(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】医療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240612BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240612BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/045 620
(21)【出願番号】P 2022507068
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2020010473
(87)【国際公開番号】W WO2021181551
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】森 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】石沢 武彰
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-237205(JP,A)
【文献】特開2015-144623(JP,A)
【文献】特開2007-136133(JP,A)
【文献】特開2019-093123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と、
超音波プローブと、
前記内視鏡および前記超音波プローブと接続され、前記内視鏡が取得した撮像画像から表示画像を生成し、前記超音波プローブが取得した超音波からエコー画像を生成する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
中心軸上に対象組織が表示された第1エコー画像を取得し、
前記第1エコー画像を取得した際に生成した前記表示画像における前記超音波プローブの基準位置を取得して、
前記基準位置を示す基準位置画像を生成し、前記表示画像における前記基準位置に前記基準位置画像を重畳表示し、
前記基準位置において、前記第1エコー画像とは異なる断面をスキャンした第2エコー画像を取得し、
前記第2エコー画像の中心軸と前記第2エコー画像における前記対象組織の位置を比較する、
医療システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2エコー画像の中心軸に対する前記第2エコー画像における前記対象組織の位置の差分を検出する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記差分を所定の閾値と比較する、
請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記差分が前記所定の閾値以上だったとき、前記差分に基づいてガイド画像を前記表示画像に表示する、
請求項3に記載の医療システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1エコー画像を取得した際に生成した前記表示画像に基づいて、前記表示画像における前記基準位置を算出する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項6】
前記超音波プローブに対する指示が入力される入力装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記指示に基づいて前記第1エコー画像を取得し、
前記指示に基づいて前記第2エコー画像を取得する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項7】
内視鏡と、
超音波プローブと、
前記内視鏡および前記超音波プローブと接続され、前記内視鏡が取得した撮像画像から表示画像を生成し、前記超音波プローブが取得した超音波からエコー画像を生成する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
対象組織が表示された第1エコー画像を取得し、
前記第1エコー画像を取得した際に生成した前記表示画像における前記超音波プローブの位置である第1基準位置を取得し、
前記第1エコー画像を取得した際の前記超音波プローブの観察方向が前記第1基準位置における前記対象組織を覆う臓器の表面の法線方向と一致すると仮定して、前記対象組織の位置である第2基準位置を算出し、
前記第2基準位置を示す第2基準位置画像を生成し、前記表示画像における前記第2基準位置に前記第2基準位置画像を重畳表示し、
前記第2基準位置において、前記第1エコー画像とは異なる断面をスキャンした第2エコー画像を取得し、
前記第2エコー画像の中心軸と前記第2エコー画像における前記対象組織の位置を比較する、
医療システム。
【請求項8】
内視鏡と、
超音波プローブと、
前記内視鏡および前記超音波プローブと接続され、前記内視鏡が取得した撮像画像から表示画像を生成し、前記超音波プローブが取得した超音波からエコー画像を生成する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
対象組織が表示された第1エコー画像を取得し、
前記第1エコー画像において中心軸に対する前記対象組織の位置の第1差分を検出し、
前記第1エコー画像における前記第1差分に相当する差分である前記表示画像における第2差分を算出し、
前記第1エコー画像を取得した際に生成した前記表示画像における前記超音波プローブの位置から前記第2差分だけずれた位置を基準位置として検出し、
前記基準位置を示す基準位置画像を生成し、前記表示画像における前記基準位置に前記基準位置画像を重畳表示し、
前記基準位置において、前記第1エコー画像とは異なる断面をスキャンした第2エコー画像を取得し、
