
E02D 27/32 20060101ALI20240612BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
F03D13/20
E04H12/10 A
E02D27/32 A
E02D27/52 Z
(21)【出願番号】P 2022505589
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020069957
(87)【国際公開番号】W WO2021018583
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】202019104155.2
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
【住所又は居所原語表記】Kaiser-Wilhelm-Strasse 100,47166 Duisburg Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】レアレス,エミリオ・ベルトメオ
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202012002729(DE,U1)
【文献】欧州特許出願公開第03056611(EP,A1)
【文献】特表2015-527508(JP,A)
【文献】米国特許第04091982(US,A)
【文献】特開昭61-211464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0009480(US,A1)
【文献】国際公開第2010/147481(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
E04H 12/10
E02D 27/32
E02D 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に下端部になり、支持構造物を受ける基部に面する第1の端部(2)と、前記第1の端部の反対側に配置された第2の上端部(4)と、実質的に前記支持構造物の前記下端部から前記上端部まで延在し、使用時に垂直に対してある角度で傾斜している複数の支持支柱(6、6’)とを備え、前記支持支柱(6、6’)が複数の弓形
に湾曲
した支柱部分(8、8’)を有し、互いに隣接して配置された2つの支持支柱(6、6’)が、
湾曲
した前記支柱部分(8、8’)の領域において、少なくとも1つの板状の連結要素(18、36、36’)によって互いに連結されて
おり、前記複数の支持支柱(6、6’)が前記支持構造物の前記第1の端部(2)から前記第2の上端部(4)まで連続的に延在する、陸上風車および/または洋上風車のための支持構造物(1)。
【請求項2】
互いに連結された前記支柱部分(8、8’)が、反対方向に湾曲しており、前記支柱部分(8、8’)の外側の領域で互いに連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の支持構造物。
【請求項3】
前記支柱部分(8、8’)が、いずれの場合も、前記支柱部分(8、8’)の、支柱方向に、凸状に曲がった外面(24)を介して互いに連結されていることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項4】
使用時に、互いに連結され
た弓形
の前記支柱部分(8、8’)が、前記支持構造物上に実質的に同じ高さで配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項5】
前記連結要素(18、36、36’)
が弓形
の前記支柱部分(8、8’)の中心軸(32)
を通って延在する平面に平行に延在することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項6】
前記連結要素(18、36、36’)が、連結された弓形
の支柱部分(8、8’)
の中心軸(32)に沿って広がる平面に対してある傾斜角で向けられた平面内に延在することを特徴とする、請求項
1に記載の支持構造物。
【請求項7】
前記支持構造物の、1つ、複数、またはすべての支持支柱(6、6’)が、複数の板状
の連結要素(18、36、36’)によって、前記支持支柱(6、6’)の弓形
の支柱部分(8、8’)の前記凸状に曲がった外面(24)において、互いに直接隣接して配置されたそれぞれ2つの支持支柱(6、6’)に連結されており、前記支持支柱(6、6’)が管として実現されていることを特徴とする、請求項
3に記載の支持構造物。
【請求項8】
弓形
の前記支柱部分(8、8’)が、少なくとも領域において互いに重なり合う少なくとも2つの板状
