(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】複数の設備部分から成る生産設備、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240612BHJP
B21B 37/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B21B37/00 300
(21)【出願番号】P 2022568736
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2021062601
(87)【国際公開番号】W WO2021228927
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】102020206114.9
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クライン・カルステン・アンドレアス
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06842656(US,B1)
【文献】特開2019-145042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/197205(US,A1)
【文献】特開2001-318712(JP,A)
【文献】特開平06-290165(JP,A)
【文献】特許第5003483(JP,B2)
【文献】特許第4180960(JP,B2)
【文献】特許第4932294(JP,B2)
【文献】特許第6353442(JP,B2)
【文献】特開2014-38595(JP,A)
【文献】特許第6662109(JP,B2)
【文献】特開2017-194995(JP,A)
【文献】国際公開第2012/20468(WO,A1)
【文献】特許第5068637(JP,B2)
【文献】特表2022-548836(JP,A)
【文献】特許第6962868(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B21B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備部分(3)から成る生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)を制御するためのシステム(1)であって、
・
各設備部分(3)内に、設備部分(3)内のプロセスの監視及び制御及び/又は調整をするための設備オートメーション(4)を有し、
複数の設備部分(3)の設備オートメーション(4)は、互いに依存せず、複数の設備部分(3)の設備オートメーション(4)の間の情報交換は行なわれず、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する情報を有する、特に製造すべき製品のための目標基準を有する生産計画システム(5)を有し、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品のための
少なくとも1つの予測モデル(7)を生成するためのモデルジェネレータ(6)を有し、
予測モデル(7)は、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定し、モデルジェネレータ(6)は、少なくとも1つの予測モデル(7)の生成時に、
複数の設備部分(3)の監視の結果を考慮し、
・設備オートメーション(4)、生産計画システム(5)、及び、モデルジェネレータ(6)によって生成された予測モデル(7)のデータに基づいて生産設備(2)内の最適化された生産プロセスを決定するための生産オプティマイザ(8)を有し、生産オプティマイザ(8)は、生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、個々の設備部分(3)の生産技術的な仕様を考慮し、
・生産オプティマイザ(8)によって決定された最適化された生産プロセスに基づいて設備オートメーション(4)のための設定仕様を生成するための生産設備制御装置(9)を有すること、を特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
複数の設備部分(3)が、それぞれ、設備部分(3)内の、製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態を検出するためのセンサ(10)を有すること、を特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
更に、システム(1)の個々の構成要素のための中央データメモリ(14)を有し、システム(1)の個々の構成要素が、データにアクセスすること、及び、特にデータを適合させること、ができること、を特徴とする請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
目標基準が、厚さ、幅、長さ、重量、引張強度、降伏点、ヤング率、破断伸び、耐食性、異なる種類の表面欠陥の存在又は数、表面上又は材料内の亀裂の数、DWTT結果、シャルピー結果、延性破壊から脆性破壊への遷移温度、亜鉛層の層厚さ、パイプ肉厚、偏心率、ウェブ高さ、フランジ高さ、フランジ厚さ、プロファイル、平坦度等から選択されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
モデルジェネレータ(6)が、互いに異なる複数の予測モデル(7)を生成し、異なる予測モデル(7)が、例えば作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
プロセスオプティマイザ(8)が、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデル(7)を考慮すること、を特徴とする請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価を実施すること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響を決定すること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)の可能な設定値変更に関する情報、特に生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する情報を有すること、を特徴とする請求項8に記載のシステム(1)。
【請求項10】
プロセスオプティマイザ(8)が、複数の製品部分のために生産設備(2)内の生産プロセスを最適化すること、を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
複数の設備部分(3)から成る生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)を制御するための方法であって、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報を検出するステップを有し、
・
設備部分(3)内の生産プロセスを監視するステップを有し、
監視は、個々の設備部分(3)内の設備オートメーション(4)によって互いに依存せずに行なわれ、複数の設備部分(3)の設備オートメーション(4)の間の情報交換は行なわれず、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための
少なくとも1つの予測モデル(7)を生成するステップを有し、
予測モデル(7)は、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定し、複数の設備部分(3)の検出された情報が、少なくとも1つの予測モデル(7)の生成時に考慮され、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する検出された情報と、
設備部分(3)内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル(7)と、
個々の設備部分(3)の生産技術的なパラメータに基づいて生産設備(2)内の最適化された生産プロセスを決定するステップを有し、
・
設備部分(3)内のプロセスの制御及び/又は調整をするための設定仕様を生成及び実施するステップを有すること、を特徴とする方法。
【請求項12】
生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視が、センサ(10)によって行なわれ、好ましくは、生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視が、連続的に行なわれること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更に、中央データメモリ(14)内にデータ、特に、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報の検出に関するデータ、
・生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視に関するデータ、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル(7)の生成に関するデータ、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル(7)と、生産設備(2)の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分(3)の生産技術的なパラメータに基づいた生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定に関するデータ、及び/又は、