前記第1エコー画像における前記対象組織の位置と前記第2エコー画像における前記対象組織の位置を比較する、
医療システム。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記第1エコー画像における前記対象組織の位置に対する前記第2エコー画像における前記対象組織の位置の差分を検出する、
請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記超音波プローブおよび/または前記内視鏡を挿入するトロッカを備え、
前記トロッカは、前記超音波プローブおよび/または前記内視鏡の挿入角度と挿入量を検出するセンサーを有し、
前記制御装置は、前記挿入角度および前記挿入量に基づき前記基準位置を検出する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項11】
前記超音波プローブおよび前記内視鏡は位置センサーを備え、
前記制御装置は、前記位置センサーが検出した前記超音波プローブおよび前記内視鏡との相対位置に基づいて前記基準位置を検出する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項12】
前記超音波プローブは、
挿入部と、
前記挿入部の先端側に設けられた処置部と、
を備え、
前記制御装置は、画像処理により前記表示画像における前記処置部の位置を検出することで前記基準位置を検出する、
請求項1に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを含む医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腹腔鏡下手術において、腹壁に開けた別々の孔(開口)から処置具や内視鏡などを挿入して処置を行う手法が用いられている。腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べて切開創が小さく、低侵襲性に優れている。
【0003】
腹腔鏡下において腫瘍等の対象組織を切除する手術では、対象組織の切除開始前に処置対象である臓器における対象組織の位置を術者は正確に把握する必要がある。そのために、術者は超音波プローブを使って臓器のエコー画像を取得し、臓器における対象組織の位置を推定する。術者は、腹腔鏡が撮像した画像に基づいて超音波プローブの先端の位置や姿勢を制御してエコー画像を取得する。腹腔鏡の表示画面上から超音波プローブの先端の位置や姿勢を正確に認識することは難しいため、エコー画像上に対象組織が表示されていたとしても臓器における対象組織の正確な位置を推定することは困難である。そのため、術者は、超音波プローブの先端の位置や姿勢を適宜変更して、臓器のエコー画像を複数取得し、それらを総合的に判断して臓器における対象組織の位置を推定する。
【0004】
特許文献1に記載には、使用者が超音波プローブを操作して、超音波プローブの先端の位置や姿勢を制御するとき、使用者に対して姿勢制御支援を行う超音波診断装置が記載されている。特許文献1に記載された超音波診断装置は、管腔組織を診断する際、超音波プローブの姿勢変更に伴う管腔組織の断面形状の変化を用いて、超音波プローブの位置や姿勢の制御を支援する。超音波診断装置は、血管の中心軸に対して超音波ビームの走査面が直交するような超音波プローブの位置や姿勢をより迅速かつ正確に制御できるように支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しがしながら、特許文献1に記載された超音波診断装置は、超音波プローブの姿勢変更に伴い断面形状が変化する管腔組織を診断する場合に使用できるものである。超音波診断装置は、血管の中心軸方向に対する超音波ビームの走査面が適正かどうかを判定できるが、臓器に対する超音波ビームの走査面が適正かどうかを判定することはできない。つまり、特許文献1に記載された超音波診断装置は、臓器における対象組織の正確な位置を推定するための作業を効率化できない。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、臓器における対象組織の正確な位置を推定するための作業を効率化する医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る医療システムは、内視鏡と、超音波プローブと、前記内視鏡および前記超音波プローブと接続され、前記内視鏡が取得した撮像画像から表示画像を生成し、前記超音波プローブが取得した超音波からエコー画像を生成する制御装置と、を備え、前記制御装置は、中心軸上に対象組織が表示された第1エコー画像を取得し、前記第1エコー画像を取得した前記超音波プローブの基準位置において、前記第1エコー画像とは異なる断面をスキャンした第2エコー画像を取得し、前記第2エコー画像の中心軸と前記第2エコー画像における前記対象組織の位置を比較する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療システムは、臓器における対象組織の正確な位置を推定するための作業を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る医療システムの全体構成を示す図である。
【
図2】同医療システムの制御装置のブロック図である。
【
図3】同医療システムの表示装置に表示される表示画像およびエコー画像を示す図である。
【
図5】基準位置画像が重畳表示された表示画像を示す図である。
【
図6】基準位置と基準エコー画像との関係の一例を示す図である。
【
図7】超音波プローブの処置部の位置を変更した際の表示画像を示す図である。
【
図8】基準位置と補助エコー画像との関係の一例を示す図である。
【
図9】基準位置と補助エコー画像との関係の一例を示す図である。
【
