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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】医療用閉鎖デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021516654
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019024065
(87)【国際公開番号】W WO2020060587
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/075716
(32)【優先日】2018-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501393966
【氏名又は名称】ウニヴェルジテート・チューリッヒ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAET ZUERICH
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】マイサノ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】グィドッティ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】トビス、イダン
(72)【発明者】
【氏名】ザルバタニー、デヴィッド
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277426(US,A1)
【文献】特表2012-529310(JP,A)
【文献】特表平10-500873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0177130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心血管欠損を塞ぐための、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための装置であって、当該装置は、ガイドワイヤーおよび送達システムとともに用いるためのものであり、当該装置は閉鎖デバイスを有し、該閉鎖デバイスは:
柔軟なバルーンを有し、該柔軟なバルーンは、流体密封バルーンチャンバーを定めており、かつ、膨張ポートを有し、該膨張ポートは、前記バルーンチャンバーの中を流体で満たし、かつ、前記バルーンチャンバーの中に流体がないようにするためのものであり;
前記バルーンの遠位側に配置された遠位先端部要素と、前記バルーンの近位側に配置された近位基部要素を有し;
細長い要素を有し、該細長い要素は固定された長さを有し、かつ、前記遠位先端部要素および前記近位基部要素に固定されて、前記遠位先端部要素と前記近位基部要素との間の固定された距離を設定するようになっており;かつ、
近位接続要素を有し、該近位接続要素は、前記バルーンの前記近位側に配置されており、かつ、該近位接続要素は、前記送達システムの対応して構成された遠位接続要素に前記閉鎖デバイスを解放可能に接続するように構成されており、
前記の細長い要素が、ワイヤーおよびケーブルからなる群より選択される、
前記装置。
【請求項2】
前記近位基部要素および前記遠位先端部要素が、各々、近位ディスクおよび遠位ディスクを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記の柔軟なバルーンが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリジオキサノン(PDOまたはPDS)、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミドおよびポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる群より選択される柔軟な材料を有する、請求項1に記載の装置
【請求項4】
前記バルーンが、前記バルーンの前記近位側から前記遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記の細長い要素が、前記バルーンルーメンに配置されている、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記遠位先端部要素および前記近位基部要素が、前記バルーンルーメンと実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部を定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中に前記ガイドワイヤーをスライド的に受け入れるためのものである、請求項に記載の装置。
【請求項7】
複数の接続ストラットをさらに有し、該複数の接続ストラットは、前記遠位先端部要素および前記近位基部要素に固定されており、かつ、前記バルーンの内側または外側に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記の複数の接続ストラットが、フレームとして配置されている、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記膨張ポートが自動閉鎖弁を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記膨張ポートが、前記送達システムに解放可能に接続されており、かつ、前記自動閉鎖弁が、前記送達システムからの前記膨張ポートの分離の際に閉じるように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記バルーンが、100~5000ミクロンの平均壁厚を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記バルーンが、前記バルーンの壁部の最も薄い部分において、20~500ミクロンの最も薄い壁厚を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を有する閉鎖システムであって、当該閉鎖システムは、それと協働する前記送達システムをさらに有し、前記送達システムは、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルを有し、該埋め込みカテーテルは、前記ガイドワイヤーのための長手方向通路を有し、前記送達システムは、前記閉鎖デバイスの前記の対応して構成された近位接続要素に前記埋め込みカテーテルを解放可能に接続するための遠位接続要素を有し、かつ、前記閉鎖デバイスの前記膨張ポートに解放可能に接続可能である膨張チューブチャンネルを有する、前記閉鎖システム。
【請求項14】
心血管欠損を塞ぐための、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための装置であって、当該装置は、ガイドワイヤーおよび送達システムとともに用いられるためのものであり、当該装置は:
閉鎖デバイスを有し、該閉鎖デバイスは:
柔軟なバルーンを有し、該柔軟なバルーンは、(a)流体密封バルーンチャンバーを定めており、(b)前記バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有し、かつ、(c)膨張ポートを有し、該膨張ポートは、前記バルーンチャンバーの中を流体で満たし、かつ、前記バルーンチャンバーの中に流体がないようにするためのものであり;
前記バルーンの前記遠位側に配置された遠位先端部要素と、前記バルーンの前記近位側に配置された近位基部要素を有し;
ロック用機構を有し;かつ、
近位接続要素を有し、該近位接続要素は、前記バルーンの前記近位側に配置されており、かつ、該近位接続要素は、前記送達システムの対応して構成された遠位接続要素に前記閉鎖デバイスを解放可能に接続するように構成されており;かつ、
細長い作動要素を有し、該細長い作動要素は、前記バルーンルーメンに長手方向にスライド可能に配置されており、前記遠位先端部要素に接続されており、かつ、前記近位基部要素に対して長手方向に移動可能であり、前記遠位先端部要素と前記近位基部要素との間の距離を設定するようになっており、
前記ロック用機構は、前記遠位先端部要素と前記近位基部要素との間で、前記の細長い作動要素を用いて設定された前記距離を維持するように構成されている、
前記装置。
【請求項15】
前記閉鎖デバイスが、前記遠位先端部要素に固定的に接続された前記の細長い作動要素を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記の細長い作動要素がネジを定める形状であり、
前記ロック用機構が、前記近位基部要素によって定められたネジ山の付いた開口部を有し、前記の細長い作動要素の前記ネジが、前記のネジ山の付いた開口部内に配置されており、かつ、
前記近位基部要素に対する前記の細長い作動要素の回転が、前記の細長い作動要素が前記近位基部要素に対して長手方向に移動することを引き起こし、そのことによって、前記遠位先端部要素と前記近位基部要素との間の前記距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するように、前記閉鎖デバイスが構成されている、
請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2017年9月23日付けで出願の欧州特許出願第17192792.4号からの優先権を主張する、2018年9月23日付けで出願の国際出願PCT/EP2018/075716の一部継続出願である。上記出願は両方とも、本願の譲受人に譲渡されており、かつ、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
出願の分野
本発明は概して、心血管欠損を塞ぐための、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための閉鎖(occlusion)デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
出願の背景
身体内には、いくつかのタイプの不要であり、または、病態的ですらある通路が存在する。血管または心臓に位置する場合、かかる通路は、血流の非常に望ましくない変更または臓器の周りの血流の迂回を引き起こし得る。
【0004】
国際公開第95/32018号パンフレットには、身体通路の中に拡張可能なフレームを挿入し、かつ、該フレームを拡張可能なバルーンを用いて拡張させて(expanding)、該フレームを該通路の壁部に部分的に埋め込むことによって、該通路を遮るための方法およびデバイスが開示されている。フレームは別個の封止膜を備え得、または、バルーンは封止膜として機能し得る。バルーンは、それが封止膜として働いていない場合には、拡張ステップ後にインフレーションチューブとともに除去され得、または、バルーンは、インフレーションチューブから取り外され、かつ、封止膜として、もしくは、単にフレームを所定の位置にロックするために所定の位置に残され得る。フレームは、拡張ステップの最中に塑性変形することによって、その拡張した状態で維持され得る。拡張可能なフレームは実質的に円筒形であり、かつ、例えば動脈管開存(不要な通路または脈管が、心臓の近くで、大動脈を主肺動脈に接続させる)を閉じるのに適切なものとして記載されている。
【0005】
米国特許第4,836,204号明細書には、心臓の中隔における穿孔の閉鎖(closure)をもたらすためのデバイスが記載されている。該デバイスはダブルバルーン中隔欠損閉鎖カテーテルを有し、該カテーテルは、2つの最初はしぼんでいるバルーンが中隔の両側に位置するように挿入されるべきである。膨張の際、バルーンは、各々の中隔壁部にぴったりと係合し、かつ、そのことによって穿孔を通る漏出を防止する。
【0006】
弁周囲逆流(leak;漏出)は、外科的または経カテーテル的プロテーゼのいずれかの埋め込みを経験する患者のうちの最大で30%の患者に生じる一般的な合併症である。これらの欠損を経皮的に治療する選択肢は、高リスクの患者にとって、彼らを心臓切開再手術に関するリスクに曝すことなく、いっそう安全な解決策を提供するであろう。しかしながら、現在用いられているデバイスは、それらがこの用途のために特別に開発されたものではないので、準最適なものである。今日、弁周囲逆流の閉鎖は概して、元々は先天性心臓欠損の閉鎖のために設計されたデバイスを用いて達成されている。それらは通常、卵円孔開存または心房中隔欠損のような低流量環境および単純な幾何学的配置において埋め込まれる。対照的に、弁周囲逆流は高圧および高流量環境において生じ、かつ、それらは複雑な幾何学的配置によって特徴付けられる。欠損はしばしば、三日月または卵状であり、いくつかの奇形を有する管状部を含んでいるであろうし、かつ、構造はせいぜいわずかに柔軟である(compliant)に過ぎない。
【0007】
左心耳(LAA)は、心臓の左心房に存在するキャビティーである。心房細動に罹患した患者においては、このキャビティー内の通路および血液の安定性は、脳卒中のリスクを増大させる血栓形成を引き起こし得る。経皮的LAA閉鎖は、心房細動に罹患した患者における脳卒中の予防のための治療である。LAA閉鎖は、経口抗凝固剤療法の代わりに、または、経口抗凝固剤療法と組み合わせて用いられる。LAA閉鎖は好ましい臨床成績を有するが、市販のデバイスは典型的には自己拡張可能であり、かつ、解剖学的構造に適合するように設計されておらず、したがって、合併症またはを準最適な成績を時々もたらす。これらの環境では、現在利用可能な閉鎖デバイスのうちのいくつかは、欠損へのデバイスの適応性の低さ(順応性の欠如)およびデバイス内封止の欠如(高流量環境に起因する)によって制限される。
【0008】
それでもなお、弁周囲逆流閉鎖またはLAA閉鎖のために特別に設計された閉鎖デバイスの概念および実装がいくつか存在する。
【0009】
米国特許出願公開第2014/0277426号公報には、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための種々のデバイスが記載されている。該デバイスは概して、形状適合的な本体を有し、該本体は内部が中空であり、かつ、加圧流体を供給して形状適合的な本体を膨張させることを意図した流体ポートを備えている。形状適合的な本体、送達手段および固定手段の種々の形状ならびに構成が記載されている。
【0010】
米国特許第7,628,805号明細書には概して、弁周囲逆流の位置を特定し、かつ、修復するための多数の概念が開示されている。該概念としては、封止ステントが挙げられ、かつ、多成分であり、かつ、放射線硬化性である粘着剤も挙げられる。
【0011】
米国特許出願公開第2012/078295号公報には、循環系における通路を閉じるための閉鎖栓デバイスが開示されている。該デバイスは、通路上に閉鎖栓を固定するための拡張可能な固定ユニットを有し、該固定は、コンパクトな形態と拡張した形態とを切り替えることによって達成される。
【0012】
上記に関わらず、現在知られているデバイスの欠点を回避する、改善された閉鎖デバイスの必要性がまだ存在する。
