(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】Integrated Access Backhauledにおける無線リンクの並行使用の制御
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20240612BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20240612BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W16/26
(21)【出願番号】P 2023508114
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021079139
(87)【国際公開番号】W WO2022084416
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィザ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ラグランジュ, パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ル・バース, フィリップ
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】Qualcomm Incorporated (Email discussion rapporteur),[Post111-e][903][eIAB] Topology adaptation enhancements RAN2 scope[online],3GPP TSG RAN WG2 #112-e,3GPP,2020年10月22日,R2-2009292,pp.36-38,55-56,[検索日 2024.02.08],インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_112-e/Docs/R2-2009292.zip>
【文献】LG Electronics Inc.,BAP Packet Duplication and BH RLF Indication Enhancements[online],3GPP TSG RAN WG2 #112-e,3GPP,2020年10月23日,R2-2010441,[検索日 2024.02.08],インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_112-e/Docs/R2-2010441.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークを含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、IABノードにおいて:
同一のBackhaul Adaptation Protocol(BAP)ルーティング識別子を有するBAPパケットを受信することと、
BAPルーティング設定を使用して、前記同一のBAPルーティング識別子に対して1つまたは複数の出口リンクに属する受信した前記BAPパケットのための複数の無線リンク制御(RLC)チャネルを決定するBAPサブレイヤ動作を実行することと、
前記複数のRLCチャネルを介して前記BAPパケットを送信することと、
を含む通信方法。
【請求項2】
前記BAPパケットを送信することは、受信されたBAPパケットに対して冗長なBAPパケットを取得することと、前記複数のRLCチャネルを介して前記冗長なBAPパケットを送信することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冗長なBAPパケットは、前記受信されたBAPパケットと、当該受信されたBAPパケットの1つまたは複数の複製とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信されたBAPパケットと当該受信されたBAPパケットの複製に、同じシーケンス番号を追加することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記受信されたBAPパケットがすでにシーケンス番号を含む場合、当該受信されたBAPパケットおよび当該受信されたBAPパケットの複製は、別のシーケンス番号が追加されることなく、前記シーケンス番号を保持する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記冗長なBAPパケットを取得することは、前記受信されたBAPパケットをネットワーク符号化することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
同一の前記受信されたBAPパケットの前記ネットワーク符号化から生じる前記冗長なBAPパケットは、連続するシーケンス番号でタグ付けされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記受信されたBAPパケットと比較して、シーケンス番号が前記冗長なBAPパケットに追加されなければならないかを、前記BAPルーティング設定から決定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークを含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、IABノードにおいて:
1つ以上の進入リンクを介して、オリジナルのBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットに対する冗長であるBAPパケットを受信することと、
BAPルーティング設定を使用して、前記BAPパケットの冗長性が前記IABノードにおいて終了するかを判定するBAPサブレイヤ動作を実行することと、
判定が肯定である場合、前記冗長なBAPパケットを処理して、前記オリジナルのBAPパケットを取得し、出口リンクを介して単一の前記オリジナルのBAPパケットを送信し、または当該オリジナルのBAPパケットのコンテンツを前記IABノードの上位レイヤに送信することと、
を含む通信方法。
【請求項10】
前記冗長なBAPパケットを処理することは、前記オリジナルのBAPパケットの複製を決定することと、単一の複製を単一の前記オリジナルのBAPパケットとして維持するために複製を破棄することとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複製を決定することは、同一のシーケンス番号でタグ付けされた受信BAPパケットを識別することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冗長なBAPパケットを処理することは、前記オリジナルのBAPパケットを取得するために、当該冗長なBAPパケットをネットワーク復号することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記冗長なBAPパケットを受信することは、前記ネットワーク復号によって定義された組合せの数より少ない別個のシーケンス番号でタグ付けされた受信BAPパケットを識別することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
受信された前記冗長なBAPパケットと比較して、前記オリジナルのBAPパケットからシーケンス番号が除去されなければならないかを、前記BAPルーティング設定から決定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記BAPルーティング設定は、1つのBAPルーティング識別子を別のIABノードの1つのBAPアドレスにそれぞれ関連付けるエントリから構成される第1の設定テーブルを含み、受信された前記BAPパケットの1つまたは複数のBAPルーティング識別子に対応する1つまたは複数の前記エントリが、受信された前記冗長なBAPパケットから前記オリジナルのBAPパケットを取得するために実行されるべきBAPサブレイヤ動作をさらに定義する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記BAPルーティング設定は、1つの出口リンクを1つまたは複数のRLCチャネルに関連付けるエントリで構成された第2の設定テーブルを含み、決定された出口リンクに対応するエントリが複数のRLCチャネルに関連付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エントリは、前記複数のRLCチャネルが使用されるべき1つまたは複数のBAPルーティング識別子を定義するトリガフィールドをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークを含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、IABドナー・セントラルユニット(IABドナーCU)において:
それぞれのBackhaul Adaptation Protocol(BAP)ルーティング設定を用いて前記IABネットワークのIABノードを設定するために設定メッセージを送信することを含み、
前記BAPルーティング設定のうちの1つは、1つのIABノードを、1つまたは複数の出口リンクに属する複数の無線リンク制御(RLC)チャネルを介して、同一のBAPルーティング識別子を有した受信BAPパケットを送信するBAPサブレイヤ動作のイニシエータとして設定する、
通信方法。
【請求項19】
前記BAPルーティング設定のうちの別の1つが、受信された冗長なBAPパケットをオリジナルのBAPパケットに処理し、出口リンクを介して単一の当該オリジナルのBAPパケットを、または、当該BAPパケットのコンテンツを上位レイヤへ送信するために、同一の前記BAPサブレイヤ動作のターミネータとして別のIABノードを設定する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1
から8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える、無線通信装置。
【請求項21】
請求項9から17のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える、無線通信装置。
【請求項22】
請求項18又は19に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える、無線通信装置。
【請求項23】
Integrated Access and Backhaul(IAB)ドナーのセントラルユニット、IABドナーのディストリビューテッドユニット、および、1つまたは複数のIABノードを備えたIABネットワークであって、前記IABドナーのディストリビューテッドユニットおよび前記IABノードのうちの1つが、請求項1に記載の方法を実行するように構成されている、IABネットワーク。
【請求項24】
前記IABドナーのディストリビューテッドユニットおよび前記IABノードのうちの別の1つが、請求項9に記載の方法を実行するように構成される、請求項2
3に記載のIABネットワーク。
【請求項25】
無線デバイスにおけるマイクロプロセッサまたはコンピュータシステムによって実行される場合に、前記無線デバイスに、請求項1
から8のいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラ
ム。
【請求項26】
無線デバイスにおけるマイクロプロセッサまたはコンピュータシステムによって実行される場合に、前記無線デバイスに、請求項9から17のいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラム。
【請求項27】
無線デバイスにおけるマイクロプロセッサまたはコンピュータシステムによって実行される場合に、前記無線デバイスに、請求項18又は19に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に無線通信に関し、特に、Integrated Access Backhauled(IAB)ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、モバイルブロードバンド、大規模マシンタイプ通信から超高信頼低遅延通信(URLLC)まで、広範囲のアプリケーションに対処するために広く展開されている。そのようなシステムは、複数のユーザ機器(UE)またはモバイル端末が1つまたは複数の基地局を通した無線アクセスネットワーク(RAN)を介して、いくつかのタイプのデータコンテンツ(たとえば、ビデオ、ボイス、メッセージングなど)を交換するために、無線媒体を共有することを可能にする。基地局は、従来、バックホール(BH)と呼ばれる中間ネットワークを形成するコアネットワークに、(例えば、ファイバを介して)有線接続される。
【0003】
そのような無線多元接続通信システムの例は、第4世代(4G)のロングタームエボリューション(LTE)または最近の第5世代(5G)のNew Radio(NR)システムなどの、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に基づくシステム、またはWiFiなどのIEEE 802.11規格に基づくシステムを含む。
【0004】
ネットワークの高密度化に対する需要は、ユーザ数の増加およびより高いスループットの要求のために増加する。
【0005】
有線バックホールネットワークの高い展開コストおよび時間の問題に直面して、3GPPは、5GのNRのための最近のリリース16において、無線(すなわち、ラジオ)スペクトルの一部がファイバの代わりに基地局のバックホール接続のために使用される、Integrated access backhauling(IAB)としても知られる、無線バックホールを提案している。したがって、(基地局間の)ワイヤレスバックホール通信が、(基地局とUEとの間の)アクセス通信と同じ無線リソースを使用する。
【0006】
IABは、基地局をケーブル接続する負担なしにスケーラブルで迅速な設置が可能となるため、密集したエリアまたはカバーすることが困難なエリアにおいて、ファイバベースのバックホールに代わる競争力のある代替物であることが分かっている。
【0007】
IABは、要求されるGbps(ギガビット/秒)データレートを達成するために、ミリ波(mmWave)バンドで動作する可能性が最も高い。
【0008】
しかしながら、ミリ波は、いくつかの気象条件(雨、霧)では信号強度が強い減衰を受け、発信者と受信機との間のパスに位置する障害物の場合には妨害を受けることが知られている。
【0009】
これらの潜在的な無線リンク障害に対処するために、IABフレームワーク内にトポロジ的冗長性を提供することができ、そこでは、コアネットワークに直接接続されたIAB基地局(「IABドナー」とも呼ばれる)と、UEをサービングするIAB基地局(「アクセスIABノード」とも呼ばれる)との間に複数のデータパスが設定される。いくつかの中間IAB基地局(IABノードとも呼ばれる)は、IABドナーとアクセスIABノードとの間のいくつかのパスの各々に関与してもよく、したがって、マルチホップIABネットワーク内に代替データパスを形成する。
【0010】
データが送信されることが好ましいIABノードのセットを通るパスは、デフォルトで定義される。また、無線リンク障害(RLF)がデフォルトパスの任意のリンク上で発生する場合に使用可能な、IABノードの異なるセットに沿った1つまたは複数のバックアップパスが定義される。リンクは、バックホールネットワーク内の2つの連続するIABノード間で定義される。
【0011】
例えば無線リンク障害の場合にデータ伝送のロバスト性を提供する別のメカニズムは、3GPP仕様書TS38.323(V16.1.0)に記載されているように、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)の複製メカニズムを含む。系統的な複製メカニズムは、(各ホップが再送信を要求するための遅延を追加する)オンデマンド再送信メカニズムなどの代替的なロバスト性メカニズムと比較して、レイテンシを低減するため有利である。
【0012】
PDCPの複製は、(キャリアアグリゲーション複製と呼ばれる)単一の基地局を通して、または(デュアル/マルチコネクティビティ複製と呼ばれる)異なる基地局を通して、ダイバーシティを増加させるために、2つ以上の異なるキャリア周波数にわたって複製されたPDCPパケットを送信することを伴う。
【0013】
IABは、PDCPプロトコルに対して透過的であり、IABノードは、ユーザプレーン内にPDCPサブレイヤを有しない。その結果、PDCPの複製はエンドツーエンド、すなわち、UEと、ネットワークコアに接続されたIABドナーとの間のものである。したがって、存在する場合、様々な中間IABノードが、PDCPの複製機構と相互作用しない。
【0014】
PDCPベースのロバスト性機構は満足のいくものではない。
【0015】
第1に、それは、発信者および受信機、すなわち、IABドナーおよびUEにおいて、集中し、高い処理負荷を誘発する。
【0016】
特に、IABドナーに関しては、コアネットワークに接続された唯一のIABノードであるため、IABネットワークにアタッチされたすべてのUEのためのすべてのデータフローを処理する。PDCPの複製がアクティブ化される場合、IABドナーは、特に、ダウンリンクにおいて複製し、アップリンクにおいて複製を除去するために処理すべき膨大な数のパケットの過度の負荷に直面することがわかる。
【0017】
そのアクセスIABノードとの良好な品質のリンクを経験するUEに関して、(IABネットワークにおける別のリンクの低い品質のために)PDCPの複製のアクティブ化が、UEが不要な処理を実行することを要求する。この追加の処理負荷は、低リソースUEにとって有害でありうる。
【0018】
第2に、それは、バックホールネットワーク帯域幅を著しく浪費しうる。実際、(低品質リンクに起因してアクティブ化される)PDCPの複製は、送信品質が良好であるIABノード間のリンクを含んだ、IABドナーとUEとの間の複数のリンクを介した、複製パケットの送信を伴う。
【0019】
より一般的には、より効率的でより公平なロバスト性機構が要求される。
【発明の概要】
【0020】
本発明はIntegrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークを含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、IABノードにおいて:
同一のBackhaul Adaptation Protocol(BAP)ルーティング識別子を有するBAPパケットを受信することを含む通信方法を提案する。本明細書では、BAPパケットは、ユーザプレーンデータまたは制御プレーンデータのいずれかを搬送しうるBAPデータパケットを指す。
【0021】
BAPルーティング設定を使用して、前記同一のBAPルーティング識別子に対して1つまたは複数の出口リンクに属する受信した前記BAPパケットのための複数の無線リンク制御(RLC)チャネルを決定するBAPサブレイヤ動作を実行すること、および、
前記複数のRLCチャネルを介して前記BAPパケットを送信すること。
【0022】
このようなIABノードは、イニシエータと呼ばれる。
【0023】
このIABノードによって開始される動作に応じて、Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークにおけるBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットを中継するIABノードは、BAPサブレイヤにおけるBAPパケットの複製のためのイニシエータ、またはBAPサブレイヤにおけるBAPパケットのネットワーク符号化のためのイニシエータ、または、BAPサブレイヤにおける、複数の出口リンクを介したBAPパケットストリームの分割のためのイニシエータとして、設定されうる。
【0024】
それに対応して、本発明は、 Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークを含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、IABノードにおいて:
1つ以上の進入リンクを介して、オリジナルのBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットに対する冗長であるBAPパケットを受信することと、
BAPルーティング設定を使用して、前記BAPパケットの冗長性が前記IABノードにおいて終了するかを判定するBAPサブレイヤ動作を実行することと、
判定が肯定である場合、前記冗長なBAPパケットを処理して、前記オリジナルのBAPパケットを取得し、出口リンクを介して単一の前記オリジナルのBAPパケットを送信し、または当該オリジナルのその(BAPパケットの)コンテンツを前記IABノードの上位レイヤに送信することと、
を含む通信方法をも提供する。
【0025】
このようなIABノードはターミネータと呼ばれる。
【0026】
このIABノードによって終端される動作に応じて、Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークにおいてBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットを中継するIABノードは、BAPサブレイヤにおけるBAPパケット複製のターミネータ、またはBAPサブレイヤにおけるBAPパケットのネットワーク符号化のターミネータとして設定されうる。
【0027】
上記の方法は、IABネットワーク内のリンクまたはチャネルのダイバーシティがIABノードレベルで使用される、リンクベースのロバスト性制御を定めている。
【0028】
第1のIABノード(BAPサブレイヤ動作のイニシエータ)は、例えば、低品質の出口リンクに起因してBAPパケットを複製することによって、そのようなダイバーシティを使用してBAPパケットを送信する。IABネットワークにおける動作のこの第1の部分は、単一のUEおよびIABドナーを介してではなく、リンクが低品質である複数のIABノードを介して、処理負荷を分散させる点で有利である。
【0029】
