IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムヤン コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図1
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図2
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図3
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図4
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図5
  • 特許-アルロースを含有する乳化組成物 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】アルロースを含有する乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240612BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20240612BHJP
【FI】
A23L27/00 F
A23L27/30 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022525219
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 KR2020014912
(87)【国際公開番号】W WO2021086054
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0135931
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0135932
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,キョンホン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンミ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テチョル
(72)【発明者】
【氏名】ナム,チュンウ
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0289869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0269140(US,A1)
【文献】特開2015-023803(JP,A)
【文献】特開2014-036645(JP,A)
【文献】特開2014-204697(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0048712(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性油脂、糖類および乳化剤を含む粉末を含み、
前記糖類はアルロースおよび水飴を含み、
前記アルロースと前記水飴の合計固形分含有量100重量%を基準として、アルロース固形分含有量が1~40重量%であり、
前記水飴は、20~25のデキストロース当量(dextrose equivalent,DE)値を有する粉末乳化組成物。
【請求項2】
植物性油脂、糖類および乳化剤を含有する液状原料を噴霧乾燥して製造された噴霧乾燥物を含む、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項3】
前記水飴は、72ブリックスのシロップ溶液に対して30℃温度条件で測定した粘度が2,900~5,200cpsである、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項4】
前記水飴とアルロースを含む糖類固形分含有量100重量%を基準として、アルロースの固形分含有量が1~30重量%である、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項5】
前記粉末乳化組成物は、リン酸塩、カゼイン塩、乳化安定剤、乳製品、香料および色素からなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項6】
100μm~300μmの範囲の粒子または顆粒である、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項7】
前記粉末乳化組成物は、難消化性マルトデキストリン(NMD)、ポリデキストロース、デキストリンおよびマルトオリゴ糖からなる群より選ばれた固結防止剤をさらに含む、請求項1に記載の粉末乳化組成物。
【請求項8】
植物性油脂、水飴アルロースおよび乳化剤を含有する液状原料を製造する工程、および
前記液状原料を130~170℃の温度範囲で噴霧乾燥する工程を含む、請求項1に記載の粉末乳化組成物の製造方法。
【請求項9】
前記液状原料のDE値は10~44未満である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記液状原料は水を添加して30~80重量%の固形分含有量(ブリックス)を有するように製造し、噴霧乾燥して製造された粉末である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記水飴とアルロースを含む糖類固形分含有量は、前記液状原料100重量%を基準として35~70重量%で含まれる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記植物性油脂は液状原料100重量%を基準として25~45重量%で含まれる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項13】
高甘味度甘味料および砂糖からなる群より選ばれた1種以上が前記液状原料にさらに含まれる、請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖類および油脂を含み、良好な風味発現性と糖類低減化を達成した乳化食品組成物およびその製造方法に関し、前記乳化食品組成物は食品添加剤、飲料添加剤、食品などに多様に適用することができ、アルロースを糖類として使用することによって、食品の乳化安定性を改善し、糖類低減および低カロリーを実現する。
【背景技術】
【0002】
近年、糖含有量が高い加工食品は、肥満のような各種成人病と関連性があることから、多くの批判を受けている。健康への関心増大、糖低減キャンペーンなどによって、低カロリー、低糖含有量を適用した製品への関心が高まっている。最近、世界的に問題になっている成人病、肥満などを解決するための方案の一つとして、韓国をはじめとする多くの国では、自国の国民の糖摂取を減らすための多様な政策が施行されている傾向にある。糖類にはブドウ糖(DP1)、麦芽糖(DP2)などのような1糖類または2糖類が含まれ、具体的には砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖など5種類糖が含まれる。
【0003】
消費者が製品の栄養成分表の糖類含有量を確認して製品を購入する傾向が徐々に増加しているので、加工食品企業では糖類含有量を低くするために、糖類含有量が高いイオン水飴、麦芽水飴などの使用量を減らすことに苦心している。消費者製品には、1糖類および2糖類の総和が糖類として表示される。
【0004】
しかし、このような物質は、製品の増量剤、甘味剤、質感改善剤および粘度調整剤として使用され、非常に大きな比重を占めるので、代替することが難しい実情である。特に粘度調整においては、ガム類、ペクチンなどのようなポリマーを使用することができるが、費用が多く発生し得る。
【0005】
砂糖の有害性が明らかになるに伴い、問題が提起されている。具体的には、砂糖の過剰摂取が虫歯はもちろん、肥満、糖尿病など各種生活習慣病の大きな原因として指摘されており、これに代わるだけの甘味料開発の必要性が世界的に台頭している実情である。そのため、砂糖に代わるだけの甘味度を有しながらも低カロリーで、さらに単に糖類の吸収を阻害することだけで糖の過剰摂取を遮断する甘味料でない、より改善された代替甘味料の開発が持続的に求められている。
【0006】
最近、機能性甘味料として砂糖または果糖などに代わることができる糖類として脚光を浴びている糖類の一つとして、アルロースがある。アルロースは、糖蜜や異性化糖中に微量含まれているが、D-果糖からエピメラーゼによって酵素的に生産可能な希少糖の一種であり、抗酸化性などの生理機能が期待され、さらに甘味が砂糖の60~70%に達するにもかかわらず、カロリーが殆どなく、溶解性に優れるため多様な食品への応用が期待される。
【0007】
一方、水飴自体の糖類を低減しながらも同時に高い粘度を達成した混合糖の開発が急がれる。このような問題点などを解決するために、実質的に糖含有量はより低いが、既存製品と類似の甘味と低い糖類含有量を有する糖シロップが求められる。
【0008】
従来の粉末状乳化組成物は油脂および糖類を過量含んでおり、カロリーが高く糖類含有量が高いため、糖類が低減された低カロリー乳化組成物への要求が高い。また、液状乳化組成物は、粉末に製造するとき製品の水分含量または外部空気の水分含有量によって粉末の水分含有量が増加して、脂肪の酸敗を促進させて製品の品質および保管安定性が劣る傾向がある。特に、スプレードライのように、液状製品を粉末化する工法は粉末の水分含量を5~10%以下に粉末化しなければならないが、製造環境の湿度または保管環境の湿度によって水分を吸収して品質に悪影響を与える。このような品質低下は製品の賞味期限を短縮させる主な因子であり、これによる製品の流通効率性が低くなる問題ももたらす。また、乳化組成物において糖類として低糖水飴を使用する場合は吸湿性が高まる傾向にあり、乳化安定性、保管安定性などの問題があり、糖類含有量が高いという問題がある。
【0009】
そこで、乳化組成物に含有された水飴などの糖類を低減しながらも既存製品と類似の甘味を達成し、粉末化が容易な乳化組成物に使用される糖類およびそれを含む乳化組成物に対する要求が増加する実情である。
【0010】
アルロースシロップは、砂糖と類似の甘味度を有しながらもカロリーはほぼ0に近くて糖類の代替剤として多くの関心を受けているが、普遍的な甘味料として使用される水飴などと比較して粘度が低いという問題があり、添加量の調整が容易ではなく、アルロース結晶は単独成分では粉末化が難しくて粉末化工程における適合性が良くない問題がある。アルロースは、濃縮したシロップの場合、その適用に限界があるので、結晶または粉末に対する要求が高いが、アルロースは結晶性が低いため結晶化することが難しい。アルロース転換酵素または前記酵素を生産する菌株を用いた生物学的な方法としてアルロースを生産する場合にも、低い転換率によってアルロースの純度を高めた後、結晶化しなければならないため、D-アルロースの産業的利用を目的とした場合、精製工程や精製収率、結晶化収率など未解決の課題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は糖類および油脂を含み、良好な風味発現性と糖類低減化を達成した乳化食品組成物およびその製造方法に関するものであり、前記乳化食品組成物は、食品添加剤、飲料添加剤、食品などに多様に適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一例は、植物性油脂、糖類および乳化剤を含み、前記糖類はアルロースを含む、乳化組成物に関するものである。
【0013】
本明細書で「乳化組成物」または「油化組成物」という用語は、乳化組成物類を通称し、このような乳化組成物は、コーヒークリーマーなどのように油脂が使用される加工製品の用途に合わせて任意に乳化したものを指す。
【0014】
本発明の一例による組成物は、固体状(固体)、液状またはこれらの混合状態であり得、さらに詳細には、液状、半液状、粉末または冷凍された固体状態などとして提供されることができる。前記乳化組成物は、粉末または液状であり得る。「粉末状乳化組成物」という用語は、前記乳化組成物を製品用途に合わせて粉末化したものであり、「液状乳化組成物」は、前記乳化組成物を製品用途に合わせて液状に製造したものである。
【0015】
本発明は、糖類、例えば水飴および砂糖などを、アルロースに全部または一部を代えて、糖類低減、低カロリーおよび滑らかなボディ感などを実現することができる。
【0016】
本明細書で「糖類低減」という用語は、特に明記しない限り、過剰摂取時に肥満、糖尿、心血管系疾患、その他各種成人病の発生危険性を高めると知られているブドウ糖、果糖、ショ糖など単糖類および二糖類の含有量が低くなることを意味し、前記「糖類」にはアルロースなどの希少糖は含まれない。
【0017】
本発明はまた、前記乳化組成物は、ソース、食品添加剤、飲料または飲料添加剤であり得る。
