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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ランプ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20240612BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20240612BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20240612BHJP
   B60Q 11/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H05B45/50
B60Q1/34 A
B60Q1/38 B
B60Q11/00 605C
B60Q11/00 610D
B60Q11/00 625A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023092122
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2020559171の分割
【原出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2023101804
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2018234402
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019061305
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 昌昭
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4504820(US,A)
【文献】特開2012-11970(JP,A)
【文献】特許第5341262(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
B60Q 1/34
B60Q 1/38
B60Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプの駆動電流を出力する出力端子と、
コンパレータと、
前記コンパレータの第1入力端子に印加される電圧を第1電圧に依存する第2電圧又は第1電流に依存する第3電圧に設定する第1設定部と、
を備え、
前記出力端子は、前記コンパレータの第2入力端子に接続され、
前記出力端子は、スイッチを介して前記ランプに接続可能に構成され、
前記出力端子は、前記スイッチを含む第2設定部に接続可能に構成され、
前記第1設定部が前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第2電圧に設定する場合には、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第1電圧及び前記スイッチの抵抗値に依存する第4電圧に設定し、
前記第1設定部が前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第3電圧に設定する場合には、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第1電流及び前記スイッチの抵抗値に依存する第5電圧に設定する、ランプ制御装置。
【請求項2】
前記ランプ制御装置が前記ランプを点灯させていないときに、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第4電圧又は前記第5電圧に設定する、請求項1に記載のランプ制御装置。
【請求項3】
前記第1設定部は、前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第2電圧に設定し、
前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第4電圧に設定し、
前記第2設定部は、一端が前記出力端子に接続可能に構成され他端に前記第1電圧が印加可能に構成されたプルアップ抵抗を含む、請求項1又は請求項2に記載のランプ制御装置。
【請求項4】
前記第1電圧は、前記ランプ制御装置の入力電圧である、請求項1~3のいずれか一項に記載のランプ制御装置。
【請求項5】
前記出力端子に印加される電圧がしきい値以下であるか否かを判定する判定部を備え、
前記出力端子に印加される電圧が前記しきい値より大きいと前記判定部によって判定された場合には、前記ランプ制御装置は第1モードで動作し、
前記出力端子に印加される電圧が前記しきい値以下であると前記判定部によって判定された場合には、前記ランプ制御装置は前記第1モードよりも消費電力が大きい第2モードで動作する、請求項1~4のいずれか一項に記載のランプ制御装置。
【請求項6】
前記第2設定部は、前記第1モードにおいて設定動作を行わず、前記第2モードにおいて設定動作を行う、請求項5に記載のランプ制御装置。
【請求項7】
前記第1モードである場合及び前記第2モードにおいて前記コンパレータの前記第2入力端子に印加される電圧が前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧より大きい場合に、前記ランプの点灯を禁止する、請求項5又は請求項6に記載のランプ制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のランプ制御装置と、
前記スイッチと、
前記ランプと、
前記第2設定部と、を備える、ランプシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のランプシステムと、
前記ランプシステムの電源となるバッテリと、
を備える、車両。
【請求項10】
前記車両は自動二輪車であり、
前記スイッチは、フラッシャースイッチであり、