図10】支援情報が提示された表示画像を示す図である。
【
図11】計測点が表示された表示画像を示す図である。
【
図12】腫瘍の仮想画像が表示された表示画像を示す図である。
【
図13】本発明の第二実施形態に係る医療システムの制御フローチャートである。
【
図14】第1基準位置画像が重畳表示された表示画像を示す図である。
【
図15】第1基準位置と第1エコー画像との関係の一例を示す図である。
【
図16】第2基準位置画像が重畳表示された表示画像を示す図である。
【
図17】処置部の位置を変更した際の表示画像を示す図である。
【
図18】本発明の第三実施形態に係る医療システムの制御フローチャートである。
【
図19】第1基準位置と第1エコー画像との関係の一例を示す図である。
【
図20】第1エコー画像と第2エコー画像との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、
図1から
図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る医療システム100の全体構成を示す図である。
【0012】
[医療システム100]
医療システム100は、
図1に示すように、超音波プローブ1と、内視鏡2と、制御装置3と、表示装置4と、入力装置5と、を備えている。医療システム100は、腹腔鏡下手術において、腹壁に開けた別々の孔(開口)から超音波プローブ1や内視鏡2などを挿入して行う手技を支援するシステムである。医療システム100は、超音波プローブ1による処理を補助する把持鉗子6をさらに有してもよい。
【0013】
超音波プローブ1は、挿入部10と、挿入部10の基端側に設けられた操作部11と、挿入部10の先端側に設けられた処置部12と、挿入部10と処置部12の間に設けられた湾曲部13と、を有する。処置部12は、湾曲操作可能な湾曲部13を経由して挿入部10に取り付けられている。術者は、湾曲部13を操作して挿入部10に対する処置部12の向きを変更できる。挿入部10および処置部12は、トロッカTから患者の腹腔内(体腔内)に挿入可能な長尺形状に形成されている。術者は、患者の腹部Bに穿刺したトロッカTに処置部12および挿入部10を通し、処置部12および挿入部10を腹腔内に導入する。
【0014】
操作部11は、術者によって操作される部材である。術者は、操作部11を持って超音波プローブ1を移動させることで、超音波プローブ1の処置部12の位置や姿勢を変更できる。
【0015】
処置部12は、超音波を発生するとともに、生体からはね返ってきた超音波を受信する。処置部12は、公知の超音波プローブの機構から適宜選択した機構を有している。例えば、処置部12は、超音波を発生する圧電素子(振動子)や音響レンズなどを有している。処置部12はリニア方式やコンベックススキャン方式やフェーズド方式などのスキャンを行い、処置部12がスキャンする断面は処置部12の長手軸と平行な断面である。処置部12がコンベックススキャン方式のスキャンを行う場合、処置部12がスキャンする断面は処置部12の長手軸と平行な断面(扇形)である。
【0016】
挿入部10および操作部11の内部には、処置部12を制御する制御信号線や、処置部12に電力を供給する電力線等が配線されている。制御信号線や電力線等は制御装置3に接続されている。
【0017】
内視鏡(撮像装置)2は、患者の腹腔内に挿入可能な長尺で硬性の挿入部20と、持手部21と、を有する。術者は、患者の腹部Bに穿刺したトロッカTに挿入部20を通し、挿入部20を腹腔内に導入する。
【0018】
挿入部20は、先端に撮像部22を有する。撮像部22は、患者の腹部内の様子を撮影するためのレンズや撮像素子を有する。腹腔内に導入された挿入部20は、撮像部22が腹部内の処置対象の患部を撮影可能な位置に配置される。撮像部22は、光学ズームもしくは電子ズームの機能を有していてもよい。
【0019】
持手部21は、術者によって操作される部材である。術者は、持手部21を持って内視鏡2を移動させることで、内視鏡2の撮像部22の位置や姿勢を変更できる。なお、挿入部20は、湾曲部をさらに有してもよい。挿入部20の一部に設けられた湾曲部を湾曲させることで、撮像部22の位置や姿勢を変更することができる。
【0020】
持手部21の内部には、撮像部22を制御する制御信号線や、撮像部22が撮像した撮像画像を転送する伝送信号等が配線されている。制御信号線や伝送信号等は制御装置3に接続されている。
【0021】
制御装置3は、内視鏡2の撮像部22が撮像した撮像画像を受信し、表示画像として表示装置4に転送する。また、制御装置3は、超音波プローブ1の処置部12を制御する。
【0022】
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリ等のハードウェアを備えたプログラム実行可能な装置(コンピュータ)である。制御装置3の機能は、プロセッサを制御するプログラムを制御装置3が読み込んで実行することにより、プログラム(ソフトウェア)の機能として実現可能である。なお、制御装置3の少なくとも一部を専用の論理回路等によって構成してもよい。さらには、制御装置3を構成する少なくとも一部のハードウェアを通信回線で結ぶことでも同様の機能を実現可能である。
【0023】
図2は、制御装置3のブロック図である。
制御装置3は、プロセッサ34と、プログラムを読み込み可能なメモリ35と、記憶部36と、入出力制御部37と、データバス38と、を有している。プロセッサ34、メモリ35、記憶部36および入出力制御部37は、データバス38を介してデータを入出力する。制御装置3の動作を制御するプログラムがメモリ35に読み込まれ、プロセッサ34によって実行される。
【0024】
記憶部36は、上述したプログラムや必要なデータを記憶する不揮発性の記録媒体である。記憶部36は、例えばROMやハードディスク等で構成される。記憶部36に記録されたプログラムは、メモリ35に読み込まれ、プロセッサ34によって実行される。
