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特許7503133液体金属凝縮物で触媒された炭化水素熱分解
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】液体金属凝縮物で触媒された炭化水素熱分解
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/26 20060101AFI20240612BHJP
   B01J 35/27 20240101ALI20240612BHJP
   B01J 23/843 20060101ALI20240612BHJP
   B01J 23/06 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
C01B3/26
B01J35/27
B01J23/843 M
B01J23/06 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022532129
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020062787
(87)【国際公開番号】W WO2021113288
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】62/944,513
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/022,503
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】リヴェスト ジェシカ ルイス ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】デサイ ディブヤラジ
(72)【発明者】
【氏名】ボイセン デーン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パテカー アシッシュ ヴイ
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/099795(WO,A1)
【文献】米国特許第08137653(US,B1)
【文献】米国特許第01381098(US,A)
【文献】米国特許第01948345(US,A)
【文献】特開2016-198721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216827(US,A1)
【文献】米国特許第02050025(US,A)
【文献】米国特許第02125234(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 6/34
B01J 21/00 -38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器が触媒源蒸発器から第1の流れを受け取るように、触媒ガスを含む第1の流れを介して反応器に結合された触媒源蒸発器と、
反応器が炭化水素源から第2の流れを受け取るように、炭化水素ガスを含む第2の流れを介して反応器に結合された炭化水素源と、
冷却塔が反応器から第3の流れを受け取るように、水素、触媒液、固体炭素、触媒ガス、および未反応の炭化水素ガスを含む第3の流れを介して反応器に結合された冷却塔と
を備え、
冷却塔が、(a)水素および触媒ガスを含む第4の流れと、(b)触媒液を含む第5の流れとを含む排出流を有し、
第2の流れが、熱交換で冷却塔を通過する、システム。
【請求項2】
第1の分離器が冷却塔から第4の流れを受け取るように、第4の流れを介して冷却塔に結合された第1の分離器
をさらに備え、
第1の分離器が、(a)80体積%以上の水素を含む第6の流れと、(b)未反応の炭化水素ガスを含む第7の流れとを含む排出流を有し、
反応器が第1の分離器から第7の流れを受け取るように、第7の流れが第1の分離器を反応器に結合している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
触媒源蒸発器が冷却塔から第5の流れを受け取るように、第5の流れが冷却塔を触媒源蒸発器に結合している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
触媒が金属である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
金属が、1,500℃以下の沸点を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
触媒が塩である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
触媒ガスを含む第1の流れを反応器に提供する触媒源蒸発器と、
炭化水素ガスを含む第2の流れを反応器に提供する炭化水素源と、
水素、触媒液、固体炭素、触媒ガス、および未反応の炭化水素ガスを含む第3の流れを反応器から受け取る冷却塔と
を備え、
冷却塔が、(a)水素および触媒ガスを含む第4の流れと、(b)触媒液を含む第5の流れとを含む排出流を有し、
第2の流れが、熱交換で冷却塔を通過する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府が後援する研究開発に関する声明
本発明は、米国エネルギー省のエネルギー高等研究計画によって付与された授与番号DE-AR0001047のもと、政府の支援を受けて確立された。政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2019年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/944,513号の優先権を主張する。
【0003】
本開示は、水素(H2)製造に関する。
