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特許7503197レーダ対応ユーザ機器と無線ネットワークノードとの共存動作
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】レーダ対応ユーザ機器と無線ネットワークノードとの共存動作
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20240612BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20240612BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20240612BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240612BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240612BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W4/46
H04W92/18
H04W72/0446
H04W24/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023501289
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2020069495
(87)【国際公開番号】W WO2022008065
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カランタリ, アシュカン
(72)【発明者】
【氏名】ダルグレン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】レイアール, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ガン
(72)【発明者】
【氏名】ショランド, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】サングレン, マグヌス
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/233830(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/187423(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/101003(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワーク(10)と通信し、同一または重複するミリ波(mmW)周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器(12)による動作の方法(400)であって、前記方法(400)は、
前記無線通信機器(12)の現在の向きおよび位置に対する複数のレーダビーム方向(30)のレーダビーム方向(30)のそれぞれについて、前記無線通信ネットワーク(10)からダウンリンク(DL)通信信号を受信することに関して前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接無線通信機器(32)が存在するか否かを判定する(402)ことと、存在する場合、該レーダビーム方向(30)を干渉レーダビーム方向(30)であると特定すること(406)と、
1つ以上の干渉レーダビーム方向(30)を特定したことに応じて前記レーダ送信を適応させるか、前記脆弱な近接無線通信機器(32)による干渉の抑制または回避をトリガするための支援情報を送信することによりDL干渉緩和を実行すること(408)とを有し、
前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接無線通信機器(32)が存在するか否かを判定すること(402)が、規定された送信電力を使用して前記複数のレーダビーム方向(30)でレーダビーム掃引を実行することと、前記レーダビーム掃引に含まれる前記レーダ送信が1つ以上の他の無線通信機器(32)によって検出されたか否かまたはどの程度検出されたかを示すフィードバック情報を受信することとを含む、方法(400)。
【請求項2】
前記無線通信ネットワーク(10)が無線アクセスネットワーク(RAN)(20)を有し、前記RAN(20)は、前記RAN(20)がDL信号を特定の無線通信機器(12, 32)に送信するDLフェーズと前記RAN(20)が特定の無線通信機器(12, 32)からUL信号を受信するアップリンク(UL)フェーズとからなる動作の交番フェーズを規定する時分割複信(TDD)構成を有する、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記無線通信機器(12)が、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によってリリースされた第5世代(5G)ネットワーク規格に従って動作するように構成される、請求項1または2に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記フィードバック情報を受信することは、前記フィードバック情報を、機器間(D2D)シグナリングによって前記1つ以上の他の無線通信機器(32)から直接、または前記無線通信ネットワーク(10)を介して前記1つ以上の他の無線通信機器(32)から前記無線通信機器(12)に伝えられるオーバーザトップ(OTT)シグナリングによって間接的に、受信することを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記1つ以上の他の無線通信機器(32)が、特定の近接無線通信機器(32)によるアップリンク(UL)信号送信の検出により、または機器間(D2D)発見動作により、または前記無線通信ネットワーク(10)からの近接機器情報の受信により前記無線通信機器(12)に知られた現在既知である近接無線通信機器(32)のセット(34)を構成するか、該セット(34)に属する、請求項3または4に記載の方法(400)。
【請求項6】
D2Dシグナリングによって直接、またはOTTシグナリングによって間接的に、前記現在既知である近接無線通信機器(32)のセット(34)についての構成情報を送信することをさらに有し、前記構成情報は、前記レーダビーム掃引が実行される時間、または前記レーダビーム掃引に使用される無線リソースを示す、請求項5に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記フィードバック情報を受信することは、前記無線通信ネットワーク(10)からDL制御シグナリングを受信することを含み、前記DL制御シグナリングは前記1つ以上の他の無線通信機器(32)が前記レーダビーム掃引中に前記1つ以上の他の無線通信機器(32)によって行われた受信信号計測に基づくチャネル状態情報(CSI)レポートを前記無線通信ネットワーク(10)に送信することに基づく、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記DL干渉緩和を実行すること(408)は、前記干渉レーダビーム方向でのレーダ送信を回避することと、または前記干渉レーダビーム方向でのレーダ送信のための送信電力を適応させることとの一方を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項9】
トリガ条件が満たされたことに応じて、前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接無線通信機器(32)が存在するか否かの前記判定を更新することと、前記レーダ送信の前記適応を更新することまたは更新された支援情報を送信することと、をさらに有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項10】
前記トリガ条件は、前記無線通信機器(12)の閾値を超える位置または向きの変化を検出すること、任意の近接無線通信機器(32)の閾値を超える位置または向きの変化を示す情報を受信すること、前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の伝播に影響を及ぼす前記無線通信機器(12)の周囲の物理的環境の1つまたは複数の条件における閾値を超える変化を検出すること、レーダ送信のために前記無線通信機器(12)によって使用される送信周波数または帯域幅の変更、または前記無線通信機器(12)によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接無線通信機器(32)が存在するか否かを判定する最新の繰り返しに関連して開始された更新タイマの満了のうちの任意の1つ以上である、請求項9に記載の方法(400)。
【請求項11】
無線通信機器(12)であって、
無線通信ネットワーク(10)と通信し、同一または重複するミリ波(mmW)周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成された通信回路(50)と、
前記通信回路(50)と動作可能に関連付けられた処理回路(60)とを有し、前記処理回路(60)は、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、無線通信機器(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はレーダ対応(radar-enabled)ユーザ装置に関し、特には、レーダ対応ユーザ装置を伴う共存動作に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークにミリ波(mmW)周波数帯域を採用することにより、より多くのアンテナをより近接して用いることが可能になり、ユーザ装置(UE)でビームフォーミングを実行可能になるなど、様々な利点が得られる。そのため、機器メーカは第5世代(5G)ニューラジオ(NR)仕様に基づく通信ネットワークで使用するためのUEなどにアンテナパネルを搭載するようになってきている。アンテナパネルは、UE内の様々な位置に設けることができ、様々な方向に向けることができる。さらに、各アンテナパネルは、使用される空間フィルタリングに応じて異なるビームを生成する。パネルの向きは、UEの向きに応じて変化する。
【0003】
1つ以上のUEが周囲の環境を検知するためにレーダ送信を行うレーダプロービングには、同一または類似した周波数帯域が用いられうる。一例として、レーダプロービングは、移動ロボットまたは自律誘導車両(AGV)による自律ナビゲーションを容易にする。別の例として、レーダプロービングは、通信または他の動作に干渉しうる、現在位置に近接する壁または他の障害物をUEが検出することを可能にする。