例えば低品質リンクの後の、IABネットワークにおける第2のIABノード(BAPサブレイヤ動作のターミネータ)は、例えば、同一のオリジナルのBAPパケットの複製を破棄することによって、リンクダイバーシティの使用を終端することができる。動作のこの第2の部分は、好ましくは(IABノード間の)BHリンクが低品質のものであるIABネットワークの一部の範囲内に、パケットの複製を制限する点で有利である。したがって、オリジナルのBAPパケットがその複製なしに送信されるIABネットワークの部分では、帯域幅は浪費されない。
【0030】
換言すれば、余分な処理および余分な帯域幅消費は、無線リンク障害に対して回復力がある追加の機構を真に必要とするIABネットワークの一部に集中する。第1のIABノードおよび第2のIABノードの適切な選択は、この部分を制限することを可能にする。
【0031】
当然ながら、同じ機構が、例えば、異なるパケットストリームおよび異なる低品質BHリンクに関して、IABネットワークの様々な部分において同時に実装されうる。
【0032】
これらのIABノードは、IABネットワークのIABドナーCUによって設定されうる。この点で、IABネットワークのIntegrated Access and Backhaulドナーのセントラルユニット(IABドナーCU)は、それぞれのBackhaul Adaptation Protocol(BAP)ルーティング設定を用いて、IABネットワークのIABノードを構成するために設定メッセージを送るように設計されてもよく、ここで、BAPルーティング設定のうちの1つが、1つのIABノードを、1つまたは複数の出口リンクに属する複数の無線リンク制御(RLC)チャネル上で、同一のBAPルーティング識別子を有する受信BAPパケットを送信する、BAPサブレイヤ動作のイニシエータとして設定する。さらに、BAPルーティング設定のうちの別の1つが、受信された冗長BAPパケットをオリジナルのBAPパケットに処理し、単一のオリジナルのBAPパケットを出口リンクへまたはそのコンテンツをIABノードの上位レイヤへ送信するために、同一のBAPサブレイヤ動作のターミネータとして、別のIABノードを設定しうる。
【0033】
また、本発明は、上記方法のいずれかのステップを実行するように構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを備える無線通信デバイスを提供する。
【0034】
本発明の実施形態のオプション機能は、添付の特許請求の範囲において定義される。これらの特徴のいくつかを、方法を参照して以下に説明するが、それらはデバイスの特徴に転置することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記BAPパケットを送信することは、受信されたBAPパケットに対して冗長なBAPパケットを取得することと、前記複数のRLCチャネルを介して前記冗長なBAPパケットを送信することとを含む。これは、ネットワークの一部のみにおいてより多くのネットワークの堅牢性を提供するという観点から、有用な冗長性ベースのプロセスを定義する。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記冗長なBAPパケットは、前記受信されたBAPパケットと、当該受信されたBAPパケットの1つまたは複数の複製とを含む。これは、IABノードが、ターミネータIABノードに関連付けられた複製機構のイニシエータとして機能することを意味する。
【0037】
特定の実施形態では、方法が、前記受信されたBAPパケットと当該受信されたBAPパケットの複製に、同じシーケンス番号を追加することをさらに含む。この追加は、各複製BAPパケットをマークまたはタグ付けし、ターミネータIABノードが、BAPサブレイヤ複製機構が終了すべき複製BAPパケットを容易に識別することを可能にする。
【0038】
特定の実施形態において、前記受信されたBAPパケットがすでにシーケンス番号を含む場合、当該受信されたBAPパケットおよび当該受信されたBAPパケットの複製は、別のシーケンス番号が追加されることなく、前記シーケンス番号を保持する。これは、例えば、複製動作がBAPパケットにおける別の冗長性ベースの動作内にネストされるときに起こりうる。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記冗長なBAPパケットを取得することは、前記受信されたBAPパケットをネットワーク符号化することを含む。ネットワーク符号化は、BAPパケットを単独で用いて(すなわち、それをセグメント化するセグメント上で)、または、別のもしくはより多くの受信BAPパケット(したがって、それらは組み合わされる)を用いて行われうる。そして、IABノードは、やはりターミネータIABノードに関連付けられた、ネットワーク符号化機構のイニシエータとして働く。
【0040】
特定の実施形態において、同一の前記受信されたBAPパケットの前記ネットワーク符号化から生じる前記冗長なBAPパケットは、連続するシーケンス番号でタグ付けされる。これもまた、生成されたBAPパケットをマークまたはタグ付けし、ターミネータIABノードが、BAPサブレイヤのネットワーク符号化機構が終了すべきBAPパケットを容易に識別することを可能にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、シーケンス番号が冗長BAPパケットに追加され、各シーケンス番号は以下のフォーマットを有する:
kビット、および
新たに受信されたBAPパケットを処理(複製またはネットワーク符号化)して冗長BAPパケットを得るときにインクリメントされる追加カウントビット、
ここで、冗長BAPパケットを得るために受信されたBAPパケットに対する処理が複製処理であるとき、kビットが同一の値に設定され、処理がネットワーク符号化であるとき、kビットが各冗長BAPパケットを一意に識別するように設定される。
【0042】
したがって、提案された冗長性ベースのBAPサブレイヤ動作が同一のIABネットワークにおいて同時に実装されるならば、その提案された冗長性ベースのBAPサブレイヤ動作のために同一のSNフォーマットを使用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法が、前記受信されたBAPパケットと比較して、シーケンス番号が前記冗長なBAPパケットに追加されなければならないかを、前記BAPルーティング設定から決定することをさらに含む。したがって、IABノード設定を介して、SNをシステマティックに追加しないことが可能である。
【0044】
ターミネータの観点から、複製動作に関する実施形態は、前記冗長なBAPパケットを処理することは、前記オリジナルのBAPパケットの複製を決定することと、単一の複製を単一の前記オリジナルのBAPパケットとして維持するために複製を破棄することとを含む、ことを提供する。
【0045】
その場合、複製を決定することは、同一のシーケンス番号でタグ付けされた受信BAPパケットを識別することを含みうる。
【0046】
ネットワーク符号化動作に関連する実施形態は、前記冗長なBAPパケットを処理することは、前記オリジナルのBAPパケットを取得するために、当該冗長なBAPパケットをネットワーク復号することを含む、ことを提供する。
【0047】
その場合、前記冗長なBAPパケットを受信することは、前記ネットワーク復号によって定義された組合せの数より少ない別個のシーケンス番号でタグ付けされた受信BAPパケットを識別することを含みうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法が、受信された前記冗長なBAPパケットと比較して、前記オリジナルのBAPパケットからシーケンス番号が除去されなければならないかを、前記BAPルーティング設定から決定することをさらに含む。
【0049】
複製およびネットワーク符号化動作とは別に、実施形態は、BAPパケットを送信することが、受信された前記BAPパケットのフローを複数のサブフローに分割することと、BAPパケットの前記複数のサブフローを複数のRLCチャネル上でそれぞれ送信することとを含むことを提供しうる。したがって、この「分割」動作は、BHリンクの使用のバランスをとる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のRLCチャネルがそれぞれ複数の出口リンクに属する。変形例では、複数のRLCチャネルが1つの同一の出口リンクに属する。別の変形例では、複数のRLCチャネルが1つの同一の出口リンクに属するRLCチャネルと、別個の出口リンクに属する1つのRLCチャネルとを含む。
【0051】
特定の実施形態では、前記BAPルーティング識別子が、宛先IABノードのBAPアドレスとパス識別子とを含む。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、BAPルーティング設定が、IABネットワークのIABドナー・セントラルユニットから受信される。したがって、どのIABノードをいくつかのBAPサブレイヤ動作のイニシエータまたはターミネータとするかの決定が、IABドナーCUにおいて集中化される。
【0053】
いくつかの実施形態では、BAPルーティング設定が、3GPPのTS38.473 v16.2.0において定義されるように、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、UE CONTEXT SETUP REQUESTメッセージ、およびUE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージのうちの1つのメッセージタイプのBAP設定メッセージを介して受信される。
【0054】
設定自体に関して、イニシエータにおけるいくつかの実施形態は、前記BAPルーティング設定が1つのBAPルーティング識別子を別のIABノードの1つのBAPアドレスにそれぞれ関連付けるエントリから構成される第1の設定テーブルを含み、受信された前記BAPパケットのBAPルーティング識別子に対応する前記エントリが、
受信された前記BAPパケットから少なくとも2つのパケットサブフローを生成するために実行されるべきBAPサブレイヤ動作と、
前記パケットサブフローを送信する際に介する1つまたは複数の出口リンクをそれぞれ決定するためのルーティングアイテムのリストと
をさらに定義する、ことを提供する。
【0055】
したがって、IABドナーCUは、BAP設定テーブルを通して、どのIABノードがイニシエータとして動作するかを明確に宣言することができる。
【0056】
このテーブルに関連するいくつかの実施形態では、ルーティングアイテムのリストがBAPルーティング識別子のリストを含む。変形例では、ルーティングアイテムのリストが他のIABノードのBAPアドレスのリストを含む。いくつかの実施形態では、リスト内の各ルーティングアイテムがそれぞれのパケットサブフローに対応し、それぞれのパケットサブフローを送信する出口リンクを定義する。
【0057】
さらに、設定自体に関して、ターミネータにおけるいくつかの実施形態は、前記BAPルーティング設定は、1つのBAPルーティング識別子を別のIABノードの1つのBAPアドレスにそれぞれ関連付けるエントリから構成される第1の設定テーブルを含み、受信された前記BAPパケットの1つまたは複数のBAPルーティング識別子に対応する1つまたは複数の前記エントリが、受信された前記冗長なBAPパケットから前記オリジナルのBAPパケットを取得するために実行されるべきBAPサブレイヤ動作をさらに定義する、ことを与える。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の設定テーブルが3GPPのTS38.300、V16.2.0、6.11.3節で定義される、Backhaul Routing Configurationテーブルから導出される第1の拡張テーブルを含みうる。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記BAPルーティング設定は、1つの出口リンクを1つまたは複数のRLCチャネルにそれぞれが関連付けるエントリで構成された第2の設定テーブルを含む。
【0060】
決定された出口リンクに対応するエントリが複数のRLCチャネルに関連付けられうる。
【0061】
前記エントリは、前記複数のRLCチャネルが使用されるべき1つまたは複数のBAPルーティング識別子を定義するトリガフィールドをさらに含みうる。
【0062】
前記複数のRLCチャネルからのデフォルトのRLCチャネルが、トリガフィールドに指定されていないルーティング識別子のBAPパケットを送信するために使用されうる。
【0063】
第2の設定テーブルは、3GPPのTS38.340、V16.1.0、5.2.1.4節において定義されるように、BH RLCチャネルマッピング設定(BH RLC Channel Mapping Configuration)テーブル、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定(Uplink Traffic to BH RLC Channel Mapping Configuration)テーブル、またはダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定(Downlink Traffic to BH RLC Channel Mapping Configuration)テーブルから導出される第2の拡張テーブルを含みうる。
【0064】
変形例では、第2の設定テーブルが、3GPPのTS38.340、V16.1.0、5.2.1.4節において定義されるような、BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、およびダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブルのうちの(従来の)1つである。
【0065】
IABネットワークにおける無線状態の不安定性を考慮すると、BAPサブレイヤ動作が実行されるべきとき(たとえば、いくつかのIABノードにローカルな不十分なネットワーク状態)および実行されるべきでないとき(たとえば、全体的に良好なネットワーク状態)を、IABドナーCUが制御することは有利でありうる。
【0066】
この点に関して、イニシエータIABノードは、IABネットワークのIABドナー・セントラルユニット(IABドナーCU)から受信されたBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに基づいて、BAPサブレイヤ動作を実行するかを制御しうる。したがって、この方式では、IABドナーCUが必要に応じて適切なコマンドを送信する。
【0067】
いくつかの実施形態では、その後、イニシエータIABノードが、IABドナーCUから、その後にBAPルーティング識別子を有するBAPパケットが複数のRLCチャネルを介して送信されないように、BAPサブレイヤ動作を非アクティブ化するBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドを受信しうる。イニシエータIABノードは、IABドナーCUの指示を受信すると、例えば、受信されたBAPパケットと、その後に受信された同一のBAPルーティングIDを有するBAPパケットとに対して、動作を適用することと適用しないこととを切り替える。
【0068】
ターミネータの観点から、ターミネータIABノードは、IABネットワークのIABドナー・セントラルユニット(IABドナーCU)から受信されたBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに基づいて、BAPサブレイヤ動作を実行するかを制御しうる。特に、ターミネータIABノードは、その後、IABドナーCUから、その後に受信される冗長BAPパケットが単一のオリジナルのBAPパケットを得るために処理されないような方法で、BAPサブレイヤ動作を非アクティブ化するBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドを受信しうる。したがって、それらの冗長BAPパケットは、単にネクストホップIABノードに転送されうる。
【0069】
IABドナーCUの観点から、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドは、受信されるべきBAPパケットのためのBAPサブレイヤ動作をアクティブ化または非アクティブ化するためにIABノードに送信されうる。好ましくは、いくつかのコマンドがイニシエータおよびターミネータに送信され、IABドナーCUはIABネットワークの異なる部分において並行してBAPサブレイヤ動作を制御しうることに留意されたい。
【0070】
いくつかの実施形態では、IABドナーCUが、IABノードからの2つの出口パスを必要とするBAPサブレイヤ動作をIABノードにおいてアクティブ化する前に、IABノードにおいて少なくとも1つの冗長出口パスを確立しうる。
【0071】
いくつかの実施形態では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが、受信されたBAPパケットによって搬送される少なくとも1つのBAPルーティング識別子に関連付けられる。これは、ルーティングIDレベルでアクティブ化/非アクティブ化を制御することを可能とし、BAPサブレイヤ動作がいくつかのパケットストリームについて非アクティブ化することが可能な一方で、他のパケットストリームについてはBAPサブレイヤ動作が並行して適用されることを意味する。
【0072】
他の実施形態では、1つの条件がBAPサブレイヤ動作に関連付けられ、その条件は、BAPサブレイヤ動作をそれぞれアクティブ化または非アクティブ化するために満たされるべきものである。動作をアクティブ化するために条件が使用されうる一方で、動作を非アクティブ化するために他の条件が使用されてもよい。これは、IAB-ドナーCUにおいて処理のすべてを行わせるのではなく、IABノード自身にいくつかの処理(条件のチェック)を移動させるため有利である。
【0073】
特定の実施形態において、条件は、以下の条件のうちの1つ以上を含む:
-BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるときを定義するタイミング情報、
-BAPパケットを含んだいずれの無線フレームから、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義する無線フレーム識別子、
-いずれのBAPパケットから、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義するBAPパケット識別子、
-出口リンクのいずれのリンク品質から、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義するBHリンク品質閾値。
【0074】
当然ながら、BAPサブレイヤ動作の適用の開始および終了を決定するために、異なる時間および識別子を与えることができる。
【0075】
BAPサブレイヤ動作を適用可能とし、又は、適用可能としないために同一の閾値を使用することができ、(閾値を下回る)不良なリンク品質に対して動作がアクティブ化され、(閾値を超える)良好なリンク品質については動作が非アクティブ化される。
【0076】
さらに他の実施形態では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに条件が含められる。変形例では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドとは別個のメッセージにおいて、条件が提供される。
【0077】
いくつかの実施形態では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが3GPPのTS38.473 v16.2.0に定義されているような、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、UE CONTEXT SETUP REQUESTメッセージ、およびUE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージのうちの1つのメッセージタイプに従う。このように、標準化されたメッセージが使用される。
【0078】
他の実施形態では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが、コマンドの宛先によって送信された状態レポートに応答する。これは、当該IABノードによって提供される情報に基づいて、アクティブ化または非アクティブ化の決定をIABドナーCUが行うことを可能とする。
【0079】
特定の実施形態では、状態報告がBHリンク品質レベルを報告し、したがって、IABノードは自身の出口BHリンクの品質を報告しうる。変形例では、状態報告が、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化または非アクティブ化のための明示的な要求を含む。IABノードは、BAPサブレイヤ動作を実行する必要性があること、または現在の動作を終了する必要性があることを、ローカルに判断していてもよい。この方式は、処理負荷をIABノードに移動する点で有利である。
【0080】
他の特定の実施形態では、状態報告が、3GPPのTS38.401、8.2.4節において定義されるような、UL RRC MESSAGE TRANSFERメッセージを含む。したがって、標準化されたメッセージが使用される。
【0081】
さらに他の実施形態では、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが受信されたBAPパケットのうちの1つに含まれる。この方式は、IABドナーにおいて、IABネットワークに挿入されたBAPパケットに適用される。これは、さらなるメッセージを必要としない点で有利である。さらに、単一の(第1の)BAPパケットを介して、IABドナーCUは、このBAPパケットおよびそれに続く(非アクティブ化コマンドまでまたは非アクティブ化の条件が満たされるまでの)BAPパケットに対して、BAPサブレイヤ動作を適用するように、関係するすべてのIABノード(イニシエータおよびターミネータ)を設定しうる。
【0082】
