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特許7503221収縮布体払出装置、収縮布体払出方法、および収縮布体払出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】収縮布体払出装置、収縮布体払出方法、および収縮布体払出プログラム
(51)【国際特許分類】
   D06F 93/00 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
D06F93/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024026086
(22)【出願日】2024-02-25
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591234411
【氏名又は名称】株式会社白興商会
(74)【代理人】
【識別番号】100180426
【弁理士】
【氏名又は名称】剱物 英貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利也
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝司
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117732(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069247(WO,A1)
【文献】実用新案登録第2507047(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F93/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を前記布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置であって、
前記収縮布体払出装置は、
前記略矩形状の布体を搬送する前記ベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの上方であって、前記ベルトコンベアにより前記布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、前記布体を感知する複数のセンサと、
前記搬送方向において、前記布体が前記収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、前記布体が前記収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、前記複数のセンサより前記下流側に配置されるとともに、前記ベルトコンベアにより搬送された前記布体を前記搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
前記複数のセンサの中で前記直交方向の略中央部に位置する中央センサが前記布体を感知してから所定時間が経過した後に、前記複数のセンサの中で前記中央センサ以外のセンサである端センサが作動し、前記布体を感知した前記端センサのセンサ数である端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、前記払出装置が前記布体を前記搬送経路から払い出す
ことを特徴とする収縮布体払出装置。
【請求項2】
前記搬送方向から見た時に、前記中央センサの左右が対称となるように、前記左右の各々に、2個以上の前記端センサが等間隔で配置されており、
前記端センサは、前記布体が収縮する前における前記布体の前記直交方向の長さに前記端センサの間隔を足した長さの範囲内に2個以上が配置されており、
前記所定の閾値は、前記範囲内に配置されている前記端センサのセンサ数から2個を引いた値であり、
前記端センサ感知数が前記所定の閾値未満である場合、前記払出装置が前記布体を前記搬送経路から払い出す、
請求項1に記載の収縮布体払出装置。
【請求項3】
前記払出装置は、前記端センサ感知数が前記所定の閾値より2個以上小さい値である場合、前記布体を前記搬送経路から払い出さない、
請求項2に記載の収縮布体払出装置。
【請求項4】
前記収縮布体払出装置は、更に時計と制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記中央センサが前記布体を最初に感知した中央センサ感知信号を受信する中央センサ感知信号受信部と、
前記中央センサ感知信号受信部により前記中央センサ感知信号を受信した後、予め保存されている前記所定時間のデータを前記時計に送信する所定時間データ送信部と、
前記所定時間データ送信部が前記所定時間のデータを前記時計に送信してから前記所定時間が経過した後、前記時計から受信した所定時間経過信号を受信する所定時間経過信号受信部と、
前記所定時間経過信号受信部が前記所定時間経過信号を受信した後、前記端センサに作動信号を送信する端センサ作動信号送信部と、
前記端センサの作動により前記端センサが前記布体を感知した場合、前記端センサが感知した端センサ感知信号を受信する端センサ感知信号受信部と、
前記端センサ感知信号受信部により受信された前記端センサ感知信号に基づいて、前記端センサ感知信号を送信した前記端センサ感知数を取得する端センサ感知数取得部と、
前記端センサ感知数取得部により取得された前記端センサ感知数を、予め保存されている前記所定の閾値と比較する比較部と、
前記比較部により比較された結果、前記端センサ感知数が前記所定の閾値より小さい場合、前記払出装置に前記布体を前記搬送経路から払い出させる指示をする払出指示部と
を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の収縮布体払出装置。
【請求項5】
予め保存されている前記布体の前記直交方向の長さ、並びに前記端センサの間隔および位置情報を読み出し、前記長さ、前記間隔、および前記位置情報から基準端センサ数を算出する基準端センサ数算出部と、
前記基準端センサ数算出部により算出された前記基準端センサ数から2個を引いて閾値を算出する閾値算出部と
を備え、
前記比較部は前記端センサ感知部と前記閾値算出部により算出された前記閾値とを比較する、請求項4に記載の収縮布体払出装置。
【請求項6】
ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を前記布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置を用いた収縮布体払出方法であって、
前記収縮布体払出装置は、
前記略矩形状の布体を搬送する前記ベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの上方であって、前記ベルトコンベアにより前記布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、前記布体を感知する複数のセンサと、
前記搬送方向において、前記布体が前記収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、前記布体が前記収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、前記複数のセンサより前記下流側に配置されるとともに、前記ベルトコンベアにより搬送された前記布体を前記搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