【発明の概要】
【0013】
出願の概要
本発明のいくつかの応用例では、心血管欠損を塞ぐための、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための閉鎖デバイスが提供される。該閉鎖デバイスは、ガイドワイヤーおよび送達システムとともに用いるためのものである。該閉鎖デバイスは:
・ 柔軟なバルーンを有し、該バルーンは、流体密封バルーンチャンバーを定めており、バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有し、かつ、膨張ポートを有し、該膨張ポートは、バルーンチャンバーの中を流体で満たし、かつ、バルーンチャンバーの中に流体がないようにするためのものであり;
・ バルーンの遠位側に配置された遠位先端部要素と、バルーンの近位側に配置された近位基部要素を有し;
・ 細長い作動要素(actuating element)を有し、該細長い作動要素は、バルーンルーメンに長手方向にスライド可能に配置されており、遠位先端部要素に接続されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向に移動可能であり、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定するようになっており;典型的には、細長い作動要
素は、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択され;
・ ロック用機構を有し、該ロック用機構は、遠位先端部要素と近位基部要素との間で、細長い作動要素を用いて設定された距離を維持するためのものであり;かつ、
・ 近位接続要素を有し、該近位接続要素は、バルーンの近位側に配置されており、かつ、該近位接続要素は、送達システムの対応して構成された遠位接続要素に該閉鎖デバイスを解放可能に接続するように構成されている。
【0014】
別の態様によれば、上記の閉鎖デバイスと、それと協働する送達システム(カテーテルデバイスを有する)とを有する閉鎖システムが提供される。カテーテルデバイスは、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルチューブを有する。埋め込みカテーテルチューブは、ガイドワイヤーのための長手方向通路と、遠位接続要素であって、閉鎖デバイスの、対応して構成された近位接続要素にカテーテルデバイスを解放可能に接続するための前記遠位接続要素と、閉鎖デバイスの対応膨張ポートに解放可能に接続可能である流体移送システムとを有する。遠位接続要素および近位接続要素は概して、カテーテルデバイスの遠位端および閉鎖デバイスの近位端に各々配置された協働部材として構成されている。かかる協働部材の例としては、協働ネジ、バヨネット(bayonet)またはスナップ接続が挙げられる。
【0015】
臨床的適応としては、弁周囲逆流(PVL)、卵円孔開存(PFO)、心房中隔欠損(ASD)、心室中隔欠損(VSD)、弁内逆流(IVL)、弁尖内逆流、弁尖穿孔、血管グラフト埋め込み後のI型血管内逆流、経尖治療的アクセス後の左または右の心尖閉鎖および左心耳の閉鎖が挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
該閉鎖デバイスは、全体または一部が圧縮された、その長手方向に延びた形態にて、治療されるべき領域の中へと送達されるように設計されている。送達後、該閉鎖デバイスは、バルーンの膨張と、後に続く近位基部要素と遠位先端部要素との間に形成されたフレームの長手方向寸法の縮小によって、ランディングゾーンの解剖学的構造に適応する。内圧の影響下では、バルーンは特定の容量をとるであろうし、該容量は、所定の長手方向のフレーム寸法については、特定の横方向または半径方向寸法をもたらし、このことは、バルーンと、隣接する解剖学的構造または埋め込まれた医療用デバイスとの間の良好な封止を提供する。遠位先端部要素と近位基部要素との間の異なる距離を選択することによって長手方向のフレーム寸法を変更することは、対応する変更をバルーンの半径方向または横方向の伸展にもたらすであろう。換言すれば、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を短縮することは、それ以外は一定の条件下では、対応する増大を半径方向または横方向の伸展にもたらし、このことは、隣接する組織および/または医療用デバイスとの封止を改善し、かつ、不要な血液通路を封止する。バルーンの横方向の伸展は、必ずしも対称ではない。なぜなら、バルーンが必ずしも対称ではなく、かつ/または、解剖学的構造であって、バルーンがそれに対して横方向に拡張された前記解剖学的構造が、非対称なバルーン拡張を引き起こすであろうからである。半径方向または横方向の拡張はともに、バルーンの長手方向軸に対して略垂直である1つ以上の方向をそれらの範囲に含んでいる。(任意選択的には、バルーンは部分的に膨張し(例えば、気圧まで)、かつ、フレームの長手方向寸法は縮小される;バルーンは、例えば、バルーンと、隣接する解剖学的構造または埋め込まれた医療用デバイスとの間の良好な封止を作るのに必要であれば、後に続いて解放前にさらに膨張してもよい。)
【0017】
本開示の文脈では、用語「遠位」および「近位」は、経皮的心血管デバイスの分野におけるそれらの標準的な意味にしたがって用いられる。用語「近位」は、経皮的送達の最中に送達カテーテルの後に続くときに、ユーザーによる操作のために構成されたカテーテルの端部にいっそう近い、デバイスアセンブリーのそれらのコンポーネント(例えば、医師によって操作されるカテーテルハンドル)に言及する。用語「遠位」は、ユーザーによる操作のために構成されたカテーテルの端部からいっそう離れた、デバイスアセンブリーのそれらのコンポーネント、および/または、患者の身体内にさらに挿入される、デバイスアセンブリーのそれらのコンポーネントに言及するのに用いられる。したがって、僧房弁周囲逆流のような医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間に用いるための閉鎖デバイスにおいては、閉鎖デバイスが経中隔的アプローチを用いて欠損に配備されるとき、近位端は左心房に面し、かつ、遠位端は左心室に面するであろう。
【0018】
バルーンまたは構造的コンポーネントに関して用いられる用語「柔軟」は、加えられる力に実質的にしたがう変形能を暗示するものとして理解されるべきである。したがって、「柔軟なバルーン」は、特定の破裂圧力を越えない限り、半径方向の圧力を増大させる効果の下で次第に拡張するバルーンとして理解されるべきである。
【0019】
用語「ストラット」は、例えば薄いワイヤー、ロッド、壁が厚いチューブとして形成され得る、細長い構造的要素として理解されるべきである(すべて、円形の断面を必ずしも有さない)。
【0020】
閉鎖デバイスの柔軟なバルーンは、必ずしも成形済みではない。なぜなら、バルーンが柔軟であるので、一旦欠損内で膨張するとそれが欠損の形状をとるからである。しかしながら、いくつかの応用例については、バルーンの壁部は、特定の領域において異なる厚さを有する(例えば、バルーンが膨張の際に8の字形状をとるように中心的に、または、バルーンが一方の側であまり膨張しないことを引き起こすバックボーンを作成するために、その側で長手方向に)。さらに、成形済みバルーンは、加えられる半径方向の圧力に対する、予め決められた非均一な局所的復元力を確立するのに用いられ得る。
【0021】
いくつかの応用例については、バルーンは、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)または別の生体適合性材料を有する。いくつかの応用例については、バルーンは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)およびポリジオキサノン(PDOまたはPDS)から選択される柔軟な生分解性材料を有する。任意選択的には、バルーンは、例えば化学的に、または、バルーンの外表面の多孔性を修正することによって、親水性コーティング、疎水性コーティング、抗炎症コーティング、抗凝固コーティング、または、内皮成長を促進するためのその他のコーティングで外部を処理される。
【0022】
いくつかの応用例については、近位基部要素および遠位先端部要素は、1つ以上のストラットによって接続されている。特定の応用例に基づいて、ストラットの種々の構成が考慮されてもよい。1つの実施形態によれば、ストラットは、バルーンルーメン内またはバルーンの外側に配置された単一の接続ストラットを有する。その他の応用例については、ストラットは、例えばバルーンの外側にケージ様の様式で配置された複数のストラットを有する。バルーンに内圧を加えることは、柔軟なバルーンの材料の弾性力に対してその膨張をもたらし、かつ、複数の外部接続ストラットによって提供される構造的制限に対してもその膨張をもたらすであろう。とりわけ、かかる構成は、不要な局所的変形に対する柔軟なバルーンの改善された安定性という利点を提供するであろう。このことは概して、塞がれるべき欠損の幾何学的配置への閉鎖デバイスの改善された適応をもたらすであろう。
【0023】
遠位先端部要素と近位基部要素との間の予め決められた距離を維持するためのロック用機構もまた、種々の様式で構成されていてもよい。例えば、ロック用機構は、近位基部要素に形成された対応部分と協働するように形成されたネジ部を有する回転可能な細長い作動要素(例えば、ワイヤー)を有していてもよい。いくつかの応用例については、ロック用機構はラチェット機構として構成されており、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離が、様々な距離から選択可能であるようになっている。このことは、閉鎖デバイスの半径方向の伸展を、正確かつ信頼性高く定めること-したがって閉鎖デバイスの改善された信頼性-を可能にする。
【0024】
細長い作動要素は、バルーンルーメンに長手方向にスライド可能に配置されており、遠位先端部要素に接続されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能であり、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定するようになっている。この目的のために、細長い作動要素は、典型的には滑らかな表面を有する細長い可撓性部材として形成されている。いくつかの応用例については、細長い作動要素は、作動ワイヤーとして構成されている。作動ワイヤーの使用は、心血管介入の分野で定着している。本明細書の文脈では、適切な近位対応部品とともにワイヤーを用いることは、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離の、単純、正確かつ再現可能な選択を可能にする。
【0025】
バルーンおよびその他の膨張可能なデバイスを満たし、かつ、空にするための手段もまた、心血管介入の分野で周知である。いくつかの応用例については、バルーンは、送達システムの対応流体移送システムに接続されていないときには自動閉鎖弁として構成された膨張ポートを有する。とりわけ、このことは、長手方向の流体ラインを通してバルーンを満たすことを可能にし、該流体ラインは、後で分離され、かつ、引き込まれ得、かつ、バルーンをさらに満たすこと、または、バルーンを空にすることが必要とされる場合に再挿入および再接続される必要があるのみである。
【0026】
上記の要素ならびに以下で請求および記載され、かつ、本発明にしたがって用いられるべきものは概して、医学の分野で確立されたそれらの意味を有するものとして理解されるべきである。
【0027】
したがって、本発明の発明概念1によれば、心血管欠損を塞ぐための、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための装置が提供され、当該装置は、ガイドワイヤーおよび送達システムとともに用いるためのものであり、当該装置は:
閉鎖デバイスを含んでおり、該閉鎖デバイスは:
柔軟なバルーンを含んでおり、該バルーンは、(a)流体密封バルーンチャンバーを定めており、(b)バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有し、かつ、(c)膨張ポートを含んでおり、該膨張ポートは、バルーンチャンバーの中を流体で満たし、かつ、バルーンチャンバーの中に流体がないようにするためのものであり;
バルーンの遠位側に配置された遠位先端部要素と、バルーンの近位側に配置された近位基部要素を含んでおり;
ロック用機構を含んでおり;かつ、
近位接続要素を含んでおり、該近位接続要素は、バルーンの近位側に配置されており、かつ、該近位接続要素は、送達システムの対応して構成された遠位接続要素に閉鎖デバイスを解放可能に接続するように構成されており;かつ、
細長い作動要素を含んでおり、該細長い作動要素は、バルーンルーメンに長手方向にスライド可能に配置されており、遠位先端部要素に接続されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向に移動可能であり、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定するようになっており、
ロック用機構は、遠位先端部要素と近位基部要素との間で、細長い作動要素を用いて設定された距離を維持するように構成されている。
【0028】
発明概念2。細長い作動要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念1に記載の装置。
【0029】
発明概念3。遠位先端部要素および近位基部要素が、バルーンルーメンと実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部を定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤーをスライド的に受け入れるためのものである、発明概念1に記載の装置。
【0030】
発明概念4。近位基部要素および遠位先端部要素が、各々、近位ディスクおよび遠位ディスクを含んでいる、発明概念1に記載の装置。
【0031】
発明概念5。ロック用機構が、バルーンの近位側に配置されている、発明概念1に記載の装置。
【0032】
発明概念6。ロック用機構が、近位基部要素に接続されているか、または、近位基部要素に統合されている、発明概念5に記載の装置。
【0033】
発明概念7。柔軟なバルーンが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)およびポリジオキサノン(PDOまたはPDS)、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリアミドおよびポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる群より選択される柔軟な材料を含んでいる、発明概念1に記載の装置。
【0034】
発明概念8。遠位先端部要素および近位基部要素に固定された少なくとも1つの接続ストラットをさらに含んでいる、発明概念1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0035】
