(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】マルチレンズ記録ファイルの保存方法およびマルチレンズ記録装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/77 20060101AFI20240612BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240612BHJP
【FI】
H04N5/77
H04N23/60 300
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023039146
(22)【出願日】2023-03-13
【審査請求日】2023-03-13
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】戴 經哲
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-5325(JP,A)
【文献】特開2019-106190(JP,A)
【文献】特開2018-207494(JP,A)
【文献】特開2022-137079(JP,A)
【文献】特開2019-110604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 - 5/956
H04N 23/40 - 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行されるのに適しており、
複数のレンズのうちの少なくとも1つがループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、駆動された少なくとも1つのレンズのそれぞれの設定データに基づいて、前記ループレコーディングに用いる前記少なくとも1つのレンズの全記録容量を計算し、各前記レンズが、対応するレンズ番号を有することと、
ストレージスペースの残りの容量が前記全記録容量より少ないかどうかを判断することと、
前記残りの容量が前記全記録容量より少ない場合、それに反応して、前記少なくとも1つのレンズによって前記ストレージスペースに保存された複数の記録されたファイルに対し、記録時間および前記レンズ番号に基づいて、前記残りの容量が前記全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、前記ストレージスペースに保存された前記記録されたファイルのうちの少なくとも1つを削除することを含むファイルクリーニング動作を実行することと、
前記残りの容量が前記全記録容量に等しいかそれより多い場合、それに反応して、駆動された前記少なくとも1つのレンズを介して前記ループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存することと、
を含むマルチレンズ記録ファイルの保存方法。
【請求項2】
前記レンズのうち第1レンズが駆動されると、それに反応して、
前記第1レンズの前記レンズ番号に基づいて、前記ストレージスペースに保存された前記第1レンズに対応する前記記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断することと、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、前記記録時間に基づいて、前記第1レンズに対応する前記記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除することと、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、
前記レンズの残りのレンズの中から第2レンズを決定するとともに、前記記録時間に基づいて、前記第2レンズに対応する前記記録されたファイルのうち前記最も早く記録されたファイルを削除し、前記ストレージスペースに保存された前記第2レンズに対応する前記記録されたファイルの第2数量が、前記デフォルトの数量より大きいことと、
前記レンズの残りのレンズの中から前記第2レンズを決定するとともに、ファイルサイズに基づいて、前記第2レンズに対応する前記記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除し、前記ストレージスペースに保存された前記第2レンズに対応する前記記録されたファイルの第2数量が、前記デフォルトの数量より大きいことと、
のうちの1つを実行することと、
を含む前記ファイルクリーニング動作を実行する請求項1に記載のマルチレンズ記録ファイルの保存方法。
【請求項3】
前記レンズのうち複数のレンズが駆動されると、それに反応して、
駆動された各前記レンズに対し、各前記レンズの前記レンズ番号に基づいて、前記ストレージスペースに保存された各前記レンズに対応する前記記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断することと、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、前記記録時間に基づいて、各前記レンズに対応する前記記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除することと、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きくないレンズに対し、前記記録時間に基づいて、前記ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する前記記録されたファイルのうち前記最も早く記録されたファイルを削除し、前記ストレージスペースに保存された前記別のレンズに対応する前記記録されたファイルの第2数量が、前記デフォルトの数量より大きいことと、
前記第1数量が前記デフォルトの数量より大きくないレンズに対し、ファイルサイズに基づいて、前記ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する前記記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除し、前記ストレージスペースに保存された前記別のレンズに対応する前記記録されたファイルの第2数量が、前記デフォルトの数量より大きいことと、
のうちの1つを実行することと、
を含む前記ファイルクリーニング動作を実行する請求項1に記載のマルチレンズ記録ファイルの保存方法。
【請求項4】
前記設定データが、解析度、フレーム毎秒、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマットを含み、前記ループレコーディングに用いる前記少なくとも1つのレンズの前記全記録容量を計算することが、
駆動された前記少なくとも1つのレンズのそれぞれに対応する前記解析度、前記フレーム毎秒、前記ループレコーディング時間、および前記ファイル圧縮フォーマットに基づいて、対応するファイルサイズを計算することと、