【背景技術】
【0004】
米国、そしてより広い国際社会は、スケーラブルな、CO2排出のない、エネルギー効率の良い、低コストの水素製造技術が欠如した状態にある。今日では、ほとんどの家庭用水素は、水蒸気メタン改質によって生成されている。水蒸気メタン改質の問題は、4molのH2ごとに1molのCO2を生成し、世界的な水蒸気メタン改質をもたらし、年間5億5000万トン超の二酸化炭素または世界の温室効果ガス排出量の約3%を排出することである。CO2の回収および隔離を伴う水蒸気メタン改質が検討されている一方で、これを商業的に実行可能な手法にするための重要な課題が残っている。増大する水素需要に応え、必要な地球規模の温室効果ガス排出量を削減して、壊滅的な地球規模の気候の行く末を防ぐために、スケーラブルな、コスト競争力のある、カーボンフリーの水素製造の必要性が、これまでにないほど高まっている。
【0005】
CO2排出のない水素を生成するための2つの最先端のアプローチは、水電気分解および炭化水素熱分解である。しかしながら、どちらも根本的なレベルで経済的な不利益を被る。水電気分解の場合、供給原料は水および電気であり、平均的な米国の送電網の電力コストを0.07$/kWhであると想定すると、水素の理論上の最小コストは2.29$/kgである。炭化水素熱分解(特に、メタン熱分解)の場合、天然ガスのコストが3.00$/MMBtuであり、ガスが反応エンタルピーも提供すると想定すると、水素の理論上の最小コストは0.68$/kgである。一方、水蒸気メタン改質には化学量論的な利点があり、水素製造の理論上の最小コストは0.40$/kgである。
【0006】
水蒸気メタン改質と競争力のあるコストで水素を製造するためには、メタン熱分解プロセスは、より低い資本コストをもたらす高い反応器スループット(またはガス毎時空間速度もしくはGHSV)を呈する必要がある。一般に、水蒸気メタン改質は、約3,000h-1の反応器スループットを有する。
【0007】
研究者は、現在、気泡塔反応器を使用する炭化水素熱分解プロセスを開発しており、このプロセスでは、メタンが溶融触媒を通してバブリングされ、それによって、炭化水素が液体/気体界面で分解(または熱分解)されて、水素ガスおよび固体炭素が生成される。残念なことに、気泡塔反応器のスループットは、根本的に、気泡の直径(触媒表面積)と気泡の上昇時間(rise time)(空間速度)との間の反比例の関係によって制限されている。Upham等によって開発されたメタン熱分解モデルに基づくと、気泡塔反応器の達成可能な最大空間速度は約400h-1であり、その結果、高い資本コストおよび競争力のない水素製造コストが生じる。したがって、高い空間速度の可能性を有する代替的な炭化水素熱分解アプローチが商業的に実行可能である必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本出願は、液体金属凝縮を使用するメタン熱分解に関する。
【0009】
本発明のいくつかの態様は、触媒源を蒸発させて、触媒ガスを生成することと、触媒ガスを凝縮して、気相中に懸濁された触媒液滴を含む触媒蒸気を生成することと、触媒蒸気を炭化水素ガスと接触させて、炭化水素ガスを水素ガスおよび炭素にする分解反応を触媒することとを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様は、反応器が触媒源蒸発器から第1の流れを受け取るように、触媒ガスを含む第1の流れを介して反応器に結合された触媒源蒸発器と、反応器が炭化水素源から第2の流れを受け取るように、炭化水素ガスを含む第2の流れを介して反応器に結合された炭化水素源と、冷却塔が反応器から第3の流れを受け取るように、水素、触媒液、固体炭素、任意に触媒ガス、および任意に未反応の炭化水素ガスを含む第3の流れを介して反応器に結合された冷却塔とを備え、冷却塔が、(a)水素および任意に触媒ガスを含む第4の流れと、(b)触媒液を含む第5の流れとを含む排出流を有する、システムを提供する。
【0011】
以下の図は、実施形態の特定の態様を説明するために含まれているのであって、排他的な実施形態であると考えられるべきではない。開示されている主題は、当業者であれば思い付くように、かつ本開示の利益を有するように、形態および機能において、かなりの修正、変更、組み合わせ、および同等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書に記載の炭化水素熱分解アプローチの一部を図示している。
図2】本開示の炭化水素熱分解法の非限定的な例を図示している。
図3】本開示の非限定的な例示的システムを図示している。
図4】温度の関数としての、ニッケル-ビスマス触媒の存在下での分解反応の収集されたデータ(点線の傾向線を有する円)および既知(破線)の速度定数のプロットである。
図5】温度の関数としてのニッケル-ビスマス触媒または亜鉛触媒の存在下での分解反応の速度定数のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および科学用語は、当技術分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、定義を含む本文書が優先される。好ましい方法および材料を以下に記載するが、本開示の実践または試験において、類似または同等の方法および材料を使用することができる。本明細書に開示されている材料、方法、および物品は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0014】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないと示されない限り、複数の指示物を含む。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む」という用語は、「からなる」および「から本質的になる」の実施形態を含み得る。本明細書で使用される場合、「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有するcontain(s)」という用語、およびそれらの変形形態は、挙げられた要素またはステップの存在を必要とし、かつ他の要素またはステップの存在を許容する、オープンエンドな移行句であると意図されている。しかしながら、そのような説明は同様に、組成物、混合物、またはプロセスを、列挙されている要素またはステップ「からなる」および「から本質的になる」として説明するとも解釈されるべきであり、それによって、挙げられた要素またはステップのみが、そこから生じ得る不純物と一緒に存在することが可能になり、他の要素またはステップが除外される。