【0004】
無線通信ネットワークが用いるものと同一または重複するmmW周波数帯域でレーダプロービングを実行するUEは、レーダ送信と通信送信との間の著しい干渉が生じる可能性を高める。無線通信ネットワークにアクセスして使用するように構成されるとともに、さらに自身の周辺環境のレーダプロービングを実行するように構成された無線通信機器を表すために、このようなUEを「レーダ対応UE」と呼ぶ。
【0005】
本明細書において、用語「レーダ」は、1つ以上の無線周波数信号を(1つ以上の送信機によって)センシング環境に送信し、これら信号の反射を(1つ以上の受信機によって)受信するタイプのセンシングを意味する。受信した反射信号の分析により、センシング環境で信号を反射した物体に関する情報が得られる。
【0006】
レーダ対応UEの動作に関して、米国特許出願公開第2019/0293781号は、通信信号を送信するための無線チャネルに、レーダ信号を送信するものとは別個の(直交する)リソースを用いることを提案している。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0318470号もまたレーダを考慮しているが、レーダー対応UEを無線通信ネットワークで動作させることに関連する課題ではなく、同じ共有スペクトル内で動作する異なるネットワークにより広く対処している。同様に、米国特許第10,439,743号は、例えば自動車レーダシステムと共存する無線通信システムの観点でレーダに対処している。
【発明の概要】
【0008】
レーダ対応無線通信機器は、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するミリメートル波(mmW)周波数帯域を使用してレーダ送信を実行し、レーダ送信の干渉に脆弱である近接無線通信機器が存在するか否かを判定し、存在すれば、影響を受けるレーダビーム方向でのレーダ送信を適応させるか、脆弱機器が干渉を緩和または回避できるようにする支援情報を送信するように構成される。特定の例では脆弱性判定が近接無線通信機器におけるDL干渉に関するものとなるよう、無線通信機器は無線通信ネットワークのダウンリンク(DL)フェーズ中にレーダ送信を実行する。脆弱性判定は、無線通信ネットワークのサポートを伴って、または伴わずに実行することができ、また、条件の変化に応じて更新されうる。
【0009】
例示的な実施形態において無線通信機器は、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成された通信回路を含む。機器は、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関連する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するかどうかを判定するように構成された、通信回路に動作可能に関連付けられた処理回路をさらに含む。処理回路はさらに、そのようなレーダビーム方向を干渉レーダビーム方向として特定し、1つ以上の干渉レーダビーム方向を特定したことに応じて、レーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接無線通信機器による干渉の抑制または回避をトリガするために支援情報を送信することによって、DL干渉軽減を実行するように構成される。
【0010】
別の実施形態において無線通信機器は、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成された通信回路を含む。機器は、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関連する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するかどうかを判定するように構成された、判定モジュールをさらに含む。さらに、機器は、そのようなレーダビーム方向を干渉レーダビーム方向として特定するように構成された特定モジュールを含む。機器の緩和モジュールは、1つ以上の干渉レーダビーム方向の特定に応答して、レーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接無線通信機器による干渉の抑制または回避をトリガするために支援情報を送信することによって、DL干渉緩和を実行するように構成される。
【0011】
別の実施形態は、無線通信ネットワークと通信し、同一または重複するmmW周波数帯を使用して周辺環境センシングのためのレーダー送信を実行する無線通信機器による動作方法を含む。方法は、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関連する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するかどうかを判定することを含む。存在する場合、方法は、レーダビーム方向を干渉レーダビーム方向として特定することと、1つ以上の干渉レーダビーム方向を特定したことに応じて、レーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接無線通信機器による干渉の抑制または回避をトリガするために支援情報を送信することによって、DL干渉軽減を実行することとを含む。
【0012】
別の実施形態は、無線通信ネットワークで動作するように構成された無線ネットワークノードを含む。無線ネットワークノードは、通信回路および処理回路を含む。処理回路は、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器、に近接する1つ以上の他の無線通信機器から、通信回路を介してフィードバックを受信するように構成される。他の無線通信機器のそれぞれからのフィードバックは、無線通信機器による基準信号送信について他の無線通信機器で行われた計測結果を含み、処理回路は、通信回路を介して、無線通信機器についてのDLシグナリングを送信するように構成される。DLシグナリングは1つ以上の他の無線通信機器からのフィードバックに基づいており、それによって、無線通信機器が、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するか否かを判定することを可能にする。
【0013】
さらに別の実施形態は、無線通信ネットワークで動作するように構成された無線ネットワークノードを含む。無線ネットワークノードは、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器、に近接する1つ以上の他の無線通信機器からフィードバックを受信するように構成された受信モジュールを含む。他の無線通信機器のそれぞれからのフィードバックは、無線通信機器による基準信号送信について他の無線通信機器で行われた計測結果を含み、無線ネットワークノードは、無線通信機器についてのDLシグナリングを送信するように構成された送信モジュールを含む。DLシグナリングは1つ以上の他の無線通信機器からのフィードバックに基づいており、それによって、無線通信機器が、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するか否かを判定することを可能にする。
【0014】
別の実施形態は、無線通信ネットワークの無線ネットワークノードによって実行される方法を含む。方法は、無線通信ネットワークと通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器、に近接する1つ以上の他の無線通信機器からフィードバックを受信することを含む。他の無線通信機器のそれぞれからのフィードバックは、無線通信機器による基準信号送信について他の無線通信機器で行われた計測結果を含み、方法は、無線通信機器についてDLシグナリングを送信することをさらに含み、フィードバックは1つ以上の他の無線通信機器からのフィードバックに基づいており、それによって、無線通信機器が、無線通信機器の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向のうちの各レーダビーム方向について、無線通信ネットワークからのDL通信信号を受信することに関して、無線通信機器によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接無線通信機器が存在するか否かを判定することを可能にする。
【0015】
本発明が上述した特徴および利点に限定されないことは言うまでもない。実際、当業者は以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見ればさらなる特徴および利点を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、1つ以上の外部ネットワークおよび外部機器または外部システムに関連して示される、レーダ対応無線通信機器および関連無線通信ネットワークの一実施形態のブロック図である。
図2図2は、無線通信ネットワークの別の実施形態のブロック図である。
図3図3は、無線通信ネットワークで動作するように構成された無線ネットワークノード、およびネットワークを使用するように構成された2つの無線通信機器の例示的な実施形態のブロック図であり、機器の少なくとも1つはレーダ対応機器である。
図4図4は、レーダ対応無線通信機器による動作方法の一実施形態の論理フロー図である。
図5図5は、レーダ対応無線通信機器の別の実施形態のブロック図である。
図6図6は、無線ネットワークノードによる動作方法の一実施形態の論理フロー図である。
図7図7は、無線ネットワークノードの別の実施形態のブロック図である。
図8A】レーダ対応ユーザ装置(UE)のレーダ走査に起因するDL干渉を緩和するための動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
図8B】レーダ対応ユーザ装置(UE)のレーダ走査に起因するDL干渉を緩和するための動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
図9】レーダ対応ユーザ装置(UE)のレーダ走査に起因するDL干渉を緩和するための動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
図10A】レーダ対応ユーザ装置(UE)のレーダ走査に起因するDL干渉を緩和するための動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
