(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
F21S 4/26 20160101AFI20240612BHJP
F21K 9/232 20160101ALI20240612BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240612BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240612BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240612BHJP
F21V 29/78 20150101ALI20240612BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240612BHJP
F21Y 107/70 20160101ALN20240612BHJP
【FI】
F21S4/26
F21K9/232 100
F21V29/503
F21V3/00 320
F21V9/32
F21V29/78
F21Y115:10
F21Y107:70
(21)【出願番号】P 2022528985
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081844
(87)【国際公開番号】W WO2021099201
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボムメル ティース
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファット アタ ムスターファ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0162850(US,A1)
【文献】特表2017-532793(JP,A)
【文献】国際公開第2019/129035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 4/26
F21K 9/232
F21V 29/503
F21V 3/00
F21V 9/32
F21V 29/78
F21Y 115/10
F21Y 107/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
動作時にLEDフィラメント光を放出するように適合されている、少なくとも1つのLEDフィラメントであって、支持体と、前記支持体上に配置され、動作時にLED光を放出するように適合されている、複数のLEDとを含む、少なくとも1つのLEDフィラメントと、
ヒートシンク要素と、を備え、
前記少なくとも1つのLEDフィラメントが、前記発光デバイスの垂直中心軸LAの周りで渦巻状に延びるように配置されており、
前記ヒートシンク要素が更に、前記発光デバイスの前記垂直中心軸の周りで渦巻状に延びるように配置されており、
前記ヒートシンク要素が、前記少なくとも1つのLEDフィラメントから、前記発光デバイスの前記垂直中心軸に向けて延びるように配置されている、発光デバイス。
【請求項2】
前記ヒートシンク要素が、前記垂直中心軸LAに面している、前記少なくとも1つのLEDフィラメントの表面区域において、前記少なくとも1つのLEDフィラメントに接続されているか、又は接触している、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記ヒートシンク要素が、渦巻形状のヒートシンク要素、螺旋形状のヒートシンク要素、螺旋面形状のヒートシンク要素、又は、アルキメデスポンプのような形状のヒートシンク要素である、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記ヒートシンク要素が、幅Wh、厚さTh、及びアスペクト比ARを有し、前記アスペクト比が
、幅Wh
と高さThとの比として定義され、前記アスペクト比ARが2よりも大きいか、又は前記アスペクト比ARが5に等しい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記ヒートシンク要素が、厚さThを有し、前記少なくとも1つのLEDフィラメントが、厚さTfを有し、Th<T
fである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記ヒートシンク要素が、幅Whを有し、前記少なくとも1つのLEDフィラメントが、幅Wfを有し、Wh>2×W