前記複数のセンサの中で前記直交方向の略中央部に位置する中央センサが前記布体を感知してから所定時間が経過した後に、前記複数のセンサの中で前記中央センサ以外のセンサである端センサが作動し、前記布体を感知した前記端センサのセンサ数である端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、前記布体を前記搬送経路から払い出す
ことを特徴とする収縮布体払出方法。
【請求項7】
ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を前記布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置を制御するコンピュータに実行される収縮布体払出プログラムであって、
前記収縮布体払出装置は、
前記略矩形状の布体を搬送する前記ベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの上方であって、前記ベルトコンベアにより前記布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、前記布体を感知する複数のセンサと、
前記搬送方向において、前記布体が前記収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、前記布体が前記収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、前記複数のセンサより前記下流側に配置されるとともに、前記ベルトコンベアにより搬送された前記布体を前記搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
前記収縮布体払出装置は、更に時計と制御装置を備え、
前記制御装置により、
前記複数のセンサの中で前記直交方向の略中央部に位置する中央センサが前記布体を最初に感知した中央センサ感知信号を受信し、
前記中央センサ感知信号を受信した後、予め保存されている所定時間のデータを前記時計に送信し、
前記所定時間のデータを前記時計に送信してから前記所定時間が経過した後、前記時計から受信した所定時間経過信号を受信し、
前記所定時間経過信号を受信した後、前記複数のセンサの中で前記中央センサ以外のセンサである端センサに作動信号を送信し、
前記端センサの作動により前記端センサが前記布体を感知した場合、前記端センサが感知した端センサ感知信号を受信し、
前記端センサ感知信号に基づいて、前記端センサ感知信号を送信した前記端センサのセンサ数である端センサ感知数を取得し、
前記取得した前記端センサ感知数を予め保存されている所定の閾値と比較し、
前記比較した結果、前記端センサ感知数が前記所定の閾値より小さい場合、前記払出装置に前記布体を前記搬送経路から払い出させる手段
として機能させることを特徴とする収縮布体払出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収縮布体払出装置、収縮布体払出方法、および収縮布体払出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館などの宿泊施設では、シーツ、タオル、枕カバーなどの種々の大きさのリネン製品が用いられている。リネン製品は、洗濯後、ロールアイロナーによる熱プレス等で乾燥され、繰り返し利用される。
【0003】
繰り返し利用されるリネン製品には種々のサイズがある。宿泊料金の高騰を避けるために前述のような工程により半自動でクリーニングが行われている。ただ、このような半自動化においては、リネン製品のサイズも自動で判別する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、衣類の長さを確認する手段として、衣類がセンサを通過している時間と搬送速度から衣類の長さを確認する手段が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、折りたたまれたシーツの品物検出センサと幅検出センサが配設されており、幅検出センサの検出結果に応じて品物を区分する装置が開示されている。特許文献2の図1には、異なる幅を検出するためのセンサの下流側に品物検出センサが設けられており、品物が幅検出センサを通過した後に品物検出センサにより品物が検出される。また、特許文献2の図2によれば、幅検出センサより下流側に品物幅検出センサが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-51428号公報
【文献】実用新案登録第2507047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
布体などのリネン製品は、洗濯と熱プレスによる乾燥が繰り返し行われることにより徐々に収縮する。例えば、サイズが大きいシーツなどの布体は、ロールアイロナーにより高温加圧下で搬送されながら乾燥される際、搬送方向に張力を受けながら搬送される。このため、搬送方向に引張応力が加わり、シーツの搬送方向と直交する方向(以下、適宜、「直交方向」と称する。)の長さが収縮する。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の手段では、シーツなどの寸法を判別するため、布体の中央部に位置するようにセンサが設けられている。しかし、布体の中央部にセンサが配置されていたとしても、布体の直交方向の収縮を感知することはできない。
【0009】
また、特許文献2には、前述のように、幅検出センサより下流側に品物幅検出センサが配設されている。例えばこの装置を用いて角部が折れている布体を搬送する場合には、検出時期により布体の幅が異なるため、布体の幅を誤って検出してしまう恐れがある。
【0010】
さらに、特許文献2に記載の装置では、2つ折りや3つ折りに折り曲げられた布体のサイズを検出することを目的としている。しかし、この装置を用いて折り曲げられる前のシーツなどの布体を検出する場合には、布体の実情を鑑みると、問題がある。折り曲げられる前のシーツは、前述のように、高温加圧下で搬送方向に張力が加えられながら搬送される。このため、直交方向が収縮している布体や、更には搬送方向の端部がわずかに湾曲している布体などが混在する。また、前述のように、搬送時に角部が折れ曲がっている布体も混在する。
【0011】
このため、特許文献2に開示されている装置を用いる場合には、直交方向の幅が定まらず、搬送経路から払い出されるべき布体が製品として検出される懸念がある。また、これとは逆に、製品が不良品であると誤認されて製品が搬送経路から払い出される懸念がある。
【0012】
さらに、略矩形状のシーツなどの布体では、収縮を低減するため、側縁に沿って縫製されている。そして、この縫製部が搬送方向と直交する方向に向いた状態で搬送されることがある。ただ、ロールアイロナーによる乾燥が繰り返されると、布体の中間部の収縮が進行する。したがって、布体の中間部が著しく収縮しているとベッドメイキングに支障をきたすため、このようなシーツが出荷されないようにする必要がある。このように、製品価値が低下した布体が製品として出荷されないようにする装置が望まれている。
【0013】
本発明の課題は、ベルトコンベアで搬送されている布体の中で、著しく収縮している布体を布体の搬送経路から払い出すことができる収縮布体払出装置、収縮布体払出方法、および収縮布体払出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上述の搬送実情を踏まえると、上記課題を解決するためには、まずは、従来技術のように布体における規格化されたサイズを判断することのみを目的にすることから逸脱する必要があることに思い至った。そして、布体の収縮度合いをより正確に感知する手段が必要であることが着目された。