【0025】
入出力制御部37は、内視鏡2からの入力データを受け取り、その入力データをプロセッサ34等に転送する。また、入出力制御部37は、プロセッサ34の指示に基づき、超音波プローブ1や内視鏡2や表示装置4に対するデータや制御信号等を生成する。
【0026】
制御装置3は、内視鏡2から入力データとして撮像画像を受け取り、その撮像画像をメモリ35に読み込む。メモリ35に読み込まれたプログラムに基づき、プロセッサ34は撮像画像に対して画像処理を行う。画像処理が実施された撮像画像は、表示画像D1として表示装置4に転送される。
【0027】
制御装置3は、撮像画像に対して画像フォーマット変換やコントラスト調整やリサイズ処理などの画像処理を行って表示画像D1を生成する。また、制御装置3は、後述する腫瘍TU等の仮想画像を、表示画像D1に重畳する画像処理を行う。
【0028】
制御装置3は、超音波プローブ1の処置部12を制御する。制御装置3は、超音波プローブ1の処置部12に超音波を送受信させる。また、制御装置3は、受信した超音波に基づいて、生体のエコー画像D2を生成する。
【0029】
ここで、制御装置3は、1つのハードウェアに備わる装置に限られない。例えば、制御装置3は、プロセッサ34と、メモリ35と、記憶部36と、入出力制御部37とをそれぞれ別体のハードウェアとして分離したうえで、ハードウェア同士を通信回線で接続することで構成してもよい。あるいは、制御装置3は、記憶部36を分離して、通信回線で接続することでクラウドシステムとして実装されてもよい。
【0030】
なお、制御装置3は、
図2に示すプロセッサ34、メモリ35、記憶部36、および入出力制御部37以外のもので、制御装置3の動作を制御するために必要なものを、さらに有してもよい。例えば、制御装置3は、プロセッサ34が行っていた画像処理や画像認識処理の一部もしくは全部を行う画像演算部をさらに有してもよい。画像演算部をさらに有することで、制御装置3は、特定の画像処理や画像認識処理を高速に実行することができる。また、表示画像D1やエコー画像D2をメモリ35から表示装置4へ転送する画像転送部をさらに有してもよい。
【0031】
表示装置4は、制御装置3が転送した表示画像D1およびエコー画像D2を表示する装置である。表示装置4は、LCDディスプレイ等の公知のモニタである。表示装置4は、モニタを複数有してもよい。表示装置4は、モニタの代わりに、ヘッドマウントディスプレイやプロジェクタを備えていてもよい。
【0032】
表示装置4は、制御装置3が生成したGUI(Graphical User Interface)画像をGUI表示することもできる。例えば、表示装置4は、術者に対して医療システム100の制御情報表示や手術支援表示をGUI表示することができる。また、制御装置3が術者からの情報入力を必要とする場合、入力装置5から情報を入力することを促すメッセージや情報入力に必要なGUI表示を、表示装置4は表示することもできる。
【0033】
入力装置5は、術者が制御装置3に対しての指示等を入力する装置である。入力装置5は、例えばキーボードやマウスである。また、入力装置5は、スイッチにより構成されていてもよいし、表示装置4と一体化されたタッチパネルにより構成されていてもよい。入力装置5への入力は制御装置3に送られる。
【0034】
また、入力装置5は、超音波プローブ1の処置部12に対する指示を入力する装置である。入力装置5は例えば操作ボタンを有しており、操作ボタンは超音波プローブ1に対する動作指示を入力するボタンである。
【0035】
[医療システム100の動作]
次に、腹腔鏡下手術を例として、医療システム100の動作を、
図3から
図12を参照して説明する。本実施形態では、処置対象は肝臓Lの組織とする。
【0036】
はじめに、術者は、患者の腹部にトロッカTを設置するための孔(開口)を複数設け、孔にトロッカTを穿刺する。
【0037】
次に、スコピストは、内視鏡2を操作することで内視鏡2の挿入部20を患者の腹部に穿刺したトロッカTに通し、挿入部20を腹腔内に導入する。内視鏡2は、公知の内視鏡ホルダー等により固定される。次に術者は、患者の腹部に穿刺したトロッカTに超音波プローブ1の挿入部10を通し、挿入部10を腹腔内に導入する。また、術者は必要に応じて把持鉗子6を同様にして腹腔内に導入する。
【0038】
図3は、表示装置4に表示される表示画像D1およびエコー画像D2を示す図である。
術者は、表示画像D1を観察しながら、表示装置4に映るエコー画像D2の中心軸O上に処置対象の肝臓Lの対象組織TUが表示されるように、超音波プローブ1を操作する。エコー画像D2の中央に対象組織TUの中心が表示されているように、超音波プローブ1を操作することが望ましい。対象組織TUは、腫瘍や血管などである。
【0039】
以降、
図4に示す制御装置3の制御フローチャートに沿って説明を行う。
図4に示すように、制御装置3が起動されると、制御装置3は初期化を実施した後に制御を開始する(ステップS10)。次に、制御装置3はステップS11を実行する。
【0040】
ステップS11において、制御装置3は、エコー画像D2を記録する指示を検出する。制御装置3は、入力装置5からのエコー画像D2を記録する指示を検出するまで待機する。制御装置3は、エコー画像D2を記録する指示を検出すると、ステップS12を実行する。
【0041】
ステップS12において、制御装置3は、超音波プローブ1から受信した超音波に基づいて生成したエコー画像D2を記録する(第1エコー画像記録工程)。記録された肝臓Lの対象組織TUが中心軸O上に映ったエコー画像D2を第1エコー画像SEとする。対象組織TUの中心が中央に映ったエコー画像D2を記録することが望ましい。次に、制御装置3はステップS13を実行する。
【0042】