の連結要素(36、36’)によって互いに連結されており、両方の連結要素(36、36’)が互いに連結されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項9】
前記2つの
板状の連結要素(36、36’)の各々が、いずれの場合も端部において、前記支持支柱(6、6’)の前記支柱部分(8、8’)の一方のみに連結されており、前記それぞれの他方の連結要素(36、36’)のための連結端部(40)間に延在する結合部分(38)を有することを特徴とする、請求項8に記載の支持構造物。
【請求項10】
各連結要素(36、36’)が、一方の端部によって一方の支持支柱(6)の弓形
の支柱部分(8)に連結されており、反対の端部によって他方の支持支柱(6’)の弓形
の支柱部分(8’)に連結されていることを特徴とする、請求項9に記載の支持構造物。
【請求項11】
少なくとも1つの追加の補剛要素(26、26’)が2つの支持支柱(6、6’)の間の連結として設けられており、前記補剛要素(26、26’)によって、2つの支持支柱(6、6’)
の弓形
の前記支柱部分(8、8’)の凹状に曲がった外面(24)が互いに連結されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項12】
複数の水平補剛要素(26、26’)が同じ高さに配置されていることを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項13】
前記
複数の水平補剛要素(26、26’)が、使用時に実質的に水平である周方向補剛リング(30、30’)を実現することを特徴とする、請求項12に記載の支持構造物。
【請求項14】
複数の補剛リング(30、30’)が、前記支持構造物(1)の異なる高さに配置されていることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の支持構造物。
【請求項15】
各支持支柱(6、6’)が、複数の直線支柱部分および複数の弓形に湾曲した支柱部分(8、8’、10、10’)から形成されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項16】
少なくとも1つの直線支柱部分(10、10’)が2つの弓形に湾曲した支柱部分(8、8’)の間に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載の支持構造物。
【請求項17】
支持支柱(6、6’)の前記弓形に湾曲した支柱部分(8、8’)が、実質的に反対方向に交互に湾曲していることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項18】
前記支持支柱(6、6’)が、前記支持支柱(6、6’)の上端部(4)に、中心軸(14)に対してある角度で傾斜しており、前記支持構造物の前記上端部(4)で力伝達モジュール(104)を受けるように構成された直線支柱部分(12)を有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項19】
前記支持支柱(6、6’)を、前記支持支柱(6、6’)の下端部(2)で、前記基部に固定されたフーチングに、特に打込み杭、埋込み杭、吸引バケットまたは海底への他のタイプの連結に結合することができ、垂直に対して実質的に平行である複数のアダプタロッド(108)を備えるアダプタ装置(102)に連結することができることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の支持構造物。
【請求項20】
請求項1および18のいずれか一項に記載の支持構造物(1)と、
前記支持構造物の上端部に配置された力伝達モジュール(104)と、
を備える、陸上風車および/または洋上風車のための基礎構造物(100)。
【請求項21】
高低差を補償するために本発明による前記支持構造物の下端部に結合されたアダプタ装置(102)をさらに備える、請求項20に記載の陸上風車および/または洋上風車のための基礎構造物(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に下端部になる、支持構造物を受ける基部に面する第1の端部と、第1の端部の反対側に配置された第2の上端部とを備える、特に陸上風車および/または洋上風車のための支持構造物に関する。本発明はさらに、陸上風車および/または洋上風車のための基礎構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の支持構造物は、例えば、風車を、例えば海底などの基部に連結し、海底と水面との間の距離を橋渡しするために使用される。過去に設置された風車によって発生したエネルギーの出力が着実に増加し、それに関連して風車の寸法が増加しているため、風車を基部に確実に固定することは重要な問題である。特に、風車の寸法が大きくなり、結果として風車の自重が増加するため、より大きな表面積にわたって重量力を分散させることは、基部への力の伝達に関して有利である。