前記ランプは、フラッシャーランプである、請求項9に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるランプ(例えば、自動二輪車用のフラッシャーランプ)の点灯制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられるフラッシャーランプの点灯制御を行うランプ制御装置は、運転者によって操作されるフラッシャースイッチの状態に応じてフラッシャーランプの点灯制御を行う。
【0003】
自動二輪車に設けられるフラッシャースイッチは、四輪車に設けられるフラッシャースイッチとは異なり、雨風に晒される環境下で使用される。このため、自動二輪車に設けられるフラッシャースイッチは、四輪車に設けられるフラッシャースイッチに比べて、オフ状態であるにもかかわらず雨滴、埃などに起因してリーク電流が流れる可能性が格段に高い。
【0004】
したがって、特に自動二輪車に設けられるフラッシャーランプの点灯制御を行うランプ制御装置に対して、リーク電流によるランプの誤点灯を抑制できることが強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-214017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の要望に鑑みて特許文献1で提案されているランプ制御装置は、フラッシャースイッチに流れる電流がリーク電流であることを検出した場合にはランプの点滅を停止させ、リーク電流によるランプの誤点灯を抑制する。
【0007】
そして、特許文献1に開示される第2の実施形態におけるランプ点灯システムは、ランプに対して抵抗が並列に接続される構成である。この構成によれば、例えば、ランプとして用いられるLEDの順方向電圧Vf、ランプ制御装置に供給される電源電圧等がばらついても、フラッシャースイッチに流れる電流の誤差を抑えることができる。その結果、フラッシャースイッチの抵抗値の検出精度を向上させることができる。
【0008】
しかしながら、上記システムでは、リーク電流が流れているときにリーク電流によって生じる電力損失を抑えることができない。
【0009】
また、特許文献1で提案されているランプ制御装置では、入力部に設けられるデジタルトランジスタのしきい値電圧及びレベル調整部に設けられるツェナーダイオードのツェナー電圧がフラッシャースイッチに流れる電流がリーク電流であるか否かの判定に影響する。すなわち、特許文献1で提案されているランプ制御装置では、上記デジタルトランジスタのしきい値電圧のばらつき及び上記ツェナーダイオードのツェナー電圧のばらつきのせいで、リーク電流によるランプの誤点灯を精度良く抑制することができない。
【0010】
本発明は、上記の状況に鑑み、リーク電流によるランプの誤点灯を抑制でき、リーク電流が流れているときにリーク電流によって生じる電力損失も抑制できるランプ制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0011】
本発明は、上記の状況に鑑み、リーク電流によるランプの誤点灯を精度良く抑制できるランプ制御装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に開示されている発明の一局面に係るランプ制御装置は、第1入力端子と、第2入力端子と、外部スイッチを介してランプに接続可能に構成され、前記ランプの駆動電流を出力する出力端子と、前記第1入力端子と前記出力端子とを繋ぐ第1経路上に設けられる内部スイッチと、前記第2入力端子と前記出力端子とを繋ぐ第2経路上に設けられる定電流部と、前記出力端子に印加される電圧を監視する電圧監視部と、前記電圧監視部の監視結果に基づき前記内部スイッチを制御する制御部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0013】
また、上記第1の構成のランプ制御装置において、前記制御部は、前記出力端子に印加される電圧が第1所定値より小さい場合、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えを開始する構成(第2の構成)であってもよい。
【0014】
また、上記第2の構成のランプ制御装置において、前記制御部は、前記第1制御モードと前記第2制御モードとの交互切り替えを開始した後、前記出力端子に印加される電圧が第2所定値より大きくなると、前記第1制御モードと前記第2制御モードとの交互切り替えを終了し、制御モードを前記第1制御モードに固定する構成(第3の構成)であってもよい。
【0015】
また、上記第3の構成のランプ制御装置において、前記第2所定値は前記第1所定値より大きい構成(第4の構成)であってもよい。
【0016】
また、上記第2~第4いずれかの構成のランプ制御装置において、前記制御部は、前記第2制御モード時に前記内部スイッチをPWM駆動する構成(第5の構成)であってもよい。
【0017】
また、上記第2~第5いずれかの構成のランプ制御装置において、前記制御部は、前記第1制御モード時に前記定電流部を間欠動作させる構成(第6の構成)であってもよい。
【0018】
また、上記第2~第6いずれかの構成のランプ制御装置において、前記制御部は、前記第2制御モード時に前記定電流部の動作を停止させる構成(第7の構成)であってもよい。
【0019】
本明細書中に開示されている発明の一局面に係るランプシステムは、上記第1~第7いずれかの構成のランプ制御装置と、前記外部スイッチと、前記ランプと、を備える構成(第8の構成)である。
【0020】
また、上記第8の構成のランプシステムにおいて、第1抵抗及び第2抵抗を備え、前記第1抵抗の一端及び前記第2抵抗の一端に入力電圧が印加され、前記第1抵抗の他端が前記第1入力端子に接続され、前記第2抵抗の他端が前記第2入力端子に接続され、前記第2抵抗の抵抗値は前記第1抵抗の抵抗値より大きい構成(第9の構成)であってもよい。
【0021】
