(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】白色発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240612BHJP
F21K 9/232 20160101ALI20240612BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20240612BHJP
F21V 3/12 20180101ALI20240612BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240612BHJP
【FI】
H01L33/50
F21K9/232 100
F21V9/38
F21V3/12
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2023172525
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2023512274の分割
【原出願日】2022-07-20
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/108760
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ウー ツング チン
(72)【発明者】
【氏名】フー シャオ イエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュー ルー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ソンフイ
(72)【発明者】
【氏名】シェン モー
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特許第6376225(JP,B2)
【文献】特表2022-527057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/50
F21K 9/232
F21V 9/38
F21V 3/12
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光デバイスであって、
基材と、
前記基材上に実装され、445nm~460nmの範囲内のドミナント波長を有する少なくとも1列の青色LEDチップと、
蛍光体材料組成物であって、
520nm~580nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する黄緑色蛍光体材料と、
625nm~635nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する狭帯域赤色蛍光体材料と、を含む蛍光体材料組成物と、を備え、
前記蛍光体材料組成物が、4000~6500KのCCTの場合に33~49重量%の量の、又は2700~3500K CCTの場合に60~70重量%の量の前記狭帯域赤色蛍光体材料を含み、
前記白色発光デバイスが、10~60mA/mm
2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において白色光出力を生成するように適合されている、
基材及び1列の青色LEDチップはLEDフィラメントとして構成され、青色LEDチップサイズは0.18mm
2~0.30mm
2の範囲内であり、2つ又は3つの電極が前記白色発光デバイスの基材上に入り組んだ電極トラックとして配置されている、
白色発光デバイス。
【請求項2】
前記青色LEDチップ入力電流密度が、20~30mA/mm
2の範囲内である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記蛍光体材料組成物が、5000K~6500KのCCTの場合に33~43重量%の量の前記狭帯域赤色蛍光体材料を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記蛍光体材料組成物が、4000~6500KのCCTの場合に44~74重量%の、又は2700~3500KのCCTの場合に22~45重量%の量の前記黄緑色蛍光体材料を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記蛍光体材料組成物が、4000~6500KのCCTの場合、51~67重量%の量の前記黄緑色蛍光体材料、及び33~49重量%の量の前記狭帯域赤色蛍光体材料を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
2700~3500KのCCTの場合、前記蛍光体材料組成物が、広域スペクトル赤色蛍光体材料を更に含み、
2700~3500KのCCTの場合、前記蛍光体材料組成物が、
1~4重量%の量の前記広域スペクトル赤色蛍光体材料、
30~35重量%の量の前記黄緑色蛍光体材料、及び
64~67重量%の量の前記狭帯域赤色蛍光体材料を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
白色発光デバイスであって、
基材と、
前記基材上に実装され、445nm~460nmの範囲内のドミナント波長を有する少なくとも1列の青色LEDチップと、
蛍光体材料組成物であって、
520nm~580nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する黄緑色蛍光体材料と、
625nm~635nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する狭帯域赤色蛍光体材料と、を含む蛍光体材料組成物と、を備え、
前記デバイスが、10~60mA/mm
2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において白色光出力を生成するように適合されており、ANSI規格C78.377の付属書類Aの7-Step Quadranglesに定義されるSSL製品の色度仕様に関する前記白色光出力のカラーポイント(x,y)が、
0.300<x<0.500、かつ
-2.3172x
2+2.3653x-0.170<y<-2.3172x
2+2.3653x-0.146の範囲内であり、
ここで、x及びyが、CIE1931の色図による色度座標であり、
前記白色発光デバイスが、10~60mA/mm
2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度で白色光出力を生成するように適合されている、
基材及び1列の青色LEDチップはLEDフィラメントとして構成され、青色LEDチップサイズは0.18mm
2~0.30mm
2の範囲内であり、2つ又は3つの電極が前記白色発光デバイスの基材上に入り組んだ電極トラックとして配置されている、