【0003】
この目的で、ジャケット部とも呼ばれる格子タワーの形態の支持構造物が、特に洋上風車の分野で使用される。そのようなジャケット部を用いれば、重量力は、支柱を介して互いに連結された少なくとも3つまたは4つの外側杭を介して、タワーから、支持構造物に連結されるタワーの下端部の面積の倍数であることが多い基部の表面積に分散して伝達される。
【0004】
加えて、基部への連結領域にモーメントを発生させる風車に作用する風荷重を、ジャケット部として実現された支持構造物によってより良好に吸収することができる。この目的で、支持構造物の第2の上端部から支持構造物の第1の下端部に向かう力の効率的な分散も重要である。特に、支持構造物に作用するモーメントの場合、支持構造物の下端部に設けられたすべての結合手段を介して、基部に連結され、基部に固定された複数の打込み杭を有するフーチングへの作用力の均一な分散が達成されるべきである。
【0005】
特に、風車の一方の側に作用する風荷重と、結果として生じる支持構造物に作用するモーメントとを、支持構造物の下端部において支持構造物の外周にわたって均一に分散させ、よって、好ましくは鋼製の、トラス構造と同様の方法で実現される支持構造物にかかる過剰な応力を回避することが求められる。これは、材料破壊の危険を打ち消し、必要な修理および保守を最小限に保つためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景技術に対して、本発明は、支持構造物の上の第2の端部から第1の下端部に向かって好ましく均一な方法で力を分散させることを可能にする、特に陸上風車および/または洋上風車のための支持構造物を規定するという目的に基づいたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が基づく目的は、請求項1に記載の特徴を有する、特に陸上風車または洋上風車のための支持構造物の場合において達成される。特に、実質的に支持構造物の下端部から上端部まで延在し、使用時に垂直に対してある角度で傾斜している複数の支持支柱が設けられ、支持支柱は、複数の弓形に湾曲した支柱部分を有し、互いに隣接して配置された2つの支持支柱は、それらの湾曲支柱部分の領域において、少なくとも1つの板状連結要素によって互いに連結される。
【0008】
本発明によれば、ここで従う手法は、複数の支持支柱が好ましくは支持構造物の下端部から上端部まで連続的に延在し、その結果として、好ましくは支持支柱に沿った力の伝達に中断が生じなくなる、というものである。加えて、特に有利な力伝達節点が、支持支柱に沿って、すなわち支柱方向に湾曲したコースの結果として、互いに隣接して配置された2つの支持支柱をそれらの湾曲支柱部分の領域において互いに連結するための板状連結要素によって実現される。そのような力伝達節点の前で1つの支持支柱のみにおいて作用する力は、好ましくは、力伝達節点内の2つの支持支柱の間で均一に分散される。したがって、両方の支持支柱における力伝達節点の後の力は、ほぼ半分になる。総じて、本発明による設計の結果として、支持構造物内の力の均一化された分布が、力伝達節点の領域において達成される。
【0009】
本発明による支持構造物の有利な発展形態によれば、互いに連結された支柱部分は、反対方向に湾曲しており、それらの外側の領域で互いに連結されている。好ましくは、2つの湾曲支柱部分の互いに反対側の端部は、力伝達節点の領域において反対方向に延在する。湾曲支柱部分の両端に連結された隣接する支持支柱の直線支柱部分は、互いに実質的に整列しており、これにより、力伝達節点の後の1つの支持支柱から2つの支持支柱への節点の前の力方向における力の伝達、すなわち力の分散がさらに支援される。
【0010】
好ましくは、支柱部分は、いずれの場合も、それらの凸状に曲がった外面を介して互いに連結されている。好ましくは、板状連結要素は、支柱部分の凸状に曲がった外面に物質間で接合されており、特に外面に溶接されている。このようにして、少なくとも1つの板状連結要素と湾曲支柱部分との間の力伝達節点における連結で高い強度が達成される。本発明の一実施形態では、弓形支柱部分は、支柱方向に、支柱部分の少なくとも半分の長さにわたって、好ましくは支柱部分の85%を超える長さにわたって、その凸状に曲がった外面において板状連結要素に結合されている。
【0011】
さらに、互いに連結された弓形支柱部分の反対方向の湾曲により、そこに締結された直線支柱部分が互いに交差しないという効果が達成される。異なる湾曲支柱部分の隣接する端部の2つの直線支柱部分は、互いに対して約40°~80°の範囲の角度で延在する。
【0012】