【0015】
具体的には、例えば、角部が折れ曲がっている場合に布体のサイズの判断を誤らないようにする必要があることが着目された。また、前述のように、布体の搬送方向に引張張力が加わり続けると、布体の搬送方向における端部より、布体の中間部の方が大きく収縮する。これは、例えばシーツなどのリネン製品は、通常端部を二重に縫製しており、中間部より収縮し難い構成であるためである。また、布体は、端部から中間部に向かって徐々に大きく収縮するため、側縁部が湾曲した状態になることがある。このため、従来技術のように、単に布体の端部のみをセンサで感知しただけでは、搬送される布体の現状を精度よく判断し、製品と不良品とを判断することはできない。そこで、搬送方向と直交する方向の長さが一定ではない場合であっても、収縮の程度を見積もる必要があることが着目された。
【0016】
つまり、角部が折れていたり、布体の中間部の収縮により側縁部が湾曲した布体であっても、湾曲がわずかであれば製品として出荷されるべきである。このため、製品として出荷されるべき布体であるかどうかを、より正確に判断する必要がある。
【0017】
ここで、角部の折れは、搬送時における搬送装置間の移動の際に偶発的に発生すると考えられる。また、布体の収縮度合は布体の使用回数などに応じて個々に異なる。布体の中間部が収縮している場合には、直交方向の長さが一定ではない。より正確な判断が行われるためには、布体の搬送が感知されるのと同時にその長さを感知しない方がよい。
【0018】
そこで、本発明者らは、布体の折れ曲がりや収縮度合によらず、製品として出荷されるべき布体であるかどうかを判断する手段として、布体を最初に検知した後、所定時間経過した後に、搬送方向と直交する方向の収縮度合いを測定することに思い至った。このような構成により、上記課題を解決することができ、本発明は完成された。本発明は以下のとおりである。
【0019】
(1) ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置であって、
収縮布体払出装置は、
略矩形状の布体を搬送するベルトコンベアと、
ベルトコンベアの上方であって、ベルトコンベアにより布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、布体を感知する複数のセンサと、
搬送方向において、布体が収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、布体が収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、複数のセンサより下流側に配置されるとともに、ベルトコンベアにより搬送された布体を搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
複数のセンサの中で直交方向の略中央部に位置する中央センサが布体を感知してから所定時間が経過した後に、複数のセンサの中で中央センサ以外のセンサである端センサが作動し、布体を感知した端センサのセンサ数である端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、払出装置が布体を搬送経路から払い出す
ことを特徴とする収縮布体払出装置。
【0020】
(2) 搬送方向から見た時に、中央センサの左右が対称となるように、左右の各々に、2個以上の端センサが等間隔で配置されており、
端センサは、布体が収縮する前における布体の直交方向の長さに端センサの間隔を足した長さの範囲内に2個以上が配置されており、
所定の閾値は、範囲内に配置されている端センサのセンサ数から2個を引いた値であり、
端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、払出装置が布体を搬送経路から払い出す、
上記(1)に記載の収縮布体払出装置。
【0021】
(3) 払出装置は、端センサ感知数が所定の閾値より2個以上小さい値である場合、布体を搬送経路から払い出さない、
上記(2)に記載の収縮布体払出装置。
【0022】
(4) 収縮布体払出装置は、更に時計と制御装置を備え、
制御装置は、
中央センサが布体を最初に感知した中央センサ感知信号を受信する中央センサ感知信号受信部と、
中央センサ感知信号受信部により中央センサ感知信号を受信した後、予め保存されている所定時間のデータを時計に送信する所定時間データ送信部と、
所定時間データ送信部が所定時間のデータを時計に送信してから所定時間が経過した後、時計から受信した所定時間経過信号を受信する所定時間経過信号受信部と、
所定時間経過信号受信部が所定時間経過信号を受信した後、端センサに作動信号を送信する端センサ作動信号送信部と、
端センサの作動により端センサが布体を感知した場合、端センサが感知した端センサ感知信号を受信する端センサ感知信号受信部と、
端センサ感知信号受信部により受信された端センサ感知信号に基づいて、端センサ感知信号を送信した端センサ感知数を取得する端センサ感知数取得部と、
端センサ感知数取得部により取得された端センサ感知数を、予め保存されている所定の閾値と比較する比較部と、
比較部により比較された結果、端センサ感知数が所定の閾値より小さい場合、払出装置に布体を搬送経路から払い出させる指示をする払出指示部と
を備える、上記(1)~上記(3)のいずれか1項に記載の収縮布体払出装置。
【0023】
(5) 予め保存されている布体の直交方向の長さ、並びに端センサの間隔および位置情報を読み出し、長さ、間隔、および位置情報から基準端センサ数を算出する基準端センサ数算出部と、
基準端センサ数算出部により算出された基準端センサ数から2個を引いて閾値を算出する閾値算出部と
を備え、
比較部は端センサ感知部と閾値算出部により算出された閾値とを比較する、上記(4)に記載の収縮布体払出装置。
【0024】
(6) ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置を用いた収縮布体払出方法であって、
収縮布体払出装置は、
略矩形状の布体を搬送するベルトコンベアと、
ベルトコンベアの上方であって、ベルトコンベアにより布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、布体を感知する複数のセンサと、
搬送方向において、布体が収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、布体が収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、複数のセンサより下流側に配置されるとともに、ベルトコンベアにより搬送された布体を搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
複数のセンサの中で直交方向の略中央部に位置する中央センサが布体を感知してから所定時間が経過した後に、複数のセンサの中で中央センサ以外のセンサである端センサが作動し、布体を感知した端センサのセンサ数である端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、布体を搬送経路から払い出す
ことを特徴とする収縮布体払出方法。
【0025】