白色発光デバイス。
【請求項8】
前記白色光出力の前記カラーポイント範囲が、黒体軌跡の上方で、前記黒体軌跡に対して少なくとも5SDCM、好ましくは少なくとも7SDCM、より好ましくは少なくとも9SDCM、最も好ましくは少なくとも10SDCMの距離にある、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、15~40mA/mm
2の範囲内、好ましくは20~30mA/mm
2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において少なくとも230lm/Wの効率で白色光出力を生成するように適合されている、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記白色光出力のccy位置が、黒体曲線よりも0.02~0.03高い範囲内にある、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記黄緑色蛍光体材料が、YAG、GaYAG又はLuYAGを含み、前記狭帯域赤色蛍光体材料が、K
2SiF
6:Mn
4+を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
4000K~6500KのCCTの場合、480nm~600nmの累積スペクトル強度比が、380nm~780nmの全白色スペクトルの50%よりも高く、
2700K~3500KのCCTの場合、480nm~600nmの累積スペクトル強度比が、前記全白色スペクトルの45%よりも高い、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記青色LEDチップ同士の距離が、0.4mm以上である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明及び表示デバイスの分野に関する。より詳細に、本発明は、白色発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、従来の白熱電球及び/又は蛍光灯の代替品として、照明及び表示デバイスにおいて広く知られている。高い色純度の白色光を高効率で生成することが望ましい。
【0003】
LEDから白色光を生成するための2つの主要な手法がある。第1は、異なる強度で異なる発光色を有する複数のLEDの組み合わせを使用することである。例えば、青色、赤色及び緑色発光LEDは、白色光を生成するために組み合わせることができる。しかし、この手法に伴う問題は、コンポーネントLEDのスペクトルパワー分布が比較的狭い場合があること、すなわち、約10~30nmの半値全幅(FWHM)を有する場合があることである。したがって、高い効率を得ることが困難となり得る波長範囲、例えば580nmが存在する。
【0004】
他の主要な手法は、蛍光体などの波長変換材料と組み合わせて(特定の波長で発光する)単色LEDを使用することである。このようにして、波長変換材料は、LEDからの特定の波長の光を吸収し、異なる波長、通常はより長い波長(すなわち、より低いエネルギー)の光を放出する。例えば、青色LEDが黄緑色蛍光体と共に使用され得る。しかし、現在、この方法を使用して達成される効率には限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的な白色発光デバイスは、150~200lm/Wの範囲内の効率を有し、これらの効率を達成するために必要とされるLEDチップの電流密度は、比較的高い(典型的に、0.2~0.5A/mm2)。したがって、上述の問題に悩まされない、LEDを使用する高効率の白色発光デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このことに照らして、特許請求の範囲による効率的な白色発光デバイスが提供される。本発明の第1の態様において、白色発光デバイスであって、基材と、基材上に実装され、445nm~460nmの範囲内のドミナント波長を有する少なくとも1列の青色LEDチップと、蛍光体材料組成物であって、520nm~580nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する黄緑色蛍光体材料と、625nm~635nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する狭帯域赤色蛍光体材料と、を含む蛍光体材料組成物と、を備え、蛍光体材料組成物が、4000~6500KのCCTの場合に33~49重量%の量の、又は2700~3500KのCCTの場合に60~70重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含み、デバイスが、10~60mA/mm2の範囲内、好ましくは15~40mA/mm2の範囲内、より好ましくは20~30mA/mm2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において少なくとも230lm/Wの効率で白色光出力を生成するように適合されている、白色発光デバイスが提供される。
【0007】
デバイスの実施形態は、低いLED入力電流密度における高い効率を有する。したがって、これは、一般的な照明用途に必要とされる光色を提供するとともに、既存のLED(150~200lm/W)よりも著しく効率的である白色LEDを提供する。例えば、効率は、230lm/W~235lm/W、例えば、230、231、232、233、234又は235lm/Wであることができる。以下に記載されるように、実施形態は、特定の電流密度の適用によってより効率的である青色LEDチップの使用による、この改善をもたらし、(例えば、光の波長を修正するように青色LEDチップを覆う)波長変換蛍光体材料中の列挙された狭帯域赤色蛍光体量の使用による、白色スペクトル効率の改善をもたらす。
【0008】
白色LEDデバイスの効率(Lm/W白色)に関連する主要な成分は、以下の式に示される。
Lm/W白色=WPE青色チップ×CE蛍光体×PE白色(1)
WPE青色チップは、壁プラグ効率であり、
CE蛍光体は、蛍光体変換効率であり、
PE白色はパッケージ効率である。
【0009】
デバイスの効率は、ルーメン/ワットで測定され、標準的なLED測光技術によって計算することができる。
【0010】
式(1)において上述された白色LEDデバイスの効率の第1及び第2の成分を参照すると、10~60mA/mm2の範囲内の低電流密度における青色LEDチップと、異なるCCT範囲の場合に特定の重量百分率の狭帯域赤色蛍光体を含む蛍光体材料組成物との組み合わせは、このデバイスにおける少なくとも230lm/Wの高効率に寄与する。狭帯域赤色蛍光体材料の特定の重量百分率は、黄緑色蛍光体材料に対する狭帯域赤色蛍光体材料の比を決定するので重要である。デバイスから放出される白色光は、青色LEDチップと蛍光体材料との相互作用による異なる着色成分で構成される。狭帯域赤色蛍光体材料を特定の重量百分率で採用することにより、蛍光体材料組成物は、白色発光の改善されたデバイス効率をもたらすことが見出されている。
