(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】半導体成長装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240612BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2022577270
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022106856
(87)【国際公開番号】W WO2023071311
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202111251445.3
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522121322
【氏名又は名称】▲蘇▼州▲長▼光▲華▼芯光▲電▼技▲術▼股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521354086
【氏名又は名称】蘇州長光華芯半導体激光創新研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 俊
(72)【発明者】
【氏名】程 洋
(72)【発明者】
【氏名】肖 ▲嘯▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲銀▼涛
(72)【発明者】
【氏名】苟 于▲単▼
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-027742(JP,A)
【文献】特開2018-095901(JP,A)
【文献】国際公開第2020/116246(WO,A1)
【文献】特開昭64-025521(JP,A)
【文献】特開昭53-050973(JP,A)
【文献】特表2012-519956(JP,A)
【文献】特開平05-343333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体成長装置であって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバ内に位置し、第1加熱領域と、前記第1加熱領域の側部の周囲に位置する第2加熱領域とを備え、前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高く、前記第2加熱領域の表面が基板を載置することに適した加熱ベースと、
前記反応チャンバの頂部に位置する第1シャワーユニット及び第2シャワーユニットであって、
前記第2シャワーユニットは前記第1シャワーユニットの側部の周囲に位置し、前記第1シャワーユニットは前記第1加熱領域の上方に位置し、前記第2シャワーユニットは前記第2加熱領域の上方に位置する第1シャワーユニット及び第2シャワーユニットとを備え、
前記第1シャワーユニットは少なくとも第1ラインを備え、第1ラインは第1ガス源を通すことに適し、前記第2シャワーユニットは少なくとも第2ラインを備え、前記第2ラインは第2ガス源を通すことに適し、前記第1ガス源の分解温度が前記第2ガス源の分解温度よりも高
く、
前記加熱ベースは、
中心領域と、少なくとも頂部に収容溝が設けられる前記中心領域を取り取り囲む周縁領域とを備える第1サブベースと、
前記収容溝に位置する第2サブベースと、を備え、
前記第2サブベースは前記第1加熱領域を構成し、前記第2サブベースの側部に位置する第1サブベースは前記第2加熱領域を構成する、ことを特徴とする半導体成長装置。
【請求項2】
第1ラインの輸送経路に設けられた第1流量調整部品と、前記第2ラインの輸送経路に設けられた第2流量調整部品と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項3】
前記反応チャンバの頂部に設けられ、前記第1シャワーユニットと前記第2シャワーユニットとの間に位置するスペーサをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項4】
前記第2サブベースと前記第1サブベースとの間に断熱材が設けられる、ことを特徴とする請求項
1に記載の半導体成長装置。
【請求項5】
前記収容溝は前記中心領域の頂部に位置し、
前記第2サブベースの下方の第1サブベースに固定される回動軸をさらに備える、ことを特徴とする請求項
1又は
4に記載の半導体成長装置。
【請求項6】
前記収容溝は前記中心領域を貫通し、第1サブ溝領域と、前記第1サブ溝領域の上方に位置する第2サブ溝領域とを備え、前記第2サブ溝領域の横方向の寸法は前記第1サブ溝領域の横方向の寸法よりも大きく、前記第2サブ溝領域の溝底に前記断熱材が設けられ、前記断熱材は前記第1サブ溝領域の周囲に位置する、ことを特徴とする請求項
4に記載の半導体成長装置。
【請求項7】
前記収容溝は、前記第2サブ溝領域の下方に位置する第3サブ溝領域をさらに備え、
前記第3サブ溝領域に位置し、前記第3サブ溝領域の側部の第1サブベースに固定される固定ピンと、
前記固定ピンの下方に位置し、前記固定ピンに接続される回動軸と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項
6に記載の半導体成長装置。
【請求項8】
前記固定ピンは絶縁固定ピンである、ことを特徴とする請求項
7に記載の半導体成長装置。
【請求項9】
前記第1シャワーユニットと前記第1加熱領域との間の間隔は8mm~20mmであり、前記第2シャワーユニットと前記第2加熱領域との間の間隔は8mm~20mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項10】
前記加熱ベースの材料は黒鉛又はモリブデンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項11】