・生産設備(2)内の生産プロセスの制御及び/又は調整のための、特に設備部分(3)内のプロセスの制御及び/又は調整のための設定仕様の生成及び実施に関するデータ、を記憶するステップを有すること、を特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの予測モデル(7)の生成が、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づくこと、を特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
互いに異なる複数の予測モデル(7)を生成するステップを有し、これら異なる予測モデル(7)が、例えば、作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なること、を特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデル(7)を考慮すること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価が行なわれること、を特徴とする請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの予測モデル(7)が、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定すること、を特徴とする請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響をチェックすること、を特徴とする請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)の可能な設定値変更に関する情報、特に生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する情報を考慮すること、を特徴とする請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
複数の設備部分(3)を有する生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)であって、特に請求項11~20のいずれか1項に記載の方法を実施するために、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステムを有すること、を特徴とする生産設備(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設備部分から成る生産設備、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備を制御するためのシステム及び方法に関する。本発明は、特に、金属から成るスラブ、シート又はストリップ、ビーム又はパイプ並びにその予備製品を製造するための、又は、製品品質を保証しなければならない製造の範囲内の個々の作業ステップを実行するための製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の製造は、個々のプロセスの連続として行なわれる。これら個々のプロセスのため、その遵守が所望の製品特性の達成を保証するそれぞれ1つの又は複数の技術的パラメータが存在する。技術的な操作量の遵守は、種々の制御及び調整システムによって、一般には設備のオートメーションシステムによって保証されるべきである。
【0003】
技術的な設定仕様は、大抵は一連の理論的考察、シミュレーション、ラボ試験及び最後に個々の運転試験で確定される。そのようなレシピは、大抵は静的であり、生産シーケンス中に全く適合されないか、特別な場合にしかマニュアルでの介入によって適合されない。
【0004】
技術的な設定仕様の不順守又は不適切な選択に基づいて、工業生産内で製品の欠陥が生じ、その結果、製品は、最初に計画された注文に使用することができず、最悪の場合、商業的な利用に供することができなくなる。
【0005】
製造中の生産パラメータ及び/又は得られた品質の評価は、典型的にマニュアルで行なわれ、評価と技術的な設定仕様の間のカップリングは自動的には行なわれない。
【0006】
複数の設備部分を有する生産設備内での製品の製造を改善するため、米国特許第10365640号明細書は、個々の設備部分の間の関係を機械学習によって決定し、検出した品質パラメータに基づいて、設備制御に介入する制御ルール導き出すことを提案する。個々の設備部分のパラメータは、センサによって検出され、制御ルールは、設備部分内のアクチュエータを介して実現される。従って、設備制御への調整介入を含めた設備全体の監視が行なわれる。しかしながら、一般に設備制御が最適化されるのではなく、制御ルールの適合によって制御に介入されるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来技術を起点にして、本発明の根底にある課題は、複数の設備部分から成る生産設備内での生産を設備全体にわたって最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、複数の設備部分から成る生産設備、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備を制御するためのシステムであって、
・生産設備内の生産プロセスの監視及び制御及び/又は調整をするための、特に設備部分内のプロセスの監視及び制御及び/又は調整をするための設備オートメーションを有し、
・生産設備内で製造すべき製品に関する情報を有する、特に製造すべき製品のための目標基準を有する生産計画システムを有し、
・生産設備内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システムに従って今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデルを生成するためのモデルジェネレータを有し、モデルジェネレータは、少なくとも1つの予測モデルの生成時に、生産設備、特に複数の設備部分の監視の結果を考慮し、
・設備オートメーション、生産計画システム、及び、モデルジェネレータによって生成された予測モデルのデータに基づいて生産設備内の最適化された生産プロセスを決定するための生産オプティマイザを有し、生産オプティマイザは、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定時に、個々の設備部分の生産技術的な仕様を考慮し、
・生産オプティマイザによって決定された最適化された生産プロセスに基づいて設備オートメーションのための設定仕様を生成するための生産設備制御装置を有すること、を特徴とするシステムによって解決される。
【0010】
生産設備、特に生産設備の複数の設備部分は、生産設備内の生産プロセスの監視及び制御及び/又は調整をするため、特に設備部分内のプロセスの監視及び制御及び/又は調整をするために、それぞれ別個の設備オートメーションを備える。複数の設備部分の設備オートメーションは、互いに依存せず、複数の設備部分の設備オートメーションの間の情報交換は行なわれない。
【0011】
生産設備制御装置は、複数の設備部分の設備オートメーションのための設定仕様を生成する。生産設備制御は、従来技術では、生産設備の各設備部分のために別々に行なわれる。
【0012】
更に、生産設備は、通常は、生産設備内で製造すべき製品に関する情報を有する、特に製造すべき製品のための目標基準を有する生産計画システムを備える。この場合、生産計画システムは、好ましくは、生産設備全体にわたって、即ち全ての設備部分のために共に作動する。生産計画システムは、全体として生産設備内で、即ち全ての設備部分によって製造すべき製品に関する情報を含む。
【0013】
本発明によるシステムは、更に、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システムに従って今後製造すべき製品のための少なくとも1つの予測モデルを生成するためのモデルジェネレータを有する。予測モデルは、特に、現在又は今後製造すべき製品の目標基準のために重要な特性の予測に関する。この場合、モデルジェネレータは、少なくとも1つの予測モデルの生成時に、生産設備、特に複数の設備部分の監視の結果を考慮する。従って、モデルジェネレータによって生成された予測モデルは、生産設備内の現在及び今後の生産プロセスに関する予測、特に目標基準のために重要な製品特性の予測を、例えば製造プロセスに特徴的なプロセスパラメータによって示される製造プロセスの種類に基づいて提供する。予測モデルは、生産設備全体に関し、複数の設備部分が考慮される。
【0014】
モデルジェネレータは、例えば、設備オートメーションの、特に複数の設備部分のセンサデータ及び/又はアクチュエータデータを使用することができる。設備オートメーションのセンサデータの使用は、生成した予測モデルの予測の精度を改善するが、アクチュエータもしくは個々の制御又は調整システムのための技術的な設定仕様は、初期の生産段階で使用可能である。
【0015】
特に、少なくとも1つの予測モデルは、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。従って、予測モデルは、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。所定の確率により、製造された製品が意図した用途に適しているか、即ち、意図した製品品質を備えるか、を決定することができる。選択的に、予測モデルは、目標基準にとって重要な特性のための個々の値を予測することもできる。この場合、チェックは、例えば、目標基準にとって重要な特性のそれぞれの目標値からの間隔が決定されること、又は、この特性のための下又は上の限界値の超過が監視されることによって行なわれる。
【0016】
本発明によるシステムは、更に、設備オートメーション、生産計画システム、及び、モデルジェネレータによって生成された予測モデルのデータに基づいて生産設備内の最適化された生産プロセスを決定するための生産オプティマイザを有する。この場合、生産オプティマイザは、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定時に、個々の設備部分の生産技術的な仕様を考慮する。従って、生産設備の他のシステムの全ての情報を考慮する、生産プロセスの生産設備全体にわたる最適化が行なわれる。米国特許第10365640号明細書から知られた生産プロセスの制御と比べて、生産プロセスに定期的に介入するだけでなく、生産設備全体にわたる最適化が行なわれる。