本明細書中に開示されている発明の一局面に係る車両は、上記第8又は第9の構成のランプシステムと、前記ランプシステムの電源となるバッテリと、を備える構成(第10の構成)である。
【0022】
また、上記第10の構成の車両において、前記車両は自動二輪車であり、前記スイッチはフラッシャースイッチであり、前記ランプはフラッシャーランプである構成(第11の構成)であってもよい。
【0023】
本明細書中に開示されている発明の他の局面に係るランプ制御装置は、ランプの駆動電流を出力する出力端子と、コンパレータと、前記コンパレータの第1入力端子に印加される電圧を第1電圧に依存する第2電圧又は第1電流に依存する第3電圧に設定する第1設定部と、を備え、前記出力端子は、前記コンパレータの第2入力端子に接続され、前記出力端子は、スイッチを介して前記ランプに接続可能に構成され、前記出力端子は、前記スイッチを含む第2設定部に接続可能に構成され、前記第1設定部が前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第2電圧に設定する場合には、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第1電圧及び前記スイッチの抵抗値に依存する第4電圧に設定し、前記第1設定部が前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第3電圧に設定する場合には、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第1電流及び前記スイッチの抵抗値に依存する第5電圧に設定する構成(第12の構成)である。
【0024】
また、上記第12の構成のランプ制御装置において、前記ランプ制御装置が前記ランプを点灯させていないときに、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第4電圧又は前記第5電圧に設定する構成(第13の構成)であってもよい。
【0025】
また、上記第12又は第13の構成のランプ制御装置において、前記第1設定部は、前記コンパレータの前記第1入力端子に印加される電圧を前記第2電圧に設定し、前記第2設定部は、前記出力端子に印加される電圧を前記第4電圧に設定し、前記第2設定部は、一端が前記出力端子に接続可能に構成され他端に前記第1電圧が印加可能に構成されたプルアップ抵抗を含む構成(第14の構成)であってもよい。
【0026】
また、上記第12~第14いずれかの構成のランプ制御装置において、前記第1電圧は、前記ランプ制御装置の入力電圧である構成(第15の構成)であってもよい。
【0027】
本明細書中に開示されている発明の他の局面に係るランプシステムは、上記第12~第15いずれかの構成のランプ制御装置と、前記スイッチと、前記ランプと、前記第2設定部と、を備える構成(第16の構成)である。
【0028】
本明細書中に開示されている発明の他の局面に係る車両は、上記第16の構成のランプシステムと、前記ランプシステムの電源となるバッテリと、を備える構成(第17の構成)である。
【0029】
また、上記第17の構成の車両において、前記車両は自動二輪車であり、前記スイッチはフラッシャースイッチであり、前記ランプはフラッシャーランプである構成(第18の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本明細書中に開示されている発明の一局面に係る発明によれば、リーク電流によるランプの誤点灯を抑制でき、リーク電流が流れているときにリーク電流によって生じる電力損失も抑制できるランプ制御装置を提供することが可能となる。
【0031】
本明細書中に開示されている発明の他の局面に係る発明によれば、リーク電流によるランプの誤点灯を精度良く抑制できるランプ制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ランプシステムの一構成例を示す図
図2】定電流部及び電圧監視部の一構成例を示す図
図3】ランプの駆動電流のタイムチャート
図4】ランプシステムの変形例を示す図
図5】ランプの駆動電流の他のタイムチャート
図6】ランプ制御装置の外観上面図
図7】自動二輪車の外観図
図8】ランプシステムの変形例を示す図
図9】ランプシステムの他の構成例を示す図
図10】状態検出部の第1構成例を示す図
図11】状態検出部の第2構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
<1.第1実施形態>
<1-1.ランプシステムの構成>
図1はランプシステムの一構成例を示す図である。本構成例のランプシステムは、ランプ制御装置100Aと、これに外付けされる外付け部品と、を備える。外付け部品は、スイッチSW1、左前用ランプモジュールLF、左後用ランプモジュールLR、右前用ランプモジュールRF、及び右後用ランプモジュールRRを含む。各ランプモジュールはLED[light emitting diode]を備える。なお、図1では、1つのランプモジュールが1つのLEDを備える構成を図示しているが、1つのランプモジュールが複数のLEDを備える構成であってもよい。
【0034】
ランプ制御装置100Aは、バッテリE1から出力される電圧を受け取って、各ランプモジュールに出力電流を出力する半導体集積回路装置(いわゆるLEDドライバIC)であり、装置外部との電気的な接続を確立するための複数の外部端子を備えている。
【0035】
バッテリE1の負極は接地端に接続されている。バッテリE1の正極は逆流防止用ダイオードのアノードに接続されている。逆流防止用ダイオードのカソードは外部端子VINに接続されている。
【0036】
外部端子VINには、入力電圧VIN(≒バッテリE1の出力電圧)が印加される。外部端子SOURCE及び外部端子SEには、抵抗R1を介して入力電圧VINが印加される。外部端子VDRには、入力電圧VINの分圧が印加される。外部端子SSEには、抵抗R2を介して入力電圧VINが印加される。外部端子SSEと外部端子OUTとを繋ぐ経路を流れる電流は外部端子SOURCEと外部端子OUTとを繋ぐ経路を流れる電流よりも小さくなるように設定するので、抵抗R2の抵抗値は抵抗R1の抵抗値より大きいことが好ましい。