図10B】レーダ対応ユーザ装置(UE)のレーダ走査に起因するDL干渉を緩和するための動作方法のさらなる実施形態の論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、例えば無線通信機器12を1つ以上の外部システムまたは機器16へのアクセスを提供する1つ以上の外部ネットワーク14に通信可能に接続することにより、無線通信機器12に対して「アクセスネットワーク」として動作する例示的な無線通信ネットワーク10を示す。ネットワーク10によって提供される通信サービスの非限定的な例は音声サービスおよびデータサービスを含み、少なくとも1つの実施形態では、ネットワーク10が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によってリリースされた技術仕様書(TS)に従って構成される。
【0018】
その例示的な形態においてネットワーク10は、複数の無線ネットワークノード22を含む無線アクセスネットワーク(RAN)20を含む。
【0019】
ノード22は、アクセスポイント、基地局、または通信機器12と無線接続するために使用される1つ以上のエアインターフェース/1つ以上の無線リンクを提供するように構成された他の機器として理解されうる。さらに、個々のノードは図示されていないが、ネットワーク10のコアネットワーク(CN)24は機器12を認証および管理し、外部ネットワーク14および外部システム/機器16に関して機器12との間でデータをルーティングするために必要とされる様々なネットワーク機能を実施するノードを含む。
【0020】
いつでも、またRAN20のいかなるカバレッジエリアにおいても、ネットワーク10は、ユーザ装置またはUEとも呼ばれる、潜在的に多数の無線通信機器をサポートすることができる。機器は様々なタイプのものであってよく、また異なる通信サービスを用いることができる。例えば、一部はスマートフォンまたは他のパーソナルコンピューティング機器であってよく、他のものは固定または組み込み機器を含む、マシンタイプ通信(MTC)機器またはモノのインターネット(IoT)機器である。図1は、機器12を示すことに加えて、他の無線通信機器32-1および32-2を示すことによって、これらのシナリオのうちの様々なシナリオを示唆する。いつでも、機器12のに近接する他の無線通信機器32は、存在しないか、1つ存在するか、複数存在しうる。ここで、「近接」とは、例えば、無線距離的な意味において、機器12に近接する、または機器12の周囲に存在することを意味する。
【0021】
機器32は機器12と同じタイプであってもよいが、異なる参照番号を用いることで、機器12のレーダ送信が1つ以上の他の無線通信機器32におけるネットワーク通信信号(ダウンリンク(DL)信号)の受信に干渉する可能性に関して、レーダ対応機器としての機器12の動作を論じるための明確さを提供する。例えば、他の機器32をターゲットとするDL送信と一致する機器12によるレーダ送信は、当該他の機器32におけるDL送信の受信に干渉しうる。この点に関し、機器12は、例示的な方向として30-1から30-5が示される1つ以上のレーダビーム方向30に沿ってレーダ送信を実行するように構成される。なお、接尾語を用いて示している参照番号30および他の参照番号に関し、対応する議論では、明確化のために必要な場合にのみ接尾語付きの参照番号を用いることに留意されたい。
【0022】
後の図で機器12の詳細を示すが、ここでは1つ以上の実施形態において機器12が送信ビームフォーミング能力を有し、機器12の向きに相対する複数の方向でビームフォーミングを行うことを可能にする1つ以上のアンテナ又はアンテナ素子のセットを有するものとする。例示的なケースでは機器12が所定のビーム形状/方向を使用する。方向は機器12に関して予め規定されうるが、絶対的な意味では機器12の現在の向きに依存する。
【0023】
図1は、複雑な相互関係を有する複数の要因により、機器12による1つ以上のレーダビーム方向30でのレーダ送信が他の機器32のそれぞれでのDL受信動作に干渉しうることを示唆している。例示的な要因は、他の機器32に対する機器12の位置および/または向き、ネットワーク10内の機器12および/またはそのサービング無線ネットワークノード22に対する他の機器32のそれぞれの位置および/または向き、自身のレーダ送信のために機器12が用いる送信電力、機器12と他の機器32のそれぞれとの間の経路損失、通信信号およびレーダ信号の周波数などを含む。
【0024】
特定の例においてネットワーク10は、ネットワーク10がDL動作を実行するDLフェーズと、ネットワーク10がUL動作を実行するULフェーズとを含む時分割複信(TDD)構成に従って動作し、本明細書で想定している方法および装置は動作のDLフェーズ中における1つ以上の他の機器32でのDL受信に関する機器12によるレーダ干渉を回避または低減する。例えば、ネットワーク10による動作のDLフェーズ中にレーダビーム掃引を実行することに関連して、機器12はそのレーダ送信を適応させて、1つ以上のレーダビーム方向30における送信を回避し、および/または1つ以上のレーダビーム方向におけるそのレーダ信号送信電力を削減する。しかしながら、そのような適応は、説明されたUL/DL TDDフェーズを用いるネットワークに限定されない。機器12の少なくともいくつかの実施形態および/または関連する動作方法の少なくともいくつかの実施形態において、機器12は、近接機器32の現在既知のセット34内の特定の機器32によるDL受信動作に関するレーダ干渉を緩和または回避する。
【0025】
図2は、3GPPによってリリースされた5G TSによる機能要素、相互接続、および動作を有する第5世代(5G)ネットワークとしての、ネットワーク10の別の例示的な実施形態を示す。RAN 20は次世代(NG)RANを有し、1つ以上の無線ネットワークノードはニューラジオ(NR)エアインターフェースを提供する。
【0026】
具体的には、例示的な図ではRAN 20がミリ波(mmW)周波数帯域を使用してNRエアインターフェースを提供する「gNB」として構成された無線ネットワークノード22(gNBとして構成され、それぞれのカバレッジエリア40-1および40-2において無線カバレッジを提供するノード22-1および22-2を参照)を含む。カバレッジは、無指向性カバレッジ、ビームフォーミングカバレッジ、あるいは無指向性およびビームフォーミングカバレッジの組み合わせでありうる。さらに、1つ以上の無線ネットワークノード22は第4世代(4G)ロングタームエボリューション(LTE)エアインターフェースを提供するが、5GCに接続されるng-eNBとして構成される(個々のカバレッジエリア40-3および40-4において無線サービスを提供するノード22-3および22-4を参照)。
【0027】
個々のカバレッジエリア40は少なくとも部分的に重複することができ、これはNRエアインターフェースおよびLTEエアインターフェースが重複するカバレージを有する位置において動作する機器12にとって利用可能でありうることを意味し、図に示される機器12および32は単に例として示されていることを理解されたい。より多数またはより少数の機器が、ネットワーク10を使用していてもよく、個々のカバーエリアでどのように分布していてもよい。特定の機器12からのレーダ送信は送信がDL送信に関連する周波数帯域にある限り、他の機器32がレーダ対応であるかどうかにかかわらず、本質的に任意の他のタイプの機器32でのDL受信動作に干渉しうることも理解されたい。
【0028】
図3は、機器12によって送信されるレーダ信号が、無線通信ネットワークの無線ネットワークノード22によって送信されるDL信号の近接機器32における受信に潜在的に干渉する例、すなわち、機器12によって使用される1つ以上のレーダビーム方向30が近接機器32でのDL受信動作に関して問題となりうる例を提供する。この例では、機器12が無線通信ネットワークと通信するとともに、同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成され、機器12は無線通信ネットワーク(例えばネットワーク10)に対する無線通信のために、およびレーダ送信のために構成された通信回路50を含む。
【0029】
例示的な実施形態では、通信回路50がネットワーク10の特定の無線ネットワークノード22からDL信号を受信し、ネットワーク10の特定のノード22にUL信号を送信するように構成された受信器回路52(NW RX 52)および送信器回路54(NW TX 54)を有する。通信回路50はまた、レーダプロービング、すなわち、レーダ信号の送信および反射レーダ信号の受信に基づく周辺環境センシングのために構成されたレーダサブシステム56を含む。有利であるが非限定的な例では、レーダーサブシステム56は、ネットワーク10との通信に使用される回路(およびアンテナ)のすべてまたは少なくとも一部を再利用する。例えば、ネットワーク10との通信に使用されるmmW周波数帯域の1つ以上と同一または重複するmmW周波数帯域でレーダー信号送信を行うことに基づいて、受信回路52および送信回路54の少なくとも一部を再利用する。もちろん、レーダーサブシステム56はまた、送信されたレーダー信号の戻り反射を計測するために使用される受信タイミング回路などの追加の回路を含んでもよく、追加の回路は機器12に含まれる処理回路60の一部とやり取りし、および/または処理回路60の一部を再利用してもよい。
【0030】
処理回路60は、固定回路またはプログラム的に構成された回路または両方のタイプの回路の組み合わせを有する。非限定的な例示的な実施形態では、処理回路60が1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)回路などのデジタル処理回路と、クロッキング、インターフェース、および電力管理回路などのサポート回路とを有し、あるいはそれらを含む。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において処理回路60は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令の実行に少なくとも部分的に基づいて、本明細書で説明する機器関連の実施形態のいずれかで説明する機器側の動作を実行するように特に適合された1つ以上のコンピュータ回路を有する。そのために、少なくとも1つの実施形態では、機器12が1つ以上のコンピュータプログラム(CP)64を記憶し、関連する構成データ(CFGDATA)66を記憶することができる1つ以上のタイプのコンピュータ可読媒体を有する記憶装置62を含む。記憶装置62は、プログラム実行のための揮発性ワーキングメモリ、および長期プログラム記憶のための不揮発性メモリなどの、1つ以上のタイプのメモリ回路または機器および/または1つ以上のタイプの記憶機器を有する。例としては、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、ソリッドステートディスク(SSD)などが挙げられる。そのようなメモリは非一時的な記憶装置を提供するが、それは必ずしも不変または永続的記憶ではなく、少なくともいくらかの永続性を有する記憶を意味する。
【0032】