【0017】
本発明によるバリエーションによれば、生産設備は、金属生産産業又は鉄鋼産業の設備である。
【0018】
本発明の別のバリエーションによれば、複数の設備部分は、電気アーク炉、高炉、転炉、レードル炉、真空レードル処理装置、連続鋳造設備、鋳造場、熱間圧延機、鋳造圧延設備、再加熱炉、酸洗場、冷間圧延機、焼鈍ライン、亜鉛メッキライン、錫メッキライン、塗装ライン、横分割及び縦分割ライン、パイプ圧延機、ビーム圧延機、ドロップ鍛造場、オープンダイ鍛造場、及び/又は、矯正機から、選択されている。
【0019】
本発明の好ましいバリエーションでは、複数の設備部分が、それぞれ、設備部分内の、製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態を検出するためのセンサを有する。従って、各設備部分内で、製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態が別々に検出され得る。製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態の検出は、適当なセンサによって行なわれる。特に、製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態の検出は、製品の製造中に連続的に行なわれる。しかしながら、所定の重要な特性の測定は、生産プロセスの最後にだけラボで、特に予め分離された試料で行なわれる。
【0020】
本発明の合目的なバリエーションによれば、複数の設備部分が、それぞれ、設備部部内の生産プロセスを適合させるためのアクチュエータを有する。アクチュエータは、設備オートメーションのための規準仕様を実現する。即ち、規準仕様は、設備部分のアクチュエータのための制御命令である。
【0021】
本発明によるバリエーションによれば、設備オートメーションは、複数の設備部分のセンサ及び/又はアクチュエータにアクセスする、及び/又は、複数の設備部分のセンサ及び/又はアクチュエータにデータを伝達する。
【0022】
本発明の有利なバリエーションでは、システムが、更に、システムの個々の構成要素のための中央データメモリを有し、システムの個々の構成要素が、データにアクセスすること、及び、特にデータを適合させること、ができる。従って、中央データメモリは、本発明によるシステムの個々の部分間、特に生産設備の複数の設備部分と、本発明によるシステムの上位の構成要素との間のデータの交換を簡素化する。中央データメモリは、生産設備のデジタルインフラストラクチャ内に配置すること、又は、いわゆるクラウドデータメモリとして外部に配置することができる。
【0023】
本発明の合目的なバリエーションによれば、目標基準が、厚さ、幅、長さ、重量、引張強度、降伏点、ヤング率、破断伸び、耐食性、異なる種類の表面欠陥の存在又は数、表面上又は材料内の亀裂の数、DWTT結果、シャルピー結果、延性破壊から脆性破壊への遷移温度、亜鉛層の層厚さ、パイプ肉厚、偏心率、ウェブ高さ、フランジ高さ、フランジ厚さ、プロファイル、平坦度等から選択されている。
【0024】
本発明の有利なバリエーションによれば、モデルジェネレータは、予測モデルを生成するために、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づく。
【0025】
本発明の特に有利なバリエーションでは、モデルジェネレータが、互いに異なる複数の予測モデルを生成し、異なる予測モデルが、例えば作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なる。特に、同じ目標基準のために、複数の予測モデルが生成され、これら予測モデルが、例えば、異なる当初のデータ(入力パラメータ)を考慮する。異なるセットの入力パラメータを有する異なる予測モデルが使用されることが合目的であり、これは、特に、製造中の異なる時点で、製品に関する異なるデータが利用可能である場合であり、これにより、予測モデルの幾つかは既に適用可能であるが、他の予測モデルのためには、必要な入力パラメータは、未だ完全には利用可能でないが、それは、これら入力パラメートを生成するプロセスステップは、未だ実施する必要がないからである。
【0026】
本発明による1つのバリエーションによれば、モデルジェネレータは、互いに異なる複数の予測モデルを作成するために、異なるセットの入力パラメータを使用することができる。これは、オートメーションの範囲内で設定仕様が存在する値(仕様量)であるか、生産プロセスから反応的に生じる測定値又は信号(測定データ)であり得る。合目的に、これら値は、プロセスステップ毎に集約され、これにより、仕様量しか使用しないために生産開始から既に利用可能な予測モデルが生成されるか、所定のプロセスステップの後に、予測モデルのために必要な全ての測定データが利用可能な予測モデルが生成される。これは、反応的な測定データが、時には、他の方法では検出可能でなく、従ってより正確な予測モデルを可能にしない情報を含むので有利であり得る。
【0027】
各セットの入力パラメータのために、一般に、例えば、ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、線形モデル、判別分析、ベイズ推定量、最近傍、非線形多変量回帰、スプラインのような多数の予測モデルを作成することができる。選択のために、評価の異なる指標を使用することができる。こうして、作成された予測モデルのリストから、オートメーションのための設定仕様の更新を行なうべき各ステップのために、オプティマイザを利用する予測モデルが選択される。評価の指標は、例えば、平均二乗誤差、平均絶対誤差、決定係数等であり得る。
【0028】
本発明の合目的なバリエーションによれば、プロセスオプティマイザが、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システムに従って今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデルを考慮する。
【0029】
生産プロセスの開始前には、当然、具体的な製品に関する測定データはない。従って、オプティマイザは、オートメーションの範囲内で設定仕様も存在する入力パラメータだけを使用する予測モデルを利用する。本来の最適化ステップ(合目的に境界条件を考慮した)により、設定値は、1つ又は複数の目標量の偏差が最小化されるか、目標量が有効範囲を逸脱する確率が最小化されるように、確定される。同種の別の最適化目標も実現可能である。生産プロセスは、このように特定した設定仕様をオートメーションの範囲内で利用し、制御及び調整システムが、設定仕様をできるだけ実現しようとする。
【0030】
第1のプロセスステップの間、オートメーションシステムによって、多数の測定データが検出される。これは、設定仕様も存在する量と別の測定データの両方が含まれる。一般に、様々の効果に基づいて、所定の値からの実際の値の偏差が生じる。これにより及び場合によっては、別の測定データも入力量として利用する予測モデルの使用によって、オプティマイザは、次のプロセスステップの開始前に、可能な他の予測モデルを利用して、後続のすべてのプロセスステップのための設定仕様を特定する。
【0031】
この過程は、最後のプロセスステップまで続けることができる。これにより、全体として、順守すべきすべての品質基準に関して、品質基準への仕様量の影響に関する現在最良の理解に従って、生産が最適化される。これにより、評価の引下げ又は苦情が減り、生産プロセスの経済性が改善される。
【0032】
製品が完成した後、少なくとも品質評価は、特に製品の試料が所定の品質特性に関してチェックされることによって行なわれるが、他の品質特性は、また、生産中に直接的に測定される。これは、製造される全ての製品に対してそうであり得るが、そうである必要はない。
【0033】
製品のための新たな品質評価が利用可能になり次第、モデルジェネレータは、新しい予測モデルを生成することを再開することができるが、それは、新たに追加された生産データ及び品質評価での因果関係に関する新たな知識が利用可能になるからである。一般に、このステップが各製品の後でではなく、複数の製造された製品の後で実施されれば十分である。
【0034】
予測モデルの定期的な更新により、変化する生産条件を考慮に入れることができ、最適化が常に現在の作用メカニズムに基づいて行なわれることが保証される。
【0035】
本発明の好ましいバリエーションでは、プロセスオプティマイザが、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価を実施する。複数の目標基準に関する最適化は、特に、個々の目標基準の間に関係がある場合に好ましい。1つの目標基準に関する最適化が同時に他の目標基準に影響を及ぼすことが、通常はその場合である。互いに関係するこれら目標基準は、最適化時に共に考慮すべきであるが、それは、さもなければ、1つの目標基準を別個に最適化する時に、これに関係する他の目標基準が、許容可能な値範囲から逸脱し得るからである。
【0036】
合目的なバリエーションによれば、評価は、以下の評価関数、即ち、平均絶対誤差、平均二乗誤差、目標基準からの偏差当たりの累積値損失、許容範囲から逸脱する確率等の1つに基づく。
【0037】
本発明の別の合目的なバリエーションによれば、プロセスオプティマイザは、線形又は二次プログラム、遺伝的最適化、Qテーブルによる強化学習、ニューラルネットワーク、シミュレーテッドアニーリング、メトロポリス、群アルゴリズム、ヒルクライミング、ラグランジュ乗算法等の方法に基づく。
【0038】
本発明の有利なバリエーションでは、プロセスオプティマイザが、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システムに従って今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響を決定する。即ち、プロセスオプティマイザは、設備オートメーションのための設定仕様の変更が、以下のことに、即ち、最適化の基礎である少なくとも1つもしくは複数の目標基準が所定の要求を満足することに通じるかどうかを決定する。