fである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記ヒートシンク要素が、内径Dhを有し、前記少なくとも1つのLEDフィラメントが、内径Dfを有し、0.8×Df>Dh>0.2×Dfである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記垂直中心軸LAと一致して延びているステムを更に備え、前記LEDフィラメントの互いに反対側の端部、及び前記ヒートシンク要素の互いに反対側の端部のうちの、少なくとも一方が前記ステムに接続されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記ヒートシンク要素が、内径Dhを有し、前記ステムが、直径Dsを有し、Dh>Ds、又はDh=Dsである、請求項8に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記ステムが、長さLsを有し、前記ヒートシンク要素と前記少なくとも1つのLEDフィラメントとが、長さLhfを有する組立体を形成し、Ls>Lhfである、請求項8又は9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのLEDフィラメントが、長さLfを有し、前記ヒートシンク要素が、長さLhを有し、前記長さLf及び前記長さLhが、1.2×Lf>Lh>0.8×Lf、1.1×Lf>Lh>0.9×Lf、及びLh=Lfのうちのいずれか1つを満たす、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項12】
中心長手方向軸LAに面している、前記ヒートシンク要素の側面が、丸みを帯びた形状又は三角形の形状のような非平坦である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
ステム及
びヒートシンクが、双方とも金属で作製されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記複数のLEDが、LED光を散乱させるように適合されている光散乱材料、及び、LED光を変換LED光に少なくとも部分的に変換するように適合されているルミネッセント材料のうちの1つ以上を含む、封入材によって覆われている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の発光デバイスを備える、ランプ及び/又は照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスであって、動作時にLEDフィラメント光を放出するように適合されている、少なくとも1つのLEDフィラメントであって、支持体と、支持体上に配置され、動作時にLED光を放出するように適合されている、複数のLEDとを含む、少なくとも1つのLEDフィラメントと、ヒートシンク要素とを備える、発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
白熱ランプは、LEDベースの照明ソリューションによって、急速に置き換えられつつある。しかしながら、白熱電球の外見を有するレトロフィットランプを持つことが、ユーザによって評価され、望まれている。この目的のために、単純に、ガラスに基づく白熱ランプを製造するためのインフラストラクチャを利用して、フィラメントを、白色光を放出するLEDに置き換えることができる。構想のうちの1つは、そのような電球内に配置される、LEDフィラメントに基づく。これらのランプの外観は、装飾性に優れて見えるため、高く評価されている。
【0003】
米国特許出願公開第2018/0112831(A1)号は、複数のLEDチップ、複数の導電性支持体、及びパッケージ層を含む、放熱構造を有する発光ダイオード(light-emitting diode;LED)フィラメントを開示している。各導電性支持体は、金属シートの形態を取っており、複数の導電性支持体は、互いに間隔を空けて配置されている。各LEDチップは共通して、LEDチップに隣接する、複数の導電性支持体のうちの2つによって支持され、それらに電気的に接続されている。パッケージ層は、複数のLEDチップ及び複数の導電性支持体を、各導電性支持体の2つの側縁部分がパッケージ層から露出されている状態で覆っている。LEDフィラメントは、電球の内部に取り付けられている。複数の導電性支持体は、パッケージ層から部分的に露出されているため、複数のLEDチップによって生成された熱は、蓄熱の結果として照明効率及び光出力に影響を及ぼすことなく、周囲環境に放散されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在のLEDフィラメントランプは、十分な光を供給するものではない。LEDフィラメントランプの光束は、典型的には300lmであるが、その一方で、一般的な照明用途は、700lmの出力、又は1000lmの出力さえも必要とする。