いくつかの実施形態では、受信されたBAPパケットが、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化の場合に実行されるべきBAPサブレイヤ動作を定義するBAPルーティング設定をさらに含む。したがって、BAPパケットは、自給自足で、本発明によるBAPサブレイヤ動作のために関係するIABノードを設定することができる。特に、受信されたBAPパケットにおける同一のBAPルーティング設定がBAPサブレイヤ動作を定義してもよく、BAPサブレイヤ動作のために、1つのIABノードをイニシエータとして、別のIABノードをターミネータとして特定する。好ましくは、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドおよびBAPルーティング設定が受信されたBAPパケットのBAPヘッダに含められる。
【0083】
本発明の別の態様は、無線デバイス内のマイクロプロセッサまたはコンピュータシステムによって実行されるときに、その無線デバイスに上で定義されたいずれかの方法を実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0084】
本発明による方法の少なくとも一部は、コンピュータ実装されうる。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはここではすべて一般に「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれうるソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態の形態をとりうる。さらに、本発明は、媒体に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する、任意の有形の表現媒体において具現化されたコンピュータプログラムプロダクトの形成をとることができる。
【0085】
本発明はソフトウェアで実施することができるため、本発明は、任意の適切なキャリア媒体上でのプログラム可能な装置への提供のためのコンピュータ可読コードとして実施することができる。有形キャリア媒体は、ハードディスクドライブ、磁気テープデバイス、またはソリッドステートメモリデバイスなどの記憶媒体を含みうる。過渡キャリア媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号、または電磁信号、たとえばマイクロ波またはRE信号などの信号を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する:
【
図1】
図1は、1つ以上の例示的な実施形態による、本発明が実装されうる通信システムを示す図である。
【
図2】
図2は、IAB動作に関与するいくつかのプロトコルレイヤのスタックを概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、BAPプロトコルデータユニット(PDU)またはパケットのフォーマットを示す図である。
【
図3a】
図3aは、いくつかの実施形態における
図3のフィールド307のフォーマットを示す図である。
【
図4】
図4は、IABネットワークにおけるルーティング管理を示す図である。
【
図5】
図5は、3GPPのTS38.300によるIABノードにおけるルーティングテーブルを示す図である。
【
図6】
図6は、1つ以上の例示的な実施形態により本発明が実装されうる、ネットワーク・パス・ダイバーシティを提示するIABネットワークトポロジの例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による、第1のタイプの拡張ルーティングテーブルを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による、第2のタイプの拡張ルーティングテーブルを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、IABドナーCUによる、(IAB-ドナーDUを含む)IABノードにおけるBAPルーティングを設定するための例示的な方法を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図9a】
図9aは、本発明の実施形態によるBAPサブレイヤ動作をアクティブ化または非アクティブ化するための例示的な方法を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態による、BAPパケットのシーケンス番号付けを管理するための例示的な方法を、フローチャートを用いて示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態による、無線通信デバイスの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
Integrated Access and Backhaul(IAB)ネットワークにおいて、IABノードは、複数のRLCチャネルを介してBAPパケットを送信する目的でBAPサブレイヤ処理を実行するためのイニシエータとして設定される。BAPサブレイヤ処理は、受信されたBAPパケットを複製しうる。同一のシーケンス番号がすべての複製に付加され、複製を終端する別のIABノードがそれらを認識できるようにする。変形例では、BAPサブレイヤ処理が、1つの受信BAPパケットをネットワーク符号化しうる。結果として生じるBAPパケットに連続するシーケンス番号が割り当てられ、ネットワーク符号化を終端する別のIABノードがそれらを認識することを可能にする。したがって、BAPレイヤ処理のターミネータは、1つまたはネットワークを除くすべての複製を破棄することによって又は連続するシーケンス番号を有する受信パケットをデコードすることによって、複製を終端する。複製処理は、別の複製内またはネットワーク符号化内でネストされうる。このアプローチは、無線ネットワークの堅牢性を有利に高め、複数のIABノードにわたって処理負荷を分散し、帯域幅の浪費を低減する。
【0088】
図1は、1つまたは複数の例示的な実施形態に従って本発明が実装されうる通信システム100を示す。
【0089】
図示のように、例示的なシステム100は、無線通信システム、特に、第5世代(5G)New Radio(NR)システムなどのモバイル無線通信システムである。
【0090】
システム100は、複数のUE(ユーザ装置)132、133、131および134と、リモートコアネットワーク110と、主基地局120と、2つのIntegrated Access and Backhaul(IAB)局121および122とを含む。
【0091】
IABドナー120とも呼ばれる主基地局120は、有線リンク101、好ましくは光ファイバまたは任意の他の有線手段を介して、コアネットワーク110に接続される。一実施形態において、IABドナー120は、3GPPのTS38.300 v16.2.0仕様書に定義されているような、IABの特徴をサポートする追加の機能を有する5G NR gNBである。
【0092】
IABドナー120のネットワークカバレッジを拡張し、リモートUE132、133および131に到達するために、IABノード121および122とも呼ばれるIAB局121および122が、オペレータによって設置されている。IABドナー120とUE132および133との間の中継ノードとして機能することによって、IABノード121および122は、電波の伝播、したがって、UEとIABドナー120との間の直接接続およびさらなる通信に対する障害である、建物108の存在から生じる到達可能性の問題を克服することを可能にする。これは、特に、IABドナー120とUE132および133との間の通信がシャドウイング現象に非常に敏感であるミリ波周波数で動作されるときに当てはまる。
【0093】
IABドナー120は、自装置に直接接続されているUE134にもサービスを提供する。
【0094】
このように、IABドナー120及びIAB局121および122は、UE132、133、131および134を収容する、バックホールネットワークを形成している。
【0095】
Integrated Access and Backhaul(IAB)の仕様は、以下を含むいくつかの3GPP規格書に渡っている:
-TS38.300 RANアーキテクチャ(V16.2.0)、
-TS38.321 MACプロトコル(V16.1.0)、
-TS38.331 無線リソース制御(RRC)プロトコル(V16.1.0)、
-TS38.340 Backhaul Adaptation Protocolレイヤ(V16.1.0)、
-TS38.401 RANアーキテクチャ(V16.2.0)、
-TS38.473 F1アプリケーションプロトコル(V16.2.0)。
【0096】
IABノード121および122がそれぞれUE131、132および133に接続されるため、それらは、それぞれ接続されたUEのためのアクセスIABノードと見なされる。
【0097】
IABドナー120は、NRベースの無線バックホールを提供する論理ノードであり、セントラルユニット(CUまたはgNB-CU機能)と、接続されたドナー・ディストリビューテッドユニット(DUまたはgNB-DU機能)とからなる。IABドナーCUおよびIABドナーDUは、他方から遠くに配置されてもよい。gNB-DU機能は、3GPPのTS38.401において定義されている。それは、UEおよびネクストホップIABノードへのNRアクセスインタフェースを終端することと、IABドナーのgNB-CU機能へのF1プロトコルを終端することとを目的とする。
【0098】
複数の無線セクタを提供しうるIABノードは、1つまたは複数のホップを介して、IABドナー120に無線バックホール接続される。それらは、IABドナーをルートに有する有向非巡回グラフ(DAG)トポロジを形成する。
【0099】
IABノードは、IAB-DU及びIAB-MT(IAB-Mobile Termination)からなる。IABノード上のgNB-DU機能は、IAB-DUとも呼ばれ、ネクストホップIABへの(UEに向かう)下流の接続を可能にする。IAB-MT機能は、例えば、物理レイヤ、レイヤ2、RRC、および非アクセス層(NAS)機能を含み、上流のIABノードのgNB-DUに接続する(アップストリームのIABノードはIAB-ドナー120を含み、その場合、例えば、初期化、登録、および設定のために、IABドナーのgNB-CUに、したがって、コアネットワーク110に接続する)。
【0100】
このDAGトポロジでは、IAB-DUのインタフェースにおける隣接ノードが子ノードと呼ばれ、IAB-MTのインタフェースにおける隣接ノードは親ノードと呼ばれる。さらに、子ノードに向かう方向を下流と呼び、親ノードに向かう方向を上流と呼ぶ。
【0101】
IABドナー120は、IABトポロジ全体のための、リソース、トポロジ、およびルートの集中管理を実行する。
【0102】
図2aおよび
図2bは、IAB動作に関与するいくつかのプロトコルレイヤのスタックを概略的に示す。
【0103】
F1インタフェースは、エンドポイント間のシグナリング情報の交換、及び、それぞれのエンドポイントへのデータ送信をサポートする。論理的な観点から、F1インタフェースは、エンドポイント間のポイントツーポイントインタフェースである。
【0104】
5G NRでは、F1-CがIABドナーCUとIABノードDUとの間の制御プレーン(CP)における機能的インタフェースである。F1-Uは、それらと同じユニットのユーザプレーン(UP)の機能インタフェースである。F1-CおよびF1-Uは、
図2aの参照番号212によって示されている。この例では、F1-UおよびF1-Cが、(IABドナーからIABノード1へ、次いでIABノード1からIABノード2への)2つのバックホールホップを介して搬送される。
【0105】
ユーザプレーンにおいて、IABドナーCUおよびIABノードDUにおけるボックス210が、GTP-Uレイヤを参照し、ボックス211は、UDPレイヤを参照している。GTP-Uは、GPRS Tunnelling Protocolユーザプレーンを意味する。GTP-Uトンネルのエンドポイント(詳細については3GPPのTS29.281を参照されたい)の所与のペア、ここではIABドナーCUおよびIABノードDUにおけるボックス210の間で、カプセル化されたPDUおよびシグナリングメッセージを搬送するために、GTP-Uトンネルが使用される。周知のユーザデータグラムプロトコル(UDP)は、ベストエフォートのデータグラムサービスを提供し、IPプロトコルでの使用に適合するトランスポートレイヤのプロトコルである。
【0106】
制御プレーンでは、ボックス210がF1AP(F1アプリケーションプロトコル)レイヤを示し、ボックス211がSCTP(Stream Control Transmission Protocol)レイヤを示している。(3GPPのTS38.473およびTS38.450において定義されるように)F1アプリケーションプロトコルは、IABドナーCUとIABノードDUとの間のシグナリングサービス、またはUE関連サービスを提供する。これらのサービスは、例えば、初期化、設定などである。周知のSCTPレイヤは、輻輳制御を有するメッセージの順次転送における信頼性を提供する。
【0107】
F1-UおよびF1-Cは、3GPPのTS38.450において定義されるように、IABドナーCUとIABノードDUとの間のIPトランスポートレイヤに依存する。
【0108】
また、IAB-ドナーDUとIAB-ドナーCUとの間のトランスポートは、例えば、IAB-ドナーCUがIABドナーDUから離れている場合に、例えば有線または光ファイバのような様々な媒体上で、または、同じ物理マシン上でIAB-ドナーCUおよびIAB-ドナーDUの仮想インスタンス化においてローカルに、IPトランスポートレイヤを使用する。IABドナーCUとIABドナー-DUとの間のIAB固有のトランスポートは、3GPPのTS38.401に規定されている。
【0109】
図のL1およびL2は、それぞれ、使用中の媒体に適したトランスポートレイヤおよび物理レイヤを表している。
【0110】
IPレイヤは、運用、管理、および保守トラフィックなどの非F1トラフィックにも使用することができる。
【0111】
無線バックホールでは、IPレイヤが、それ自体、Backhaul Adaptation Protocol(BAP)サブレイヤを介して搬送され、それは複数のホップにわたるルーティングを可能にする。BAPサブレイヤは、TS38.340において特定されている。
【0112】
IAB-DUのIPトラフィックは、BAPサブレイヤを介して無線バックホール上でルーティングされる。ダウンストリーム方向において、上位レイヤパケットがIABドナーDUにおいてBAPサブレイヤによってカプセル化され、これによりBAPパケットまたはデータユニットを形成する。BAPパケットは、それが存在する場合には中間IABノードのBAPレイヤ(およびIAB-DUおよびIAB-MTにおける対応するBAPエンティティ)によってルーティングされる。BAPパケットは、最終的に、宛先IABノードにおけるBAPサブレイヤによってデカプセル化される。
【0113】
アップストリーム方向では、上位レイヤパケットがアクセスIABノードにおいてBAPサブレイヤによってカプセル化され、これによりBAPパケットまたはデータユニットを形成する。BAPパケットは、それが存在する場合には中間IABノードのBAPレイヤ(およびIAB-DUおよびIAB-MTにおける対応するBAPエンティティ)によってルーティングされる。BAPパケットは、最終的に、IABドナーDUにおいてBAPサブレイヤによってデカプセル化される。
【0114】
BAPサブレイヤでは、パケットがBAPヘッダ内で搬送されるBAPルーティングIDに基づいてルーティングされる。
図3は、BAPデータプロトコルデータユニット(PDU)またはパケットのフォーマットを示している。これは、3GPPのTS38.340のリリース16.1.0の標準化されたバージョンの6.2節に規定されている。
【0115】
ヘッダ30は、フィールド301~306を含む。フィールド301は、D/Cフィールドと呼ばれ、対応するBAPパケットがBAPデータパケットであるかBAP制御パケットであるかを示すブール値である。フィールド302~304は1ビットの予約フィールドであり、好ましくは0に設定される(受信機によって無視される)。
【0116】
フィールド305および306は、BAPパケットのためのBAPルーティングIDを一緒に示す。BAPアドレスフィールド305は、DESTINATIONフィールドとも呼ばれ、左端の10ビットに位置し、BAPパス識別フィールド306は、PATHフィールドとも呼ばれ、右端の10ビットに位置する。
【0117】
フィールド305は、BAPパケットのための宛先IABノードまたはIABドナーDUのBAPアドレスを(すなわち、BAPサブレイヤ上で)搬送する。ルーティングのために、IABノードおよびIABドナーDUのそれぞれは、指定されたBAPアドレスで(IABドナーCUによって)設定される。フィールド306は、BAPパケットがIABトポロジにおいてこの宛先に辿るべきルーティングパスを識別するパスIDを搬送する。
【0118】
BAPヘッダは、上位レイヤからBAPレイヤに到着したときにパケットに追加され、宛先ノードに到達したときにBAPレイヤによって取り除かれる。パケットのBAPルーティングIDの選択は、IABドナーCUによって設定される。
【0119】
たとえば、BAPパケットが、IABノードによって、すなわち、ダウンストリーム送信のためにIABドナーによって、またはアップストリーム送信のためにアクセスIABノードによって、生成されるとき、BAPルーティングIDを伴うBAPヘッダが、3GPPのTS38.340において定義された設定テーブルに従って、このIABノードによって構築される。このテーブルは、IABドナーにおけるダウンリンクトラフィック対ルーティングIDマッピング設定(Downlink Traffic to Routing ID Mapping Configuration)テーブル、またはアクセスIABノードにおけるアップリンクトラフィック対ルーティングIDマッピング設定(Uplink Traffic to Routing ID Mapping Configuration)テーブルと呼ばれる。中間IABノードでは、転送するBAPパケット内でBAPヘッダフィールドが既に特定されている。
【0120】
ルーティングを実行するためのこれらのテーブルの使用については、
図5を参照して以下に説明する。
【0121】
5G NR無線媒体を介したメッセージのトランスポートを処理するために、3つ以上のサブレイヤ(RLC、MAC、およびPHY)が、BAPサブレイヤの下の各IABノードにおいて実装されている。RLC(無線リンク制御)サブレイヤは、パケットのセグメント化または再構成を担当する。それはまた、欠落パケットの再送信を要求する責任を負う。RLCレイヤは、TS38.322にさらに記載されている。MAC(媒体アクセスチャネル)プロトコルサブレイヤは、ユーザデータのための利用可能な送信フォーマットの選択と、トランスポートチャネルへの論理チャネルのマッピングとを担当する。MACは、復号自動再送要求方式の一部も処理する。MACレイヤはTS38.321に詳述されている。発信側では、MACがRLCから発行されたデータパケットをカプセル化する。それは、MAC機能に必要な情報を搬送するヘッダを追加する。受信側では、MACがPHYから発行されたデータパケットをデカプセル化し、そのヘッダを削除し、残りのデータをRLCに渡す。PHYサブレイヤは、発信側において、情報のストリームを物理変調信号に変換し、キャリア周波数を変調することによって、伝送媒体(エア)への電気的インタフェースを提供し、受信側では、物理変調信号を情報のストリームに変換して戻す。PHYレイヤは、TS38.201、TS38.211、TS38.212、TS38.213、TS38.214に記載されている。
【0122】
BAPサブレイヤの上のメッセージをユーザプレーンまたは制御プレーンに向けて渡すために、2つの他のサブレイヤ、すなわち、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤと、ユーザプレーン通信のためのSDAP(Service Data Adaptation Protocol)サブレイヤ又は制御プレーン通信のためのRRC(無線リソース制御)サブレイヤのいずれかが使用される。
【0123】
PDCPサブレイヤは、IPヘッダ圧縮/解凍、暗号化/復号を処理し、必要に応じてデータパケットの完全性を処理する。それは、必須的に、発信側でパケットを番号付けし、受信側でパケットを再順序付けする。PDCPサブレイヤは、3GPPのTS38.323に記載されている。
【0124】
ユーザプレーンのためのSDAPサブレイヤ220は、サービス品質を処理する。これは、TS38.324に記載されている。UE側では、SDAPサブレイヤが、ペイロードデータをユーザのアプリケーション(図に示されていない音声、ビデオなど)と交換する。IABドナー側では、SDAPサブレイヤが、コアネットワーク110(インターネットトラフィック、クラウドなど)とデータを交換する。
【0125】
制御プレーンのためのRRCサブレイヤ220は、ユーザプレーンのプロトコルスタックのプロトコルエンティティの設定を処理する。これは、TS38.331に記載されている。それは、とりわけ、セルと通信するためにUEに必要な情報をブロードキャストすること、ページングメッセージを送信すること、ベアラのセットアップを含むコネクションを管理すること、モビリティ機能、測定設定および報告、デバイス能力の処理を担う。
【0126】
レイヤPDCP、RLC、MACおよびPHYを使用するノード間の(CPおよびUPの両方のための)インタフェースは、NR-Uuと呼ばれる。これは、主に、UEとのインタフェースに関する。
【0127】
レイヤBAP、RLC、MACおよびPHYを使用するノード間の(CPおよびUPの両方のための)インタフェースは、バックホールRLCチャネル(BH RLCチャネル)と呼ばれる。これは主にIABノード間のインタフェースに関する。
【0128】
NR-Uuは、UEと無線アクセスネットワーク、すなわち、そのUEの(CPおよびUPの両方のための)アクセスIABノードとの間のインタフェースである。
【0129】
図2bは、3GPPのTS38.300、v16.2.0から来ており、IAB-MTのRRCおよびNASコネクションのサポートのためのプロトコルスタックを示している。非アクセス層(NAS)プロトコルは、コアネットワークとユーザ装置、ここではIABノード、との間のメッセージを処理する。それは、通信セッションの確立を管理し、移動するようなユーザ装置との通信を維持する。5G NASは、3GPPのTS24.501に記載されている。5Gコアのアクセスおよびモビリティ管理ファンクション(AMF)は、IABノードに接続されたUEからすべての接続およびセッション関連情報、及び、IABノードに適切な同様の情報を受信するコアネットワーク内のファンクションである。AMFは、接続およびモビリティ管理タスクの処理のみを担当する。