【0037】
ランプ制御装置100Aの内部で生成された定電圧VREGが外部端子VREGから出力される。外部端子DISC及び外部端子CRTには、ランプの点滅周期を設定するためのCR回路が接続される。
【0038】
外部端子GNDには、グランド電位が印加される。
【0039】
外部端子VSCPには、短絡異常検出の検出しきい値を示す電圧が入力される。外部端子VOPには、オープン異常検出の検出しきい値を示す電圧が入力される。
【0040】
スイッチSW1の共通接点cは、外部端子OUT及び外部端子OUTSに接続されている。外部端子OUTは、ランプの駆動電流Iを出力する出力端子である。外部端子OUTSは、外部端子OUTに印加される電圧を監視するための端子である。スイッチSW1の接点aは、左前用ランプモジュールLF及び左後用ランプモジュールLRに接続される。スイッチSW1の接点bは、右前用ランプモジュールRF及び右後用ランプモジュールRRに接続される。
【0041】
したがって、左前用ランプモジュールLF及び左後用ランプモジュールLRを点灯させるには、前もってスイッチSW1が操作されてスイッチSW1の共通接点cと接点aとが接続されていなければならない。同様に、右前用ランプモジュールRF及び右後用ランプモジュールRRを点灯させるには、前もってスイッチSW1が操作されてスイッチSW1の共通接点cと接点bとが接続されていなければならない。スイッチSW1は、何ら操作されていない状態では図1に示すように共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態となる。
【0042】
左前用ランプモジュールLF、右前用ランプモジュールRF、左後用ランプモジュールLR、及び右後用ランプモジュールRRはそれぞれ、電流制限用抵抗及びLEDの直列接続体である。
【0043】
<1-2.ランプ制御装置の内部構成>
引き続き、図1を参照しながら、ランプ制御装置100Aの内部構成について説明する。ランプ制御装置100Aは、バンドギャップ型基準電圧生成部1と、定電圧生成部2と、デューティ制御部3と、クロック生成部4と、ロジック部5と、駆動部6と、PMOS[P-channel metal-oxide-semiconductor]トランジスタ7と、低電圧誤動作防止部8と、過熱保護部9と、異常検出部10と、定電流部11と、電圧監視部12と、を集積化している。
【0044】
バンドギャップ型基準電圧生成部1は、外部端子VINに印加される入力電圧VINを用いて基準電圧VBGを生成してランプ制御装置100Aの各部に供給する。
【0045】
定電圧生成部2は、基準電圧VBGを用いて定電圧VREGを生成してランプ制御装置100Aの各部に供給する。
【0046】
デューティ制御部3は、外部端子VDRに印加される電圧VDR(入力電圧VINの分圧)に応じてPWM[pulse width modulation]信号のオンデューティを制御する。具体的には、デューティ制御部3は、電圧VDRとクロック生成部4によって生成される一定周期の三角波電圧との比較結果(二値化信号)をPWM信号としてロジック部5に供給する。
【0047】
クロック生成部4は、一定周期のクロック信号及び三角波電圧を生成し、一定周期のクロック信号をロジック部5に供給し、一定周期の三角波電圧をデューティ制御部3に供給する。
【0048】
ロジック部5はPMOSトランジスタ7をスイッチング制御する。具体的には、ロジック部5は駆動部6に制御信号を供給し、駆動部6はロジック部5からの制御信号に応じてPMOSトランジスタ7を駆動する。
【0049】
ロジック部5は、ランプの点滅制御を行う場合、クロック信号のM周期に相当する期間中PMOSトランジスタ7をオフ状態にする第1制御モードと、クロック信号のN周期に相当する期間中PWM信号に従ってPMOSトランジスタ7のオン状態とオフ状態とを切り替える第2制御モードとを交互に繰り返す。第1制御モードでは、ロジック部5は、駆動部6の動作を停止する。第2制御モードでは、ロジック部5は、駆動部6を介して、PMOSトランジスタ7をPWM駆動する。PMOSトランジスタ7をPWM駆動することによって、ランプを所望の輝度で点灯させることが容易になる。なお、上記M及び上記Nはそれぞれ2以上の自然数である。上記M及び上記Nは同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0050】
ロジック部5は、ランプの点灯を禁止する制御を行う場合、ランプの点灯を禁止する期間中ずっとPMOSトランジスタ7のオフ状態にする。
【0051】
低電圧誤動作防止部8は、入力電圧VINが所定値以下になると、定電圧生成部2を除くランプ制御装置100Aの全ての回路の動作をロックアウトする。
【0052】
過熱保護部9は、過熱を検知すると、過熱保護動作を実行する。
【0053】
異常検出部10は、ランプのオープン異常及びランプの短絡異常を検知すると、異常の発生をロジック部5に通知する。
【0054】
定電流部11は、外部端子SSEと外部端子OUTとを繋ぐ経路上に配置され、外部端子OUTに定電流を出力する。ロジック部5は、ランプ制御装置100Aの低消費電力化を図るため、第1制御モード時に定電流部11を間欠動作させ、第2制御モード時に定電流部11の動作を停止させる。ロジック部5は、定電流部11を間欠動作させる際に、クロック生成部4から出力される一定周期のクロック信号に基づき定電流部11を間欠動作させる。
【0055】