一発展形態によれば、本発明による支持構造物が使用されているとき、互いに連結された複数の弓形支柱部分は、支持構造物上に実質的に同じ高さで配置されている。本発明による複数の力伝達節点は、好ましくは、支持構造物上に同じ高さで配置され、支持構造物の外周に均一に分散され、それによって支持構造物上の力の分布がさらに均一化される。好ましくは、本発明の支持構造物の一実施形態によれば、複数の力伝達節点が、支持構造物上に異なる高さで支持支柱に沿って配置されており、高さに関して互いの真上に配置された2つの力伝達節点が、支持構造物の中心軸の周りにある角度でオフセットして配置されている。角度オフセットは、好ましくは、全周の半分に対応する。
【0013】
支持構造物の好ましい発展形態は、連結要素が実質的に支持支柱の支柱方向に、好ましくは連結された弓形支柱部分の中心軸に平行に延在すると規定する。そのような力伝達節点は、好ましくは、使用時に下端部になる第1の端部から使用時に上端部になる第2の端部まで平面内で延在する2つの支持支柱の間で実現される。そのような力伝達節点は、「スネークXノード(snake X-node)」とも呼ばれる。好ましい実施形態では、板状連結要素、すなわち連結プレートは、弓形支柱部分の中心軸と、端部において湾曲支柱部分にそれぞれ締結される支持支柱の直線支柱部分の中心軸との共通平面内に延在する。
【0014】
本発明による支持構造物の任意選択的でもあり代替的でもある設計によれば、連結要素は、連結された弓形支柱部分の中心軸に沿って広がる平面に対してある傾斜角で向けられた平面内に延在する。好ましくは、各弓形支柱部分は、板状連結要素の平面に対して実質的に回転されている。そのような力伝達節点は、互いに対してある傾斜角で向けられた平面内にその中心軸が延在する支持構造物の2つの支持支柱の間で実現される。そのような力伝達節点は、「スネークKノード(snake K-node)」とも呼ばれる。好ましくは、その長手方向軸が互いに対して異なる平面内で傾斜している支持構造物の2つの支持支柱が、複数のそのような力伝達節点、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは3つ以上を介して互いに連結されている。節の数は、特に、実現されるべき支持構造物の全高に依存し、支持構造物の全高にわたる「スネークKノード」の数は、「スネークXノード」の数よりも1つ少ない。
【0015】
本発明による支持構造物の好ましい設計によれば、支持構造物の、1つ、複数、またはすべての支持支柱は、複数の板状連結要素によって、それらの弓形支柱部分の凸状に曲がった外面において、互いに直接隣接して配置されたそれぞれ2つの支持支柱に連結される。好ましい実施形態では、第1の下端部から第2の上端部まで延在する各支持支柱は、よって、長手方向側面に沿って同様に連続する支持支柱に連結されており、それらの中心軸は共通平面内に延在する。好ましくは、反対側の長手方向側面は、弓形支柱部分を有する連続的な支持支柱に同様に連結されており、中心軸は互いに対して異なる平面内で傾斜している。いわゆる「スネークXノード」と「スネークKノード」とは、連続的な支持支柱の延長方向に沿って交互に設けられている。同一の力伝達節点が、それぞれの支持支柱の1つの長手方向側面に沿って配置されている。
【0016】
好ましい実施形態によれば、支持支柱は管として実現されており、その結果として、支持支柱の円筒形断面によって好ましい基本強度がもたらされる。
【0017】
本発明による支持構造物の好ましい発展形態では、弓形支柱部分は、少なくとも領域において互いに重なり合う少なくとも2つの板状連結要素によって互いに連結されており、好ましくは両方の連結要素もまた互いに連結されている。弓形支柱部分間の連結として、単一の連結プレートのみではなく、2つ以上の連結プレートが使用され、これらの連結プレートは各々、それらの連結領域で、好ましくは湾曲支柱部分の凸状に曲がった外面に個々に結合されている。一実施形態では、板状連結要素は、力伝達節点を実現するために互いに一致して配置されており、形状が同一である。
【0018】
好ましい発展形態によれば、2つの連結要素の各々は、いずれの場合も端部において、支持支柱の支柱部分の一方のみに連結されており、それぞれの他方の連結要素に結合するためにその連結端部間に延在する結合部分を有し、結合部分自体は弓形支柱部分に結合されていない。連結要素は、中央結合部分と端部の連結端部とを有する帯状の連結プレートと同様に実現される。連結端部は、好ましくは、結合部分に対してある角度で傾斜している。連結要素は、それらの結合部分の領域においてのみ重なり合うように鏡面対称に配置されている。連結要素は、結合部分を介して互いに連結されており、特にねじ留めまたはリベット留めされている。連結要素間のそのような連結は、本発明による力伝達節内に必要な強度、すなわち剛性を提供するために不可欠である。
【0019】