【0130】
IAB-MTは、IABドナーCUとシグナリング無線ベアラSRB(RRC及びNASメッセージを搬送するベアラ)を確立する。これらのSRBは、NR-Uuインタフェースを介して、IAB-MTとその親ノードとの間でトランスポートされる。
【0131】
図4は、IABネットワークにおけるルーティング管理を示す。中継装置として動作するIABノードにおけるルーティング管理は、BAPルーティング設定に基づき、BAPパケットが受信される入口リンクから、受信されたBAPパケットを転送するための1つの出口リンクの1つのBH RLCチャネルを決定しようとする。
【0132】
BAPルーティング設定は、IABネットワークの各IABノードにおいて手動で設定されうる。好ましくは、BAPルーティング設定が構築され、IABドナーCUによって時間経過によって更新され、それらの初期設定およびIABネットワークの寿命の間に、F1APシグナリングを介してIABノードに同様に送信されうる。
【0133】
IABノードのBAPルーティング設定は、さまざまなルーティングテーブルを含み、そのうちの2つを
図5に示す。
【0134】
図5aは、BAPサブレイヤのための3GPPのTS38.300、V16.2.0、6.11.3節において定義されているバックホールルーティング設定テーブルのエントリ500を概略的に示している。これは、BAPパケットまたはPDU(プロトコルデータユニット)を転送または送信するための出口リンクを選択するために、IABノードによって使用される。
【0135】
フィールド501は、BAPルーティングID(上述のPATHフィールドとDESTINATIONフィールドとの連結)を定義し、フィールド502は、ネクストホップのBAPアドレス、すなわちルーティングID501に対応するパスに沿った次のIABノードのBAPアドレスを指定する。したがって、ネクストホップのBAPアドレス502は、BAPパケットを転送または送信するための出口リンクを特定する。
【0136】
情報要素502において、同じ宛先BAPアドレスを有するが、異なるパスIDおよびネクストホップのBAPアドレスを有する、バックホールルーティング設定テーブル内のいくつかのエントリが存在しうる。第1のエントリは、宛先に到達するためのデフォルトパスに対応するデフォルトのネクストホップBAPアドレスを提供してもよく、同じ宛先BAPアドレスを有する他のエントリが、例えば無線リンク障害(RLF)のために、デフォルトリンクが利用可能でないときに選択されるべきバックアップ冗長パスに関連する。
【0137】
図5bは、BAPサブレイヤのための、3GPPのTS38.300の6.11.3節および/または3GPPのTS38.340、V16.1.0の5.2.1.4.1節において定義されるBH RLCチャネルマッピング設定テーブルのエントリ510を概略的に示す。これは、バックホールルーティング設定テーブルを使用して以前に選択された出口リンクを介したBAPパケットまたはPDUの転送先のバックホール(BH)RLCチャネルを識別するために、中継装置として機能するIABノードによって使用される。
【0138】
情報要素(IE)511は、以前に定義されると共に通常はバックホールルーティング設定テーブルから取得される、ネクストホップBAPアドレスを格納し、IE512は、前ホップのBAPアドレス、すなわち、BAPパケットが到来する元のIABノードのBAPアドレスを格納し、IE513は、入口RLCチャネルID、すなわち、BAPパケットが受信されるRLCチャネルの識別子を指定し、IE514は、IABノードがBAPパケットを転送するために使用するRLCチャネルを提供する出口RLCチャネルIDを格納する。
【0139】
ダウンストリーム方向(親から子方向、例えば、
図4のIABノード402からIABノード403)におけるBH RLCチャネルに対して、BH RLCチャネルIDは、BH RLCチャネルのF1AP設定に含まれることに留意されたい。アップストリーム方向(子から親方向、例えばIABノード402からIABノード401)のBH RLCチャネルに対して、BH RLCチャネルIDは、対応する論理チャネルのRRC設定に含まれる。
【0140】
図5cおよび
図5dは、中間IAB中継エンティティとして機能しないIABノードのためのBH RLCチャネルマッピング設定テーブルと同等のものを示す。これらは、3GPPのTS38.340の5.2.1.4.2節および5.2.1.4.3節において定義されている。
【0141】
図5cのテーブルは、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル520と呼ばれる。これは、上位レイヤから受信されたBAP SDU(サービスデータユニット)からBAPパケットまたはPDUを構築したIABノード(IABドナーではない)によって、
図5aに記載されるバックホールルーティング設定テーブルを使用して以前に選択された出口リンクを介してアップストリーム方向にこれらのパケットを送信するためのバックホール(BH)RLCチャネルを特定するために使用される。
【0142】
IE521は、上位レイヤから受信されたSDUのためのTraffic Type Identifierを指定し、IE522は、前に定義されると共に通常はバックホールルーティング設定テーブルから取得されるネクストホップBAPアドレスを示し、IE523は、IABノードがBAPパケットを送信するために使用するRLCチャネルを提供する出口BH RLCチャネルを指定する。
【0143】
図5dのテーブルは、ダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル530と呼ばれる。これは、上位レイヤから受信されたBAP SDU(サービスデータユニット)からBAPパケットまたはPDUを構築したIABノードによって、バックホールルーティング設定テーブルを使用して以前に選択された出口リンクを介してダウンストリーム方向にこれらのBAPパケットを送信するために、バックホール(BH)RLCチャネルを識別するために使用される。
【0144】
IE531は、IPv6フローを分類するために使用されるIPv6フローラベルであり、IE532は、パケットのIPv6ヘッダに通常示されるDSCP(Differentiated Services Code Point)を指定し、IE533は、宛先IPアドレスを示し、IE534は、上記で定義されるようなネクストホップBAPアドレスを示し、IE535は、IABノードがBAPパケットを送信するために使用するRLCチャネルを提供する、出口BH RLCチャネルIDを定義する。
【0145】
図5b、
図5c、および
図5dのテーブルは、いくつかの行(エントリ)から構成され、各行/エントリはそれぞれの図に示されるIEを含みうる。
【0146】
ネクストホップBAPアドレスおよび出口リンクは、現在のIABノードと、それらがネクストホップBAPアドレスを有するネクストIABノードとの間のIABネットワークの同じ部分(リンク)を指定するため、同義である。したがって、それらは、そのようなIABネットワークのリンクを指定するために無差別に使用されうる。
【0147】
図4に戻り、IABノード402のBAPサブレイヤによるBAPパケットのルーティングは、BAPパケットのBAPルーティングID305+306を使用する。BAPアドレス(DESTINATIONパス305)は、以下の目的のために使用される:
1)BAPパケットがBAPサブレイヤ上の宛先ノード、すなわちIABノードまたはIABドナーDUに到達したかどうかを判定すること。そのパケットのBAPヘッダ内のBAPアドレス305が、IABノード上のRRCを介してまたはIABドナーDU上のF1APを介して設定されたBAPアドレスと一致する場合、BAPパケットはその宛先ノードに到達している。
2)宛先に到達していないBAPパケットのネクストホップIABノードを決定すること。これは、BAPサブレイヤを介して前ホップのIABノードから到着したまたは上位レイヤから受信された、BAPパケットに適用される。
【0148】
前ホップのIABノードからまたは上位レイヤから到着したパケットに対して、ネクストホップIBAノードの判定は、バックホールルーティング設定テーブル500に基づく。
【0149】
IABノード402は、リンク420またはリンク430のいずれかである物理バックホールリンクへのネクストホップBAPアドレス502を解決する。そのために、IABノード402は、BAPパケットのBAPルーティングID305+306と一致するフィールド501を有するテーブル内のエントリを探索する。対応するフィールド502は、ネクストホップBAPアドレスを提供する。
【0150】
バックホールルーティング設定テーブルは、異なるBAPルーティングIDを有するが同一の宛先BAPアドレスを有する(BAPパスIDが異なることを意味する)複数のエントリ500を有しうる。これらのエントリは、同じまたは異なる出口BHリンクに対応しうる。BAPパケットのBAPルーティングIDに一致するBHリンクが無線リンク障害(RLF)を経験する場合、IABノードは、同じ宛先BAPアドレスを有するルーティングエントリに基づいて、すなわちBAPパスIDを無視することによって、別の出口BHリンク(ネクストホップBAPアドレス)を選択することができる。このようにして、BAPパケットは、示されたパスが利用可能でない場合に、代替パスを介して配信されうる。
【0151】
たとえば、BHリンク420が無線リンク障害を経験する場合、IABノード402は同じ宛先BAPアドレスを有するが、代わりにBHリンク430を含む別のBAPルーティングIDを選択しうる。
【0152】
次に、IABノード402は、BAPパケットが送信または転送されるべき、選択された出口BHリンクの出口BH RLCチャネルを導出する。そのために、IABノード402は、BH RLC Channel Mapping Configurationテーブル(BH RLCチャネルマッピング設定テーブル)、またはアップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブルもしくはダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブルを、その役割(アップリンクまたはダウンリンク方向に送信する中間中継IABノード、IABノードまたはIABドナー)に応じて使用する。
【0153】
例えば、中間中継IABノードの場合、IE511、IE512、IE513は入力であり、IE514は、BH RLCチャネルのルックアッププロセスの出力である:IABノード402は、前ホップのBAPアドレス512によって特定される入口BHリンクに属する、入口BH RLCチャネルID513から受信した着信BAPパケットを、事前に選択されると共に今度は次ホップのBAPアドレス511によって特定される出口BHリンクに属する、出口BH RLCチャネルID514にルーティングする。
【0154】
アップストリーム方向においてBAPパケットをIABドナーに送信することを望むIABノードに対して、IE521、IE522は入力であり、IE523は、BH RLCチャネルのルックアッププロセスの出力である:IABノード402は、テーブルエントリ520に対応する出口BH RLCチャネル523を選択し、ここで、テーブルエントリ520は、トラフィックタイプ識別子521がオリジナルのBAP SDUのトラフィックタイプに一致し、次ホップBAPアドレス522がバックホールルーティング設定テーブルを用いて前に選択された次ホップのBAPアドレスに一致する。これは、制御プレーン(非F1-Uパケット)におけるBAP SDU、およびユーザプレーン(F1-Uパケット)におけるBAP SDUに適用される。トラフィックタイプ識別子521は、BAP SDUの宛先IPアドレスおよびTEID(Tunnel End Point Identifier)に対応しなければならない。
【0155】
宛先IABノードまたはUEへダウンストリーム方向においてBAPパケットを送信することを望むIABノード(場合によってはIABドナー)に対して、IE531、IE532、IE533、IE534は入力であり、IE535は、BH RLCチャネルのルックアッププロセスの出力である:IABノードが宛先IPアドレス533、(IPv6パケットをカプセル化するBAP SDUの場合のみ)IPv6フローラベル531、およびオリジナルのBAP SDUの差別化サービスコードポイント(DSCP)532に一致するテーブルエントリ530に対応する、出口BH RLCチャネル535を選択し、ここで、次ホップのBAPアドレス534は、バックホールルーティング設定テーブルを用いて前に選択された次ホップのBAPアドレスに一致する。これは、制御プレーン(非F1-Uパケット)におけるBAP SDU、およびユーザプレーン(F1-Uパケット)におけるBAP SDUに適用される。
【0156】
いずれの場合も、一致するエントリがない場合、デフォルトのBH RLC IDチャネルが選択される。
【0157】
そのようなルーティングプロセスは、IABネットワークの様々なIABノードにおいて実装されうる。
【0158】
図6は、ネットワーク・パス・ダイバーシティを提示するIABネットワークトポロジの例を示す。一実施形態において、BH無線が無線チャネル妨害に非常に敏感であるミリ波周波数帯域(すなわち、30GHzより高い周波数帯)において動作される。
【0159】
IAB BHネットワーク600は、IABドナー120と同様の、1つのIABドナー601と、IABノード121および122と同様の、複数のIABノード601、602、603、604、605、606、607、608および609とからなる。これらのIABノードは、BHリンク612、614、623、626、645、646、657、668、678、および689を介して接続される。
【0160】
IABノード601、603、605、および609は、それぞれ、UE611、612、613、614、615、および616をサービングしているため、それらはそれぞれのUEのためのアクセスIABノードとしても機能する。
【0161】
建物620は、無線信号の伝播に対する障害物を表しており、したがって、IABノード609とIABノード603との間のBHリンクの確立を妨げる。
【0162】
冗長パスは、IABドナー601からノード609に、例えば、IABノード602、606、608を介する第1のデフォルトBAPパス、IABノード604、606、並びに608が関与する第2のBAPパス、及び、IABノード604、605、607、並びに608が関与する第3のBAPパスが存在する。
【0163】
IABノード602と606との間の無線リンク626は、何らかの予期せぬ干渉またはシャドウイング現象に起因して無線リンク障害を受けることがある。したがって、デフォルトのBAPパスが利用不可能となりうる。そのとき、第2および第3のパスのみが使用される。
【0164】
パスの冗長性は、データ伝送の堅牢性を改善する。他の堅牢性機構が知られている。
【0165】
たとえば、IABノード604と606との間の無線リンク646が、たとえばシャドウイングの干渉に起因する弱点を経験する場合、第2および第3のパスを使用する送信に伴うパケットの複製が、信頼性を改善するための1つの方法である。
【0166】
PDCPの複製、すなわち(
図2に示す)PDCPサブレイヤにおけるパケットの複製は、1つの既存のメカニズムである。PDCPの複製は、IABドナー601とUE614、615、および616との間で実行され、エンドツーエンドであることを意味する。
【0167】
エンドツーエンドアプローチの第1の欠点は、すべてのデータフローのためのPDCPの複製に関連する処理がIABドナーおよびUEのみに集中されることである。これは、それらのための処理の高い負荷を誘発する。
【0168】
さらに、特定のIABリンクが低品質を経験するためにPDCPの複製がアクティブ化される場合、IABネットワーク全体がパケットの複製を伝達しなければならない。これは、帯域幅の浪費を誘発する。
【0169】
この文脈において、これが、本発明がBHリンクのIAB内管理、すなわち、リンクレベルでの制御を提供する。
【0170】
例えば、これは、IABネットワークにおいて低品質を経験する部分(リンクまたはリンク)上でのみパケットの複製を実行することを可能にする。その結果、IABネットワークの他の部分は、パケットの複製を搬送せず、したがって、帯域幅の浪費が低減される。さらに、パケットの複製処理は、もはやIABドナーおよびUEに集中しない。むしろ、それは、複製が実行される上記の低品質部分を終端する特定のIABノードに移動される。
【0171】
より一般的には、ネットワークダイバーシティを使用する堅牢性機構を特にIABネットワークの一部分に提供することができ、もはやIABネットワーク全体には提供されない。
【0172】
引き続き
図6を見ると、例えば、IABノード604は、受信されたBAPパケットを複製し、両方の出口リンク645および646を介して複製を転送するために、BAPサブレイヤにおいてパケット複製を実行するように、本発明の実施形態に従って設定されうる。複製は事前に実行されず、すなわち、BAPパケットの単一のコピーがリンク614を介して送信されており、したがって、リンク614におけるネットワーク帯域幅は浪費されない。
【0173】
複製はIABノード608に到達するための2つの異なるパス(パス604~606~608およびパス604~605~607~608)を通過することができる。IABノード608は、本発明の実施形態に従って、複製処理を終端するように設定されうる。その場合、すべての複製がIABノード608によって受信され、オリジナルのBAPパケットの単一のコピーのみが、出口リンク689を介してIABノード609(または宛先IABノード)にアクセスするために転送される。
【0174】
パケット複製の代わりに、オリジナルのBAPパケットから複数のBAPパケットを提供するネットワーク符号化がある。複数のBAPパケットは、IABノード604によって出口リンク645および646を介して送信することができ、一方、IABノード608は、オリジナルのBAPパケットに戻すために、これらすべてのパケットを受信し、それらを(ネットワーク復号を通じて)再関連付けする。その後、オリジナルのBAPパケットの単一のコピーが、IABノード609(または宛先IABノード)にアクセスするために、出口リンク689を介して転送される。
【0175】
ネットワーク符号化は周知である。したがって、ネットワーク符号化器およびネットワーク復号器の詳細な説明については、本明細書では与えない。
【0176】
上記の例は、IABリンクレベルでの堅牢性の管理が、1つまたは複数のIABノードに対して、同一のBAPルーティング識別子を有するBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットを受信し、BAPルーティング設定を使用して、同一のBAPルーティング識別子から、受信されたBAPパケットのための、1つまたは複数の出口リンクに属する複数の無線リンク制御(RLC)チャネルを決定するBAPサブレイヤ動作を実行し、最終的に複数のRLCチャネルを介してBAPパケットを送信することを必要とすることを示している。これらのIABノードは、IABネットワークの一部のためのダイバーシティベースの機構を開始する。それらを、以下、イニシエータと呼ぶ。
【0177】
(ネットワークの一部の他端にある)1つまたは複数の他のIABノードは、1つまたは複数の入口リンクを介して、オリジナルのBAPパケットに対する冗長であるBackhaul Adaptation Protocol(BAP)パケットを受信し、BAPルーティング設定を使用して、BAPパケットの冗長性がそのIABノードにおいて終端するかを判定し、肯定的な判定であった場合、冗長BAPパケットを処理してオリジナルのBAPパケットを取得し、単一のオリジナルのBAPパケットを出口リンクへまたはそのコンテンツをそのIABノードの上位レイヤへ、送信するように構成される。これらのノードは、ネットワークの一部のダイバーシティベースの動作を終端するため、以下ではターミネータと呼ばれる。
【0178】
データフローの方向に応じて、イニシエータIABノードおよびターミネータIABノードは、無差別に、アクセスIABノード、中間リレーIABノード、またはIABドナーDUであってもよい。また、任意のIABノードは、1つのパケットフローのためのイニシエータとして、および別のパケットフローのためのターミネータとして同時に動作しうる。
【0179】
実施形態では、ターミネータIABノードが複製を識別するのを容易にするため、またはターミネータIABノードがネットワーク復号を通じて正しく再関連付けを行うために様々なBAPパケットを識別するのを容易にするために、イニシエータIABノードによって、それが送信するBAPパケットにシーケンス番号が追加されうる。
【0180】
イニシエータおよびターミネータの設定は、静的であると共に、ネットワークオペレータによって、またはIABノードの製造プロセス中に手動で実行されうる。変形例では、(本発明による動作のために使用される)それらのBAPルーティング設定が、好ましくはIABドナーのセントラルユニットから受信される。動的設定が提供されてもよく、これは、経時的に進化しうる。加えて、このアプローチは、IABドナーCUによる既存のIABノード設定プロセスに基づくことができる点で有利である。
【0181】
また、BAPサブレイヤ動作は、以下でより詳細に説明するように、IABドナーCUによってオンデマンドでアクティブ化または非アクティブ化されてもよい。
【0182】
本発明の実施形態による動作のために使用されるBAPルーティング設定は、上記のバックホールルーティング設定、BH RLCチャネルマッピング設定、BH RLCチャネルマッピング設定、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定、およびダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定のテーブルを含み、これらは、適切な場合、新しいフィールドを用いて変更されうる。
【0183】
図7および
図8は、本発明の実施形態による、結果として得られる拡張テーブルを示す。
【0184】
図7は、