【0016】
反対のことが示されない限り、本明細書の数値は、同数の有効数字に減らしたときに同じである数値、および特定の値を決定するために使用されるタイプの従来の測定技術の実験誤差よりも少なく記載値から異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0017】
本明細書に開示されているすべての範囲は、列挙されている終点を含み、独立的に組み合わせ可能である(例えば、「2~10」の範囲は、終点2および10、ならびにすべての中間値を含む)。本明細書に開示されている範囲の終点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されておらず、これらは、これらの範囲および/または値に近い値を含むほど十分に正確ではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、近似的な言い回しは、それが関連する基本機能の変化を生じさせることなく変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。結果的に、「約」および「実質的に」などの用語で修飾された値は、いくつかの場合では、指定された正確な値に限定されない場合がある。また、「約」という修飾語は、2つの終点の絶対値によって定義される範囲を開示するものとも考慮されるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示している。「約」という用語は、示されている数値のプラスマイナス10%を指し得る。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し得て、「約1」は、0.9~1.1を意味し得る。
【0019】
本明細書における数値範囲の列挙については、同程度の精度でその間にある各介在値が明示的に企図されている。例えば、6~9の範囲の場合、6および9に加えて、7および8の数字が企図されており、6.0~7.0の範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数字が明示的に企図されている。
【0020】
本明細書で使用される場合、「凝縮する(condense)」、「凝縮する(condensing)」という用語およびそれらの文法的な変形形態は、気体から液体への相変化を指すが、前記相変化を受ける材料のパーセンテージを包含するものではない。例えば、触媒ガスは、(例えば液滴としての)液相の触媒を含む触媒蒸気へと凝縮可能であり、気相の触媒をなおも含んでいてもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「触媒蒸気」という用語は、気体中に懸濁された液体触媒液滴を指し、これは、気相の触媒を含んでいても、含んでいなくてもよい。触媒蒸気を用いた反応を説明する場合、反応は、気相の触媒および/または液相の触媒を用いて起こり得る。
【0022】
本開示の方法は、触媒ガスから凝縮された触媒液滴を使用して、熱分解反応を介した水素ガスおよび炭素への炭化水素分解を触媒する。理論に限定されるものではないが、本明細書に提示されているアプローチは、ナノメートルサイズの触媒液滴を含む触媒蒸気へと凝縮される触媒ガス(例えば、亜鉛ガスのような金属ガス)を生成する。液滴のサイズが小さいため、触媒表面積は大きい。炭化水素ガスは触媒液滴と接触し、それによって、水素ガスおよび炭素への炭化水素の分解が触媒される。
【0023】
図1は、本明細書に記載の炭化水素熱分解アプローチの一部を図示している。まず、触媒ガス[触媒(g)]が凝縮して、触媒液[触媒(l)]の液滴になる。液体への触媒ガスの凝縮は、発熱性であり(熱を放出する)、エンタルピーにおいて負の変化を有する。次いで、図示されているように、触媒液は、炭化水素ガスの分解を触媒して、固体炭素および水素を形成する。しかしながら、この図は、気相触媒も分解反応を触媒することを排除するものではない。
【0024】
炭化水素熱分解の反応熱は正であり、したがって吸熱性であり(熱を吸収する)、エンタルピーにおいて正の変化を有する。この場合も、理論に制限されるものではないが、触媒ガスを触媒液へと凝縮する発熱プロセスが熱分解反応を進めるのに十分な熱を提供するように、触媒、炭化水素、および反応器条件(例えば、圧力および温度)を選択することができると考えられる。例えば、亜鉛の凝縮エンタルピー(900℃および0.5barの分圧)は約-115kJ/molのエネルギーであるが、亜鉛で触媒した熱分解のメタン反応熱は、わずか約75kJ/molのエネルギーである。したがって、この方法の凝縮部分によって、熱を熱分解反応に提供することができ、これには、追加の反応器熱導入が大幅に削減されるため、反応器の熱管理を簡素化し、反応器コストを削減する可能性がある。
【0025】