発明概念9。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された単一の接続ストラットを含んでいる、発明概念8に記載の装置。
【0036】
発明概念10。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された複数の接続ストラットを含んでいる、発明概念8に記載の装置。
【0037】
発明概念11。複数の接続ストラットが、ケージ様の配置構成で配置されている、発明概念10に記載の装置。
【0038】
発明概念12。複数の接続ストラットが、フレームとして配置されている、発明概念10に記載の装置。
【0039】
発明概念13。閉鎖デバイスが、遠位先端部要素に固定的に接続された細長い作動要素を含んでいる、発明概念1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0040】
発明概念14。細長い作動要素が、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能である、発明概念13に記載の装置。
【0041】
発明概念15。ロック用機構が1つ以上の歯止め(pawl;爪)を含んでおり、かつ、細長い作動要素が複数の歯を含んでおり、一緒になってラチェット機構を提供し、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離が、ロック用機構を通して細長い作動要素を遠位方向に引くことによって、様々な距離から選択可能であるようになっている、発明概念13に記載の装置。
【0042】
発明概念16。細長い作動要素がワイヤーを含んでいる、発明概念13に記載の装置。
【0043】
発明概念17。細長い作動要素がネジを定める形状であり、
ロック用機構が、近位基部要素によって定められたネジ山の付いた開口部を含んでおり、細長い作動要素のネジが、ネジ山の付いた開口部内に配置されており、かつ、
閉鎖デバイスが、近位基部要素に対する細長い作動要素の回転が、細長い作動要素が近位基部要素に対して長手方向に移動することを引き起こし、そのことによって、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するように構成されている、
発明概念13に記載の装置。
【0044】
発明概念18。細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されている、発明概念1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0045】
発明概念19。閉鎖デバイスがロック用の細長い要素をさらに含んでおり、該ロック用の細長い要素は、遠位先端部要素に固定されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能であり、かつ、
ロック用機構が、細長い作動要素を用いて設定された距離を維持するために、近位基部要素に対してロック用の細長い要素をロックするように構成されている、
発明概念18に記載の装置。
【0046】
発明概念20。ロック用の細長い要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念19に記載の装置。
【0047】
発明概念21。ロック用の細長い要素がワイヤーである、発明概念20に記載の装置。
【0048】
発明概念22。細長い作動要素が、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能である、発明概念18に記載の装置。
【0049】
発明概念23。細長い作動要素の遠位部が、ネジを定める形状であり、かつ、
遠位先端部要素が、ネジ山の付いた開口部を定める形状であり、該ネジ山の付いた開口部に、細長い作動要素の遠位部のネジが解放可能に螺合的に接続されて、細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されるようになっている、
発明概念22に記載の装置。
【0050】
発明概念24。細長い作動要素がネジを定める形状であり、
近位基部要素が、ネジ山の付いた開口部を定める形状であり、細長い作動要素のネジが、ネジ山の付いた開口部内に配置されており、かつ、
閉鎖デバイスが、近位基部要素に対する細長い作動要素の回転が、細長い作動要素が近位基部要素に対して長手方向に移動することを引き起こし、そのことによって、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するように構成されている、
発明概念18に記載の装置。
【0051】
発明概念25。細長い作動要素の遠位部が、第1のポジティブ接続要素を含んでおり、
遠位先端部要素が、第2のポジティブ接続要素を定める形状であり、かつ、
第1のポジティブ接続要素が、第2のポジティブ接続要素に接続されており、細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されるようになっている、
発明概念24に記載の装置。
【0052】
発明概念26。膨張ポートが自動閉鎖弁を含んでいる、発明概念1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0053】
発明概念27。膨張ポートが、送達システムに解放可能に接続されており、かつ、自動閉鎖弁が、送達システムからの膨張ポートの分離の際に閉じるように構成されている、発明概念26に記載の装置。
【0054】
発明概念28。バルーンが、100~5000ミクロンの平均壁厚を有する、発明概念1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0055】
29。バルーンが、バルーンの壁部の最も薄い部分において、20~500ミクロンの最も薄い壁厚を有する、発明概念1~28のいずれか1つに記載の装置。
【0056】
発明概念30。閉鎖デバイスが、近位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該近位放射線不透過性マーカーは、近位基部要素に固定されており、かつ、近位基部要素より放射性不透過性である材料を含んでいる、発明概念1~29のいずれか1つに記載の装置。
【0057】
発明概念31。閉鎖デバイスが、遠位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該遠位放射線不透過性マーカーは、遠位先端部要素に固定されており、かつ、遠位先端部要素より放射線不透過性である材料を含んでいる、発明概念1~29のいずれか1つに記載の装置。
【0058】
発明概念32。閉鎖デバイスが、近位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該近位放射線不透過性マーカーは、近位基部要素に固定されており、かつ、近位基部要素より放射線不透過性である材料を含んでおり、かつ、
閉鎖デバイスが、遠位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該遠位放射線不透過性マーカーは、遠位先端部要素に固定されており、かつ、遠位先端部要素より放射線不透過性である材料を含んでいる、
発明概念1~29のいずれか1つに記載の装置。
【0059】
発明概念33。発明概念1~32のいずれか1つに記載の装置を含む閉鎖システムであって、当該閉鎖システムは、埋め込みカテーテルをさらに含んでおり、該埋め込みカテーテルには、閉鎖デバイスが圧縮された形態で解放可能に配置されており、近位基部要素と遠位先端部要素との間の最大距離が8~80mmである、前記閉鎖システム。
【0060】
発明概念34。発明概念1~33のいずれか1つに記載の装置を含む閉鎖システムであって、当該閉鎖システムは、それと協働する送達システムをさらに含んでおり、送達システムは、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルを含んでおり、埋め込みカテーテルは、ガイドワイヤーのための長手方向通路を含んでおり、送達システムは、閉鎖デバイスの対応して構成された近位接続要素に埋め込みカテーテルを解放可能に接続するための遠位接続要素を含んでおり、かつ、閉鎖デバイスの対応膨張ポートに解放可能に接続可能である膨張チューブチャンネルを含んでいる、前記閉鎖システム。
【0061】
本発明の発明概念35によれば、心血管欠損を塞ぐため、または、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐための装置がさらに提供され、当該装置は、ガイドワイヤーおよび送達システムとともに用いるためのものであり、当該装置は閉鎖デバイスを含んでおり、該閉鎖デバイスは:
柔軟なバルーンを含んでおり、該バルーンは、流体密封バルーンチャンバーを定めており、かつ、膨張ポートを含んでおり、該膨張ポートは、バルーンチャンバーの中を流体で
満たし、かつ、バルーンチャンバーの中に流体がないようにするためのものであり;
バルーンの遠位側に配置された遠位先端部要素と、バルーンの近位側に配置された近位基部要素を含んでおり;
細長い要素を含んでおり、該細長い要素は固定された長さを有し、かつ、遠位先端部要素および近位基部要素に固定されて、遠位先端部要素と近位基部要素との間の固定された距離を設定するようになっており;かつ、
近位接続要素を含んでおり、該近位接続要素は、バルーンの近位側に配置されており、かつ、該近位接続要素は、送達システムの対応して構成された遠位接続要素に閉鎖デバイスを解放可能に接続するように構成されている。
【0062】
発明概念36。細長い要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念35に記載の装置。
【0063】
発明概念37。近位基部要素および遠位先端部要素が、各々、近位ディスクおよび遠位ディスクを含んでいる、発明概念35に記載の装置。
【0064】
発明概念38。柔軟なバルーンが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリジオキサノン(PDOまたはPDS)、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリアミドおよびポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる群より選択される柔軟な材料を含んでいる、発明概念35に記載の装置。
【0065】
発明概念39。バルーンが、バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有する、発明概念35~38のいずれか1つに記載の装置。
【0066】
発明概念40。細長い要素が、バルーンルーメンに配置されている、発明概念39に記載の装置。
【0067】
発明概念41。遠位先端部要素および近位基部要素が、バルーンルーメンと実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部を定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤーをスライド的に受け入れるためのものである、発明概念39に記載の装置。
【0068】
発明概念42。遠位先端部要素および近位基部要素に固定された少なくとも1つの接続ストラットをさらに含んでいる、発明概念35~38のいずれか1つに記載の装置。
【0069】
発明概念43。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された単一の接続ストラットを含んでいる、発明概念42に記載の装置。
【0070】
発明概念44。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された複数の接続ストラットを含んでいる、発明概念42に記載の装置。
【0071】
発明概念45。複数の接続ストラットが、ケージ様の配置構成で配置されている、発明概念44に記載の装置。
【0072】
発明概念46。複数の接続ストラットが、フレームとして配置されている、発明概念44に記載の装置。
【0073】
発明概念47。膨張ポートが自動閉鎖弁を含んでいる、発明概念35~38のいずれか1つに記載の装置。
【0074】
発明概念48。膨張ポートが、送達システムに解放可能に接続されており、かつ、自動閉鎖弁が、送達システムからの膨張ポートの分離の際に閉じるように構成されている、発明概念47に記載の装置。
【0075】
発明概念49。バルーンが、100~5000ミクロンの平均壁厚を有する、発明概念35~38のいずれか1つに記載の装置。
【0076】
発明概念50。バルーンが、バルーンの壁部の最も薄い部分において、20~500ミクロンの最も薄い壁厚を有する、発明概念35~49のいずれか1つに記載の装置。
【0077】
発明概念51。閉鎖デバイスが、近位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該近位放射線不透過性マーカーは、近位基部要素に固定されており、かつ、近位基部要素より放射性不透過性である材料を含んでいる、発明概念35~50のいずれか1つに記載の装置。
【0078】
発明概念52。閉鎖デバイスが、遠位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該遠位放射線不透過性マーカーは、遠位先端部要素に固定されており、かつ、遠位先端部要素より放射線不透過性である材料を含んでいる、発明概念35~50のいずれか1つに記載の装置。
【0079】
発明概念53。閉鎖デバイスが、近位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該近位放射線不透過性マーカーは、近位基部要素に固定されており、かつ、近位基部要素より放射線不透過性である材料を含んでおり、かつ、
閉鎖デバイスが、遠位放射線不透過性マーカーをさらに含んでおり、該遠位放射線不透過性マーカーは、遠位先端部要素に固定されており、かつ、遠位先端部要素より放射線不透過性である材料を含んでいる、
発明概念35~50のいずれか1つに記載の装置。
【0080】
発明概念54。発明概念35~53のいずれか1つに記載の装置を含む閉鎖システムであって、当該閉鎖システムは、埋め込みカテーテルをさらに含んでおり、該埋め込みカテーテルには、閉鎖デバイスが圧縮された形態で解放可能に配置されており、近位基部要素と遠位先端部要素との間の最大距離が8~80mmである、前記閉鎖システム。
【0081】
発明概念55。発明概念35~54のいずれか1つに記載の装置を含む閉鎖システムであって、当該閉鎖システムは、それと協働する送達システムをさらに含んでおり、送達システムは、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルを含んでおり、埋め込みカテーテルは、ガイドワイヤーのための長手方向通路を含んでおり、送達システムは、閉鎖デバイスの対応して構成された近位接続要素に埋め込みカテーテルを解放可能に接続するための遠位接続要素を含んでおり、かつ、閉鎖デバイスの対応膨張ポートに解放可能に接続可能である膨張チューブチャンネルを含んでいる、前記閉鎖システム。