電圧監視部12は、外部端子OUTに印加される電圧を監視する。具体的には、電圧監視部12は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さいかと第2所定値(>第1所定値)より大きいかを判定し、判定結果をロジック部5に通知する。ロジック部5は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さい場合、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えを開始する。その後、外部端子OUTに印加される電圧が第2所定値より大きくなると、ロジック部5は、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えを終了し、制御モードを第1制御モードに固定する。なお、本実施例では、第2所定値を第1所定値より大きい値にして、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えの開始と終了にヒステリシスを持たせているが、第1所定値と第2所定値とを同じ値にしてもよい。
【0056】
<1-3.定電流部及び電圧監視部の構成例>
図2は、定電流部11及び電圧監視部12の一構成例を示す図である。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付す。本構成例における定電流部11は、PMOSトランジスタ11A、オペアンプ11B、及び定電圧源11Cによって構成される。本構成例における電圧監視部12は、コンパレータ12A及び定電圧源12Bによって構成される。
【0057】
PMOSトランジスタ11Aのソース及びオペアンプ11Bの反転入力端子は外部端子SSEに接続され、PMOSトランジスタ11Aのドレインは外部端子OUTに接続される。定電圧源11Cの正極側に入力電圧VINが印加され、定電圧源11Cの負極側はオペアンプ11Bの非反転入力端子に接続される。オペアンプ11Bの出力端子はPMOSトランジスタ11Aのゲートに接続される。
【0058】
コンパレータ12Aの反転入力端子は外部端子OUTSに接続される。定電圧源12Bの正極側がコンパレータ12Aの非反転入力端子に接続される。定電圧源12Bの負極側はグランド電位に接続される。コンパレータ12Aの出力信号はロジック部5に供給される。
【0059】
定電流部11の定電流設定値は、定電圧源11Cの定電圧値を抵抗R2の抵抗値で割った値である。
【0060】
電圧監視部12は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さいかと第2所定値(>第1所定値)より大きいかを判定する。電圧監視部12は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さければ、ロジック部5に供給する信号をHIGHレベルにする。外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より大きい状態で、外部端子OUTに印加される電圧が第2所定値より大きくなると、電圧監視部12は、ロジック部5に供給する信号をHIGHレベルからLOWレベルに切り替える。
【0061】
第1制御モードにおいて、外部端子SSEと外部端子OUTとを繋ぐ経路を流れる電流を定電流部11によって定電流にしている。したがって、定電流部11の定電流設定値を小さくすることで、リーク電流が流れているときにリーク電流によって生じる電力損失を抑制できる。
【0062】
さらに、第1制御モードにおいて、定電流部11を間欠動作させているため、リーク電流が流れているときにリーク電流によって生じる電力損失をより一層抑制できる。
【0063】
<1-4.ランプシステムの動作>
次に、図1に示すランプシステムの動作について図3を参照して説明する。図3は、ランプの駆動電流Iのタイムチャートである。なお、図3は、第2制御モードにおいてPMOSトランジスタ7がオンデューティ100%でPWM駆動される例を示している。
【0064】
スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態であって且つ雨、埃等の外部要因によってスイッチSW1にリーク経路が形成されていない場合(以下、「第1の場合」という)、スイッチSW1の抵抗値は十分に大きくなる。
【0065】
したがって、上記第1の場合、外部端子OUTに印加される電圧は第1所定値より小さくならない。
【0066】
上述した通り、ロジック部5は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さくならなければ、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えを開始しないので、上記第1の場合は、第1制御モードのままになる。
【0067】
スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態であって且つ雨、埃等の外部要因によってスイッチSW1にリーク経路が形成される場合(以下、「第2の場合」という)、スイッチSW1の抵抗値は中途半端に低くなる。
【0068】
上述した通り、ロジック部5は、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さくならなければ、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えを開始しないので、上記第2の場合も、第1制御モードのままになる。
【0069】
例えば上記第2の場合からスイッチSW1の共通接点cが接点a又は接点bに正常に接続されている状態に遷移すると、スイッチSW1の抵抗値は十分に小さくなる。これにより、外部端子OUTに印加される電圧が第1所定値より小さくなり、第1制御モードと第2制御モードとの交互切り替えが開始される。
【0070】
なお、本実施例では、電圧監視部12の出力信号がHIGHベルになってから一定時間PT、HIGHレベルが維持されて初めて、第1制御モードから第2制御モードに切り替わる(図3参照)。
【0071】
上述した動作により、リーク電流によるランプの誤点灯を抑制できる。なお、第1制御モードにおいて、電圧監視部12が監視する電圧は、定電流部11によって定まる定電流と、出力端子OUTに接続される負荷のインピーダンスとの積になる。図1に示す構成例では、LEDの順方向電圧のばらつきによって、出力端子OUTに接続される負荷のインピーダンスがばらつく。したがって、例えば図4に示す変形例のようにランプに対して並列に接続する抵抗R3を設けることで、電圧監視部12が監視する電圧は、定電流部11によって定まる定電流と、スイッチSW1及び抵抗R3の合成抵抗との積になる。これにより、リーク電流によるランプの誤点灯を精度良く抑制できる。