(7) ベルトコンベアで搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体を布体の搬送経路から払い出す収縮布体払出装置を制御するコンピュータに実行される収縮布体払出プログラムであって、
収縮布体払出装置は、
略矩形状の布体を搬送するベルトコンベアと、
ベルトコンベアの上方であって、ベルトコンベアにより布体が搬送される方向である搬送方向と直交する直交方向に設けられており、布体を感知する複数のセンサと、
搬送方向において、布体が収縮布体払出装置に導入される側を上流側とし、布体が収縮布体払出装置から排出される側を下流側としたときに、複数のセンサより下流側に配置されるとともに、ベルトコンベアにより搬送された布体を搬送経路から払い出す払出装置と、
を備え、
収縮布体払出装置は、更に時計と制御装置を備え、
制御装置により、
複数のセンサの中で直交方向の略中央部に位置する中央センサが布体を最初に感知した中央センサ感知信号を受信し、
中央センサ感知信号を受信した後、予め保存されている所定時間のデータを時計に送信し、
所定時間のデータを時計に送信してから所定時間が経過した後、時計から受信した所定時間経過信号を受信し、
所定時間経過信号を受信した後、複数のセンサの中で中央センサ以外のセンサである端センサに作動信号を送信し、
端センサの作動により端センサが布体を感知した場合、端センサが感知した端センサ感知信号を受信し、
端センサ感知信号に基づいて、端センサ感知信号を送信した端センサのセンサ数である端センサ感知数を取得し、
取得した端センサ感知数を予め保存されている所定の閾値と比較し、
比較した結果、端センサ感知数が所定の閾値より小さい場合、払出装置に布体を搬送経路から払い出させる手段
として機能させることを特徴とする収縮布体払出プログラム。
【0026】
(8)端センサは、ベルトコンベアにおいて、直交方向における端から直交方向の長さの10~40%までの間に配置されている、上記(1)~上記(5)のいずれか1項に記載の収縮布体払出装置。
【0027】
(9)所定時間は0.1~5.0秒の間の時間である、上記(1)~上記(5)のいずれか1項に記載の収縮布体払出装置。
【0028】
(10)所定時間は、布体が布体の搬送方向の長さの10~50%の間の位置まで搬送された距離を、ベルトコンベアの搬送速度で除した時間が経過するまでの時間である、上記(1)~上記(5)のいずれか1項に記載の収縮布体払出装置。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、1枚目の正常な布体の先端が複数のセンサに差し掛かった状態を表す。
図2図2は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、1枚目の正常な布体が中央センサで感知された時刻から所定の時間が経過した後に、端センサが布体を感知している状態を表す。
図3図3は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、1枚目の正常な布体が複数のセンサを通過し終えるとともに、2枚目の正常な布体が複数のセンサに差し掛かろうとしている状態を表す。
図4図4は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、収縮布体の先端が複数のセンサに差し掛かった状態を表す。
図5図5は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、収縮布体が中央センサにおり感知されてから所定の時間が経過した後の状態を表す。
図6図6は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、1枚目の収縮布体が払出装置で搬送経路から払い出されている最中であるとともに、2枚目の正常な布体が複数のセンサに差し掛かろうとしている状態を表す。
図7図7は、本実施形態に係るベルトコンベアおよび収縮布体払出装置の側面図であり、収縮布体が矢印の方向に払い出される状態を表す。
図8図8は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、1枚目の収縮布体が払出装置により搬送経路から払い出され、2枚目の正常な布体が複数のセンサを通過している最中の状態を表す。
図9図9は、実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、収縮布体の幅が狭いために、端センサに感知されない状態を表す。
図10図10は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、正常な布体の先端が複数のセンサを通過している状態、および正常な布体がベルトコンベアのセンタからずれた位置で搬送された状態を表す。
図11図11は、本実施形態に係る収縮布体払出装置の上面模式図であり、正常な布体がベルトコンベアのセンタから更にずれた位置で搬送された状態を表す。
図12図12は、本実施形態に係る収縮布体払出装置を構成する制御装置のハードウエア構成を示す図である。
図13図13は、本実施形態に係る収縮布体払出装置を構成する制御装置の機能構成を示す図である。
図14図14は、本実施形態に係る収縮布体払出方法のフローチャートである。
図15図15は、好ましい実施形態に係る収縮布体払出装置を構成する制御装置の機能構成を示す図である。
図16図16は、好ましい実施形態に係る収縮布体払出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を、図を用いて詳しく説明する。本発明は本実施形態に限定されるものではない。以下で説明する種々の実施形態を組み合わせてもよい。
以下に説明する実施形態は、収縮布体払出装置の一例を示す。実施形態に係る収縮布体払出装置の動作は、収縮布体払出装置に接続されている汎用的なコンピュータの記憶装置にインストールされているか又は記憶装置に記録されたプログラムを読み出し、実行される。
【0031】
1.第一の実施形態
図1~9に示すように、第一の実施形態に係る収縮布体払出装置1、2は、ベルトコンベア11で搬送されている略矩形状の布体10-1、10-2、20-1、20-2、20-3、および20-4(以下、布体を総じて「布体10」と称する。)の中から、収縮している収縮布体20-1、および20-3を払い出す装置である。
【0032】
図1~9に示すように、収縮布体払出装置1、2は、ベルトコンベア11と、複数のセンサ12a~12i(以下、センサを総じて「センサ12」と称することがある。)と、払出装置14と、を備える。以下では、各構成について詳述する。
【0033】
(1) 布体
布体10は、例えば、シーツやタオルなどのリネン製品が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、布体10がシーツやタオルである場合には、洗濯後、ロールアイロナーによる熱プレス等で乾燥され、繰り返し利用される。
【0034】
布体10は、洗濯に水分を多く含んだ状態から乾燥が完了するまでの半乾燥状態で搬送方向13に引張応力を受けながら搬送される。したがって、布体10は、度重なる洗濯と乾燥により、例えば図4図6に示す収縮布体20-1のように、搬送方向13に若干伸びるとともに収縮布体20-1の中間部が収縮し、搬送方向13と直交する直交方向の幅が僅かに湾曲した形状に変形することがある。このため、布体10の変形を極力抑えるため、本実施形態では、収縮がなるべく抑制されるようにするため、布体10は、各々縫製部10-1a、10-2a、20-1a、20-2a(以下、適宜、「縫製部10a」と称することがある。)を備え、縫製部10aが搬送方向と直交する方向に向くように搬送されることが好ましい。