【0011】
狭帯域赤色蛍光体材料は、625nm~635nmのピーク発光波長範囲内で10nm以下のFWHMを有することができる。蛍光体変換効率は、典型的に、緑色/黄緑色蛍光体と比較して、広域赤色エミッタ蛍光体(すなわち、狭帯域赤色蛍光体よりも広いスペクトル発光プロファイルを有する蛍光体)の場合により低い。狭帯域赤色帯域蛍光体の狭いスペクトルプロファイルは、高い演色評価数(CRI)を維持すると同時に、赤色スペクトルの効率損失を低減するのに役立つ。CRIは、色純度の尺度であり、物体があたかも白熱電球又は自然光源によって照明されているかのように物体の色を正確に照明する光源の能力として定義される。したがって、デバイスにおける材料の特定の組み合わせが、高い演色評価数を有する白色発光デバイスの高い効率をもたらすことが見出されている。
【0012】
蛍光体材料組成物中に存在する狭帯域赤色蛍光体材料の重量百分率は、所望の相関色温度「CCT」に応じた特有のものである。CCTは、白色光源の色に一致する発光を有する加熱された黒体放射体の温度である。2700~3500Kの範囲内のCCTは、黄色っぽい色相を有する暖白色として説明される。4000~6500KのCCTは、昼白色から冷白色として説明される。したがって、第1の態様において、デバイスは、(i)4000~6500KのCCTを有する(例えば、4000K~6500KのCCTを有する光を放出する)デバイスであり、狭帯域赤色蛍光体材料が、組成物中に33~49重量%の量で存在するか、又は(ii)2700~3500K CCTのCCTを有する(例えば、2700K~3500KのCCTを有する光を放出する)デバイスであり、狭帯域赤色蛍光体材料が、組成物中に60~70重量%の量で存在するかのいずれかである。このより狭い範囲の狭帯域赤色蛍光体材料が特に有効であることが見出されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、蛍光体材料組成物は、5000K~6500KのCCTの場合に33~43重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、蛍光体材料組成物は、4000~6500KのCCTの場合に44~74重量%の、又は2700~3500KのCCTの場合に22~45重量%の量の黄緑色蛍光体材料を含む。狭帯域赤色蛍光体材料に対する黄緑色蛍光体材料の比は、白色光色出力に寄与し、したがって、実施形態におけるデバイスの効率に寄与する。
【0015】
いくつかの実施形態において、蛍光体材料組成物は、4000~6500KのCCTの場合、51~67重量%の量の黄緑色蛍光体材料及び33~49重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、2700~3500KのCCTの場合、蛍光体材料組成物は、広域スペクトル赤色蛍光体材料を更に含み、2700~3500KのCCTの場合、蛍光体材料組成物は、1~4重量%の量の広域スペクトル赤色蛍光体材料、30~35重量%の量の黄緑色蛍光体材料、及び64~66重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含む。
【0017】
実施形態において、広域スペクトル赤色蛍光体材料は、(590~700nmの発光範囲で)30nm以上のFWHM値(例えば、これは70~90nmであり得る)を有する蛍光体を指す。この広域スペクトル赤色蛍光体材料(例えば、CaAlSiN3:Eu2+又はSr2Si5N8:Eu2+などの窒化物蛍光体)を蛍光体組成物において採用することは、2700~3500Kの特定のCCT範囲で、デバイスからのより暖かい白色発光の提供に寄与するために有利である。
【0018】
いくつかの実施形態において、蛍光体材料組成物は、2700KのCCTの場合に60~74重量%の、3000KのCCTの場合に55~69重量%の、4000KのCCTの場合に42~56重量%の、又は6500KのCCTの場合に26~40重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含む。これらの実施形態は、それぞれのCCTの場合に特に効率的であることが見出されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、白色光出力のccy位置は、黒体曲線よりも0.02~0.03高い範囲内にある。特定の光源の色度は、CIE(フランス語ではCommission Internationale de l'eclairage、又は英語ではInternational Commission on Illumination)色空間図中の座標(ccx,ccy)を有する「カラーポイント」と呼ばれることがある。白色光に関して、「白色点」は、所与の温度に加熱された黒体放射体によって放出される光の色に対応する色度点の軌跡に沿って位置し得る。この軌跡は、黒体軌跡又はBBLと呼ばれる。このデバイスにおけるBBLの上方0.02~0.03のccy座標の特定の増加が、改善された効率に寄与し得ることが見出されている。デバイスのこの効率は、特定のccy座標の増加において、黄緑色蛍光体発光による寄与が黒体曲線の寄与よりも高いので、改善される。黄緑色発光は、高い蛍光体変換効率を有し、したがって、この寄与が増大するにつれて、デバイスの全体効率が増大する。
【0020】
実施形態において、白色光(出力)は、BBLの上方で、BBLに対して少なくとも5SDCM、好ましくは少なくとも7SDCM、より好ましくは少なくとも9SDCM、更により好ましくは少なくとも10SDCM、最も好ましくは少なくとも15SDCMの距離にあってもよい。得られた効果は、本発明による白色発光デバイスの改善された性能である。その理由は、白色光中の赤色光の(比較的)少ない量によって高品質の白色光(出力)が得られるためである。このようにして、(赤色蛍光体の)消光に関する問題が(更に)低減される。
【0021】
実施形態において、白色光(出力)は、少なくとも80、好ましくは少なくとも85、より好ましくは少なくとも88、最も好ましくは少なくとも90の演色評価数を有してもよい。本発明による白色発光デバイスは、この高品質の光を達成するのに特に適している。
【0022】