処理回路60は通信回路50と動作可能に関連付けられ、例えば、処理回路60は通信回路50を使用して、ネットワーク10とデータおよび制御シグナリングを交換し、および/または通信回路50の動作を制御する。さらに、例示的な実施形態において処理回路60は、機器12からのレーダ送信によって引き起こされるDL干渉を回避または緩和するためのいくつかの機器側動作を実行するように構成される。
【0033】
機器12の例示的な実施形態において通信回路50は、無線通信ネットワーク10と通信し、同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行するように構成される。すなわち、機器12は、無線通信ネットワーク10がDL信号を送信するために用いるmmW周波数と同一であるか関連するmmW周波数を用いてレーダプロービングを実行する。
【0034】
機器12の処理回路60は通信回路50に動作可能に関連付けられるとともに、機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30のうちの各レーダビーム方向30について、ネットワーク10からのDL通信信号を受信することに関して、機器12によるレーダ送信からの干渉に脆弱な近接する無線通信機器32が存在するか否かを判定し、存在する場合にはレーダビーム方向30を干渉レーダビーム方向30であると特定するように構成される。そのような構成は、処理回路60が、個々のレーダビーム方向30を制限ありまたは制限なしとして分類するように構成されていると理解することができる。ここで、「制限あり」とは、特定のレーダビーム方向30での機器12によるレーダ送信が、近接機器32におけるDL受信干渉を引き起こすことが既知であるか推定されることを意味し、「制限なし」とは、特定のレーダビーム方向30での機器12によるレーダ送信が近接機器32のDL受信干渉を引き起こさないことが既知であるか推定されることを意味する。ビーム分類は、分類に関連する何らかの条件または状況の変化に応じて、処理回路60によって更新されうる。
【0035】
処理回路60は、1つ以上の干渉レーダビーム方向30を特定したことに応じて、レーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接する無線通信機器32による干渉の抑制または回避をトリガするために支援情報を送信することによって、DL干渉緩和を実行するように構成される。一例として、支援情報は、脆弱な近接機器32が干渉キャンセレーションを用いて干渉レーダ信号を抑制することを可能にする干渉抑制情報(例えば、信号タイミング、リソース使用方法、または他の信号構造情報)を有する。別の例として、支援情報は、隣接デバイス32が自身のサービング無線ネットワークノード22からのDL信号の受信に使用するために、異なるDL送信ビームおよび/またはDL受信ビームを選択できるように、機器12の位置および/または方位情報、または近接機器32に関する位置/方位情報を有する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において無線通信ネットワーク10は、RAN 20はDL信号を特定の無線通信機器12、32に送信するDLフェーズとRAN 20が特定の無線通信機器12、32からUL信号を受信するULフェーズとからなる動作の交番フェーズを規定するTDD構成を有する。1つ以上の実施形態における機器12は、3GPPによってリリースされた5Gネットワーク規格に従って動作するように構成される。
【0037】
機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定するために、少なくとも1つの実施形態において処理回路60は、通信回路50を通じて、規定された送信電力を使用して複数のレーダビーム方向30にわたってレーダビーム掃引を実行し、レーダビーム掃引に含まれるレーダ送信が1つ以上の他の無線通信機器32によって検出されたかどうか、またはどの程度検出されたかを示すフィードバック情報を受信するように構成される。例えば、フィードバックは、レーダビーム掃引中に機器12によって行われた基準信号送信について他の機器32が行った信号強度計測結果を示す。レーダビーム掃引はレーダビーム方向30を使用するか、それらに対応するビーム方向(例えば、掃引に用いられる各ビーム方向は、レーダビーム方向30と方向が整合する)を用いる。
【0038】
フィードバック情報を受信するために、1つ以上の実施形態における処理回路60は、通信回路50を介して、機器間機器(D2D)シグナリングを通じて直接、またはネットワーク10を介して他の機器32から機器12に伝達されるオーバー・ザ・トップ(OTT)シグナリングを通じて間接的に、他の機器32からフィードバック情報を受信するように構成される。すなわち、OTTシグナリングは、機器12との通信セッションを確立する個々の他の機器32などによってネットワーク10を介して交換される、1つ以上の機器32と機器12との間の通信を表す。
【0039】
例示的なシナリオでは、特定の近接機器32によるUL信号送信の検出により、D2Dディスカバリ動作により、またはネットワーク10からの近接機器情報により機器12に既知であるため、1つ以上の他の機器32は、近接機器32の現在既知のセット34を構成するか、セット34に属する。これに対応して、無線ネットワークノード22の少なくともいくつかの実施形態において、無線ネットワークノード22は、現在近接する機器32を特定する支援情報を機器12(すなわち、レーダ対応UE)に送信するように構成される。ノード22は、機器12および32のそれぞれの位置を取得または特定することに基づいて、そのような情報を特定する。
【0040】
1つ以上の実施形態における処理回路60は、通信回路50を介し、D2Dシグナリングを通じて直接、またはOTTシグナリングを通じて間接的に、近接機器32の現在既知のセット34についての構成情報を送信するように構成される。構成情報はレーダビーム掃引を実行する時刻、またはレーダビーム掃引に用いる無線リソースを示す。このような情報により、1つ以上の近接機器は、機器12によるレーダ送信がそれぞれの近接機器32においてDL受信干渉を引き起こすか否か、またはどの程度引き起こすと予想されるかを示す、レーダービーム掃引中の計測を実行することが可能になる。
【0041】
1つ以上の実施形態における処理回路60は、ネットワーク10からのDL制御信号として、近接機器32によって生成されたフィードバック情報を受信するように構成される。DL制御シグナリングは、レーダビーム掃引中に1つ以上の他の機器32が行った受信信号計測結果に基づくチャネル状態情報(CSI)報告を1つ以上の他の機器32がネットワーク10に送信することに基づいている。CSI報告は、1つ以上のサービング無線ネットワークノード22からのDL信号の受信に関する機器32によるCSIの「レガシー」報告に用いられる報告構造、報告チャネルなどと同じであってもよいし、それらに基づくものであってもよい。さらに、DL信号が1つ以上の近接機器32からのフィードバックに基づいているという観点から、DL信号は、フィードバックを搬送するか、さもなければフィードバックを示すか、またはフィードバックから導出されてもよい。
【0042】
1つ以上の実施形態における処理回路60は、機器12に現在既知の近接機器32について、既知の近接機器32のそれぞれについて位置および/または向き情報を取得することにより、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するかどうかを判定するように構成される。処理回路60は、機器12がD2Dシグナリングを通じて直接受信することに基づいて、または機器12がネットワーク10を介して搬送されるOTTシグナリングを通じて間接的に受信することによって、そのような情報を取得する。そのような実施形態における処理回路60は、無線通信機器12の現在の位置および向きに関連して、既知の近接機器32の位置情報および/または向きを評価するようにさらに構成される。
【0043】
1つ以上の実施形態における処理回路60は1つ以上の他の機器32によるUL送信を検出し、検出したUL送信の受信信号強度を評価することによって、機器12によるレーダ送信に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定するように構成される。
【0044】
1つ以上の実施形態では、処理回路60が1つ以上の他の機器32のそれぞれの位置情報を取得し、位置情報および受信信号強度を使用して、機器12と1つ以上の他の機器32のそれぞれとの間の経路損失を推定し、受信信号強度および推定された経路損失に基づいて、1つ以上の他の機器32のいずれかが脆弱か否かを判定するように構成される。少なくとも1つの実施形態において、処理回路60は、向きが他の機器32のそれぞれのビームの方向を示すことから、1つ以上の他の機器32のそれぞれの向きの情報を取得するようにさらに構成されるか、またはそれらの方向を特定するための根拠を少なくとも提供する。
【0045】
1つ以上の実施形態において、処理回路60は、干渉レーダビーム方向30におけるレーダ送信を回避することによって、または干渉レーダビーム方向30におけるレーダ送信のための送信電力を適応させることによって、DL干渉軽減を実行するように構成される。さらに、少なくともいくつかの実施形態において、処理回路は、トリガ条件が満たされたことに応じて、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かの判定を更新し、レーダ送信の適応を更新するか、または更新された支援情報を送信するように構成される。
【0046】
トリガ条件は、機器12の閾値を超える位置または向きの変化を検出すること、任意の近接機器32の閾値を超える位置または向きの変化を示す情報を受信すること、機器12によるレーダー送信の伝播に影響を及ぼす機器12の周囲の物理的環境の1つまたは複数の条件における閾値を超える変化を検出出すること、レーダ送信のために機器12によって使用される送信周波数または帯域幅の変更、または無線通信機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定する最新の繰り返しに関連して開始された更新タイマの満了のうちの任意の1つ以上である。
【0047】
他の無線通信機器32は、レーダ対応機器であってもなくてもよく、例示的機器12と同じタイプであってもなくてもよい。しかしながら、図3は、近接する他の機器32がネットワーク受信器回路82およびネットワーク送信器回路84を有する通信回路80と、処理回路90と、1つ以上のコンピュータプログラム94および構成データ96を記憶しうる記憶装置92とを有しうることを示す。機器32はまた、無線通信ネットワーク10と通信するための1つ以上のアンテナパネル70を含みうる。
【0048】