【0018】
本発明の一例は、植物性油脂、糖類および乳化剤を含み、前記糖類はアルロースを含む粉末乳化組成物、例えば乳化安定性を有して糖類低減および低カロリーを実現した、アルロースを含む粉末乳化組成物を提供することにある。本発明の他の一例は、植物性油脂、アルロース、水飴および乳化剤を含む液状エマルジョン試料を製造し、前記液状試料を噴霧乾燥して粉末を製造する工程を含む粉末乳化組成物の製造方法に関するものである。
【0019】
本発明は、糖類、具体的には糖類としてアルロースと低糖水飴を含み、粉末化特性に優れ、乳化安定性および保管安定性が改善された粉末状乳化組成物およびそれを用いた食品に関するものである。
【0020】
本発明の一例による粉末乳化組成物は、粉末状製品の包装、流通および長期保管時に発生し得る問題を補完することができる。また、官能的にアルロースが有する甘味上昇が遅いという問題と後味での苦味(異味)が感じられる問題を補完し、甘味質が改善されたアルロースを含む粉末乳化組成物を提供することができる。
【0021】
本発明の一例は、アルロースシロップを用いて、砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖および乳糖の糖類含有量を低くして滑らかなボディ感を有し、水に対する溶解度が増加した、アルロース含有液状乳化組成物およびその製造方法に関するものである。本発明の一例による液状乳化組成物は、アルロースを含んで従来の水飴に比べて糖類が低減されながらも、従来の水飴と同等な水準の粘度を達成することができる。前記アルロースは、水飴の全部または一部を代えた乳化組成物を製造することができる。
【0022】
本発明の乳化組成物は、乳化ソース組成物に関するものであって、より詳しくは、食用油脂、アルロース、卵黄および糖類を含む水中油型乳化ソース組成物に関するものである。本発明の乳化ソース組成物は、卵黄の含有量を低くしてコレステロール含有量が少なく、糖類低減を達成しながらも乳化速度が速くて乳化安定性を確保し、例えば砂糖の全部または一部をアルロースに代えて乳化安定性および粘度範囲を有する乳化ソース組成物およびその製造方法に関するものである。
【0023】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明は、アルロースを含む乳化組成物であって、本発明による乳化組成物に適用可能なアルロースは、シロップまたは粉末形態で添加されて製造されるものであり得、アルロースは、噴霧乾燥粉末、結晶形粉末などを使用することができる。前記アルロース粉末を使用する場合、アルロース粉末固形分は、全体アルロース組成物粉末、例えば純度90%または95%以上のアルロースを含む粉末を使用する。本発明の好ましい一例で、粉末乳化組成物を製造するためには、油相および水相を混合して液状乳化組成物を製造した後に、これを粉末化して製造する場合には、アルロースはシロップまたは粉末を添加して液状乳化組成物を製造することができる。この時、アルロース粉末を使用する場合、別の溶媒、例えば水に溶解したものまたは直接粉末を添加して液状乳化組成物を製造することができる。
【0024】
前記アルロースシロップは、前記アルロース単独または混合糖から分離、精製および濃縮工程によって得られたものであり得る。前記アルロースシロップの粘度は、温度45℃で2cps~200cpsであり得、電気伝導度は1000uS/cm以下、例えば0.01~1000uS/cm、好ましくは30uS/cm以下、例えば0.1~30uS/cmであり得る。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップの電気伝導度は1~50μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状アルロースシロップであり得る。前記液状アルロースのpHは4~6範囲であり得、乳化組成物に添加する場合、酸性条件の乳化が得られる。
【0025】
前記アルロースは、単独成分または他の成分と混合されたシロップまたは粉末であり得る。前記アルロースは、アルロース単独で使用したり、または追加の他の糖類を含む混合糖であり得、混合糖の例は全体混合糖の固形分100重量%を基準として1~99.9重量%のアルロースを含有することができ、さらに果糖、ブドウ糖、およびオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上を追加で含むことができる。前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含有量100重量%を基準として、アルロース2~55重量%、果糖30~80重量%およびブドウ糖2~60重量%、およびオリゴ糖0~15重量%を含むものであり得、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくはすべてD型-異性体である。
【0026】
アルロースシロップは、前記混合糖から分離、精製および濃縮工程によって得られたものであり得る。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、無色または微黄色の甘味を有する液状であり、全体固形分含有量100重量%を基準としてアルロースを5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、93重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、または99重量%以上で含むアルロースシロップとして、例えば10~20重量%、70~99重量%、85~95重量%を含むアルロースシロップであり得る。
【0027】
前記アルロースシロップは、前記アルロース単独または混合糖から分離、精製および濃縮工程によって得られたものであり得る。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、電気伝導度が1~100μS/cm、1~1~90μS/cm、1~80μS/cm、1~70μS/cm、または1~60μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状アルロースシロップであり得る。
【0028】
アルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を用いた生物学的方法で製造されたものであり得る。好ましくはアルロースは、生物学的方法、例えば微生物または酵素反応で製造することができる。例えば、前記混合糖は、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選ばれた1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖-含有原料と反応して製造された混合糖またはこれから得られるものであり得る。
【0029】
本発明の液状乳化組成物は、アルロース以外の単糖類、二糖類、糖アルコール類、食物繊維類およびオリゴ糖類からなる群より選ばれた1種以上の糖類をさらに含むことができる。または前記組成物は、澱粉分解物、例えばデキストリン、マルトデキストリン、イソマルトデキストリンなどより選ばれた1種以上をさらに含むことができる。例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖(または結晶果糖)、タガトース、キシロース、グレインシロップ、蜂蜜、水飴、イソマルトオリゴ糖およびフラクトオリゴ糖からなる群より選ばれた1以上の糖類をさらに含むことができる。
【0030】
本発明の一例で、前記乳化組成物は、甘味度の調節のための前記高甘味度の甘味料として、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア、アスパルテーム、ステビオシドアスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ズルチン、タウマチン、ネオテームおよびモネリンからなる群より選ばれる1種以上の甘味素材をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の一例で、糖類、食用油脂および乳化剤を含む粉末状乳化組成物を提供する。前記粉末状乳化組成物に含まれた低糖水飴はDE20~25値を有し、糖類、例えばブドウ糖固形分含有量5~10重量%または5~7重量%を有する水飴であり得る。本発明のまた他の一例で、前記粉末状乳化組成物を含む食品、食品添加剤、飲料または飲料添加剤を提供する。
【0032】
本発明による乳化組成物は、具体例で、本発明は食用油脂、糖類および乳化剤を含み、選択的に乳化安定剤をさらに含む粉末状乳化組成物を提供する。前記糖類は、アルロースおよび低糖水飴を含むことができる。
【0033】
本発明による乳化組成物は粉末形態で製造され、例えば粉末は、平均粒径100μm~300μmの範囲の粒子または顆粒を含むことができる。粉末状乳化組成物は、特に製造および保管時の湿度条件の影響を受けるため吸湿度が重要であり、アルロースを含む製品の乳化安定性を向上させ、乳化組成物の品質および貯蔵安定性を向上させ、滑らかなボディ感を提供する。
【0034】
本発明による乳化用組成物は、水飴とアルロースを混合して使用することによって、甘味度、甘味質および嗜好度などのような官能的な特性を改善し、高い乳化安定性および糖類が低減した低カロリーを有し、溶解速度に優れ、液状に溶解して飲用する形態の食品組成物に有用に使用できる粉末乳化組成物を提供することができる。また、官能的にアルロースが有する甘味上昇が遅いという問題と後味での苦味(異味)が感じられる問題を補完し、甘味質が改善されたアルロース含有粉末乳化組成物を提供することができる。
【0035】
本発明による粉末状乳化組成物は、油脂および糖類を含む液状乳化組成物の粉末化工程によって製造され、液状乳化組成物の粉末化のためには多様な粉末の製造方法、例えば噴霧乾燥方法を用いることができる。好ましくは、本発明による粉末状乳化組成物は、液状乳化物試料を製造して粉末化過程により粉末に製造されるものであり得、乳化組成物のアルロースを除いた成分を粉末化し、アルロース粉末を混合して製造するものではない。前記アルロースを含む液状乳化物試料を製造して粉末化過程により粉末に製造される場合、その他原料に由来する後味の苦味(異味)をマスキングできるためより好ましい。
【0036】
前記粉末化工程は噴霧乾燥または真空乾燥などの方法により行われるが、水分が蒸発し得る温度と圧力条件、すなわち高温と真空(または減圧)条件で水分が蒸発して非結晶質の粉末粒子が形成される。好ましくは、本発明による粉末甘味料組成物は、アルロースと粉末化助剤を含む液状試料を噴霧乾燥して製造される噴霧乾燥物であり得る。本明細書で、噴霧乾燥は液体試料を熱風に噴霧して分散させることによって熱風へ搬送させて急速に水分を蒸発させて乾燥して粉末を得る乾燥方法である。
【0037】
一般に噴霧乾燥原料である液状試料として使用される物質は、その物質自体の固有のガラス転移温度(Tg)値を有するが、Tg値以上ではガラス転移状態、すなわちべたつきと弾性を有する軟化状態に変化する。したがって、Tg値以上の温度で乾燥が行われると、粉末の状態がべたつく性状を持つようになり、乾燥粉末として回収が難しくなるので、特に噴霧乾燥工程ではTg値以下の温度で噴霧乾燥が行われるべきであり、またTg値以下の温度に出口(Outlet)温度を設定して水分が蒸発するように工程パラメータを調整することが重要である。
【0038】
アルロースは零下のガラス転移温度(-5.5℃)を有しており、他の糖類に比べてTg値が非常に低い。アルロースを噴霧乾燥工程により粉末化するためにTg値以下の温度に粉末化装置の内部温度または出口温度を設定して乾燥させようとする場合、前記Tg値以下の温度では水分が蒸発しにくいため乾燥がよく行われない。したがって、アルロースまたはそれを含む組成物は、粉末化工程によって粉末粒子を形成することは非常に難しい。
【0039】
本明細書で特記しない限り、粉末製造用液状乳化組成物は乾燥のための固形分含有量調節のために水を添加する前の組成物を基準とする。
【0040】
本発明は、粉末化助剤として水飴とアルロースを混合してTg値を高めて、混合液を噴霧乾燥して甘味度を改善した非結晶性粒子を製造する方法を提供する。
【0041】
前記水飴は、DE値が30以下、または25以下、例えばDE20~25またはDE20~24である低糖水飴であり得る。低糖水飴は、DE20~25の水飴であって、ブドウ糖固形分含有量が5~7重量%であり、甘味が低い水飴である。低糖水飴としては、72ブリックスのシロップ溶液に対して30℃温度条件で測定した粘度が2,900~5,200cpsである水飴を使用することができる。
【0042】
具体的には、pH4.0~6.0を有する粉末状乳化物、例えばコーヒークリーマーに適用時に噴霧乾燥賦形剤および甘味付与の役割を果たすので多く使用されており、デキストリンに比べて吸湿性が高い。アルロースと組み合わせて使用する場合は、アルロース単独で使用時の噴霧乾燥されない特性を改善することができる。