【0072】
上述した通り、ロジック部5は、第1制御モード時に定電流部11を間欠動作させている。これにより、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態での消費電力を低減できる。また、これにより、リーク電流によってランプが誤点灯する際にランプに流れる平均電流を小さくできるので、誤点灯時のランプの輝度を低くすることできる。
【0073】
なお、消費電力の観点および誤点灯時のランプの輝度の観点から、本実施例に比べて不利になるものの、第1制御モード時に定電流部11を連続動作させてもよい。この場合、ランプの駆動電流Iのタイムチャートは例えば図5に示すようになる。
【0074】
<1-5.ランプ制御装置の外部端子の配置>
図6は、ランプ制御装置100Aの外部端子の配置例を示すランプ制御装置100Aの外観上面図である。なお、図6において図1と同一の部分には同一の符号を付す。
【0075】
矩形状パッケージP1の第1の辺S1に沿って、外部端子SE、外部端子SOURCE、外部端子NC、外部端子SSE、外部端子NC、外部端子VIN、外部端子NC、外部端子VDR、外部端子VOP、及び外部端子PSSWの順に並んで配置されている。
【0076】
また、第1の辺S1の対向辺である矩形状パッケージP1の第2の辺S2に沿って、外部端子OUT、外部端子OUTS、外部端子NC、外部端子VREG、外部端子NC、外部端子DISC、外部端子CRT、外部端子VSCP、外部端子NC、及び外部端子GNDの順に並んで配置されている。本配置例のように、外部端子OUTと外部端子OUTSとは、矩形状パッケージの同一の辺に設けられることが望ましい。さらに、外部端子OUTと外部端子OUTSとの間には他の外部端子が存在しないことが望ましい。これにより、スイッチSW1と外部端子OUT及び外部端子OUTSとの接続が容易になる。
【0077】
各外部端子NCは、矩形状パッケージP1の内部回路に接続されていない端子である。外部端子PSSWは、図1等において図示を省略しているが、抵抗分圧のグランドの代わりに外部端子PSSWに抵抗分圧の下側(低電位側)を接続することでスタンバイモード時の消費電流を削減する端子である。
【0078】
<1-6.車両(自動二輪車)>
図7は、自動二輪車の外観図である。本図の自動二輪車Aは、いわゆる中型二輪(=日本の道路交通法において、排気量50cc超400cc以下の車両区分に属する普通自動二輪車に相当)と呼ばれる車両の一種である。自動二輪車Aは、自動二輪車の左側前方に設けられるフラッシャーランプA1と、自動二輪車の左側後方に設けられるフラッシャーランプA2と、自動二輪車の右側前方に設けられるフラッシャーランプ(図7において不図示)と、自動二輪車の右側後方に設けられるフラッシャーランプA3と、それらの電源となるバッテリA4と、を備える。
【0079】
なお、本図におけるフラッシャーランプA1~A3及びバッテリA4の搭載位置については、図示の便宜上、実際と異なる場合がある。
【0080】
上述したランプ制御装置100Aは、自動二輪車Aの各フラッシャーランプの点灯制御を行う装置として好適に用いることができる。上述したランプ制御装置100Aを自動二輪車Aの各フラッシャーランプの点灯制御を行う装置として用いた場合、図1に示すスイッチSW1はフラッシャースイッチとなり、自動二輪車Aの運転者によって操作される。
【0081】
<1-7.第1実施形態におけるその他の変形例>
上記の第1実施形態では、ランプとしてLEDを用いた構成を例に挙げたが、例えば、ランプとしてハロゲンランプ、キセノンランプ、有機EL[electro-luminescence]素子等を用いることも可能である。
【0082】
なお、スイッチSW1の性能等を考慮し、リーク電流を完全に無視しても問題ない場合は、ランプ制御装置100Aを用いて図8に示すランプシステムを構成してもよい。図8に示すランプシステムでは、外部端子OUTSをグランド電位に接続する。これにより、外部端子OUTに印加される電圧にかかわらず、電圧監視部12の出力信号はHIGHレベルになる。すなわち、電圧監視部12は、ディセーブル状態になり、外部端子OUTに印加される電圧を監視しない。
【0083】
図8に示すランプシステムでは、異常検出部10は、外部端子VINに印加される電圧と外部端子VSEに印加される電圧との差が所定値以下である場合、すなわち抵抗R1を流れる電流が閾値以下である場合に、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態であることを検出する機能を有する。
【0084】
異常検出部10が、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態であることが異常検出部10によって検出されると、ロジック部5が第2制御モードであってもクロック信号に基づく切り替えタイミングで第2制御モードから第1制御モードに切り替わる。したがって、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態では、第2制御モードは最大でクロック信号の1周期しか存在しない。
【0085】
一方、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれかに接続されている状態では、外部端子VINに印加される電圧と外部端子VSEに印加される電圧との差が所定値より大きくなり、異常検出部10は、スイッチSW1の共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態であることを検出しない。これにより、ロジック部5は、第1制御モードと第2制御モードとを交互に切り替える。
【0086】