図4は無線通信ネットワークと通信し、周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器によって実行される動作の方法400を含む別の実施形態を示す。例示的なシナリオでは、問題の機器およびネットワークが先に説明した機器12およびネットワーク10である。その例示的なシナリオを使用して、方法400は、機器12が判定動作を実行することを含む(ブロック402)。機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30の各レーダビーム方向30について、機器12は、ネットワークからDL通信信号を受信することに関して機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定する。存在する場合(ブロック404、YES)、方法400は、機器12がレーダビーム方向30を干渉レーダビーム方向30であると特定すること(ブロック406)を含む。
【0049】
方法400は、機器12が1つ以上の干渉レーダビーム方向30を特定することに応じて、機器12がレーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接機器32による干渉の抑制または回避をトリガするために支援情報を送信することによって、DL干渉緩和を実行すること(ブロック408)をさらに含む。機器12が、いかなる脆弱な近接機器32(ブロック404、NO)も特定しない場合、方法400は機器12が制限なしにレーダー送信を実行することH(ブロック410)を含む。すなわち、近接機器32における既知のまたは推定されるDL受信干渉を具体的に考慮して、そのレーダー送信を適応または制御しない。
【0050】
機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定すること(ブロック402)は、たとえば、機器12が、規定された送信電力を使用して複数のレーダビーム方向30にわたってレーダビーム掃引を実行することと、レーダビーム掃引に含まれるレーダ送信が1つ以上の他の機器32によって検出されたかどうか、またはどの程度検出されたかを示すフィードバック情報を受信することとを有する。フィードバック情報は、1つ以上の他の機器32から直接D2Dシグナリングを通じて、または1つ以上の他の機器32からネットワーク10を介して機器12に搬送されるOTTシグナリングを通じて間接的に受信されうる。
【0051】
少なくとも1つの例示的なシナリオでは、特定の近接機器32によるUL信号送信の検出により、D2Dディスカバリ動作により、またはネットワーク10からの近接機器情報により機器12に既知であるため、1つ以上の他の機器32は、近接機器32の現在既知のセット34を構成するか、セット34に属する。方法400は、機器12が近接機器32を繰り返し探索または発見することを含むか、またはそれに基づいてもよく、近接機器32の数、距離、および向きは、例えば、機器12の移動またはその周囲の他の機器32の移動とともに、経時的に変化しうることが理解されよう。さらに、機器12によって使用される周波数/複数の周波数の変化、および/または周辺環境の変化など、他の条件も変化しうる。そしてこれらの変化は機器12に脆弱な近接機器32が存在するか否かの再評価をトリガする。変化しうる別の項目または条件は、任意の特定の近接機器32のために使用される「ビームペアリング」であり、「ビームペアリング」は、機器32とそのサービング無線ネットワークノード22との間のビームペアリングを意味する。機器12によるレーダセンシングは、あるビームペアリングで行われる通信に干渉するが、別のビームペアリングで行われる通信には干渉しない(または、少なくともある許容閾値を超える干渉を引き起こさない)場合がある。したがって、近接機器32におけるビームペアリングの変化は、レーダセンシングに関して機器12が制限ありまたは制限なしとみなすべき方向を変化させうる。
【0052】
方法400の1つ以上の実施形態は、機器12がD2Dシグナリングを通じて直接、またはOTTシグナリングを通じて間接的に、現在既知である近接機器32のセット34についての構成情報を送信することを含む。構成情報はレーダビーム掃引を実行する時刻、またはレーダビーム掃引に用いる無線リソースを示す。そのような情報は、近接機器32がレーダビーム掃引のレーダ送信をリスンすることを可能にする。
【0053】
方法400の1つ以上の実施形態において、フィードバック情報を受信することは、機器12がネットワーク10からDL制御信号を受信することを含む。DL制御シグナリングは、レーダビーム掃引中に1つ以上の他の機器32が行った受信信号計測結果に基づくCSI報告を1つ以上の他の機器32がネットワーク10に送信することに基づいている。ネットワーク10の同じ無線ネットワークノード22が機器12および1つ以上の他の機器32にサービスを提供しうる。その場合、無線ネットワークノード10は、DL制御シグナリングを機器12に送信するためのCSI報告に本来的にアクセスできる。あるいは、2つ以上の無線ネットワークノード22がCSIレポートの受信およびDL制御シグナリングの送信に関与し、それらは、関与するデータおよび/または調整および制御シグナリングを交換するためにノード間シグナリングを用いることができる。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、方法400の判定動作(ブロック402)が機器12にとって現在既知である近接機器32について、D2Dシグナリングを通じて直接的に、またはネットワーク10を介して伝達されるOTTシグナリングを通じて間接的に、既知の近接機器32のそれぞれについての位置および/または向き情報を取得することを含む。この例示的な実施形態における判定動作(ブロック402)は、機器12が、機器12の現在の位置および向きに関する各既知の近接機器32の位置および/または向き情報を評価することをさらに含む。たとえば、機器12は、機器12および近接機器32の位置/向き情報を評価して、自身のレーダビーム方向30のいずれかが近接機器32を指しているかどうかを判定する。
【0055】
機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定すること(ブロック402)は、1つ以上の他の例示的な実施形態では機器12が1つ以上の他の機器32によるUL送信を検出し、検出されたUL送信の受信信号強度を評価することを含む。
【0056】
方法400はまた、機器12が、1つ以上の他の機器32のそれぞれの機器についての位置情報を取得することと、位置情報および受信信号強度を使用して、機器12と1つ以上の他の無線通信機器32のそれぞれの機器との間の経路損失を推定することとを含みうる。それに応じて、機器12は、受信信号強度および推定された経路損失に基づいて、1つ以上の他の機器32のいずれかが脆弱であるかどうかを判定する(ブロック402)。
【0057】
DL干渉緩和を実行すること(ブロック408)は例えば、機器12が、干渉レーダビーム方向30におけるレーダ送信を回避すること、または干渉レーダビーム方向30におけるレーダ送信のための送信電力を適応させることを含む。機器12はすべての干渉ビーム方向30について回避を使用してもよいし、すべての干渉ビーム方向30について電力低減を使用してもよいし、その方向に関して既知または推定される干渉の程度または量に応じて、任意の特定の干渉ビーム方向30について回避または電力低減を使用してもよい。
【0058】
たとえば、機器12は個々のレーダビーム方向30を制限ありまたは制限なしとして分類するために、より低い干渉しきい値(たとえば、既知のまたは推定された受信信号強度で表される)を使用しうる。次いで、制限ありの方向のそれぞれについて、既知のまたは推定された干渉が高い方の干渉閾値を下回る場合、機器12はレーダビーム方向30を条件付きで制限ありとみなし、これは、レーダ走査から方向を除外するのではなく、レーダビーム方向30において走査するときに他の方法で使用されるよりも低い送信電力を使用することを意味する。しかしながら、制限ありの方向についての既知のまたは推定された干渉が高い方の閾値を超える場合、機器12はレーダビーム方向30が無条件に制限されているとみなし、レーダ走査を実行するとき、たとえば次のレーダ走査を実行するときにそれをスキップ/回避する。
【0059】
もちろん、機器12はレーダビーム方向30を定期的に再評価してもよいし、トリガに基づいて再評価してもよい。少なくとも1つの実施形態では、方法400は、トリガ条件が満たされたことに応じて、機器12が、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かの判定を更新することと、レーダ送信の適応を更新することまたは更新された支援情報を送信することとを含む。一例としてトリガ条件は、機器12の閾値を超える位置または向きの変化を検出すること、任意の近接機器32の閾値を超える位置または向きの変化を示す情報を受信すること、機器12によるレーダー送信の伝播に影響を及ぼす機器12の周囲の物理的環境の1つまたは複数の条件における閾値を超える変化を検出出すること、レーダ送信のために機器12によって使用される送信周波数または帯域幅の変更、または機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定する最新の繰り返しに関連して開始された更新タイマの満了のうちの任意の1つ以上である。
【0060】
周波数および/または帯域幅の変化は、例えば、ネットワーク10が機器12の構成を変更した結果、例えば、機器12と、ネットワーク10内の機器12のサービング無線ネットワークノード22との間の通信に使用される周波数帯域および/または帯域幅を再構成した結果として生じる。機器12がネットワーク10と通信するために使用するのと同じ周波数および/または同じ帯域幅でレーダ走査を実行する場合、またはレーダ走査周波数および/または帯域幅がネットワーク10に関して機器12が使用する周波数/帯域幅に依存する任意の状況において、通信周波数/帯域幅を変更することはレーダ走査動作に影響を及ぼす。環境変化には、例えば、降雨の開始または終了、または強度の変化が含まれる。
【0061】
図5は、処理ユニットまたはモジュール120のセットを有する無線通信機器12の別の実施形態を示す。モジュールは例えば、処理回路の機能的構成を含み、例えば、コンピュータプログラム命令の実行によって実施されうる。
【0062】
図示のモジュールのセット120は、機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30の各レーダビーム方向30について、ネットワーク10からのDL通信信号を受信することに関して機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定するように構成された決定モジュール122を含む。任意のそのようなレーダビーム方向30について、モジュールのセット120は、レーダビーム方向30を干渉レーダビーム方向30であると特定するように構成された特定モジュール124を含む。さらに、モジュールのセット120は、1つ以上の干渉レーダビーム方向30の特定に応じて、レーダ送信を適応させることによって、または脆弱な近接機器32による干渉の抑制または回避をトリガするための支援情報を送信することによって、DL干渉緩和を実行するように構成される、緩和モジュール126を含む。