【0005】
それゆえ、LEDフィラメントの外見を損なうことなく、LEDフィラメントランプの光束を改善することが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、この問題を克服し、十分な冷却を有しつつも、発光デバイスのヒートシンク要素が、LEDフィラメントの外見を損なうことなく、LEDフィラメントランプの光束が改善され得ることを確実にするために、依然として十分に目障りとならない、発光デバイスを提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的及び他の目的は、発光デバイスであって、動作時にLEDフィラメント光を放出するように適合されている、少なくとも1つのLEDフィラメントであって、支持体と、支持体上に配置され、動作時にLED光を放出するように適合されている、複数のLEDとを含む、少なくとも1つのLEDフィラメントと、ヒートシンク要素とを備え、少なくとも1つのLEDフィラメントが、発光デバイスの垂直中心軸の周りで渦巻状に延びるように配置されており、ヒートシンク要素が、発光デバイスの垂直中心軸の周りで渦巻状に延びるように配置されており、ヒートシンク要素が、少なくとも1つのLEDフィラメントから、発光デバイスの垂直中心軸に向けて延びるように配置されている、発光デバイスによって達成される。
【0008】
それにより、また特に、ヒートシンク要素が、少なくとも1つのLEDフィラメントから、発光デバイスの垂直中心軸に向けて延びるように配置されることを規定することによって、及び、LEDフィラメントとヒートシンク要素とを、別個の要素として効果的に設けることによって、LEDフィラメントの外見を損なうことなく光束が改善される、発光デバイスが提供される。
【0009】
一実施形態では、ヒートシンク要素は、垂直中心軸に面している、少なくとも1つのLEDフィラメントの表面区域において、少なくとも1つのLEDフィラメントに接続されているか、又は接触している。
【0010】
それにより、効率的な冷却をもたらすだけではなく、構造もまた特に堅牢で単純な、LEDフィラメントとヒートシンク要素との組立体を有する、発光デバイスが提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、渦巻形状のヒートシンク要素、螺旋形状のヒートシンク要素、又は螺旋面形状のヒートシンク要素、あるいは、アルキメデスポンプのような形状のヒートシンク要素のうちの1つである。
【0012】
それにより、特に効率的な冷却をもたらすヒートシンク要素を有する、発光デバイスが提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、幅Wh、厚さTh、及びアスペクト比ARを有し、アスペクト比は、幅Whと高さThとの比として定義され、アスペクト比ARは2よりも大きいか、又はアスペクト比ARは5に等しい。
【0014】
それにより、改善された冷却を同様にもたらす、大きいアスペクト比を有するヒートシンク要素が提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、厚さThを有し、少なくとも1つのLEDフィラメントは、厚さTfを有し、Th<Tf、又はTh=0.7*Tfである。
【0016】
それにより、観察者によって知覚されるようなフィラメントランプの外見を妨げることのない、目障りとならない殆ど不可視のヒートシンク要素が提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、幅Whを有し、少なくとも1つのLEDフィラメントは、幅Wfを有し、Wh>2*Wf、又はWh=5*Wfである。
【0018】
それにより、改善された冷却をもたらすヒートシンク要素が提供される。
【0019】
一実施形態では、渦巻形状のヒートシンクは、内径Dhを有し、LEDフィラメントは、内径Dfを有し、0.8*Df>Dh>0.2*Dfである。
【0020】