【0082】
本発明の発明概念56によれば、心血管欠損を塞ぐ、または、医療用デバイスと患者の隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐ方法がまたさらに提供され、当該方法は:
送達システムを用いて患者の身体の中へとガイドワイヤーを前進させることを含んでおり;
送達システムを用いて、ガイドワイヤーの向こう側へと閉鎖デバイスを前進させることによって、閉鎖デバイスの柔軟なバルーンを、その長手方向に延びた形態にて、塞がれるべき心血管欠損または隙間に位置させる(positioning)ことを含んでおり;
バルーンの膨張ポートを介して、バルーンによって定められた流体密封バルーンチャンバーの中を流体で満たすことによって、柔軟なバルーンを膨張させることを含んでおり;
遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を所望の距離へと短縮し、かつ、距離をロックすることによって、バルーンを半径方向または横方向に拡張させることを含んでおり、遠位先端部要素はバルーンの遠位側に配置されており、かつ、近位基部要素はバルーンの近位側に配置されており;かつ、
送達システムから閉鎖デバイスを解放することを含んでいる。
【0083】
発明概念57。バルーンが、バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有し、
遠位先端部要素および近位基部要素が、バルーンルーメンと実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部を定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤーをスライド的に受け入れるためのものであり、かつ、
ガイドワイヤーの向こう側へと閉鎖デバイスを前進させることが、ガイドワイヤー開口部を通してガイドワイヤーをスライドさせることを含んでいる、
発明概念56に記載の方法。
【0084】
発明概念58。柔軟なバルーンを、その長手方向に延びた形態にて位置させることが、柔軟なバルーンを、その長手方向に延びた形態にて心血管欠損に位置させることを含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0085】
発明概念59。柔軟なバルーンを、その長手方向に延びた形態にて位置させることが、柔軟なバルーンを、その長手方向に延びた形態にて医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間に位置させることを含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0086】
発明概念60。医療用デバイスが人工心臓弁であり、かつ、当該方法が、人工心臓弁と患者の隣接する心臓組織との間の弁周囲逆流を治療する、発明概念59に記載の方法。
【0087】
発明概念61。柔軟なバルーンを位置させ、かつ、膨張させることが:
患者の心室にバルーンを位置させること;
その後で、バルーンを部分的に膨張させること;
その後で、ほぼ弁周囲逆流の長手方向中心にバルーンを配置すること;および、
その後で、バルーンをさらに膨張させることを含んでおり、かつ、
バルーンを拡張させることが、バルーンをさらに膨張させた後でバルーンを拡張させることを含んでいる、
発明概念60に記載の方法。
【0088】
発明概念62。ほぼ弁周囲逆流の長手方向中心にバルーンを配置することが、バルーンがほぼ弁周囲逆流の長手方向中心に配置されるまで、バルーンを近位方向に引っ込めることを含んでいる、発明概念61に記載の方法。
【0089】
発明概念63。当該方法が、バルーンを、その長手方向に延びた形態にて塞がれるべき心血管欠損または隙間に位置させる前に、バルーンを部分的に膨張させることをさらに含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0090】
発明概念64。当該方法が、バルーンを、その長手方向に延びた形態にて塞がれるべき心血管欠損または隙間に位置させた後で:
バルーンを部分的に膨張させること;および、
バルーンを部分的に膨張させた後で、バルーンを、その長手方向に延びた形態にて塞がれるべき心血管欠損または隙間に再度位置させることをさらに含んでいる、
発明概念56に記載の方法。
【0091】
発明概念65。バルーンを位置させることが、バルーンが送達システムの埋め込みカテーテル内に配置されている間に、塞がれるべき心血管欠損または隙間へとバルーンを送達することを含んでおり、
当該方法が、バルーンを膨張させる前に、埋め込みカテーテルからバルーンの一部を露出させることを含んでおり、
膨張させることが、バルーンの一部を膨張させることを含んでおり、
拡張させることが、近位基部要素に向けて遠位先端部要素を移動させることにより遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を短縮することによって、バルーンの一部を拡張させることを含んでおり、かつ、
当該方法が、送達システムから閉鎖システムを解放する前に:
埋め込みカテーテルからバルーンの残りの部分を露出させること;
バルーンの残りの部分を膨張させること;および、
遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離をさらに短縮することによって、バルーンの残りの部分を拡張させることをさらに含んでいる、
発明概念56に記載の方法。
【0092】
発明概念66。近位基部要素および遠位先端部要素が、各々、近位ディスクおよび遠位ディスクを含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0093】
発明概念67。柔軟なバルーンが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)およびポリジオキサノン(PDOまたはPDS)、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリアミドおよびポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる群より選択される柔軟な材料を含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0094】
発明概念68。閉鎖デバイスが、遠位先端部要素および近位基部要素に固定された少なくとも1つの接続ストラットをさらに含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0095】
発明概念69。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された単一の接続ストラットを含んでいる、発明概念68に記載の方法。
【0096】
発明概念70。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された複数の接続ストラットを含んでいる、発明概念68に記載の方法。
【0097】
発明概念71。複数の接続ストラットが、ケージ様の配置構成で配置されている、発明概念70に記載の方法。
【0098】
発明概念72。複数の接続ストラットが、フレームとして配置されている、発明概念70に記載の方法。
【0099】
発明概念73。バルーンが、バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有し、
遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を所望の距離へと短縮することが、細長い作動要素を遠位方向に移動させることを含んでおり、該細長い作動要素は、バルーンルーメンに長手方向にスライド可能に配置されており、遠位先端部要素に接続されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向に移動可能であり、かつ、
距離をロックすることが、遠位先端部要素と近位基部要素との間で、細長い作動要素を用いて設定された距離を維持するためのロック用機構を用いることを含んでいる、
発明概念56に記載の方法。
【0100】
発明概念74。細長い作動要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念73に記載の方法。
【0101】
発明概念75。閉鎖デバイスが、遠位先端部要素に固定的に接続された細長い作動要素を含んでいる、発明概念73に記載の方法。
【0102】
発明概念76。細長い作動要素が、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能であり、かつ、
細長い作動要素を遠位方向に移動させることが、近位基部要素を通して細長い作動要素をスライドさせることを含んでいる、
発明概念75に記載の方法。
【0103】
発明概念77。ロック用機構が1つ以上の歯止めを含んでおり、かつ、細長い作動要素が1つ以上の歯を含んでおり、一緒になってラチェット機構を提供し、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離が、ロック用機構を通して細長い作動要素を遠位方向に引くことによって、様々な距離から選択可能であるようになっており、かつ、
距離を短縮することが、ロック用機構を通して細長い作動要素を遠位方向に引くことを含んでいる、
発明概念75に記載の方法。
【0104】
発明概念78。細長い作動要素がワイヤーを含んでいる、発明概念75に記載の方法。
【0105】
発明概念79。細長い作動要素がネジを定める形状であり、
ロック用機構が、近位基部要素によって定められたネジ山の付いた開口部を含んでおり、細長い作動要素のネジが、ネジ山の付いた開口部内に配置されており、かつ、
距離を短縮することが、近位基部要素に対して細長い作動要素を回転させることを含んでおり、細長い作動要素が近位基部要素に対して長手方向に移動し、そのことによって、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するようになっている、
発明概念75に記載の方法。
【0106】
発明概念80。細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されている、発明概念73に記載の方法。
【0107】
発明概念81。閉鎖デバイスがロック用の細長い要素をさらに含んでおり、該ロック用の細長い要素は、遠位先端部要素に固定されており、かつ、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能であり、かつ、
距離をロックすることが、細長い作動要素を用いて設定された距離を維持するために、ロック用機構を用いて近位基部要素に対してロック用の細長い要素をロックすることを含んでいる、
発明概念80に記載の方法。
【0108】
発明概念82。ロック用の細長い要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念81に記載の方法。
【0109】
発明概念83。ロック用の細長い要素がワイヤーである、発明概念82に記載の方法。
【0110】
発明概念84。細長い作動要素が、近位基部要素に対して長手方向にスライド可能であり、かつ、
細長い作動要素を遠位方向に移動させることが、近位基部要素を通して細長い作動要素をスライドさせることを含んでいる、
発明概念80に記載の方法。
【0111】
発明概念85。細長い作動要素の遠位部が、ネジを定める形状であり、かつ、
遠位先端部要素が、ネジ山の付いた開口部を定める形状であり、該ネジ山の付いた開口部に、細長い作動要素の遠位部のネジが解放可能に螺合的に接続されて、細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されるようになっており、かつ、
当該方法が、細長い作動要素を遠位方向に移動させた後で、遠位先端部から細長い作動要素を分離することをさらに含んでいる、
発明概念84に記載の方法。
【0112】
発明概念86。細長い作動要素がネジを定める形状であり、
近位基部要素が、ネジ山の付いた開口部を定める形状であり、細長い作動要素のネジが、ネジ山の付いた開口部内に配置されており、かつ、
距離を短縮することが、近位基部要素に対して細長い作動要素を回転させることを含んでおり、細長い作動要素が近位基部要素に対して長手方向に移動し、そのことによって、遠位先端部要素と近位基部要素との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するようになっている、
発明概念80に記載の方法。
【0113】
発明概念87。細長い作動要素の遠位部が、第1のポジティブ接続要素を含んでおり、
遠位先端部要素が、第2のポジティブ接続要素を定める形状であり、
第1のポジティブ接続要素が、第2のポジティブ接続要素に解放可能に接続されており、細長い作動要素が、遠位先端部要素に解放可能に接続されるようになっており、かつ、
当該方法が、細長い作動要素を遠位方向に移動させた後で、遠位先端部要素から細長い作動要素を分離することをさらに含んでいる、
発明概念86に記載の方法。
【0114】
発明概念88。膨張ポートが自動閉鎖弁を含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0115】
発明概念89。膨張ポートが送達システムに解放可能に接続されており、かつ、自動閉鎖弁が、送達システムからの膨張ポートの分離の際に閉じるように構成されている、発明概念88に記載の方法。
【0116】
発明概念90。送達システムから閉鎖デバイスを解放することが、送達システムの対応して構成された遠位接続要素から閉鎖デバイスの近位接続要素を解放することを含んでいる、発明概念56に記載の方法。
【0117】
発明概念91。送達システムが、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルを含んでおり、埋め込みカテーテルは、ガイドワイヤーのための長手方向通路を含んでおり、かつ、送達システムが、閉鎖デバイスの対応膨張ポートに解放可能に接続可能である膨張チューブチャンネルを含んでおり、かつ、
柔軟なバルーンを膨張させることが、膨張チューブおよびバルーンの膨張ポートを介して、流体密封バルーンチャンバーの中を流体で満たすことを含んでいる、
発明概念90に記載の方法。
【0118】
本発明の発明概念92によれば、心血管欠損を塞ぐ、または、医療用デバイスと患者の隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐ方法が追加的に提供され、当該方法は:
送達システムを用いて患者の身体の中へとガイドワイヤーを前進させることを含んでおり;
送達システムを用いて、ガイドワイヤーの向こう側へと閉鎖デバイスを前進させることによって、閉鎖デバイスの柔軟なバルーンを、その圧縮された形態にて、塞がれるべき心血管欠損または隙間に位置させることを含んでおり;