ステップS13において、制御装置3は、第1エコー画像SEを記録したときの超音波プローブ1の処置部12の位置である基準位置Pを検出する(基準位置検出工程)。検出する処置部12の位置は、処置部12の長手軸方向の中央である。制御装置3は、表示画像D1の二次元座標系(二次元表示座標系C1)における基準位置Pの二次元座標を検出する。基準位置Pの二次元座標の検出には、公知の位置検出手法等から適宜選択した手法が用いられる。例えば、公知のテンプレートマッチング手法により基準位置Pの二次元座標が検出されてもよい。
【0043】
制御装置3は、表示画像D1が表示する表示空間の三次元座標系(三次元表示座標系C2)における基準位置Pの三次元座標を検出してもよい。基準位置Pの三次元座標の検出には、公知の位置検出手法等から適宜選択した手法が用いられる。例えば、トロッカTに挿入角度と挿入量を検出するセンサーが取り付けられており、センサーが検出した内視鏡2の先端や超音波プローブ1の処置部12の位置に基づいて基準位置Pが検出されてもよい。また、超音波プローブ1の処置部12や内視鏡2の先端付近に位置センサーが取り付けられており、センサーが検出した処置部12と内視鏡2の先端との相対位置に基づいて処置点Pの位置が検出されてもよい。また、制御装置3は画像処理により表示画像D1中の処置部12の位置を検出することで基準位置Pを検出してもいい。
【0044】
検出された基準位置Pは記憶部36に記録される。次に、制御装置3はステップS15を実行する。
【0045】
図5は、基準位置画像Sが重畳表示された表示画像D1を示す図である。
ステップS14において、制御装置3は、表示画像D1に対して、検出した基準位置Pに基準位置画像Sを重畳表示する。検出した基準位置Pが三次元表示座標系C2における位置である場合は、制御装置3は基準位置Pを表示画像D1に投影させた二次元表示座標系C1における位置に基準位置画像Sを重畳表示する。本実施形態において基準位置画像Sは星形形状の画像であるが、基準位置画像Sはこれに限定されない。
【0046】
図6は、基準位置Pと第1エコー画像SEとの関係の一例を示す図である。
第1エコー画像SEには対象組織TUが映っているが、基準位置Pに対する対象組織TUの相対位置はステップS14に時点ではわからない。例えば、
図6に示すように、超音波プローブ1の処置部12の観察方向d1は、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2と一致していない場合がある。
【0047】
図7は、処置部12の位置を変更した際の表示画像D1を示す図である。
術者は、表示画像D1に表示される基準位置画像Sを中心として超音波プローブ1の処置部12を回転させる。具体的には、術者は、超音波プローブ1の湾曲部13を湾曲させつつトロッカを中心に挿入部10の向きを変更したり、挿入部10を挿入しているトロッカから挿入部10を引き抜き別のトロッカに挿入したりして、基準位置Pにおける処置部12の長手軸方向を回転させる。術者は、処置部12と肝臓Lの表面との接平面上に処置部12が配置された状態をおおむね維持しつつ処置部12を回転させる。接平面は肝臓Lの表面の法線方向d2と垂直な面である。
図7に示す例においては、超音波プローブ1の処置部12を基準位置画像Sを中心として約90度回転させているが、回転角度はこれに限定されない。
【0048】
ステップS15において、制御装置3は、エコー画像D2を記録する指示を検出する。制御装置3は、入力装置5からのエコー画像D2を記録する指示を検出するまで待機する。制御装置3は、エコー画像D2を記録する指示を検出すると、ステップS16を実行する。
【0049】
ステップS16において、制御装置3は、超音波プローブ1から受信した超音波に基づいて生成したエコー画像D2を保存する(第2エコー画像記録工程)。上述の処置部12の回転操作を行った後に取得された第2エコー画像は、基準位置Pにおいて第1エコー画像とは異なる断面をスキャンしたエコー画像である。つまり、第1エコー画像を取得した際の処置部12の長手軸方向と、第2エコー画像を取得した際の処置部12の長手軸方向は異なる。保存されたエコー画像D2を第2エコー画像AEとする。次に、制御装置3はステップS17を実行する。
【0050】
図8および
図9は、基準位置Pと第2エコー画像AEとの関係の一例を示す図である。
ステップS17において、制御装置3は、第2エコー画像AEの中心軸Oと対象組織TUの位置とを比較して、中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分(位置ずれ)を検出する(差分検出工程)。位置の差分とは、第2エコー画像上において、中心軸Oと垂直な水平方向における中心軸Oと対象組織TUの位置の差分である。中心軸Оは、第2エコー画像AEの中心軸であって、処置部12からの超音波の深度方向(超音波ビーム方向)に沿う軸線である。対象組織TUの位置は、例えば対象組織TUの中心位置である。例えば、
図8に示すように、第2エコー画像AEにおいて対象組織TUは中心軸OからL1だけ離れた位置にあり、位置の差分はL1である。一方、
図9に示すように、第2エコー画像AEにおいて、中心軸O上に対象組織TUがある。次に、制御装置3はステップS18を実行する。
【0051】
ステップS18において、制御装置3は、ステップS17において検出した位置の差分を所定の閾値と比較する。中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分が所定の閾値より小さい場合、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあると判定できる。一方、中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分が所定の閾値以上である場合、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがないと判定できる。例えば、