前記第1シャワーユニットは、前記第1ラインと間隔を空けて設けられた第3ラインをさらに備え、前記第3ラインは第3ガス源を通すことに適し、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通すのに適した第3ガス源の流量が、前記第1ラインに通すのに適した第1ガス源の流量よりも小さく、前記第2シャワーユニットは、前記第2ラインと間隔を空けて設けられた第4ラインをさらに備え、前記第4ラインは第4ガス源を通すことに適し、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに通すのに適した第4ガス源の流量が、前記第2ラインに通すのに適した第2ガス源の流量よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項12】
前記第1ガス源はV族ガス源を含み、前記第4ガス源はV族ガス源を含み、
前記第2ガス源はIII族ガス源を含み、前記第3ガス源はIII族ガス源を含む、ことを特徴とする請求項
11に記載の半導体成長装置。
【請求項13】
前記第1ガス源の分解温度は前記第4ガス源の分解温度以上である、ことを特徴とする請求項
11に記載の半導体成長装置。
【請求項14】
第3ラインの輸送経路に設けられた第3流量調整部品と、前記第4ラインの輸送経路に設けられた第4流量調整部品と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項
11に記載の半導体成長装置。
【請求項15】
第1加熱領域と第2加熱領域との間に位置する第1移行加熱領域ないし第N移行加熱領域と、
第1シャワーユニットと第2シャワーユニットとの間に位置する第1移行シャワーユニットないし第N移行シャワーユニットと、をさらに備え、
Nが1以上の整数であり、第k移行シャワーユニットは第k移行加熱領域の上方に位置し、kが1以上N以下の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項16】
前記第1加熱領域の下方に位置する第1高周波ユニットと、
前記第2加熱領域の下方に位置する第2高周波ユニットと、をさらに備え、
前記第1高周波ユニットの高周波電力は前記第2高周波ユニットの高周波電力よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体成長装置。
【請求項17】
請求項1~
4、及び、請求項
6~
16のいずれか1項に記載の半導体成長装置の動作方法であって、
基板を前記第2加熱領域の表面に載置するステップと、
基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、第1ラインに第1ガス源を通し、第2ラインに第2ガス源を通し、第2ガス源は前記第2加熱領域の上方で第2分解ガスに分解し、前記第1ガス源は前記第1加熱領域の上方で第1分解ガスに分解するステップと、
前記第1分解ガスを前記第2加熱領域の上方に輸送するステップと、
前記第2加熱領域の上方の前記第2分解ガスと、前記第1分解ガスとを反応させて、前記基板の表面にフィルムを成長させるステップと、を含む半導体成長装置の動作方法。
【請求項18】
前記第1シャワーユニットは、前記第1ラインと間隔を空けて設けられた第3ラインをさらに備え、前記第2シャワーユニットは、前記第2ラインと間隔を空けて設けられた第4ラインをさらに備え、
前記第1ラインに第1ガス源を通すとともに、前記第3ラインに第3ガス源を通すステップであって、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通す第3ガス源の流量は前記第1ラインに通す第1ガス源の流量よりも小さいステップと、
前記第2ラインに第2ガス源を通すとともに、前記第4ラインに第4ガス源を通すステップであって、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに第4ガス源を通す流量は前記第2ラインに第2ガス源を通す流量よりも小さいステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の半導体成長装置の動作方法。
【請求項19】
基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、前記加熱ベースを、前記加熱ベースの中心軸を中心に回転させることを特徴とする、請求項
17に記載の半導体成長装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体の技術分野に関し、具体的には、半導体成長装置及びその動作方法に関する。
【0002】
本願は、2021年10月27日に中国特許庁に提出された、出願番号が202111251445.3で、発明の名称が「半導体成長装置及びその動作方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
半導体レーザ、高電子移動度トランジスタ、光検出器などの半導体デバイスは、通常エピタキシャル成長技術を用いて作製され、そのうち最も一般的な2種類のエピタキシャル技術は有機金属化学気相成長(MOCVDと略称する)及び分子線エピタキシャル(MBEと略称する)である。MBEに比べ、MOCVDは成長安定性に優れ、メンテナンスしやすく、歩留まりが高い等の利点を有するため、大規模な商業的生産により適し、近年、その市場シェアは年々上昇している。MOCVDはMBEと比べて上記利点を有するが、MOCVDに用いられる半導体成長装置の最適成長温度区間の温度はMBEに用いられる半導体成長装置より顕著に高く、そのため、低温で成長する必要がある多くの材料はMOCVDを用いて成長することができず、これにより、MOCVDにより成長可能な材料の範囲が大幅に制限されてしまう。
【0004】