バルーンの膨張ポートを介して、バルーンによって定められた流体密封バルーンチャンバーの中を流体で満たすことによって、柔軟なバルーンを膨張させることを含んでおり、細長い要素であって、固定された長さを有し、かつ、遠位先端部要素および近位基部要素に固定された前記の細長い要素が、遠位先端部要素と近位基部要素との間の固定された距離を設定し、遠位先端部要素はバルーンの遠位側に配置されており、かつ、近位基部要素はバルーンの近位側に配置されるようになっており;かつ、
送達システムから閉鎖デバイスを解放することを含んでいる。
【0119】
発明概念93。バルーンが、バルーンの近位側から遠位側への長手方向通路を形成するバルーンルーメンを有する、発明概念92に記載の方法。
【0120】
発明概念94。細長い要素が、バルーンルーメンに配置されている、発明概念93に記載の方法。
【0121】
発明概念95。遠位先端部要素および近位基部要素が、バルーンルーメンと実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部を定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤーをスライド的に受け入れるためのものであり、かつ、
ガイドワイヤーの向こう側へと閉鎖デバイスを前進させることが、ガイドワイヤー開口部を通してガイドワイヤーをスライドさせることを含んでいる、
発明概念93に記載の方法。
【0122】
発明概念96。細長い要素が、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される、発明概念92に記載の方法。
【0123】
発明概念97。近位基部要素および遠位先端部要素が、各々、近位ディスクおよび遠位ディスクを含んでいる、発明概念92に記載の方法。
【0124】
発明概念98。柔軟なバルーンが、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリジオキサノン(PDOまたはPDS)、シリコーン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリアミドおよびポリエーテルブロックアミド(PEBA)からなる群より選択される柔軟な材料を含んでいる、発明概念92に記載の方法。
【0125】
発明概念99。閉鎖デバイスが、遠位先端部要素および近位基部要素に固定された少なくとも1つの接続ストラットをさらに含んでいる、発明概念92に記載の方法。
【0126】
発明概念100。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された単一の接続ストラットを含んでいる、発明概念99に記載の方法。
【0127】
発明概念101。少なくとも1つの接続ストラットが、バルーンの内側または外側に配置された複数の接続ストラットを含んでいる、発明概念99に記載の方法。
【0128】
発明概念102。複数の接続ストラットが、ケージ様の配置構成で配置されている、発明概念101に記載の方法。
【0129】
発明概念103。複数の接続ストラットが、フレームとして配置されている、発明概念101に記載の方法。
【0130】
発明概念104。膨張ポートが自動閉鎖弁を含んでいる、発明概念92に記載の方法。
【0131】
発明概念105。膨張ポートが、送達システムに解放可能に接続されており、かつ、自動閉鎖弁が、送達システムからの膨張ポートの分離の際に閉じるように構成されている、発明概念104に記載の方法。
【0132】
発明概念106。送達システムから閉鎖デバイスを解放することが、送達システムの対応して構成された遠位接続要素から閉鎖デバイスの近位接続要素を解放することを含んでいる、発明概念92に記載の方法。
【0133】
発明概念107。送達システムが、操作ハンドルに接続された埋め込みカテーテルを含んでおり、埋め込みカテーテルは、ガイドワイヤーのための長手方向通路を含んでおり、かつ、送達システムが、閉鎖デバイスの対応膨張ポートに解放可能に接続可能である膨張チューブチャンネルを含んでおり、かつ、
柔軟なバルーンを膨張させることが、膨張チューブおよびバルーンの膨張ポートを介して、流体密封バルーンチャンバーの中を流体で満たすことを含んでいる、
発明概念106に記載の方法。
【0134】
添付の図面とともに本発明の種々の実施形態の以下の説明を参照することによって、本発明の上述およびその他の特徴ならびに目的ならびにそれらを達成する様式がいっそう明らかになり、かつ、本発明自体がいっそう良好に理解されるであろう。
【0135】
本発明は、図面とともに考慮される、その実施形態の以下の詳細な説明から、いっそう完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1図1aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図1bおよび1cは、本発明の応用例にしたがう、図1aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図2図2aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図2bおよび2cは、本発明の応用例にしたがう、図2aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図3図3aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図3bおよび3cは、本発明の応用例にしたがう、図3aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図4図4aは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図4bおよび4cは、本発明の応用例にしたがう、図4aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図5図5aは、本発明の応用例にしたがう、ラチェットコンポーネントの作動および長手方向の短縮後の、図4aに示されている閉鎖デバイスの断面図を示している。図5bおよび5cは、本発明の応用例にしたがう、図5aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図6A-B】図6aは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図6bは、本発明の応用例にしたがう、図6aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図6C-D】図6cは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図6dは、本発明の応用例にしたがう、図6cに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図6E-F】図6eは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図6fは、本発明の応用例にしたがう、図6eに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図7図7は、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。
図8図8は、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。
図9図9aは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図9bは、本発明の応用例にしたがう、図9aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図10A図10aは、本発明の応用例にしたがう、送達システムの埋め込みカテーテル内でその圧縮された形態にある、図2aに示されている閉鎖デバイスの断面図を示している。
図10B図10bおよび10cは、各々、本発明の応用例にしたがう、埋め込みカテーテルから解放されているが、まだ埋め込み送達システムに接続されているときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図および断面図を示している。
図10C図10bおよび10cは、各々、本発明の応用例にしたがう、埋め込みカテーテルから解放されているが、まだ埋め込み送達システムに接続されているときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図および断面図を示している。
図11A図11aおよび11bは、本発明の応用例にしたがう、先天性欠損内での拡張の異なる各々のステージにおける、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図を示している。
図11B図11aおよび11bは、本発明の応用例にしたがう、先天性欠損内での拡張の異なる各々のステージにおける、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図を示している。
図12A図12aおよび12bは、本発明の各々の応用例にしたがう、身体組織のキャビティーまたは切れ目として意図された心血管欠損内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図を示している。
図12B図12aおよび12bは、本発明の各々の応用例にしたがう、身体組織のキャビティーまたは切れ目として意図された心血管欠損内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図を示している。
図13A図13aおよび13bは、本発明の応用例にしたがう、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図である。
図13B図13aおよび13bは、本発明の応用例にしたがう、医療用デバイスと隣接する身体組織との間の隙間内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイスの側面図である。
図14図14aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図14bおよび14cは、本発明の応用例にしたがう、図14aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図15図15aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図15bおよび15cは、本発明の応用例にしたがう、図15aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
図16図16は、本発明の応用例にしたがう、図2aに示されている閉鎖デバイスを配備する方法を示している。
図17図17aは、本発明の応用例にしたがう、本発明の応用例による拡張した閉鎖デバイスの断面図を示している。図17bは、本発明の応用例にしたがう、図17aに示されている閉鎖デバイスの側部の立面図を示している。
【0137】
図面は必ずしも縮尺通りでないことが、理解されるであろう。いくつかの例においては、相対的寸法が、視覚化を容易にするために実質的に歪められているであろう。
【発明を実施するための形態】
【0138】
応用例の詳細な説明
図1aは、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス20の断面図を示している。図1bおよび1cは、本発明の応用例にしたがう、図1aに示されている閉鎖デバイス20の側部の立面図を示している。閉鎖デバイスは、ガイドワイヤー106および送達システム107(図10a~cに示されている)とともに用いられる。図示されているように、閉鎖デバイス20は、柔軟なバルーン5を有し、該バルーン5は、バルーン5の近位側28Aから遠位側28Bへとバルーン5の内部を通る長手方向通路27を形成する中心バルーンルーメン6を有する。バルーン5は、流体密封バルーンチャンバー26を定めている。バルーン5は典型的には、上記で定義されたように柔軟である。任意選択的には、バルーンルーメン6は折り曲げ可能であり、バルーンルーメン6がガイドワイヤー106(図10a~cに示されている)が除去された後でそれ自体の上で閉じ、閉鎖デバイス20内に開いた通路を残さないようになっている。例えば、バルーンルーメン6の折り曲げ性は、バルーンルーメン6の入口の上に近位および遠位弁を提供することによって提供されてもよく、バルーンルーメン6を、潰れ、かつ、長手方向に折り曲げれるように構成することによって提供されてもよい。
【0139】
閉鎖デバイス20はさらに、近位基部要素4および遠位先端部要素10を有するフレーム22を有し、近位基部要素4および遠位先端部要素10は各々、バルーン5の近位側28Aおよび遠位側28Bに配置されており、かつ、細長い作動要素9によって接続されており、細長い作動要素9は、バルーン5の中心ルーメン6内を通過し、かつ、バルーン5の中心ルーメン6内で長手方向にスライド可能である。細長い作動要素9は、近位基部要素4に対して長手方向に移動可能であり、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を設定するようになっている。典型的には、細長い作動要素9は、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される。距離の減少は、遠位先端部要素10が近位基部要素4に向かって移動することを引き起こし、近位基部要素4が遠位先端部要素10に向かって移動することを引き起こし、または、両方の移動を引き起こすであろう。
【0140】
いくつかの応用例については、近位基部要素4および遠位先端部要素10は各々、近位ディスク30および遠位ディスク32を有する。フレーム22は、バルーン5に対して構造的支持を提供する。フレーム22は切断された構造体から形成されていてもよく、フレーム22の各コンポーネントが互いに一体的に接続されるようになっている。細長い作動要素9は、直線または非直線部を有していてもよく、かつ、プラスチック製または金属製の変形可能な特徴部を有していてもよい。
【0141】
閉鎖デバイス20はさらに、ロック用機構2を有し、ロック用機構2は、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間で、細長い作動要素9を用いて設定された距離を維持するためのものである。例えば、ロック用機構2は、クリンプ要素、ネジ山の付いた要素、ロック用要素、膨張可能なバルーン、ロック用ワイヤーまたはラチェット要素を有していてもよい。いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、または、近位基部要素4に統合されている。
【0142】
閉鎖デバイス20は、閉じた三次元形状を形成する形状である。閉鎖デバイス20は近位接続要素1を有し、近位接続要素1は、送達システム107に閉鎖デバイス20を取り付け、かつ、送達システム107から(例えば、送達システム107の埋め込みカテーテル14から)閉鎖デバイス20を解放するように構成されている。長手方向通路27は、埋め込みカテーテル14からの閉鎖デバイス20の解放後、バルーン5の内部を通ってまだ定められていることが注目される。典型的には、閉鎖デバイス20が埋め込みカテーテル14に接続されるとき、埋め込みカテーテル14のいかなる部分も、バルーン5の内部に配置されていない。