【0043】
また、本発明による粉末状乳化組成物に含まれたアルロースと低糖水飴の含有量は、低カロリーおよび乳化安定性を考慮すると、特定の含有量以上のアルロースを含むことが好ましく、粉末化特性を考慮すると過度に多量のアルロースを含むことは難しいことを考慮して、適切な含有量の範囲に選定することが好ましい。
【0044】
本発明による粉末状乳化組成物に含まれた糖類は、低糖水飴とアルロースを含み、低糖水飴とアルロースの合計固形分含有量100重量%を基準として、アルロース固形分含有量は、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、27重量%以下、または25重量%以下であり得、または1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、4.5重量%以上、5重量%以上、または7重量%以上であり得、具体的にはアルロース固形分含有量は、前記上限と下限の組み合わせにより適切な数値範囲に設定することができる。このような糖類組成により、アルロースを含有する糖類および油脂を含む液状乳化組成物を粉末化することができる。例えば、低糖水飴とアルロースの合計固形分含有量100重量%を基準として、アルロースは、1重量%以上~50重量%未満、1~45重量%、1~40重量%、1~35重量%、1~30重量%、1~27重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~16重量%、3~50重量%、3~45重量%、3~40重量%、3~35重量%、3~30重量%、3~27重量%、3~25重量%、3~20重量%、3~16重量%、5~50重量%、5~45重量%、5~40重量%、5~35重量%、5~30重量%、5~27重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~16重量%、7~50重量%、7~45重量%、7~40重量%、7~35重量%、7~30重量%、7~27重量%、または7~25重量%、7~20重量%、7~16重量%、8~50重量%、8~45重量%、8~40重量%、8~35重量%、8~30重量%、8~27重量%、8~25重量%、8~20重量%、8~16重量%、10~50重量%、10~45重量%、10~40重量%、10~35重量%、10~30重量%、10~27重量%、10~25重量%、10~20重量%、10~16重量%、15~50重量%、15~40重量%、15~35重量%、15~30重量%、15~27重量%、15~25重量%、15~20重量%で含まれ得る。前記低糖水飴は、低糖水飴とアルロースの合計固形分含有量100重量%を基準として、50~99重量%、55~99重量%、60~99重量%、65~99重量%、70~99重量%、75~99重量%、80~99重量%、50~97重量%、55~97重量%、60~97重量%、65~97重量%、70~97重量%、75~97重量%、80~99重量%、50~95重量%、55~95重量%、60~95重量%、65~95重量%、70~95重量%、75~95重量%、80~95重量%、50~93重量%、55~93重量%、60~93重量%、65~93重量%、70~93重量%、または75~93重量%、80~93重量%を含み得、例えば前記アルロース含有量の残量を含むことができる。
【0045】
本発明による乳化組成物は、アルロース単独または他の糖類と混合して従来のカロリーの高い糖類、例えば水飴の全部または一部の代わりになることができ、低カロリー乳化組成物であり得る。本発明の粉末乳化組成物の製造のための液状試料は、100mL当たりカロリーの上限値が470kcal以下、465kcal以下、460kcal以下または455kcal以下であり得、またはカロリーの下限値が50kcal以上、100kcal以上または150kcal以上であるか、前記上限値と下限値の組み合わせた範囲であり得る。
【0046】
本発明の一例で、前記乳化組成物は、高甘味度甘味料および砂糖からなる群より選ばれた1種以上が前記液状試料にさらに含まれるものであり得る。前記添加される甘味素材の含有量は、素材それぞれの砂糖に対して甘味度を考慮して適切な含有量で含み得、例えば乳化組成物100重量%を基準として0.00001~5重量%の含有量で含まれ得る。
【0047】
本発明による粉末状乳化組成物は、粉末製造用液状試料100重量%を基準として、アルロースと水飴を含む糖類の含量は、35~70重量%、37~70重量%、40~70重量%、41~70重量%、42~70重量%、43~70重量%、44~70重量%、35~65重量%、37~65重量%、40~65重量%、41~65重量%、42~65重量%、43~65重量%、44~65重量%、35~65重量%、35~65重量%、35~60重量%、37~60重量%、40~60重量%、41~60重量%、42~60重量%、43~60重量%、44~60重量%、35~55重量%、37~55重量%、40~55重量%、41~55重量%、42~55重量%、43~55重量%、44~55重量%、35~50重量%、37~50重量%、40~50重量%、41~50重量%、42~50重量%、43~50重量%、または44~50重量%であり得る。
【0048】
本発明による粉末状乳化組成物は、粉末乳化組成物の100重量%を基準として、アルロースと水飴を含む糖類の固形分含有量は、35~70重量%、37~70重量%、40~70重量%、41~70重量%、42~70重量%、43~70重量%、44~70重量%、47~70重量%、50~70重量%、35~65重量%、37~65重量%、40~65重量%、41~65重量%、42~65重量%、43~65重量%、44~65重量%、47~65重量%、50~65重量%、35~65重量%、35~65重量%、35~60重量%、37~60重量%、40~60重量%、41~60重量%、42~60重量%、43~60重量%、44~60重量%、47~60重量%、または50~60重量%であり得る。
【0049】
本発明による粉末状乳化組成物は、粉末乳化組成物の100重量%を基準として、植物性油脂を、25~45重量%、26~45重量%、27~45重量%、28~45重量%、29~45重量%、29.5~45重量%、30~45重量%、33~45重量%、35~45重量%、36~45重量%、37~45重量%、25~40重量%、26~40重量%、27~40重量%、28~40重量%、29~40重量%、29.5~40重量%、30~40重量%、33~40重量%、または35~40重量%、36~40重量%、または37~40重量%を含むことができる。
【0050】
本発明による粉末状乳化組成物は、粉末製造用液状試料100重量%を基準として、植物性油脂を、25~45重量%、26~45重量%、27~45重量%、28~45重量%、29~45重量%、29.5~45重量%、25~40重量%、26~40重量%、27~40重量%、28~40重量%、29~40重量%、29.5~40重量%、25~37重量%、26~37重量%、27~37重量%、28~37重量%、29~37重量%、29.5~37重量%、25~35重量%、26~35重量%、27~35重量%、28~35重量%、29~35重量%、29.5~35重量%、25~33重量%、26~33重量%、27~33重量%、28~33重量%、29~33重量%、または29.5~33重量%を含むことができる。
【0051】
本発明の一例で、粉末製造用液状試料100重量%を基準として、アルロースと水飴を含む糖類を、35~70重量%、植物性油脂を25~45重量%、および乳化剤0.01~10重量%を含むことができる。
【0052】
本発明による粉末状乳化組成物は、固結防止剤をさらに含み得、例えば固結防止剤としてNMD、ポリデキストロース、デキストリンおよびマルトオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上であり得る。本発明による乳化組成物は、品質改良剤としてリン酸塩をさらに含み得、例えばポリリン酸カリウム、第三リン酸カリウムなどを含み、乳化作用、分散作用、および固結防止機能を果たす。
【0053】
前記乳化剤は、粉末製造用液状試料100重量%を基準または粉末乳化組成物の100重量%を基準として、0.01~10重量%、0.01~6.0重量%、0.01~4.0重量%、0.01~2.0重量%、0.01~1.0重量%、0.01~0.5重量%、0.05~10重量%、0.05~6.0重量%、0.05~4.0重量%、0.05~2.0重量%、0.05~1.0重量%、0.05~0.5重量%、0.1~10重量%、0.1~6.0重量%、0.1~4.0重量%、0.1~2.0重量%、0.1~1.0重量%、0.1~0.5重量%、0.2~10重量%、0.2~6.0重量%、0.2~4.0重量%、0.2~2.0重量%、0.2~1.0重量%、0.2~0.5重量%で含まれ得る。
【0054】
前記食用油脂は、植物性油脂または植物性油脂の加工油であり得る。前記植物性油脂は、パーム油、綿実油、オリーブ油、菜種油、ココナッツオイル、大豆油、ヤシ油、ひまわり油、玄米油、米ぬか油、オリーブ油などを含み、1種または2種以上の混合油脂であり得る。前記植物性油脂の硬化油および前記植物性油脂のエステル交換油脂からなる群より選ばれた一つ以上の植物性油脂の加工油であり得るが、特に限定されない。前記植物性油脂の加工油脂は、植物性油脂を分別、水素添加、またはエステル交換などの加工処理を行って得られた加工油脂またはこれらの混合油脂を含む。例えば、前記植物性油脂に化学的処理、例えば水素添加などを行って液状油脂を硬化油形態に製造した植物性油脂の硬化油などを含むことができる。本発明による植物性油脂の硬化油は、パーム核硬化油、ヤシ硬化油およびココナッツ硬化油からなる群より選ばれた1種以上であり得る。一具体例で、好ましい食用油脂は、ヤシ硬化油またはヤシ油を使用することができる。
【0055】
本発明に使用可能な乳化剤は、食品に使用可能な乳化剤であれば特に制限されず、例えば非イオン系乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤などを使用することができ、具体的にはレシチン、グリセリン脂肪酸エステル(例、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル)、およびポリソルベート系乳化剤からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。前記脂肪酸は、炭素数12~20を有する脂肪酸であり得る。
【0056】
前記リン酸塩は、緩衝剤または酸度調整剤として使用することができ、コーヒーの酸度を中和させて風味をよりまろやかにし、低いpHによって牛乳を含むカゼインまたはカゼインナトリウムなどのタンパク質の凝集であるフェザリング現象を防止することができる。リン酸塩としては、メタリン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、ピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどがある。前記クエン酸塩の例は、クエン酸三ナトリウムなどがある。前記リン酸塩は、コーヒーの酸味を緩和させてコーヒーの低いpH、高い水の温度、金属イオンなどによってタンパク質原料として使用されるカゼインナトリウムのような牛乳タンパク質が変性または凝固することを予防するために使用している。
【0057】
本発明による粉末乳化組成物は、食用油脂、低糖水飴、アルロースおよび乳化剤を含む乳化した液を、噴霧乾燥、ドラム乾燥、または熱風乾燥などの通常の乾燥方法によって乾燥して製造したものであり得、好ましくは噴霧乾燥である。
【0058】
前記粉末乳化組成物は、さらに乳化安定剤、乳製品、香料および色素からなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。
【0059】
前記噴霧乾燥は、前記液状試料のガラス転移温度より低い温度で行われるべきであり、例えば[液状試料のTg-5℃]以下の温度、好ましくは[液状試料のTg-3℃]以下の温度で行われ得る。また、前記噴霧乾燥温度の上限は100℃であり得る。噴霧乾燥温度は、具体的な例として、本発明による噴霧乾燥は75~100℃、好ましくは85~98℃の温度条件で行われることができる。前記噴霧乾燥温度は、噴霧乾燥器内部の温度または出口空気の温度であり得る。前記噴霧乾燥温度は、前記噴霧乾燥器に注入される熱風温度と液状試料の投入速度を調節して好ましい範囲に設定することができる。前記噴霧乾燥器に注入される熱風温度は、前記噴霧乾燥温度条件を満たすように適切に調節することができ、例えば130~170℃の温度範囲であり得る。前記噴霧乾燥のために注入される液状試料の投入速度は、5~50mL/min、例えば5~10mL/minであり得る。
【0060】