図5aのバックホールルーティング設定テーブルを使用してイニシエータおよびターミネータ(存在する場合)を宣言するための2つの選択肢の手段と、適切な方法でBAPサブレイヤ動作を実行するためのパラメータを示している。これらのパラメータは、例えば、どのデータ(パケット)が動作に関係するか、および、それらがどのように処理されなければならないか(IABリンクの選択)を定義しうる。上述のように、この拡張バックホールルーティング設定テーブルは、IABドナーCUによってIABノードに提供される設定の一部でありうる。これは、IABドナーCUがIABネットワークの全体像を有するからである。
【0185】
IE501および502は、
図5aのものと同じである。
【0186】
拡張バックホールルーティング設定テーブルのエントリ700は、IE703、IE704、およびIE705をさらに含む。
【0187】
IE703は、複製コマンドIEと呼ばれ、このテーブルを用いて設定されたIABノードに、BAPヘッダがBAPルーティングIDのIE501に一致するルーティングID値を示す着信BAPパケットを処理する際に実行されるべきBAPサブレイヤ動作を示す。したがって、IE703は、テーブルにおいて提供される複数のエントリ700の全体にわたって、どのデータフロー(BAPルーティングID)に対してBAPサブレイヤ動作が実行されるべきかを示す。
【0188】
IE703によって取られる値は、BAPサブレイヤ動作を実行しなければならないIABノードが機構のイニシエータまたはターミネータであるかを示してもよい。
【0189】
一実施形態において、BAPサブレイヤ動作は、冗長パケット送信に基づく。これは、イニシエータに対して、受信されたBAPパケットに対する冗長なパケットが取得され、その後に冗長なBAPパケットが複数のRLCチャネルを介して送信されることを意味する。その場合、オリジナルのBAPパケットに冗長であるBAPパケットが受信され、次いで、オリジナルのBAPパケットを取得するために処理される場合に、ターミネータが定義されうる。そして、オリジナルのBAPパケットのみが、出口リンクを介してまたはその内容がIABノードの上位レイヤへ、送信される。
【0190】
パケットの冗長性は、受信されたもの(オリジナルのBAPパケット)の単なるコピーまたは複製でありうる。その場合、送信する冗長BAPパケットは、受信したBAPパケットと、その1つまたは複数の複製とを含む。
【0191】
冗長BAPパケットは、代替的に、受信されたBAPパケットのネットワーク符号化の結果であってもよい。これは、(例えば、それをセグメント化し、結果として得られるセグメントを組み合わせることによって)BAPパケットのみを用いて、または(このように組み合わせられる)1つまたは複数の他の受信されたBAPパケットを用いて、行われうる。これは、冗長BAPパケットの処理がオリジナルのBAPパケットを得るためにそれらを復号することを含むことを意味する。
【0192】
ネットワーク符号化は、例えば、2つのパケットフローの複数の線形結合(識別情報を含む)を実行して、より多くの結合された出力フローを取得する。受信機(ここではターミネータ)において、任意の2つの受信フローの組合せ(復号)は、オリジナルの2つのパケットフローを取り出すことを可能にする。(符号化および復号のための)複数の線形結合は、行列として表すことができる。
【0193】
別の実施形態において、BAPサブレイヤ動作が、着信パケットフローを複数の出口リンク上で単に分割することを伴う。これは、BHリンクの局所的な帯域幅使用を低減することを目的とする。その場合、イニシエータは、受信したBAPパケットのフローを複数(通常は2つ)のサブフローに分割し、それぞれ複数のRLCチャネルを介してBAPパケットの複数のサブフローを送信する。この分割操作にはターミネータは必要ない。すべてのBAPパケットが、終端側(すなわち、宛先IABノード)において受信される。
【0194】
これらのBAPサブレイヤ動作のすべてが、受信されたBAPパケットから少なくとも2つのパケットサブフロー:複製フロー、結合された出力フロー、または分割サブフローを生成する。
【0195】
BAPサブレイヤ動作は、組み合わせることができ、および/または繰り返すことができる。
【0196】
たとえば、(ネットワーク符号化からの)結合された出力フローは、複数のRLCチャネルにわたって分割または複製され、次いで、ターミネータIABノードにおいて分解(ネットワーク復号)されうる。
【0197】
また、IABネットワークの一部を介して複製されたパケットは、例えばネストされたネットワークの一部に対してより高い堅牢性が必要とされる場合に、IABネットワークのネストされたその一部に対して再度複製されうる。
【0198】
また、IABネットワークは、これらの可能なBAPサブレイヤ動作の一部分のみを、(設定を通して)実装して許可しうる。
【0199】
複製BAPルーティングIDと呼ばれるIE704は、IABノードがイニシエータであるかターミネータであるかに応じて異なる意味を有する。
【0200】
イニシエータに対して、IE704は、複数の生成されたパケットを送信する1つまたは複数の出口BHリンクを決定するためのルーティングアイテムのリストを示す。エントリ700の特定のケースにおいて、IE704は、BAPサブレイヤ動作から生じるBAPパケットを送信する1つまたは複数のBAPルーティングIDを含みうる。BAPルーティングIDのリストは、BAPサブレイヤ動作によって生成される各サブフロー:複製フロー、結合された出力フロー、または分割サブフロー、に対してどのルーティングIDが使用されるべきかを定義しうる。特に、リスト704内の各ルーティングアイテムは、それぞれのパケットフロー/サブフローに対応し、それぞれのパケットフロー/サブフローを送信する出口BHリンクを定義する。
【0201】
ターミネータに対して、IE704は、受信された複製または結合されたフローが送信されたBAPルーティングIDのリストを示しうる。このリストは、IE501のBAPルーティングIDを除外しうる。これは、501のBAPルーティングIDを有するBAPパケットをなおも受信したターミネータにとって、それらを処理してオリジナルのBAPパケットを取り出すために、IE704のBAPルーティングIDのおかげで、その冗長BAPパケットを効率的に探索するためのものである。
【0202】
複製パラメータと呼ばれるIE705は、存在するならば、IE703で指定されたBAPサブレイヤ動作を実行するために必要なパラメータを提供する。
【0203】
バックホールルーティング設定テーブルのエントリ内のIE703~705の(IABドナーCUによる)充填を通して、どのIABノードも、どのBAPパケットフロー(BAPルーティングID501)に対して、BAPサブレイヤ動作を実行しなければならないか否か、および適切な場合には、イニシエータとターミネータとのいずれとして動作しなければならないかを知るようになる。
【0204】
したがって、複製コマンドIE703は、様々な値をとりうる。いくつかの実施形態では、IE501のBAPルーティングIDに一致するBAPパケットについて、IABノードが透過モードで(すなわち、BAPサブレイヤ動作を適用せずに)振る舞う場合、「複製イニシエータ」値、「複製ターミネータ」値、「ネットワーク符号化イニシエータ」値、「ネットワーク符号化ターミネータ」値、「分割イニシエータ」値、またはヌル値のうちの1つをとりうる。
【0205】
複製動作は、複製のためのイニシエータをシグナリングする「複製イニシエータ」値と、複製のためのターミネータをシグナリングする「複製ターミネータ」値とによって駆動される。
【0206】
(着信パケットの)所与のBAPルーティングIDに対して、複製コマンドIE703が「複製イニシエータ」値をとるとき、それは、関連するIABノードが複製動作のためのイニシエータとして機能しなければならないことを示す。したがって、IABノードは、他のIE、特に、送信のためのBAPルーティングIDを列挙するIE704において定義されるように、送信することを考慮して、着信BAPパケットの複製を開始する必要がある。
【0207】
IE705は、IABノードが複製BAPパケットにシーケンス番号(SN)を挿入しなければならないか否かを示すSequence Number Insertionブール情報を含む。Sequence Number Insertionブール情報はオプションであり、IABノードは、BAPルーティング設定とは別個に、複製(または別個のBAPサブレイヤ動作)がアクティブ化される場合に、SNが追加されるべきことを知りうる。
【0208】
SNは、ターミネータIABノードがすべての受信BAPパケットから同一のオリジナルBAPパケットの複製を容易に取り出し、オリジナルのBAPパケットを1回だけ転送するようにそれらを抑制することができるように、複製パケットにタグ付けするために使用される。
【0209】
好ましくは、同一のSNが同一のオリジナルBAPパケットから生成されたすべての発信BAPパケットにおいて示される。SNは、複製されるべき新しい着信BAPパケットごとに1だけ増加されうる。
【0210】
当然ながら、他の手順が想定可能であり、例えば、単一の複製のみが生成され、オリジナルのBAPパケットがSN=2nでタグ付けされる一方でその複製がSN=2n+1でタグ付けされうる。
【0211】
例えば、SNは、
図3において2バイトフィールドとして示される、BAPパケットのフィールド307に挿入される。フィールド307は、(可変長のペイロードデータ308の直前の)BAPパケットのヘッダに属しうる。その存在は、BAPヘッダ内でシグナリングされ、例えば、ビット302が、BAPヘッダから、SN(フィールド307)がBAPデータPDU内で提供される(ビットが1にセットされる)か否か(ビットが0にセットされる)をシグナリングするために使用される。
【0212】
表1は、複製イニシエータのための例示的なエントリ700を示す。
【0213】
この表は、Routing ID1(501)専用のパケットに対する、シーケンス番号(705)の挿入を伴う、2つ(リスト704において宣言されたRouting IDの数)の発信複製BAPパケットを有する複製イニシエータとしてIABノード604を設定する。
【0214】
IABノード606および608を通るPATH1は、複製がIE703によってアクティブ化されているか否かにかかわらず使用されるべきデフォルトパスであり、一方、IABノード605、607、および608を通るPATH2は、複製がIE503によってアクティブ化される(「複製イニシエータ」値)ときに使用されるべき第2のパスである。IABノード604と606との間のBHリンク646の品質が悪いと仮定すると、IABネットワークがこのリンク上のパケット損失または潜在的RLFによるサービス中断を防止するために、IABノード604におけるBAPパケット複製が有利である。
【0215】
フィールド501に対応するルーティングIDを有する着信BAPパケットは、このIABノードにおいて、リスト704におけるルーティングIDの個数(上記の例では2)に対応する個数の複製物に複製される。発信複製BAPパケットは、例えばリスト704の対応するルーティングIDを指定するために異なりうるそのBAPヘッダを除いて、着信BAPパケットの正確なコピーである。結果として生じる発信複製BAPパケットは、リスト704のルーティングIDに対応する1つまたはいくつかの出口リンク、すなわち、(501に示される場合)これらのルーティングIDに対応するネクストホップのBAPアドレス502を介して送信される。
【0216】
上記の例では、ルーティングID1をヘッダに有する着信BAPパケットが、一方がルーティングID1に設定され他方がルーティングID2に設定されるBAPヘッダを除いて、2つの同一の発信BAPパケットを取得するために、IABノード604によって1回複製されるべきである。2つの発信BAPパケットは、IABノードによって、2つの発信BHリンクを介して、ルーティングID1を有する第1の発信BAPパケットは(ルーティングID1エントリのための)フィールド502から明らかなようにBHリンク646を介してIABノード606へ、ルーティングID2を有する第2の発信BAPパケットは、(ルーティングID2エントリのための)フィールド502から明らかなようにBHリンク645を介してIABノード605へ、送信される。実際、バックホールルーティング設定テーブルは、IABノードに対して、新しいルーティングIDに関連付けられたネクストホップBAPアドレス、したがって、出口BHリンクを示すために、追加のエントリ、すなわち、ルーティングID2のためのエントリを含まなければならない。
【0217】
リスト704が[ルーティングID1、ルーティングID2、ルーティングID2、ルーティングID3]である別の例では、3つの出力BHリンクを介してIABノードによって送信される4つの出力BAPパケット、すなわち、BHリンク646を介するIABノード606へのルーティングID1を有する第1のパケットと、BHリンク645を介するIABノード605へのルーティングID2を有する第2のパケット及び第3のパケットと、別のBHリンクを介する別のIABノード(不図示)へのルーティングID3を有する第4のパケットと、を得るために3つの複製が実行される。
【0218】
ここでも、同一のオリジナルの着信BAPパケットに対応する発信BAPパケットの全てに、例えば、同一のSNが与えられる。
【0219】
複製コマンドIE703が(着信パケットの)所与のBAPルーティングIDに対して「複製ターミネータ」値を取るとき、関連するIABノードが、複製動作のためのターミネータとして機能しなければならないことが示される。したがって、そのIABノードは、複製の転送を終了し、(中間IABノードの場合)単一の出口BHリンクを介してただ1つの単一コピー(オリジナルのBAPパケット)を転送するか、または、(宛先IABノードの場合)単一のSDUパケットを上位レイヤに送信するためにBAPパケットをデカプセル化しなければならない。いずれの場合も、IABノードは、BAPパケットがローカルにアタッチされたUEに送信されるべきであるとしても、バックホールルーティング設定テーブルをチェックしなければならない。本発明の一実施形態では、単一の出口BHリンクは、BAPルーティングID501のPATHフィールドによって識別されるリンクである。
【0220】
IABノードが複製を検索するのを助けるために、IE704は、同じオリジナルのBAPパケットの複製のために使用される他のルーティングIDのリスト(時には単一のもの)を含む。
【0221】
さらに、ビット302の値のおかげで、IABノードは、受信されたBAPパケットにおいてSNが提供されているかどうかを知る。IABノードは、様々な受信されたBAPパケットのSNフィールド307を取り出すことによって、BAPルーティングID501、または、リスト704のうちの1つを有する複製を検出することができる。
【0222】
例えば、同じSNを有する受信BAPパケットは、同一のオリジナルのBAPパケットの複製である。
【0223】
(上記で導入された)イニシエータによるシーケンス番号付けの変形において、SN=2nおよび2n+1を有する受信BAPパケットが、同一のオリジナルのBAPパケットの複製と見なされる。
【0224】
SNの有用性は、主にターミネータが複製を容易に特定することにある。したがって、SNは、一般に、次ホップのIABノードに送信される前に、取得されたオリジナルのBAPパケットのヘッダから除去されうる。以下で説明されるいくつかの状況は、SNを除去しないことを必要としうる。したがって、IE705は、発信BAPパケットにおいてSNが除去されなければならないか否かをIABノードに示すSequence Number Removalブール情報を含んでもよい。
【0225】
表2は、複製ターミネータのための例示的なエントリ700を示す。
【0226】
この表は、IABノード608を、ルーティングID1およびルーティングID2がヘッダに指定されている着信BAPパケットの間で除去されるべき複製を有する複製ターミネータIABノードとして構成する。すべての場合において、複製除去後の残りのBAPパケット(すなわち、オリジナルのBAPパケット)が、IABノード608と609との間の出口BHリンク689に送信される。
【0227】
本発明の一実施形態では、残りのBAPパケット(いくつかがルーティングID2を指定しうる)のヘッダはすべて、初期値のルーティングID1またはデフォルトルーティングID(例えばルーティングID1)に更新される。実際、残りのすべてのBAPパケットは単一の出口リンクを介して送信されなければならず、これは、好ましくは、すべてが発信処理のために同一のルーティングIDに割り当てられなければならないことを意味する。
【0228】
上記の例において、ルーティングID1またはルーティングID2をヘッダに有するIABノード608によって受信された着信複製BAPパケットが、IE502によって識別される単一の出口BHリンク689を介して(またはそのIABノードが宛先である場合は上位レイヤに)オリジナルのBAPパケットの単一のコピーを送信するようにフィルタリングされなければならないが、他の着信複製BAPパケットは破棄される。この動作を実行するために、IABノード608は、BAPヘッダフィールド307に挿入されたシーケンス番号を使用して、入ってくる複製BAPパケットを識別しうる。同一のシーケンス番号でタグ付けされた2つのBAPパケットは、それらの異なるルーティングID値と、それらが2つの異なる入口BHリンクから受信されうるという事実にもかかわらず、同一のオリジナルのBAPパケットを表す。
【0229】
この場合、パラメータ705は不要である。
【0230】
この例は、本発明のおかげで、BAPパケットの複製が、複製パケットを有する他のリンク(BHリンク614および689など)の帯域幅使用に影響を及ぼすことなく、IABノード604と608との間で完全に制御されることを明確に示す。
【0231】
(Sequence Number Insertionブール情報のおかげでの)シーケンス番号の条件付き挿入は、複製動作が異なるイニシエータIABノードにおいて連続的に実行されることを可能にする。第1のイニシエータIABノードにおける複製からすでに生じているBAPパケットを第2のイニシエータIABノードが受信するとき、BAPパケットヘッダは、上述のようにすでにSNを含む。したがって、第2の複製動作を実行するとき、第2のイニシエータIABノードは、Sequence Number Insertionブール情報から、新しいシーケンス番号を挿入すべきではないことを知る。好ましくは、それは既存のシーケンス番号を変更しない。実際、(1つの複製動作または2つ以上の連続する複製動作から生じる)すべての複製が、同一のSNを有する。したがって、任意のターミネータIABノードが、入ってくるBAPパケットからそれらを検出することは容易である。
【0232】
変形例では、SNの挿入がバックホールルーティング設定テーブルにおいて示されない(すなわち、Sequence Number Insertionブール情報が提供されない)。その場合、イニシエータIABノードは、複製するBAPパケットのヘッダを分析するとき、(例えば、ビット302のおかげで)シーケンス番号が存在するかを判定し、それに応じて動作、すなわち、新しい複製のために既存のSNを保持するか、または、入ってくるBAPパケットがまだ複製されていなかった場合にSNを挿入しうる。このアプローチは、シーケンス番号挿入をスキップすることができるため、第2のイニシエータIABノードにおける処理を低減する。
【0233】
IABノード602と606との間のBHリンク626を再利用することができる
図6に戻り、IABドナー601は、BHリンク612および614を介して送信されるBAPパケットの2つのコピーを用いて、第1の複製を実行しうる。したがって、生成された複製は、上述のプロセスに従って同一のSNを有する。
【0234】
次に、IABノード604が複製イニシエータとしても設定されてもよく、したがって、IABノード604は、任意の受信されたBAPパケットの2つのコピーを用いて別の複製を実行する。そして、複製は、BHリンク646および645を介して、それぞれIABノード606および605に送信される。それらのSNは変更されない。
【0235】
表1aは、イニシエータのIABドナー601を設定する例示的なエントリ700を示す。
【0236】
上述のように、IABドナー601は、2つの発信する複製BAPパケットを生成し、(Sequence Number Insertionブール情報がTrueに設定されているため)同一のSNをそれらのBAPヘッダに追加する複製イニシエータとして働く。そして、1つが、IABノード609までにIABノード602、606、および608を通過するPATH1(デフォルトパス)に割り当てられる。それは、IABドナー601によって、BHリンク612を介して次ホップのIABノード602に送信される。他方の発信BAPパケットは、IABノード609までにIABノード604、606、および608を経由するPATH2に割り当てられる。それは、IABドナー601によって、BHリンク614を介して次ホップのIABノード604に送信される。
【0237】
表1bは、イニシエータのIABノード604を構成する例示的なエントリ700を示す。
【0238】
IABノード604は、PATH2(すなわち、ルーティングID2)に割り当てられたIABドナー601から着信するBAPパケットから、2つの発信する複製BAPパケットを生成する複製イニシエータとして動作する。これらの着信BAPパケットは、すでにSNを含んでいる。
【0239】
Sequence Number Insertionブール情報はFalseに設定されているため、イニシエータIABノード604は、SNを含める必要がなく、着信BAPパケットのSNを維持すべきであることを知る。次いで、生成された複製のうちの1つが、IABノード606および608を通ってIABノード609に至るPATH2に割り当てられる。それは、IABノード604によってBHリンク646を介して次ホップのIABノード606に送信される。他方の発信BAPパケットは、IABノード609までにIABノード605および608を通過するPATH3に割り当てられる。それは、IABノード604によって、BHリンク645を介して次ホップのIABノード605に送信される。
【0240】
また、IABノード606は、例えば、BHリンク668が高品質であるため、複製ターミネータとして設定されうる。IABノード608は、各オリジナルのBAPパケットの1つのコピーのみをIABノード609に提供するための、複製ターミネータとしても設定されうる。