さらに、理論によって制限されるものではないが、霧中の水滴が近くの水滴との最小限の合体を伴って懸濁されるのと同様に、蒸発とそれに続く触媒の凝縮によって、触媒蒸気中の液滴を、近くの液滴との最小限の相互作用を伴って気相中に懸濁させることが可能になる。対照的に、噴霧のような他の液滴形成方法は、液滴に運動量を持たせて、それによって、より大きな液滴への急速な合体が促進される。さらに、本開示の方法は、炭化水素ガスを懸濁キャリア流体として使用して、触媒液滴の合体を促進し得る乱流を最小限に抑えるかまたは全く発生させずに、触媒蒸気を反応域にわたって動かす。結果的に、高密度の触媒液滴を、本開示の凝縮アプローチを使用して達成することができ、これは、触媒液滴の小さなサイズと組み合わさって、触媒表面積および全体的なプロセス収率をさらに増加させる。
【0026】
図2は、本開示の炭化水素熱分解法100の非限定的な例を図示している。触媒源102を蒸発104させて、触媒ガス106を生成する。分解反応に対して不活性なキャリアガス(例えば、アルゴン、窒素など、およびそれらの任意の組み合わせ)を蒸発に含めてもよい。
【0027】
本明細書に記載の方法での使用に適した触媒は、好ましくは、約1,500℃以下(または約500℃~約1,500℃、または約550℃~約1,400℃、または約600℃~約1,200℃)の沸点を有する。触媒の例としては、金属、塩、イオン液体などが挙げられるが、これらに限定されることはない。金属触媒の例としては、セシウム、セレン、ルビジウム、カリウム、カドミウム、ナトリウム、亜鉛、ポロニウム、テルル、マグネシウム、イッテルビウム、リチウム、ストロンチウム、タリウム、カルシウムなど、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。好ましい金属触媒としては、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。適した塩触媒は、(a)アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、または別の金属カチオンと、(b)硝酸アニオン、クエン酸アニオン、ハロゲン化物アニオン、シアン化物アニオン、および水素化物アニオンなどのアニオンとを含む、塩であり得る。塩触媒の具体例としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、フッ化カリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛など、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0028】
触媒ガス106の温度は、触媒の沸点よりも高い。好ましくは、触媒ガス106の温度は、触媒の沸点よりも、約5℃~約500℃(または約5℃~約50℃、または約50℃~約100℃、または約100℃~約250℃、または約200℃~約500℃)高い。
【0029】
次いで、触媒ガス106を凝縮108して、触媒液滴を含む触媒蒸気110を形成する。凝縮は、触媒ガス106の温度を下げることによって達成され、これは、様々な方法によって達成することができる。例えば、反応器は、触媒ガス106が触媒ガス106よりも十分に冷たい反応器の部分を通過して、触媒蒸気110を生成するように設計され得る。別の例では、触媒ガス106を、触媒ガス106の凝縮108を推進するのに十分低い温度にある炭化水素ガス112と接触させる114(例えば、混合する)ことができる。この例では、炭化水素ガス112は、触媒の沸点よりも、約5℃~約500℃(または約5℃~約50℃、または約50℃~約100℃、または約100℃~約250℃、または約200℃~約500℃)低くできる。
【0030】
触媒ガス106の圧力は、触媒液滴のサイズおよび触媒液滴の密度に影響を与え得て、圧力が高いほど、触媒液滴の密度が高くなり得る。触媒ガス106の圧力は、約1bar~約200bar(または約1bar~約25bar、または約10bar~約100bar、または約75bar~約200bar)であり得る。
【0031】
触媒蒸気110は、約5nm~約10,000nm(または約5nm~約150nm、または約10nm~約250nm、または約250nm~約1,000nm、または約1,000nm~約10,000nm)の直径を有する触媒液滴を含み得る。さらに、触媒蒸気110は、触媒蒸気110の約60体積%以下(または約0.1体積%~約60体積%、または約0.1体積%~約5体積%、または約0.1体積%~約10体積%、または約5体積%~約30体積%、または約25体積%~約50体積%)が触媒液滴(または触媒液)であるように、触媒液滴を含み得る。結果的に、触媒蒸気110の触媒面密度は、約30,000m2/m3(または約1,000m2/m3~約30,000m2/m3、または約1,000m2/m3~約10,000m2/m3、または約5,000m2/m3~約20,000m2/m3、または約15,000m2/m3~約30,000m2/m3)もの高さであり得る。
【0032】
高い触媒表面積を有することによって、より高いガス毎時空間速度が可能になり、それによって、本明細書に記載の方法の商業的な実行性の可能性が改善され得る。本明細書に記載の方法は、約1,000h-1~約100,000h-1(または約1,000h-1~約10,000h-1、または約1,000h-1~約5,000h-1、または約5,000h-1~約25,000h-1、または約25,000h-1~約100,000h-1)のガス毎時空間速度で実施され得る。この場合も、より高い触媒面密度は、少なくとも部分的に、より高い必要なガス毎時空間速度に寄与する。
【0033】
触媒蒸気110および炭化水素ガス112は、触媒(気相および/または液相)が炭化水素ガス112の分解反応116を触媒するように反応する。図2は、触媒蒸気110の形成中に接触している炭化水素ガス112および触媒(気相および/または液相)を図示している。しかしながら、炭化水素ガス112は、蒸発時、凝縮中、凝縮後、およびそれらの任意の組み合わせを含む、反応116の前の任意の時点でプロセスに導入されてもよい。例えば、炭化水素ガス112は、複数の箇所でプロセスに導入され得る。