このように、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記第1実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記第1実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記第1実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0087】
<2.第2実施形態>
<2-1.ランプシステムの構成>
図9はランプシステムの他の構成例を示す図である。なお、図9において、図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。本構成例のランプシステムは、ランプ制御装置100Bと、これに外付けされる外付け部品と、を備える。外付け部品は、抵抗R3、スイッチSW1、左前用ランプモジュールLF、左後用ランプモジュールLR、右前用ランプモジュールRF、及び右後用ランプモジュールRRを含む。各ランプモジュールはLEDを備える。なお、図9では、1つのランプモジュールが1つのLEDを備える構成を図示しているが、1つのランプモジュールが複数のLEDを備える構成であってもよい。本実施形態における左前用ランプモジュールLF、左後用ランプモジュールLR、右前用ランプモジュールRF、及び右後用ランプモジュールRRの具体的な構成例は、第1実施形態における左前用ランプモジュールLF、左後用ランプモジュールLR、右前用ランプモジュールRF、及び右後用ランプモジュールRRの具体的な構成例とは異なる。
【0088】
ランプ制御装置100Bは、バッテリE1から出力される電圧を受け取って、各ランプモジュールに出力電流を出力する半導体集積回路装置(いわゆるLEDドライバIC)であり、装置外部との電気的な接続を確立するための複数の外部端子を備えている。
【0089】
ランプ制御装置100Bは、第1実施形態で説明したランプ制御装置100Aと異なり、外部端子SSEを備えていない。
【0090】
抵抗R3の一端及びスイッチSW1の共通接点cは、外部端子OUTに接続されている。外部端子OUTは、ランプの駆動電流を出力する出力端子である。抵抗R3の他端には、入力電圧VINが印加される。スイッチSW1の接点aは、左前用ランプモジュールLF及び左後用ランプモジュールLRに接続される。スイッチSW1の接点bは、右前用ランプモジュールRF及び右後用ランプモジュールRRに接続される。
【0091】
したがって、左前用ランプモジュールLF及び左後用ランプモジュールLRを点灯させるには、前もってスイッチSW1が操作されてスイッチSW1の共通接点cと接点aとが接続されていなければならない。同様に、右前用ランプモジュールRF及び右後用ランプモジュールRRを点灯させるには、前もってスイッチSW1が操作されてスイッチSW1の共通接点cと接点bとが接続されていなければならない。スイッチSW1は、何ら操作されていない状態では図9に示すように共通接点cが接点a及び接点bのいずれにも接続されていない状態となる。
【0092】
左前用ランプモジュールLF及び右前用ランプモジュールRFはそれぞれ、電流制限用抵抗及びLEDの直列接続体に並列接続される抵抗R4_1を備えている。左後用ランプモジュールLR及び右後用ランプモジュールRRはそれぞれ、電流制限用抵抗及びLEDの直列接続体に並列接続される抵抗R4_2を備えている。
【0093】
<2-2.ランプ制御装置の内部構成>
引き続き、図9を参照しながら、ランプ制御装置100Bの内部構成について説明する。ランプ制御装置100Bは、バンドギャップ型基準電圧生成部1と、定電圧生成部2と、デューティ制御部3と、クロック生成部4と、ロジック部5と、駆動部6と、PMOSトランジスタ7と、低電圧誤動作防止部8と、過熱保護部9と、異常検出部10と、状態検出部200と、を集積化している。
【0094】
バンドギャップ型基準電圧生成部1は、外部端子VINに印加される入力電圧VINを用いて基準電圧VBGを生成してランプ制御装置100Bの各部に供給する。
【0095】
定電圧生成部2は、基準電圧VBGを用いて定電圧VREGを生成してランプ制御装置100Bの各部に供給する。
【0096】
ロジック部5は、ランプの点滅制御を行う場合、クロック信号のM周期に相当する期間中MOSトランジスタ7をオフ状態にする第1制御モード(消灯制御)と、クロック信号のN周期に相当する期間中PWM信号に従ってMOSトランジスタ7のオン状態とオフ状態とを切り替える第2制御モード(点灯制御)とを交互に繰り返す。なお、上記M及び上記Nはそれぞれ2以上の自然数である。上記M及び上記Nは同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0097】
状態検出部200は、スイッチSW1の状態を検出する。具体的には、状態検出部200は、スイッチSW1の抵抗値が所定値より小さいか否かを判定し、判定結果をロジック部5に通知する。
【0098】
<2-3.状態検出部の構成>
(第1構成例)
図10は、状態検出部200の第1構成例を示す図である。なお、図10において図9と同一の部分には同一の符号を付す。本構成例における状態検出部200は、抵抗R11、抵抗R12、及びコンパレータCMP1によって構成される。
【0099】
抵抗R11の一端に入力電圧VINが印加される。抵抗R11の他端及び抵抗R12の一端がコンパレータCMP1の非反転入力端子に接続される。抵抗R12の他端にグランド電位が印加される。そして、外部端子OUTがコンパレータCMP1の反転入力端子に接続される。
【0100】
入力電圧VINの分圧がコンパレータCMP1の反転入力端子に印加される。抵抗R12の抵抗値に対する抵抗R11の抵抗値の比は9に設定されている。したがって、図10に示すように0.1VINがコンパレータCMP1の非反転入力端子に印加される。つまり、下記(1)式が成り立つ。ただし、VはコンパレータCMP1の非反転入力端子に印加される電圧である。
=0.1×VIN …(1)