好ましくは、各連結要素は、使用時に異なる高さで、一方の端部によって一方の支持支柱の弓形支柱部分に連結され、反対の端部によって他方の支持支柱の弓形支柱部分に連結される。よって、本発明によるそのような力伝達節点に出入りする力の最適化された伝達が達成され、支柱部分と連結要素との間の締結部分における有害な応力が回避される。好ましくは、各湾曲支柱部分は、隣接する反対方向に湾曲した支柱部分から最も離れていない領域において、その外側で連結要素に結合されていない。
【0020】
本発明による支持構造物の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの追加の補剛要素が、下端部から上端部まで連続的に延在する2つの支持支柱の間の連結として設けられている。特に、補剛要素の機能は、隣接する力伝達連結節の領域における支持支柱の座屈を防止することである。好ましくは、補剛要素によって、2つの支持支柱の弓形支柱部分の凹状に曲がった外面が互いに連結される。特に、互いに連結されるのは、その中心軸が共通平面内に延在する支持支柱の弓形支柱部分の凹状の外面である。よって、使用時に、そのような補剛要素は、互いに連結された2つの支持支柱の中心軸が互いに対して傾斜した2つの平面内に延在する力伝達連結節のすぐ隣に配置されている。支持構造物の高さ方向に対して、補剛要素は、特に、異なる高さに配置された2つの力伝達連結節の間に配置される。補剛要素は、主に、補剛要素の長手方向の引張力を受ける。
【0021】
本発明による支持構造物の発展形態では、複数の水平補剛要素が同じ高さに配置され、補剛要素は、好ましくは、使用時に実質的に水平である周方向補剛リングを実現する。これにより、本発明による支持構造物の強度、すなわち剛性がさらに向上し、好ましくは第1の下端部から第2の上端部まで連続的に延在する支持支柱の座屈が防止される。好ましくは、補剛要素は、複数の管部分から形成されたそれぞれの補剛リングが多角形の外形を有するように、直線管部分として実現される。この場合、好ましくは、支持構造物上に6つの補剛要素が配置されており、これらは六角形の外面形状を有する周方向補剛リングを実現する。2つの補剛要素の間ごとに力伝達連結節が配置されている。
【0022】
好ましくは、複数の補剛リングが、支持構造物の高さにおいて異なる高さに配置されている。好ましくは、2つ以上のそのような補剛リングが、本発明による支持構造物の高さ全体にわたって分散された、異なるレベルに配置されている。
【0023】
支持構造物の好ましい発展形態によれば、各支持支柱は、複数の直線支柱部分および弓形に湾曲した支柱部分から形成されており、好ましくは少なくとも1つの直線支柱部分が2つの弓形に湾曲した支柱部分の間に配置されている。第1の下端部から第2の上端部まで延在する支持支柱は各々、多数の直線支柱部分および弓形に湾曲した支柱部分を備え、異なる形状の支柱部分は、支持支柱の延長方向に交互に配置されている。加えて、支持支柱に沿った弓形支柱部分も各々、交互に異なる湾曲方向を有する。よって、弓形に湾曲した支柱部分は、反対方向に交互に延在する。
【0024】
好ましくは、支持支柱の弓形に湾曲した支柱部分は、反対方向に湾曲していても、実質的に同一である。特に、支持支柱に沿って、直線支柱部分の長さは変化し、第1の下端部から第2の上端部に向かって減少する。
【0025】
好ましくは、支持支柱は、その上端部に、垂直に対してある角度で傾斜しており、支持構造物の上端部で力伝達モジュールを受けるように構成された直線支柱部分を有する。好ましくは、直線支柱部分は、直線支柱部分の中心軸が共通の中心点で交わるように、径方向および軸方向に互いに向かって延在する。直線支柱部分はまた、好ましくは、その上に力伝達モジュールのスリーブ状の結合部分が押される管部分である。そのような力伝達モジュールは、好ましくは、使用時に実質的に水平である少なくとも1つの環状板体を有する。板体には、支持構造物の上端部に配置された直線支柱部分の数に対応して、力伝達モジュールを支持構造物に結合するために対応する数の結合部分が設けられている。さらに、風車のタワーの下端部を受けるように構成されたトランジションピースチューブが、力伝達モジュールの環状板体上に配置されている。使用時に、トランジションピースチューブの下端部は、好ましくは、複数の連結セグメントの端部と同じ高さで終端する。トランジションピースチューブの上端部は、板体の上側を越えて延在する。加えて、力伝達モジュールの下端部には第2の板体が設けられており、第2の板体は、連結セグメントの自由端を、相互と、トランジションピースチューブの下端部とに連結する。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、支持支柱の下端部を、基部に固定されたフーチングに、特に打込み杭に結合することができ、使用時に垂直に対して実質的に平行である複数のアダプタロッドを備えるアダプタ装置に連結することができる。