いくつかの実施形態において、基材及び1列の青色LEDチップは、LEDフィラメントとして構成される。十分なルーメン出力を生成するために、基材上の複数の青色LEDチップが必要とされ、LEDフィラメントは、チップサイズと基材材料の組み合わせについて高い設計柔軟性を有する。デバイスにおいてLEDフィラメントを採用することは、はるかに改善された効率を伴って、白熱電球の従来の構成を模倣することができる。実施形態におけるLEDフィラメントの使用は、例えば大型のヒートシンクを必要とせずに、効率が著しく改善されるので、特に有益である。これらのLEDフィラメントに関連する効率は、部分的に、従来のLEDフィラメントよりも小型かつ低電力の複数のLEDチップの存在によるものである。したがって、1つ以上のLEDフィラメントが、より低い駆動電流によってデバイスのより高い効率に寄与し得ることが見出されている。
【0023】
LEDフィラメントは、LEDフィラメント光を供給するものであり、線形アレイで配置されている複数の発光ダイオード(LED)を備える。好ましくは、LEDフィラメントは、長さL及び幅Wを有し、L>5Wである。LEDフィラメントは、直線構成で、又は、例えば湾曲構成、2D/3D渦巻若しくは螺旋などの非直線構成で配置されてもよい。好ましくは、LEDは、剛性(例えば、ポリマー、ガラス、石英、金属、若しくはサファイアから作製されているもの)、又は可撓性(例えば、ポリマー、若しくは金属、例えばフィルム若しくは箔で作製されているもの)であってもよい、例えば基板のような、細長形の支持体上に配置される。
【0024】
支持体が、第1の主表面及び反対側の第2の主表面を含む場合、LEDは、これらの表面のうちの少なくとも一方の上に配置される。支持体は、反射性であってもよく、あるいは、半透明及び好ましくは透明などの光透過性であってもよい。
【0025】
LEDフィラメントは、複数のLEDの少なくとも一部を少なくとも部分的に覆う、封入材を備えてもよい。封入材はまた、第1の主表面又は第2の主表面のうちの少なくとも一方を、少なくとも部分的に覆ってもよい。封入材は、例えばシリコーンなどの、可撓性であり得るポリマー材料であってもよい。更には、LEDは、例えば種々の色又はスペクトルの、LED光を放出するように構成されてもよい。封入材は、LED光を少なくとも部分的に変換光に変換するように構成されている、ルミネッセント材料を含んでもよい。ルミネッセント材料は、無機蛍光体及び/又は量子ドット若しくは量子ロッドなどの蛍光体であってもよい。
【0026】
LEDフィラメントは、複数のサブフィラメントを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、LEDフィラメントはサファイア基材を備える。サファイア基材が特に有効であり、デバイスに更なる効率をもたらすのに役立ち得ることが見出されている。
【0028】
デバイス内の青色LEDチップはそれぞれ、2lm~4lmの範囲内の出力光束を生成することができる。例えば、1つの青色LEDチップが、デバイスに対して約3lmの光束出力に寄与することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、デバイスは、蛍光体材料組成物を含む、青色LEDチップを覆う封入材を更に備える。封止材は、青色LEDチップに近接して蛍光体材料組成物を封止するのに役立つことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、黄緑色蛍光体材料は、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、ガリウム改質イットリウムアルミニウムガーネットGaYAG、又はルテチウム改質イットリウムアルミニウムガーネットLuYAGを含む。いくつかの実施形態において、狭帯域赤色蛍光体材料は、K2SiF6:Mn4+(KSF)を含む。KSF蛍光体は、蛍光体が昇温で劣化しやすいので、高温に対して比較的敏感である。本発明の利点は、比較的低いLEDチップ入力電流密度の結果として、LEDチップが、白色発光デバイスの動作中に比較的低い温度を有することである。
【0031】
いくつかの実施形態において、4000K~6500KのCCTの場合、480nm~600nmの累積スペクトル強度比が、380nm~780nmの全白色スペクトルの50%よりも高く、又は2700K~3500KのCCTの場合、480nm~600nmの累積スペクトル強度比が、全白色スペクトルの45%よりも高い。
【0032】
いくつかの実施形態において、青色LEDチップサイズは、0.18mm2~0.30mm2の範囲内である。これは、デバイス内の青色LEDチップが高効率に寄与するのに最適なサイズ範囲であることが見出されている。
【0033】
いくつかの実施形態において、デバイスは、基材上に設けられた2つの電極又は3つの電極のいずれかを備える。このタイプの配置は、2フィンガレイアウト又は3フィンガレイアウトと呼ぶことができる。このように基材上に電極を配置することにより、順方向電圧Vfが低減され得ることが見出されている。典型的に、電極トラック/フィンガの数が多いほど、Vfは低くなる。しかし、順方向電圧の低減と無用の光励起の増加との間には微妙なバランスがある。2つのトラックを設ける実施形態は、特に効率的であることが見出されている。
【0034】
いくつかの実施形態において、青色LEDチップ同士の距離は、0.4mm以上である。青色チップの発光パターンは全方向性であり、したがって、0.4mm以上のチップ間距離を有することにより、効率は、大幅に改善され得る。この距離では、隣のチップによる側面発光青色光の吸収が低減されることが見出されている。結果として、PE白色は、増加し、式(1)を参照して説明されたデバイスの全体効率に寄与する。これは、例えば、0.4mm以上2mm未満であってもよい。例えば、距離は、0.4~1.0mm、1.0~1.5mm、又は1.5~2mm未満の範囲内であることができる。距離は、これらの範囲内の任意の値、例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1mmであることができる。ある実施形態において、青色LEDチップ同士の距離は0.5mm以上である。
【0035】
第2の態様において、白色発光デバイスであって、基材と、基材上に実装され、445nm~460nmの範囲内のドミナント波長を有する少なくとも1列の青色LEDチップであって、各青色LEDチップが、隣の青色LEDチップから青色LEDチップ間距離だけ離れている、少なくとも1列の青色LEDチップと、蛍光体材料組成物であって、520nm~580nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する黄緑色蛍光体材料と、625nm~635nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する狭帯域赤色蛍光体材料と、を含む蛍光体材料組成物と、を備え、青色LEDチップ間距離が0.4mm以上である、白色発光デバイスが提供される。これは、10~60mA/mm2の範囲内、好ましくは15~40mA/mm2の範囲内、より好ましくは20~30mA/mm2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において少なくとも230lm/Wの効率で白色光出力を生成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、蛍光体材料組成物は、4000~6500KのCCTの場合に26~56重量%の量の、又は2700~3500K CCTのCCTの場合に55~74重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含む。