【0063】
図3に戻ると、無線ネットワークノード22に関する例示的な構成を示すために、図示されたノード22は、受信器(RX)回路102および送信器(TX)回路104を含む通信回路100を含む。1つ以上のアンテナ106(またはアンテナ素子のアレイ)は、特定の無線通信機器にDL信号を送信し、またそのような機器からUL信号を受信するために、通信回路100に関連付けられる。
【0064】
さらに、ノード22は、処理回路110を含む。処理回路110は、固定回路またはプログラム的に構成された回路または両方のタイプの回路の組み合わせを有する。非限定的な例示的な実施形態では、処理回路110が1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、SoC(Systems on a Chip)回路などのデジタル処理回路と、クロッキング、インターフェース、および電力管理回路などのサポート回路とを備えるか、またはそれらを含む。
【0065】
少なくとも1つの実施形態において処理回路110は、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令の実行に少なくとも部分的に基づいて、本明細書で説明するノード関連の実施形態のいずれかで説明するネットワークノード側の動作を実行するように特に適合された1つ以上のコンピュータ回路を有する。そのために、少なくとも1つの実施形態では、ノード22が1つ以上のコンピュータプログラム116を記憶し、関連する構成データ114を記憶することができる1つ以上のタイプのコンピュータ可読媒体を有する記憶装置112を含む。記憶装置112は、プログラム実行のための揮発性ワーキングメモリ、および長期プログラム記憶のための不揮発性メモリなどの、1つ以上のタイプのメモリ回路または機器および/または1つ以上のタイプの記憶機器を有する。例としては、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、ソリッドステートディスク(SSD)などが挙げられる。そのようなメモリは非一時的な記憶装置を提供するが、それは必ずしも不変または永続的記憶ではなく、少なくともいくらかの永続性を有する記憶を意味する。
【0066】
処理回路110は通信回路100と動作可能に関連付けられ、例えば、処理回路110は通信回路100を用いて無線機器と無線信号を送受信する。1つまたは他の例において処理回路110は、無線通信ネットワーク10と通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器12、に近接する1つ以上の他の無線通信機器32から、通信回路100を介してフィードバックを受信するように構成される。他の機器32のそれぞれからのフィードバックは、たとえば、機器12によるレーダビーム掃引における基準信号送信など、機器12による基準信号送信に対して他の機器32が行った計測結果を含む。
【0067】
さらに、処理回路110は、通信回路100を介して、機器12についてのDLシグナリングを送信するように構成される。DLシグナリングは1つ以上の他の機器32からのフィードバックに基づいており、それによって、機器12が、機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30の各レーダビーム方向30について、ネットワーク10からのDL通信信号を受信することに関して、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定することを可能にする。
【0068】
1つ以上の実施形態において処理回路110は、フィードバックをチャネル状態情報(CSI)報告として1つ以上の他の機器32から受信するように構成され、CSI報告は機器12によって実行されるレーダビーム掃引中に1つ以上の他の機器32によって行われる受信信号計測に基づく。
【0069】
図6は、無線通信ネットワーク10の無線ネットワークノード22によって実行される例示的な方法600を示す。方法600は、無線ネットワークノード22が、ネットワーク10と通信し、同一または重複するmmW周波数範囲を使用して周囲環境センシングのためのレーダー送信を実行する無線通信デバイス12に近接する、1つまたは複数の他の無線通信デバイス32からフィードバックを受信すること(ブロック602)を含む。他の機器32のそれぞれからのフィードバックは、機器12による基準信号送信に対して他の機器32が行った計測結果を含む。さらに、方法600は、無線ネットワークノード22が機器12にDLシグナリングを送信すること(ブロック604)を含む。
【0070】
DLシグナリングは1つ以上の他の機器32からのフィードバックに基づいており、それによって、機器12が、機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30の各レーダビーム方向30について、ネットワーク10からのDL通信信号を受信することに関して、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定することを可能にする。
【0071】
フィードバック情報を受信すること(ブロック602)はたとえば、1つ以上の他の機器32からCSI報告を受信する無線ネットワークノード22を備える。ここで、CSI報告は、機器12によって実行されるレーダビーム掃引中に1つ以上の他の機器32によって行われる受信信号計測に基づく。
【0072】
図7は無線ネットワークノードの別の実施形態、例えば、図1に示したノード22に関する別の例示的な実施形態を示す。ここで、ノード22は、背後に存在する処理回路によって実施される機能処理単位でありうる処理ユニットまたはモジュールのセット130を有する。モジュール130はたとえば、無線エアインターフェースをアンカーするために使用される物理層回路から遠隔にありうるデータセンタ内のコンピュータサーバによってホストされうるような、仮想化環境内の仮想処理要素として実装されうる。
【0073】
図示のモジュール130は、無線通信ネットワーク10と通信するとともに同一または重複するmmW周波数帯域を使用して周辺環境センシングのためのレーダ送信を実行する無線通信機器12、に近接する1つ以上の他の無線通信機器32からフィードバックを受信するように構成された受信モジュール132を含む。他の機器32からのフィードバックは、機器12による基準信号送信において他の機器32によって行われる計測を含む。さらに、無線ネットワークノード22は、機器12に関するDLシグナリングを送信するように構成された送信モジュール134を含む。
【0074】
DLシグナリングは1つ以上の他の機器32からのフィードバックに基づいており、それによって、機器12が、機器12の現在の向きおよび位置に関する複数のレーダビーム方向30の各レーダビーム方向30について、ネットワーク10からのDL通信信号を受信することに関して、機器12によるレーダ送信の干渉に脆弱な近接機器32が存在するか否かを判定することを可能にする。受信モジュール132はたとえば、機器12によって実行されるレーダビーム掃引中に1つ以上の他の機器32によって行われる受信信号計測に基づくCSI報告として、フィードバックを受信するように構成される。
【0075】
様々な実施形態において上述した技法は、レーダ対応無線通信機器12(レーダ対応ユーザ装置(UE)とも呼ばれる)が、レーダ対応UEがレーダセンシングを実行するときに他のUEに干渉を引き起こすことを回避することを可能にする。例示的な実施形態ではレーダ対応UEが5Gネットワークにおける動作のために構成され、その緩和動作はネットワークのUL/DL TDD動作のDLフェーズ中に周辺UEにおけるDL受信干渉を回避または低減する。
【0076】
自律的、すなわちネットワークサポートを必要とせず、干渉検知を用いた干渉緩和に依拠するUE調整型DL干渉緩和を含む、複数の手法が想定されている。たとえば、レーダ対応UEはレーダビームを掃引する間に周辺UEが経験するDL干渉情報を収集するために、サイドリンク(D2D)またはOTTベースのメッセージング手法を採用しうる。慣性計測ユニット(IMU)情報がレーダ信号源およびリスニングUEの方向を示すため、レーダ対応UEおよび他のUEのIMU情報もまた収集されうる。レーダ対応UEはこの情報を使用して、レーダビーム方向を選択し、および/または他のUEに引き起こされる干渉が閾値を下回るように、それぞれのレーダビーム方向におけるレーダ信号の送信電力を調整する。他のUEの測位データを共有することは、技法をさらに改善するオプションのステップである。周辺UEは、それらのアンテナパネルおよび受信(Rx)ビームのすべてを使用してレーダ対応UEからのレーダ送信をリスンするのではなく、ネットワーク10内のそれらのサービング無線ネットワークノード22と対になっているパネル/ビームのみを使用してレーダ干渉をリスンすることによって電力を節約するように構成されうる。1つ以上の無線ネットワークノード22は、1つ以上の基地局(BS)と呼ばれうる。
【0077】
少なくとも1つの実施形態では、レーダ対応UEがビーム対応をサポートし、TDD動作のULフェーズ中にネットワーク関連通信タスクがないシナリオで、周辺UEのUL送信を検知して、周辺UEにDL受信干渉を引き起こすことに関して問題があると考えられるレーダビーム方向を特定する。すなわち、レーダ対応UEはレーダ対応UEにおけるTxビームとRxビームとの間の対応または相互関係に基づいて、レーダ送信を実行するために使用されるのと同一または整合するビーム方向を使用して、周辺UEからのUL送信をリスンし、受信するUL信号の受信信号電力を使用して、対応する周辺UEが経験するであろうレーダ干渉の量を推定する。
【0078】
干渉緩和はまた、情報共有を含むか、またはそれに基づくことができ、レーダ対応UEおよび周辺UEは、D2DまたはOTTメッセージングを使用して位置、IMU情報、および対をなすビームの情報を共有する。レーダ対応UEはそのような情報を使用して、自身のレーダ送信の方向および電力レベルを調整する。さらに、少なくとも1つの実施形態におけるレーダ対応UEは、周辺UEに、サービングBSとのペアリングのために用いるビームを変更するように依頼し、それによって、DLフェーズ中のレーダ干渉を回避する。周辺UEは時間、周波数、パネル特定、および/またはビーム情報をレーダ対応UEと共有することができ、レーダ対応UEは、その情報を使用して、そのレーダ送信を適応させ、周辺UEにおけるDL受信に関連する時間、周波数、および空間次元を回避する。
【0079】