【0039】
本発明の特に有利なバリエーションによれば、プロセスオプティマイザが、生産設備、特に個々の設備部分の可能な設定値変更に関する情報を有する。プロセスオプティマイザは、好ましくは、生産設備、特に個々の設備部分によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する情報を有する。これにより、プロセスオプティマイザは、生産設備、特に設備部分によって実現可能な設定値変更を決定することができる。実現可能な設定値変更に基づいて、設備オートメーションのための設定仕様を作成し、設備オートメーションに転送することができる。変化率は、異なる製品間の交換にとって重要であるが、入力データ、これにより製品のボリュームに関する予測が変化する場合にとっても重要である。多くの場合、例えば、ストリップ状の製品のストリップ長さ又はストリップ幅に沿った変動である。この場合、オプティマイザによって異なるセットの設定値も生成することができるので、個々の製品セグメントのための目標基準が満たされる。最大変化率に基づく制限により、プロセスが一般に隣接する2つの製品セグメントのために著しく異なるようには行なえないことが考慮される。
【0040】
本発明の有利なバリエーションによれば、プロセスオプティマイザが、複数の製品部分のために生産設備内の生産プロセスを最適化する。これは、例えば、ストリップ状の製品の長さ又は幅にわたる部分であるか、ビーム状の製品のフランジ又はウェブのような領域であり得る。
【0041】
課題は、更に、複数の設備部分から成る生産設備、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備を制御するための方法であって、
・生産設備内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報を検出するステップを有し、
・生産設備、特に設備部分内の生産プロセスを監視するステップを有し、
・生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデルを生成するステップを有し、生産設備、特に複数の設備部分の検出された情報が、少なくとも1つの予測モデルの生成時に考慮され、
・生産設備内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデルと、生産設備の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分の生産技術的なパラメータに基づいて生産設備内の最適化された生産プロセスを決定するステップを有し、
・生産設備内の生産プロセスの制御及び/又は調整をするための、特に設備部分内のプロセスの制御及び/又は調整をするための設定仕様を生成及び実施するステップを有すること、を特徴とする方法によって解決される。
【0042】
本発明による方法によれば、製品の製造時、生産設備内で製造すべき製品に関する情報が検出される。これは、特に、製造すべき製品のための目標基準に関する。本発明による方法の意味及び目的は、生産設備の最適な利用時でも設定仕様の遵守をしつつ製品を製造することである。生産設備内で製造すべき製品に関する情報は、通常は生産計画システム内に格納されており、そこから問い合わせされるか、もしくはそこから受け取られる。この場合、生産計画システムは、好ましくは、生産設備全体にわたって、即ち全ての設備部分のために共に作動する。生産計画システムは、全体として生産設備内で、即ち全ての設備部分によって製造すべき製品に関する情報を含む。
【0043】
生産設備は、好ましくは、互いに依存しないが連続する複数の設備部分から成る。
【0044】
生産設備内の生産プロセスは、特に複数の設備部分内で監視される。監視は、例えば個々の設備部分内の設備オートメーション内で行なわれる。設備オートメーションは、生産設備内の生産プロセスの監視及び制御及び/又は調整をするために、特に設備部分内のプロセスの監視及び制御及び/又は調整をするために形成されている。複数の設備部分の設備オートメーションは、互いに依存せずに、複数の設備部分の設備オートメーション間の情報交換を行なわない。
【0045】
本発明による方法によれば、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための少なくとも1つの予測モデルが作成される。予測モデルは、特に、現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する。生産設備、特に複数の設備部分の検出された情報は、少なくとも1つの予測モデルの生成時に考慮される。従って、モデルジェネレータによって生成された予測モデルは、生産設備内の現在及び今後の生産プロセスに関する予測を提供する。予測モデルは、生産設備全体に関し、複数の設備部分が考慮される。
【0046】
モデルジェネレータは、例えば、設備オートメーションの、特に複数の設備部分のセンサ及び/又はアクチュエータデータを使用することができる。設備オートメーションのセンサデータの使用は、生成した予測モデルの予測の精度を改善するが、アクチュエータもしくは個々の制御又は調整システムのための技術的な設定仕様は、初期の生産段階で使用可能である。
【0047】
特に、少なくとも1つの予測モデルは、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。従って、予測モデルは、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。所定の確率により、製造された製品が意図した用途に適しているか、即ち、意図した製品品質を備えるか、を決定することができる。
【0048】
更に、本発明によれば、生産設備内で製造すべき製品に関する検出された情報、生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視、生成された少なくとも1つの予測モデル、及び、生産設備の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分の生産技術的なパラメータに基づいて、生産設備内の生産を調整する最適化された生産プロセスが決定される。従って、生産設備の他のシステムの全ての情報を考慮する、生産プロセスの生産設備全体にわたる最適化が行なわれる。米国特許第10365640号明細書から知られた生産プロセスの制御と比べて、生産プロセスに定期的に介入するだけでなく、生産設備全体にわたる最適化が行なわれる。
【0049】
最適化された生産プロセスに基づいて、生産設備内の生産プロセスの制御及び/又は調整のための設定仕様が生成及び実施される。これは、特に、生産設備の設備部分内のプロセスの制御及び/又は調整に関する。
【0050】
本発明によるバリエーションによれば、生産設備は、金属製造産業又は鉄鋼産業の設備である。
【0051】
本発明の別のバリエーションによれば、複数の設備部分は、電気アーク炉、高炉、転炉、レードル炉、真空レードル処理装置、連続鋳造設備、鋳造場、熱間圧延機、鋳造圧延設備、再加熱炉、酸洗場、冷間圧延機、焼鈍ライン、亜鉛メッキライン、錫メッキライン、塗装ライン、横分割及び縦分割ライン、パイプ圧延機、ビーム圧延機、ドロップ鍛造場、オープンダイ鍛造場、及び/又は、矯正機から選択されている。
【0052】
本発明の好ましいバリエーションでは、生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視が、センサによって行なわれる。特に好ましくは、生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視が、連続的に行なわれる。
【0053】
本発明の合目的なバリエーションによれば、生産設備内の生産プロセスの制御及び/又は調整、特に設備部分内のプロセスの制御及び/又は調整が、アクチュエータによって行なわれる。これにより、生成した設定仕様は、自動的に実施することができる。
【0054】
有利なバリエーションによれば、本発明による方法は、更に、中央データメモリ内にデータ、特に、
・生産設備内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報の検出に関するデータ、
・生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視に関するデータ、
・生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデルの生成に関するデータ、
・生産設備内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備、特に設備部分内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデルと、生産設備の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分の生産技術的なパラメータに基づいた生産設備内の最適化された生産プロセスの決定に関するデータ、及び/又は、
・生産設備内の生産プロセスの制御及び/又は調整のための、特に設備部分内のプロセスの制御及び/又は調整のための設定仕様の生成及び実施に関するデータ、を記憶するステップを有する。中央データメモリは、生産設備の個々の部分の間、特に生産設備の複数の設備部分と、本発明による方法を実施するために形成された本発明によるシステムの上位の構成要素との間のデータの交換を簡素化する。
【0055】
本発明の1つのバリエーションでは、目標基準は、厚さ、幅、長さ、重量、引張強度、降伏点、ヤング率、破断伸び、耐食性、異なる種類の表面欠陥の存在又は数、表面上又は材料内の亀裂の数、DWTT結果、シャルピー結果、延性破壊から脆性破壊への遷移温度、亜鉛層の層厚さ、パイプ肉厚、偏心率、ウェブ高さ、フランジ高さ、フランジ厚さ、プロファイル、平坦度等から選択されている。
【0056】