駆動された前記レンズに対応する前記ファイルサイズを加算して、前記全記録容量を取得することと、
を含み、前記方法が、さらに、
前記レンズに対し、それぞれ複数の待ち行列を設定し、各前記待ち行列が、各前記レンズによって前記ストレージスペースに保存された前記記録されたファイルのファイル情報を記録するよう構成されることを含み、
前記方法が、さらに、
駆動された前記レンズの前記設定データが更新されたかどうかを判断することと、
前記設定データが更新された場合、それに反応して、前記レンズの前記ループレコーディングに用いる前記全記録容量を再計算することと、
を含む請求項1に記載のマルチレンズ記録ファイルの保存方法。
【請求項5】
複数のレンズと、
ストレージスペースを含むストレージと、
前記レンズおよび前記ストレージに結合されたプロセッサと、
を含み、前記プロセッサが、
前記レンズのうちの少なくとも1つがループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、駆動された少なくとも1つのレンズのそれぞれの設定データに基づいて、前記ループレコーディングに用いる前記少なくとも1つのレンズの全記録容量を計算し、各前記レンズが、対応するレンズ番号を有し、
前記ストレージスペースの残りの容量が前記全記録容量より少ないかどうかを判断し、
前記残りの容量が前記全記録容量より少ない場合、それに反応して、前記少なくとも1つのレンズによって前記ストレージスペースに保存された複数の記録されたファイルに対し、記録時間および前記レンズ番号に基づいて、前記残りの容量が前記全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、前記ストレージスペースに保存された前記記録されたファイルのうちの少なくとも1つを削除することを含むファイルクリーニング動作を実行し、
前記残りの容量が前記全記録容量に等しいかそれより多い場合、それに反応して、駆動された前記少なくとも1つのレンズを介して前記ループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存するように、
構成されたマルチレンズ記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶機構に関するものであり、特に、マルチレンズ記録ファイルの保存方法およびマルチレンズ記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダーのループレコーディング機能は、通常の映像記録とは異なる。ドライブレコーダーは、長時間切れ目なく記録し、重要なファイルや衝突事故のファイルを逃さないようにしなければならない。市場のドライブレコーダーは、いずれもループレコーディングを使用して、連続的に記録を行う。ストレージ容量がいっぱいになった時、古い映像ファイルを削除してから、新しい映像を継続して書き込むことにより、ドライブレコーダーは、正常に機能することができる。
【0003】
現在、スプリット型のドライブレコーダーは、ホストとレンズが分離しており、通常、デュアルレンズまたは3つ以上のマルチレンズを備える。しかしながら、同じホストに対して複数のレンズを同時に使用してループレコーディングを行った時、ストレージスペースが急に減少し、レンズをオン・オフに切り替えるにつれて不均衡になるため、各レンズが記録した映像を保存できる十分なスペースを保証できなくなる。ファイルの書き込みが終わった時、他のカメラがファイルを書き込むのに十分なスペースがあるかどうかを確認することができないため、数秒記録できなかったり、ファイルを失ったりしやすい。そのため、一般的な設計は、最大サイズの映像ファイルにレンズの数を掛けた大きさに等しいストレージスペースを常に保留する。保留したストレージスペースを下回った時、古い映像ファイルの削除を開始して、ファイルの各書き込みに対してスペースの問題が生じないようにする。しかしながら、これは、大量のストレージスペースを必要とし、解析度、フレーム毎秒(frames per second, FPS)、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマット等の設定が一旦変更されると、保留したストレージスペースに対する元の設定が適用できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ループレコーディング機能は、大量のストレージスペースを必要とし、一旦記録パラメータが変更されると、保留したストレージスペースに対する元の設定が適用できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レンズの数に基づいてストレージスペースを保留することのできるマルチレンズ記録ファイルの保存方法およびマルチレンズ記録装置を提供する。
【0006】
本発明のマルチレンズ記録ファイルの保存方法は、プロセッサによって実行されるのに適しており、以下のステップを含む。複数のレンズのうちの少なくとも1つがループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、駆動された少なくとも1つのレンズのそれぞれの設定データに基づいて、ループレコーディングに用いる少なくとも1つのレンズの全記録容量を計算する。各レンズは、対応するレンズ番号を有する。ストレージスペースの残りの容量が全記録容量より少ないかどうかを判断する。残りの容量が全記録容量より少ない場合、それに反応して、少なくとも1つのレンズによってストレージスペースに保存された複数の記録されたファイルに対し、以下のステップを含むファイルクリーニング動作を実行する。記録時間およびレンズ番号に基づいて、残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、ストレージスペースに保存された少なくとも1つの記録されたファイルを削除する。残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多い場合、それに反応して、駆動された少なくとも1つのレンズを介してループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、レンズのうち第1レンズが駆動されると、それに反応して、以下のステップを含むファイルクリーニング動作を実行する。第1レンズのレンズ番号に基づいて、ストレージスペースに保存された第1レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断する。