打込み杭の代わりに、他の基礎、例えば、埋込み杭、吸引バケット、または海底への他のタイプの連結も使用することができる。支持支柱の下端部には、アダプタ装置のアダプタロッドの上端部に結合することができる好ましくは垂直な締結部分を有する足部要素が設けられている。一実施形態では、互いに直接隣接する足部要素が、実質的に水平な結合支柱を介して互いに連結されている。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、上述した好ましい実施形態のいずれか1つに記載される支持構造物と、支持構造物の上端部に配置された力伝達モジュールと、好ましくは、異なる設置場所における基準面に対する基部の高低差を補償するために本発明による支持構造物の下端部に結合されたアダプタ装置とを備える、陸上風車および/または洋上風車のための基礎構造物に関する。使用時、本発明によるそのような基礎構造物の使用によって、その上に風車がタワーとともに収容された伝達モジュールから、支持構造物の第1の下端部を収容するフーチングに向かう力の伝達の改善が達成される。一実施形態では、支持構造物の下端部は、基部に固定されたフーチングに直接連結されている。さらなる実施形態は、水塊の基部に固定されたフーチングへの結合部材として支持構造物の下端部に結合することができるアダプタ装置を提供する。アダプタ装置は、洋上での風車の建設において、支持構造物自体を調整する必要なく、異なる設置場所における水面と基部との間の様々な高低差を補償するために使用することができる。好ましくは、複数の打込み杭、埋込み杭、吸引バケット、または海底への他のタイプの連結が基礎として使用される。
【0028】
本発明による支持構造物に関連して説明された好ましい実施形態または発展形態は、同時に、本発明による基礎構造物の好ましい実施形態でもある。支持構造物に関連する、基礎構造物に関連して説明された好ましい実施形態もまた、同時に、支持構造物の好ましい実施形態である。
【0029】
本発明を、以下で、添付の図を参照して、好ましい例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による支持構造物を有する基礎構造物の正面図である。
【
図2】本発明による支持構造物と、2つの支持支柱間で実現された力伝達節点との詳細図である。
【
図3】本発明による力伝達節点の第1の実施形態の図である。
【
図4】本発明による力伝達節点の第1の実施形態の図である。
【
図5】本発明による力伝達節点の第2の実施形態の図である。
【
図6】本発明による力伝達節点の第2の実施形態の図である。
【
図7】本発明による力伝達節点のさらなる代替的な実施形態の図である。
【
図8】本発明による力伝達節点のさらなる代替的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に、ジャケット構造と同様の支持構造物1と、使用時に下端部になる支持構造物1の第1の端部に配置されたアダプタ装置102と、使用時に上端部になる支持構造物1の第2の端部に締結された力伝達モジュール104とを備える基礎構造物100を示す。アダプタ装置102は、詳細には示されていないフーチング、特に、水塊の基部に固定された複数の打込み杭、埋込み杭、吸引バケット、または海底への他のタイプの連結の上端部にある受け部に結合されている。
【0032】
支持構造物1は、支持構造物の第1の下端部2から上端部4まで延在し、使用時に垂直に対してある角度で傾斜している複数の支持支柱6、6’を有する。各支持支柱6、6’は、複数の弓形に湾曲した支柱部分8、8’および複数の直線支柱部分10、10’から形成されている。2つの弓形に湾曲した支柱部分8、8’の間ごとに少なくとも1つの直線支柱部分10、10’が配置されている。図示の実施形態では、支持支柱6、6’の弓形に湾曲した支柱部分は、実質的に反対方向に交互に湾曲している。したがって、各支持支柱は、延長方向に、まず右に湾曲した支柱部分8を有し、次いで左に湾曲した支柱部分8’を有するか、またはまず左に湾曲した支柱部分8’を有し、次いで右に湾曲した支柱部分8を有する。各支持支柱6、6’は、その第2の上端部に、支持構造物1の上端部4で力伝達モジュール104を受けるように構成された直線支柱部分12をさらに備える。直線支柱部分12は、支持構造物1の中心軸14に対してある角度で傾斜しており、すべての直線支柱部分12の中心軸は、中心軸14上の点で交差する。支柱部分12は、力伝達モジュール104のスリーブ状の結合部分106に対応する。
【0033】
図1にさらに示されるように、支持支柱の支持構造物1の下端部2には、詳細には示されていないが、垂直方向に延在する締結部分を有する足部要素16が設けられている。それぞれの足部要素16の締結部分は、本実施形態に示されるように、アダプタ装置102のアダプタロッド108の上端部に締結されるか、または詳細には示されていないが、フーチングの上端部に直接結合される。この実施形態では、いずれの場合も、2つの支持支柱6、6’が下端部で1つの足部要素16に連結されている。