以上より、MOCVDに用いられる半導体成長装置の最適成長温度区間の温度を下げ、装置の使用範囲を拡大させることが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本願が解決しようとする技術的課題は、半導体成長装置の最適成長温度区間の温度が高く、使用範囲が狭いという従来技術における課題を解決するために、半導体成長装置及びその動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、反応チャンバと、前記反応チャンバ内に位置し、第1加熱領域と、前記第1加熱領域の側部の周囲に位置する第2加熱領域とを備え、前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高く、前記第2加熱領域の表面が基板を載置することに適した加熱ベースと、前記反応チャンバの頂部に位置する第1シャワーユニット及び第2シャワーユニットであって、前記第2シャワーユニットは前記第1シャワーユニットの側部の周囲に位置し、前記第1シャワーユニットは前記第1加熱領域の上方に位置し、前記第2シャワーユニットは前記第2加熱領域の上方に位置する第1シャワーユニット及び第2シャワーユニットとを備え、前記第1シャワーユニットは少なくとも第1ラインを備え、第1ラインは第1ガス源を通すことに適し、前記第2シャワーユニットは少なくとも第2ラインを備え、前記第2ラインは第2ガス源を通すことに適し、前記第1ガス源の分解温度が前記第2ガス源の分解温度よりも高い半導体成長装置を提供する。
【0007】
任意選択的に、第1ラインの輸送経路に設けられた第1流量調整部品と、前記第2ラインの輸送経路に設けられた第2流量調整部品と、をさらに備える。
【0008】
任意選択的に、前記反応チャンバの頂部に設けられ、前記第1シャワーユニットと前記第2シャワーユニットとの間に位置するスペーサをさらに備える。
【0009】
任意選択的に、前記加熱ベースは、中心領域と、少なくとも頂部に収容溝が設けられる前記中心領域を取り取り囲む周縁領域とを備える第1サブベースと、前記収容溝に位置する第2サブベースと、を備え、前記第2サブベースは前記第1加熱領域を構成し、前記第2サブベースの側部に位置する第1サブベースは前記第2加熱領域を構成する。
【0010】
任意選択的に、前記第2サブベースと前記第1サブベースとの間に断熱材が設けられる。
【0011】
任意選択的に、前記収容溝は前記中心領域の頂部に位置し、前記半導体成長装置は、前記第2サブベースの下方の第1サブベースに固定される回動軸をさらに備える。
【0012】
任意選択的に、前記収容溝は前記中心領域を貫通し、第1サブ溝領域と、前記第1サブ溝領域の上方に位置する第2サブ溝領域とを備え、前記第2サブ溝領域の横方向の寸法は前記第1サブ溝領域の横方向の寸法よりも大きく、前記第2サブ溝領域の溝底に前記断熱材が設けられ、前記断熱材は前記第1サブ溝領域の周囲に位置する。
【0013】
任意選択的に、前記収容溝は前記第2サブ溝領域の下方に位置する第3サブ溝領域をさらに備え、前記半導体成長装置は、前記第3サブ溝領域に位置し、前記第3サブ溝領域の側部の第1サブベースに固定される固定ピンと、前記固定ピンの下方に位置し、前記固定ピンに接続される回動軸と、をさらに備える
【0014】
任意選択的に、前記固定ピンは絶縁固定ピンである。
【0015】
任意選択的に、前記第1シャワーユニットと前記第1加熱領域との間の間隔は8mm~20mmであり、前記第2シャワーユニットと前記第2加熱領域との間の間隔は8mm~20mmである。
【0016】
任意選択的に、前記加熱ベースの材料は黒鉛又はモリブデンを含む。
【0017】
任意選択的に、前記第1シャワーユニットは、前記第1ラインと間隔を空けて設けられた第3ラインをさらに備え、前記第3ラインは第3ガス源を通すことに適し、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通すのに適した第3ガス源の流量が、前記第1ラインに通すのに適した第1ガス源の流量よりも小さく、前記第2シャワーユニットは、前記第2ラインと間隔を空けて設けられた第4ラインをさらに備え、前記第4ラインは第4ガス源を通すことに適し、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに通すのに適した第4ガス源の流量が、前記第2ラインに通すのに適した第2ガス源の流量よりも小さい。
【0018】
任意選択的に、前記第1ガス源はV族ガス源を含み、前記第4ガス源はV族ガス源を含み、前記第2ガス源はIII族ガス源を含み、前記第3ガス源はIII族ガス源を含む。
【0019】
任意選択的に、前記第1ガス源の分解温度は前記第4ガス源の分解温度以上である。
【0020】
任意選択的に、第3ラインの輸送経路に設けられた第3流量調整部品と、前記第4ラインの輸送経路に設けられた第4流量調整部品と、をさらに備える。
【0021】
任意選択的に、第1加熱領域と第2加熱領域との間に位置する第1移行加熱領域ないし第N移行加熱領域と、第1シャワーユニットと第2シャワーユニットとの間に位置する第1移行シャワーユニットないし第N移行シャワーユニットと、をさらに備え、Nは1以上の整数であり、第k移行シャワーユニットは第k移行加熱領域の上方に位置し、kは1以上N以下の整数である。
【0022】
任意選択的に、前記第1加熱領域の下方に位置する第1高周波ユニットと、前記第2加熱領域の下方に位置する第2高周波ユニットと、をさらに備え、前記第1高周波ユニットの高周波電力は前記第2高周波ユニットの高周波電力よりも大きい。
【0023】
本願は、基板を前記第2加熱領域の表面に載置するステップと、基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、第1ラインに第1ガス源を通し、第2ラインに第2ガス源を通し、第2ガス源は前記第2加熱領域の上方で第2分解ガスに分解し、前記第1ガス源は前記第1加熱領域の上方で第1分解ガスに分解するステップと、前記第1分解ガスを前記第2加熱領域の上方に輸送するステップと、前記第2加熱領域の上方の前記第2分解ガスと、前記第1分解ガスとを反応させて、前記基板の表面にフィルムを成長させるステップと、を含む半導体成長装置の動作方法をさらに提供する。