第1数量がデフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、記録時間に基づいて、第1レンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、ストレージスペースに保存された第1レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断した後、第1数量がデフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、レンズの残りのレンズの中から第2レンズを決定する。ストレージスペースに保存された第2レンズに対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。記録時間に基づいて、第2レンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、ストレージスペースに保存された第1レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断した後、第1数量がデフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、レンズの残りのレンズの中から第2レンズを決定する。ストレージスペースに保存された第2レンズに対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。ファイルサイズに基づいて、第2レンズに対応する記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、レンズのうち複数のレンズが駆動されると、それに反応して、以下のステップを含むファイルクリーニング動作を実行する。駆動された各レンズに対し、各レンズのレンズ番号に基づいて、ストレージスペースに保存された各レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断する。第1数量がデフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、記録時間に基づいて、各レンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。
【0011】
1つの実施形態において、ストレージスペースに保存された各レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断した後、第1数量がデフォルトの数量より大きくないレンズに対し、記録時間に基づいて、ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。
【0012】
1つの実施形態において、ストレージスペースに保存された各レンズに対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断した後、第1数量がデフォルトの数量より大きくないレンズに対し、ファイルサイズに基づいて、ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除する。ストレージスペースに保存された別のレンズに対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、設定データは、解析度、フレーム毎秒(FPS)、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマットを含む。ループレコーディングに用いる少なくとも1つのレンズの全記録容量を計算するプロセスは、以下の通りである。駆動された少なくとも1つのレンズのそれぞれに対応する解析度、フレーム毎秒、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマットに基づいて、対応するファイルサイズを計算する。駆動されたレンズに対応するファイルサイズを加算して、全記録容量を取得する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、この方法は、さらに、以下のステップを含む。レンズに対し、複数の待ち行列をそれぞれ設定する。各待ち行列は、各レンズによってストレージスペースに保存された記録されたファイルのファイル情報を記録するよう構成される。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、この方法は、さらに、以下のステップを含む。駆動されたレンズの設定データが更新されたかどうかを判断する。設定データが更新された場合、それに反応して、レンズのループレコーディングに用いる全記録容量を再計算する。
【0016】
本発明のマルチレンズ記録装置は、複数のレンズ、ストレージ、およびプロセッサを含む。ストレージは、ストレージスペースを含む。プロセッサは、レンズおよびストレージに結合され、マルチレンズ記録ファイルの保存方法を実行するよう構成される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明は、駆動されたレンズの設定データに基づいて、各レンズによって記録された単一ファイルのファイルサイズを推定することができ、必要なストレージスペースを保留して、各レンズが完全なファイルを記録できるようにすることができる。したがって、保留されたストレージスペースを変更することができ、より多くのストレージスペースを使用して保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係るマルチレンズ記録装置のブロック図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態に係るマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に係る単一のレンズを駆動するマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係る複数のレンズを駆動するマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るマルチレンズ記録装置のブロック図である。
図1を参照すると、マルチレンズ記録装置100は、例えば、ドライブレコーダー、ロボット、監視システム等である。マルチレンズ記録装置100は、プロセッサ110、ストレージ120、および複数のレンズ130を含む。本実施形態において、3つのレンズ、すなわち、第1レンズ130‐1、第2レンズ130‐2、および第3レンズ130‐3を図示して説明を行うが、本発明はこれに限定されない。レンズ130の数は、2、4、またはそれ以上であってもよい。
【0020】
プロセッサ110は、例えば、中央処理装置(central processing unit, CPU)、物理演算プロセッサ(physical processing unit, PPU)、プログラム可能なマイクロプロセッサ(microprocessor)、内蔵型制御チップ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuits, ASIC)、または他の類似する装置である。
【0021】