本発明による噴霧乾燥は、噴霧する液状試料を多様な噴霧手段、例えばディスクまたはノズルなどで噴霧し、乾燥器の内部で熱風を吹いて乾燥することができる。前記噴霧乾燥器のatomizerの例としては、two-fluid nozzle、pressure nozzle、Rotary atomizerなどがある。
【0061】
前記噴霧乾燥のための液状試料は、本発明で粉末化のための原料液状試料の固形分含有量は、30~80重量%、30~70重量%(またはブリックス)、45~60重量%、45~58重量%、45~57重量%、または45~55重量%であり得る。
【0062】
本発明の一例は、前記粉末状乳化組成物を含む食品、食品添加剤、飲料または飲料添加剤に関するものである。前記食品または食品添加剤はマーガリン、コーヒー用クリーマーなどを含む。
【0063】
本発明による粉末乳化組成物は、コーヒー用クリーマーであり得、選択的に乳製品を含み得、全体乳化組成物の固形分重量を基準として3~20重量部、好ましくは3~15重量部で含まれ得る。粉末乳製品の種類には、粉末乳クリーム(粉末生クリーム)、粉末バター、粉末加工バター、脱脂粉乳、全脂粉乳、カゼインナトリウムなどを使用することができ、好ましくは粉末乳クリーム(粉末生クリーム)またはカゼインナトリウムであり得る。粉末乳製品の種類には粉末乳クリーム(粉末生クリーム)、粉末バター、粉末加工バター、脱脂粉乳、全脂粉乳などを含むことができる。
【0064】
本発明による粉末乳化組成物は、選択的にカゼイン塩を含み得、カゼイン塩は例えば、カゼインナトリウムであり得る。カゼインは牛乳タンパク質の一種として、カゼインは食品用でコーヒークリーマーおよび加工油類食品、アイスクリームミックス、トッピング(topping)などに使用されているが、沈殿した形態のカゼインを再び水和させて食品に使用するためにはカルシウムカゼイネート(Calcium caseinate)、ソディウムカゼイネートまたはカゼインナトリウム(Sodium caseinate)形態の塩に転換して使用する場合が多い。カゼインまたはそのナトリウム塩は、乳化機能と乳化安定化機能を有するだけでなく、食品に牛乳風味を提供する機能を果たす。
【0065】
前記食用油脂、乳化剤および乳化安定剤は、本発明による粉末状乳化組成物が使用される上述した乳化剤および乳化安定剤をすべて使用することができ、前記説明したとおりである。
【0066】
本発明によるコーヒー用クリーマーは、乳製品をさらに含み得、乳製品については上述したとおりである。本発明による一例としてコーヒー用クリーマーにカゼインナトリウムが含まれる場合、全体乳化組成物100重量%を基準として、カゼインナトリウム0.1~10重量%、例えば0.5~8重量%を含むことができる。
【0067】
本発明の一例によるコーヒークリーマーは、さらにソディウムシリコアルミネート、およびリン酸塩からなる群より選ばれた化合物を含むことができる。
【0068】
本発明による一例としてコーヒー用クリーマーにリン酸塩が含まれる場合、全体乳化組成物100重量%基準としてリン酸塩1~5重量%を含むことができる。カゼインナトリウムは乳製品または牛乳と類似の風味を出すための風味補助剤であり得る。また、タンパク質の原料としてよりよくホイッピングが行われ、物性を維持するようにする機能を果たす。前記リン酸塩としては、メタリン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、ピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどがある。前記ポリリン酸カリウムは、食品添加物公典にはトリポリリン酸カリウムとも記載されている。
【0069】
本発明の粉末状乳化組成物、例えば粉末コーヒークリーマー組成物は、食用油脂、糖類および乳化剤を含む液状試料を乾燥、例えば噴霧乾燥を行って得られることができる。本発明の一例で、前記粉末乳化組成物は噴霧乾燥物として、アルロースおよび粉末化助剤を含む液状試料を噴霧乾燥した噴霧乾燥物であり得る。より詳しくは、本発明による粉末状乳化組成物の製造方法は、食用油脂、糖類および乳化剤を含む液状試料を製造して、前記液状試料を噴霧乾燥して粉末乳化組成物を製造する工程を含むことができる。
【0070】
本発明による粉末乳化組成物の製造方法で、アルロース、食用油脂、および乳化剤に関する記載は上述したとおりである。
【0071】
本発明のまた他の一例による乳化食品組成物は、植物性油脂、糖類および乳化剤を含み、前記糖類は、アルロースを含む液状乳化組成物に関するものである。本発明による液状乳化組成物に使用される植物性油脂、アルロース、乳化剤、および糖類は、前記粉末乳化組成物で詳しく説明した内容を適用することができる。
【0072】
本発明の一例による乳化組成物は、アルロースを含んで従来の水飴に比べて糖類を低減しながらも、従来の水飴と同等な水準の粘度を達成することができる。前記アルロースは、水飴の全部または一部を代えた乳化組成物を製造することができる。
【0073】
本発明による液状乳化組成物は、アルロース単独または他の糖類と混合して従来のカロリーの高い糖類、例えば水飴の全部または一部の代わりになることができ、低カロリー乳化組成物であり得る。本発明による液状乳化組成物は、100mL当たりカロリーの上限値が470kcal以下、465kcal以下、460kcal以下、455kcal以下、450kcal以下、445kcal以下、440kcal以下、435kcal以下、430kcal以下、425kcal以下、または420kcal以下であり得、またはカロリーの下限値が50kcal以上、100kcal以上または150kcal以上であるか、前記上限値と下限値の組み合わせた範囲であり得る。
【0074】
本発明の一例による液状乳化組成物の溶解速度は、アルロースを含まず、DE値が20~25である低糖水飴を同量で含む乳化組成物の水に対する溶解速度の1倍超~10倍、1倍超~9倍、1倍超~8倍、1倍超~7倍、1倍超~6倍、1倍超~5倍、1倍超~4倍、1倍超~3倍、1倍超~2倍、1倍超~1.8倍、1.05~10倍、1.05~9倍、1.05~8倍、1.05~7倍、1.05~6倍、1.05~5倍、1.05~4倍、1.05~3倍、1.05~2倍、または1.05~1.8倍であり得る。
【0075】
本発明の一例による液状乳化組成物の溶解速度は、アルロースを含まず、DE値が20~25である低糖水飴を含む乳化組成物(対照群)の水に対する溶解速度の100%超、105%以上、109%以上、110%以上、120%以上、125%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、または170%以上であり得る。この時、前記溶解速度の上限値は、1000%以下、900%以下、800%以下、700%以下、600%以下、500%以下、400%以下、300%以下、200%以下、190%以下、または180%以下であり得る。
【0076】
前記溶解速度は、アルロースを含む乳化組成物またはアルロースを含まず、DE値が20~25である低糖水飴を含む乳化組成物(対照群)に対する温度が95℃以上、例えば95~98℃での溶解速度をいい、具体的には、アルロースを含む乳化組成物またはアルロースを含まず、DE値が20~25である低糖水飴を含む乳化組成物(対照群)15g量が温度95℃以上、例えば95~98℃で水100mLに溶解し、前記溶解物50g試料を採取して4000rpmで10分間遠心分離後に得られた沈殿物の重量(g)を測定し、前記溶解物試料50gを前記測定された沈殿物の重量で除してパーセント数値で表示したものであり得る。すなわち、沈殿物の重量が小さいほど、乳化組成物の溶解度が高いことを意味する。
【0077】
本発明による乳化食品組成物に含まれた糖類は、アルロース単独またはアルロースと水飴を共に含み得、前記水飴は、イオン水飴、麦芽水飴またはDE値が比較的低い低糖水飴であり得る。前記水飴は、DE値が30以下、または25以下、例えばDE20~25またはDE20~25である低糖水飴であり得る。低糖水飴は、DE20~25の水飴でブドウ糖固形分含有量が5~10重量%または5~7重量%であり、甘味が低い水飴である。
【0078】
本発明の液状乳化組成物は、アルロース以外の単糖類、二糖類、糖アルコール類、食物繊維類およびオリゴ糖類からなる群より選ばれた1種以上の糖類をさらに含むことができる。または前記組成物は、澱粉分解物、例えばデキストリン、マルトデキストリン、イソマルトデキストリンなどより選ばれた1種以上をさらに含むことができる。例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖(または結晶果糖)、タガトース、キシロース、グレインシロップ、蜂蜜、水飴、イソマルトオリゴ糖およびフラクトオリゴ糖からなる群より選ばれた1以上の糖類をさらに含むことができる。
【0079】
本発明の一例で、前記液状乳化組成物は、甘味度調節のために前記高甘味度甘味料を含み得、含有量は、素材それぞれの砂糖に対して甘味度を考慮して適切な含有量で含み得、例えば乳化組成物100重量%基準として0.00001~5重量%の含有量で含まれ得る。
【0080】
本発明による液状乳化組成物は、液状乳化組成物100重量%を基準として、前記糖類を、35~70重量%、37~70重量%、40~70重量%、41~70重量%、42~70重量%、43~70重量%、44~70重量%、35~65重量%、37~65重量%、40~65重量%、41~65重量%、42~65重量%、43~65重量%、44~65重量%、35~60重量%、37~60重量%、40~60重量%、41~60重量%、42~60重量%、43~60重量%、44~60重量%、35~55重量%、37~55重量%、40~55重量%、41~55重量%、42~55重量%、43~55重量%、44~55重量%、35~50重量%、37~50重量%、40~50重量%、41~50重量%、42~50重量%、43~50重量%、または44~50重量%であり得る。
【0081】
本発明による液状乳化組成物に含まれた糖類がアルロース単独である場合、前記糖類含有量はアルロースの含有量であり得、糖類にアルロースに加えて追加の第2糖類を含む場合はアルロースと追加糖類の合計含有量であり得る。例えば、本発明による液状乳化組成物に含まれた糖類には水飴は含まないかまたはアルロースと水飴を共に含むことができる。
【0082】
前記糖類は、アルロースと水飴は全体糖類の含有量の範囲で適切に混合できるが、糖類低減、物性および官能的変化を考慮して、アルロースと水飴の固形分混合重量比は、アルロース、アルロースと水飴の合計重量100を基準として、アルロースは、0.1~99.9であり、水飴は0.1~99.9であり得、糖類低減の目的を考慮すれば、好ましくはアルロースの固形分混合重量比を増加させ、かつ水飴を軽減することができ、例えばアルロースの固形分混合重量比は、10~99.9、15~99.9、20~99.9、25~99.9、30~99.9、35~99.9、40~99.9、45~99.9、50~99.9、55~99.9、60~99.9、65~99.9、70~99.9、75~99.9、80~99.9または85~99.9であり得るが、これに限定されない。
【0083】
本発明による乳化組成物は、液状乳化組成物100重量%を基準として、植物性油脂を、23~45重量%、24~45重量%、25~45重量%、26~45重量%、27~45重量%、28~45重量%、29~45重量%、29.5~45重量%、23~40重量%、24~40重量%、25~40重量%、26~40重量%、27~40重量%、28~40重量%、29~40重量%、29.5~40重量%、23~37重量%、24~37重量%、25~37重量%、26~37重量%、27~37重量%、28~37重量%、29~37重量%、29.5~37重量%、23~35重量%、24~35重量%、25~35重量%、26~35重量%、27~35重量%、28~35重量%、29~35重量%、29.5~35重量%、23~35重量%、24~35重量%、25~35重量%、26~35重量%、27~35重量%、28~35重量%、29~35重量%、または29.5~35重量%を含むことができる。
【0084】
本発明による乳化組成物に適用可能なアルロースは、シロップまたは粉末形態で添加されて製造されるものであり得、アルロースとしては、噴霧乾燥粉末、結晶形粉末などを使用することができる。前記アルロース粉末を使用する場合、別の溶媒、例えば水に溶解したものまたは直接粉末を添加して液状乳化組成物を製造することができる。
【0085】
前記アルロースの含有量は、液状乳化組成物、好ましくは液状乳化組成物の甘味程度および官能特性に適した含有量で添加することができ、乳化組成物の含有量100重量%を基準として、アルロースの固形分含有量は、液状乳化組成物に含まれた糖類がアルロース単独である場合、35~70重量%、37~70重量%、40~70重量%、41~70重量%、42~70重量%、43~70重量%、44~70重量%、35~65重量%、37~65重量%、40~65重量%、41~65重量%、42~65重量%、43~65重量%、44~65重量%、35~60重量%、37~60重量%、40~60重量%、41~60重量%、42~60重量%、43~60重量%、44~60重量%、35~55重量%、37~55重量%、40~55重量%、41~55重量%、42~55重量%、43~55重量%、44~55重量%、35~50重量%、37~50重量%、40~50重量%、41~50重量%、42~50重量%、43~50重量%、または44~50重量%であり得る。