【0037】
青色LEDチップ間隔と狭帯域赤色蛍光体材料の重量百分率との組み合わせは、この態様におけるデバイスの高効率に寄与することが見出されている。上述されたように、特定の狭帯域赤色蛍光体材料の重量百分率は、蛍光体材料組成物中の狭帯域赤色蛍光体に対する黄緑色蛍光体の比を決定する。その上、青色LEDチップ間隔の距離が0.4mm以上であるときに、別のチップによる側面発光青色光の吸収が低減され、式(1)に従って、デバイスのパッケージング効率が増加する。したがって、得られた黄緑色:狭帯域赤色の比において、青色LEDチップ間隔が0.4mm以上であるときに、デバイスの全体効率は極めて高いことが見出されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、蛍光体変換効率(CE蛍光体)は、緑色相対スペクトル比を増加させるように蛍光体レシピを最適化することによって向上され得る。緑色スペクトルは、目の視覚関数のより高い重量百分率を有するため、計算されたルーメン出力及び効率は、通常の白色スペクトルよりも高い。白色スペクトル色座標は、赤色/緑色/青色スペクトルのスペクトル比によって計算される。より高い緑色スペクトル成分が、通常の白色スペクトルよりも比較的高いy座標を有するLEDをもたらす。発明者らの研究において、白色LED効率は、ANSI規格C78.377において定義される4000Kでのy座標の中心よりも0.011~0.030高くy座標をシフトさせながら、2~5パーセンテージの改善を有することができる。
【0039】
ANSI規格C78.377は、American National Standard for Electric Lamps-Specifications for the Chromaticity of Solid-State Lighting Productsである。第4章色度を参照すると、使用される色度座標及び相関色温度(CCT)値は、CIE表色系に基づく。一方、光の色度は、(x,y)などの色度座標で表される。公称白色光の色度は、CCT及びプランク軌跡からの距離によっても表すことができる。本開示では、CIE1961(x-y)図が使用される。
【0040】
より高いy座標のカラーポイントのカバレッジは、以下のように記述することができる。
0.300<x<0.500、かつ
-2.3172x2+2.3653x-0.170<y<-2.3172x2+2.3653x-0.146。
【0041】
これは、10~60mA/mm2、好ましくは20~30mA/mm2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において少なくとも230lm/Wの効率で白色光出力を生成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、定義されたより高いy座標カラーポイントカバレッジは、ANSI C78.376によるマクアダム楕円によって記述することができる。マクアダム楕円は、白色カラーポイントカバレッジを定義するための共通語である。マカダム楕円カバレッジは、基準点色座標(基準x、基準y)、楕円パラメータ(G11/G12/G22)、SDCMサイズ(K)を含む、以下のパラメータによって定義することができる。異なるCCTが異なる基準点を有するため、マクアダム楕円カバレッジの式は、以下のとおりである。
G11*Δx^2+2G12*Δx*Δy+G22*Δy^2=1*K
【0043】
【数1】
Δxは、楕円境界点と基準点(基準x)の間のx方向距離を意味する。
Δyは、楕円境界点と基準点(基準y)の間のy方向距離を意味する。
【0044】
また更に、実施形態において、相関色温度(CCT)は、特にBBL(黒体軌跡)から約15SDCM(等色の標準偏差)以内、特にBBLから約10SDCM以内、更に特にBBL(黒体軌跡)又は黒体曲線から約5SDCM以内である。
【0045】
マクアダム楕円カバレッジを記述する別の方法は、SDCMサイズ(K)、楕円長軸(a)、楕円短軸(b)、楕円回転角(θ)を使用することである。G11/G12/G22とa/b/θの間の変換式を以下に示す。
【0046】
マクアダム楕円カバレッジは、CCTとともに変化し、以下は、様々なCCT範囲についてのより高いy座標カラーポイントの例示的なカバレッジである。
【0047】
【0048】
用語「ルミネッセント材料」は、本明細書では特に、無機ルミネッセント材料に関し、これはまた、蛍光体として示される場合もある。これらの用語は、当業者には既知である。
【0049】
実施形態では、量子ドットが適用されてもよく、オプションとして、例えばPMMA又はポリシロキサンなどのようなポリマーのような、透過性マトリックス内に埋め込まれてもよい。量子ドットは、一般に数ナノメートルのみの幅又は直径を有する、半導体材料の小さい結晶である。入射光によって励起されると、量子ドットは、結晶のサイズ及び材料によって決定されている色の光を放出する。それゆえ、ドットのサイズを適合させることによって、特定の色の光が作り出されることができる。可視域で発光する既知の量子ドットの殆どは、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)などのシェルを有する、セレン化カドミウム(CdSe)に基づく。リン化インジウム(InP)並びに硫化インジウム銅(CuInS2)及び/又は硫化インジウム銀(AgInS2)などの、カドミウムを含まない量子ドットもまた、使用されることができる。量子ドットは、極めて狭い発光帯域を示し、それゆえ、量子ドットは飽和色を示す。更には、発光色は、量子ドットのサイズを適合させることによって、容易に調整されることができる。本発明では、当該技術分野において既知の、任意のタイプの量子ドットが使用されてもよい。しかしながら、環境に関する安全性及び懸念の理由から、カドミウムを含まない量子ドット、又は、少なくともカドミウム含有量が極めて低い量子ドットを使用することが好ましい場合がある。量子ドットの代わりに、又は量子ドットに加えて、他の量子閉じ込め構造体もまた使用されてもよい。用語「量子閉じ込め構造体」は、本出願の文脈では、例えば、量子井戸、量子ドット、量子ロッド、トライポッド、テトラポッド、又はナノワイヤなどとして理解されるべきである。
【0050】