ストレージ120は、例えば、任意の種類の固定された、または移動可能なランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory, ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク、または他の類似する装置、あるいはこれらの装置の組み合わせによって実施される。
【0022】
レンズ130は、電荷結合素子(charge coupled element, CCD)レンズ、相補型金属酸化物半導体トランジスタ(complementary metal oxide semiconductor transistor, CMOS)レンズ等を使用することによって実施される。
【0023】
ストレージスペース121は、ストレージ120内に設置され、レンズ130の記録されたファイルを保存する。ストレージ120は、また、少なくとも1つのコードスニペット(code snippet)を保存する。上述したコードスニペットをインストールした後、プロセッサ110は、下記のマルチレンズ記録ファイルの保存方法を実行する。
【0024】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。
図1および
図2を参照すると、ステップS205において、少なくとも1つのレンズ130がループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、プロセッサ110は、駆動された各レンズ130の設定データに基づいて、ループレコーディングに用いる駆動されたレンズ130の全記録容量を計算する。
【0025】
マルチレンズ記録装置100がオンになると、それに反応して、プロセッサ110は、駆動されたレンズ130(1つまたはそれ以上)の設定データに基づいて、各レンズ130によって記録された単一ファイルのファイルサイズを計算する。このようにして、ストレージスペース121に必要なスペースを保留し、各レンズ130が完全なファイルを記録できるようにすることができる。
【0026】
設定データは、解析度、フレーム毎秒(FPS)、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマットを含む。プロセッサ110は、駆動された各レンズ130に対応する解析度、フレーム毎秒、ループレコーディング時間、およびファイル圧縮フォーマットに基づいて、対応するファイルサイズを計算する。駆動された各レンズ130の設定データを以下のように仮定する:ファイル圧縮フォーマットは、モーションJPEG(Motion JPEG, Joint Photographic Experts Group)であり、解析度は、720×480であり、フレーム毎秒は、10であり、ループレコーディング時間は、3分である。その結果、駆動された各レンズ130の単一の記録ファイルのファイルサイズは、82.5MBである。1つの第1レンズ130‐1のみを駆動するようブートアップセッティングを設定した場合、全記録容量は、82.5MBである。第1レンズ130‐1、第2レンズ130‐2、および第3レンズ130‐3を同時に駆動するようブートアップセッティングを設定した場合、全記録容量は、247.5(82.5×3)MBである。別の実施形態において、駆動された各レンズの設定データは、異なっていてもよいため、ここでは限定しない。
【0027】
次に、ステップS210において、プロセッサ110は、ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量より少ないかどうかを判断する。レンズ130を介して記録を開始する前に、プロセッサ110は、残りの容量が十分であるかどうかを判断する。
【0028】
残りの容量が全記録容量より少ない場合、ステップS220において、プロセッサ110は、駆動された各レンズ130によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルに対し、ファイルクリーニング動作を実行する。つまり、プロセッサ110は、記録時間およびレンズ番号に基づいて、ストレージスペース121に保存された少なくとも1つの記録されたファイルを削除し、ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、ステップS210に戻る。各レンズ130は、対応するレンズ番号を有し、記録されたファイルのそれぞれは、対応するレンズ130のレンズ番号に関する情報を有する。
【0029】
1つの実施形態において、以下のように設定することができる:ストレージスペース121の残りの容量が不足している場合、それに反応して、まず、駆動されたレンズ130に対応する記録されたファイルを削除する。各レンズ130によって保存された記録されたファイルの均衡を保つために、さらに、以下のように設定することができる:駆動されたレンズ130によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルの数量がデフォルトの数量より少なくならないように維持する。つまり、ストレージスペース121の残りの容量が不足しており、且つ駆動されたレンズ130によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルの数量がデフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、記録時間に基づいて、最も早く記録されたファイルを削除する。駆動されたレンズ130によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルの数量がデフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、別の残りのレンズの中から別のレンズを決定する。この別のレンズによってストレージスペース121に保存された記録されたファイルの数量は、デフォルトの数量より大きい。この別のレンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。また、以下のように設定することもできる:最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除する。
【0030】
例えば、第1レンズ130‐1を駆動する場合、第1レンズ130‐1のレンズ番号が「Video1」であり、デフォルトの数量がXであり、ストレージスペース121に保存された「Video1」のレンズ番号を有する記録されたファイルの数量がYであると仮定する。Y≧Xの場合、「Video1」のレンズ番号を有する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。Y<Xの場合、別のレンズ番号に対応し、且つXより大きい数量を有する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。
【0031】
ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多くなると、それに反応して、ステップS215において、プロセッサ110は、駆動された少なくとも1つのレンズ130を介してループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存する。その後、ループレコーディングを継続して、ステップS210に戻り、残りの容量が次に記録されるファイルを保存するのに十分であるかどうかを継続して監視する。
【0032】
プロセッサ110は、さらに、駆動されたレンズ130の設定データがループレコーディングの間に更新されたかどうかを判断する。レンズ130の設定データがループレコーディングの間に変更された場合、それに反応して、プロセッサ110は、ループレコーディングに用いる駆動されたレンズ130の全記録容量を再計算しなければならない。例えば、更新された設定データに基づいて計算された第1レンズ130‐1の新しく記録されたファイルのファイルサイズが88MBであり、元の記録されたファイルのサイズが30MBであると仮定すると、ストレージスペース121内の第1レンズ130‐1に対応する3つの記録されたファイルを一度で削除して、次に記録されるファイルを完全に保存するための十分なスペースを確保する必要がある。ストレージスペース121において第1レンズ130‐1に対応する削除対象の記録されたファイルが不足している場合、別のレンズに対応する記録されたファイルを代わりに削除する。
【0033】
以下、1つのレンズ130を駆動する場合と複数のレンズ130を駆動する場合について、それぞれ例を挙げて説明する。
【0034】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る単一のレンズを駆動するマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。本実施形態において、第1レンズ130‐1を例に挙げて説明する。
図1および
図3を参照すると、ステップS305において、第1レンズ130‐1がループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1の設定データに基づいて、ループレコーディングに用いる第1レンズ130‐1の全記録容量を計算する。つまり、第1レンズ130‐1の単一記録のファイルサイズを全記録容量として設定する。
【0035】
次に、ステップS310において、プロセッサ110は、ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量より少ないかどうかを判断する。
【0036】
ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多い場合、それに反応して、ステップS315において、プロセッサ110は、駆動された第1レンズ130‐1を介してループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存する。その後、ループレコーディングを継続して、ステップS310に戻り、残りの容量が第1レンズ130‐1の次に記録されるファイルを保存するのに十分であるかどうかを継続して監視する。
【0037】
ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量より少ない場合、それに反応して、ステップS320において、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1のレンズ番号に基づいて、ストレージスペース121に保存された第1レンズ130‐1に対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断する。
【0038】
第1数量がデフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、ステップS325において、プロセッサ110は、記録時間に基づいて、第1レンズ130‐1に対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。その後、ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、ステップS310に戻る。
【0039】
また、第1数量がデフォルトの数量より大きくない場合、それに反応して、ステップS330において、プロセッサ110は、別の残りのレンズの中から第2レンズ130‐2を決定する。プロセッサ110は、別のレンズの中から対応する記録されたファイルの第2数量がデフォルトの数量より大きい別のレンズ(ここでは、第2レンズ130‐2と仮定する)を見つける。つまり、ストレージスペース121に保存された第2レンズ130‐2に対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。
【0040】
その後、ステップS335において、プロセッサ110は、記録時間に基づいて、第2レンズ130‐2に対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。また、別の実施形態において、プロセッサ110は、ファイルサイズに基づいて、第2レンズ130‐2に対応する記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除してもよい。その後、ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量に等しいかそれより多くなるまで、ステップS310に戻る。
【0041】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る複数のレンズを駆動するマルチレンズ記録ファイルの保存方法のフロー図である。本実施形態において、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3を例に挙げて説明する。
図1および
図4を参照すると、ステップS405において、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3がループレコーディングを行うよう駆動されると、それに反応して、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3の設定データに基づいて、ループレコーディングに用いる第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3の全記録容量を計算する。つまり、全記録容量を第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3によって個別に記録された記録ファイルのファイルサイズの合計として設定する。
【0042】