【0086】
本発明の乳化組成物に含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であり得る。前記アルロースシロップは、アルロースを用いて多様な濃度で製造した溶液であり得る。例えば、前記アルロースシロップ内の固形分アルロースが、アルロースシロップ重量100%を基準として、10~100重量%で含み得、好ましくは70~99.99重量%、さらに好ましくは90~99.99重量%で混合して製造されることができる。前記アルロース粉末を使用する場合、アルロース粉末固形分は、全体組成物粉末、例えば純度90%以上のアルロース、例えばアルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%で含むアルロース粉末を使用することができる。
【0087】
前記アルロースシロップは、液状としてアルロース5重量%以上または10重量%以上で含むアルロース-含有シロップであり得、例えば、前記アルロース-含有シロップは、アルロース5~99.9重量%、5~97重量%、5~95重量%、5~93重量%、5~90重量%、5~85重量%、5~80重量%、5~50重量%、5~30重量%、6.5~99.9重量%、6.5~97重量%、6.5~95重量%、6.5~93重量%、6.5~90重量%、6.5~85重量%、6.5~80重量%、6.5~50重量%、6.5~30重量%、9~99.9重量%、9~97重量%、9~95重量%、9~93重量%、9~90重量%、9~85重量%、9~80重量%、9~50重量%、9~30重量%、9~25重量%、9~20重量%、50~99.9重量%、50~97重量%、50~95重量%、50~93重量%、50~90重量%、50~85重量%、50~80重量%、70~99.9重量%、70~97重量%、70~95重量%、70~93重量%、70~90重量%、70~85重量%、70~80重量%、80~99.9重量%、80~97重量%、80~95重量%、80~93重量%、80~90重量%、80~85重量%、90~99.9重量%、90~97重量%、90~95重量%、90~93重量%、93~99.9重量%、93~97重量%、93~95重量%、95~99.9重量%、または95~97重量%であり得る。
【0088】
前記液状アルロースは、pHが4~6範囲であり得、乳化組成物に添加する場合には酸性条件のエマルジョンが得られる。前記アルロースは、アルロース単独または追加の他の糖類を含む混合糖であり得、混合糖の例は、全体混合糖の固形分含有量100重量%を基準として1~99.9重量%のアルロースを含有することができ、さらに果糖およびブドウ糖からなる群より選ばれた1種以上をさらに含むことができる。アルロース混合糖が果糖および/またはブドウ糖を含む場合、前記混合糖は果糖1~90重量%および/またはブドウ糖1~50重量%を含むことができる。
【0089】
前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含有量100重量部を基準として、アルロース5~95重量部、果糖1~50重量部およびブドウ糖1~55重量部、およびオリゴ糖1~10重量部を含むものであり得、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は好ましくは全部D型-異性体である。
【0090】
本発明の一例による乳化組成物は、糖類および乳化剤を含むことができる。例えば、コーヒー用クリーマー製造のための組成物は、コーヒー用クリーマー組成物100重量%を基準として、食用油脂としてヤシ硬化油25~45重量%、糖類含有量35~70重量%、および乳化剤0.1~10重量%を含むことができる。
【0091】
本発明による液状乳化組成物の固形分含有量は、30~80重量%、30~70重量%(またはブリックス)、45~60重量%、または45~55重量%であり得る。前記得られた液状乳化物に精製水を添加して固形分含有量を調節することができ、本明細書で液状乳化組成物は、特に言及されない限り、固形分含有量の調節のための水を添加する前の液状乳化物に関するものである。
【0092】
本発明による一例として、乳化組成物、例えばコーヒー用クリーマーに含まれる食用油脂は、植物性油脂または植物性油脂の加工油であり得る。前記植物性油脂は、パーム油、綿実油、オリーブ油、菜種油、ココナッツオイル、大豆油、ヤシ油、ひまわり油、米油、米ぬか油、オリーブ油などを含み、1種または2種以上の混合油脂であり得る。前記植物性油脂の硬化油および前記植物性油脂のエステル交換油脂からなる群より選ばれた一つ以上の植物性油脂の加工油であり得るが、特に限定されない。前記植物性油脂の加工油脂は、植物性油脂を分別、水素添加、またはエステル交換などの加工処理を行って得られた加工油脂またはこれらの混合油脂を含む。例えば、前記植物性油脂に化学的処理、例えば水素添加などを行って液状油脂を硬化油形態で製造した植物性油脂の硬化油などを含むことができる。本発明による植物性油脂の硬化油は、パーム核硬化油、ヤシ硬化油およびココナッツ硬化油からなる群より選ばれた1種以上であり得る。一具体例で、好ましい食用油脂は、ヤシ硬化油またはヤシ油を使用することができる。
【0093】
本発明による乳化食品組成物は、乳化剤を含み得、本発明に使用可能な乳化剤は、食品に使用可能な乳化剤であれば特に制限されず、例えば非イオン系乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤などを使用することができ、具体的にはレシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル、およびポリソルベート系乳化剤からなる群より選ばれた1種以上を含むことができる。前記脂肪酸は炭素数12~20を有する脂肪酸であり得る。
【0094】
前記乳化安定剤は、セルロースガム、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、トラガカントゴム、カラヤガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギン酸、ジェランガム、ペクチン(pectin)、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸-脂肪酸エステル、グリセリン乳酸-脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸-脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸-脂肪酸エステル、グリセリンアセチル酒石酸-脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、レシチン、サポニン、カラギーナン、グアーガム、およびカゼインナトリウムからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0095】
本発明による一例として、乳化組成物、例えばコーヒー用クリーマーにカゼインナトリウムが含まれる場合、全体乳化組成物100重量%を基準として、カゼインナトリウム0.1~5重量%、例えば0.5~8重量%を含むことができる。カゼインナトリウムは、乳製品または牛乳と類似の風味を出すための風味補助剤として見ることができる。また、タンパク質の原料としてよりよくホイッピングが行われ、物性を維持するようにする機能を果たす。
【0096】
前記リン酸塩は、緩衝剤または酸度調整剤として使用することができ、コーヒーの酸度を中和させて風味をよりまろやかにして低いpHによって牛乳を含むカゼインまたはカゼインナトリウムなどのタンパク質の凝集であるフェザリング現象を防止することができる。リン酸塩としては、メタリン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、ピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどがある。前記クエン酸塩の例は、クエン酸三ナトリウムなどがある。前記リン酸塩は、コーヒーの酸味を緩和させてコーヒーの低いpH、高い水の温度、金属イオンなどによってタンパク質原料として使用されるカゼインナトリウムのような牛乳タンパク質が変性または凝固することを予防するために使用する。前記リン酸塩は、コーヒーの酸味を緩和させてコーヒーの低いpH、高い水の温度、金属イオンなどによってタンパク質原料として使用されるカゼインナトリウムのような牛乳タンパク質が変性または凝固することを予防するために使用している。
【0097】
本発明による乳化組成物は、選択的にカゼイン塩を含み得、カゼイン塩は例えば、カゼインナトリウムであり得る。カゼインは牛乳タンパク質の一種であり、カゼインは食品用としてコーヒークリーマーおよび加工油類食品、アイスクリームミックス、トッピング(topping)などに使用されているが、沈殿した形態のカゼインを再び水和させて食品に使用するためには、カルシウムカゼイネート(Calcium caseinate)、ソジウムカゼイネートまたはカゼインナトリウム(Sodium caseinate)形態の塩に転換して使用する場合が多い。カゼインまたはそのナトリウム塩は乳化機能と乳化安定化機能を有するだけでなく、食品に牛乳風味を提供する機能を果たす。
【0098】
本発明のまた他の一例によるアルロースを含む乳化組成物は、乳化ソース組成物に関するものであって、より詳細には、本発明は乳化ソース組成物に関するものであり、より詳しくは食用油脂、アルロース、卵黄および糖類を含む水中油型乳化ソース組成物に関するものである。
【0099】
本発明による乳化ソース組成物に使用される植物性油脂、アルロース、乳化剤、および糖類は、前記粉末乳化組成物で詳しく説明した内容を適用することができる。
【0100】
本発明の一例による乳化ソース組成物は、製造直後の25℃温度で測定した粘度は45,000cp~250,000cpであり得る。
【0101】
また、前記乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、アルロースの固形分含有量(A)は0.5~15重量%であり、液状卵黄の含有量(B)が1.4重量%~10重量%であり、前記アルロース固形分含有量と液状卵黄の含有量の比率(A/B)は0.3~2.5、または0.35~1.5である条件を満たすものであり得る。
【0102】
本発明による乳化ソース組成物は、アルロースを使用することにより卵黄の含有量を減少させることでコレステロール含有量が少なく、かつ乳化安定性および粘度などは同等な水準を達成することができ、特に粘度が多少低いため単独ソースとして使用するのに便宜性があるが、他のソースと混合して多様なソース製造のための原料として使用できる長所がある。また、マヨネーズは食酢によって製造時にpHが低くなるが、このような低いpH条件では乳化安定性を損なわずマヨネーズの酸化など物性を阻害する問題があるが、アルロースを使用することによって酸性pH条件で乳化安定性が低下し、また、乳化安定性を補完するために乳化安定剤を使用しているが、これらの乳化安定化剤はほぼ合成物であるため、使用しないことがより好ましい。そのため、本発明による乳化ソース組成物では、アルロースを使用して酸性pH条件で乳化安定性が低下する問題と必須として使用する乳化安定剤を使用しないかまたは含有量を減少させ得る長所がある。
【0103】
マヨネーズは、通常、卵黄に食用油脂を添加して副材料として食酢、塩、砂糖およびその他調味料を添加して製造した半固体の乳化物として水相中に微細な油粒子が乳化して存在する水中油型乳化物である。マヨネーズは貯蔵期間中に物理化学的変化が起きるが、代表的な化学変化としては油脂の酸化が挙げられ、物理的な変化としては粘度変化、油水分離現象などが挙げられる。
【0104】
本明細書で「糖類低減」という用語は、特に明記しない限り、過剰摂取時に肥満、糖尿、心血管系疾患、その他各種成人病の発生危険性を高めると知られているブドウ糖、果糖、ショ糖など単糖類および二糖類の含有量が低くなることを意味し、前記「糖類」にはアルロースなどの希少糖は含まれない。本発明による乳化ソース組成物は、従来の水飴を含む乳化ソース組成物に比べてカロリーが低いものである。
【0105】
従来、砂糖を単独で使用した場合の粘度は適切に調節できるが、乳化所用時間およびオイル分離量の側面から適切でない。アルロースを使用する場合、砂糖に比べて粘度が多少低く、乳化の進行が早く、乳化にかかる時間が短縮できるため有利である。また、乳化ソース組成物のオイル分離度は砂糖に比べて分離されるオイル量が少なく、乳化安定性が向上する。