【0024】
任意選択的に、前記第1シャワーユニットは、前記第1ラインと間隔を空けて設けられた第3ラインをさらに備え、前記第2シャワーユニットは、前記第2ラインと間隔を空けて設けられた第4ラインをさらに備え、前記第1ラインに第1ガス源を通すとともに、前記第3ラインに第3ガス源を通すステップであって、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通す第3ガス源の流量は前記第1ラインに通す第1ガス源の流量よりも小さいステップと、前記第2ラインに第2ガス源を通すとともに、前記第4ラインに第4ガス源を通すステップであって、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに第4ガス源を通す流量は前記第2ラインに第2ガス源を通す流量よりも小さいステップと、をさらに含む。
【0025】
任意選択的、基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、前記加熱ベースを、前記加熱ベースの中心軸を中心に回転させる。
【発明の効果】
【0026】
本願の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する。
【0027】
本願の技術的解決手段に係る半導体成長装置では、前記加熱ベースは、第1加熱領域と、前記第1加熱領域の側部の周囲に位置する第2加熱領域とを備え、前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高く、前記第2加熱領域の表面が基板を載置することに適し、前記反応チャンバの頂部に位置する第1シャワーユニット及び第2シャワーユニットであって、前記第2シャワーユニットは前記第1シャワーユニットの側部の周囲に位置し、前記第1シャワーユニットは前記第1加熱領域の上方に位置し、前記第2シャワーユニットは前記第2加熱領域の上方に位置し、前記第1シャワーユニットは少なくとも第1ラインを備え、第1ラインは第1ガス源を通すことに適し、前記第2シャワーユニットは少なくとも第2ラインを備え、前記第2ラインは第2ガス源を通すことに適し、前記第1ガス源の分解温度が前記第2ガス源の分解温度よりも高い。第2ガス源は前記第2加熱領域の上方で第2分解ガスに分解する。前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高いため、第1加熱領域は第1ガス源が第1加熱領域の表面で分解することを促進することができ、第1ガス源は主に第1加熱領域の表面で第1分解ガスに分解する。第1分解ガスは気流に伴って基板表面に移動して第2分解ガスと反応し、そのため、第1分解ガスと第2分解ガスが温度の低い第2加熱領域で反応できれば、品質が良好なフィルムを得ることができ、これにより、半導体成長装置の最適成長温度区間の温度を下げ、使用範囲を拡大させる。
【0028】
また、第1ガス源は第1加熱領域の上方から反応チャンバに入ることに適し、第2ガス源は第2加熱領域の上方から反応チャンバに入ることに適し、そのため、第1ガス源と第2ガス源が基板表面に達する前に、第2ガス源と第1ガス源の大部分は予め混合せず、これにより、予備反応を減らし、材料の利用率を向上させる。
【0029】
任意選択的に、第1流量調整部品は第1ラインに通す第1ガス源の流量を調整することで、第1ガス源が反応チャンバに入る流量を選択的に調整することに用いられる。前記第2流量調整部品は第2ラインに通す第2ガス源の流量を調整することで、第2ガス源が反応チャンバに入る流量を選択的に調整することに用いられる。
【0030】
任意選択的に、前記第1シャワーユニットは第3ラインをさらに備え、前記第3ラインは第3ガス源を通すことに適し、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通すのに適した第3ガス源の流量が、前記第1ラインに通すのに適した第1ガス源の流量よりも小さい。前記第2シャワーユニットは第4ラインをさらに備え、前記第4ラインは第4ガス源を通すことに適し、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに通すのに適した第4ガス源の流量が、前記第2ラインに通すのに適した第2ガス源の流量よりも小さい。前記第3ラインの作用は、第3ラインの総ガス流量を調整することによって反応チャンバのガス流れ場を制御することを含む。前記第4ラインの作用は、第4ラインの総ガス流量を調整することによって反応チャンバのガス流れ場を制御することを含む。
【0031】
任意選択的に、第3ラインの輸送経路に設けられた第3流量調整部品と、前記第4ラインの輸送経路に設けられた第4流量調整部品と、をさらに備える。前記第3流量調整部品は第3ラインに通す第3ガス源の流量を調整することで、第3ガス源が反応チャンバに入る流量を選択的に調整することに用いられる。前記第4流量調整部品は第4ラインに通す第4ガス源の流量を調整することで、第4ガス源が反応チャンバに入る流量を選択的に調整することに用いられる。
【0032】
任意選択的に、前記反応チャンバの頂部に設けられ、前記第1シャワーユニットと前記第2シャワーユニットとの間に位置するスペーサをさらに備える。スペーサは、第1シャワーユニットと第2シャワーユニットがシャワーヘッドの内部で混合することを阻止するためのものである。
【0033】
任意選択的に、第2サブベースと前記第1サブベースとの間に断熱材が設けられる。断熱材は、第2サブベースの熱が第1サブベースに拡散するのを阻止するためのものであり、第2サブベースと第1サブベースとの間に安定した温度差を形成することができる。
本願の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の一実施例に係る半導体成長装置の構造概略図である。
【
図2】本願の他の実施例に係る半導体成長装置の構造概略図である。
【