特に、ルミネッセント材料は、光源光の少なくとも一部を、(a)緑色スペクトル波長範囲及び(b)黄色スペクトル波長範囲のうちの1つ以上の波長を有する発光帯域を有する、ルミネッセント材料光に変換するように構成されており、ルミネッセント材料は、A3B5O12:Ce型の(ガーネット)ルミネッセント材料を含み、Aは、Y、La、Gd、Tb及びLuのうちの1つ以上を含み、Bは、Al、Ga、In及びScのうちの1つ以上を含む。それゆえ、ルミネッセント材料光は、例えば、緑色光又は黄色光(又は、特定の実施形態では、(ガーネットの組成、及びセリウムの濃度に応じて)更に橙色)であってもよい。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり、以下を参照されたい。実施形態では、A元素の0.05~10%、更により特定的には0.05~5%、例えば0.1~5%は、Ceを含む。特に、実施形態では、A元素の0.1~3%、例えば最大で2%、0.1~1.5%の範囲から選択されるような、例えば少なくとも0.5%超が、Ceを含む。
【0051】
代替的又は追加的に、ルミネッセント材料は、例えば、M2Si5N8:Eu2+及び/又はMAlSiN3:Eu2+及び/又はCa2AlSi3O2N5:Eu2+等であってもよく、ここで、Mは、Ba、Sr及びCaのうちの1つ以上、特に実施形態では少なくともSrを含む。具体的な実施形態では、第1のルミネッセントは、(Ba,Sr,Ca)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)AlSiN3:Eu及び(Ba,Sr,Ca)2Si5N8:Euからなる群から選ばれた1以上の材料を含むことがある。これらの化合物中、ユーロピウム(Eu)は、実質的に二価である、又は二価のみであり、示されている二価カチオンのうちの1つ以上を置換する。一般に、Euは、カチオンの10%よりも多い量では存在することがなく、その存在は、特に、置換するカチオンに対して、約0.5~10%の範囲、より特定的には、約0.5~5%の範囲となる。用語「:Eu」は、金属イオンの一部が、Euによって(これらの例では、Eu2+によって)置換されていることを示す。例えば、CaAlSiN3:Eu中の2%のEuを想定すると、正しい式は、(Ca0.98Eu0.02)AlSiN3とすることができる。
【0052】
上述の態様のいずれも、単独で、又は上述の実施形態のいずれかとの組み合わせで提供されてもよい。
【0053】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以降で説明される実施形態から明らかとなり、当該の実施形態を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
次に、本発明の実施形態が、添付図面を参照して説明される。
【
図1】本発明のある実施形態による白色発光デバイスの概略図である。
【
図2】本発明のある実施形態による白色発光デバイスの概略図である。
【
図3A】デバイス内のLEDフィラメントとしての、基材及び1列の青色LEDを示す。
【
図3B】本発明のある実施形態による、LEDフィラメント電球として構成されたデバイスを示す。
【
図4A】白色発光デバイスの基材上の入り組んだ2つ及び3つの電極トラックをそれぞれ示す。
【
図4B】白色発光デバイスの基材上の入り組んだ2つ及び3つの電極トラックをそれぞれ示す。
【
図5A】一連の青色LEDチップを備える白色発光デバイスの効率対電流密度のグラフを示す。
【
図5B】(LEDチップを覆う蛍光体がない)一連の青色LEDチップの壁プラグ効率(WPE)対これらのチップを流れる電流の電流密度のグラフを示す。
【
図6A】
図6Aでは、緑色蛍光体のみ、
図6Bでは、緑色蛍光体及び広域スペクトル赤色蛍光体、
図6Cでは、緑色蛍光体及び狭帯域赤色蛍光体を含む、蛍光体材料組成物を備えるデバイスについての相対放射パワー対波長のグラフを示す。
【
図6B】
図6Aでは、緑色蛍光体のみ、
図6Bでは、緑色蛍光体及び広域スペクトル赤色蛍光体、
図6Cでは、緑色蛍光体及び狭帯域赤色蛍光体を含む、蛍光体材料組成物を備えるデバイスについての相対放射パワー対波長のグラフを示す。
【
図6C】
図6Aでは、緑色蛍光体のみ、
図6Bでは、緑色蛍光体及び広域スペクトル赤色蛍光体、
図6Cでは、緑色蛍光体及び狭帯域赤色蛍光体を含む、蛍光体材料組成物を備えるデバイスについての相対放射パワー対波長のグラフを示す。
【
図7A】
図7aでは、黒体軌跡上のccyを有し、
図7bでは、本発明のある実施形態により、黒体軌跡よりも約0.03高いccyを有する、異なる2つのデバイスのスペクトルパワー分布を示す。
【
図7B】
図7aでは、黒体軌跡上のccyを有し、
図7bでは、本発明のある実施形態により、黒体軌跡よりも約0.03高いccyを有する、異なる2つのデバイスのスペクトルパワー分布を示す。
【
図8】異なる色に対するヒトの目の感度関数を示す。
【
図9】ANSI C78.377のビン範囲の上方の定義されたより高いy色座標カバレッジを示す。
【
図10】ANSI C78.377のビン範囲の上方の定義されたより高いy色座標カバレッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
一態様において、白色発光デバイスであって、基材と、基材上に実装され、445nm~460nmの範囲内のドミナント波長を有する少なくとも1列の青色LEDチップと、蛍光体材料組成物であって、520nm~580nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する黄緑色蛍光体材料と、625nm~635nmの範囲内のピーク発光波長を有する光を生成する狭帯域赤色蛍光体材料と、を含む蛍光体材料組成物と、を備え、蛍光体材料組成物が、4000~6500KのCCTの場合に33~49重量%の量の、又は2700~3500KのCCTの場合に60~70重量%の量の狭帯域赤色蛍光体材料を含み、デバイスが、10~60mA/mm2の範囲内の青色LEDチップ入力電流密度において少なくとも230lm/Wの効率で白色光出力を生成するように適合されている、白色発光デバイスが提供される。
【0056】
実施形態において、デバイスの蛍光体材料組成物中の蛍光体材料の重量百分率は、変更することができ、所望のCCTに依存することができる。
【0057】