他の実施形態では、関与するすべてのUE間の協調を必要としないネットワーク調整型DL干渉緩和を使用する。少なくとも1つの実施形態では、無線通信ネットワークがレーダ対応UEによるレーダ送信によって経験する干渉レベルを報告するために、セル内またはセル領域内の周辺UEを構成する。特定の例では、周辺UEに関連付けられたサービングBSがレーダビーム掃引を実行するレーダ対応UEに関して経験する干渉レベルを報告するために、「レガシー」CSI報告機構、たとえば、LTE、またはNR周波数帯域1(FR1)を使用するようにそれらを構成する。この手法は、レーダ対応UEと周辺UEとの間の干渉検知情報のサイドリンクまたはOTTベースの共有を必要としない。
【0080】
本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上に関連する複数の利点の中には、別の近くのUEがレーダ対応であり、DLシグナリングと同じ周波数帯域内にあるレーダ信号を使用してその周辺環境のレーダ走査を実行する場合における、無線通信ネットワークからのDLシグナリングの受信に関して1つ以上のUEが経験する干渉の軽減がある。たとえば、特定のUEは無線通信ネットワークとの間で通信信号を送受信するように構成されたmmWトランシーバを含み、UEは周辺環境センシングのために、レーダ信号を送信するためにmmWトランシーバを使用する。
【0081】
上述のように、レーダ対応UEおよび近接(周囲)UEは、ネットワークによる支援を必要とすることなく、レーダ干渉を緩和するために協働しうる。あるいは、周辺UEがネットワークへのCSI報告メカニズムを使用し、ネットワークがその情報をレーダー対応UEに伝達する。様々な実施形態は、レーダー対応UEの一部のビームがネットワークの動作のULフェーズ中に制限されることがある一方で、同じビームがネットワークの動作のDLフェーズ中に制限されないことがあるため、補完的なレーダースキャンを可能にする。様々な実施形態の1つ以上は、干渉の対象となる通信の重要度及び/又はレーダー送信がネットワークの通信信号に干渉する可能性に依存して、レーダー送信が制限されるか又はどの程度制限されるかを制御することも企図されている。
【0082】
5G NRでは、UEおよびBSが通信のために周波数帯域2またはFR2-in TDDモードとして表されるmmWave周波数を使用する。この周波数帯を使うと広い周波数帯域を確保できる反面、遮断や減衰の影響を強く受ける。したがって、UEとそのサービングBSとの間の通信は、Tx/Rxビームの適切なペアリングを見つけることに依存する。別の近接UEがレーダ走査を実行する場合、そのレーダ送信は、レーダ送信がTDD動作のULまたはDLフェーズと一致するかどうかに応じて、ネットワークBSにおけるUL受信または近くのUEにおけるDL受信に干渉しうる。干渉のレベルは、レーダ対応UEと他のUEとの間の距離に依存する。他のUEの距離および向きに応じて、レーダ対応UEは、レーダ信号の強度または方向を適応的に変更することができる。代替的に、周辺UEは経験する干渉を回避/低減するために、時間、周波数、または空間領域適応を使用することができ、またはレーダ干渉を回避するために、ネットワークへの接続について他のビーム方向に切り替えることができる。
【0083】
レーダ対応UEと1つ以上の周辺UEが存在する場合を例にとると、本明細書で企図するレーダ干渉緩和の一実施形態は、周辺UEによるDLセンシングを含む。例示的な実施形態では、レーダ対応UEが「テスト」レーダ信号を送信し、無線通信ネットワークの現在のセルまたは近接セル内に存在しうる周辺UEは、それらが経験したDL干渉を評価する。周辺UEは、OTTまたはD2Dメッセージングを通じてレーダ対応UEに異なるレーダビーム方向の干渉レベルを報告する。その後、レーダ対応UEは、周辺UEのそれぞれのもので経験したDL干渉の報告レベルから評価されるように、問題のあるレーダビーム方向のレーダ信号電力を調整する。一実施形態ではレーダ対応UEがULサウンディング基準信号(SRS)を「テスト」レーダ信号として使用することができ、他のUEは通知されたUL SRS掃引間隔中に「DL計測」を実行する。
【0084】
少なくとも1つの実施形態では周辺UEの1つ以上がアナログビームフォーミング能力を有し、それらのアンテナパネルのすべてのビームを順次リッスンするか、または1つ以上のサービングBSとペアリングされたパネルおよびビームだけをリスンする。それらは、アンテナパネルのアンテナ素子を通じてサンプルを収集してベースバンドで処理する。デジタルビームフォーミング能力を有する周辺UEは、同時にそのビームのすべてを通じてレーダ干渉を「リスン」することができる。
【0085】
レーダ対応UEにおけるレーダ「テスト」走査および周囲UEにおける対応する「リスン」の使用は、レーダ対応UEと周囲UEとの時間同期を必要とし、周囲UEおよび/またはレーダ対応UEの位置およびIMU情報、レーダビームインデックス、レーダ信号の送信時間、レーダ掃引間隔、テスト掃引中のレーダビームの送信に使用される時間/周波数リソース割り当て、およびレーダコード情報を共有することを伴いうる。上述のように、そのような情報は、D2DまたはOTTメッセージングを通じて共有されうる。レーダ対応UEのビーム掃引シーケンスが既知であり、UEが同期されている場合、レーダビームインデックスを共有する必要はない。
【0086】
図8A/Bは対応する動作方法800を示し、レーダ対応UEは、他のUEと情報を共有するためにOTTまたはサイドリンクアプリケーションをインストールし、実行する(ブロック802)。レーダ対応UEは、周辺環境を走査するための角度範囲に関して規定されうる、レーダ走査のための関心領域を規定もしくは選択し(ブロック804)、1つ以上のレーダ信号テスト掃引の性能に関して近接UEと同期し(ブロック806)、同期によって、例えば感知時間、掃引間隔、レーダビームインデックス、レーダ信号情報、IMU情報などを共有したり、IMU情報などの情報を近接UEから受信したりすることができる。
【0087】
次いで、レーダ対応UEは、テストレーダ信号を送信する、すなわち、レーダ対応UEの選択されたアンテナパネルから選択されたビームを用いてテスト掃引を実行する(ブロック808)。ここで、選択されたビーム/パネルは、レーダ走査のための関心領域に対応する。レーダ対応UEは、(OTTまたはサイドリンクメッセージを通じて)近接UEから計測結果の指示を受信する(ブロック810)。上述のように、各近接UEは、無線通信ネットワークへの接続のために現在使用しているビーム/パネルだけのような、自身のビーム/パネルのすべてまたはそれらのサブセットのみを使用して、レーダ対応UEによるテスト掃引を「リスン」することができる。
【0088】
レーダ対応UEは条件が変化したかどうかをチェックする(ブロック812)。考慮される「条件」は周波数帯域の変更、環境状況の変化、位置および/または向きの変化、または本質的に、自身のレーダ送信が他のUEが関与するネットワーク通信に干渉しうるかどうか、またはどの程度干渉しうるかに関係する任意の変化を含む。チェックは例えば最小限の変更を超える変更が必要とされるような、規定された閾値で条件付けされてもよい。1つ以上の条件が変化した場合(ブロック812、YES)、処理はブロック804に戻る。さもなければ(ブロック812、NO)、レーダ対応UEはテスト掃引について返送された情報を評価し、脆弱な近接UEが存在するかどうかを判定する(ブロック812)。ここで、「脆弱」なUEは、テスト掃引中に閾値量を超える干渉を経験した近接UEである。
【0089】
1つ以上の脆弱なUEが存在する場合(ブロック812、YES)、処理は、レーダ対応UEが、電力制御によって干渉問題を対処可能か否かを判定すること(ブロック814)に続く。この評価を行う際、レーダ対応UEは、問題のあるビーム方向における自身のレーダ送信の電力を、有意義なレーダ走査結果をもたらすのに十分な電力を有しつつ、影響を受ける近接UEが経験する干渉を許容可能なレベルまで低減するレベルまで低減可能か否かを考慮する。この点で十分な電力のレベルは走査の性質または目的に依存し、同様に、干渉の許容可能なレベルは、固定閾値であってもよく、または影響を受ける通信の重要度または他の要因に依存する可変閾値であってもよい。
【0090】
干渉脆弱性が電力制御によって対処されうる場合(ブロック814、YES)、処理は経路「B」に沿って継続する。さもなければ(ブロック814、NO)、処理は経路「C」に沿って継続する。脆弱な近接UEが存在しない場合(ブロック812、NO)、処理はレーダ対応UEが制限なしに、すなわち、特定のビーム方向における送信をスキップすること、および/または特定のビーム方向における送信電力を低減することを伴う空間的制限なしに、対象エリアにわたってレーダ走査を実行すること(ブロック816)を続行する。そこから、処理は経路「A」に沿って継続する。
【0091】
図8Bに見られるように、経路A処理は、レーダ対応UEが、走査すべきさらなるエリアがあるか否かを判定することを含む。もしあれば(ブロック818、YES)、処理はブロック804に戻る。なければ(ブロック818、NO)、処理は、少なくともレーダ走査の現在のサイクルに関して「終了」する。
【0092】
経路B処理は、レーダ対応UEが指向性ベースの送信電力制御を使用して、関心領域にわたってレーダ走査を実行すること(ブロック820)を含む。すなわち、レーダ干渉に脆弱であると判定された近接UEに対応するレーダビーム方向30において、レーダ対応UEは、レーダ信号に使用する送信電力を適応させる。スキャンが完了すると、処理はブロック818に進む。
【0093】
経路C処理は、レーダ対応UEが、レーダ干渉脆弱性が脆弱性近接UEにおけるビーム切り替えを用いて対処可能か否かを判定すること(ブロック822)を含む。ここで、「ビーム切り替え」とは、脆弱UEがDL信号送信のために無線通信ネットワークと脆弱UEとの間で使用されるTx/Rxビームペアを変更することを意味する。使用中のビーム配置と、サービングBSおよびレーダー対応UEに対する脆弱なUEの位置に応じて、近接UEがレーダー干渉を経験しない、または許容可能な程度に低い量の干渉を経験するビームペアリングが存在しうる。
【0094】
干渉問題がビーム切り替えによって対処可能である場合(ブロック822、YES)、方法800は、1つ以上の脆弱なUEにおいてビーム切り替えを開始するか、さもなければトリガすること(ブロック824)に続く。一例では、レーダ対応UEが1つ以上の脆弱なUEに向けたシグナリングによってビーム切り替えを開始する。別の例では1つ以上の脆弱UEがビーム切り替えが干渉問題に対処するために使用可能か否かをレーダ対応UEに示し、切り替えを開始し、場合によってはレーダ対応UEに切り替えを確認する。そこから、処理はブロック818に進む。
【0095】