【0034】
図2は
図1の詳細Aを示しており、互いに隣接して配置された2つの支持支柱6、6’は、少なくとも1つの板状連結要素18によってそれらの湾曲支柱部分8、8’の領域で互いに連結され、本発明による力伝達節点20を実現している。本発明によるそのような力伝達節点20では、互いに連結された支柱部分8、8’は、反対方向に湾曲している。節点20において、一方の支柱部分8は左に湾曲しており、他方の支柱部分8’は右に湾曲している。力伝達節点20の上方に少し離れて、湾曲支柱部分8、8’を有する別の力伝達節点22が実現されている。
【0035】
図2にさらに示されるように、各力伝達節点20、22内の支柱部分8、8’は、いずれの場合も、それらの凸状に湾曲した外面24を介して互いに連結されている。互いに連結され、好ましくは使用時に同一の力伝達節点20または22を実現する複数の弓形支柱部分8、8’は、支持構造物1上の実質的に同じ高さに配置されている。
図1に関連してさらに分かるように、支持構造物1のすべての支持支柱6、6’は、それぞれの延長方向に沿って、複数の板状連結要素18によって力伝達節点20、22内で、それぞれ2つの直接隣接して配置された支持支柱6’、6に連結されている。第1の端部2から第2の端部4まで延在する各支持支柱6、6’は、いずれの場合も、ただ1つのタイプの設計の力伝達節点20または22を介して隣接する支持支柱に連結されている。
【0036】
図1および
図2にさらに示されるように、2つの支持支柱6、6’の間の連結として、支持支柱の弓形支柱部分8、8’の凹状に曲がった外面28を互いに連結する追加の補剛要素26が設けられている。補剛支柱として実現されたそのような補剛要素26は、力伝達連結節22の高さにのみ設けられている。
図1によってさらに示されるように、複数の水平補剛要素26、26’が同じ高さに配置されており、補剛要素は、使用時に周方向になる実質的に水平な補剛リング30、30’を実現する。複数の補剛リング30、30’は、支持構造物1の異なる高さに設けられているが、常に連結節22’の高さにのみ設けられている。
【0037】
図3および
図4に、その連結要素18が実質的に支持支柱6、6’の支柱方向に延在する力伝達節点20を示す。本実施形態では、連結要素18は、弓形支柱部分8、8’の中心軸32を通って延在する平面に平行であり、特に一致している。この場合、連結要素18は、図示のように、その長手方向側面に沿って支柱部分8、8’の、対応して凸状に湾曲した外面24に完全に連結された、特に溶接された一体型板体として実現されている。連結要素18は、好ましくは、連結要素18に連結された湾曲支柱部分8、8’の凸状に湾曲した外面24の少なくとも半分、好ましくは4分の3を超える部分に沿って延在する。直線支柱部分10、10’は、それぞれの弓形支柱部分8、8’の端部に直接隣接する(
図2参照)。
【0038】
図5および
図6は本発明による力伝達節点22の一実施形態を示しており、その湾曲支柱部分8’は、
図3および
図4に示される実施形態とは異なり、節点22内で互いと連結要素18とに対して回転されている。よって、連結要素20は、それに連結された弓形支柱部分8、8’の中心軸32に沿って広がる平面に対してある角度で傾斜している。連結要素と支柱部分8、8’の長手方向軸に沿って広がる平面との間の傾斜角は、節点22において互いに連結された2つの湾曲支柱部分8、8’の中心軸32に沿って延在する平面間の角度の約半分である。
【0039】
図7および
図8は力伝達連結節34の代替的な実施形態を示しており、この場合、単一の連結要素の代わりに、少なくとも領域において互いに重なり合う2つの連結要素36、36’を有する。図示の実施形態では、互いに重なり合う連結要素36、36’は、リベットまたはボルトによって互いに連結された結合部分38を有する。使用時に、結合部分38は、互いに連結されることになる湾曲支柱部分8、8’の間にほぼ垂直に延在する。連結要素36、36’は、それらの対向する端部によって、異なる支持支柱6、6’の弓形に湾曲した支柱部分8、8’の外面24に連結されている。結合部分38の両端に配置された連結要素36、36’の連結端部40は、結合部分38に平行な第1の平面内と、結合部分38の延長方向に対してある角度で傾斜した、第1の平面に垂直な第2の平面内とに延在する。
【0040】
2つの連結要素36、36’の4つの連結端部40では、力伝達連結節34内の支持支柱6の湾曲支柱部分8、8’への連結領域が減少している。節点20、22とは対照的に、節点34は、支柱部分8、8’と連結要素36、36’との間に非連結中央領域を有し、そこには隣接して配置された反対方向に湾曲した支柱部分8、8’の間の最小の部分が存在する。