なお、図4~6では、布体20-1の中間部が湾曲していることを明確にするため、湾曲を大きく示している。
【0035】
ただ、縫製部10aが直交方向に向くように搬送されたとしても、直交方向の収縮は避けられない。布体20-1のように、搬送方向13の側縁部が湾曲しており、搬送方向13と直交する方向の長さが一定ではなく収縮した形態になることがある。さらに、搬送時に角部が折れ曲がることがある。本実施形態における布体10は、このような折れ曲がりや収縮による変形があるものを含む。
【0036】
布体10は略矩形であるが、収縮して窪んでいる収縮布体20-1、20-3を含む。図3に示すように、布体10の収縮の判断に関しては、センサ12の中で中央部に位置する中央センサ12aが布体10-1を感知してから所定時間が経過した後に、センサ12の中で中央センサ12a以外のセンサである端センサ12b~12iが作動して布体10-1を感知する。そして、布体10-1を感知した端センサ12b~12iの端センサ感知数と所定の閾値とを比較して布体10-1の収縮の度合いを判断することができる。
【0037】
例えば、図3の場合には、布体10-1は、幅が端センサ12bから端センサ12iまでの距離と同じであるため、端センサ12b~12iがすべて布体10-1を感知する。よって、端センサ感知数は8個となる。所定の閾値が6個である場合には、布体10-1は払出装置14により払い出されず、製品として取り扱われる。閾値については以下で詳述する。
【0038】
布体10は、角部が丸みを帯びていてもよい。長方形および正方形の両方が含まれる。布体の形状が長方形であってもよい。材質は布であるものの、リネン製品として一般に使用されている合成繊維であっても、本実施形態の布体に含まれる。
【0039】
(2) ベルトコンベア
本実施形態に係る収縮布体払出装置1、2は、布体10を搬送するベルトコンベア11を備える。ベルトコンベア11の幅は、布体10がベルトコンベア11からはみ出ないような幅であることが好ましい。例えば、布体10がシーツである場合には、縫製部10aを備える側縁部の長さは、収縮前では概ね一定である。このため、ベルトコンベア11の幅は、縫製部10aの長さより少し大きければよい。
【0040】
ベルトコンベア11の搬送速度は、制御装置15により制御されていてもよく、設定により適宜調整される。10~100cm/秒の範囲であればよい。
ベルトコンベア11の上流側には、ロールアイロナーにより乾燥された布体10を導入する、不図示の一般的な導入機構が設けられていてもよい。
【0041】
(3) 複数のセンサ
ベルトコンベア11の上方には、複数のセンサ12a~12iが設けられている。複数のセンサ12は、ベルトコンベア11の上方であって、ベルトコンベア11により搬送される方向である搬送方向13と直交する直交方向に設けられている。また、複数のセンサ12は、搬送方向13の直交方向に配置されている。
【0042】
図1図9では、一列だけ設けられているが、収縮度合いをより正確に感知するためには、搬送方向と直交する方向に複数列のセンサ12が設けられていてもよい。また、複数のセンサ12は、直交方向において、左右対称に配置されていてもよい。
【0043】
例えば図1に示すように、搬送されている布体10-1がセンサ12を通過し始めると、センサ12の中で、中央部に位置する中央センサ12aが布体10-1を感知する。中央センサ12aは、ベルトコンベア11の幅方向の略中央部に配置されている。中央センサ12aが布体10を感知して所定の時間が経過した後、中央センサ12a以外の端センサ12b~12iが作動して布体10を感知する。複数のセンサが布体10-1を感知すると、感知した複数のセンサは、感知信号を送信する。本実施形態では、中央センサ12aは常時作動し、端センサ12b~12iは、中央センサ12aにより布体10-1が感知され、所定の時間が経過した後に作動する。
【0044】
センサ12のセンサ数は多く配置されているほど好ましい。7個以上が好ましく、図1~9に示すように9個以上が配置されていてもよく、11個以上、もしくは13個以上が配置されていればよい。例えば、図1~9に示すように、9個のセンサが配置されている場合には、1個の中央センサ12aと8個の端センサ12b~12iで構成されていてもよい。この場合、端センサ12b~12iが4個ずつ左右対称に配置されていてもよい。搬送方向13から見た時に、中央センサ12aから左右対称に、左右の各々に、2個以上が等間隔で配置されていればよい。布体10-1において、搬送方向13と直交する方向の収縮度合いを正確に感知するためには、可能な限り多くのセンサが配置されていることが最も好ましい。
【0045】
センサ数を抑えるとともに、より精度よく布体10の収縮を感知するためには、例えば図4図6図8、及び図9に示すように、端センサ12b~12iがベルトコンベア11の端部に密集した状態になるように配置されていてもよい。端センサ12b~12iは、例えば図8に示すように、布体20-2において、搬送方向と直交する方向における端部から直交方向の長さの10~40%までの間に配置されていることが好ましい。このような配置であれば、布体20-2の収縮度合いをより正確に感知することができる。布体10の収縮前の大きさにより払い出される収縮度合いは異なるが、この範囲で端センサ12b~12iが配置されていれば、より正確に収縮している所定のサイズの布体10の収縮度合いを感知することができる。
【0046】
また、図4図6図8、及び図9~11に示すように、端センサ12b~12iがベルトコンベア11の側端部に密集した状態で配置されている場合には、搬送される布体10のサイズに応じて端センサ12b~12iを適宜移動することができるようにしてもよい。すなわち、端センサ12b~12iが搬送方向と直交する方向に移動可能なようにされていてもよい。その位置は、手動で調整してもよく、後述する制御装置15により制御可能としてもよい。端センサ12b~12iの位置調整手段は、例えば、インクジェット印刷機のインクジェットヘッドの移動手段を用いてもよく、後述する制御装置15により自動的に制御してもよい。
【0047】
更には、図10および図11に示すように、両端の端センサ12bと12iがベルトコンベア11の側端部上に配置されていてもよい。この配置であれば、布体20-4’がベルトコンベア11のいずれか一方に大きく寄った状態で搬送されたとしても、布体20-4’を感知することができる。
【0048】
なお、例えば8個以上の端センサが設けられている場合には、図1~3に示すように、端センサ12b~12iが等間隔に配置されていてもよい。等間隔に配置されていれば、端センサ12b~12iの位置を調整しなくても布体10の収縮度合いを見積もることができる。端センサの間隔は、5~100mm程度であればよい。この範囲内であれば、布体10の払出しを精度よく判断することができる。
【0049】
また、端センサ12b~12iは、中央センサ12aの下流側であって、且つ払出装置14より上流側に一列に配置されていてもよい。布体10が中央センサ12aに感知された後に、端センサ12b~12iで布体10の搬送方向13と直交する方向の収縮度合いを感知した方がよいためである。このような配列であっても、中央センサ12aで布体10を感知し所定時間が経過した後に端センサ12b~12iが作動し布体10を感知することに変わりはない。
【0050】