狭帯域赤色蛍光体について、4000~6500KのCCTの場合、重量百分率は26~56重量%である。例えば、重量百分率は、33~49重量%であることができる。重量百分率は、いくつかの実施形態では、44~54重量%であることもできる。更なる実施形態において、これは、4000KのCCTの場合に49%であることができる。重量百分率は、5000~6000KのCCTの場合、33~43重量%、更なる実施形態では38重量%であることもできる。2700~3500KのCCTの場合、狭帯域赤色蛍光体の重量百分率は、55~74重量%である。例えば、重量百分率は、64~66重量%であることができる。より具体的に、対応するCCTの場合の狭帯域赤色蛍光体材料の重量百分率は、2700Kの場合に60~74重量%、更なる実施形態では67重量%、3000Kの場合に55~69重量%、更なる実施形態では62重量%、4000Kの場合に42~56重量%、更なる実施形態では49重量%、6500Kの場合に26~40重量%、更なる実施形態では33重量%であることができる。
【0058】
黄緑色蛍光体材料について、4000K~6500KのCCTの場合、黄緑色蛍光体材料の重量百分率は、44~74重量%であることができる。2700~3500KのCCTの場合、黄緑色蛍光体材料の重量百分率は、22~45重量%であることができる。
【0059】
したがって、本発明の実施形態における重量百分率の例は、4000KのCCTの場合、49重量%の狭帯域赤色蛍光体及び51重量%の黄緑色蛍光体であることができ、6500KのCCTの場合、33重量%の狭帯域赤色蛍光体及び67重量%の黄緑色蛍光体であることができる。
【0060】
広域スペクトル赤色蛍光体材料の重量百分率は、1~4重量%であってもよい。例えば、重量百分率は3重量%であってもよい。したがって、2700KのCCTの場合に広帯域赤色蛍光体を備える本発明のある実施形態によるデバイスの例は、67重量%の狭帯域赤色蛍光体、30重量%の黄緑色蛍光体、及び3重量%の広域赤色蛍光体を備えることができる。3000KのCCTの場合に広域赤色蛍光体を備える本発明のある実施形態による別のデバイスの例は、62重量%の狭帯域赤色蛍光体、35重量%の黄緑色蛍光体、及び3重量%の広域スペクトル赤色蛍光体を備えることができる。
【0061】
デバイスがLEDフィラメントを備える実施形態は、複数の方法で構成された単一又は複数のLEDフィラメントを備えることができる。例えば、単一又は複数のLEDフィラメントが、電球内に螺旋、コイル、リング若しくはロッドなどの様々な形状で、又は立方体、円筒体若しくは楕円体などの任意の代替的なハウジング形状で構成され得る。LEDフィラメントは、ガラス、セラミック又はサファイアなどの複数のタイプの基材を備えることができる。特に、LEDフィラメントにおけるサファイア基材は、より多くの背面白色光出力に寄与する(ガラス又はセラミック基材と比較して)それらの増加された透明度のために、更なる1~2%の効率利得をもたらすことができる。
【0062】
2フィンガ又は3フィンガレイアウトのいずれかを備える実施形態は、様々な方法で構成されることができ、デバイスは、単一の2フィンガ若しくは3フィンガレイアウト、又は複数の2フィンガ若しくは3フィンガレイアウトを備えることができる。
【0063】
本発明の実施形態における青色LEDチップのサイズも変更することができる。場合によっては、サイズは0.18~0.30mm2である。いくつかの実施形態において、チップのサイズは0.2mm2である。
【0064】
本発明が、図を参照して説明される。本発明の第1の実施形態が、
図1に示される。白色発光デバイス1が、基材3上に実装された青色LEDチップ2を備える。黄緑色蛍光体材料4及び狭帯域赤色蛍光体材料5を含む蛍光体材料組成物が、青色LEDチップ2上に堆積される。このデバイスの青色LEDチップ2及び蛍光体材料組成物は、封止材7によってデバイス内部に封止される。配線6が、青色LED2同士を接続するために設けられる。
【0065】
図1の実施形態の特定の一実装において、デバイスは、4000KのCCTを有し、蛍光体材料組成物は、49重量%の狭帯域赤色蛍光体5及び51重量%の黄緑色蛍光体4を含む。
【0066】
本発明の更なる実施形態が、
図2に示される。白色発光デバイス101が、基材103上に実装された青色LEDチップ102を備える。黄緑色蛍光体材料104、狭帯域赤色蛍光体材料105、及び広域スペクトル赤色蛍光体材料108を含む蛍光体材料組成物が、青色LEDチップ102上に堆積される。このデバイスの青色LEDチップ102及び蛍光体材料組成物は、封止材107によってデバイス内部に封止される。配線106が、青色LED102同士を接続するために設けられる。
【0067】
図2の実施形態の特定の一実装において、デバイスは、2700KのCCTを有し、この実施形態の蛍光体材料組成物は、67重量%の狭帯域赤色蛍光体、30重量%の黄緑色蛍光体、及び3重量%の広域スペクトル赤色蛍光体を含む。
【0068】
図3Aは、白色発光デバイスのLEDフィラメント200を示す。LEDフィラメント200は、基材203及び1列の青色LEDチップ202を備える。1列の青色LEDチップ202は、基材203上に実装される。各青色LEDチップ202は、0.18mm
2~0.30mm
2のサイズを有し、隣の青色LEDチップ202から少なくとも0.4mmの距離dで離される。
【0069】
図3Bは、白色発光デバイス204が
図3AのLEDフィラメント200を4つ備える、本発明の更なる実施形態を示す。代替的な実施形態では、異なる数のLEDフィラメントが使用されてもよい。図示されていないが、デバイス204は、黄緑色蛍光体材料を含む蛍光体材料組成物を更に含み、狭帯域赤色蛍光体材料が、青色LEDチップ016上に堆積される。
図3bに示されるように、複数のLEDフィラメント200は、従来の白熱電球の外観を模倣する電球形状のハウジング内に配置されている。基材203が、サファイア基材である。
【0070】
代替的に、異なる実施形態において、
図3A及び
図3Bのデバイス3は、青色LEDチップ上に堆積される、黄緑色蛍光体材料、狭帯域赤色蛍光体材料、及び広域スペクトル赤色蛍光体材料を含む、代替的な蛍光体材料組成物を含む。デバイスは、2700KのCCTを有し、この実施形態の蛍光体材料組成物は、67重量%の狭帯域赤色蛍光体、30重量%の黄緑色蛍光体、及び3重量%の広域スペクトル赤色蛍光体を含む。
【0071】
図4Aは、白色発光デバイス300の基材302上に入り組んだ2つの細長いトラック310として配置された2つの電極を示す。電極トラックのこの配置は、2フィンガレイアウトと呼ばれる。2つのはんだ付けパッド311が、基材302上に配置され、入り組んだ電極トラック310に接続される。代替的に、
図4Bは、白色発光デバイス400の基材402上に入り組んだ3つの細長いトラック410として配置された3つの電極を示す。この配置は、3フィンガレイアウトと呼ばれる。2つのはんだ付けパッド411が、基材402上に配置され、入り組んだ電極トラック410に接続される。実施形態において、白色発光デバイスは、
図4Aの2フィンガレイアウト300及び