【0034】
炭化水素ガス112は、C1-C20アルカン(線状、分岐状、および/または環状)、C1-C20アルケン(線状、分岐状、および/または環状)、C1-C20アルキン(線状、分岐状、および/または環状)、C6-C20アレーン、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、炭化水素ガスは、メタン、エタン、および/またはプロパンを含み得る。炭化水素ガス112に適した炭化水素源の例としては、天然ガス、液化石油ガス、ナフサ、ディーゼル、軽質原油、重質原油、オイルサンド、シェールオイル、木材、石炭、バイオマス廃棄物、有機廃棄物、その蒸留留分、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0035】
一般に、触媒分解反応116は、二酸化炭素の生成を最小限に抑えるために、反応性酸素含有化合物がほとんどまたは全く存在しない状態で起こる。例えば、触媒(気相および/または液相)が曝される気相は、好ましくは、分解反応で反応して二酸化炭素を生成する酸素含有化合物を、累積して約1体積%未満(または0体積%~約1体積%、または約0.01体積%~約0.1体積%)有する。そのような酸素含有化合物としては、酸素(O2)、一酸化炭素、水など、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0036】
水素と、触媒液滴と、任意に触媒ガスと、炭素とを含む触媒蒸気118をさらに凝縮して、気体成分122(例えば、水素ガス、任意に未反応の炭化水素ガス、および任意に触媒ガス)を、炭素と触媒液とを含む固体/液体混合物124から分離120する。
【0037】
気体成分122中の水素を、例えば凝縮器および/または他の分離器を用いて他の成分からさらに分離することができる。
【0038】
次いで、固体炭素128を、機械的分離(例えば、濾過、重量、サイクロンなど)および/または熱分離(例えば、触媒の蒸発による)を含む既知の方法によって混合物124から分離することができる。例えば、亜鉛のような高蒸気圧触媒によって、固体炭素から触媒を蒸発させる誘導加熱法がより効率的になる。さらに、そのような方法によって触媒に熱が加えられ、それによって、触媒が再循環されて触媒源102に戻される場合に下流の蒸発に必要な追加の熱が低減される。
【0039】
次いで、触媒液130を再循環132させて、触媒源102に戻すことができる。再循環132手順の前の分離126の代わりに、混合物124を触媒源102に再循環134させることができ、炭素138を触媒源102から分離136することができる。
【0040】
好ましくは、触媒は、(a)炭素および触媒が反応または合金形成しないように、かつ(b)炭素が触媒液に溶解しないように選択され、それによって、炭素が(例えば、スラグ、炭素繊維、グラフェン、ダイヤモンド、ガラス状炭素、高純度グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、コークス、活性炭など、およびそれらの任意の組み合わせとして)必然的に固相で存在することが可能になり、これを液体形態の触媒から分離することができる。混合物124または触媒源102からの炭素128,138の分離は、濾過、重量分離(gravimetric separation)、浮遊固体炭素の機械的除去、サイクロン分離など、およびそれらの任意の組み合わせによって達成することができる。
【0041】
図3は、本開示の非限定的な例示的システム200を図示している。
【0042】
本明細書で使用される場合、流れを介して結合されたシステムの構成要素を説明する際に、結合とは、流体および/または固体が、ある構成要素から別の構成要素へと、または構成要素間を移動または輸送可能であることを指す。結合を横切るとき、流体および/または固体は、システムを操作する際の適切な操作および安全措置を確実にする、ライン、パイプ、ポンプ、コンベヤ、オーガ、押出機、コネクタ、熱交換器、バルブ、マスフローコントローラなどのような機器を通って移動し得る。単一の流れを使用して結合を説明するが、この流れは、複数のライン、パイプなどとして物理的に実装されていてもよく、前記流れに沿って追加の機器を含み得る。さらに、当業者に明らかであるように、この非限定的な例に図示されているシステム200は、本明細書に記載の方法の適切かつ安全な操作のために、圧縮機、膜、バルブ、流量計、熱交換器、捕捉器などのような追加の構成要素を含み得る。
【0043】
システム200は、流れ204を介して反応器206に結合された触媒源蒸発器202を含む。触媒源蒸発器202は、その内部の触媒源を蒸発させて触媒ガスを生成し、この触媒ガスは、流れ204を介して反応器206に運ばれる。分解反応に対して不活性なキャリアガス(例えば、アルゴン、窒素など、およびそれらの任意の組み合わせ)を流れ204に含めてもよい。
【0044】
システム200はまた、流れ210を介して反応器206に結合された炭化水素源208も含む。図示されているように、流れ210は、流れ210中の炭化水素を加熱する冷却塔212を通過する。炭化水素源208は、パイプライン、タンク、トラックタンク、蒸留塔などであり得る。炭化水素源208からの炭化水素が反応器206に導入されるとき、炭化水素は、炭化水素ガスであるべきである。
【0045】
図示されているように、炭化水素ガスは、触媒ガスの下流の反応器206に導入される。しかしながら、代替的な実施形態では、炭化水素ガスは、触媒ガスの上流に、またはこれと並列的に導入してもよい。
【0046】
図2に記載されているように、反応器内で、触媒ガスは触媒蒸気になり、炭化水素ガスと反応する。炭化水素ガスは、触媒蒸気中の触媒液滴の合体を促進し得る乱流または渦の形成を軽減するような手法で反応器に導入されるべきである。
【0047】