それにより、観察者によって知覚されるようなフィラメントランプの外見を妨げず、また最適化された冷却ももたらす、特に目障りとならない不可視のヒートシンク要素が提供される。
【0021】
一実施形態では、発光デバイスは、垂直中心軸と一致して延びているステムを更に備え、LEDフィラメントの互いに反対側の端部、及びヒートシンク要素の互いに反対側の端部のうちの、少なくとも一方がステムに接続されている。
【0022】
それにより、極めて堅牢な構造を有する発光デバイスが提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、内径Dhを有し、ステムは、直径Dsを有し、Dh>Ds、又はDh=Dsである。
【0024】
それにより、ヒートシンク要素がステムに直接取り付けられ得るため、極めて堅牢な構造を有するだけではなく、特に単純な方式で組み立てられることもまた可能な、発光デバイスが提供される。
【0025】
一実施形態では、ステムは、長さLsを有し、ヒートシンクとLEDフィラメントとは、長さLhfを有する組立体を形成し、Ls>Lhfである。
【0026】
それにより、特に単純で堅牢な構造を有する、ステム、ヒートシンク要素、及び、LEDフィラメントの組立体を有する、発光デバイスが提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、LEDフィラメントの長さLf、及びヒートシンク要素の長さLhは、1.2*Lf>Lh>0.8*Lf、1.1*Lf>Lh>0.9*Lf、及びLh=Lfのうちのいずれか1つを満たす。
【0028】
それにより、観察者によって知覚されるようなフィラメントランプの外見を妨げることのない、目障りとならない殆ど不可視のヒートシンク要素が提供される。
【0029】
一実施形態では、中心長手方向軸LAに面している、ヒートシンク要素の側面は、丸みを帯びた形状又は三角形の形状などの、非平坦である。
【0030】
それにより、特に単純な方式で組み立てられることが可能な、発光デバイスが提供される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、少なくとも100W/mK、少なくとも150W/mK、又は少なくとも200W/mKの熱伝導率を有する。
【0032】
それにより、LEDフィラメントのLEDに対する十分な冷却が得られることが可能であると判明している、ヒートシンク要素が提供される。
【0033】
一実施形態では、ヒートシンク要素は、アルミニウム及び/又は銅から作製されており、そのような材料は、特に高い熱伝導率をもたらす。
【0034】
一実施形態では、ヒートシンク要素は、表面層又はコーティングを含む。
【0035】
そのような表面層又はコーティングは、ヒートシンク要素に保護層を提供してもよく、並びに/あるいは、例えば、工業意匠のような外観を与える金属の外見、高反射をもたらす白色、若しくは改善された冷却をもたらす黒色などの、色又は外見を提供してもよい。
【0036】
一実施形態では、ヒートシンク要素は、ヒートシンク要素の長さに沿って配置されている複数のフィンを含む。
【0037】
それにより、更に最適化された冷却効果を有するだけではなく、特に単純な方式でステムに直接取り付けられることもまた可能な、ヒートシンク要素が提供される。
【0038】
一実施形態では、ステム及びヒートシンクは、双方とも金属で作製されている。
【0039】
それにより、改善された熱管理、またそれゆえ改善された冷却を有する、ヒートシンク要素が提供される。ステムとヒートシンクとは、同じ金属から作製されてもよく、例えば、双方ともアルミニウム及び/又は銅で作製されてもよい。
【0040】
ヒートシンク要素がモノリシック要素である場合に、特に良好な冷却が得られる。
【0041】
一実施形態では、複数のLEDは、LED光を散乱させるように適合されている光散乱材料、及び、LED光を変換LED光に少なくとも部分的に変換するように適合されているルミネッセント材料のうちの1つ以上を含む、封入材によって覆われている。
【0042】
それにより、動作時には、LEDフィラメントによって放出されるLEDフィラメント光は、LED光及び/又は変換光を含み得る。
【0043】
そのような実施形態では、ヒートシンクは、支持体において、及び/又は封入材において、LEDフィラメントに接触しているか若しくは接続されていてもよい。
【0044】
封入材を設けることによって、特に堅牢な構造と耐久性とを有する発光デバイスが、更に提供される。
【0045】