本発明の有利なバリエーションによれば、少なくとも1つの予測モデルの生成が、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づく。このような方法は、これら方法が、特にデータベースの増加と共に絶えず改善されるとの利点を有する。方法は、絶えずトレーニング、即ち改善することができ、これにより、作成される予測モデルの精度は、連続的に改善される。
【0057】
本発明による方法の特に有利なバリエーションによれば、方法が、互いに異なる複数の予測モデルを生成するステップを有し、これら異なる予測モデルが、例えば、作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なる。特に、同じ目標基準のために、複数の予測モデルが生成され、これら予測モデルが、例えば、異なる当初のデータ(入力パラメータ)を考慮する。異なるセットの入力パラメータを有する異なる予測モデルが使用されることが合目的であり、これは、特に、製造中の異なる時点で、製品に関する異なるデータが利用可能である場合であり、これにより、予測モデルの幾つかは既に適用可能であるが、他の予測モデルのためには、必要な入力パラメータは、未だ完全には利用可能でないが、それは、これら入力パラメータを生成するプロセスステップは、未だ実施する必要がないからである。
【0058】
本発明による1つのバリエーションによれば、互いに異なる複数の予測モデルを作成するため、異なるセットの入力変数を使用することができる。これは、オートメーションの範囲内で設定仕様が存在する値(仕様量)であるか、生産プロセスから反応的に生じる測定値又は信号(測定データ)であり得る。合目的に、これら値は、プロセスステップ毎に集約され、これにより、仕様量しか使用しないために生産開始から既に利用可能な予測モデルが生成されるか、所定のプロセスステップの後に、予測モデルのために必要な全ての測定データが使用可能な予測モデルが生成される。これは、反応的な測定データは、時には、他の方法では検出可能でなく、従ってより正確な予測モデルを可能にしない情報を含むので有利であり得る。
【0059】
各セットの入力パラメータのために、一般に、例えば、ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、線形モデル、判別分析、ベイズ推定量、最近傍、非線形多変量回帰、スプラインのような多数の予測モデルを作成することができる。選択のために、評価の異なる指標を使用することができる。こうして、作成された予測モデルのリストから、オートメーションのための設定仕様の更新を行なうべき各ステップのために、オプティマイザを利用する予測モデルが選択される。評価の指標は、例えば、平均二乗誤差、平均絶対誤差、決定係数等であり得る。
【0060】
本発明の合目的なバリエーションでは、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定時に、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデルが考慮される。これは、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して行なわれる。
【0061】
生産プロセスの開始前には、当然、具体的な製品に関する測定データはない。従って、最適化は、オートメーションの範囲内で設定仕様も存在する入力パラメータだけを使用する予測モデルを利用する。本来の最適化ステップ(合目的に境界条件を顧慮した)により、設定値は、1つ又は複数の目標量の偏差が最小化されるか、目標量が有効範囲を逸脱する確率が最小化されるように、確定される。同種の別の最適化目標も実現可能である。生産プロセスは、このように特定した設定仕様をオートメーションの範囲内で利用し、制御及び調整システムが、設定仕様をできるだけ実現しようとする。
【0062】
第1のプロセスステップの間、オートメーションシステムによって、多数の測定データが検出される。これは、設定仕様も存在する量と別の測定データの両方が含まれる。一般に、様々な効果に基づいて、所定の値からの実際の値の偏差が生じる。これにより及び場合によっては、別の測定データも入力量として利用する予測モデルの使用によって、オプティマイザは、次のプロセスステップの開始前に、可能な他の予測モデルを利用して、後続のすべてのプロセスステップのための設定仕様を特定する。
【0063】
この過程は、最後のプロセスステップまで続けることができる。これにより、全体として、順守すべきすべての品質基準に関して、品質基準への仕様量の影響に関する現在最良の理解に従って、生産が最適化される。これにより、評価の引下げ又は苦情が減り、生産プロセスの経済性が改善される。
【0064】
製品が完成した後、少なくとも品質評価は、特に製品の試料が所定の品質特性に関してチェックされることによって行なわれるが、他の品質特性は、また、生産中に直接的に測定される。これは、製造される全ての製品に対してそうであり得るが、そうである必要はない。
【0065】
製品のための新たな品質評価が利用可能になり次第、モデルジェネレータは、新しい予測モデルを生成することを再開することができるが、それは、新たに追加された生産データ及び品質評価での因果関係に関する新たな知識が利用可能になるからである。一般に、このステップが各製品の後でではなく、複数の製造された製品の後で実施されれば十分である。
【0066】
予測モデルの定期的な更新により、変化する生産条件を考慮に入れることができ、最適化が常に現在の作用メカニズムに基づいて行なわれることが保証される。
【0067】
本発明の好ましいバリエーションによれば、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価が行なわれる。複数の目標基準に関する最適化は、特に、個々の目標基準の間に関係がある場合に好ましい。1つの目標基準に関する最適化が同時に他の目標基準に影響を及ぼすことが、通常はその場合である。互いに関係するこれら目標基準は、最適化時に共に考慮すべきであるが、それは、さもなければ、1つの目標基準を別個に最適化する時に、これに関係する他の目標基準が、許容可能な値範囲から逸脱し得るからである。
【0068】
本発明の合目的なバリエーションによれば、評価は、以下の評価関数、即ち、平均絶対誤差、平均二乗誤差、目標基準からの偏差当たりの累積値損失、許容範囲から逸脱する確率等の1つに基づく。
【0069】
本発明の別の有利なバリエーションでは、少なくとも1つの予測モデルが、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。この確率により、生産設備内で製造された製品が、十分な確率で要求された品質要求を満足するかを特定することができるが、それは、製造された製品の品質が、所定の目標基準の順守と相関するからである。
【0070】
本発明の合目的なバリエーションによれば、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定が、線形又は二次プログラム、遺伝的最適化、Qテーブルによる強化学習、ニューラルネットワーク、シミュレーテッドアニーリング、メトロポリス、群アルゴリズム、ヒルクライミング、ラグランジュ乗算法等の方法に基づく。
【0071】
本発明の有利なバリエーションによれば、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響のチェックを含む。即ち、最適化された生産プロセスの決定時に、設備オートメーションのための設定仕様の変更が、以下のことに、即ち、最適化の基礎である少なくとも1つもしくは複数の目標基準が所定の要求を満足することに通じるかがチェックされる。
【0072】
本発明の好ましいバリエーションでは、生産設備内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備、特に個々の設備部分の可能な設定値変更に関する情報を考慮する。これは、特に生産設備、特に個々の設備部分によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する。
【0073】
本発明の有利なバリエーションによれば、本発明による方法は、複数の製品部分のための生産設備内の生産プロセスを最適化する。これは、例えば、ストリップ状の製品の長さ又は幅にわたる部分であるか、ビーム状の製品のフランジ又はウェブのような領域であり得る。
【0074】
本発明は、特に、本発明による方法を実施するためのシステムに関する。システムは、少なくとも部分的にソフトウエアによって実装することができ、このソフトウエアは、計算装置によって実施され、計算装置は、生産設備を制御するために形成されている。
【0075】
以下で、本発明を、図に図示した実施例により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】生産設備を制御するための本発明によるシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、生産設備2を制御するための本発明によるシステム1のブロック図を示す。生産設備2は、複数の設備部分3から成る。特に本発明は、金属の半製品のような工業製品を生産するための、金属生産産業又は鉄鋼産業の設備のような生産設備2用の制御装置1に関する。
【0078】
生産設備2の設備部分2は、例えば、電気アーク炉、高炉、転炉、レードル炉、真空レードル処理装置、連続鋳造設備、鋳造場、熱間圧延機、鋳造圧延設備、再加熱炉、酸洗場、冷間圧延機、焼鈍ライン、亜鉛メッキライン、錫メッキライン、塗装ライン、横分割及び縦分割ライン、パイプ圧延機、ビーム圧延機、ドロップ鍛造場、オープンダイ鍛造場、及び/又は、矯正機である。一般に、1つの設備部分2は、本発明の意味で、生産設備2の空間的及び/又は機能的に区分可能な部分である。設備部分2は、更にまた、例えば、デスケーラ、粗スタンド、シャー、仕上げスタンド、冷却区間、コイラのような種々のユニットに区分することができる。
【0079】
生産設備2は、製品を製造するために使用される。製品は、生産設備2を経て移動する、特に生産設備2の設備部分3を経て順次移動する個々に識別可能な生産品目である。この場合、製品は種々のプロセスステップに供される。原則的に、生産設備2及び/又は設備部分3の入力製品と出力製品の間には、例えば製品の分割及び連結することによって、n:mの関係(整数n,mで)があり得る。