図3】本願の他の実施例に係る半導体成長装置の加熱ベース、断熱材、回動軸、固定ピン、第1高周波ユニット、第2高周波ユニットの概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る半導体成長装置の動作方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
MOCVD反応チャンバは主に3種類があり、それぞれ遊星式エアマット回転水平反応チャンバ、高速回転ディスク式反応チャンバ及び密結合シャワー反応チャンバである。
【0036】
遊星式エアマット回転水平反応チャンバでは、III族反応ガス源及びV族反応ガス源を採用する場合、III族反応ガス源及びV族反応ガス源はそれぞれ上蓋の三層流噴出口から反応チャンバに入り、グリッドによって強制的に方向を変更して、基板を載置するベースと天井との間の360度環状空間内に沿って、放射状を呈して外縁に水平に流れ、孔のある石英側から流出し、ここでは、ベースは黒鉛ベースであり、天井は石英天井又は黒鉛天井である。このような流動方式は、水平反応チャンバの側壁をなくし、側壁効果もそれに伴って解消する。天井とベースが近く、対流渦が抑えられて層流が得られる。三層流噴出口の上層と下層の二層はV族反応ガス源が流れ、中間層はV族反応ガス源が流れ、上蓋の中央に水冷ユニットがあり、予備反応を抑制することに有利である。ベースには複数の基板を置く黒鉛製遊星回転ディスクがあり、複数の黒鉛製遊星回転ディスクは環状に均等に分布している。ベースの回転(公転)は磁性流体シール軸で直接駆動され、黒鉛製遊星回転ディスクルはエアマット回転技術を利用して駆動される。基板はベースとともに公転しながら、黒鉛製遊星回転ディスクルとともに自転し、このように、基板が自転しながら公転するような遊星式回転が実現され、これにより、基板の表面全体に均一な成長速度が得られ、また、基板同士の均一性が向上する。
【0037】
高速回転ディスク式反応チャンバでは、反応ガス源は頂部で特別に設計された気流フランジ噴出口から注入され、ベースは高速回転し(回転数700r/min~1500r/min)、排気ガスは下部から流出する。縦型反応チャンバの場合は噴出口とベースとの距離が大きいことにより熱対流渦が発生しやすいことを、ベースの高速回転によるポンプ効果を利用して抑制する。このポンプ効果は、流体の粘性力と回転による遠心力とが相乗的に作用することにもたらされたものである。流体の粘性力の作用で、基板表面に近いガス層はベースとともに回転し、遠心力の作用で、ガスは径方向に沿ってベースの周縁に絶えず投げ飛ばされる。それと同時に、基板の上方のガスは軸方向に沿って基板の表面に流れ込み、失われた分のガスを補う。適切な高回転数では、ベースの回転により、反応チャンバ内のガスがいかなる渦のピストン流も生成せずにベースを円滑に流れ、また、ベースの上方の温度分布の均一性及び温度勾配も改善され、これにより、成長速度の均一性を大幅に向上させる。水素化物と金属有機物(MO)源はそれぞれ気流フランジ噴出口から注入することができ、また、MO源は、成長層の均一性を改善するように、個別に調整・計量可能な内注入領域、中注入領域、外注入領域の3つの注入領域に分けて反応チャンバに入るようにしてもよい。各噴出口のガス流速をマッチングすることにより、渦の発生を回避することができる。
【0038】
密結合シャワー反応チャンバは反応ガス源のシャワーヘッドとベースとの間の距離が10mm~20mmに小さいことを特徴とする。流体力学的には、シャワーヘッドとベースとの距離を短くすることがベースの上方での渦形成を抑制する上で有利である。しかし、距離が短くなると、シャワーヘッドの表面が熱輻射により高温になって、デポジットが発生するので、冷却が必要とされる。シャワーヘッドは内径0.6mmのステンレスパイプ(噴孔)を多数規則的に配列したものであり、噴孔の密度は15.5個/cm2となっている。2組の相間の噴孔からそれぞれ注入されるIII族反応ガス源とV族反応ガス源とが短距離を経たが、ベースに到達していないときにも十分に混合できる程度に噴孔のピッチを小さくする必要がある。シャワーヘッドに含まれる噴孔の総面積を、ベース全体をカバーできる程度に大きくする必要がある。シャワーヘッドは反応ガスをベース表面の基板の上方に均一に分配し、これにより、基板上の各点に到達した反応ガスの濃度をほぼ同じにし、厚さが均一な境界層を形成し、これにより均一なエピタキシャル層を得る。
【0039】
上記の3種類の反応チャンバは、自体の独特な設計により、いずれも均一なエピタキシャル層を得ることができる。反応チャンバの気流れ場の設計に基づき、III族反応ガス源及びV族反応ガス源の一部乃至全部は、ベースの中央に到達してから、ベースの径方向に沿ってベースの周縁に向かって流れる必要がある。しかし、この3種類の反応チャンバの設計は一般的にベースの径方向の温度差を可能な限り小さくし、すなわち、ベースの中央の温度がベースの周縁の温度とほぼ同じであるため、材料の分解はほぼベースの上方で発生する。なお、通常V族反応ガス源の熱分解がより困難であるため、反応チャンバに通したV族反応ガス源のモル流量が通常III族反応ガス源のモル流量よりも高く、両者の割合が通常数十~数万である。
【0040】
3種類の反応チャンバの設計理念により、3種類の装置のいずれも成長温度区間が狭く、具体的には、ベースの温度が高すぎると、歪みの高い薄層材料は高温による緩和が発生し、一方、ベースの成長温度が低すぎると、反応ガス源、特にV族反応ガス源はベース表面の基板の上方に到達する前に効果的に熱分解できず、その結果、実際に反応に関与するV族反応ガス源の量が不足になり、成長品質の低下を招く。成長温度区間が狭く、特に低い温度で材料の成長を行うことができないことにより、MOCVDにより成長可能な材料の種類が深刻に制限されてしまう。
【0041】