いくつかの実施形態では、ヒートシンク要素は、長さLh、幅Wh、及び厚さThを有し、
Lh>5cm、Lh>8cm、Lh>10cm、若しくはLh=15cm、及び/又は、
Th<4mm、Th<3mm、Th<2mm、若しくはTh=1mm、及び/又は、
Wh>7mm、Wh>10mm、Wh>12mm、若しくはWh=15mmである。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLEDフィラメントは、長さLf、幅Wf、及び厚さTfを有し、
Lf>5cm、Lf>8cm、Lf>10cm、若しくはLf=15cm、及び/又は、
5mm>Tf>1mm、若しくは4mm>Tf>1.5mm、3mm>Tf>1.8mm、若しくはTf=2mm、及び/又は、
5mm>Wf>1mm、4mm>Wf>1.5mm、3mm>Wf>1.8mm、若しくはWf=2mmである。
【0047】
特にLEDフィラメントのそのような寸法は、電球又は同様のランプ若しくは照明器具の一部を形成するように意図されている発光デバイスに関して、特に好適であることが判明している。また、LEDフィラメントとヒートシンク要素とのそのような寸法が組み合わされて、上記の利点のうちの少なくともいくつかを得る発光デバイスを提供するために、特に好適であることも判明している。
【0048】
本発明は更に、第2の態様では、本発明による発光デバイスを備える、ランプ又は照明器具に関する。
【0049】
本発明は、請求項に列挙されている特徴の、全ての可能な組み合わせに関するものである点に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
次に、本発明のこの態様及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、より詳細に説明される。
【
図1】本発明による発光デバイスの一実施形態の斜視図を示す。
【
図2】本発明による発光デバイスを備える照明器具の一実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図3で標識されている部分IVなどの、本発明による発光デバイスの一部の拡大断面図を示す。
【
図5】本発明による発光デバイスのLEDフィラメントの概略上面図を示す。
【
図6】本発明による発光デバイスのLEDフィラメントであって、封入材を備えるLEDフィラメントの概略断面図を示す。
【0051】
図に示されるように、層及び領域のサイズは、例示の目的のために誇張されており、それゆえ、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するように提示されている。同様の参照符号は、全体を通して、同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、本発明の現時点で好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明が、以降でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、完全性及び網羅性のために提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝達するものである。
【0053】
図1は、本発明による発光デバイス1の一実施形態の斜視図を示す。発光デバイス1は、LEDフィラメント2及びヒートシンク要素3を備える。
【0054】
図5もまた参照すると、LEDフィラメント2は、支持体6と、支持体6上に配置されている複数のLED5とを含む。LEDフィラメント2は、第1の端部201及び第2の端部202、並びに、第1の端部201と第2の端部202との間に延びてそれらを接続している、2つの互いに反対側の側縁部203及び側縁部204を有する。
【0055】
複数のLED5は、動作時に光を放出するように適合されている。LED5は、支持体6の長さLに沿って、分散されて配置されている。LED5は、支持体6の長さに沿って、均等に又は不均等に分散されてもよい。LED5は、任意の所望の色の光を放出してもよい。例えば、LED5は、白色光を放出してもよい。LEDフィラメントは、好ましくは、1800K~4000Kの範囲の、又は1900K~3000Kの範囲の、又は更に200K~2500Kの範囲の、例えば2200Kなどの色温度を有する、白色光を放出する。白色光の色点は、BBLから10SDCM以内、7SDCM以内、又は更に5SDCM以内であってもよい。