なお、本実施形態の課題を解決するためには、従来技術のように、中央センサ12aの上流側に端センサ12b~12iを配置しない方がよい。従来の端センサは布体のサイズを判断するためのものであり、布体の収縮度合いを感知するためではないためである。つまり、布体のサイズを判断するためには、布体の搬送方向における先端部が感知されればよく、先端部が最初に感知されてから所定時間経過後に感知される必要がないためである。
【0051】
例えば、図9に示すように、収縮度合いが著しい収縮布体20-3が搬送された場合、中央センサ12aより上流側に端センサ12b~12iが配置されていると、上流側に配置された端センサ12b~12iが布体20-3の先端部を感知することになるため、正常な布体であると認定してしまう。布体20-3の収縮度合いが端センサ12b~12iで感知されるためには、中央センサ12aで布体20-3を感知した後、所定時間が経過した後に、端センサ12b~12iで布体20-3を感知する必要がある。したがって、従来技術のように、中央センサ12aの上流側に端センサ12b~12iを配置しない方がよい。
【0052】
また、図9に示すように、布体20-3が端センサ12b~12iにより感知することができない程度に著しく収縮している場合には、端センサ感知数は0個になるため、布体20-3は搬送経路から払い出される。こうすれば、図4~6に示すように、端センサ12b~12iがベルトコンベア11の端に密になるように配置されている場合、図9に示すように、著しく収縮している布体20-3が搬送されたとしても、払い出されるか否かを判断することができる。
【0053】
本実施形態における所定時間とは、例えば、中央センサ12aが布体10を感知してから0.1~5.0秒の間の時間であってもよく、0.2~5.0秒の間であってもよい。例えば、3.0秒に設定した場合には、中央センサ12aが布体10を感知してから3.0秒後に端センサ12b~12iにより布体10の搬送方向13と直交する方向の収縮度合いを感知することになる。
【0054】
または、所定時間とは、布体10が布体10の搬送方向13の長さの10~50%の間の位置まで搬送された距離を、ベルトコンベア11の搬送速度で除した時間が経過するまでの時間であってもよい。例えば、布体10が搬送方向の長さの30%の位置まで搬送された距離が60cmであり、ベルトコンベアの速度が30cm/秒であった場合には、所定の時間は、60(cm)/30cm(cm/秒)=2秒となる。
【0055】
また、布体10の角部が折れ曲がっているとしても、上記長さの範囲に及ぶほどの大きな折れ曲がりは発生しない。
したがって、本実施形態における所定時間は、布体10が布体10の搬送方向13と直交する直交方向の収縮度合いをより正確に感知するために必要な時間である。
【0056】
本実施形態で用いられている複数のセンサ12a~12iは、ベルトコンベア11上の布体10に向けて赤外線などを照射し、布体10が通過する際に布体10を感知する。
【0057】
(4) 払出装置
払出装置14は、前述のように、ベルトコンベア11の下流側に配置されており、ベルトコンベア11により搬送された布体10を布体の搬送経路から払い出す機構を備える。例えば図6に示すように、端センサ感知数が所定の閾値未満である布体20-1が払出装置14に差し掛かると、払出装置14が下方に傾き、布体20-1が搬送経路から払い出される。
【0058】
図7は、本実施形態に係るベルトコンベア11および収縮布体払出装置2の側面図であり、収縮布体20-1が矢印の方向に払い出される状態を表す。図7では、払出装置14の一例を示す。図7に示すように、払出装置14は、例えば、ベルトコンベア11と一連に配置されていてもよく、搬送方向13の下流側部分14aが上下に可動するように構成されていてもよい。払出装置14が図7に示すような状態では、端センサ感知数が所定の閾値未満の布体20-1が矢印13-1の方向に搬送される。そして、布体20-1が図7の下方に搬送されることにより、製品として搬送される搬送方向13から払い出される。
【0059】
このように、搬送方向13と直交する方向の収縮の度合いが著しい収縮布体20-1は、リネン製品としての商品価値が低いため、製品として出荷されないようにする必要がある。一方で、収縮が過度に進行していないものの、角部が折れ曲がった状態で搬送された布体10は、製品として商品価値は十分に残っている。このため、収縮の度合いを1枚ずつ確認し、リネン製品としての商品価値があるものを製品として出荷することが望まれている。実施形態では、そのような需要に対応可能な装置などを提供することができる。
【0060】
(5) 所定の閾値
本実施形態における所定の閾値は、布体10が収縮する前における布体10の搬送方向と直交する方向の長さ以下の範囲内に位置する端センサのセンサ数から1個以上を引いた値であってもよい。例えば、布体10の直交方向の長さが2000mmであり、ベルトコンベア11の端部に最も近い端センサ12iから12bまでの長さが2000mmである場合について説明する。この場合、閾値である端センサ感知数は8個に設定されてもよい。布体10がわずかに収縮すると、布体10を感知したセンサ数が7個に低減することがある。ただ、わずかに収縮した布体10は、例えば布体10がシーツであればベッドメイキングに支障をきたさないため、コストを鑑みると、製品として出荷した方がよい。
【0061】
そこで、例えば、搬送方向と直交する方向の収縮が50mmを超えるものが払い出す対象として取り扱われることを説明する。布体10が50mmを超えて収縮すると、布体10により感知された端センサ感知数が閾値である端センサ感知数より少なくとも1個以上少なくなるため、布体10が払い出されることになる。
【0062】
このように、本実施形態では、布体10を感知した端センサ数である端センサ感知数と、閾値として設定された端センサ感知数と、の差により、収縮の度合いを判断することができる。なお、この差が大きすぎる場合には、その布体10は払い出しの対象になるか、もしくは、布体10のサイズが判断対象のサイズではないと判断し、製品として搬送することもできる。
【0063】
本実施形態における所定の閾値は、布体10が収縮する前における直交方向の長さに隣り合う端センサ12b~12e、もしくは12f~12iの間隔を足した長さ以下の範囲内に位置する端センサのセンサ数から2を引いた値であることが好ましい。この好ましい所定の閾値は、布体10の搬送方向13から見た時に、中央センサから左右対称となるように、左右の各々に、2個以上の端センサが等間隔で配置されている場合には、布体10が払い出される対象か否かをより精度よく判断することができる。好ましくは、左右の各々に4個以上であり、より好ましくは6個以上である。左右の各々に配置される端センサ数の上限は特に限定されないが、ベルトコンベア11の直交方向の長さに応じて適宜設定されてもよい。
【0064】
例えば、図10において、布体20-4の幅である直交方向の長さが1800mmであり、端センサ12cから12hまでの長さが1800mmであり、端センサ12b~12e、もしくは12f~12iの間隔が各々50mmであり、布体20-4の直交方向の長さが50mmを超えて減少した場合に払い出す状況について説明する。この場合、閾値を定めるための基準端センサ数は、布体20-4における直交方向の長さである1800mmに端センサ12cと端センサ12dとの間隔である50mmを足した長さである1850mmの範囲内にある、端センサ12cから端センサ12hまでの合計6個となる。
【0065】
例えば、図10に示すように、布体20-4’が搬送方向13の左側に寄った状態で搬送される場合には、搬送方向13の右側に50mmを足すことが好ましい。一方、布体20-4’が搬送方向13の右側に寄った状態で搬送される場合には、左側に50mmを足すことが好ましい。このように、布体20-4’が寄った側とは反対側に端センサの間隔を足すことによって、足した長さの範囲がベルトコンベア11からはみ出さないようにすることができる。