【0106】
本発明による乳化ソース組成物は、食酢を使用するので酸性条件であり、例えば乳化ソース組成物の製造直後に測定したpH条件が、pH4.0~6.5、pH4.0~6.3pH、pH4.0~6.0、pH4.0~5.7、pH4.0~5.5、pH4.5~6.5、pH4.5~6.3pH、pH4.5~6.0、pH4.5~5.7、またはpH4.5~5.5であり得る。
【0107】
本発明による乳化ソース組成物は、製造直後に25℃温度で測定した粘度が、45,000cp~300,000cp、45,000cp~290,000cp、45,000cp~280,000cp、45,000cp~270,000cp、45,000cp~260,000cp、45,000cp~250,000cp、45,000cp~240,000cp、45,000cp~230,000cp、50,000cp~300,000cp、50,000cp~290,000cp、50,000cp~280,000cp、50,000cp~270,000cp、50,000cp~260,000cp、50,000cp~250,000cp、50,000cp~240,000cp、50,000cp~230,000cp、70,000cp~300,000cp、70,000cp~290,000cp、70,000cp~280,000cp、70,000cp~270,000cp、70,000cp~260,000cp、70,000cp~250,000cp、70,000cp~240,000cp、70,000cp~230,000cp、90,000cp~300,000cp、90,000cp~290,000cp、90,000cp~280,000cp、90,000cp~270,000cp、90,000cp~260,000cp、90,000cp~250,000cp、90,000cp~240,000cp、または90,000cp~230,000cpであり得る。前記粘度単位は、cp(センチポアズ)またはcpsで表記することができ、同じ意味である。
【0108】
本発明による乳化ソース組成物は、アルロースを含まず、卵黄液含有量が13.6%である乳化ソース組成物の乳化所要時間(分)は100%を基準としたとき、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、77%以下または76%以下の有効所要時間を有するものであり得る。本発明により乳化ソース組成物の製造にアルロースを使用する場合、砂糖より乳化が早く進行され、乳化にかかる時間が短縮されることを確認した。このような乳化組成物の乳化所要時間は産業的規模で製品を生産する場合、生産収率および工程所要時間に影響を及ぼす要素として作用する。
【0109】
本発明による乳化ソース組成物は、-20℃と25℃温度条件を12時間間隔で交互に繰り返して48時間経過後に分離された食用油脂の重量が、乳化ソース組成物100重量%を基準として1重量%未満のものであり得る。
【0110】
本発明による乳化ソース組成物は、食用油脂、食酢、アルロース、卵黄および水を含む水中油型(oil in water)乳化ソース組成物に関するものであり、特定含有量のアルロースおよび卵黄を含み、前記アルロース固形分含有量(A)と液状卵黄(B)の含有量の比率(A/B)は、0.3~2.5、または0.35~1.5である条件を満たすものであり得る。本発明による乳化ソース組成物に含まれたアルロースと卵黄液は、前記アルロース固形分含有量(A)と液状卵黄(B)の含有量の比率(A/B)が、0.3~2.5、または0.35~1.5である条件を満たすと共に、乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、アルロースの固形分含有量が0.5~15重量%であり、液状卵黄の含有量が1.4重量%~10重量%を満たすものである。
【0111】
本発明のまた他の例で、本発明による乳化ソース組成物に含まれたアルロースと液状卵黄の合計含有量は、乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、4~25重量%、4~20重量%、4~15重量%、4~13重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~13重量%、6~25重量%、6~20重量%、6~15重量%、6~13重量%、7~25重量%、7~20重量%、7~15重量%、7~13重量%、8~25重量%、8~20重量%、8~15重量%、8~13重量%、9~25重量%、9~20重量%、9~15重量%、または9~13重量%であり得、前記アルロースと液状卵黄の合計含有量に含まれた卵黄含有量は、乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、1.4重量%以上、アルロース含有量は、0.5重量%以上、1.5重量%以上、2.0重量%以上、2.5重量%以上、3.0重量%以上、または3.5重量%以上であり得る。前記アルロースと液状卵黄の合計含有量に含まれた卵黄含有量の減少分は、アルロース含有量の増量により乳化安定性および乳化時間の減少を達成することができる。
【0112】
本発明による乳化型ソース組成物には卵黄を含み、前記卵黄は液状、粉末または全卵形態で添加されることもできる。本発明の卵黄は卵の卵黄である。卵黄の含有量は需要者の好みに応じて適宜選択できるが、卵黄液の含有量は前記数式1の条件を満たし、さらに乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、1.4重量%~15重量%、1.4~12重量%、1.4~10重量%、1.4~9.5重量%、1.4~8.5重量%、1.4~7重量%、1.4~6.5重量%、1.4~6.0重量%、1.4~5.5重量%、1.4~5.0重量%、1.4~4.5重量%、2.5重量%~15重量%、2.5~12重量%、2.5~10重量%、2.5~9.5重量%、2.5~8.5重量%、2.5~7重量%、2.5~6.5重量%、2.5~6.0重量%、2.5~5.5重量%、2.5~5.0重量%、2.5~4.5重量%、3.0重量%~15重量%、3.0~12重量%、3.0~10重量%、3.0~9.5重量%、3.0~8.5重量%、3.0~7重量%、3.0~6.5重量%、3.0~6.0重量%、3.0~5.5重量%、3.0~5.0重量%、または3.0~4.5重量%であり得る。前記卵黄の含有量は、乳化安定性、味、コレステロールなどを考慮して選択することができる。本発明の好ましい一例で、卵黄の含有量を減少することが好ましく、卵黄の含有量が減少することにより乳化安定性が減少するのは、アルロース添加および適した含有量の設定により解決しようとする。
【0113】
本発明による乳化ソース組成物に含まれたアルロースは、前記数式1の条件を満たすと共に、乳化ソース組成物の全体含有量100重量%を基準として、アルロースの固形分含有量が、0.5~15重量%、1.0~15重量%、1.5~15重量%、2.0~15重量%、2.5~15重量%、3.0~15重量%、または3.2~15重量%であり得る。このようなアルロース含有量は、ソース組成物の流れ性および粘度による消費者の使用便宜性、乳化所要時間、乳化安定性などを考慮して適切な範囲に選定することができる。
【0114】
本発明の乳化ソース組成物に含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であり得る。前記アルロースシロップは、アルロースを用いて多様な濃度で製造した溶液であり得る。例えば、前記アルロースシロップ内のアルロースは、アルロースシロップ重量100%を基準として、10~100重量%で含むことができる。
【0115】
前記アルロースシロップは、液状としてアルロース5重量%以上または10重量%以上で含むアルロース-含有シロップであり得、例えば前記アルロース-含有シロップは、アルロース5~99.9重量%、5~97重量%、5~95重量%、5~93重量%、5~90重量%、5~85重量%、5~80重量%、5~50重量%、5~30重量%、6.5~99.9重量%、6.5~97重量%、6.5~95重量%、6.5~93重量%、6.5~90重量%、6.5~85重量%、6.5~80重量%、6.5~50重量%、6.5~30重量%、9~99.9重量%、9~97重量%、9~95重量%、9~93重量%、9~90重量%、9~85重量%、9~80重量%、9~50重量%、9~30重量%、9~25重量%、9~20重量%、50~99.9重量%、50~97重量%、50~95重量%、50~93重量%、50~90重量%、50~85重量%、50~80重量%、70~99.9重量%、70~97重量%、70~95重量%、70~93重量%、70~90重量%、70~85重量%、70~80重量%、80~99.9重量%、80~97重量%、80~95重量%、80~93重量%、80~90重量%、80~85重量%、90~99.9重量%、90~97重量%、90~95重量%、90~93重量%、93~99.9重量%、93~97重量%、93~95重量%、95~99.9重量%、または95~97重量%であり得る。前記アルロース粉末を使用する場合、アルロース粉末固形分は、全体組成物粉末、例えば純度90%以上のアルロース、例えばアルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%で含むアルロース粉末を使用することができる。
【0116】
前記液状アルロースは、pHが4~6または4.0~5.5範囲であり得、エマルジョン組成物に添加する場合に酸性条件のエマルジョンが得られ得る。前記アルロースは、アルロース単独または追加の他の糖類を含む混合糖であり得、混合糖の例は全体混合糖の固形分含有量100重量%を基準として1~99.9重量%のアルロースを含有することができ、さらに果糖およびブドウ糖からなる群より選ばれた1種以上をさらに含むことができる。アルロース混合糖が果糖および/またはブドウ糖を含む場合、前記混合糖は、果糖1~90重量%および/またはブドウ糖1~50重量%を含むことができる。
【0117】
前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含有量100重量部を基準として、アルロース5~95重量部、果糖1~50重量部およびブドウ糖1~55重量部、およびオリゴ糖1~10重量部を含むものであり得、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくは全部D型-異性体である。
【0118】
本発明による乳化ソース組成物、例えばマヨネーズに含まれる植物性油脂は、パーム油、綿実油、オリーブ油、菜種油、ココナッツオイル、大豆油、ヤシ油、ひまわり油、米油、米ぬか油、オリーブ油などを含み、1種または2種以上の混合油脂であり得るが、これに制限されるものではない。
【0119】
前記食用油脂は、前記植物性油脂の硬化油および前記油脂のエステル交換油脂からなる群より選ばれた一つ以上の油脂の加工油であり得るが、特に限定されない。前記植物性油脂の加工油脂は、植物性油脂を分別、水素添加、またはエステル交換などの加工処理を行って得られた加工油脂またはこれらの混合油脂を含む。例えば、前記植物性油脂に化学的処理、例えば水素添加などを行って液状油脂を硬化油形態で製造した植物性油脂の硬化油などを含むことができる。本発明による植物性油脂の硬化油は、ヤシ硬化油、パーム核硬化油、およびココナッツ硬化油からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0120】
前記油脂は、脂肪代替物質に代えて使用することができる。前記その組成によってタンパク質系脂肪代替物質(protein-based fat substitute)、炭水化物系脂肪代替物質(carbohydrate-based fat substitute)、脂肪系脂肪代替物質(fat-based fat substitute)、および合成系脂肪代替物質(synthetic fat substitute)に分けられる。この中で炭水化物系脂肪代替物質として化学的処置方法によって製造された変性澱粉類が好ましい。
【0121】
本発明の植物性油は、マヨネーズの製造に一般的に用いられる植物性油であれば良く、特に制限されるものではない。例えば本発明の植物性油は、大豆油、とうもろこし油、綿実油、カノーラ油、オリーブ油などであり得る。
【0122】
本発明による乳化ソース組成物のpHは4.5~5.5の範囲であり得、食酢を含むことができる。食酢は分散媒である水相(water phase)を構成して、その含有量がマヨネーズの品質に大きな影響を及ぼす。食酢はマヨネーズ物性とpH条件に適するものであれば、特に種類の制限はなく、例えば穀物酢、果実酢、米酢、米黒酢、大麦黒酢、りんご酢、ぶどう酢などの多様な原料で製造された食酢、および製法によって希釈食酢および醸造食酢、多様な果物の汁(果汁)、例えばゆず果汁、レモン果汁などを含む。食酢は、全体乳化ソース組成物100重量%を基準として、1~10重量%、または1~8重量%などで含み得、乳化ソース組成物の物性とpH条件を考慮して適切に調節することができる。