図8に示すように、第2エコー画像AEにおいて対象組織TUは中心軸OからL1だけ離れた位置にある。L1は所定の閾値以上である。この場合、
図8に示すように、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがないと判定できる。一方、
図9に示すように、第2エコー画像AEにおいて、中心軸O上に対象組織TUがある場合、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあると判定できる。ステップS17において検出した位置の差分が所定の閾値以上の場合、制御装置3はステップS19を実行する。ステップS17において検出した位置の差分が所定の閾値より小さい場合、制御装置3はステップS20を実行する。
【0052】
ステップS19において、制御装置3は、ステップS18の判定結果に基づき、術者に対してガイド情報を提示する(ガイド情報提示工程)。
図10は、ガイド情報が提示された表示画像D1を示す図である。例えば、制御装置3は、
図10に示すように、位置の差分がなくなり肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあると判定される位置まで処置部12を移動させることを支援するガイド線G1およびガイド矢印G2を表示画像D1に重畳表示する。制御装置3は、
図8に示すように、第2エコー画像AEにおける中心軸O上から離れた対象組織TUの位置から、ガイド線G1およびガイド矢印G2を算出して表示画像D1に重畳表示する。例えば、制御装置3は、表示画面D1上の処置部12の長手軸方向からガイド線G1の方向を算出し、第2エコー画像AEの対象画像TUの中心軸Oからのずれ量からガイド矢印の長さを算出する。
【0053】
術者は、ガイド情報を参照し、再度基準位置画像Sを中心として超音波プローブ1の処置部12を移動させる。次に、制御装置3は再度ステップS11を実行する。制御装置3は新しい位置に移動させた処置部12を用いて、新たな第1エコー画像および第2エコー画像を記録する。ステップS18において検出した位置の差分が所定の閾値より小さくなるまで、これらのステップが繰り返される。
【0054】
図11は、計測点Mが表示された表示画像D1を示す図である。
ステップS20において、制御装置3は、ステップS18の検出結果を提示する。制御装置3は、検出結果に加えて支援情報を提示してもよい。例えば、制御装置3は、
図11に示すように、基準位置Pの周辺に複数の計測点Mを設定する。制御装置3は、公知の方法に基づいて、計測点Mを基準として肝臓Lの表面形状を算出する。制御装置3は、肝臓Lの表面形状と、
図9に示す補助エコー画像AEにおける対象組織TUの位置と、に基づいて対象組織TUの三次元表示座標系C2における位置を算出する。
【0055】
図12は、対象組織TUの仮想画像VTが表示された表示画像D1を示す図である。
制御装置3は、表示画像D1に対して、対象組織TUの三次元表示座標系C2における位置に対象組織TUの仮想画像VTを重畳表示する。術者は、例えば対象組織TUの仮想画像VTを確認しながら肝臓Lを正確に切除できる。
【0056】
制御装置3は、次にステップS21を実行する。ステップS21において、制御装置3が制御を終了するかを判定する。制御を終了しない場合、制御装置3は、再度ステップS11を実施する。制御を終了する場合、制御装置3は、次にステップS22を実施して制御を終了する。
【0057】
術者が基準位置画像Sを使用せず、基準位置画像Sを表示画像D1に表示させる必要がない場合、ステップS13(基準位置検出工程)およびステップS14(基準位置表示工程)は実施しなくてもよい。基準位置画像Sを表示画像D1に表示させたほうが、術者は処置部12を回転操作しやすい。特に、超音波プローブ1の湾曲部13を湾曲させたり、別のトロッカから超音波プローブ1を挿入したりする場合において、基準位置画像Sを表示画像D1に表示させたほうが、術者は処置部12を回転操作しやすい。
【0058】
制御装置3は、ステップS17において位置の差分を検出した後、ステップS18を実施せず、ステップS20を実施してもよい。制御装置3は、ステップS17において検出した位置の差分が所定の閾値以上かどうかにかかわらず、検出結果を表示してもよい。
【0059】
本実施形態の医療システム100によれば、第2エコー画像AEから、中央に対象組織TUが映るように第1エコー画像を取得し、第1エコー画像を取得した基準位置Pにおいて取得された第2エコー画像AEの中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分を検出することができる。これによって、基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあるかないかの判定を支援できる。よって、肝臓Lにおける対象組織TUの正確な位置を推定するための作業を効率化することが可能となる。また、医療システム100は、位置の差分がなくなり肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあると判定される位置まで処置部12を移動させることをガイドするガイド線G1およびガイド矢印G2を表示画像D1に表示できる。また、医療システム100は、表示画像D1に対して対象組織TUの仮想画像VTを重畳表示できる。
【0060】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0061】
(変形例1)
例えば、上記実施形態において支援情報はガイド線G1およびガイド矢印G2であったが、支援情報はこれに限定されない。支援情報は例えば音声情報であってもよい。