従来の反応チャンバに存在する上記の難問を解決するために、本発明者らは鋭意の実践を通じて、半導体成長装置を発明し、特殊な設計により、半導体成長装置の最適成長温度区間の温度を効果的に下げ、低温でしか成長できない多くの材料を成長できるようになり、半導体成長装置の使用範囲を拡大させる。半導体成長装置の改良の核心は、反応チャンバの内部に二重温度領域を意図的に設け、ガス源が反応チャンバに入ったら高温で分解してから、基板表面に輸送して低温成長を行うようにすることである。
【0042】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明瞭で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られる全ての他の実施例は、本願の特許範囲に属する。
【0043】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等で示される方位又は位置関係は図示した方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし、且つ説明を簡素化するためにのみ使用され、係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではないので、本願を限定するものとして理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。
【0044】
また、以下に説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0045】
本願の一実施例は半導体成長装置を提供し、
図1を参照し、該装置は、
反応チャンバと、
前記反応チャンバ100内に位置し、第1加熱領域と、前記第1加熱領域の側部の周囲に位置する第2加熱領域とを備え、前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高く、前記第2加熱領域の表面が基板Cを載置することに適した加熱ベース110と、
前記反応チャンバ100の頂部に位置する第1シャワーユニット121及び第2シャワーユニット122であって、前記第2シャワーユニット122は前記第1シャワーユニット121の側部の周囲に位置し、前記第1シャワーユニット121は前記第1加熱領域の上方に位置し、前記第2シャワーユニット122は前記第2加熱領域の上方に位置する第1シャワーユニット121及び第2シャワーユニット122とを備え、
前記第1シャワーユニットは少なくとも第1ラインを備え、第1ラインは第1ガス源を通すことに適し、前記第2シャワーユニットは少なくとも第2ラインを備え、前記第2ラインは第2ガス源を通すことに適し、前記第1ガス源の分解温度が前記第2ガス源の分解温度よりも高い。
【0046】
本実施例では、前記半導体成長装置は有機金属化学気相成長を行うことに用いられる。
【0047】
本実施例では、第2ガス源は前記第2加熱領域の上方で第2分解ガスに分解する。前記第1加熱領域の加熱温度が前記第2加熱領域の加熱温度よりも高いため、第1加熱領域は第1ガス源が第1加熱領域の表面で分解することを促進することができ、第1ガス源は主に第1加熱領域の表面で第1分解ガスに分解する。第1分解ガスは気流に伴って基板C表面に移動して第2分解ガスと反応し、そのため、第1分解ガスと第2分解ガスは温度の低い第2加熱領域で反応できれば、品質が良好なフィルムを得ることができ、これにより、半導体成長装置の最適成長温度区間の温度を下げ、使用範囲を拡大させる。また、第1ガス源は第1加熱領域の上方から反応チャンバに入ることに適し、第2ガス源は第2加熱領域の上方から反応チャンバに入ることに適し、そのため、第1ガス源と第2ガス源が基板表面に達する前に、第2ガス源と第1ガス源の大部分は予め混合せず、これにより、予備反応を減らし、材料の利用率を向上させる。
【0048】
本実施例では、第1シャワーユニット121は前記第1加熱領域の上方のみに位置し、前記第2シャワーユニット122は前記第2加熱領域の上方のみに位置する。
【0049】
なお、他の実施例では、第1シャワーユニット121は前記第1加熱領域の上方に位置し、前記第2シャワーユニット122は前記第2加熱領域の上方に位置し、第1シャワーユニットは主に第1加熱領域の直上に位置するが、その一部は第2加熱領域の一部の上方に位置し、第2シャワーユニットは主に第2加熱領域の直上に位置するが、その一部が第1加熱領域の一部の上方に位置する。
【0050】
前記半導体成長装置は、第1ライン1211の輸送経路に設けられた第1流量調整部品(図示せず)と、前記第2ライン1221の輸送経路に設けられた第2流量調節部品(図示せず)と、をさらに備える。
【0051】
前記第1流量調整部品は第1ライン1211に通す第1ガス源の流量を調整することで、第1ガス源が反応チャンバ100に入る流量を選択的に調整することに用いられる。前記第2流量調整部品は、第2ライン1221に通す第2ガス源の流量を調整することで、第2ガス源が反応チャンバ100に入る流量を選択的に調整することに用いられる。
【0052】
本実施例では、第2加熱領域は第1加熱領域の側部を取り囲み、前記第2シャワーユニット122は前記第1シャワーユニット121の周方向に均等に分布する。
【0053】
前記第1シャワーユニット121は、前記第1ライン1211と間隔を空けて設けられた第3ライン1212をさらに備え、前記第3ライン1212は第3ガス源を通すことに適し、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ライン1212に通すのに適した第3ガス源の流量が前記第1ライン1211に通すのに適した第1ガス源の流量よりも小さい。
【0054】
前記第2シャワーユニット122は、前記第2ライン1221と間隔を空けて設けられた第4ライン1222をさらに備え、前記第4ライン1222は第4ガス源を通すことに適し、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ライン1222に通すのに適した第4ガス源の流量が前記第2ライン1221に第2ガス源を通すことに適する流量よりも小さい。
【0055】