演色評価数は、少なくとも75、少なくとも80、又は更に少なくとも85であってもよい。LED5はまた、動作時に、異なる色温度を有するLEDを放出するように適合されてもよい。複数のLED5は、少なくとも15個のLED、少なくとも20個のLED、又は更に少なくとも25個のLED、例えば40個若しくは60個のLEDなどを含んでもよい。複数のLED5は、UV LED及び/又は青色LEDであってもよく、これは、典型的にはルミネッセント材料と組み合わせて使用される構成である。複数のLED5はまた、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDであってもよく、これは、白色光を放出し得る構成であり、典型的には、光散乱材料を含む封入材と組み合わせて使用される。別の実施例では、赤色LED及び青色LEDが、青色光を緑色/黄色光に部分的に変換するためのルミネッセント材料を含む封入材と組み合わせて、使用されてもよい。
【0056】
一般に、LEDフィラメントは、LEDフィラメント光を供給するものであり、線形アレイで配置されている複数の発光ダイオード(LED)を含む。好ましくは、LEDフィラメントは、長さL及び幅Wを有し、L>5Wである。LEDフィラメントは、直線構成で、又は、例えば湾曲構成、2D/3D渦巻、若しくは螺旋などの、非直線構成で配置されてもよい。好ましくは、LEDは、剛性(例えば、ポリマー、ガラス、石英、金属、若しくはサファイアから作製されているもの)、又は可撓性(例えば、ポリマー、若しくは金属、例えばフィルム若しくは箔で作製されているもの)であってもよい、例えば基板のような、細長形の支持体上に配置される。
【0057】
支持体が、第1主表面及び反対側の第2主表面を含む場合、LEDは、これらの表面のうちの少なくとも一方上に配置される。支持体は、反射性であってもよく、あるいは、半透明及び好ましくは透明などの、光透過性であってもよい。
【0058】
LEDフィラメントは、複数のLEDの少なくとも一部を少なくとも部分的に覆う、封入材を備えてもよい。封入材はまた、第1主表面又は第2主表面のうちの少なくとも一方を、少なくとも部分的に覆ってもよい。封入材は、例えばシリコーンなどの、可撓性であり得るポリマー材料であってもよい。更には、LEDは、例えば種々の色又はスペクトルの、LED光を放出するように構成されてもよい。封入材は、LED光を少なくとも部分的に変換光に変換するように構成されている、ルミネッセント材料を含んでもよい。ルミネッセント材料は、無機蛍光体及び/又は量子ドット若しくは量子ロッドなどの、蛍光体であってもよい。
【0059】
LEDフィラメントは、複数のサブフィラメントを含んでもよい。
【0060】
図6もまた参照すると、LEDフィラメント2はまた、封入材11a、11bを含んでもよい。封入材11a、11bは、複数のLED5を少なくとも部分的に封入してもよい。封入材11aはまた、LED5が上に配置されている、LEDフィラメント2の支持体6の第1主表面205を、部分的に又は完全に覆ってもよい。封入材11bはまた、第1主表面205とは反対側の、支持体6の第2主表面206を、部分的に又は完全に覆ってもよい。封入材11a、11bは、耐熱性シリコーンなどの可撓性材料で作製されてもよい。封入材11a、11bは、例えば、BaSO4、Al2O3、及び/又はTiO2粒子などの、光散乱材料を含んでもよい。封入材11a、11bはまた、例えば蛍光体などの、ルミネッセント材料を含んでもよい。ルミネッセント材料は、LED光を変換光に変換するように構成されている。
【0061】
再び
図1を参照すると、発光デバイス1は、垂直中心軸又は垂直に延びる長手方向中心軸LAを更に有する。より特定的には、発光デバイス1の取り付け状態では、中心軸LAは、垂直に配置されているか、又は垂直に延びている。LEDフィラメント2は、発光デバイス1の垂直中心軸LAの周りで渦巻状に延びるように配置されている。より特定的には、LEDフィラメント2は、発光デバイス1の垂直中心軸LAの周りで、上方向に渦巻状に延びるように配置されている。発光デバイス1の取り付け状態では、それゆえ、LEDフィラメント2の第1の端部201は、LEDフィラメント2の第2の端部202の下方の位置に配置されている。中心軸LAに面している、LEDフィラメント2の内側面は、例えば丸みを帯びているか又は三角形の、非平坦であってもよい。
【0062】