次に、ステップS415において、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3によりループレコーディングを行い、現在記録されたファイルを保存する。その後、ループレコーディングを継続して、ステップS410に戻り、残りの容量が第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3の次に記録されるファイルを保存するのに十分であるかどうかを継続して監視する。
【0043】
ストレージスペース121の残りの容量が全記録容量より少なくなると、それに反応して、ステップS420において、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3のレンズ番号に基づいて、それぞれ第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3に対応する記録されたファイルに対し、ファイルクリーニング動作を実行する。ステップS420は、ステップS421、ステップS423、およびステップS425を含む。ステップS421、ステップS423、およびステップS425のファイルクリーニング動作については、ステップS320~ステップS335のファイルクリーニング動作を参照されたい。ステップS421、ステップS423、およびステップS425において、各第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3に対し、それぞれファイルクリーニング動作を実行する。
【0044】
つまり、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3の各レンズ番号に基づいて、ストレージスペース121に保存された各第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3に対応する記録されたファイルの第1数量がデフォルトの数量より大きいかどうかを判断する。第1数量がデフォルトの数量より大きい場合、それに反応して、記録時間に基づいて、第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3に対応する各記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。
【0045】
第1数量がデフォルトの数量より大きくないレンズに対し、記録時間に基づいて、ストレージスペース121に保存された別のレンズに対応する記録されたファイルのうち最も早く記録されたファイルを削除する。あるいは、ファイルサイズに基づいて、ストレージスペース121に保存された別のレンズに対応する記録されたファイルのうち最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを削除する。ストレージスペース121に保存された別のレンズに対応する記録されたファイルの第2数量は、デフォルトの数量より大きい。
【0046】
1つの実施形態において、ストレージ120に第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐3に対応する待ち行列を設定し、それぞれ第1レンズ130‐1~第3レンズ130‐によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルのファイル情報を記録する。ファイル情報は、ファイル名、レンズ番号、記録時間、およびファイルサイズを含む。
【0047】
1つの実施形態において、ファイル名は、例えば、「レンズ番号_記録日_記録開始時間」のように、レンズ番号および記録時間と関連させて設定してもよい。例えば、第1レンズ130‐1のレンズ番号が「Video1」であり、記録開始時間が2022年6月29日午前10時29分30秒であると仮定すると、記録されたファイルのファイル名は、例えば、「Video1_2022-06-29_10-29-30」である。しかしながら、これは、例示的目的にすぎず、限定する意図はない。
【0048】
プロセッサ110は、レンズ番号に基づいて、対応する待ち行列にファイル名を記録する。ファイル名が「Video1_2022-06-29_10-29-30」の場合、ストレージスペース121に対応する記録されたファイルが保存されると、それに反応して、プロセッサ110は、レンズ番号「Video1」に基づいて、第1レンズ130‐1の待ち行列に対応するファイル名を記録する。また、ファイル名「Video1_2022-06-29_10-29-30」に対応する記録されたファイルがストレージスペース121から削除されると、それに反応して、プロセッサ110は、第1レンズ130‐1の待ち行列からファイル名を削除する。
【0049】
ストレージスペース121の残りの容量が次のループレコーディングのファイルを保存するのに不足しているとプロセッサ110が判断すると、それに反応して、プロセッサ110は、まず、各待ち行列を読み出して、各レンズ130によってストレージスペース121に保存された記録されたファイルの数を判断することができる。ファイル名は、各記録されたファイルの記録時間を示すため、それに基づいて、最も早く記録されたファイルを見つける。また、各記録されたファイルのファイルサイズおよびファイル名を対応する待ち行列にさらに記録することにより、待ち行列の記録に基づいて、最も大きいファイルサイズを有する記録されたファイルを見つけてもよい。
【0050】
以上のように、本発明は、マルチレンズ記録装置をオンにした時、駆動されたレンズの設定データに基づいて、各レンズによって記録された単一ファイルのファイルサイズを推定し、必要なストレージスペースを保留して、各レンズが完全なファイルを記録できるようにする。したがって、ストレージスペースがいっぱいになる前に、次の記録に用いる十分なスペースを保留することができる。また、駆動された各レンズに対応する記録されたファイルを1つずつ削除するため、各レンズのストレージスペースに保存されたファイルの数の均衡を保つことができる。したがって、保留されたストレージスペースを変更することができ、より多くのストレージスペースを使用して保存することができる。1つの回路基板を使用して複数のレンズを接続することによって、回路基板の使用を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、レンズの数に基づいてストレージスペースを保留することのできるマルチレンズ記録ファイルの保存方法およびマルチレンズ記録装置を提供する。
【符号の説明】
【0052】
100 マルチレンズ記録装置
110 プロセッサ
120 ストレージ
121 ストレージスペー
130 レンズ
130‐1 第1レンズ
130‐2 第2レンズ
130‐3 第3レンズ
S205~S220 マルチレンズ記録ファイルを保存するステップ
S305~S335 単一レンズを駆動させてマルチレンズ記録ファイルを保存するステップ
S405~S425 複数のレンズを駆動させてマルチレンズ記録ファイルを保存するステップ