【0080】
プロセスとは、製品の形状又は内的又は外的性状の変化をもたらす別々に識別可能な作業ステップを言う。
【0081】
生産設備2、特に個々の設備部分3は、設備オートメーション4を備える。設備オートメーション4は、生産設備2もしくは設備部分3内の生産プロセスの監視及び制御及び/又は調整をするために使用される。設備オートメーション4は、監視及び制御及び/又は調整をするためのセンサ10とアクチュエータ11を有する。
【0082】
本発明の意味のセンサ10は、生産設備2もしくは設備部分3内の測定装置であり、この測定装置は、加工された製品又は生産設備2もしくは設備部分3の動作状態に関する情報を提供する。これは、製品の特性又は設備状態に関するラボ測定のような二次的プロセスからの情報でもあり得るが、これにより、製品品質に関する情報も使用可能である。マニュアルでの伝達ステップが必要になり得るとの事実は、ここでは、制限ではない。一般に、センサ10は、生産設備2及び/又は設備部分3内の製品特性及び/又は動作状態を検出するために使用される。
【0083】
本発明の意味のアクチュエータ11は、調整装置であり、この調整装置によって、生産設備2もしくは設備部分3の動作状態に間接的又は直接的に影響を及ぼすことができ、これは、同時に加工すべき製品に影響を及ぼすことができる。即ち、アクチュエータ11は、特に、生産設備2及び/又は設備部分3内の生産プロセスを適合させるために使用される。
【0084】
本発明によるシステムは、更に、センサリスト12及び/又はアクチュエータリスト13を有し得る。センサリスト12は、例えば、生産設備2もしくは設備部分3内の生産の制御のために重要なセンサ10のための識別子を含む。センサリスト12は、生産設備2もしくは設備部分3のセンサ10の全部又は一部だけを有し得る。相応に、アクチュエータリストは、例えば、生産設備2もしくは設備部分3内の生産の制御のために重要なアクチュエータ11のための識別子を含む。アクチュエータリスト13は、生産設備2もしくは設備部分3のアクチュエータ11の前部又は一部だけを有し得る。
【0085】
本発明の意味のオートメーションとは、生産設備2もしくは設備部分3を動作させるために必要な全ての制御及び調整過程の全体並びにそのために必要なハードウエアを言う。特に、オートメーションは、センサ10及びアクチュエータ11を使用する。
【0086】
設備オートメーション4は、一般に、製品を生産するための作業ステップをどのように実行すべきかに関する仕様を必要とする。これら仕様は、本発明によれば設定値と呼ばれる。
【0087】
設備オートメーション4は、特に、センサ10及び/又はアクチュエータ11のデータにアクセスするか、データをこれらに伝達する。
【0088】
本発明によるシステム1もしくは生産設備2は、生産設備2内で製造すべき製品に関する情報を有する生産計画システム5を有する。特に、生産計画システム5は、製造すべき製品のための目標基準を含む。
【0089】
所定の製品の製造もしくはその販売可能性のために、一連の特性が役割を演じる。問題となる全ての特性の全体が、本発明によれば、目標基準と呼ばれる。目標基準は、例えば、厚さ、幅、長さ、重量、引張強度、降伏点、ヤング率、破断伸び、耐食性、異なる種類の表面欠陥の存在又は数、表面上又は材料内の亀裂の数、DWTT結果、シャルピー結果、延性破壊から脆性破壊への遷移温度、亜鉛層の層厚さ、パイプ肉厚、偏心率、ウェブ高さ、フランジ高さ、フランジ厚さ、プロファイル、平坦度等から選択されている。
【0090】
1つの目標基準が不満足である場合、製品を、一般に僅かな報酬を伴う他の用途に割り当てる必要があり得る。最悪の場合、製品は、使用に供することができず、廃棄又はリサイクルしなければならない。
【0091】
本発明によるシステム1は、更に、生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム5に従って今後製造すべき製品のための少なくとも1つの予測モデル7を生成するためのモデルジェネレータ6を有する。生成された予測モデル7は、特に、現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する。モデルジェネレータ6は、少なくとも1つの予測モデル7の生成時に、生産設備2、特に複数の設備部分3の監視の結果を考慮する。
【0092】
モデルジェネレータ6は、センサ及びアクチュエータデータと、製造される製品の製品品質との間の関係を生成する。モデルジェネレータ6は、例えば、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づく。この過程は、一般に、n次元ベクトル1次元又は多次元ベクトルに割り当てる関数であると解釈することができる。多次元の場合は、複数の目標基準が、同時に記載されるべきであることに関するが、制限ではない。少なくとも1つの予測モデル7を生成するため、個々のセンサ又はアクチュエータデータに対する関係が調査される。これは、相関、供給情報、シャープレイ値、特徴ランキング等のチェックにより、又は、単にモデル固有の方法で行なうこともできる。ここで、センサ及びアクチュエータリスト12,13にキロクサレタパラメータの一部は、それぞれの目標基準のために重要でないものとして選別することができるが、これは、制限ではない。異なるモデルタイプ以外に、これらは、基本的なパラメータ(「ハイパーパラメータ」-例えばニューラルネットワークにおけるニューロンの数及び連結)の選択によっても異なり得る。予測モデル7の品質は、メトリックによって定義され、一般的なバリエーションは、他の種々のもの以外に、例えばL1又はL2測度(「平均絶対誤差」又は「平均二乗誤差」)である。どのように、予測モデル7が、センサ及びアクチュエータデータから目標基準を良好に予測できるかに関する評価をメトリックが行なうことが重要である。各目標基準のために、どのような評価尺度が使用されるかが定義されている。パラメータの選択時、特に、アクチュエータ11及びセンサ10の区別を重要視することができるが、それは、アクチュエータ11を介してしか、プロセス及び製品に影響を及ぼすことが可能でないからである。
【0093】
トレーニングされた予測モデル7は、センサ及びアクチュエータデータの全体又は選択を利用し、これから、目標基準の1つ又は複数のための予測を行なう。予測は、少なくとも、目標基準のための期待値を含むべきであるが、付加的に、目標基準が所定の臨界的な最小値又は最大値を上回る又は下回る確率も含み得る。
【0094】
本発明によるシステム1は、更に、設備オートメーション4、生産計画システム5及びモデルジェネレータ6によって生成される予測モデル7のデータに基づいて生産設備2内の最適化された生産プロセスを決定するための生産オプティマイザ8を有する。生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定時、生産オプティマイザ8は、個々の設備部分3の生産技術的な仕様を考慮する。
【0095】
生産オプティマイザ8内には、例えば、1つ又は複数の最適化方法15が格納もしくは実装されている。
【0096】
生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定、特に少なくとも1つの最適化方法は、線形又は二次プログラム、遺伝的最適化、Qテーブルによる強化学習、ニューラルネットワーク、シミュレーテッドアニーリング、メトロポリス、群アルゴリズム、ヒルクライミング、ラグランジュ乗算法等の方法に基づく。
【0097】
生産オプティマイザ8は、少なくとも1つの予測モデル7にアクセスし、この予測モデルにより、所定のパラメータの選択の影響を予測する。最適化時、更にまた、異なるメカニズムを利用することができる。従って、目標量をできるだけ正確にとらえること、又は、所定の量が必要な範囲外にある確率を最小化することが、目標であり得る。ここでは、特に、アクチュエータの量が考慮されるが、それは、これら量を介して製品に影響を及ぼし、目標量の変更が達成され得るからである。最適化時、二次的条件を顧慮することができるので、具体的に実現可能なセットの設定仕様も、最適化の結果である。
【0098】
生産オプティマイザ8は、好ましくは、二次的条件16を考慮する。二次的条件は、例えば、仕様が設定値によって設備技術的又はプロセス技術的に可能であるように、満足しなければならない。これは、例えば、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度に関する。
【0099】
合目的に、生産オプティマイザ8は、目標最適化17を使用する。目標最適化17は、所定の目標量を達成するためにどのような設定仕様を採用するかを最終的に確定するために提示される部分システムの全体を使用する具体的に使用されるプロセスである。一般に、製品は、同時に複数の目標量を達成する必要があるので、異なる目標基準のために異なるパラメータだけを設定仕様に割当てることを保証するか、又は、2つ以上の目標基準のために共通の目標最適化を作成しなければならないので、選択されたパラメータのために一義的な設定仕様が行なわれる。目標最適化は、生産開始前に、最初の設定仕様を生成するために利用される。更なるプロセスでは、製品が所定のアクチュエータ11の影響範囲から逸脱しない限り、後続のプロセスステップのための設定仕様を、後の時点で生成又は更新することもできる。この更新時、所定の目標量のために、他の目標最適化を利用することができるが、例えば、それは、所定のセンサデータが、プロセス中又はプロセスステップ後にだけ使用可能になるが、より正確な/より良好な設定仕様を未だ自由なパラメータのために可能にする。
【0100】
生産設備制御装置9は、生産オプティマイザ8によって決定された最適化された生産プロセスに基づいて設備オートメーション4のための設定仕様を生成する。
【0101】