干渉問題がビーム切り替えによって対処可能でない場合(ブロック822、NO)、処理はブロック804に戻る。すなわち、ブロック822からのNO経路は、レーダ送信の空間依存電力制御によって干渉問題を解決することができず、脆弱なUEにおけるビーム切り替えによって解決することができないシナリオに対応する。したがって、UEはレーダ走査のための関心領域を規定/選択するために、ブロック804に戻る。ブロック804の処理は、最初に、レーダ対応UEが走査のための所望のエリアを単に選択することを含みうるが、ブロック822からブロック804に戻ると、レーダ対応UEは脆弱UEに関連する方向を除外するレーダ走査エリアを選択/規定しうる。
【0096】
ここで、センシングを用いたネットワーク調整型DL干渉緩和を伴う実施形態を検討し、そのような実施形態は、干渉緩和のロバストな非自律モードを提供する。そのような実施形態は関連する無線通信ネットワークのサポートを必要とするが、すべての関連するUE間の協調を必要としないという利点を有する。
【0097】
ネットワークは、レガシーCSI報告メカニズムを介して干渉レベルを報告するようにセル内またはセルの領域内のUEと協働、および場合によりUEを構成することができる。周期的および非周期的報告が利用可能である。この手法ではチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)リソースが規定されるが、BSは規定されたリソース上で信号を送信しない。したがって、規定されたリソースは、ゼロ電力CSI-RSリソースと表記されうる。BSはゼロ電力CSI-RSリソース上でCSI-RSを送信するのではなく、レーダ対応UEがテストレーダ送信(テストレーダビーム掃引)を実行するためにそれらを使用し、周辺UEはレーダ送信に関して自身が体験する干渉のレベルを評価するためにゼロ電力CSI-RSリソース上で計測を実行する。周辺UEは対応する計測報告をネットワークに送信し、ネットワークは、周辺のUEのいずれかが、レーダ送信の結果として許容できないレベルのDL干渉を経験しうるか否かを判定し、またはネットワークはそのような評価のためにレーダ対応UEに報告を転送する。
【0098】
図9は、ネットワークサポートを伴う干渉軽減のための動作の例示的な方法900を示す。レーダ対応UEは、レーダ走査のための関心領域を規定し(ブロック902)、BSはレーダ対応UEとその周辺UEとを同期させ、関連情報、たとえば、ゼロ電力CSI-RS割り当て、ビーム掃引タイミング、ビームインデックスなどをUE間で共有する(ブロック904)。
【0099】
動作はレーダ対応UEがレーダ走査の規定されたエリアによって定まる選択されたビームおよび選択されたアンテナパネルを用いてテスト信号を送信すること(ブロック906)と、周辺UEがそれらのRxビームのすべてまたはサブセット(たとえば、1つ以上のサービングBSからDL信号を受信するために現在使用しているビーム)だけを掃引し、レーダ対応UEによって送信されたテスト信号によって経験した干渉を計測すること(ブロック908)とに継続する。周辺UEは干渉計測値および対応するビームインデックスをBSに報告し(ブロック910)、BSは報告された干渉計測値および対応するビームインデックスを示す情報をレーダ対応UEに送信する(ブロック912)。
【0100】
レーダ対応UEはBSから受信した情報を使用して、レーダビーム方向および/またはレーダ走査に使用する指向性電力を選択し、周辺UEにおけるDL受信干渉が閾値レベルを超えることを回避する(ブロック914)。次いで、レーダ対応UEは、選択された方向/電力に従ってレーダ走査を実行する(ブロック916)。走査すべきさらなる領域がある場合(ブロック918、YES)、処理はブロック902に戻る。さもなければ(ブロック918、NO)、処理は、少なくとも干渉評価およびレーダ走査の現在のサイクルに関して「終了」する。
【0101】
少なくとも1つの実施形態では、レーダ対応UEがTx/Rxビーム対応を有し、UL検知をサポートし、ネットワークのTDD動作の1つ以上のULフェーズ中に周辺UEのUL送信をリスンして、問題のある、すなわち、近接UEにおいて許容できないレベルのDL受信干渉を引き起こすと予想されるレーダビーム方向30を特定するように構成される。より詳細には、レーダ対応UEにおいて特定のRxビーム方向について周辺UEから受信したUL信号についてレーダ対応UEが経験した受信信号電力がDLフェーズ中における相互的なTxビーム方向でのレーダ対応UEによるレーダ送信から周辺UEが経験するであろう干渉のレベルを直接示唆する。そのような動作は、検知されたUEの向きおよび位置が1つのUL-DL期間中に固定され続けていることを前提としている。
【0102】
周辺UEはアップリンク信号を不定期に送信することがあるため、レーダ対応UEは周辺UEのUL送信を検知するのに十分に長い走査期間を必要とする。周辺UEはレーダ対応UEによるより正確なUL検知のために、サイドリンクまたはOTTメッセージングを通じて自身のアップリンク送信の時間/周波数をレーダ対応UEと共有することができる。
【0103】
干渉緩和の別の実施形態はレーダ対応UEと周辺UEとの間で情報を交換するためのサイドリンクまたはOTTメッセージングの使用に依存するが、周辺UEの干渉脆弱性を評価するためのレーダ対応UEによる「テスト」レーダ掃引を伴わない。レーダ対応および他のUEは以下の情報を共有する。周辺UEの位置、周辺UEの向き(例えば、IMU情報を使用する)、ネットワークベースの通信のためにBSとペアリングされる周辺UEのパネルのビーム、周辺UEの(1つ以上の)非アクティビティ期間、レーダ対応UEによって送信されるレーダ信号の特性(例えば、波形およびシーケンスに関して)、レーダ対応UEの識別情報(ID)、およびレーダ送信の時間/周波数。
【0104】
そして、干渉緩和は、周辺UEが非アクティブであるときにレーダビームUEがレーダ走査を実行することと、レーダビームUEが、レーダ信号強度を調整するためもしくは特定の方向における送信をスキップするために共有情報を使用することと、1つ以上の周辺UEがDL信号を受信するために別のビームに切り替えることによってレーダ干渉を回避することと、あるいはレーダ干渉を抑制する目的で無線周波数(RF)受信機回路または対応するベースバンド処理回路を構成するために、周辺UEが共有しているレーダ信号の特性を使用することとの1つ以上を含む。
【0105】
図10A/Bは、レーダ対応UEに近接する1つ以上の他のUEにおけるDL受信動作に関して、レーダ対応UEのレーダ送信に関連する干渉を緩和するさらに別の方法1000を示す。ここで、「UE」という用語は、特定のタイプまたは用途の機器を意味せず、1つ以上のタイプのマシンツーマシン(M2M)機器またはモノのインターネット(IoT)機器を含みうる、様々な機器タイプを説明するために広く使用されうることに留意されたい。しかしながら、この用語は一般に、例えば、1つ以上の通信サービスにアクセスするために通信ネットワークを使用するように動作するが、ネットワークに専用であったり、ネットワークの固定部分ではない通信装置を示す。例えば、UEは、そのようなアクセスのためにUEを認証および認可するための根拠を提供する加入資格情報を有するか、またはそれに関連付けられることに基づいて、ネットワークにアクセスする。
【0106】
図10 A/Bの例において方法1000は、レーダ対応UEが、他のUE(たとえば特定の時点で近接する任意の特定の他のUE)と情報を共有するためのサイドリンクまたはOTTアプリケーションをインストール/実行すること(ブロック1002)を含む。方法1000は、レーダ対応UEが、レーダ走査のための関心領域を規定/選択すること(ブロック1004)と、自身の位置および向きを取得するとともに周辺UEの位置および向きを取得すること(ブロック1006)とをさらに含む。「位置」は例えば、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)から特定されるような地理的な位置として表すことができ、向きは、例えば内蔵する加速度計またはジャイロスコープセンサからそれぞれのUEによって決定されるようなIMU情報によって示されうる。
【0107】
レーダー対応UEはさらに、例えば、現在の位置および向きに対するレーダー対応UEのレーダービーム方向との関連性の観点から、周囲のUEのBSペアビームを示す情報を取得する(ブロック1008)。方法1000は、所望のレーダビーム方向(関心領域に対応する)に送信したレーダ信号が周辺UEのいずれかにおいてDL干渉をもたらすか否かを判定することをさらに含む(ブロック1010)。DL干渉をもたらさない場合、処理は経路「B」に沿って継続する。DL干渉をもたらす場合、処理は、レーダー対応UEが、干渉を引き起こすことを避けるために、関係するビーム方向で使用する送信電力を調整(適応)することによって干渉問題に対処可能か否かを判定すること(ブロック1012)に継続する(そしてこの判定は、被害UEにおいて許容または許容可能とみなされる干渉の最大レベルに関する何らかの閾値を考慮して行うことができる)。
【0108】
干渉問題が送信電力調整によって対処可能であると評価される場合(ブロック1012、NO)、処理は経路「C」に沿って継続する。なもなければ処理はブロック1014に進み、ここで、レーダ対応UEは、干渉に対して脆弱な周辺UEにおけるビーム切り替えによって干渉問題が対処可能か否かを評価する。ビーム切り替えが解決策として利用可能な場合、処理は経路「A」を継続し、そうでない場合、処理はブロック1004に戻る。
【0109】
図10Bは処理経路A、B、およびCを示し、処理経路Aは周辺UEのうち影響を受けた(脆弱)UEにおけるBSペアリングビームの切り替え(ブロック1016)と、レーダ対応UEが空間的制限なしにレーダ走査を実行すること(ブロック1018)とを含む。処理経路Bは、脆弱なUEにおけるビーム切り替えを伴わず、または必要とせず、ここでも空間的制限なしにレーダ走査を実行すること(ブロック1018)を含む。処理経路Cもまた、脆弱なUEにおけるビーム切り替えを伴わないが、レーダ対応UEが空間的制限を伴うレーダ走査を実行すること(ブロック1020)を伴う。ここで、制限は脆弱なUEに関連するレーダビーム方向におけるレーダ信号電力を低減する方向に応じた電力調整である。
【0110】
3つの処理経路A、B、およびCのすべてはブロック1022に到達し、ここで、レーダ対応UEは、レーダ走査を実行すべきさらなるエリアがあるか否かを判定する。ない場合、処理は、少なくとも現在のレーダ走査サイクルに関して終了する。ある場合、処理はブロック1004に戻る。
【0111】
これまでの説明および関連する図面に示された教示の利益を享受する当業者が、開示された1つ以上の発明の変更および他の実施形態を想到であろうことに留意すべきである。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形物および他の実施形態は本開示の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用することができるが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B