【0241】
表2aは、ターミネータIABノード606を設定する例示的なエントリ700を示す。
【0242】
IABノード606は、IABネットワークのこのブランチの複製を除去する複製ターミネータとして機能する。他の複製が他のBHリンクを介して同時に伝達されるため、SNは、ターミネータIABノード606によって送信された単一コピー内に保持されるべきであり、ターミネータIABノード608は、様々なBHリンクから到来する複製を検出することもできる。
【0243】
ターミネータIABノード606は、Sequence Number Removalブール情報をFalseとして読み取ることによって、発信BAPパケットにおいてSNを許可しなければならないことを知る。したがって、ターミネータIABノード606は、それらの同一のSNのおかげで、入ってくるBAPパケットの中から複数の複製を検出する。そして、ターミネータIABノード606は、複製を破棄して、1つのコピーのみを保持する。そして、シングルコピーが、PATH1の次ホップのIABノードに、すなわち、BHリンク668を介してIABノード608に、送信される。
【0244】
表2bは、ターミネータIABノード608を設定する例示的なエントリ700を示す。
【0245】
IABノード608は、受信した複製を除去してその1つのコピーのみを転送する、複製ターミネータとして動作する。ターミネータIABノード608は、Sequence Number Removalブール情報をTrueとして読み取ることによって、転送されるコピー内のSNを除去しなければならないことを知る。
【0246】
したがって、IABノード606および605から入ってくるBAPパケットの中から、それらの同一のSNのおかげで、複数の複製が検出される。そして、1つのコピーのみを保持するために複製が破棄され、そこからSNが除去される(フィールド307が空になり、ビット302が0に設定される)。そして、単一のコピーは、PATH1の次ホップのIABノードに、すなわち、BHリンク689を介してIABノード609に、送信される。
【0247】
この例は、IABドナーCUが、様々なIABノードを設定して、ネストされた複製を可能にすることができることを示しており、複製は最後に、オリジナルのBAPパケットの単一のコピーのみが転送されるように効率的に破棄される。
【0248】
SNの管理(挿入および除去)は、
図10を参照して以下に例示される。
【0249】
ネットワーク符号化動作は、動作のためのイニシエータをシグナリングする「ネットワーク符号化イニシエータ」値と、動作のためのターミネータをシグナリングする「ネットワーク符号化ターミネータ」値とによって駆動される。
【0250】
複製コマンドIE703が、(着信パケットの)所与のBAPルーティングIDの「ネットワーク符号化イニシエータ」値をとるとき、それは、関係するIABノードがネットワーク符号化動作のためのイニシエータとして動作しなければならないことを示す。これは、そのIABノードが、所与のBAPルーティングIDの到来BAPパケットから、組合せのセットを生成することを意味する。組合せのためのパラメータが、IE705において提供されうる。発信冗長BAPパケットとも呼ばれるこれらの生成された組合せは、(たとえば、複製イニシエータと同様の方法で)送信のためのBAPルーティングIDを列挙するIE704において定義されているように、1つまたはいくつかの発信BHリンクを介して送信される。
【0251】
パラメータ705は、使用されるネットワーク符号化方式を含みうる。たとえば、1つの方式は、いくつかの着信BAPパケットの組合せに基づきうる。別の方式は、各着信BAPパケットの、等しいサイズのセグメントへのセグメント化、およびそれらの組合せに基づくことができる。本発明の一実施形態では、方式に関連する1つのパラメータが、各組合せにおいて一緒に結合されるべき着信BAPパケットの数またはセグメントの数を特定しうる。
【0252】
パラメータ705は、着信BAPパケットまたはセグメントの各線形結合を生成するために使用されるネットワーク符号化係数を含みうる。これらの係数は、非限定的な例として、ガロア体256のそれぞれの中の8ビットでありうる。
【0253】
パラメータ705は、上述のように、Sequence Number Insertionブール情報を含みうる。これもまた、発信する冗長BAPパケットのSNフィールド307にSNを提供するためのものである。ネットワーク符号化では、シーケンス番号が新しい発信冗長BAPパケットごとに1だけ増加されうる:したがって、同一のオリジナルのBAPパケットのネットワーク符号化から生じるBAPパケットは、連続するシーケンス番号でタグ付けされる。
【0254】
たとえば、SNフォーマットは、(たとえば、フィールド307において2バイトにわたってコード化される)a.n+tであってもよく、ここで、aはネットワーク符号化によって実現される組合せの数(整数)であり(たとえば、以下の例では4)、
nは、新しいネットワーク符号化の発生(すなわち、次のBAPパケットを処理するとき)のそれぞれにおいてインクリメントされる整数であり、
tは、{0、1、2、…、a-1}に属する。これらの値の各々は、ネットワーク符号化器の出力のうちの1つに割り当てられる。
【0255】
実施形態では、SNフィールド307がネットワーク符号化から生じる発信パケットがあるときの様々な組合せを識別するためのkビット(a≦2k、例えばa=4出力でk=2)と、符号化ラウンドまたは反復の数をカウントする(すなわち、新しい発信パケットが生成されるたびにカウントがインクリメントされる)ための残りのビット(例えば2バイトフィールドにおける14ビット)とを含みうる。カウントは、新しいネットワーク符号化設定が使用されるたびにリセットされうる。カウントは、最大値に達すると、自然にゼロに戻る。
【0256】
このSNフォーマットは、IABネットワークに共存している場合の複製動作にも対応する。オリジナルのBAPパケットと複製されたBAPパケットとに対して、kビット(たとえば、2ビット)が同じ値に設定されうる。カウント(残りのビット)は、複製する新しいオリジナルのBAPパケットごとにインクリメントされる。
【0257】
表3は、ネットワーク符号化イニシエータのための例示的なエントリ700を示す。
【0258】
この表は、受信されたBAPパケットのセグメンテーションから、また、挿入されるべきシーケンス番号を用いて、生成する4つの線形結合を有するネットワーク符号化イニシエータIABノードとして、IABノード604を設定する。
【0259】
PATH1は、IABノード606および608を通る(ネットワーク符号化を伴うおよび伴わない)デフォルトパスであり、PATH2は、IABノード605、607、および608を通る(ネットワーク符号化を伴う)第2のパスである。
【0260】
線形結合は、着信BAPパケットを形成するセグメントに対して実行される(方式=セグメンテーション)。第1の線形結合および第2の線形結合は、係数(1、0)および(α11、α12)を使用し、結果として生じる発信冗長BAPパケットが、IABノード604によって、BHリンク646を介してIABノード606に向けて送信され(2つの第1の発信パケットに対して704において指定されたルーティングID1に対応するPATH1)、一方で、第3の線形結合および第4の線形結合は、係数(0、1)および(α21、α22)を使用し、結果として生じる発信冗長BAPパケットは、IABノード604によって、BHリンク645を介してIABノード605に向けて送信される(テーブル内の第2のエントリのおかげで、2つの最後の発信パケットに対して704において指定されたルーティングID2に対応するPATH2)。
【0261】
GF256における4つの係数の全てのセットを使用することができるわけではない。オリジナルのデータが変更されないように、複数の1および0は除外されなければならない。さらに、(α11×α12)は、(α21×α22)に等しくてはならず、そうでない場合には線形結合は同一となる。
【0262】
シーケンス番号付けに関して、第1の線形結合から生成された発信BAPパケットは、SN=4nでタグ付けされ、第2の線形結合から生成された発信BAPパケットはSN=4n+1でタグ付けされ、第3の線形結合から生成された発信BAPパケットはSN=4n+2でタグ付けされ、第4の線形結合から生成された発信BAPパケットはSN=4n+3でタグ付けされうる。
【0263】
複製コマンドIE703が、(着信パケットの)所与のBAPルーティングID501または704に対して、「ネットワーク符号化ターミネータ」値をとる場合、それは、関係するIABノードがネットワーク符号化動作のターミネータとして働かなければならないことを示す。これは、テーブルのフィールド501又は704と一致するルーティングIDを有する着信符号化BAPパケットに対するネットワーク復号をそのIABノードが適用することを意味する。
【0264】
IABノードは、(その存在がビット302によって示される)フィールド307における受信された組合せのSNのおかげで、その受信された組合せを特定し、それらを復号して、(セグメントを通して)オリジナルのBAPパケットを、または複数のパケットを取り出す。復号パラメータは、パラメータ705において提供される。
【0265】
本発明の一実施形態において、IABノードは、その後、(ノードが中間IABノードである場合)次ホップのBAPアドレス502に対応する単一の出口BHリンクを介して復号されたBAPパケットを送信し、または、(そのノードが宛先IABノードである場合)上位レイヤにそれらを送信する。本発明の一実施形態では、この単一の出口BHリンクは、BAPルーティングID501のPATHフィールドによって特定されたもの、すなわち次ホップのIABノード502へ向けたものである。
【0266】
ネットワーク符号化イニシエータに関して、パラメータ705は、使用されるべきネットワーク符号化方式(セグメンテーションまたはパケット)、冗長BAPパケットを復号するために使用されるべきネットワーク符号化係数、および、オプションで、復号に必要な冗長BAPパケットの数(変形例では、この個数は、ネットワーク符号化係数によって提供される組合せの個数から推定される)を含みうる。
【0267】
着信BAPパケットのシーケンス番号付けに関して、tが{0、1、2、…、a-1}に属すると共に同一の値nを伴うSN=a.n+tを有するパケットは、同一の1つまたは複数のオリジナルのBAPパケットの冗長であると見なされる。オリジナルの入力(パケットまたはパケットセグメント)の個数と同じ個数の冗長BAPパケットは、通常、ネットワーク復号を正しく実行し、オリジナルの入力を取り出すのに十分である。例えば以下の例では、2つの冗長BAPパケットがネットワーク復号のために十分である。
【0268】
表4は、ネットワーク符号化ターミネータのための例示的なエントリ700を示す。
【0269】
この表は、2つの着信冗長BAPパケット(セグメントの数=2)がヘッダにおいて(501および704で指定される)ルーティングID1またはルーティングID2を伴って受信されるとすぐにネットワーク復号を実行することができる、ネットワーク符号化ターミネータIABノードとしてIABノード608を設定する。同一の値nを用いて4n+t、ここでtは{0,1,2,3}に属する、に等しいシーケンス番号を有する場合に、冗長BAPパケットが特定されうる。したがって、同一のオリジナルのBAPパケットに対応する冗長BAPパケットは、ネットワーク復号によって定義される組合せの数よりも少ない数だけの別個のシーケンス番号でタグ付けされる。
【0270】
例えば、4つの線形結合を有するネットワーク符号化方式では、4n(nは整数である)に一致するシーケンス番号が冗長BAPパケットのセットの第1の線形結合に対応し、(4n+1)に一致するシーケンス番号が第2の線形結合に対応し、(4n+2)に一致するシーケンス番号が第3の線形結合に対応し、(4n+3)に一致するシーケンス番号が第4の線形結合に対応する。さらに、ソースIABノードにおいて生成された組合せの個数が、IE705における係数の行列における行の個数から推定されうる。したがって、4nと4n+3との間に含まれるSNを有する2つの異なる着信冗長BAPパケットを取り出すのに十分である。
【0271】
当然ながら、4つ以外の数の組み合わせが使用されてもよい。
【0272】
ネットワーク復号は、パラメータ705(ネットワーク符号化方式および係数)を使用する。
【0273】
ネットワーク復号の出力は、オリジナルのBAPパケットの複数のセグメントであってもよく、その場合、後者はデセグメンテーション処理を使用して再構成される。代替的に、出力が、直接、異なるオリジナルのBAPパケットであってもよい。
【0274】
結果として得られるBAPパケットは、(IE502の次ホップのBAPアドレスに対応する)IABノード608と609との間の出口BHリンク689を介して送信される。本発明の一実施形態では、復号されたBAPパケットのヘッダが、初期値のルーティングID1に、または、ルーティングID1などのデフォルトルーティングIDに更新されうる。実際、すべての復号BAPパケットが、同一のリンクを介して送信されなければならない。
【0275】
この例は、本発明のおかげで、(BHリンク614および689などの)より多数のパケットを有する他のリンクの帯域幅使用に影響を及ぼすことなく、ネットワーク符号化BAPパケットによって導入される冗長性がIABノード604と608との間で完全に制御されることを明確に示す。
【0276】
複製動作は、単位行列に基づくネットワーク符号化動作にすぎないことに留意されたい。
【0277】
しかしながら、シーケンス番号は、複製とは異なる方法で管理されてもよく、ネットワーク符号化を用いる場合に、どのBAPパケットがどの組合せに対応するかを識別することを可能にするために連続するSNが提供される一方で、各複製において同一のSNが提供される。
【0278】
ネットワーク符号化がいくつかのBAPパケットに対してアクティブ化され、次いで、上記で想定されたネストされた複製と同様に、ネストされた複製がネットワーク符号化されたパケット上で(すなわち、それらの符号化とそれらの復号との間で)アクティブ化されることが起こりうる。
【0279】
その場合、ネットワーク符号化イニシエータは、Trueに設定されたSequence Number Insertionブール情報を用いて設定されうる(したがって、連続するSNが発信冗長BAPパケットに提供される)一方、複製イニシエータは、Falseに設定されたSequence Number Insertionブール情報を用いて設定されうる(したがって、受信されたBAPパケットのコピーのみを生成し、それらのSNを維持する)。対応して、複製ターミネータは、Falseに設定されたSequence Number Removalブール情報を用いて設定されうる(すなわち、受信された複製BAPパケットの保持されたコピーにSNが入れられる)一方で、ネットワーク符号化ターミネータは、BAPパケットから最終的にSNを除去するために、Trueに設定されたSequence Number Removalブール情報を用いて設定されうる。
【0280】
SNの管理(挿入および除去)は、
図10を参照して以下に例示される。
【0281】
分割動作は、複製のためにイニシエータにシグナリングする「分割」値によって駆動される。ターミネータは必要ない。
【0282】
複製コマンドIE703は、(着信パケットの)所与のBAPルーティングIDについて「分割イニシエータ」値をとるとき、それは、関係するIABノードが分割動作のためのイニシエータとして働かなければならないことを示す。これは、IABノードが、2つ以上の出口リンクを介して、BAPパケットの着信フローを分割することを意味する。
【0283】
この実施形態は、BHリンクのロードバランシングを目的とし、帯域幅占有がいくつかのパス間で分散され、一方、送信のための処理負荷が異なるIABノードにわたって分散される。
【0284】
最終的に、すべてのパケットが同じ宛先IABノードに到着するため、分割操作にはイニシエータのみが必要である(ターミネータは必要ない)。
【0285】
分割は、IE704およびIE705によって駆動される。
【0286】
IE704は、BAPパケットを配信するためのルーティングIDのリストを示す。以下の例示的な表5に示されるように、値[ルーティングID1、ルーティングID2]は、着信BAPパケットが、(ルーティングID1およびルーティングID2に対応するエントリのためのIE502において指定される)対応する出口リンクにおいてルーティングされて送信されることを示す。
【0287】
IE705は、分割を実行するためのパラメータを提供する。例えば、Split SchemeフィールドはIE704の各ルーティングID(すなわち、各出口リンク)にたいして、送信されるべきBAPパケットのパーセンテージを示し、Split Thresholdフィールドは、IABノードにおいてデータ分割をトリガするために到達されるべきデフォルトリンクの帯域幅占有のパーセンテージを示す。いくつかの実施形態では、異なるSplit Schemeが、異なるそれぞれのSplit ThresholdのためのIE705において定義されうる(帯域幅占有が上昇するときに分割割合は上昇する)。
【0288】
以下の例では、帯域幅占有率が50%に達する場合、ルーティングID1のBAPパケットの40%がルーティングID1の出口リンク、すなわちBHリンク646を介してIABノード606に送信され、ルーティングID1のBAPパケットの60%がルーティングID2の出口リンク、すなわちBHリンク645を介してIABノード605に送信される。後者のBAPパケットは、ルーティングID1の代わりにルーティングID2を指定するように更新されたBAPヘッダを有しうる。
【0289】
いくつかの実施形態では、IE704は空のままであってもよい。そのような場合、IABノードは、発信する複製/冗長/分割BAPパケットのルーティングID情報要素を、IE501におけるものと同一のDESTINATION値を有するバックホールルーティング設定テーブルの他のエントリからのルーティングIDの値に設定しうる。選択された出口BHリンクは、使用されたルーティングIDを有するエントリの次ホップのBAPアドレスIE502に基づいて取得される。
【0290】
さらに
図7を参照すると、バックホールルーティング設定テーブルの代替エントリ710は、(IE704と比べて)IE714によるエントリ700とは異なる。
【0291】
IE714は、複製次ホップBAPアドレスと呼ばれ、(IE704のように)ルーティングIDのリストの代わりに次ホップのBAPアドレスのリストを提供する。これにより、IABノードは、(リストのルーティングIDに対応するエントリを検索する必要がなくなるため)出口BHリンクを決定することが容易になる。
【0292】
この場合、すべての発信する複製/冗長/分割BAPパケットのルーティングIDが、着信BAPパケットのルーティングIDに等しい。すなわち、ルーティングIDは変更されない。
【0293】
IE703が複製イニシエータに設定されると、IE714は、発信する複製を送信するための出口BHリンクのリストを特定する。IE703が複製ターミネーションに設定されている場合、IE714は使用されない。複製除去は、このエントリのIE501に一致するルーティングIDを有する着信した複製に対して実行される。
【0294】
IE703がネットワーク符号化イニシエータに設定されるとき、IE714は、対応する出口BHリンクとの組合せのリストを表す。例えば、[次ホップのBAPアドレス1、次ホップのBAPアドレス1、次ホップのBAPアドレス2、次ホップのBAPアドレス2]が、第1および第2の組合せが次ホップのBAPアドレス1に関連する出口リンクを介して送信され、第3および第4の組合せが次ホップのBAPアドレス2に関連する出口リンクを介して送信される、ことを意味する。IE703がネットワーク符号化ターミネータに設定されている場合、IE714は使用されない。復号は、このエントリのIE501に一致するルーティングIDを有する着信冗長BAPパケットに対して実行される。復号をトリガするために受信されるべき着信冗長BAPパケットの数が、IE705において利用可能な係数の行列の深さによって示される。
【0295】
IE703が分割イニシエータに設定されるとき、IE714は、発信BAPパケット(分割サブフロー)を配信するための出力BHリンクのリストを表す。
【0296】
上述の拡張バックホールルーティング設定テーブルは、本発明の実施形態により、イニシエータIABノードが、発信BAPパケットを送信するために使用されるべき出口BHリンクを決定することを可能にする。
【0297】
(上述の)従来のBH RLCチャネルマッピング設定テーブル、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、およびダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブルを使用して、選択された出口BHリンクから出口BH RLCチャネルを導出することができる。したがって、複製/冗長/分割BAPパケットの各サブフローは、イニシエータにおいて、出口BH RLCチャネルに向けられる(および送信される)。また、ターミネータにおける発信するオリジナルのBAPパケットは、特定の出口BH RLCチャネルに向けられる(および送信される)。
【0298】
いくつかの実施形態において、拡張BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、拡張アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、および拡張ダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブルが、単一の選択された出口BHリンクから複数の出口BH RLCチャネルをIABノードが導出するために使用される。
【0299】
このアプローチはBH RLCチャネルのダイバーシティを提供し、したがって、送信の堅牢性を改善することを目的とする。
【0300】
図8は、そのようなBH RLCダイバーシティを提供する、拡張BH RLCチャネルマッピング設定テーブル810、拡張アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル820、および拡張ダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル830のための例示的なエントリを示す。
【0301】