ヒートシンク要素3は、LEDフィラメント2から、発光デバイスの垂直中心軸LAに向けて延びるように配置されている。ヒートシンク要素3は更に、発光デバイス1の垂直中心軸LAの周りで渦巻状に延びるように配置されている。より特定的には、ヒートシンク要素3は、発光デバイス1の垂直中心軸LAの周りで、上方向に渦巻状に延びるように配置されている。それゆえ、ヒートシンク要素3とLEDフィラメント2とは、互いに平行に延びている。発光デバイス1の取り付け状態では、それゆえ、ヒートシンク要素3の第1の端部301は、ヒートシンク要素3の第2の端部302の下方の位置に配置されている。ヒートシンク要素3は、渦巻形状、螺旋形状、螺旋面であってもよく、又は、アルキメデスポンプのような形状であってもよい。
図4で見られ得るように、ヒートシンク要素3は、中心軸LAに面している、LEDフィラメント2の表面区域21において、LEDフィラメント2に接続されていても、又は接触していてもよい。LEDフィラメント2とヒートシンク要素3とは、別個の要素である。LEDフィラメント2とヒートシンク要素3とは、一体に設けられてもよい。
【0063】
更に
図4を参照すると、中心軸LAに面している、ヒートシンク要素3の側面31は、平坦以外の形状のものであってもよい。例えば、側面31は、丸みを帯びているか又は三角形であってもよい。ヒートシンク要素3は、少なくとも100W/m・Kの熱伝導率を有する。ヒートシンク要素3は、アルミニウム及び/又は銅から作製されてもよい。ヒートシンク要素3は、ヒートパイプであってもよい。ヒートシンク要素3は、金属の外見、又は白色、又は黒色を有してもよい。ヒートシンク要素3には、表面層又は表面コーティングが設けられてもよい。表面層又は表面コーティングは、ヒートシンク要素3に、所望の色及び/又は表面テクスチャを提供してもよい。ヒートシンク要素3は、熱管理及び/又は取り付けを改善するために、例えばヒートシンク要素3の長さに沿って配置されている、複数のフィンを有してもよい。
【0064】
図4もまた参照すると、ヒートシンク要素3は、長さLh、幅Wh、及び厚さThを有する。長さLhは、ヒートシンク要素3の両端部301と302との間のヒートシンク要素3の渦巻形状に沿った、幅Wh及び厚さThの双方に垂直な、ヒートシンク要素3の伸長である。幅Whは、LEDフィラメント2に最も近い、ヒートシンク要素3の表面又は表面の点から、ヒートシンク要素3の互いに反対側の表面又は表面の点までの、ヒートシンク要素3の伸長である。厚さThは、幅Wh及び長さLhの双方に垂直な方向における、ヒートシンク要素3の伸長である。ヒートシンク要素3はまた、WhとThとの比として定義される、アスペクト比ARも有する。アスペクト比ARは、2よりも大きく、3よりも大きく、又は4よりも大きくてもよく、例えば5に等しくてもよい。
【0065】
同様に、また
図4を更に参照すると、LEDフィラメント2は、長さLf、幅Wf、及び厚さTfを有する。長さLfは、LEDフィラメント2の両端部201と202との間のLEDフィラメント2の渦巻形状に沿った、幅Wf及び厚さTfの双方に垂直な、LEDフィラメント2の伸長である。幅Wfは、互いに反対側の表面203と表面204(
図5)との間の、又は換言すれば、ヒートシンク要素3に最も近い、LEDフィラメント2の表面又は表面の点から、LEDフィラメント2の互いに反対側の表面又は表面の点までの、LEDフィラメント2の伸長である。厚さThは、互いに反対側の主表面205と主表面206(
図6)との間の、またそれゆえ、幅Wh及び長さLhの双方に垂直な方向における、ヒートシンク要素3の伸長である。ヒートシンク要素3の厚さThは、LEDフィラメント2の厚さTfよりも大きくてもよい。例えば、ヒートシンク要素3の厚さTh、及びLEDフィラメント2の厚さTfは、Th<0.9Tf、Th<0.8Tf、又は更にTh=0.7Tfを満たしてもよい。また、ヒートシンク要素3の幅Wh、及びLEDフィラメント2の幅Wfは、Wh>2Wf、Wh>3Wf、又は更にWh>4Wfを満たしてもよい。
【0066】
更には、
図3で示されるように、ヒートシンク要素3は、内径Dhを有し、LEDフィラメント2は、内径Dfを有する。例えば、ヒートシンク要素3の内径Dh、及びLEDフィラメント2の内径Dfは、0.8Df>Dh>0.2Df、又は0.7Df>Dh>0.3Df、又は0.6Df>Dh>0.4Dfを満たしてもよい。図示の実施形態では、ヒートシンク要素3は、垂直中心軸LAに対して、90度の角度で配置されている。他の実施形態では、ヒートシンク要素3は、垂直中心軸LAに対して、90度とは異なる角度で配置されてもよい。
【0067】