【0062】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、
図13から
図17を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0063】
医療システム100Bは、第一実施形態に係る医療システム100と同様、超音波プローブ1と、内視鏡2と、制御装置3と、表示装置4と、入力装置5と、を備えている。医療システム100Bは、第一実施形態に係る医療システム100と比較して、制御装置3が実施する制御のみが異なる。以降、
図13に示す制御装置3の制御フローチャートに沿って説明を行う。
【0064】
術者は、第一実施形態と同様、表示画像D1を観察しながら、表示装置4に映るエコー画像D2に処置対象の肝臓Lの対象組織TUが表示されるように、超音波プローブ1を操作する。第二実施形態においては、エコー画像D2の中心軸O上に対象組織TUが表示されていなくてもよい。
【0065】
図13に示すように、制御装置3が起動されると、制御装置3は初期化を実施した後に制御を開始する(ステップS10)。次に、制御装置3はステップS11を実行する。ステップS11からステップS13までは第一実施形態と同様である。制御装置3は第1エコー画像SEを記録し、第1基準位置Pを検出する。次に、制御装置3はステップS31を実行する。
【0066】
ステップS31において、制御装置3は、表示画像D1の処置部12の長手軸方向中央に対して、検出した第1基準位置Pに第1基準位置画像Sを重畳表示する(第1基準位置画像表示工程)。そして、制御装置3は、表示画像D1において処置部12が移動された場合には、第1基準位置画像Sも追従表示する。具体的には、制御装置3は、処置部12の移動に合わせて常に処置部12の長手軸方向中央に第1基準位置画像Sを表示するようにする。本実施形態において第1基準位置画像Sは星形形状の画像であるが、第1基準位置画像Sはこれに限定されない。
【0067】
図14は、第1基準位置画像Sが重畳表示された表示画像D1を示す図である。
図15は、第1基準位置Pと第1エコー画像SEとの関係の一例を示す図である。第二実施形態において、第1エコー画像SEには、対象組織TUが中心軸O上に映っていなくてもよい。次に、制御装置3はステップS32を実行する。
【0068】
ステップS32において、制御装置3は、対象組織TUの位置を推定する(第2基準位置推定工程)。例えば、制御装置3は、超音波プローブ1の処置部12の観察方向d1が、第1基準位置Pにおける肝臓Lの表面の法線方向d2と一致していると仮定して対象組織TUの位置(第2基準位置Q)を推定する。次に、制御装置3はステップS33を実行する。
【0069】
図16は、第2基準位置画像Rが重畳表示された表示画像D1を示す図である。
ステップS33において、制御装置3は、表示画像D1に対して、推定した対象組織TUの位置(第2基準位置Q)に第2基準位置画像Rを重畳表示する。(第2基準位置画像表示工程)。本実施形態において第2基準位置画像Rは四角形状の画像であるが、第2基準位置画像Rはこれに限定されない。
【0070】
図17は、処置部12の位置を変更した際の表示画像D1を示す図である。
術者は、表示画像D1に表示される第2基準位置画像Rを中心として超音波プローブ1の処置部12を回転させる。術者は処置部12の長手軸方向の中央(第1基準位置画像S)を対象組織位置画像Rに一致させて処置部12を回転させる。術者は、処置部12と肝臓Lの表面との接平面上に処置部12が配置された状態をおおむね維持しつつ処置部12を回転させる。接平面は肝臓Lの表面の法線方向d2と垂直な面である。
図17に示す例においては、超音波プローブ1の処置部12を第1基準位置画像Sを中心として約90度回転させているが、回転角度はこれに限定されない。
【0071】
次に、制御装置3はステップS15を実行する。ステップS15からステップS17までは第一実施形態と同様である。制御装置3は第2エコー画像AEを記録し、第2エコー画像AEにおける中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分を検出する。次に、制御装置3はステップS34を実行する。
【0072】
ステップS34において、制御装置3は、ステップS17において検出した位置の差分を所定の閾値と比較する。中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分が所定の閾値より小さい場合、第2基準位置Qにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあると判定できる。一方、中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分が所定の閾値以上である場合、または、第2エコー画像AE上に対象組織TUが表示されなかった場合、第2基準位置Qにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがないと判定できる。ステップS17において検出した位置の差分が所定の閾値以上の場合、制御装置3はステップS19を実行する。ステップS17において検出した位置の差分が所定の閾値より小さい場合、制御装置3はステップS20を実行する。
【0073】
本実施形態の医療システム100Bによれば、第2エコー画像AEの中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分を検出することができる。第1エコー画像SEの中央に対象組織TUが映ってない場合であっても、第2基準位置Qにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあるかないかの判定を支援できる。よって、肝臓Lにおける対象組織TUの正確な位置を推定するための作業を効率化することが可能となる。