IE814、823、835は、それぞれIE514、523、534を置き換えている。
【0302】
単一の出口BH RLCチャネルIDを定義する代わりに、それらは出口BH RLCチャネルIDのリストを含む。そして、IABノードは、発信BAPパケットを送信するとき、代替的に(または任意の選択方式を使用して)、送信のために出口BH RLCチャネルIDのうちの1つを選択しうる。実施形態では、BH RLCチャネルIDが、IE814、823、または835において示される可能な値の中からラウンドロビン方式で選択される。
【0303】
たとえば、2つの可能なBH RLCチャネルがある場合、第1のBH RLCチャネルを介して第1の(より一般的には奇数の)発信BAPパケットを送信することができ、一方、第2のBH RLCチャネルを介して第2の(より一般的には偶数の)発信BAPパケットを送信することができる。
【0304】
いくつかの実施形態において、テーブルエントリ810、820、または830に一致するすべてのBAPパケットが複数のBH RLCチャネルを介して送信されるわけではないように、BH RLCチャネルダイバーシティ機構に対する制御が提供される。
【0305】
ルーティングIDに基づく制御が実装されてもよい。たとえば、BAPルーティングIDと呼ばれる追加のIE819、829、または839が、それぞれテーブルエントリ810、820、または830において提供される。IE819、829、または839は、1つまたは複数のトリガするBAPルーティングID、すなわち、BH RLCチャネルダイバーシティ機構が適用されるBAPルーティングIDを含む:これらのBAPルーティングIDの発信BAPパケットのみが、IE814、823、または835の複数のBH RLCチャネルに拡散される。他のBAPルーティングIDに対しては、デフォルトBH RLCチャネルID、例えば、IE814、823、または835において最初に宣言されたIDが使用されうる:IE819、829、または839において列挙されていないBAPルーティングIDを有する発信BAPパケットは、デフォルトBH RLCチャネルを介してのみ送信される。
【0306】
上述のように、以下で説明する様々なテーブルがネットワークの様々なIABノードにおいて手動で定義されうるが、それらは好ましくはIABドナーCUによって定義され、次いで、それらのBAPルーティングの設定の間にその様々な(IABドナーDUを含む)IABノードに送信される。
【0307】
図9は、フローチャートを使用して、IABドナーCUによって(IAB-ドナーDUを含む)IABノードにおけるBAPルーティングを設定するための例示的な方法を示す。
【0308】
BAPルーティング設定手順は、両方とも以下ではIAB-DU901と呼ばれるIABドナーDUまたはIABノードDUによって必要とされる、DL/UL(ダウンリンク/アップリンク)ルーティング情報および/またはトラフィックマッピング情報を設定するために、IABドナーCU902によって開始される。
【0309】
IABドナーCU902は、上記のテーブルを用いて設定するために、IAB-DU901にCONFIGURATION REQUESTメッセージ903を送信することによって、その手順を開始する。IAB-DU901は、CONFIGURATION RESPONSEメッセージ904を用いてIABドナーCU902に応答する。
【0310】
本発明の一実施形態では、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903が、IAB-DU901の拡張バックホールルーティング設定テーブル、すなわち、
図7に示されるIEを設定するために必要な情報を搬送する。本メッセージはテーブルの全体を含みうる。代替的に、そのメッセージが、更新または追加されるべきエントリ700、710の全体のみを含んでもよい。さらに代替的に、そのメッセージが、IAB-DU901においてすでに記憶されているエントリを更新するための、および/または、新しいエントリを追加するための、情報のみを含んでもよい。
【0311】
本発明の一実施形態では、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903が、IAB-DU901の(アップリンクトラフィック対/ダウンリンクトラフィック対)BH RLCチャネルマッピング設定テーブル、すなわち、
図5b~cまたは
図8に示されるIEを設定するのに必要な情報を搬送する。そのメッセージはテーブルの全体を含みうる。代替的に、そのメッセージが、更新または追加されるべきエントリ810、820、または830の全体のみを含むことができる。さらに代替的に、そのメッセージは、IAB-DU901においてすでに記憶されているエントリを更新するための、および/または、新しいエントリを追加するための、情報のみを含みうる。
【0312】
様々なメッセージタイプが、CONFIGURATION REQUESTおよびRESPONSEメッセージのために使用されうる。
【0313】
1つの実施形態において、3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.2.9.1節及び9.2.9.2節に記載されているように、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903は、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージであり、CONFIGURATION RESPONSEメッセージ904は、BAP MAPPING CONFIGURATION ACKNOWLEDGEメッセージである。
【0314】
拡張バックホールルーティング設定テーブルの追加のフィールド(すなわち、IE703~705または713~715)は、3GPPのTS38.473、v16.2.0に記載されているような、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージのBH Routing Information Added List IEにおいて、オプションのIEとして宣言されうる。対応する宣言は、表6のようにすることができる。
【0315】
変形例では、3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.2.2.21節および9.2.2.2節に記載されているように、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903は、UE CONTEXT SETUP REQUESTメッセージであり、CONFIGURATION RESPONSEメッセージ904は、UE CONTEXT SETUP RESPONSEメッセージである。
【0316】
別の変形例では、3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.2.2.7節および9.2.2.8節に記載されているように、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903は、UE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージであり、CONFIGURATION RESPONSEメッセージ904は、UE CONTEXT MODIFICATION RESPONSEメッセージである。
【0317】
拡張(アップリンクトラフィック対/ダウンリンクトラフィック対)BH RLCチャネルマッピング設定テーブルが考慮される限り、IE814、823または835は、3GPPのTS38.473、v16.2.0に記載されるように、Egress BH RLC CH ID IEとして宣言されうるが、(3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.3.1.113節に記載されるように)BH RLC Channel ID IEのリストを搬送するように変形されてもよい。
【0318】
変形例では、IE814、823、または835が、(9.3.1.113節で説明されるように)BH RLC Channel ID IEのリストを運ぶ、新しいEgress BH RLC CH IDリストIEを使用して宣言される。
【0319】
別の変形例では、IE814、823、または835が、(3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.3.1.95節に記載されるような)Traffic Mapping Information IEを使用して宣言される。有利には、Traffic Mapping Information IEは、3GPPのTS38.473、v16.2.0に記載されているように、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、または、UE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージ、または、UE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージに埋め込まれる。
【0320】
いくつかの実施形態では、
図8に示すIEの全部または一部が、3GPPのTS38.473、v16.2.0に記載されているように、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージに埋め込まれたBH Routing Information Added List IEの一部である。
【0321】
いくつかの実施形態では、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル(すなわち、エントリ820のIE)を設定するIEの全部または一部が、3GPPのTS38.473v16.2.0において定義される、GNB-CU CONFIGURATION UPDATEメッセージまたはF1 SETUP RESPONSEメッセージにおいて伝達される。
【0322】
上記の拡張バックホールルーティング設定テーブルを用いて、複製コマンド703が、ルーティングIDに関連付けられ、これは、このルーティングIDに関連付けられたデータフローの全てが複製コマンドに従って処理されることを意味する。
【0323】
しかしながら、いくつかのデータフローが、実際にBAPサブレイヤ動作を用いて処理される一方で、他のデータフローは処理されないことが有用でありうる。この点において、アクセスIABノードおよびIABドナーDUに、それらがデータフローに対する動作を適用することが好適ならば適切なルーティングIDを選択するという能力を提供することが提案される。ダウンリンク方向に送信するIABノードのためのダウンリンクトラフィック対ルーティングIDマッピング設定テーブル、およびアップリンク方向に送信するIABノードのためのアップリンクトラフィック対ルーティングIDマッピング設定テーブルを設定する場合、IABドナーCUは、複製コマンド703が常にNoneとなるルーティングIDをいくつかのデータフローに割り当ててもよく、一方で、他のデータフローには、複製、ネットワーク符号化、または分割処理が後で適用されうる異なるルーティングIDを割り当てることができる。しかし、宛先IABノードに到達するためのデフォルトパスは、これらのデータフローの全てについて同じであってもよい。したがって、そのような設定は、同じパスを介して送信されるすべてのデータフローに、複製、ネットワーク符号化、または分割をシステマティックには適用しない柔軟性を提供する。
【0324】
変形例において、BAPサブレイヤ動作が適用されるときまたは適用されないときの制御が、IABドナーCUによって動的に駆動されうる。したがって、後者は受信されるべきBAPパケットのためのBAPサブレイヤ動作をアクティブ化または非アクティブ化するために、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンド(プロトコルメッセージ)をIABノードに送りうる。結果として、イニシエータおよびターミネータIABノードは、IABドナーCUから受信されたBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに基づいて、BAPサブレイヤ動作を実行するかどうかを制御する。さらに、イニシエータまたはターミネータは、IABドナーCUから、BAPサブレイヤ動作を非アクティブ化するBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドを後で受信したときに、BAPサブレイヤ動作(複製、ネットワーク符号化、分割)をすでに実行していることがある。これは、イニシエータにとって、複数RLCチャネルを介して同一のBAPルーティングIDを有して続いて受信されたBAPパケットを送信せず、それらが、複製されたり、ネットワーク符号化されたり、分割されたりしないことを意味する。ターミネータにとっては、その後に受信される冗長BAPパケットは、単一のオリジナルのBAPパケットを得るために処理されず;それらが逆複製またはネットワーク復号されず、すべて次ホップのIABノードに送信される。
【0325】
好ましくは、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが、受信BAPパケットを識別するBAPルーティングID(またはそれ以上)に関連して提供される。これは、一部のパケットフローの複製/ネットワーク符号化/分割を細かく制御するものである一方で、他のフローは処理されない。
【0326】
BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドは、たとえばOperation Activation IEと呼ばれる、専用の情報要素(IE)を使用して実装されうる。それは、値Trueを取るときにBAPサブレイヤ動作のアクティブ化を宣言し(IABノードはイニシエータまたはターミネータであり、したがって動作を適用しなければならない)、値Falseを取るときにBAPサブレイヤ動作の非アクティブ化を宣言する(したがってIABノードは動作の適用を停止しなければならない)、ブール値を有しうる。
【0327】
1つまたは複数の条件が、BAPサブレイヤ動作に関連付けられうる。1つまたは複数の条件が、BAPサブレイヤ動作をそれぞれアクティブ化または非アクティブ化するために満たされなければならない。その1つまたは複数の条件は、例えば、コマンドと同じメッセージにおいて又は別個のメッセージにおいて提供される、例えばOperation Conditionと呼ばれる、専用の情報要素(IE)を使用して宣言される。
【0328】
条件が宣言されていない場合、BAPサブレイヤ動作は、同さをアクティブ化する(それぞれ非アクティブ化する)コマンドの受信に応答して、宛先のIABノード(イニシエータまたはターミネータ)によって、即座に適用される(それぞれ停止される)。
【0329】
BAPサブレイヤ動作のアクティブ化または非アクティブ化をトリガするための様々な条件が、単独で、または組み合わせて、予定されうる。
【0330】
第1の例示的な条件は、タイミング情報に関する。これは、BAP-サブレイヤ動作がいつアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義する。たとえば、開始時間は、たとえば所与のBAPルーティングIDについて、イニシエータまたはターミネータが、いつBAPサブレイヤ動作を適用し始めるかを定義しうる。同様に、終了時間は、いつ動作の適用を停止するかを定義する。Activation Timing IEと呼ばれる専用のIEが、Operation Condition IEにおいて提供されうる。
【0331】
第2の例示的な条件は、無線フレーム識別子に関する。それは、BAPパケットを含む無線フレームのうちのいずれから、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義する。たとえば、第1の無線フレーム#Nは、イニシエータまたはターミネータが、たとえば所与のBAPルーティングIDについて、そのフレームに含まれるBAPパケットに対してBAPサブレイヤ動作を適用し始める第1の無線フレームを定義しうる。同様に、第2の無線フレーム#Mは、そのフレームからイニシエータまたはターミネータがそのフレームに含まれるBAPパケットに対するBAPサブレイヤ動作の適用を停止する、最後の無線フレームを定義しうる。Frame Identifier IEと呼ばれる専用のIEが、Operation Condition IEにおいて提供されうる。
【0332】
第3の例示的な条件は、BAPパケット識別子に関する。それは、どの受信BAPパケットから、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義する。それは、例えば、上記で使用されるシーケンス番号に依存しうる。一例として、イニシエータまたはターミネータは、SNがIABドナーCUによって以前に追加された1つの受信BAPパケットのそのSNの値が事前定義された開始SNに等しいとき、BAPパケットにBAPサブレイヤ動作を実際に適用することを開始する。変形例では、イニシエータまたはターミネータが、SNが特定の範囲内にある各BAPパケットに、BAPサブレイヤ動作を実際に適用する。同様に、イニシエータまたはターミネータは、IABドナーCUによって以前に追加された1つの受信BAPパケットのSNの値が終端SNに等しいとき、所与のBAPルーティングIDのためのBAPパケットへのBAPサブレイヤ動作の適用を停止する。変形例において、イニシエータまたはターミネータは、SNが範囲外であるか、または変形例では別の特定の範囲内である、各BAPパケットに対してBAPサブレイヤ動作を適用しない。Packet Identifier IEと呼ばれる専用のIEが、Operation Condition IEにおいて提供されうる。
【0333】
第4の例示的な条件は、BHリンク品質閾値に関する。それは、どの程度の出口リンクのリンク品質から、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化または非アクティブ化されるかを定義する。具体的には、関係する出口リンクは、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに関連するBAPルーティングIDに対応するものである。例えば、着信パケットを転送するためにイニシエータによって(表500に従って)通常使用される出口BHリンクが低品質(閾値未満)を経験する場合、そのイニシエータは、受信BAPパケットに対するBAPサブレイヤ動作の適用を開始する。同様に、着信パケットを転送するためにターミネータによって(表500に従って)通常使用される出口BHリンクが低品質(閾値未満)を経験する場合、そのターミネータは、例えば、BAPパケットを複製させるために、BAPサブレイヤ動作を適用しなくてもよい。逆に、イニシエータによって通常使用される出口BHリンクがより良好な品質(閾値を超える)を経験するとき、そのイニシエータは、BAPサブレイヤ動作の適用を停止しうる。
【0334】
これらの様々な条件のおかげで、IABドナーCUは、異なる時間においてIABネットワークの様々な部分における複製(またはネットワーク符号化もしくは分割)をトリガしうる。
【0335】
さらに、IABネットワークをよりスマートにすることができる。例えば、ノード601および604は、異なる条件を用いて、複製動作のための潜在的なイニシエータとして宣言されうる。たとえば、(たとえば、ネットワーク占有率に基づいて推定される)異なる日時において、BAPパケットの一部がBHリンク612および626を介して通過するように又は通過しないように、IABドナー601またはIABノード604によって複製が行われうる。当然ながら、上記の条件のうちの別のものを使用して、IABノードレベルでBAPサブレイヤ動作をアクティブ化する際にそのようなスマート制御を駆動することができる。
【0336】
Operation Activation IE(すなわち、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンド)および/またはOpearation Condition IEは、上述のように、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903において宛先IABノードに提供されうる。メッセージ903は、上述のテーブルまたはその一部を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0337】
いくつかの実施形態において、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903は、3GPPのTS38.473、v16.2.0に定義されているような、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、UE CONTEXT SETUP REQUESTメッセージ、またはUE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージである。
【0338】
図9aに示されるように、Operation Activation IE(すなわち、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンド)および/またはOperation Condition IEが、ACTIVATION REQUESTメッセージ950において、宛先のIAB-DU901に提供されうる。このメッセージは、この場合、Operation Activation IEおよびOperation Condition IEを含まない、CONFIGURATION REQUEST903に対する追加であってもよい(または追加でなくてもよい)。宛先のIAB-DU901は、無事に設定が行われたことを確認するために、1つまたは複数のACTIVATION RESPONSEメッセージ951で応答する。
【0339】
ACTIVATION REQUESTメッセージ950は、3GPPのTS38.473に関連するF1-APメッセージであってもよい。
【0340】
1つの実施形態において、3GPPのTS38.473 v16.2.0の9.2.9.1節及び9.2.9.2節に記載されているように、ACTIVATION REQUESTメッセージ950は、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージであり、ACTIVATION RESPONSEメッセージ951は、BAP MAPPING CONFIGURATION ACKNOWLEDGEメッセージである。