【0143】
典型的には、近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)は、バルーンルーメン6と実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部105aおよび105bを定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、閉鎖デバイス20を送達するために、ガイドワイヤー106(図10a~cに示されている)をその中に受け入れるためのものである。
【0144】
いくつかの応用例については、近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)は変形可能であり、例えば、該要素がバルーン5の膨張の際にそれらの形状を自動的に調整することを可能にする。代替的には、近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)は変形可能ではない。
【0145】
いくつかの応用例については、近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)は、プラスチックまたは金属(例えば、ニチノール)を有する。
【0146】
近位ディスク30および遠位ディスク32は図面において円形であるものとして示されているが、該ディスクは、花、十字架、星、楕円の形状、または、適切な心血管欠損閉鎖およびデバイスの安定性のために必要もしくは適切な任意のその他の形状を有していてもよい。近位ディスク30および遠位ディスク32は、典型的には半径方向に対称であるが、非対称であってもよい。
【0147】
閉鎖デバイス20はさらに、バルーン5の中心軸に沿って、または、中心軸の近傍のようなその他の場所でバルーン5の中に入る膨張ポート3を有する。膨張ポート3は、埋め込みカテーテル14の膨張チューブチャンネルに解放可能に接続されており、かつ、埋め込みカテーテル14からの閉鎖デバイス20の解放前に接続されながらバルーン5が膨張すること、および、しぼむことを可能にする。バルーン5の中心ルーメン6内では、バルーン5はガイドワイヤールーメン7を定めていてもよく、ガイドワイヤールーメン7は、ガイドワイヤー106(図10a~cに示されている)が閉鎖デバイス20を通って軸方向に自由に移動することを可能にする。典型的には、ガイドワイヤールーメン7の近位開口部がバルーン5の中心軸の周りに集まっている構成では、膨張ポート3は中心からずれており、その逆も同様である。
【0148】
本発明の応用例によれば、柔軟なバルーン5は、生理食塩水(任意選択的には、造影剤を有する)、血液(例えば、自家血液)、泡および接着剤(例えば、ゲル、その特性を変えて剛性になり得る液状ポリマー、または、体温でゲルのままである、もしくは、自己硬化するヒドロゲル)を含むがそれらに限定されない、任意の流体でバルーンチャンバー26を満たすことによって膨張するであろう。流体が自家血液を含む応用例については、自家血液は、閉鎖デバイス20の配備の最中に、例えば患者の身体内のバルーン5に対して近位方向の位置にて患者から採られてもよく、患者の身体の外側で患者から採られ、かつ、配備システムを介してバルーンチャンバー26の中に満たされてもよい。流体が血液を含む応用例については、バルーン5が回収されなければならない場合には、しばらくの間凝固を遅らせるために抗凝固剤が血液と混合されてもよい;最終的に、血液は凝固する。
【0149】
上述の流体は、拡張した閉鎖デバイス20の長期形状設定、封止および閉鎖特性を提供する。バルーン5は、拡張した閉鎖デバイス20の急性の(すなわち、即座の)形状設定、封止および閉鎖特性を提供する。したがって、閉鎖デバイス20が放射線不透過性であり、かつ、心エコー、蛍光透視および/またはx線ガイダンスの下で鼓動を打っている心臓に埋め込まれる応用例については、バルーン5の膨張の際に、外科医は、欠損が塞がれたか否かを即座に観察し得る(欠損を通して血流の停止を観察することによって)。バルーン5の膨張の際の欠損の即座の閉鎖は、編組ワイヤーメッシュを有する既知の閉鎖デバイス(概して欠損の即座の閉鎖を提供しないが、その代わりに、数日または数週間後のメッシュにおける十分な凝血の際に良好な閉鎖を提供するに過ぎない)と対照をなす。したがって、これらの既知の閉鎖デバイスの有効性は概して、埋め込みの少なくとも数日後に評価され得るに過ぎない。
【0150】
埋め込みカテーテル14および膨張ポート3は、用いられる流体と適合するように設計された特定のチャンネル、弁および膜(バルーンチャンバー26の充填流体として血液が用いられる場合に血液を通し得るフィルター膜を含む)を含有していてもよい。
【0151】
さらに、フレーム22は、バルーン5の長手方向の調整が、閉鎖デバイス20の安定性を向上させ、かつ、欠損の閉鎖を向上させることを可能にする。
【0152】
いくつかの応用例については、フレーム22は、例えばテーパー形状を作り出してバルーン5に非対称的な境界(例えば、遠位端においてテーパー状である)を提供するために、限定された順応性を有するように設計されていてもよく(例えば、フレーム22の厚さ、または、フレーム22の材料特性のために)、解剖学的構造によって制約され、または、その他の方法で制約されたときにバルーン5が洋ナシ形状を有するようになっている。フレーム22は、略円錐もしくは円錐台形状、円筒形状、または、必要もしくは適切な任意のその他の形状を有していてもよい。いくつかの応用例では、バルーン5は、例えば膨張下で拡張したときに8の字形状もしくはテーパー形状または非対称形状を作り出すために、バルーン5のいくつかの部分において限定された順応性を有するように構成されている。
【0153】
いくつかの応用例では、フレーム22はさらに、単一のストラット21を有し、単一のストラット21は、バルーン5のコンポーネントの内部を通り、かつ、バルーン5のコンポーネントをテーパー状にする。ストラット21は、図2aを参照して以下に記載されるように、バルーン5の内表面に固定されていてもよく、固定されていなくてもよく、バルーン5に埋め込まれていてもよく、埋め込まれていなくてもよい。任意選択的には、ストラット21は、バルーン5の中心ルーメン6を通過する(構成は図示せず)。
【0154】
図2a~9bは、図1a~1cの応用例において提示された閉鎖デバイス20とともに提供されてもよい、さらなる任意選択的な特徴を示している。繰り返しを回避するために、上記の閉鎖デバイスとは異なるそれらの特徴のみが取り上げられるであろう。同様の参照数字は、同一または対応する特徴を表示している。
【0155】
図2aは、本発明の応用例にしたがう、拡張した閉鎖デバイス120の断面図を示している。図2bおよび2cは、本発明の応用例にしたがう、図2aに示されている閉鎖デバイス120の側部の立面図を示している。閉鎖デバイス120はフレーム122を有し、フレーム122は、複数のストラット11によって接続された近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)を有していてもよく、複数のストラット11は任意の適切な形状を有していてもよく、バルーン5のコンポーネントの内側(図示せず)または外側(図示されているように)を通り、かつ、バルーン5のコンポーネントをテーパー状にする。かかる応用例は、そのアセンブリー内のバルーン5のケージ様の構造的境界が、閉鎖デバイス20と身体組織または埋め込まれたプロテーゼとの不要な干渉を回避すること、および、欠損(例えば、心血管欠損)内で閉鎖デバイス20の係留支持を提供することを可能にする。この応用例では、フレーム122は、2つ、4つ、6つ、8つ、10個、12個または任意のその他の適切な偶数もしくは奇数のストラット11を有していてもよい。ストラット11は、バルーン5の内側に配置されていてもよく、外側に配置されていてもよい。いくつかの応用例については、ストラット11は、バルーン5のいかなる表面にも固定されていない。その他の応用例については、ストラット11は、(a)バルーン5の表面(内側または外側)に固定されており、(b)製造の最中にバルーン5の壁部に埋め込まれている(例えば、壁部の内部に鋳造されることによって)。代替的には、バルーン5は、内部でバルーン5に固定されたままであるストラット11の上に成型されてもよい。
【0156】
いくつかの応用例については、フレーム122を形成するストラット11は、壁厚、および/または、それらの全長、もしくは、その一部に沿う幅が異なっていてもよい。そのようであるので、ストラット11は、第2の部分より幅の広い第1の部分を有していてもよい。その他の応用例では、ストラット11の中間部または遠位端部が、いっそう大きい、もしくは、いっそう小さい壁厚および/またはストラット幅を備えていてもよい。壁厚および/またはストラット11の幅を変更することは、フレーム122の半径方向の安定性を決定するであろう。
【0157】
図3aは、本発明の応用例にしたがう、拡張した閉鎖デバイス220の断面図を示している。図3bおよび3cは、本発明の応用例にしたがう、図3aに示されている閉鎖デバイス220の側部の立面図を示している。閉鎖デバイス220はフレーム222を有し、フレーム222は、1つのストラット12によって接続された近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)を有していてもよく、1つのストラット12は、バルーン5のコンポーネントの外側を通り、かつ、バルーン5のコンポーネントをテーパー状にする。ストラット12は、図2aを参照して上記されたように、バルーン5の内表面(図示せず)もしくは外表面(図示されているように)に固定されていてもよく、固定されていなくてもよく、バルーン5に埋め込まれていてもよく、埋め込まれていなくてもよい。
【0158】
ここで図4aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス320の断面図を示している。図4bおよび4cも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図4aに示されている閉鎖デバイス320の側部の立面図を示している。
【0159】
図5aも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、以下に記載のラチェット機構13の作動および長手方向の短縮後の、図4a~cに示されている閉鎖デバイス320の断面図を示している。図5bおよび5cも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図5aに示されている閉鎖デバイス320の側部の立面図を示している。
【0160】
図4a~cに示されているように、この構成では、細長い作動要素9は、遠位先端部要素10に固定的に接続された細長い作動要素324を有する。細長い作動要素324は複数の歯326を有し、かつ、ロック用機構2は1つ以上の歯止めを有する。細長い作動要素324およびロック用機構の歯止めは、一緒になってラチェット機構13を提供し、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離が、ロック用機構2を通して細長い作動要素324を遠位方向に引くことによって種々の距離から選択可能であるようになっている。このラチェット機構13は、一方向の閉鎖デバイス320の長手方向の調整を、その他の方向の移動を阻害しながら可能にし、近位基部要素4および遠位先端部要素10が、図5a~5cに示されているように、閉鎖デバイス320が埋め込みカテーテル14から解放される前に互いにいっそう近付き得るに過ぎないようになっている。任意選択的には、近位基部要素4を通って閉鎖デバイス320の外側へと延びる細長い作動要素324の任意の過度の近位部分が切断され、かつ、身体から除去される;この目的のために、細長い作動要素324は、有孔であってもよく、破断荷重の印加の際に破断するように構成されたいっそう弱い(例えば、いっそう薄い)軸方向部分を有していてもよい。
【0161】
また、図4a~cおよび5a~cに示されているように、閉鎖デバイス320は、任意選択的には、膨張の際に8の字形状をとるように構成されている。例えば、8の字形状は、ストラット11の軸方向中心部分の厚さによって達成されてもよく、8の字のいっそう幅の狭い中心部分の軸方向位置にてストラット11を接続する限定バンドによって達成されてもよく、8の字のいっそう幅の狭い中心部分におけるいっそう少ない膨張をもたらすバルーン5の厚さによって達成されてもよい。
【0162】
ここで図6aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス370の断面図を示している。図6bも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図6aに示されている閉鎖デバイス370の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス370は、図4a~cおよび5a~cを参照して上記された閉鎖デバイス320と同一である。
【0163】
図6a~bに示されているように、この構成では、細長い作動要素9は、遠位先端部要素10に固定的に接続された細長い作動要素374を有する。細長い作動要素374はネジ376を定める形状であり、かつ、ロック用機構2は、近位基部要素4によって定められたネジ山の付いた開口部を有する。細長い作動要素374のネジ376は、ネジ山の付いた開口部内に配置されている。閉鎖デバイス370は、近位基部要素4に対する細長い作動要素374の回転が、細長い作動要素374が近位基部要素4に対して長手方向に移動し、そのことによって、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持することを引き起こすように構成されている。この配置構成は、必要であれば距離の短縮および後に続く延長の両方を可能にする。いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。任意選択的には、近位基部要素4を通って閉鎖デバイス370の外側へと延びる細長い作動要素374の任意の過度の近位部分が切断され、かつ、身体から除去される。
【0164】
まだ図6a~bを参照する。代替的には、細長い作動要素374はネジ376を定める形状ではなく、かつ、ロック用機構2は、近位基部要素4によって定められたネジ山の付いていない開口部を有する。細長い作動要素374を近位方向に引くことは、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を設定する。一旦所望の距離が設定されると、ロック用機構2は、近位基部要素4に対して細長い作動要素374を固定するようにロックされる。いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。
【0165】