【0066】
したがって、所定の閾値である端センサ感知数は、6個(基準端センサ数)-2個=4個としてもよい。基準端センサ数から2個を引いた個数を閾値としての端センサ数とする理由は以下のとおりである。
【0067】
図10の布体20-4のように、両側端部の各々が、端センサ12cおよび端センサ12hの真下を通過する場合には、端センサ12c~12hの合計6個が布体を感知します。ただ、布体20-4が少しでも収縮すると、端センサ12cと端センサ12hが布体20-4を感知しないため、端センサ12d~12gの合計4個だけがわずかに収縮した布体を感知する。このようにわずかに収縮した布体が製品として取り扱われるようにするため、「1個」を引くのではなく、「2個」を引くことが好ましい。
【0068】
所定の閾値がこのように設定されると、例えば図10の布体20-4’に示すように、布体20-4’のセンタがベルトコンベア11の中央部からずれて搬送された場合であっても、製品である布体20-4‘が払い出されずに済む。更には、布体20-4’がわずかに収縮した場合であっても、わずかに収縮した布体が払い出されずに済む。これは、以下のとおりである。図10に示すように、布体20-4’の右側端部は、端センサ12cと端センサ12dとの間を通過する。また、布体20-4’の左側端部は、端センサ12hと端センサ12iとの間を通過する。このような場合には、端センサ感知数が5個になる。そこで、閾値としての端センサ感知数は、6個-2個=4個にすることが好ましい。
【0069】
図10の布体20-4’が更に端センサに近寄った位置で搬送される場合を、図11を用いて説明する。例えば図11に示すように、布体20-4’’の側端部が端センサ12dと端センサ12iに感知されない程度にまで接近した位置を通過する場合には、以下のような状況が想定される。例えば、布体20-4’’が50mmより少ない程度にわずかに収縮すると、端センサ12dが布体を感知せず、端センサ12eから端センサ12gの合計4個の端センサが布体を感知することになる。仮に、閾値としての端センサ数が、基準端センサ数である6個から1個を引いた5個として設定された場合には、前述のようにわずかに収縮しただけで端センサ感知数が4個になるため、払い出される対象になり得る。しかし、前述のように、閾値である端センサ感知数が、基準端センサ数から2個を引いた4個に設定されると、端センサ感知数が4個である布体は、払い出さずに製品として搬送される。
【0070】
また、このような閾値が設定される更に好ましい態様としては、搬送方向から見た時に、中央センサ12aから左右対称となるように、左右の各々に、2個以上の端センサが等間隔で配置されており、端センサは、布体10が収縮する前における直交方向の長さに端センサの間隔を足した長さの範囲内に2個以上が配置されるとともに、この長さの範囲から外れる位置に、左右各々1個以上が配置される態様が挙げられる。この態様では、布体10のセンタが大幅にずれてしまい、ベルトコンベア11のいずれかの端に寄って搬送された場合であっても、端センサ感知数が無用に減ることがなく、布体10の収縮の度合いを判断することができる。
【0071】
本実施形態において、払出装置14は、端センサ数が前述の所定の閾値より2個以上小さい値である場合、布体を搬送経路から払い出さないようにしてもよい。収縮布体払出装置に布体のサイズを問わず布体を導入する場合、例えば、Lサイズ以上のシーツのみ検査を行い、Sサイズのシーツについては製品とすることができる。このように判断させる場合には、閾値を、布体10のサイズに応じて3個以上小さい値、もしくは4個以上小さい値に設定することができる。
【0072】
また、本実施形態では、端センサ感知数が閾値より2個以上大きい場合にはすべて製品として取り扱うため、Sサイズの布体10のみ検査を行い、Lサイズ以上のシーツについては製品として搬送することもできる。これも前述と同様に、布体10のサイズに応じて3個以上小さい値、もしくは4個以上小さい値に設定することができる。
【0073】
(6) 制御装置
本実施形態に係る収縮布体払出装置1は、収縮布体払出装置1を制御する制御装置15を備えてもよい。制御装置15は、いわゆるコンピュータであり、収縮布体払出装置1の動作を制御する。制御装置15を以下で詳述する。
【0074】
(5-1) 制御装置のハードウエア構成
図12は、本実施形態に係る収縮布体払出装置を構成する制御装置15のハードウエア構成を示す図である。制御装置15は、種々の処理を行うCPU(Central ProcessingUnit)15a、メモリ15b、不揮発性の記憶装置15c、キーボードやマイク等の入力装置15d、モニタ15e、および入出力インタフェース15f、時計15gを備える。
【0075】
CPU15aは、記憶装置15cに記憶されているプログラムをメモリ15bにロードして実行する。後述される各機能はCPU15aにより実行される。記憶装置15cは、プログラムの他に、各種データを記憶する。記憶装置15cは、ROM(Random Access Memory)等の不揮発性メモリや、演算装置50に外部から接続可能なHDD等である。また、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROMなど磁気的、光学的に記憶を行うものなどを主として、プログラムが記憶可能なメディアであればよい。
【0076】
記憶装置15cに記憶されているプログラムは、メモリ15bにロードされる。入力装置15dは情報入力のための装置である。CPU15aの実行結果等はモニタ15eに表示される。入出力インタフェース15fは、センサ12からの感知データを受信し、また、外部装置にデータを送信するためのインタフェースである。
【0077】
時計15gは、コンピュータネットワークを用いた同期等により時刻設定を行うことができる。本実施形態では、中央センサ12aから初期感知データを受信してから所定時間を計るためのタイマーとして利用することができる。例えば、時計15gは、入出力インタフェース15fで入力されて記憶装置15cに保存された所定時間のデータを受信すると、時計15gが有するタイマー機能により所定時間が経過した後、所定時間経過信号を後述する制御装置に送信する。
以下では制御装置15の機能を詳述する。なお、各実施形態は互いに組み合わせることができ、各実施形態に記載されている態様のみに限定されることはない。
【0078】
(5-2) 制御装置の機能構成
図13は、本実施形態に係る収縮布体払出装置1を構成する制御装置15の機能構成を示す図である。制御装置15は、中央センサ感知信号受信部150a、所定時間データ送信部150b、所定時間経過信号受信部150c、端センサ作動信号送信部150d、端センサ感知信号受信部150e、端センサ感知数取得部150f、比較部150g、および払出指示部150hを備える。これら機能は前述したハードウエア資源の協働により実現される。各機能構成を、図1~3、図5~7、図12~14を用いて説明する。
【0079】
(5-3) 制御装置の動作
図14は、実施形態に係る収縮布体払出方法のフローチャートである。下記ステップ番号は、図14に記載のステップ番号である。
まず、図1に示すように、布体10-1の先端が中央センサ12aに到達し、中央センサ12aが布体10-1を感知すると、中央センサ感知信号受信部150aは、中央センサ12aから中央センサ感知信号を受信する(S151)。