【0101】
ランプが点灯していない状態において、下記(2)式が成り立つ。ただし、VはコンパレータCMP1の反転入力端子に印加される電圧であり、Rは抵抗R3の抵抗値であり、Rは左前用ランプモジュールLF(図9参照)の抵抗R4_1及び左後用ランプモジュールLR(図9参照)の抵抗R4_2の合成抵抗値又は右前用ランプモジュールRF(図9参照)の抵抗R4_1及び右後用ランプモジュールRR(図9参照)の抵抗R4_2の合成抵抗値であり、RSWはスイッチSW1の抵抗値である。
=VIN×(RSW+R)/(RSW+R+R) …(2)
【0102】
コンパレータCMP1の出力信号SG1がハイレベルになるための条件は、下記(3)式である。そして、下記(3)式に上記(1)式及び上記(2)式を代入して整理すると、下記(4)式になる。
<V …(3)
IN×(RSW+R)/(RSW+R+R)<0.1×VIN
SW<(R/9)-R …(4)
【0103】
スイッチSW1が操作されてスイッチSW1の共通接点cと接点a又は接点bとが接続されている場合、スイッチSW1の抵抗値RSWは略零になる。そのため、上記(4)式が成立し、コンパレータCMP1の出力信号SG1がハイレベルになる。
【0104】
一方、スイッチSW1にリーク電流が流れる場合、スイッチSW1の抵抗値RSWはある程度大きくなる。そのため、スイッチSW1にリーク電流が流れる場合に上記(4)式が成立しないように、抵抗値R及び合成抵抗値Rを設定する。換言すると、抵抗値R及び合成抵抗値Rの設定によりリーク電流の検出感度を調整することができる。
【0105】
コンパレータCMP1の非反転入力端子に印加される電圧V、コンパレータCMP1の反転入力端子に印加される電圧Vともに入力電圧VINに依存する電圧であるため、入力電圧VINの変動はリーク電流の検出に対する誤差要因にならない。
【0106】
リーク電流の検出に対する誤差要因は、上記(4)式中の「9」である。すなわち、リーク電流の検出に対する誤差は、抵抗R11及び抵抗R12によって構成される分圧回路の分圧比の誤差程度である。このため、本構成例における状態検出部200は、特許文献1で提案されているランプ制御装置よりも高精度にスイッチSW1のリーク電流を検出することができる。
【0107】
コンパレータCMP1の出力信号SG1がローレベルである場合に、ランプの点灯を禁止することで、リーク電流によるランプの誤点灯を精度良く抑制できる。
【0108】
なお、抵抗R3の一端及び抵抗R11の一端に印加する電圧として、入力電圧VINの代わりに例えば定電圧VREGを用いてもよい。
【0109】
(第2構成例)
図11は、状態検出部200の第2構成例を示す図である。なお、図11において図10と同一の部分には同一の符号を付す。本構成例における状態検出部200は、抵抗R11の代わりに定電流源CS1を備え、さらに定電流源CS2及び調整回路ADJ1を備える点で第1構成例における状態検出部200と異なり、それ以外の点で第1構成例における状態検出部200と同一である。
【0110】
本構成例における状態検出部200を採用する場合、図11に示すように外部端子OUTに抵抗R3を接続しない。
【0111】
定電流源CS1及びCS2の電源電圧は入力電圧VINである。なお、入力電圧VINの代わりに定電圧VREGを定電流源CS1及びCS2の電源電圧としてもよい。定電流源CS2は外部端子OUTに定電流を供給する。
【0112】
調整回路ADJ1は、外部端子ADJに接続される抵抗の値に応じて、定電流源CS1から出力される定電流の値に対する定電流源CS2から出力される定電流の値の比を調整する。定電流源CS1から出力される定電流の値に対する定電流源CS2から出力される定電流の値の比及び合成抵抗値Rの設定によりリーク電流の検出感度を調整することができる。
【0113】
リーク電流の検出に対する誤差は、定電流源CS1から出力される定電流の値に対する定電流源CS2から出力される定電流の値の比の誤差程度である。このため、本構成例における状態検出部200は、特許文献1で提案されているランプ制御装置よりも高精度にスイッチSW1のリーク電流を検出することができる。
【0114】
<2-4.車両(自動二輪車)>
上述したランプ制御装置100Bは、上述したランプ制御装置100Aと同様に、上述した図7に示す自動二輪車Aの各フラッシャーランプの点灯制御を行う装置として好適に用いることができる。上述したランプ制御装置100Bを自動二輪車Aの各フラッシャーランプの点灯制御を行う装置として用いた場合、図9に示すスイッチSW1はフラッシャースイッチとなり、自動二輪車Aの運転者によって操作される。
【0115】
<2-5.第2実施形態におけるその他の変形例>
上記の第2実施形態では、ランプとしてLEDを用いた構成を例に挙げたが、例えば、ランプとしてハロゲンランプ、キセノンランプ、有機EL素子等を用いることも可能である。
【0116】
出力信号SG1の論理を上記の第2実施形態とは逆にしてもよい。
【0117】
抵抗R3をランプ制御装置100Bに内蔵してもよい。ただし、リーク電流の検出感度の調整自由度を高める観点からは、上記の第2実施形態のように抵抗R3を外付け部品にすることが望ましい。
【0118】
このように、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記第2実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記第2実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記第2実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0119】
100A、100B ランプ制御装置
11 定電流部
12 電圧監視部
200 状態検出部
CMP1 コンパレータ
OUT 出力端子(外部端子)
R1、R2、RSW 抵抗
A 自動二輪車(車両)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11