これらは、水素および固体炭素を生成するための触媒(気相および/または液相)を有する炭化水素ガス反応器である。したがって、反応器206からの排出流214は、水素、触媒(気相および/または液相)、および炭素固体を含み、未反応の炭化水素ガスおよび/または反応副生成物および/またはキャリアガスをさらに含み得る。流れ214は、反応器を冷却塔212に流体結合している。冷却塔内で、触媒は、凝縮して液体になり、触媒は、流れ214の他の気相成分(水素、未反応の炭化水素ガス、反応副生成物、および/またはキャリアガス)から分離される。しかしながら、一部の触媒は、気体形態で残り得る。冷却塔212の底部の触媒液および固体炭素プール、ならびに気相成分は、流れ216を介して塔212から出る。流れ216は、冷却塔212を分離器218に結合している。分離器218は、他の成分から水素を分離して、水素流222と、未反応の炭化水素、反応副生成物(存在する場合)、キャリアガス(存在する場合)、および/または触媒ガス(存在する場合)を含む流れ220とを生成する。分離器218内では、触媒ガスは、存在する場合、凝縮して触媒液になることもでき、それによって、触媒源蒸発器202にまたは触媒液が存在する別の流れもしくは成分に再循環して戻ることが可能な別の流れ(図示せず)が生成されるであろう。分離器218は、凝縮、濾過、および/または他の適した原理を介して動作し得る。
【0048】
図示されているように、流れ220は、流れ220の成分のさらなる反応のために、分離器218を反応器206に結合している。しかしながら、本明細書に記載のシステムおよび方法では、再循環は必須ではない。
【0049】
水素を含む流れ222は、必要に応じて、圧縮、貯蔵、および/または輸送することができる。流れ222は、80体積%以上(または80体積%~100体積%、または90体積%~100体積%、または95体積%~99.5体積%)の水素を含み得る。
【0050】
冷却塔212の底部にプールされている触媒液および固体炭素も分離される。触媒液および固体炭素を分離する方法および/またはシステムは、触媒、溶解度、ならびに/または触媒と炭素との合金化、触媒液および固体炭素の相対密度、ならびに他の要因に依存する。図示されているシステム200では、固体炭素は、触媒液に可溶ではなく、固体炭素は、触媒液よりも低い密度を有する。したがって、固体炭素は、プールされている触媒液および固体炭素に浮かぶ。そして、プールされている材料の頂部部分が、流れ226を介して塔212から抜き取られる。流れ226は、冷却塔212を分離器228に流体結合している。分離器228は、蒸発、濾過、および/または他の適した原理を介して動作して、固体炭素から触媒を分離して、固体炭素を含む流れ230および触媒を含む流れ232を生成することができる。
【0051】
図示されているように、流れ232は、分離器228を触媒源蒸発器202に結合している。しかしながら、本明細書に記載のシステムおよび方法では、再循環は必須ではない。流れ232は、80体積%以上(または80体積%~100体積%、または90体積%~100体積%、または95体積%~99.5体積%)の触媒液を含み得る。
【0052】
固体炭素を含む流れ230は、必要に応じて、貯蔵および/または輸送することができる。流れ230は、80体積%以上(または80体積%~100体積%、または90体積%~100体積%、または95体積%~99.5体積%)の固体炭素を含み得る。
【0053】
再び冷却塔212を参照すると、プールされている材料の底部は、固体炭素をほとんどまたは全く有しない触媒液であり、したがって、流れ224を介して触媒源蒸発器202に再循環させることができる。流れ224は、冷却塔212を触媒源蒸発器202に結合している。この場合も、本明細書に記載のシステムおよび方法では、再循環は、必須ではないが好ましい。流れ224は、80体積%以上(または80体積%~100体積%、または90体積%~100体積%、または95体積%~99.5体積%)の触媒液を含み得る。
【0054】
例示的な実施形態
条項1.触媒源を蒸発させて、触媒ガスを生成することと、触媒ガスを凝縮して、気相中に懸濁された触媒液滴を含む触媒蒸気を生成することと、触媒蒸気を炭化水素ガスと接触させて、炭化水素ガスを水素ガスおよび炭素にする分解反応を触媒することとを含む、方法。
【0055】
条項2.触媒液滴を収集して、炭素と触媒液との混合物を生成することと、触媒液から炭素を分離することとをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0056】
条項3.触媒液から炭素を分離することが、炭素から触媒液を蒸発させることを含む、条項2に記載の方法。
【0057】
条項4.触媒液を蒸発のために触媒源に再循環させることをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0058】
条項5.触媒液滴を凝縮して、炭素と触媒液との混合物を生成することと、混合物を蒸発のために触媒源に再循環させることと、触媒源から炭素を分離することとをさらに含む、条項1または条項2または条項3または条項4に記載の方法。
【0059】
条項6.凝縮前の触媒ガスが、触媒の沸点よりも、約5℃~約500℃高い温度にある、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5に記載の方法。
【0060】
条項7.触媒ガスを凝縮することが、触媒ガスを炭化水素ガスに曝すことを含み、炭化水素ガスが、触媒の沸点未満の温度にある、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6に記載の方法。
【0061】
条項8.炭化水素ガスの温度が、触媒の沸点よりも、約5℃~約500℃低い、条項7に記載の方法。
【0062】
条項9.触媒が金属である、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8に記載の方法。
【0063】