ここで図6cを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス380の断面図を示している。図6dも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図6cに示されている閉鎖デバイス380の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス380は、図6a~bを参照して上記された閉鎖デバイス370と同一である。
【0166】
図6c~dに示されているように、この構成では、細長い作動要素9は、遠位先端部要素10に固定的に接続された細長い作動要素384を有する。ロック用機構2はスプールアセンブリー382を有し、スプールアセンブリー382は、スプールと、典型的にはスプールを取り囲むハウジングを有する。細長い作動要素384の近位部が、スプールに巻き付けられている。閉鎖デバイス380は、スプールの回転が、細長い作動要素384が近位基部要素4に対して長手方向に移動し、そのことによって、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持することを引き起こすように構成されている。この配置構成は、必要であれば距離の短縮および後に続く延長の両方を可能にする。いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。
【0167】
ここで図6eを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス390の断面図を示している。図6fも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図6eに示されている閉鎖デバイス390の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス390は、図6a~bを参照して上記された閉鎖デバイス370と同様である。
【0168】
図6e~fに示されているように、この構成では、細長い作動要素9は、近位基部要素395に軸方向に固定的に接続された細長い作動要素392を有する。細長い作動要素392はネジ396を定める形状であり、かつ、バルーン5の遠位側28Bに配置されたロック用機構2は、遠位先端部要素398によって定められたネジ山の付いた開口部を有する。細長い作動要素392のネジ396は、ネジ山の付いた開口部内に配置されている。閉鎖デバイス390は、遠位先端部要素398に対する細長い作動要素392の回転が、細長い作動要素392が遠位先端部要素398に対して長手方向に移動し、そのことによって、遠位先端部要素398と近位基部要素395との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持することを引き起こすように構成されている。この配置構成は、必要であれば距離の短縮および後に続く延長の両方を可能にする。この構成は、図12a~bを参照して以下に記載されるように、閉鎖デバイス390の短縮の際にデバイスの遠位側28Bから突き出る細長い作動要素392の過度の遠位部が、例えばLAAにおいて解剖学的構造と干渉しない埋め込み位置について適切である。
【0169】
任意選択的には、近位基部要素および細長い作動要素392の近位部は、一緒になって回転ラチェット機構394を有し、回転ラチェット機構394は、1つの回転方向のみの細長い作動要素392の回転を可能にするように構成されている。
【0170】
ここで図7を参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス420の断面図を示している。閉鎖デバイス420はロック用の細長い要素8を有し、ロック用の細長い要素8は、(a)中心ルーメン6内でロック用機構2を通過し、かつ、(b)遠位先端部要素410に固定されている。ロック用の細長い要素8は、近位基部要素4に対して長手方向にスライド可能である。典型的には、ロック用の細長い要素8は、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される。
【0171】
この構成では、細長い作動要素9は細長い作動要素424を有し、細長い作動要素424は、中心ルーメン6内に配置されており、遠位先端部要素410に解放可能に接続されており、かつ、近位基部要素4に対して長手方向にスライド可能である。典型的には、細長い作動要素424は、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される。細長い作動要素424を引くこと、および/または、押すことにより近位基部要素4と遠位先端部要素410との間の距離を調整することによって閉鎖デバイス20の長さの長手方向の調整を行った後、ロック用機構2が駆動され、そのことによって、ロック用ワイヤー24が通過する近位基部要素4におけるロック用機構2内にロック用の細長い要素8を固定して、細長い作動要素424を用いて設定された近位基部要素4と遠位先端部要素410との間の距離を固定して維持する。いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。
【0172】
細長い作動要素424は、ユーザーによって直接的に引かれ、かつ/または、押されてもよく、その場合、細長い作動要素424の軸方向の移動が、近位基部要素4の方向に遠位先端部要素410を引き、または、押す。細長い作動要素424を引くこと、または、押すことはまた、典型的にはロック用の細長い要素8の十分な軸方向の剛性の結果として、近位基部要素4を通るロック用の細長い要素8の対応する運動を引き起こす。
【0173】
所望の距離が設定され、かつ、ロック用機構2がロック用の細長い要素8をロックした後、細長い作動要素424は、遠位先端部要素410から解放され、かつ、閉鎖デバイス420および患者の身体から除去される。例えば、細長い作動要素424の遠位部426がネジ428を定める形状であってもよく、かつ、遠位先端部要素410は、ネジ山の付いた開口部であって、それに対して細長い作動要素424の遠位部426のネジ428が解放可能に螺合して接続された前記のネジ山の付いた開口部を定める形状であってもよく、細長い作動要素424が遠位先端部要素410に解放可能に接続されるようになっている。細長い作動要素424は、細長い作動要素424を回転させ、そのことによってそれを遠位先端部410からネジをゆるめて外すことによって解放される。代替的には、例えば、細長い作動要素424は、図8を参照して以下に記載されるように、第1および第2のポジティブ接続要素を用いて遠位先端部要素410に解放可能に接続されていてもよい。
【0174】
この構成、および、細長い作動要素9が遠位先端部要素410に解放可能に接続されているその他の構成では、細長い作動要素9は閉鎖デバイス20の要素ではなく、かつ、実際には埋め込み手順の最中に閉鎖デバイス20から分離され、かつ、身体から除去されることが注目される。
【0175】
任意選択的には、近位基部要素4を通って閉鎖デバイス420の外側へと延びるロック用の細長い要素8の過度の近位部分が切断され、かつ、身体から除去される。
【0176】
ここで図8を参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス520の断面図を示している。以下に記載されるもの以外、閉鎖デバイス520は、図7を参照して上記された閉鎖デバイス420と同一である。
【0177】
この構成では、細長い作動要素9は細長い作動要素524を有し、細長い作動要素524は、以下に記載されるもの以外、図7を参照して上記された細長い作動要素424と同様である。細長い作動要素524は、ネジ526を定める形状である。近位基部要素4はネジ山の付いた開口部を定める形状であり、かつ、細長い作動要素524のネジ526は、ネジ山の付いた開口部内に配置されている。典型的には、細長い作動要素524は、チューブ、ワイヤー(例えば、複数の編み合わされたワイヤー)、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択される。
【0178】
細長い作動要素524はユーザーによって回されてもよく、その場合、細長い作動要素524はネジ山の付いた開口部に係合し、細長い作動要素524の回転が、遠位先端部要素510を近位基部要素4の方向に引き、かつ、閉鎖デバイス20の短縮を引き起こし、そのことによって、遠位先端部要素510と近位基部要素4との間の距離を設定し、かつ、設定された距離を維持するようになっている。
【0179】
いくつかの応用例については、ロック用機構2は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。
【0180】
所望の距離が設定され、かつ、ロック用機構2がロック用の細長い要素8をロックした後、細長い作動要素524は、遠位先端部要素510から解放され、かつ、閉鎖デバイス520および患者の身体から除去される。例えば、細長い作動要素524の遠位部530が第1のポジティブ接続要素を有していてもよく、かつ、遠位先端部要素510は第2のポジティブ接続要素を定める形状であってもよい。第1のポジティブ接続要素は第2のポジティブ接続要素に解放可能に接続されており、細長い作動要素524が遠位先端部要素510に解放可能に接続されるようになっている。細長い作動要素524は、本技術分野で知られているように、例えばポジティブ接続要素の各々のチャンネル内から保持ワイヤーを除去することにより、第2のポジティブ接続要素から第1のポジティブ接続要素を分離することによって、遠位先端部要素510から解放される。
【0181】
ここで図9aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス540の断面図を示している。図9bも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図9aに示されている閉鎖デバイス540の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス380は、図6a~bを参照して上記された閉鎖デバイス370と同一である。
【0182】
図9a~bに示されているように、この構成では、細長い作動要素9は、遠位プーリーシステム544を通して輪になることによって遠位先端部要素10に接続されており、細長い作動要素9の第1の部分542Aおよび第2の部分542Bが近位基部要素を通って遠位方向に延びるようになっている。部分542Aおよび部分542Bのうちの一方または両方を近位方向に引くことは、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を設定する。ロック用機構2はロック用機構546を有し、例えば、ロック用機構546は、圧縮および/または摩擦を用いて、例えばロック用機構546のいっそう小さいチャンネルにおいて細長い作動要素9を保持する。任意選択的には、ロック用機構546は、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を再調整するためにロック後に解放され、かつ、その後で再びロックされ得る。ロック用機構546をロックすることは、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を維持する。この配置構成は、必要であれば距離の短縮および後に続く延長の両方を可能にする。ロック用機構546は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、例えば、近位基部要素4に接続されているか、近位基部要素4に統合されている。
【0183】
ここで図10aを参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、送達システム107の埋め込みカテーテル14内でその圧縮された形態にある、図2aに示されている閉鎖デバイス120の断面図を示している。図10bおよび10cも参照すると、該図は、各々、本発明の応用例にしたがう、埋め込みカテーテル14から解放されているが、まだ送達システム107に接続されているときの、図2aに示されている閉鎖デバイス120、および、その主たるコンポーネントの斜視図および断面図を示している。図10a~cは、例として閉鎖デバイス120を示している;送達システム107はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスを送達するのに用いられてもよい。
【0184】
埋め込みカテーテル14は、心血管装置における心血管システムを通した欠損への閉鎖デバイス120の導入が、閉鎖デバイス120を配備して、欠損を封止し、かつ、閉鎖を維持することを可能にするか、または、患者の身体における別の場所への閉鎖デバイス120の導入を可能にする。典型的には、送達システム107はさらに、多数のノブを有する送達システムハンドル18を有する。
【0185】
埋め込みカテーテル14は、近位接続要素1によって閉鎖デバイス120に接続されている。埋め込みカテーテル14は、閉鎖デバイス120を、その圧縮された形態(すなわち、そのしぼみ、かつ、拡張していない構成)にて含有している。いくつかの応用例については、閉鎖デバイス120が圧縮された形態にて埋め込みカテーテル14に配置されているとき、近位基部要素4と遠位先端部要素10との間の最大距離Dが8~80mm(例えば、10~60mm)である。(「最大距離」は、近位基部要素4および遠位先端部要素10の各々のポイントの間の距離であり、該ポイントは互いから最も遠い。)上述されたように、図10aは例として閉鎖デバイス120を示している;送達システム107はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスを送達するのに用いられてもよく、その場合、これらのその他の閉鎖デバイスは、任意選択的には、すぐ上に記載された最大距離Dを有していてもよい。
【0186】
送達システム107は、制御可能な閉鎖デバイス120の露出、膨張、しぼむこと、長手方向の調整、回収性および埋め込みの最後における解放を可能にするためのすべてのコンポーネントおよび通路を有する。埋め込みカテーテル14は、典型的には、カテーテルの技術分野で知られているように操縦可能である。別の構成では、埋め込みカテーテル14は、操縦可能である代わりに可撓性である。
【0187】
閉鎖デバイス120の露出は、送達システムハンドル18における埋め込みノブ16によって制御される。例えば、近位基部要素4に接続された接続ハイポチューブを露出させ、かつ、回収することによって、閉鎖デバイス120の前進が達成されるであろう。回収は、ハイポチューブ内に配置された固定ワイヤーを引いて、ポジティブ接続体内の所定の位置に固定ワイヤーを保持することによって達成されてもよい。固定ワイヤーの近位方向の回収はポジティブ接続体を自由にし、そのことによって閉鎖デバイス120を解放する。いくつかの応用例については、ハンドル18は、上記されたように、細長い作動要素の特定の構成に基づいて、例えば細長い作動要素を回転させ、かつ/または、押す/引くことによって遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を変更するために、細長い作動要素を移動させるように配置されたディスク作動ノブ17を有する。