【0074】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0075】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について、
図18から
図20を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0076】
医療システム100Cは、第一実施形態に係る医療システム100と同様、超音波プローブ1と、内視鏡2と、制御装置3と、表示装置4と、入力装置5と、を備えている。医療システム100Cは、第一実施形態に係る医療システム100と比較して、処置部12と制御装置3が実施する制御のみが異なる。以降、
図18に示す制御装置3の制御フローチャートに沿って説明を行う。
【0077】
処置部12は、第一実施形態および第二実施形態と異なり、リニア方式のスキャンのみを行う。この場合、処置部12がスキャンする断面は処置部12の長手軸と平行な断面であり、かつ、長方形である。
【0078】
術者は、第一実施形態と同様、表示画像D1を観察しながら、表示装置4に映るエコー画像D2に処置対象の肝臓Lの対象組織TUが表示されるように、超音波プローブ1を操作する。第三実施形態においては、第二実施形態と同様に、エコー画像D2の中心軸O上に対象組織TUが表示されていなくてもよい。
【0079】
図18に示すように、制御装置3が起動されると、制御装置3は初期化を実施した後に制御を開始する(ステップS10)。次に、制御装置3はステップS11を実行する。ステップS11からステップS12までは第一実施形態と同様である。制御装置3は、第1エコー画像SEを記録する。次に、制御装置3はステップS41を実行する。
【0080】
図19は、第1基準位置Pと第1エコー画像SEとの関係の一例を示す図である。
ステップS41において、制御装置3は、第1エコー画像SEを記録したときの超音波プローブ1の処置部12上の対象組織TUに対応する位置である第1基準位置Pを検出する(第1基準位置検出工程)。具体的には、まず、ステップS12で記録した第1エコー画像SEにおいて、中心軸Oに対する対象組織TUの位置の差分L2を検出する。その後、第1エコー画像SEにおける差分L2に基づき、表示画像D1における差分L2’を算出する。そして、表示画像D1における処置部12において、処置部12の長手軸方向中央位置から距離L2’だけずれた位置を第1基準位置Pとして検出する。
【0081】
次に、制御装置3はステップS42を実行する。ステップS42において、制御装置3は、ステップS41で検出した第1基準位置Pに対して、第1基準位置画像Sを重畳表示する。そして、表示画像D1において処置部12が移動された場合は、第1基準位置画像Sも追従表示する。具体的には、処置部12の移動に合わせて常に処置部12の第1基準位置Pに第1基準位置画像Sを表示するようにする。本実施形態において第1基準位置画像Sは星形形状の画像であるが、第1基準位置画像Sはこれに限定されない。
【0082】
次に、制御装置3はステップS31を実行する。ステップS31からステップS32までは第二実施形態と同様である。
【0083】
次に、術者は、表示画像D1に表示される第2基準位置画像Rを中心として超音波プローブ1の処置部12を回転させる。術者は処置部12の第1基準位置画像Sを対象組織位置画像Rに一致させて処置部12を回転させる。術者は、処置部12と肝臓Lの表面との接平面上に処置部12が配置された状態をおおむね維持しつつ処置部12を回転させる。接平面は肝臓Lの表面の法線方向d2と垂直な面である。
【0084】
次に、制御装置3はステップS15を実行する。ステップS15からステップS16までは第一実施形態と同様である。次に、制御装置3はステップS43を実行する。
【0085】
図20は、第1エコー画像SEと第2エコー画像AEとの関係の一例を示す図である。
ステップS43において、制御装置3は、第1エコー画像SEにおける対象組織TUの位置と第2エコー画像AEにおける対象組織TUの位置とを比較して、対象組織TUの位置の差分(位置ずれ)を検出する(差分検出工程)。例えば、
図20に示すように、第1エコー画像SEにおける対象組織TUの位置と、第2エコー画像AEにおける対象組織TUの位置とは、中心軸Oと垂直な水平方向においてL3だけ離れた位置にあり、位置の差分はL3である。
【0086】
次に、制御装置3はステップS18を実行する。ステップS18は第1実施形態と同様である。さらに、以降のステップS19からステップS22も第一実施形態と同様である。
【0087】
本実施形態の医療システム100Cによれば、第1エコー画像SEにおける対象組織TUの位置と第2エコー画像AEにおける対象組織TUの位置との差分を検出することができる。処置部12がリニア方式の場合、かつ、第1エコー画像SEの中央に対象組織TUが映ってない場合であっても、第2基準位置Qにおける肝臓Lの表面の法線方向d2に対象組織TUがあるかないかの判定を支援できる。よって、肝臓Lにおける対象組織TUの正確な位置を推定するための作業を効率化することが可能となる。
【0088】
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、超音波プローブを使用する医療システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
100,100B 医療システム
1 超音波プローブ
12 処置部
13 湾曲部
15 第一超音波プローブ
16 第二超音波プローブ
2 内視鏡(撮像装置)
3 制御装置
4 表示装置
5 入力装置
22 撮像部
D1 表示画像
D2 エコー画像
SE 第1エコー画像
AE 第2エコー画像
TU 対象組織