【0123】
本発明による乳化ソース組成物は、植物性油脂、食酢、卵黄およびアルロース以外に、乳化安定剤、増粘剤、酸度調整剤、塩、香辛料および抗酸化剤からなる群より選ばれた1種以上をさらに含むことができる。
【0124】
本発明による乳化ソース組成物において、少量の増粘剤使用だけでも容易に所定の粘度範囲を達成することが可能であり、前記増粘剤は、ペクチンとキサンタンガムの混合物であり得る。ペクチンのような増粘剤は、原料乳化ソース組成物の温度が高いほど溶解度および分散度が高まる傾向があるが、糖シロップを加熱する場合、加熱による分解および色度変化など好ましくない変化が伴い得るので、本発明の一例では分散剤を使用することによって加熱による糖シロップの好ましくない変化を防止または減少させ得る長所がある。
【0125】
本発明は、植物性油脂、卵黄およびアルロースを混合する工程を含むマヨネーズの製造方法に係るものである。このとき、食酢、塩および砂糖を共に混合してマヨネーズを製造する。また、食酢を植物性油より先に添加する場合、マヨネーズの生成速度を増加させることができ、食酢を植物性油より後に添加する場合、マヨネーズの粘度を増進させることができる。
【0126】
例えば、本発明のマヨネーズは下記の方法により作ることができる。先に、砂糖、食塩、精製水、および卵黄を用意しこれを混合する。これをかき混ぜながら大豆油を少しずつ入れ、大豆油がすべて入ると、食酢を入れて混ぜて本発明のマヨネーズを製造することができる。
【発明の効果】
【0127】
本発明は、糖類および油脂を含み、良好な風味発現性と糖類低減化を達成した乳化食品組成物およびその製造方法に関するものであり、前記乳化食品組成物は食品添加剤、飲料添加剤、食品などに多様に適用することができる。
本発明による粉末状乳化組成物は、製品の品質、例えば粉末状乳化組成物の脂肪酸敗などを遅延させ、吸湿性を低下させて製品の貯蔵安定性を高められる乳化粉末組成物を提供することができる。溶解速度に優れ、液状に溶解して飲用する形態の食品組成物に有用に使用することができる。
本発明によるアルロース含有液状乳化組成物は、良好な風味発現性と糖類低減化を達成し、特に、砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖および乳糖の糖類含有量を低くして滑らかなボディ感を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】本発明の一実施例による粉末乳化組成物製造用液状試料の経時的な乳化安定性を示す写真である。
図2】比較例による粉末乳化組成物製造用液状試料の粉末化工程の適合性を評価するための噴霧乾燥過程における粉末を示す写真である。
図3】本発明の一実施例および比較例による粉末乳化組成物製造用液状試料の噴霧乾燥物の写真である。
図4】本発明の一実施例および比較例による粉末乳化組成物製造用液状試料を噴霧乾燥する工程で得られた産物の写真である。
図5】本発明の一実施例および比較例による粉末乳化組成物製造用液状試料を噴霧乾燥して得られた粉末乳化物をインスタントコーヒー粉末と混合して製造した液状コーヒーの写真を示す。
図6】本発明の一例による乳化組成物の溶解度を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0129】
本発明は下記実施例によりさらに詳しくは説明するが、本発明の範囲を下記実施例に限定する意図ではない。
【0130】
実施例1: 粉末乳化の製造
1-1: 液状原料乳化組成物の製造
乳化エマルジョン組成物の製造のための具体的な成分と各成分の含有量は、下記表1に示す。下記表1に示した含有量により、低糖水飴(DE20~25)に、カゼインナトリウム、第二リン酸カリウムとポリリン酸カリウムを混合して75℃以上の温度条件で攪拌して水相部を製造した。ヤシ硬化油とグリセリン脂肪酸エステルを混合して70℃以上の条件で加熱および混合して油相部を製造した。前記油相部と水相部をホモミキサーで6000rpm以上の条件で5分以上混合して予備乳化をさせた。前記予備乳化を終えた配合物を、均質機を用いて180barで2次高圧乳化して液状乳化物を得た。下記表1は、液状乳化物100重量%を基準として、各成分の含有量を重量%で表示したものである。
【0131】
前記得られた液状乳化物に精製水を添加して45~50ブリックスに調節した噴霧乾燥のための原料液状乳化物を得た。
【0132】
前記得られた原料液状乳化物をメスシリンダに保管して、乳化安定性実験に使用した。また、前記得られた原料液状乳化物を噴霧乾燥に使用した。
【0133】
前記サムヤン社の低糖水飴(DE20~25)は、とうもろこし澱粉1000gを水2500gと混ぜた後、ハイドロヒータにより110℃温度の高温液化反応後、再びハイドロヒータにより130℃~140℃を通過させて液化酵素を失活した。その後、熱交換器を経て温度を61℃温度に下げた後、液化反応で使用した液化酵素a-amylase(ノボザイム社、Liquozyme Supra)を用いてDE20~24まで反応して、活性炭を固形分に対して0.1~0.8重量%を投入して30分以上攪拌させた。その後、フィルタープレスを経て活性炭を除去後、イオン精製、濃縮を経て2000gの低糖水飴を得た。得られた低糖水飴の糖組成を固形分重量%で下記表2に表した。下記表2は、比較例1および比較例2に使用されたイオン水飴と低糖水飴の糖類組成物固形分重量%を示したものである。下記表2で、通常、3糖類~7糖類までの含有量をマルトオリゴ糖含有量で計算することができる。下記表2に記載された「1糖類および2糖類」は、マルトオリゴ糖に含まれたすべての1糖類および2糖類の含有量を表示したものである。
実施例1は低糖水飴とアルロースシロップの混合比を調節し、試料1から試料4にいくほど徐々にアルロース含有量比を増加させて製造したものである。前記低糖水飴としては、75ブリックス、アルロースシロップは70ブリックスおよびアルロース純度95重量%を使用した。具体的には、下記表1の組成で、試料1の水飴固形分含有量(重量%)とアルロースシロップのアルロース含有量(重量%)を含む合計100重量%を基準として、試料1の水飴固形分含有量は92.7w/w%であり、アルロース固形分含有量は7.3w/w%であり、試料2の水飴固形分含有量は84.9w/w%であり、アルロース固形分含有量は15.1w/w%であり、試料3の水飴固形分含有量は76.6w/w%であり、アルロース固形分含有量は23.4w/w%であり、試料4の水飴固形分含有量は58.4w/w%であり、アルロース固形分含有量は41.6w/w%であった。
実施例1の試料1による噴霧乾燥用原料試料は53.6ブリックス、実施例1の試料2による噴霧乾燥用原料試料は53.4ブリックス、実施例1の試料3による噴霧乾燥用原料試料は53.9ブリックスであり、実施例1の試料4による噴霧乾燥用原料試料は53.6ブリックスであった。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
1-2: 粉末乳化の製造
前記実施例1-1で製造した原料試料に対して、噴霧乾燥する過程で粉末化適合性を評価するために噴霧乾燥を行った。
具体的には、前記粉末乾燥の原料である液状試料を、噴霧乾燥器(製造会社:GEA Niro、モデル名:HKC-100-DJ)はTwo-fluid NozzleタイプのAtomizerを用いて噴霧し、熱風の注入(Inlet)温度は130~170℃、噴霧乾燥器の内部および排出口(Outlet)の熱風温度は85~100℃温度が維持される条件で粉末を製造した。製造された対照試料1および試料1-4の粉末乳化物内の各成分の固形分含有量組成比を下記表3に示す。
【0137】
【表3】
【0138】
比較例1: 粉末乳化の製造
比較例1の対照試料として、実施例1と実質的に同様の方法で粉末乳化組成物を製造したが、ただし、実施例1で使用したアルロースを含まず、低糖水飴(DE20~25)を64.85重量%で使用し、低糖水飴の糖組成は前記表2に示し、対照試料の具体的な組成は前記表1に示す。比較例1の原料液状組成物の固形分含有量は、53.1ブリックスであった。
具体的には、前記粉末乾燥の原料である混合溶液を、噴霧乾燥器(製造会社:GEA Niro、モデル名:HKC-100-DJ)はTwo-fluid NozzleタイプのAtomizerを用いて噴霧し、熱風の注入(Inlet)温度は130~170℃、噴霧乾燥器の内部および排出口(Outlet)の熱風温度は85℃~100℃の温度が維持される条件で粉末を製造した。
【0139】
実施例2: 乳化安定性の分析
実施例1および比較例1で得られた乳化製造用原料液状試料の乳化安定性を28時間の間常温放置して評価し、貯蔵時間24時間が経過した後に原料液状試料の写真を図1(実施例1)および図2(比較例1)に示した。具体的には、乳化安定性の評価は一定期間放置後のフィッシュアイ(飲料表面に浮游するエマルジョン化されていない脂肪点)、フェザリング(完全に溶解していない粒子)および油水分分離現象を見つけることにより行った。
図1の実験の結果に示したとおり、粉末状乳化組成物を常温で放置して放置時間によって相分離を測定したものであり、比較例1では使用した乳化剤の含有量を約50%に軽減したにもかかわらず乳化安定性が良くなく、実施例によりアルロースを含む乳化組成物は常温で乳化安定性が同等または若干上昇したことを確認した。
【0140】
実施例3: 粉末乳化の製造特性分析
実施例1および比較例1で製造した乳化製造用原料液状試料を噴霧乾燥する過程で粉末化適合性を評価するために、それぞれ実施例1と同様の方法で噴霧乾燥を行った。
前記噴霧乾燥方式による粉末化工程で、粉末製造のための液状の噴霧乾燥時の機械内部に付着する程度(caking現象)により噴霧乾燥特性を肉眼で分析した。また、実施例1および比較例1で製造した乳化製造用原料液状試料を噴霧乾燥による粉末化過程を示す写真を図3に示した。また、実施例1の試料4と比較例1の対照試料をそれぞれ粉末化工程中の写真を図4に示す。
図3に示すように、低糖水飴を使用した比較例1(対照試料1)と特定組成のアルロースと低糖水飴を混合して使用した場合、アルロース含有量が増加することにより水分蒸発が行われず固結して固まる現象が生じるので、適切な含有量のアルロースを使用することが好ましい。図4に示すように、実施例1の試料4の場合、液状原料乳化試料を噴霧した時、直ちに水分が蒸発できず器壁に積もることが示されており乾燥が不充分で、アルロース含有量が高く、噴霧乾燥自体が難しくまた、固結(caking)が激しくて機械内部にくっつく量が多くて噴霧乾燥がよく行われていないことを確認した。
したがって、アルロースを単独糖類として使用したり、特定含有量以上のアルロースを使用する場合、噴霧乾燥による粉末化が難しく、少なくとも乳化組成物に含まれた糖類のうちアルロース含有量が50%以下になるべきであることを確認した。
【0141】
実施例4: 粉末乳化の色価分析
実施例1および比較例1で製造した乳化粉末を、hunter colorimeterを用いて色価を分析した。具体的には、実施例1および比較例1で製造した乳化粉末に対して、色価評価を繰り返し実行してその平均値を得て表4に示した。
色度は色差計(CM-3500d、Konica Minolta,Osaka,Japan)を用いて測定した。色度分析時、明度を示すL値、赤色度(-)および緑色度(+)を示すa値と黄色度を示すb値を測定し、測定された色度の平均値を計算して下記表4に示した。
【0142】
【表4】
【0143】
前記表4に示す結果のように、噴霧乾燥後に乳化粉末で多少の色価の差異が示され、これはアルロースの褐変効果による影響であると見られるが、コーヒークリーマー用途を考慮すると、使用時に大きな差がない同等な水準であると評価される。
【0144】
実施例5: 乳化組成物のカロリー分析
実施例1の試料1~4および比較例1の試料エマルジョン組成物のカロリーは固形分を基準として算出した。前記算出されたカロリー(kcal/100mL)を表5に示した。
【0145】
【表5】
【0146】
前記表5のカロリー結果に示すように、比較例1に比べて実施例1の試料1~4のエマルジョン組成物が顕著に低いカロリーを有し、従来の水飴に代わることができ、かつカロリーは低減できる効果があるということが分かった。
【0147】
実施例6: 液状コーヒーの製造および物性分析
実施例1および比較例1で製造した乳化粉末を用いて、インスタントコーヒー粉末と混合して液状コーヒーを製造した。具体的には、コーヒー粉末(東西食品)1g、コーヒークリーマー粉末6g、砂糖6g、および水80gを混合して液状コーヒーを製造した。前記製造された液状コーヒー試料の写真を図5に示した。
図5に示すように、乳化サンプル用いてコーヒーミックスを製造した結果、肉眼上の色差はなく、色価分析では△Eの値の大きな差がなく、試料間の色差は殆どなかったことを確認した。実施例によってアルロースを含む乳化組成物は常温で乳化安定性が上昇し、コーヒー製造時にも既存と類似の色相を示し、かつ糖類低減効果を与えることを確認した。