前記第3ライン1212の作用は、反応チャンバのガス流れ場の分布及びガス源の反応チャンバの内部空間における濃度分布を調整することを含む。前記第4ライン1222の作用は、反応チャンバのガス流れ場の分布及びガス源の反応チャンバの内部空間における濃度分布を調整する。
【0056】
一実施例では、第1ライン1211と第3ライン1212との間の距離は5mm~30mmである。
【0057】
一実施例では、第2ライン1221と第4ライン1222との間の距離は5mm~30mmである。
【0058】
本実施例では、第1シャワーユニット121は第1ライン1211と第3ライン1212のみを備え、第2シャワーユニット122は第2ライン1221と第4ライン1222のみを備える。
【0059】
なお、他の実施例では、第1シャワーユニットは第1ラインのみを備え、第2シャワーユニットは第2ラインのみを備える。他の実施例では、第1シャワーユニットはより多くのラインを備えてもよく、第2シャワーユニットはより多くのラインを備えてもよい。
【0060】
本実施例では、前記第1ガス源はV族ガス源を含み、前記第4ガス源はV族ガス源を含む。本実施例では、前記第2ガス源はIII族ガス源を含み、前記第3ガス源はIII族ガス源を含む。
【0061】
他の実施例では、第1ガス源と第4ガス源は他の族ガス源であってもよく、第2ガス源と第3ガス源は他の族ガス源であってもよい。
【0062】
前記第1ガス源の分解温度は前記第4ガス源の分解温度以上である。一実施例では、第1ガス源の分解温度は第4ガス源の分解温度と同じであり、第1ガス源は、第4ガス源の材料と同じ材料を採用し、例えば、第1ガス源の材料はアルシン(AsH3)であり、第4ガス源の材料はアルシン(AsH3)である。別の実施例では、第1ガス源の分解温度は第4ガス源の分解温度よりも大きく、第1ガス源の材料は第4ガス源の材料とは異なり、例えば、第1ガス源の材料はアルシン(AsH3)であり、第4ガス源の材料はターシャリーブチルアルシン(TBAs)である。
【0063】
第1ガス源の分解温度は第4ガス源の分解温度よりも大きく、これにより、V族ガス源の利用効率をさらに向上させるとともに、材料の背景キャリア濃度を低減させる。
【0064】
前記半導体成長装置は、第3ライン1212の輸送経路に設けられた第3流量調整部品(図示せず)と、前記第4ライン1222の輸送経路に設けられた第4流量調整部品(図示せず)と、をさらに備える。
【0065】
前記第3流量調整部品は、第3ライン1212に通す第3ガス源の流量を調整することで、第3ガス源が反応チャンバ100に入る流量を選択的に調整することに用いられる。前記第4流量調整部品は第4ライン1222に通す第4ガス源の流量を調整することで、第4ガス源が反応チャンバ100に入る流量を選択的に調整することに用いられる。
【0066】
他の実施例では、
図2を参照し、前記半導体成長装置は、前記反応チャンバ100の頂部に設けられ、前記第1シャワーユニット121と第2シャワーユニット122との間に位置するスペーサ140をさらに備える。
【0067】
スペーサ140の作用は、第1シャワーユニット121と第2シャワーユニット122がシャワーヘッドの内部で混合することを阻止することを含む。スペーサ140の材質はステンレスを含む。
【0068】
一実施例では、スペーサ140の形状は環状である。
【0069】
前記加熱ベース110の材料は黒鉛又はモリブデンを含む。
【0070】
図1及び
図2を参照し、加熱ベース110は、第1サブベース1101と、前記収容溝1103に位置する第2サブベース1102とを備え、前記第1サブベース1101は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周縁領域とを備え、前記第1サブベース1101の中心領域の少なくとも頂部に収容溝1103が設けられ、具体的には、収容溝1103は第1サブベース1101の中心領域の頂部に位置し、前記第2サブベース1102は、前記第1加熱領域を構成し、前記第2サブベース1102の側部に位置する第1サブベース1101は前記第2加熱領域を構成する。
【0071】
一実施例では、第1サブベース1101の材料は黒鉛であり、第2サブベース1102の材料は黒鉛である。他の実施例では、第1サブベース1101の材料はモリブデンであり、第2サブベース1102の材料はモリブデンである。
【0072】
前記半導体成長装置は、回動軸をさらに備え、前記回動軸は、前記加熱ベース110の底部に固定され、前記加熱ベース110を駆動して前記加熱ベース110の中心軸を中心に回転させることに用いられる。具体的には、回動軸は第2サブベース1102の下方の第1サブベース1101に固定される。一実施例では、回動軸の回転数が10回転/分~120回転/分である。
【0073】
図1及び
図2を参照し、半導体成長装置は、前記第1加熱領域の下方に位置する第1高周波ユニット131と、前記第2加熱領域の下方に位置する第2高周波ユニット132とをさらに備え、前記第1高周波ユニット131の高周波電力は前記第2高周波ユニット132の高周波電力よりも大きい。前記第1高周波ユニット131は誘導電流を利用して第1加熱領域を加熱し、第2高周波ユニット132は誘導電流を利用して第2加熱領域を加熱する。第1高周波ユニット131の高周波電力と第2高周波ユニット132の高周波電力を個別に制御することができる。
【0074】
別の実施例では、
図3を参照し、加熱ベースは、第1サブベース1101aと第2サブベース1102aとを備え、前記第1サブベース1101aは、中心領域と、前記中心領域を取り囲む周縁領域とを備える。第2サブベース1102aと第1サブベース1101aとの間に断熱材1104が設けられる。断熱材1104は第2サブベース1102aの熱が第1サブベース1101aに拡散することを阻止し、第2サブベース1102aと第1サブベース1101aとの間に安定した温度差を形成することができ、例えば、第2サブベース1102aと第1サブベース1101aとの間の温度差が20℃~100℃に維持される。前記断熱材1104の材料は石英を含む。