図4Bの3フィンガレイアウト400を備えることができる。そのようなデバイス300及び400は、基材上に実装された青色LEDチップを更に備えることができる。黄緑色蛍光体材料及び狭帯域赤色蛍光体材料を含む蛍光体材料組成物が、青色LEDチップ上に堆積される。デバイスは、4000KのCCTを有し、これらの実施形態の蛍光体材料組成物は、49重量%の狭帯域赤色蛍光体及び51重量%の黄緑色蛍光体を含む。
【0072】
図5Aは、一連の青色LEDチップを備える白色発光デバイスの印加電流密度における効率曲線を示す。実験を通して、本発明の実施形態によるデバイスの最適効率を与える印加電流密度の範囲が、10~60mA/mm
2であり、好ましくは20~30mA/mm
2であり、いくつかの実施形態では25mA/mm
2であることが見出されている。この範囲を過ぎると、デバイスの効率は低下する。特定の蛍光体材料組成物及び/又は本明細書に開示される他の効率改善とともに使用される場合、これは、この電流密度において予想外に更に改善されて、増加されたlm/W出力を提供し得ることが見出されている。
図5Bは、LEDチップを覆う蛍光体がない一連の青色LEDチップの印加電流密度における壁プラグ効率(WPE)曲線を示す。
図5Aの曲線と比較すると、電流密度がピークを超えて増加するときに、(青色LEDチップの)WPEが、(白色発光デバイスの)効率よりもはるかに緩やかに減少し、例えば、
図5Aでは、約10及び60mA/mm
2の両方が230lm/Wに達するが、
図5Bでは、ギャップGにおいて、60mA/mm
2のWPEが、10mA/mm
2のWPEよりも高いことが分かる。電流密度に対する白色発光デバイスの効率のそのような急激な低下の理由は、狭帯域赤色蛍光体材料、例えば、KSF蛍光体の熱感度にある。本開示による蛍光体組成物と特定の電流密度の設定との組み合わせは、230lm/Wもの高さの増加されたlm/W出力への貢献を集める。
【0073】
図6Aは、蛍光体材料組成物中に黄緑色蛍光体材料のみを備える、本発明によらないデバイスのスペクトルパワー分布を示す。黄緑色蛍光体材料のみの使用は、比較的高い効率を達成することができるが、これは演色評価数の損失につながる。
図6Bは、緑色蛍光体材料と広域赤色蛍光体材料の両方を含む蛍光体材料組成物を備える、本発明によらないデバイスのスペクトルパワー分布を示す。演色評価数特性は、
図6Aに示されるデバイスの分布と比較して改善される。
図6Cは、蛍光体材料組成物中に緑色蛍光体及び狭帯域赤色蛍光体を有する、本発明によるデバイスのスペクトルパワー分布を示す。この実施形態において、デバイスの演色評価数特性は、はるかに改善され、赤色の放射粉末が、他の2つのデバイスよりもはるかに高いことが分かる。
【0074】
放射パワーは、ワット単位で測定され、各波長で光が放出される方向に関係なく、光源から放出される光の量として定義される。実施形態では、放射パワー測定が、積分球に接続された分光光度計又は分光放射計を使用して行われる。
【0075】
図7Aは、本発明のある実施形態によらないデバイスの、4000KのCCTの場合のスペクトルパワー分布を示す。
図7Bは、本発明のある実施形態によるデバイスのスペクトルパワー分布を示す。このデバイスは、4000KのCCTで特定の蛍光体重量百分率範囲内の狭帯域赤色蛍光体を採用することにより、はるかに高い効率を有することが分かる。
【0076】
デバイス内の蛍光体材料組成物の例
以下は、
図5Aに示されたような電流密度及び得られた効率を有する、本発明の実施形態によるデバイスの例である。
【0077】
【0078】
これらの例は、所与のCCTの場合に好適な量の狭帯域赤色蛍光体材料をデバイス内に備える。蛍光体材料組成物中の黄緑色蛍光体に対する狭帯域赤色蛍光体の得られた比は、特定の範囲内の低い青色LEDチップ入力電流密度において最も高いデバイス効率を示すことが見出されている。これは、式(1)を参照して説明されたような蛍光体変換効率の増加により、デバイスの全体効率に寄与する。
【0079】
(表1における狭帯域赤色蛍光体材料の好適な重量百分率に加えて)LEDフィラメント、0.4mmを超える青色LEDチップ間隔、及び2フィンガレイアウトなど、上述の他の特徴をデバイスにおいて採用することにより、デバイスの効率は、230lm/Wを超えて更に改善され得る。これは、式(1)を参照して説明されたように、壁プラグ効率及びパッケージ効率の対応する増加による。
【0080】
したがって、0.2mm2のチップサイズと、2フィンガレイアウトと、0.5mmを超えるチップ間隔と、0.025A/mm2の青色LEDチップ入力電流密度とを備えるデバイスが、表1に与えられた特定の重量百分率で最も高い最大白色LED効率点を有することができることが見出されている。
【0081】
これらの例は、所与のCCTの場合に好適な量の狭帯域赤色蛍光体材料をデバイス内に備える。蛍光体材料組成物中の黄緑色蛍光体に対する狭帯域赤色蛍光体の得られた比が、特定の範囲内の低い青色LEDチップ入力電流密度において最も高いデバイス効率を示すことが見出されている。これは、式(1)を参照して説明されたような蛍光体変換効率の増加により、デバイスの全体効率に寄与する。
【0082】
(表1における狭帯域赤色蛍光体材料の好適な重量百分率に加えて)LEDフィラメント、0.4mmを超える青色LEDチップ間隔、及び2フィンガレイアウトなど、上述の他の特徴をデバイスにおいて採用することにより、デバイスの効率は、230lm/Wを超えて更に改善され得る。これは、式(1)を参照して説明されたように、壁プラグ効率及びパッケージ効率の対応する増加による。
【0083】
図8は、異なる色に対するヒトの目の感度関数を示す。緑色スペクトルは、赤色又は青色よりも最も高い重量百分率を有する。
【0084】
図9及び
図10は、白色におけるより高い効率を得るための、ANSI C78.377のビン範囲の上方の定義されたより高いy色座標カバレッジを示す。「ビン範囲」は、ANSI C78.377の付属文書A「7-Step Quadrangles」に定義されたSSL製品の色度仕様を指す。
図9において、CIE1931の図は、ANSI C78.377のビン範囲よりも高いccy座標を有する、上限及び下限の色範囲を示す。
図10において、CIE1931の図は、ANSI C78.377のビン範囲よりも高いccy座標を有する、ANSI規格C78.376によるマクアダム楕円範囲の例を示す。
【0085】
図11は、マクアダム楕円のパラメータa/b/θを示す。
【0086】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0087】
特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0088】
用語「ように適合される」が特許請求の範囲または詳細な説明で使用される場合、用語「ように適合される」は、用語「ように構成される」と同等であることを意味する。
【0089】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。