【0148】
実施例7~10: アルロースを用いた液状乳化組成物の製造
乳化組成物の製造のための具体的な成分と各成分の含有量は下記表6に示す。下記表6に示した含有量に従い、ヤシ硬化油および乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステルを混合して70℃以上の条件で加熱し混合して油相部を製造した。アルロースシロップ(アルロース純度95重量%、70ブリックス)にカゼインナトリウム、第二リン酸カリウムとポリリン酸カリウムを混合して75℃以上で攪拌して水相部を製造した。前記油相部を水相部に入れながらホモミキサーで6,000rpm以上の条件で5分以上混合した。その後均質機を用いて高圧条件で2次混合を行い、水を添加して45~50ブリックスの固形分含有量に調節して液状乳化組成物を製造した。
【0149】
【表6】
【0150】
比較例2: 低糖水飴を用いた乳化組成物の製造
実施例7で使用したアルロースシロップと低糖水飴の代わりに、サムヤン社の低糖水飴(DE20~25)のみを使用して乳化組成物を製造し、具体的には低糖水飴(DE20~25)は下記方法で製造されて表7に示す糖類組成を有する。比較例2の低糖水飴を用いて製造された乳化組成物の成分および含有量は前記表6に示している。
前記サムヤン社の低糖水飴(DE20~25)は、とうもろこし澱粉1000gを水2500gと混ぜた後、ハイドロヒータにより110℃温度で高温液化反応後に再びハイドロヒータにより130℃~140℃を通過させて液化酵素を失活した。その後、熱交換器を経て温度を61℃に下げた後、液化反応で使用した液化酵素a-amylase(ノボザイム社、Liquozyme Supra)を用いてDE20~24まで反応して、活性炭を固形分に対して0.1~0.8重量%を投入して30分以上攪拌させた。その後、フィルタープレスを経て活性炭を除去した後にイオン精製、濃縮を経て2000gの低糖水飴を得た。得られた低糖水飴の糖組成を固形分重量%で下記表7に表示した。
下記表7には比較例2および比較例3に使用されたイオン水飴と低糖水飴の糖類組成物固形分重量%で示したものである。下記表7で通常3糖類~7糖類までの含有量をマルトオリゴ糖含有量で計算することができる。下記表7で記載された「1糖類および2糖類」はマルトオリゴ糖に含まれたすべての1糖類および2糖類の含有量を表示したものである。
【0151】
【表7】
【0152】
比較例3: イオン水飴を用いた乳化組成物の製造
実施例7で使用したアルロースシロップと低糖水飴の代わりに、サムヤン社のイオン水飴(DE42)のみを使用して乳化組成物を製造し、具体的にはイオン水飴(DE42)は下記方法で製造されて表7に示す糖類組成を有する。
前記サムヤン社のイオン水飴(DE42)は、とうもろこし澱粉1000gを水2500gと混ぜた後、ハイドロヒータにより110℃温度で高温液化反応後に再びハイドロヒータにより130℃~140℃を通過させて液化酵素を失活した。その後、熱交換器を経て温度を61℃に下げた後、糖化酵素であるMaltogenase(ノボザイム社)とPullulanase(ノボザイム社、Promozyme D2)を用いてDE40~45まで反応して、活性炭を固形分に対して0.1~0.8重量%を投入して30分以上攪拌させた。その後、フィルタープレスを経て活性炭を除去後イオン精製、濃縮を経て2000gのイオン水飴を得た。得られたイオン水飴の糖組成を固形分重量%で表7に表示した。
【0153】
実施例11: 乳化組成物のカロリー分析
実施例7~10および比較例2の試料乳化組成物のカロリーは固形分を基準として算出し、アルロースのカロリーは0.0kcal/gで計算した。測定されたカロリーを表8に示した。
【0154】
【表8】
【0155】
比較例1に比べて実施例7~10の乳化組成物が顕著に低いカロリーを有し、従来の水飴に代わることができ、かつカロリーは低減できる効果があることが分かった。
【0156】
実施例12: 乳化組成物の温度による溶解度の測定
乳化組成物の水に対する溶解性を確認するために、低糖水飴を使用した比較例2と低糖水飴の50%をアルロースに代えた実施例7~10の乳化組成物に対して水に対する溶解度を測定および比較した。水の温度を4℃の低温条件と85℃の高温条件とそれぞれエマルジョン組成物を溶解して、沈殿物の重量を測定して、溶解速度を測定した。
具体的には、実施例7~10と比較例2の試料をそれぞれ15gの液状試料を取って、4℃の低温条件と85℃の高温条件の精製水100mLに添加して10分間180rpmで攪拌して混合した。前記混合液150mLをconical tubeに注入し、4,000rpmで10分間遠心分離を行った後に上澄液を除去して残った沈殿物の重量(g)を測定した。前記測定された沈殿物重量(g)を下記数式1に適用して溶解度パーセント(%)を求めた。前記測定された乳化組成物の溶解度値を下記表9および図6に示す。
[数式1]
溶解度(%)=50g/沈殿物の重量(g)×100
【0157】
【表9】
【0158】
前記表9に示すように、アルロースを用いてコーヒークリーマーを製造する時、低温と高温での溶解度が上昇することが分かった。特にアルロース含有量が増加することによりその溶解度が上昇して従来の糖類(低糖水飴の他)に比べてアルロース使用時に早く溶けるコーヒークリーマーが製造可能であることを確認することができた。
【0159】
実施例13: 乳化組成物のpHによる溶解度の測定
前記実施例12で85℃の高温条件の精製水を用いた高温溶解度の測定と実質的に同様の方法で溶解度を測定した。ただし、pH条件をpH3、pH6およびpH9にしてそれぞれ実験を行い、その結果を下記表10に示す。
【0160】
【表10】
【0161】
前記表10に示すように、酸性、弱酸性およびアールカロリー条件を含むpH範囲で本発明によるアルロースを用いてコーヒークリーマーが低糖水飴を使用した比較例1と比較して同等であるか、または若干高い溶解度を示し、多様なpH範囲に使用することが容易であることを確認した。
【0162】
実施例14~18: 乳化ソース組成物の配合
下記表11に示す含有量で卵黄に大豆油およびアルロースシロップを添加した後、塩、食酢、および精製水を混合して混合液を製造した。前記製造された混合液をハンドブレンダで混合しながら、大豆油は添加すべき総量の重量を測定した後これを任意に4回に分けて投入して乳化させて乳化ソースを製造した。
前記アルロースシロップとしては、アルロース純度95%、および70ブリックスのアルロースシロップを使用し、アルロースシロップのpHは4.41であり、色価(吸光度、420nm)は0.039IUであり、電気伝導度は15.13μS/cmであった。前記アルロースシロップのpH、吸光度および電気伝導度の測定方法は次のとおりである。アルロースシロップを30BXに希釈し、Spectrophotometerを用いて420nm波長で吸光度を測定した。Spectrophotometerを用いて420nm波長で吸光度として色価を測定するのは420nmで黄色ないし茶色が吸収されるので褐変度を確認することができるからであり、前記波長で測定した吸光度値を用いて液状糖類の褐変または色の濃い程度を判断するIU(Icumsa Unit)を計算することができる。pH分析はアルロースシロップを10BXに希釈し、pH測定機(SCHOTT Lab850)を用いて糖シロップのpHを分析した。電気伝導度はMETTLER TOLEDO社のSevenExcellence機器にInLab 731 ISM電極を用いて測定した。
下記表11の組成は、乳化ソース組成物の100重量%基準として、各成分の含有量を重量%で示したものである。
【0163】
【表11】
【0164】
比較例4および5
比較例4の乳化ソース組成物は実施例14のアルロースシロップを含まず卵黄を13.6重量%で含む点で相違し、残りの成分と組成は実施例1の乳化ソース組成物と実質的に同一に製造された。
比較例5の乳化ソース組成物は、実施例14のアルロースシロップを含まず、砂糖を8.6重量%と卵黄を5.0重量%で含む点で相違し、残りの成分と組成は実施例14の乳化ソース組成物と実質的に同一に製造された。
【0165】
実施例19: 乳化ソース組成物の乳化所要時間の評価
ハンドブレンダを用いてLabscaleで200g製造基準として測定した時間であり、相対的な乳化所用時間は該当試料の乳化所要時間を比較例4の乳化所要時間基準100%を基準として換算して表示したものである。
【0166】
【表12】
【0167】
前記表12の乳化所用時間の測定結果に示すように、乳化ソース組成物に含まれた卵黄含有量に対するアルロース含有量の比率またはアルロース含有量が増加すると、乳化が早く進行されて乳化所要時間が減少した。すなわち、卵黄含有量に対するアルロース含有量の比率またはアルロース含有量に反比例して、乳化所要時間が減少した。卵黄のみを含む比較例4の乳化ソース組成物の乳化にかかる時間を100に設定して示した該当乳化ソース組成物の相対的な乳化所用時間は、80%以下、または75%以下に減少した。前記アルロース含有量に応じた乳化ソース組成物の乳化時間差は産業的規模で製品を生産する場合、より大きな差を示し、生産性に大きな影響を及ぼし得る。
また、実施例の乳化ソース組成物のアルロースの代わりに砂糖を使用した比較例4の乳化ソース組成物は、卵黄含有量に対する砂糖固形分含有量比率が1.72であり、乳化にかかる時間は比較例4の乳化所用時間に対して125%であって、卵黄含有量に対するアルロースシロップ含有量比率(液状/液状)が1.72である実施例17の乳化ソース組成物の相対的な乳化所用時間が62.5%であることとはほぼ2倍以上の長時間がかかることを確認した。すなわち、本発明により乳化ソース組成物の製造にアルロースを使用する場合、砂糖より乳化が早く進行されて乳化にかかる時間を短縮することを確認した。このような乳化組成物の乳化所要時間は産業的規模で製品を生産する場合、生産収率および工程所要時間に影響を及ぼす要素として作用する。
【0168】
実施例20: 乳化ソース組成物の粘度測定
実施例14~18と比較例4~5により製造された乳化ソース試料40gを500mL容量のビーカーに入れ、25℃温度を維持して回転式粘度計(Model RV.Brookfield Engineering Laboratories,Inc.,USA)を用いて乳化ソース組成物の粘度を測定した。この際、使用したSpindleはNo.64として30rpmで測定した。前記測定された乳化ソース組成物の粘度(cp)を下記表13に示した。
【0169】
【表13】
【0170】
前記表13の乳化ソース組成物の粘度測定結果に示すように、比較例4は卵黄の含有量が高くて粘度が過度に高くなり、流動性が足りずソース使用時に困難性があることを確認した。実施例14~18の乳化ソース組成物の粘度は、料理に使用またはユーザーの摂取において適切な粘度範囲を満たし、また、市販のマヨネーズ粘度数値範囲に近接している。また、アルロースを含む実施例14~18による乳化ソース組成物は塗布性が良く使用便宜性を高める長所がある。
【0171】
試験例3: 乳化ソース組成物のオイル分離度の測定
実施例14~18と比較例4~5により製造された乳化ソースに対して、-20℃と25℃を12時間間隔で交互に繰り返して24時間単位で分離されるオイル量を測定して相安定性または相分離度を評価した。試料の油脂分離度(%)は相が分離された上層部油脂量(重量、g)を全体試料の量(重量、g)で除した値のパーセント(%)数値で下記表14に示した。
【0172】
【表14】
【0173】
前記表14の乳化ソース組成物の油脂分離度の測定結果に示すように、砂糖を使用した比較例5に比べて、アルロースを使用した実施例14~18の乳化ソース組成物がより優れた乳化安定性を示した。砂糖を使用した比較例5を除いてアルロースを使用した実施例14~18の試料は卵黄含有量が13.6重量%で高い比較例4と類似に油脂分離度が低く、分離された油脂の量が1.2%以下、好ましくは1%以下であることを確認して乳化安定性を有することを確認した。
それに対して、アルロースを砂糖に代えた比較例5の分離された油脂量が1.4%で高く乳化安定性が劣ることを確認した。具体的には、実施例の乳化ソース組成物のアルロースの代わりに砂糖を使用した比較例5の乳化ソース組成物は、卵黄含有量に対する砂糖固形分含有量比率が1.72であり、48経過時間の油脂分離度1.4%は、卵黄含有量に対するアルロースシロップ含有量比率が1.72である実施例17の乳化ソース組成物の48経過時間に測定した油脂分離度0.44%を示したことを考慮すると、ほぼ3倍の分離度を示し、これは乳化安定性が非常に低いことを意味する。前記測定された乳化ソース試料の油脂分離量または油脂分離度を基準として察すると、乳化ソース組成物の製造に使用された糖類であるアルロースが砂糖の使用より約2倍以上の乳化安定性示すことを確認した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6