図1に示されるものなどの、いくつかの実施形態では、発光デバイス1は、ステム4を更に備える。ステム4は、垂直中心軸LAと一致して延びている。ステム4は、長さLs(
図1を参照)及び直径Ds(
図3を参照)を有する。ヒートシンク要素3の内径Dhは、ステム4の直径Dsよりも大きくてもよく、それにより、渦巻形状のヒートシンクは、ステムの周りに取り付けられることができる。この場合、LEDフィラメント2の互いに反対側の端部201、202、及びヒートシンク要素3の互いに反対側の端部301、302のうちの、少なくとも一方がステム4に接続されている。あるいは、ヒートシンク要素3の内径Dhは、ステム4の直径Dsに等しくてもよく、それにより、渦巻形状のヒートシンクは、互いに反対側の端部301、302だけではなく、互いに反対側の端部301、302の間の位置においても、ステムに直接固定されることができる。
【0068】
ヒートシンク要素3の長さLh、及びLEDフィラメント2の長さLfは、1.2Lf>Lh>0.8Lf、又は1.1Lf>Lh>0.9Lf、又はLh=Lfを満たしてもよい。
【0069】
更には、
図3を参照すると、組立体として統合されているヒートシンク要素3及びLEDフィラメント2は、長さLhfを有する。長さLhfは、長手方向軸LA及びステム4と平行な方向、それゆえまたステム4の長さLsとも平行な方向における、ヒートシンク要素3とLEDフィラメント2との組立体の伸長である。ステム4の長さLsは、長さLhfよりも大きくてもよい。
【0070】
更なる可能な寸法としては、以下が挙げられる。
【0071】
ヒートシンク要素3の長さLhは、5cm、8cm、又は10cmよりも大きく、例えば15cmなどであってもよい。
【0072】
ヒートシンク要素3の厚さThは、4mm、3mm、又は2mmよりも小さく、例えば1mmなどであってもよい。
【0073】
ヒートシンク要素3の幅Whは、7mm、10mm、又は12mmよりも大きく、例えば15mmなどであってもよい。
【0074】
LEDフィラメント2の長さLfは、5cm、8cm、又は10cmよりも大きく、例えば15cmなどであってもよい。
【0075】
LEDフィラメント2の厚さTfは、5mm~1mm、4mm~1.5mm、又は3mm~1.8mm、例えば2mmなどであってもよい。
【0076】
LEDフィラメント2の幅Wfは、5mm~1mm、4mm~1.5mm、又は3mm~1.8mm、例えば2mmなどであってもよい。
【0077】
最後に、
図2は、本発明による発光デバイス1を備える照明器具12を、断面斜視図で示す。
【0078】
照明器具12は、ソケット8と、ソケット8に発光デバイス1を、またそれゆえLED5を機械的及び/又は電気的に接続するための、ベース若しくはキャップ7とを備える。ソケット8は更に、外部電源の端子への電気的接続のための、端子9を含み得る。ベース7は更に、発光デバイス1、特に発光デバイス1のステム4のための、取り付け支持部として役立ち得る。
【0079】
照明器具12は更に、発光デバイス1を部分的に又は完全に包囲する、外囲構造体又はバルブ10を備える。図示の実施形態では、外囲器又はバルブ10は、発光デバイス1から距離を置いて配置されている。あるいは、外囲器又はバルブ10は、渦巻形状であってもよく、発光デバイス1の渦巻状LEDフィラメント2は、バルブ10の渦巻特徴部内に、少なくとも部分的に埋め込まれて配置されてもよい。
【0080】
発光デバイス1及び/又は照明器具12は、ドライバ電子装置を更に備えてもよい。発光デバイス1及び/又は照明器具12は更にまた、LEDフィラメント2のLEDを個別に制御するための、コントローラを備えてもよい。
【0081】
照明器具12は、LEDフィラメント照明器具光を供給してもよく、LEDフィラメント照明器具光は、LEDフィラメント光を含む。照明器具12は更に、LEDフィラメント照明器具光を部分的に方向転換させるように構成されている、反射器を備えてもよい。
【0082】
当業者は、本発明が、上述の好ましい実施形態に決して限定されるものではない点を、理解するものである。むしろ、多くの修正形態及び変形形態が、添付の請求項の範囲内で可能である。
【0083】
更に、図面、本開示、及び添付の請求項を検討することにより、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者によって理解され、特許請求される発明を実施する際に遂行され得る。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利には使用され得ないことを示すものではない。