図1からの本発明によるシステム1は、更に、中央データメモリ14を有する。システム1の他の構成要素は、必要な場合には、この中央データメモリ14にアクセスすることができる。この中央データメモリ14には、例えば、生産設備2もしくは設備部分3及び特に設備オートメーション4は、データを記憶することができる。例えば、そこには、センサ10及び/又はアクチュエータ11のデータが記憶される。中央データメモリ14に格納されたデータは、少なくとも1つの予測モデル7を生成するために、モデルジェネレータ6によって利用される。
【0102】
特に好ましくは、モデルジェネレータ6は、互いに異なる複数の予測モデル7を生成する。異なる予測モデル7は、例えば、作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なる。
【0103】
プロセスオプティマイザ8は、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム5に従って今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する。
【0104】
更に、プロセスオプティマイザ8は、生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価を実施する。これは、例えば最適化方法15による目標基準の考慮によって行なわれる。
【0105】
プロセスオプティマイザ8は、特に、生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム5に従って今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定変更の影響を決定する。これは、例えば、目標最適化17の一部である。
【0106】
有利には、プロセスオプティマイザ8は、生産設備2、特に個々の設備部分3の可能な設定値変更に関する情報を有する。情報は、特に、生産設備2、特に個々の設備部分3によって実現可能なアクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変化に関する。これら情報は、二次的条件16の一部である。
【0107】
本発明は、更に、複数の設備部分3から成る生産設備2、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備2を制御するための方法に関する。方法は、例えば、
図1によるシステム1によって実施される。システム1は、少なくとも部分的に、計算装置によって実施されるソフトウエアによって実装することができ、計算装置は、生産設備2を制御するために形成されている。
【0108】
本発明による方法は、
・生産設備2内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報を検出するステップを有し、
・生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスを監視するステップを有し、
・生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル7を生成するステップを有し、生産設備2、特に複数の設備部分3の検出された情報が、少なくとも1つの予測モデル7の生成時に考慮され、
・生産設備2内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル7と、生産設備2の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分3の生産技術的なパラメータに基づいて生産設備2内の最適化された生産プロセスを決定するステップを有し、
・生産設備2内の生産プロセスの制御及び/又は調整をするための、特に設備部分3内のプロセスの制御及び/又は調整をするための設定仕様を生成及び実施するステップを有する。
【0109】
生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスの監視は、センサ10によって行なわれる。特に、生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスの監視は、連続的に行なわれる。
【0110】
本発明による方法は、更に、中央データメモリ14内にデータ、特に、
・生産設備2内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報の検出に関するデータ、
・生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスの監視に関するデータ、
・生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル7の生成に関するデータ、
・生産設備内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備2、特に設備部分3内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル7と、生産設備2の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分3の生産技術的なパラメータに基づいた生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定に関するデータ、及び/又は、
・生産設備2内の生産プロセスの制御及び/又は調整のための、特に設備部分3内のプロセスの制御及び/又は調整のための設定仕様の生成及び実施に関するデータ、を記憶するステップを有する。
【0111】
少なくとも1つの予測モデル7の生成は、例えば、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づく。
【0112】
少なくとも1つの予測モデル7は、例えば、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定する。
【0113】
特に有利なバリエーションでは、本発明による方法は、互いに異なる複数の予測モデル7を生成するステップを有し、これら異なる予測モデル7が、例えば、作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なる。
【0114】
生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定時、前記バリエーションでは特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデル7が考慮される。
【0115】
生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定時、特に、1つ又は複数の目標基準に関する評価が行なわれる。
【0116】
生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定は、生産設備2内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品目標仕様に対する設定値変更の影響をチェックする。
【0117】
更に、生産設備2内の最適化された生産プロセスの決定は、生産設備2、特に個々の設備部分3の可能な設定値変更に関する情報を考慮することができる。これは、例えば、生産設備2、特に個々の設備部分3によって実現可能なアクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更である。
【0118】
図1からの生産設備2の生産シーケンス18は、矢印によって特徴付けられており、この矢印によれば、生産は、左から右に順次経過する。即ち、連続的な生産ステップが順次実行され、本発明による制御は、順次の全ての製造ステップに関する。
【0119】
以下で、
図1からの実施例に依存せずに、本発明による方法のための適用シナリオを説明する。金属製品の機械的特性に対して、熱処理ステップが大きな影響を及ぼすことが知られている。これにより、前のプロセス段階(例えば、溶解、鋳造、熱間圧延、酸洗、冷間圧延)での所定のプロセス偏差を修正することが可能である。このため、異なるモデル7がトレーニングされ、これらモデルは、機械的特性の予測、もしくは、機械的特性が所定の有効範囲内を満足又は逸脱するかの予測を可能にする。このため、モデル7の一部は、例えば、炭素含有量、マンガン含有量、熱間圧延温度、巻取り温度、冷間成形の程度等のような仕様量だけを利用する。他のモデル7は、例えば、成形プロセスもしくはストリップの移動における駆動力又は力、のような反応性の測定量を使用することもできる。オプティマイザ8は、このようなモデル7によって、個々のプロセスステップのための設定仕様を確定する。1つのプロセスステップ(例えば、化学分析を設定するための冶金処理)が終了し次第、具体的な測定値が利用可能である。次に、同じ又は新しいモデル7が、オプティマイザ8の範囲内で更新された設定仕様を生成するために使用することができる。前と同じモデル7又は違うモデル(しかしながら、このモデルは、部分的に前と同じ入力パラメータ、特に直前に行なわれたプロセスの仕様量を利用する)が使用される場合、オプティマイザ8は、溶解過程の範囲内で既に実現された量を最適化のためにもはや使用することはできないが、これら量のために、センサ10によって特定された値を使用する必要がある。これにより、現在の製品ピースに関する情報が最適に利用される。その場合、別のプロセスステップのための仕様は、化学分析内の生じ得る偏差に応じる。その場合、同様に、熱間圧延プロセスが終了し次第、続くプロセスステップのための仕様は、実際の熱間圧延温度又は巻取り温度に従って適合させることができる、又は、例えば圧延荷重を入力量として利用する別のモデル7が使用される。その場合、この過程は、冷間圧延の終了と共に繰り返されるので、焼鈍ラインでのプロセスのために、相応に改善されたセットの設定仕様が利用可能である。
【0120】
ここで、第1に、多数のモデル7の生成がシステム1の一部であること、加えて、多数の品質基準が同時に最適化されること、第3に、全ての部分プロセスの連続的な改善が、それぞれ最大に使用可能な情報を利用して行なわれること、が重要である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.