【0075】
図3を参照し、収容溝は第1サブベース1101aの中央領域を貫通し、第2サブベース1102aは前記収容溝に位置し、前記収容溝は、第1サブ溝領域と、前記第1サブ溝領域の上方に位置する第2サブ溝領域とを備え、前記第2サブ溝領域の横方向の寸法は前記第1サブ溝領域の横方向の寸法よりも大きく、前記第2サブ溝領域の溝底に前記断熱材1104が設けられ、前記断熱材1104は前記第1サブ溝領域の周囲に位置する。
図3を参照し、前記収容溝は前記第2サブ溝領域の下方に位置する第3サブ溝領域をさらに備え、前記半導体成長装置は、前記第3サブ溝領域に位置する固定ピン150と、回動軸160とをさらに備え、前記固定ピン150は、前記第3サブ溝領域の側部の第1サブベース1101aに固定され、前記回動軸160は、前記固定ピン150の下方に位置し、前記固定ピン150に接続される。一実施例では、回動軸160の回転数が10回転/分~120回転/分である。
【0076】
前記固定ピン150は絶縁固定ピンである。前記絶縁固定ピンの材料は石英を含む。
【0077】
一実施例では、前記第1シャワーユニットと前記第1加熱領域との間の間隔は8mm~20mmであり、前記第2シャワーユニットと前記第2加熱領域との間の間隔は8mm~20mmである。第1シャワーユニットと前記第1加熱領域との間の間隔が大きすぎると、反応チャンバ内のガス流れ場が不安定になり、第1シャワーユニットと前記第1加熱領域との間の間隔が小さすぎると、2つのシャワーユニットが効果的に放熱できず、且つガス源材料の間の予備反応が強くなる。第2シャワーユニットと前記第2加熱領域との間の間隔が大きすぎると、反応チャンバ内のガス流れ場が不安定になり、第2シャワーユニットと前記第2加熱領域との間の間隔が小さすぎると、2つのシャワーユニットが効果的に放熱できず、且つガス源材料の間の予備反応が強くなる。
【0078】
図3を参照し、半導体成長装置は、前記第1加熱領域の下方に位置する第1高周波ユニット131aと、前記第2加熱領域の下方に位置する第2高周波ユニット132aとをさらに備え、前記第1高周波ユニット131aの高周波電力は前記第2高周波ユニット132aの高周波電力よりも大きい。第1高周波ユニット131aの高周波電力と第2高周波ユニット132aの高周波電力を個別に制御することができる。前記第1高周波ユニット131aは誘導電流を利用して第2サブベース1102aを加熱し、第1サブベース1101aの温度に顕著な影響を与えず、第2高周波ユニット132aは誘導電流を利用して第2加熱領域を加熱する。絶縁固定ピンの導電性と熱伝導性が悪いため、絶縁固定ピンは、加熱されることがなく、第2サブベース1102aと第1サブベース1101aとの間の熱伝導を遮断することができる。
【0079】
なお、収容溝が第1サブベース1101aの中心領域を貫通する場合、第1加熱ワイヤを用いて第1高周波ユニット131aを置き換えてもよく、第2加熱ワイヤを用いて第2高周波ユニット132aを置き換えてもよい。
【0080】
本実施例では、第1加熱領域と第2加熱領域との間に他の加熱領域がなく、第1シャワーユニットと第2シャワーユニットとの間に他のシャワーユニットが設けられていない。
【0081】
なお、他の実施例では、半導体成長装置は、第1加熱領域と第2加熱領域との間に位置する第1移行加熱領域ないし第N移行加熱領域と、第1シャワーユニットと第2シャワーユニットとの間に位置する第1移行シャワーユニットないし第N移行シャワーユニットとをさらに備えてもよく、Nは1以上の整数であり、例えば1、2、3、4又は4以上の整数である。
【0082】
第k移行シャワーユニットは第k移行加熱領域の上方に位置し、kは1以上N以下の整数である。
【0083】
第1移行加熱領域ないし第N移行加熱領域の加熱温度は、いずれも第2加熱領域の加熱温度よりも大きく、且つ第1加熱領域の加熱温度よりも小さい。
【0084】
一実施例では、Nが2以上である場合、第j+1加熱領域は第j移行加熱領域の側部の周囲に位置し、jは1以上N-1以下の整数である。
【0085】
一実施例では、Nが2以上である場合、第1移行加熱領域ないし第N移行加熱領域の加熱温度が漸減する。
【0086】
これに対応して、本願の実施例は半導体成長装置の動作方法をさらに提供し、
図4を参照し、該方法は、
基板を前記第2加熱領域の表面に載置するステップS1と、
基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、第1ラインに第1ガス源を通し、第2ラインに第2ガス源を通し、第2ガス源は前記第2加熱領域の上方で第2分解ガスに分解し、前記第1ガス源は前記第1加熱領域の上方で第1分解ガスに分解するステップS2と、
前記第1分解ガスを前記第2加熱領域の上方に輸送するステップS3と、
前記第2加熱領域の上方の前記第2分解ガスと、前記第1の分解ガスとを反応させて、前記基板の表面にフィルムを成長させるステップS4と、を含む。
【0087】
前記半導体成長装置の動作方法は、前記第1ラインに第1ガス源を通すとともに、前記第3ラインに第3ガス源を通すステップであって、前記第3ガス源の族は前記第2ガス源の族と同じであり、前記第3ラインに通す第3ガス源の流量は前記第1ラインに通す第1ガス源の流量よりも小さいステップと、前記第2ラインに第2ガス源を通すとともに、前記第4ラインに第4ガス源を通すステップであって、前記第4ガス源の族は前記第1ガス源の族と同じであり、前記第4ラインに第4ガス源を通す流量は前記第2ラインに第2ガス源を通す流量よりも小さいステップと、をさらに含む。
【0088】
本実施例では、基板を前記第2加熱領域の表面に載置した後、前記加熱ベースを、前記加熱ベースの中心軸を中心に回転させるステップをさらに含む。一実施例では、加熱ベースの回転数が10回転/分~120回転/分である。
【0089】
明らかに、上記実施例は単に明確に説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変更も本発明の特許範囲に属する。