【0080】
所定時間データ送信部150bは、中央センサ感知信号受信部150aにより中央センサ感知信号を受信した後、予め図12の記憶装置に記憶されている所定時間のデータを読み出し、時計15gに送信する(S152)。所定時間経過信号受信部150cは、中央センサ感知信号受信部150aが中央センサ感知信号を受信してから所定時間が経過した後、詳細には所定時間データ送信部150bが所定時間のデータを時計15gに送信した後、時計15gから所定時間経過信号を受信する(S153)。
【0081】
端センサ作動信号送信部150dは、所定時間経過信号受信部150cが所定時間経過信号を受信した後、端センサ12b~12iに作動信号を送信する(S154)。端センサ感知信号受信部150eは、端センサ12b~12iの作動により、端センサ12b~12iの中で、布体10-1を感知した端センサから送信された端センサ感知信号を受信する(S155)。
【0082】
例えば、図2に示すように、端センサ12b~12iのすべての端センサが布体10-1を感知した場合、端センサ感知信号受信部150eは、すべての端センサ12b~12iから端センサ感知信号を受信する。また、図5に示すように、端センサ12eおよび端センサ12fのみが布体20-1を感知した場合、端センサ感知信号受信部150eは、端センサ12eおよび端センサ12fのみから端センサ感知信号を受信する。
【0083】
端センサ感知数取得部150fは、端センサ感知信号受信部150eで受信した端センサ感知信号の数から端センサ感知数を取得する(S156)。例えば、端センサ感知信号には端センサの情報が含まれており、端センサ感知信号を送信した端センサを特定することができる。端センサ感知数取得部150fは、端センサ感知信号を送信した端センサ感知数の個数を、布体10を感知した端センサ感知数として取得することができる。
【0084】
比較部150gは、端センサ感知数を比較するための所定の閾値を記憶装置15cから取得し、端センサ感知数と閾値を比較する(S157)。比較の結果、端センサ感知数が閾値より小さい場合には(S157、yes)、払出指示部150hは、払出装置14に払出信号を送信することにより、払出装置14を動作させる。払出装置14が図6および図7に記載のように動作することにより、布体20-1は、図7に示す矢印の方向に搬送され、搬送経路から払い出される。
【0085】
一方、端センサ感知数が閾値以上である場合には(S157、no)、著しい収縮はみられないと判断し、終了する。この場合、図3に示すように、布体10-1は収縮布体払出装置1、2の下流側に搬送される。
【0086】
(5-4) 制御装置の好ましい動作
実施形態に係る収縮布体払出装置は、搬送される布体の搬送位置が、搬送方向から見たときに、ベルトコンベアの中央部からずれている場合であっても、製品が出荷されるようにするため、前述のように、閾値を設定することが好ましい。
【0087】
図15は、好ましい実施形態に係る収縮布体払出装置を構成する制御装置の機能構成を示す図である。図15に示すように、制御装置160は、図13と比較して、基準端センサ数算出部160i、及び閾値算出部160jを備える。
【0088】
図16は、好ましい実施形態に係る収縮布体払出方法のフローチャートである。これは、前述の閾値の好ましい態様での説明と同様に、図14と比較して、閾値が布体10の情報と端センサ20b~20iの情報に基づいて算出される点で異なる。図16のS161~S166は、図14と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
基準端センサ数算出部160iは、予め入出力インタフェース15fを介して記憶装置15cに保存されている布体20-4’における収縮する前の直交方向の長さ、並びに端センサの間隔および位置情報を取得し、基準端センサ数を算出する(S169)。詳細には、例えば、図10において、布体20-4’の直交方向の長さが1800mmである場合には、この長さが記憶装置15cに保存されている。また、搬送方向13において、右端から順に、50mm間隔で、端センサ12b、12c、12d、12e、左端から順に、端センサ12i、12h、12g、12fが配置されている場合には、各端センサの位置がベルトコンベア11の端からの距離として、記憶装置15cに保存されている。
【0090】
この場合、閾値を定めるための基準端センサ数は、布体20-4’における直交方向の長さである1800mmに、端センサの間隔である50mmを搬送方向13の右側に足した長さである1850mmの範囲内にある、端センサ12cから端センサ12hまでの合計6個となる。したがって、図10および図11に示す布体20-4’や布体20-4’’のように、ベルトコンベア11の左右どちらかによって搬送された場合であっても、基準端センサ数算出部160iは、このようにして、基準端センサ数を算出することができる。
【0091】
閾値算出部160jは、基準端センサ数算出部160iにより算出された基準端センサ数から2個を引いて閾値を算出する(S170)。前述の例では、所定の閾値である端センサ感知数は、6個(基準端センサ数)-2個=4個としてもよい。
【0092】
比較部160gは、端センサ感知数取得部160fで取得された端センサ感知数と、閾値算出部160jで算出された閾値とを比較する(167)。これ以降は、図14での説明と同様であるため、省略する。
【符号の説明】
【0093】
1,2,3 収縮布体払出装置
10(10-1,10-2,20-2,20-4,20-4’,20-4’’) 布体
20-1,20-3 (収縮)布体
10a(10-1a,10-2a,20-1a,20-2a,20-3a) 縫製部
11 ベルトコンベア
12(12a,12b,12c,12d,12e,12f,12h,12i) センサ中央センサ 12a
12b,12c,12d,12e,12f,12h,12i 端センサ
13 搬送方向
14 払出装置
15,150,160 制御装置
15a CPU(Central Processing Unit)
15b 入力装置
15c 記憶装置
15d メモリ
15e モニタ
15f 入出力インタフェース
15g 時計
150a,160a 中央センサ感知信号受信部
150b,160b 所定時間データ送信部
150c,160c 所定時間経過信号受信部
150d,160d 端センサ作動信号送信部
150e,160e 端センサ感知信号受信部
150f,160f 端センサ感知数取得部
150g,160g 比較部
150h,160h 払出指示部
160i 基準端センサ数算出部
160j 閾値算出部
【要約】      (修正有)
【課題】ベルトコンベアで搬送されている布体の中で、著しく収縮している布体を布体の搬送経路から払い出すことができる収縮布体払出装置、収縮布体払出方法、および収縮布体払出プログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、ベルトコンベア11で搬送されている略矩形状の布体の中から、収縮している布体20-1aを払い出す収縮布体払出装置である。収縮布体払出装置は、ベルトコンベア11と、複数のセンサ12a~12iと、払出装置14と、を備える。中央センサ12aが布体20-1aを感知してから所定時間が経過した後に、端センサ12b~12iが作動し、布体20-1aを感知した端センサ12b~12iのセンサ数である端センサ感知数が所定の閾値未満である場合、払出装置14が布体を搬送経路から払い出す。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16