【0341】
Operation Activation IEおよびOperation Condition IEは、3GPPのTS38.473、v16.2.0に記載されているように、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージのBH Routing Information Added List IEにおけるオプションのIEとして宣言されうる。対応する宣言は、表6aのようにしうる。
【0342】
当然ながら、表6に関連して提示される追加のフィールドが、表6aに関連して提示される追加のフィールドを補足することができる。
【0343】
変形例において、3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.2.2.21節および9.2.2.2節に記載されているように、ACTIVATION REQUESTメッセージ950がUE CONTEXT SETUP REQUESTメッセージであり、ACTIVATION RESPONSEメッセージ951がUE CONTEXT SETUP RESPONSEメッセージである。
【0344】
別の変形例では、3GPPのTS38.473、v16.2.0の9.2.2.7節および9.2.2.8節に記載されているように、ACTIVATION REQUESTメッセージ950がUE CONTEXT MODIFICATION REQUESTメッセージであり、アクティベーション応答メッセージ951がUE CONTEXT MODIFICATION RESPONSEメッセージである。
【0345】
さらに別の変形例において、ACTIVATION REQUESTメッセージ950が3GPPのTS38.331で定義されているようなRRCメッセージである。
【0346】
さらに、図に示されるように、CONFIGURATION REQUESTメッセージ903またはACTIVATION REQUESTメッセージ950は、宛先のIAB-DU901によって以前に送信されたSTATUSメッセージ959に応答する。
【0347】
STATUSメッセージ959は、BHリンク品質レベルを報告しうる。たとえば、この宛先のIAB-DU901のための入口BHリンクおよび出口BHリンクの両方のうちの全部または一部に対応する、SINR(信号対干渉雑音比)レベルが示される。SINRレベルは、考慮されるすべてのBHリンクの最低のSINRレベルでありうる。
【0348】
変形例において、STATUSメッセージ959は、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化または非アクティブ化のための、宛先のIAB-DU901の明示的な要求を含む。専用のOperation Activation Request IEが、その目的のために使用されうる。
【0349】
例えば、STATUSメッセージ959は、3GPPのTS38.401の8.2.4節において定義されるような、UL RRC MESSAGE TRANSFERメッセージである。UL RRC MESSAGE TRANSFERメッセージは、測定されたSINRレベルを格納するMeasurementReportメッセージを含みうる。
【0350】
結果として、IABドナーCU902は、受信されたSTATUSメッセージ959に基づいて、宛先のIAB-DU901におけるBAPサブレイヤ動作のアクティブ化または非アクティブ化を命令することを決定しうる。
【0351】
後者が単一のBH出口リンクのみを有する一方で宛先のIAB-DU901において複数のBH出口リンクを必要とするBAPサブレイヤ動作をアクティブ化することが決定されたならば、IABドナーCU902は、宛先のIAB-DU901からの出口IABトポロジにおける冗長パスを確立するために、STATUSメッセージ959の受信に応答して、かつ、ACTIVATION REQUESTメッセージ950を送信する前に、3GPPのTS38.401の8.2.4節に定義されるCU内トポロジ冗長手順を実現しうる。特に、IABドナーCUは、宛先のIABノードにおいてIABノードからの2つ(またはそれ以上)の出口パスを必要とするBAPサブレイヤ動作をアクティブ化する前に、その宛先のIABノードにおいて少なくとも1つの冗長出口パスを確立することができる。
【0352】
上記の例は、IAB-ドナーCUによって送信される専用のメッセージを通して、IABノードレベルでBAPサブレイヤ動作をアクティブ化または非アクティブ化する。
【0353】
代替実施形態において、BAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドが、動作に従って処理するために、受信BAPパケットのうちの1つに直接含まれる。これは、有利には、コマンドを(BAPパケットのヘッダ内で定義される)所与のBAPルーティングIDに直接リンクする。さらに、IABドナーCUは、その後に、ACTIVATION REQUESTメッセージ950またはその均等物を送信する必要なしに、動作をアクティブ化または非アクティブ化するようにIAB-DUに通知しうる。
【0354】
図3は、上記で説明したBAPパケットまたはPDUのフォーマットを示す。
【0355】
いくつかの実施形態において、ビット302がBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドを伝達するために使用される:BAPサブレイヤ動作をアクティブ化するためにビットがTrueまたは1にセットされ、それを非アクティブ化するためにビットがFalseまたは0にセットされる。当然ながら、別のビットが同じ目的に使用されてもよい。ビット302が1に設定されたBAPパケットが通過する任意のIABノードは、BAPパケット(およびその対応するルーティングID305+306)のためにBAPサブレイヤ動作703(複製、ネットワーク符号化、分割)を適用する必要があるかを知るために、上述のそのBAPルーティング設定を使用してもよく、肯定的な場合に、パラメータ705を使用する。
【0356】
他の実施形態では、ビット302が、BAPパケットが通過するIABノードがフィールド307を解析しなければならないかをシグナリングするために使用される。
図3aに示されるように、フィールド307は、BAPサブレイヤ動作がアクティブ化される場合に、実行するためのBAPサブレイヤ動作を定義するBAPルーティング設定を含みうる。ただし、これは必須ではない。フィールド307は、BAPヘッダの一部であってもよい。
【0357】
ビット302は、上述のようにBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドに対応しうる:BAPサブレイヤ動作をアクティブ化するために、ビットがTrue又は1にセットされ、それを非アクティブ化するためにビットがFalse又は0にセットされる。その場合、フィールド307は、BAPサブレイヤ動作を適用するために使用するBAPルーティング設定を特に定義するためのフィールド371~378のみを有する。
【0358】
有利には、フィールド307は、様々なIABノードが(フィールド307から)それらの役割を知るために、ビット302がTrueに設定された、いくつかの連続するBAPパケットにおいて提供されうる。後続のBAPパケットは、フィールド307なしでTrueに設定されたビット302のみを有しうる。これらのBAPパケットは、BAPサブレイヤ動作によっても処理されるべきである。最後に、ビット302がFalseに設定された1つ(または複数)のBAPパケットが送信され、BAPサブレイヤ動作を終了する。これらのBAPパケットのすべてが、同一のルーティングID305+306を有する。
【0359】
変形例では、ビット302が、フィールド307が提供される(ビットがTrueまたは1にセットされる)か否か(ビットがFalseまたは0にセットされる)のみを示しうる。その場合、フィールド307は、フィールド370~378を含み、ここで、フィールド370はBAPサブレイヤ動作のアクティブ化/非アクティブ化コマンドを符号化する単一ビットであり:BAPサブレイヤ動作をアクティブ化するためにビットがTrue又は1にセットされ、それを非アクティブ化するためにビットがFalseまたは0にセットされる。
【0360】
ビット370がFalseに設定されるとき、フィールド371~378はオプションである。ビット370がTrueに設定されるとき、フィールド371~378のすべてまたは一部は、以下で説明されるように必須になりうる。
【0361】
フィールド371は、フィールド307のバイト長を提供する。
【0362】
フィールド372~376は、関係するBAPサブレイヤ動作のためのBAPルーティング設定を提供する。有利には、それは、イニシエータおよびターミネータの両方のためのBAPルーティング設定を定義する。
【0363】
フィールド372は、BAPサブレイヤ動作、すなわち、複製とネットワーク符号化と分割とのいずれかを示す。これは、イニシエータとターミネータとを区別することなく、上述のフィールド703と同様である。
【0364】
フィールド373は、定義されたBAPサブレイヤ動作のためのイニシエータIABノードのBAPアドレスを示す。これは、例えば、IABノード604でありうる。
【0365】
フィールド374は、定義されたBAPサブレイヤ動作のためのターミネータIABノードのBAPアドレスを示す。これは、例えば、IABノード608でありうる。
【0366】
有利には、BAPパケットがIABノードを通過するとき、後者はフィールド373および374を使用して、どの役割(イニシエータまたはターミネータのいずれか、またはいずれでもない)を果たす必要があるかを決定することができる。
【0367】
フィールド375は、BAPサブレイヤ動作のためのパラメータを含む。これは、上述のIE705と同様でありうる。
【0368】
フィールド376は、フィールド372において定義されたBAPサブレイヤ動作から生じるBAPパケットを送信するための、出口BHリンクを識別する1つまたは複数の次ホップのBAPアドレスについてのリストを示す。それは、イニシエータのためのIE714と同様でありうる。オプションで、IE704と同様であり、その場合、従来のバックホールルーティング設定テーブルが、次ホップのBAPアドレス、したがって、出口BHリンクを知るために使用されなければならない。
【0369】
オプションのフィールド377は、BAPサブレイヤ動作をアクティブ化/非アクティブ化するための1つ以上の条件、たとえばBHリンクのSINRレベル、を与える。これは、例えば、上で定義されたOperation Condition IEを含む。
【0370】
フィールド378は、上記の実施形態で提供されるようなシーケンス番号を含む:これは、一般に、イニシエータによって充填され、ターミネータによって除去される。それは、オリジナルのBAPパケットを取り出すために(BAPサブレイヤ動作に基づいて)処理されるべき冗長パケットを識別するために、ターミネータによってさらに使用される。
【0371】
フィールド307は、上述の実施形態における拡張バックホールルーティング設定テーブルの追加フィールド703~705/713~715を置き換える。その場合、次ホップのBAPアドレスが、(場合によっては従来のバックホールルーティング設定テーブルを使用して)フィールド376から取得される。そして、従来のBH RLCチャネルマッピング設定、アップリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定、またはダウンリンクトラフィック対BH RLCチャネルマッピング設定テーブル(
図5b~5d)、または対応する拡張テーブル(
図8)を使用して、既知の出口BHリンクから、出口BH RLCチャネルを決定することができる。
【0372】
ここで
図10を参照すると、IABノードのBAPサブレイヤにおいてBAPパケットのSNを管理するための例示的な方法1000が示されている。この方法は、例えばIABサブレイヤレベルでのネストされたパケット複製の場合のために、BAPパケットのヘッダへのシーケンス番号の条件付き挿入をサポートする。
【0373】
ステップ1001における方法の初期化の後、IABノードは、ステップ1002において処理すべきBAPパケットの到達を待ち受ける。
【0374】
着信BAPパケットが受信されると、IABノードは、ステップ1003において、拡張バックホールルーティング設定テーブル(あるいは、上記のフィールド307)を読み取り、ステップ1004において、どのプロセスが着信BAPパケットに適用されるべきかを判定する。具体的には、IABノードは、着信BAPパケットのBAPルーティングIDに一致するIE501を有するエントリから、IE703または713(あるいはフィールド373または374と共にフィールド372)を読み取る。
【0375】
冗長動作(例えば、複製またはネットワーク符号化)が適用されるべき場合、ステップ1005において、着信BAPパケットは、テーブル(例えば、ネットワーク符号化係数)から読み出されたパラメータ705(あるいは、フィールド375)に沿って、適切な処理エンジン(例えば、ネットワーク符号化器もしくは復号器、または複製器もしくは逆複製器)に送信される。
【0376】
次のステップ1006は、着信BAPパケットの処理の終了を待つことにある。処理を終了することができない(例えば、実行されるべきネットワーク復号のためにパケットが欠落している)場合、方法はステップ1002にループバックして、新しい着信BAPパケットを処理する。
【0377】
したがって、処理は、すべての必要なBAPパケットが受信されて処理されたときに終了することができる。逆複製の場合、最初に受信された複製は、転送されるオリジナルのBAPパケットを生成するために処理されてもよく、そのSNが記憶される。後に受信される同じSNを有する他の複製は、受信時に破棄される。
【0378】
処理が完了すると、IABノードは、ステップ1007において、結果として得られるBAPパケット(または複数のパケット)を取得する。複製イニシエータ、ネットワーク符号化イニシエータ、またはネットワーク符号化ターミネータの場合、いくつかの結果として生じるBAPパケットが存在しうる。
【0379】
ステップ1007の後、または冗長動作が実行されない場合(ステップ1004)、IABノードは、(着信または処理の結果の)BAPパケットが、宛先に到着したかをチェックする。
【0380】
これは、ヘッダ内のDESTINATIONフィールドがIABノードのBAPアドレスに対応する場合である。テストが肯定的である場合、ステップ1015において、ヘッダが除去され、各BAPパケットのデータセクションが上位レイヤに送信される。
【0381】
テスト1008が否定的である場合、BAPパケットは(IE704またはフィールド376および(アップリンク/ダウンリンク対)BH RLCチャネルマッピング設定テーブルのおかげで)上記で決定されたように、1つまたはいくつかの出口リンクおよびBH RLCチャネルを介して送信されなければならないことを意味する。
【0382】
ステップ1009において、IABノードは、バックホールルーティング設定テーブル(IE704)に含まれる情報に従って、各発信BAPパケットのヘッダに設定されるべきルーティングIDを決定する。必要に応じて、ヘッダは、使用されるべき新しいルーティングIDで更新される。
【0383】
次に、ステップ1010において、IABノードは、シーケンス番号が発信BAPパケットのヘッダに挿入されなければならないかをチェックする。これは、パラメータ705または375のSequence Number Insertionブール情報がTrueに設定されているかをチェックすることにある(イニシエータの場合のみ)。肯定の場合、上述のように、SN挿入がステップ1011において実行される。
【0384】
それ以外の場合、ステップ1012において、シーケンス番号がヘッダから除去されなければならないかがチェックされる。これは、パラメータ705または375におけるSequence Number Removalブール情報がTrueに設定されているかをチェックすることにある(ターミネータの場合のみ)。肯定の場合、上述のように、ステップ1013において除去が実行される。
【0385】
Sequence Number Insertion/Removalブール情報がFalseに設定されたならば、2つのテスト1010および1012は否定であり、したがって、SNのいかなる修正も行われない。
【0386】
最後に、ステップ1014において、バックホールルーティング設定テーブル(パケットのBAPルーティングIDと一致するエントリのIE502)に基づいて、各発信BAPパケットに対して出口リンクが選択される。また、従来のまたは拡張された(アップリンク/ダウンリンク対)BH RLCチャネルマッピング設定テーブルを用いて、各発信BAPパケットに対してBH RLCチャネルが選択される。その後、発信BAPパケットは、次ホップのBAPノードへの送信のために下位レイヤに送信される。次に、IABノードはステップ1002にループバックする。
【0387】
図11は、本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態による、通信装置または通信局の概略図を示している。
【0388】
通信装置1100は、好ましくは、マイクロコンピュータ、ワークステーション、または軽量携帯型デバイスなどのデバイスでありうる。通信装置1100は、以下が好適に接続される通信バス1113を備える:
-CPUと表示された、マイクロプロセッサなどの、中央演算処理装置1111;
-本発明を実装するためのコンピュータプログラムを記憶するための、ROMと表示された、読み出し専用メモリ1107;
-本発明の実施形態による方法の実行可能コードを記憶するための、RAMと表示された、ランダムアクセスメモリ1112、及び、本発明の実施形態による方法を実行するために必要な変数およびパラメータを記録するように適合されたレジスタ;
-デジタルデータパケットまたはフレームまたは制御フレームが送信される無線通信ネットワーク100、例えば、5G NRのためのリリース16による無線通信ネットワーク、に接続された少なくとも1つの通信インタフェース1102。フレームは、CPU1111において実行されるソフトウェアアプリケーションの制御下で、送信のために、RAM1112内のFIFO送信メモリからネットワークインタフェースに書き込まれる、または、受信のために、ネットワークインタフェースから読み出され、RAM1112におけるFIFO受信メモリへ書き込まれる。
【0389】
オプションで、通信装置1100は、以下の構成要素を含んでもよい:
-本発明の1つまたは複数の実施形態による方法を実装するためのコンピュータプログラムを記憶するための、ハードディスクなどの、データ記憶手段1104;
-ディスク1106のためのディスクドライブ1105であって、ディスクドライブは、ディスク1106からデータを読み取り、または、そのディスクにデータを書き込むように適合される;
-キーボード1110または任意の他のポインティング手段を用いて、デコードされたデータを表示し、及び/又は、ユーザとのグラフィカルインタフェースを提供する、画面1109。
【0390】
好ましくは、通信バスが、通信装置1100に含まれるか、またはそれに接続される様々なエレメント間の通信および相互運用性を提供する。バスとの表現は限定的ではなく、特に、中央演算装置は、通信装置1100の任意のエレメントに直接的に、または通信装置1100の別のエレメントを用いて命令を通信するように動作可能である。
【0391】
ディスク1106は、オプションで、例えばコンパクトディスク(CD-ROM)、書き換え可能又は書き換え不可能なコンパクトディスク、ZIPディスク、USBキー又はメモリカードのような任意の情報媒体によって、一般的な用語では、マイクロコンピュータ又はマイクロプロセッサによって読み取ることができる情報記憶手段によって置き換えられ、装置に組み込まれ、場合によっては取り外し可能であり、実行によって本発明の実施形態による方法を実装することを可能にする1つ以上のプログラムを記憶するように適合されうる。
【0392】
実行可能コードは、オプションで、読み出し専用メモリ1107、ハードディスク1104、または例えば上述のようなディスク1106などのリムーバブルデジタル媒体のいずれかに記憶されうる。オプションの変形例によれば、プログラムの実行可能コードは、実行される前に、ハードディスク1104などの通信装置1100の記憶手段のうちの1つに記憶するために、インタフェース1102を介して、通信ネットワーク1103を用いて受信されうる。
【0393】
中央演算処理装置1111は、好ましくは、本発明によるプログラムのソフトウェアコードの命令または一部の実行を制御及び指示するように適合され、命令は、上述の記憶手段のうちの1つに記憶される。電源投入時に、不揮発性メモリに、例えばハードディスク1104又は読み出し専用メモリ1107に記憶されたプログラムが、ランダムアクセスメモリ1112に転送され、このメモリはプログラムの実行可能コード、及び本発明を実施するために必要な変数及びパラメータを記憶するためのレジスタを含む。
【0394】
好ましい実施形態では、装置が本発明を実装するためのソフトウェアを使用するプログラム可能な装置である。しかしながら、代替的に、本発明はハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)の形式)で実現されてもよい。
【0395】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にある変形が当業者には明らかであろう。
【0396】
多くの更なる修正及び変更は、上記の例示的な実施形態を参照することにより、当業者に示唆されるものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ決定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。特に、必要に応じて、様々な実施形態からの異なる特徴を交換することができる。
【0397】
請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。異なる特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。