条項10.金属が、1,500℃以下の沸点を有する、条項9に記載の方法。
【0064】
条項11.金属が、セシウム、セレン、ルビジウム、カリウム、カドミウム、ナトリウム、亜鉛、ポロニウム、テルル、マグネシウム、イッテルビウム、リチウム、ストロンチウム、タリウム、カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせを含む、条項9に記載の方法。
【0065】
条項12.触媒が塩である、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8に記載の方法。
【0066】
条項13.塩が、(a)アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、または別の金属カチオンと、(b)硝酸アニオン、クエン酸アニオン、ハロゲン化物アニオン、シアン化物アニオン、および水素化物アニオンからなる群から選択されるアニオンとの組み合わせを含む、条項12に記載の方法。
【0067】
条項14.触媒がイオン液体である、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8に記載の方法。
【0068】
条項15.触媒液滴が、約5nm~約10,000nmの直径を有する、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14に記載の方法。
【0069】
条項16.触媒液滴が、約5nm~約150nmの直径を有する、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15に記載の方法。
【0070】
条項17.触媒蒸気が、触媒蒸気の約60体積%以下が触媒液滴であるように、触媒液滴を含む、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16に記載の方法。
【0071】
条項18.触媒蒸気が、約1,000m2/m3~約30,000m2/m3の触媒面密度を有する、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16または条項17に記載の方法。
【0072】
条項19.約1,000h-1~約100,000h-1のガス毎時空間速度で実施される、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16または条項17または条項18に記載の方法。
【0073】
条項20.炭化水素ガスが、天然ガス、液化石油ガス、ナフサ、ディーゼル、軽質原油、重質原油、オイルサンド、シェールオイル、木材、石炭、バイオマス廃棄物、および有機廃棄物、それらの蒸留留分、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される供給源を有する、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16または条項17または条項18または条項19に記載の方法。
【0074】
条項21.炭化水素ガスが、C1-C20アルカン、C1-C20アルケン、C1-C20アルキン、およびC6-C20のアレーンからなる群から選択される1つ以上を含む、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16または条項17または条項18または条項19または条項20に記載の方法。
【0075】
条項22.気相が、分解反応で反応して二酸化炭素を生成する酸素含有化合物を0体積%~約1体積%含む、条項1または条項2または条項3または条項4または条項5または条項6または条項7または条項8または条項9または条項10または条項11または条項12または条項13または条項14または条項15または条項16または条項17または条項18または条項19または条項20または条項21に記載の方法。
【0076】
条項23.反応器が触媒源蒸発器から第1の流れを受け取るように、触媒ガスを含む第1の流れを介して反応器に結合された触媒源蒸発器と、反応器が炭化水素源から第2の流れを受け取るように、炭化水素ガスを含む第2の流れを介して反応器に結合された炭化水素源と、冷却塔が反応器から第3の流れを受け取るように、水素、触媒液、固体炭素、任意に触媒ガス、および任意に未反応の炭化水素ガスを含む第3の流れを介して反応器に結合された冷却塔とを備え、冷却塔が、(a)水素および任意に触媒ガスを含む第4の流れと、(b)触媒液を含む第5の流れとを含む排出流を有する、システム。
【0077】
条項24.第1の分離器が冷却塔から第4の流れを受け取るように、第4の流れを介して冷却塔に結合された第1の分離器をさらに備え、第1の分離器が、(a)80体積%以上の水素を含む第6の流れと、(b)未反応の炭化水素ガスを含む第7の流れとを含む排出流を有し、反応器が第1の分離器から第7の流れを受け取るように、第7の流れが第1の分離器を反応器に結合している、条項23に記載のシステム。
【0078】
条項25.触媒源蒸発器が冷却塔から第5の流れを受け取るように、第5の流れが冷却塔を触媒源蒸発器に結合している、条項23または条項24に記載のシステム。
【0079】
条項26.第2の分離器が冷却塔から第8の流れを受け取るように、触媒液および固体炭素を含む第8の流れを介して冷却塔に結合された第2の分離器をさらに備え、第2の分離器が、(a)80体積%以上の固体炭素を含む第9の流れと、(b)80体積%以上の触媒液を含む第10の流れとを含む排出流を有し、反応器が第1の分離器から第7の流れを受け取るように、第7の流れが第1の分離器を反応器に結合している、条項23または条項24または条項25に記載のシステム。
【0080】
条項27.第2の分離器が触媒液を蒸発させる、条項26に記載のシステム。
【0081】
条項28.第2の流れが、熱交換で冷却塔を通過する、条項23または条項24または条項25または条項26または条項27に記載のシステム。