複数の設備部分(3)から成る生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)を制御するためのシステム(1)であって、
・生産設備(2)内の生産プロセスの監視及び制御及び/又は調整をするための、特に設備部分(3)内のプロセスの監視及び制御及び/又は調整をするための設備オートメーション(4)を有し、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する情報を有する、特に製造すべき製品のための目標基準を有する生産計画システム(5)を有し、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル(7)を生成するためのモデルジェネレータ(6)を有し、モデルジェネレータ(6)は、少なくとも1つの予測モデル(7)の生成時に、生産設備(2)、特に複数の設備部分(3)の監視の結果を考慮し、
・設備オートメーション(4)、生産計画システム(5)、及び、モデルジェネレータ(6)によって生成された予測モデル(7)のデータに基づいて生産設備(2)内の最適化された生産プロセスを決定するための生産オプティマイザ(8)を有し、生産オプティマイザ(8)は、生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、個々の設備部分(3)の生産技術的な仕様を考慮し、
・生産オプティマイザ(8)によって決定された最適化された生産プロセスに基づいて設備オートメーション(4)のための設定仕様を生成するための生産設備制御装置(9)を有すること、を特徴とするシステム(1)。
2.
複数の設備部分(3)が、それぞれ、設備部分(3)内の、製品特性、プロセスパラメータ及び/又は動作状態を検出するためのセンサ(10)を有すること、を特徴とする上記1に記載のシステム(1)。
3.
更に、システム(1)の個々の構成要素のための中央データメモリ(14)を有し、システム(1)の個々の構成要素が、データにアクセスすること、及び、特にデータを適合させること、ができること、を特徴とする上記1又は2に記載のシステム(1)。
4.
目標基準が、厚さ、幅、長さ、重量、引張強度、降伏点、ヤング率、破断伸び、耐食性、異なる種類の表面欠陥の存在又は数、表面上又は材料内の亀裂の数、DWTT結果、シャルピー結果、延性破壊から脆性破壊への遷移温度、亜鉛層の層厚さ、パイプ肉厚、偏心率、ウェブ高さ、フランジ高さ、フランジ厚さ、プロファイル、平坦度等から選択されていること、を特徴とする上記1~3のいずれか1つに記載のシステム(1)。
5.
モデルジェネレータ(6)が、互いに異なる複数の予測モデル(7)を生成し、異なる予測モデル(7)が、例えば作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なること、を特徴とする上記1~4のいずれか1つに記載のシステム(1)。
6.
プロセスオプティマイザ(8)が、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデル(7)を考慮すること、を特徴とする上記5に記載のシステム(1)。
7.
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価を実施すること、を特徴とする上記1~6のいずれか1つに記載のシステム(1)。
8.
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は生産計画システム(5)に従って今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響を決定すること、を特徴とする上記1~7のいずれか1つに記載のシステム(1)。
9.
プロセスオプティマイザ(8)が、生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)の可能な設定値変更に関する情報、特に生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する情報を有すること、を特徴とする上記8に記載のシステム(1)。
10.
プロセスオプティマイザ(8)が、複数の製品部分のために生産設備(2)内の生産プロセスを最適化すること、を特徴とする上記1~9のいずれか1つに記載のシステム(1)。
11.
複数の設備部分(3)から成る生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)を制御するための方法であって、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報を検出するステップを有し、
・生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスを監視するステップを有し、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル(7)を生成するステップを有し、生産設備(2)、特に複数の設備部分(3)の検出された情報が、少なくとも1つの予測モデル(7)の生成時に考慮され、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル(7)と、生産設備(2)の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分(3)の生産技術的なパラメータに基づいて生産設備(2)内の最適化された生産プロセスを決定するステップを有し、
・生産設備(2)内の生産プロセスの制御及び/又は調整をするための、特に設備部分(3)内のプロセスの制御及び/又は調整をするための設定仕様を生成及び実施するステップを有すること、を特徴とする方法。
12.
生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視が、センサ(10)によって行なわれ、好ましくは、生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視が、連続的に行なわれること、を特徴とする上記11に記載の方法。
13.
更に、中央データメモリ(14)内にデータ、特に、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する、特に製造すべき製品のための目標基準に関する情報の検出に関するデータ、
・生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視に関するデータ、
・生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための、特に現在又は今後製造すべき製品のための目標基準の順守に関する少なくとも1つの予測モデル(7)の生成に関するデータ、
・生産設備(2)内で製造すべき製品に関する検出された情報と、生産設備(2)、特に設備部分(3)内の生産プロセスの監視と、生成された少なくとも1つの予測モデル(7)と、生産設備(2)の生産技術的なパラメータ、特に個々の設備部分(3)の生産技術的なパラメータに基づいた生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定に関するデータ、及び/又は、
・生産設備(2)内の生産プロセスの制御及び/又は調整のための、特に設備部分(3)内のプロセスの制御及び/又は調整のための設定仕様の生成及び実施に関するデータ、を記憶するステップを有すること、を特徴とする上記11又は12に記載の方法。
14.
少なくとも1つの予測モデル(7)の生成が、統計、機械学習、人工知能等の方法に基づくこと、を特徴とする上記11~13のいずれか1つに記載の方法。
15.
互いに異なる複数の予測モデル(7)を生成するステップを有し、これら異なる予測モデル(7)が、例えば、作成方法、当初のデータ及び/又は学習アルゴリズムに関して異なること、を特徴とする上記11~14のいずれか1つに記載の方法。
16.
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、特に1つ又は複数の目標基準を考慮して、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品のための現在最良の予測を提供する予測モデル(7)を考慮すること、を特徴とする上記15に記載の方法。
17.
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定時に、1つ又は複数の目標基準に関する評価が行なわれること、を特徴とする上記11~16のいずれか1つに記載の方法。
18.
少なくとも1つの予測モデル(7)が、1つ又は複数の目標基準が所定の範囲内にある確率を決定すること、を特徴とする上記11~17のいずれか1つに記載の方法。
19.
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備(2)内で現在製造されている製品及び/又は今後製造すべき製品の目標仕様に対する設定値変更の影響をチェックすること、を特徴とする上記11~18のいずれか1つに記載の方法。
20.
生産設備(2)内の最適化された生産プロセスの決定が、生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)の可能な設定値変更に関する情報、特に生産設備(2)、特に個々の設備部分(3)によって実現可能な、アクチュエータの動作の最大変化率及び/又は設定可能な1つの量の同様に設定可能な他の量への依存度のような設定値変更に関する情報を考慮すること、を特徴とする上記11~19のいずれか1つに記載の方法。
21.
複数の設備部分(3)を有する生産設備(2)、特に金属の半製品のような工業製品を生産するための生産設備(2)であって、特に上記11~20のいずれか1つに記載の方法を実施するために、上記1~10のいずれか1つに記載のシステムを有すること、を特徴とする生産設備(2)。
【符号の説明】
【0121】
1 システム
2 生産設備
3 設備部分
4 設備オートメーション
5 生産計画システム
6 モデルジェネレータ
7 予測モデル
8 生産オプティマイザ
9 生産設備制御装置
10 センサ
11 アクチュエータ
12 センサリスト
13 アクチュエータリスト
14 データメモリ
15 最適化方法
16 二次的条件
17 目標最適化
18 生産シーケンス