【0082】
条項29.触媒ガスを含む第1の流れを反応器に提供する触媒源蒸発器と、炭化水素ガスを含む第2の流れを反応器に提供する炭化水素源と、水素、触媒液、固体炭素、任意に触媒ガス、および任意に未反応の炭化水素ガスを含む第3の流れを反応器から受け取る冷却塔とを備え、冷却塔が、(a)水素および任意に触媒ガスを含む第4の流れと、(b)触媒液を含む第5の流れとを含む排出流を有する、システム。
【0083】
条項30.冷却塔から第4の流れを受け取る第1の分離器をさらに備え、第1の分離器が、(a)80体積%以上の水素を含む第6の流れと、(b)未反応の炭化水素ガスを含む第7の流れとを含む排出流を有し、反応器が、第1の分離器から第7の流れを受け取る、条項29に記載のシステム。
【0084】
条項31.触媒源蒸発器が冷却塔から第5の流れを受け取る、条項29または条項30に記載のシステム。
【0085】
条項32.冷却塔から第8の流れを受け取る第2の分離器をさらに備え、第2の分離器が、(a)80体積%以上の固体炭素を含む第9の流れと、(b)80体積%以上の触媒液を含む第10の流れとを含む排出流を有し、反応器が、第1の分離器から第7の流れを受け取る、条項29または条項30または条項31に記載のシステム。
【0086】
条項33.第2の分離器が触媒液を蒸発させる、条項32に記載のシステム。
【0087】
条項34.第2の流れが、熱交換で冷却塔を通過する、条項29または条項30または条項31または条項32または条項33に記載のシステム。
【0088】
本発明の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましいまたは代表的な実施形態の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、決して本発明の範囲を制限または定義するように解釈されるべきではない。
【実施例
【0089】
メタンを水素および固体炭素にする分解に対する液体金属触媒の触媒活性を、気泡塔のセットアップを使用して評価した。メタンガスを溶融金属触媒に通してバブリングした。気泡サイズは、気泡速度に基づいて評価し、個々の気泡形成は、ロタメーターを使用して低流量で観察することができる。次いで、気泡サイズと、気泡直径および気泡速度の既知の関係性とに基づいて、気泡の上昇時間を評価する。次いで、気泡サイズの評価を使用して、触媒表面積および滞留時間を導出し、次いで、これらを使用して、液体金属触媒の反応速度(または触媒活性)を評価した。
【0090】
最初に、先の技法を、既知の触媒活性を有するニッケル-ビスマス触媒を使用して試験した。図4は、温度の関数としての、ニッケル-ビスマス触媒の存在下での分解反応の収集されたデータ(点線の傾向線を有する円)および既知(破線)の速度定数のプロットである。図示されているように、速度定数の一致が非常に近い。結果的に、次いでこの技法を液体亜鉛に適用した。
【0091】
図5は、温度の関数としてのニッケル-ビスマス触媒または亜鉛触媒の存在下での分解反応の速度定数のプロットである。これは、亜鉛がより低い温度でニッケル-ビスマス触媒と同様の触媒活性を有することを示している。プロットにさらに図示されているのは、亜鉛を工業規模の実装に適したものにするために必要な最小限の活性である。図示されているように、亜鉛は前記要件を上回り、これは、亜鉛が本明細書に記載の方法およびシステムに適した触媒であることを示している。
【0092】
したがって、本発明は、言及された目的および利点、ならびにそれに固有の目的および利点を達成するのに満足に適合している。先に開示されている特定の実施形態は、本発明が、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが同等の形で修正および実践可能であることから、単なる例示である。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本明細書に示されている構造または設計の詳細に制限は意図されていない。したがって、先に開示されている特定の例示的な実施形態は、変更、組み合わせ、または修正可能であり、そのようなすべての変形形態が、本発明の範囲および趣旨の範囲内にあると考慮されることは明らかである。本明細書に例示的に開示されている本発明は、本明細書に詳細には開示されていない要素および/または本明細書に開示されている任意の要素がない状態で実践することが適切にできる。組成物および方法は、様々な成分またはステップを「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、または「含む(including)」という観点で説明されているが、これらの組成物および方法はまた、様々な成分およびステップ「から本質的になる」またはこれら「からなる」ことも可能である。先に開示されているすべての数値および範囲は、多少異なる場合がある。下限および上限を有する数値範囲が開示されるときは常に、詳細には、その範囲内にある任意の数および任意の含まれる範囲が開示される。特に、本明細書に開示されている値のすべての範囲(「約a~約b」、または同等なものとして「およそa~b(from approximately a to b)」、または同等なものとして「およそa~b(from approximately a-b)」の形式)は、より広い範囲の値に包含されるすべての数値および範囲を示すものと理解されるべきである。また、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、特許請求の範囲における用語は、それらの明白な通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、本明細書では、それが導入する要素のうちの1つまたは1つより多くを意味するように定義されている。
図1
図2
図3
図4
図5