【0188】
送達システム107は、標的欠損へと閉鎖デバイス120をガイドするのに用いられるガイドワイヤー106、および、閉鎖デバイス120の長さを調整するのに用いられる細長い作動要素のコースが、閉鎖デバイスの構造内にあり、かつ、閉鎖デバイス120の中心ルーメン6内にあることを可能にする。
【0189】
典型的には、送達システム107は、ハンドル18において膨張ポート19を介してバルーン5を膨張させ、かつ、しぼませるための機構を含んでいる。
【0190】
送達システム107は、標的欠損において閉鎖デバイス120を良好に位置させることを達成するために操縦機能性を提供するように構成されており、例えば、送達システムハンドル18内の操縦ノブ15(操縦リミッターを含んでいる)によって制御されている。心血管的な応用例については、操縦機能性は、静脈鼠径部から下大静脈、右心房、左心房への順行性アプローチおよび動脈鼠径部から左心室への逆行性アプローチのいずれかを可能にし、かつ、本技術分野で知られている技術のうちのいずれかを用いて閉鎖デバイス120が埋め込まれることを可能にする。
【0191】
図1c~9bを参照する。いくつかの応用例については、各々、近位基部要素4および遠位先端部要素10(例えば、近位ディスク30および遠位ディスク32)および細長い作動要素9、ストラット11もしくはストラット12を有する、フレーム22、12または222は、プラスチック製または金属製の変形可能な特徴部を有し、かつ、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、タンタル、金、白金イリジウム、タングステン、上記の金属のいずれかの合金(白金-イリジウム合金、コバルト-クロム合金、ニッケル-チタン合金およびニッケル-チタン-白金合金を含む)を含む、任意の適切な生体適合性材料を有していてもよい。代替的には、フレーム22、122または222は、ポリエステルもしくはポリカーボネートコポリマーを含むポリマーまたは任意の金属もしくはポリマーもしくは柔らかな塑性変形を提供し得るポリマーおよび金属の組み合わせを有していてもよい。適切な材料としては、生体適合性でもある生分解性材料が挙げられ、正常な生物学的プロセスの一部として有意でない化合物への化学変化または分解を経験する材料を意図する。適切な生分解性材料としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、コラーゲンまたはその他の結合タンパク質もしくは天然素材、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、接着タンパク質、これらの材料のコポリマー、ならびに、それらの複合物および組み合わせ、および、その他の生分解性ポリマーの組み合わせが挙げられる。
【0192】
まだ図1c~9bを参照する。本発明のいくつかの実施形態による、閉鎖デバイス20、120または220のフレーム22、122または222およびバルーン5は、各々、異なるサイズの心血管欠損または身体のその他の適切な領域において用いるのに必要または適切であるように、異なるサイズで製造されるであろう。
【0193】
図10a~c、および、本発明の応用例にしたがう、先天性欠損(例えば、卵円孔開存(PFO))内での拡張の異なる各々のステージにおける、図2aに示されている閉鎖デバイス120の側面図を示す図11a~bを参照する。図11a~bは、例として閉鎖デバイス120を示している;これらの技術はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスとともに用いられてもよい。
【0194】
本発明のいくつかの応用例では、患者の心血管欠損を塞ぐ方法が提供される。代替的には、当該方法は、医療用デバイスと患者の隣接する身体組織との間の隙間を封止するのに用いられてもよい;例えば、医療用デバイスは人工心臓弁であってもよく、かつ、当該方法は、人工心臓弁と患者の隣接する心臓組織との間の弁周囲逆流を治療してもよい。
【0195】
ガイドワイヤー106は、例えば図10aに示されているように、送達システム107を用いて患者の身体の中へと前に進められる。送達システムを用いて、閉鎖デバイス120の柔軟なバルーン5は、ガイドワイヤー106の向こう側へと閉鎖デバイス120を前進させることによって、その長手方向に延びた形態(部分的に圧縮されるか、全体が圧縮されるかのいずれか)で心血管欠損に位置する。任意選択的には、バルーン5は、それがその長手方向に延びた形態で心血管欠損または塞がれるべき隙間に位置する前に、部分的に膨張している。代替的には、任意選択的に、バルーン5がその長手方向に延びた形態で心血管欠損または塞がれるべき隙間に位置した後で、バルーン5が部分的に膨張し、かつ、その後でその長手方向に延びた形態で心血管欠損または塞がれるべき隙間に再度位置する。
【0196】
柔軟なバルーン5は、バルーン5の膨張ポート3を介して、バルーン5によって定められた流体密封バルーンチャンバー26の中に流体を満たすことによって膨張する。図11aは、バルーン5が膨張した後の閉鎖デバイス20を示している。図11aに示されている8の字形状は、欠損が該形状を有するようにバルーン5を制約するために、かつ/または、バルーン5が解剖学的構造の不存在下でさえも該形状をとるように構成されているために達成されるであろう。
【0197】
その後、バルーン5は、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を所望の距離へと短縮し、かつ、該距離をロックすることによって、半径方向または横方向に拡張する。半径方向または横方向の拡張は、バルーンと隣接する解剖学的構造との間の良好な封止を提供する。図11bは、バルーン5が半径方向または横方向に拡張した後の閉鎖デバイス20を示している。
【0198】
その後、閉鎖デバイス120は、送達システム107から解放される。
【0199】
いくつかの応用例については、近位基部要素4および遠位先端部要素10は、バルーンルーメン6と実質的に同軸である上述の各々のガイドワイヤー開口部105aおよび105bを定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤー106をスライド的に受け入れるためのものであり、かつ、ガイドワイヤー106の向こう側へと閉鎖デバイス120を前進させることは、上記のガイドワイヤー開口部105aおよび105bを通してガイドワイヤー106をスライドさせることを有する。
【0200】
いくつかの応用例については、バルーン5は、バルーン5の近位側28Aから遠位側28Bへの上述の長手方向通路27を形成する上述のバルーンルーメン6を有する。遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離は、細長い作動要素9を引くことによって所望の距離へと短縮され、細長い作動要素9は、バルーンルーメン6に長手方向にスライド可能に配置されており、遠位先端部要素10に接続されており、かつ、近位基部要素4に対して長手方向に移動可能である。距離は、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間で、細長い作動要素9を用いて設定された距離を維持するためのロック用機構2を用いてロックされる。
【0201】
いくつかの応用例については、閉鎖デバイス120は、送達システム107の対応して構成された遠位接続要素から閉鎖デバイス120の上述の近位接続要素1を解放することによって、送達システム107から解放される。
【0202】
任意選択的には、バルーン5は、その圧縮された形態で、送達システム107の埋め込みカテーテル14から治療されるべき領域の中へと部分的に露出し(例えば、バルーン5の長さの半分だけ露出し)、かつ、バルーン5の露出した部分のみが膨張する。バルーン5はその後、いっそう良好な閉鎖標的のために再度位置し、かつ、バルーン5は、後に続いて送達システム107から完全に露出し、かつ、バルーン5の残りの部分が膨張する。後に続いて、長手方向の距離が短縮される。
【0203】
任意選択的には、バルーン5の一部が、その圧縮された形態で、送達システム107の埋め込みカテーテル14から治療されるべき領域の中へと露出し(例えば、バルーン5の長さの半分だけ露出し)、かつ、バルーン5の露出した部分のみが膨張する。バルーン5の露出した部分は、近位基部要素4に向けて遠位先端部要素10を移動させることにより遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離を短縮することによって拡張する。閉鎖デバイス120が送達システム107から解放される前に、バルーン5の残りの部分が、遠位先端部要素10と近位基部要素4との間の距離をさらに短縮することによって、埋め込みカテーテルから露出し、膨張し、かつ、拡張する。
【0204】
当該方法が人工心臓弁と患者の隣接する心臓組織との間の弁周囲逆流を治療するのに用いられるいくつかの応用例については、柔軟なバルーン5を位置させ、かつ、膨張させることは、患者の心室にバルーン5を位置させること;その後で、バルーン5を部分的に膨張させること;その後で、ほぼ弁周囲逆流の長手方向中心にバルーン5を配置すること;および、その後で、バルーン5をさらに膨張させることを有する。バルーン5は、バルーン5をさらに膨張させた後で拡張する。いくつかの応用例については、バルーン5は、バルーン5がほぼ弁周囲逆流の長手方向中心に配置されるまでバルーン5を近位方向に引き込むことによって、ほぼ弁周囲逆流の長手方向中心に配置される。
【0205】
図12aおよび12bは、本発明の各々の応用例にしたがう、身体組織のキャビティーまたは切れ目内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイス120の側面図を示している。例えば、キャビティーまたは切れ目は、例えば左心耳(LAA)のような心血管欠損であってもよい。図12a~bは、例として閉鎖デバイス120を示している;これらの技術はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスとともに用いられてもよい。図10a~cおよび11a~bを参照して上記された配備方法は、必要な変更を加えて、図12a~bに示されている埋め込みを達成するのに用いられてもよい。
【0206】
いくつかの応用例については、バルーン5は、8の字形状(図12aに示されているように)、洋ナシ形状(図12bに示されているように、または、多数の小葉を有する形状を有するように構成されている。
【0207】
図13aおよび13bは、本発明の応用例にしたがう、医療用デバイスと隣接する組織との間の隙間内で拡張したときの、図2aに示されている閉鎖デバイス120の側面図を示している。例えば、医療用デバイスは、例えば人工弁のステントのようなステントを有していてもよい。図13a~bは、例として閉鎖デバイス120を示している;これらの技術はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスとともに用いられてもよい。図10a~cおよび11a~bを参照して上記された配備方法は、必要な変更を加えて、図13a~bに示されている埋め込みを達成するのに用いられてもよい。
【0208】
図13bに示されている構成では、閉鎖デバイス120のフレーム122はバックボーンストラット111を有し、バックボーンストラット111は、近位基部要素4および遠位先端部要素10を接続し、かつ、その他のストラット11(提供されていれば)より厚い。バックボーンストラット111は、別の場所のバルーン5の膨張と比較して、バルーンのその横側での相対的な膨張を低減させ、そのことによって満たされるべき隙間の解剖学的構造に適したバルーン形状を提供するように構成されている。代替的または追加的には、一方の横側のバルーン5の壁部は、一方の横側で長手方向にいっそう厚く、バルーンがその側であまり膨張しないことを引き起こすバックボーンを作り出してもよい。
【0209】
ここで図14aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス720の断面図を示している。図14bおよび14cも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図14aに示されている閉鎖デバイス720の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス720は、上記されたその他の閉鎖デバイス(閉鎖デバイス20、120、220、320、370、380、390、420、520および540を含むが、それらに限定されない)または下記のその他の閉鎖デバイス(閉鎖デバイス620を含むが、それに限定されない)の特徴のいずれかを実装していてもよい。
【0210】
図14a~cに示されているように、この構成では、閉鎖デバイス720はフレーム722を有し、フレーム722は複数のストラット711を有し、複数のストラット711は任意の適切な形態を有していてもよく、バルーン5のコンポーネントの内側(図示せず)または外側(図示されているように)を通り、かつ、バルーン5のコンポーネントをテーパー状にする。かかる応用例は、そのアセンブリー内のバルーン5のケージ様の構造的境界が、閉鎖デバイス720と身体組織または埋め込まれたプロテーゼとの不要な干渉を回避すること、および、欠損(例えば、心血管欠損)内で閉鎖デバイス720の係留支持を提供することを可能にする。この応用例では、フレーム722は、2つ、4つ、6つ、8つ、10個、12個または任意のその他の適切な偶数もしくは奇数のストラット711を有していてもよい。ストラット711は、バルーン5の内側に配置されていてもよく、外側に配置されていてもよい。いくつかの応用例については、ストラット711は、バルーン5のいかなる表面にも固定されていない。その他の応用例については、ストラット711は、(a)バルーン5の表面(内側または外側)に固定されており、(b)製造の最中にバルーン5の壁部に埋め込まれている(例えば、壁部の内部に鋳造されることによって)。代替的には、バルーン5は、内部でバルーン5に固定されたままであるストラット711の上に成型されてもよい。
【0211】
この構成では、ストラット711は、閉鎖デバイス720の中心長手方向軸713と平行には配置されていない。例えば、ストラット711は、例えば図示されているように、バルーン5の周りに略らせん状の構成で配置されていてもよい。
【0212】
ここで図15aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス820の断面図を示している。図15bおよび15cも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図15aに示されている閉鎖デバイス820の側部の立面図を示している。以下に記載されているものを除き、閉鎖デバイス820は、図14a~cを参照して上記された閉鎖デバイス720と同一であり、かつ、上記されたその他の閉鎖デバイス(閉鎖デバイス20、120、220、320、370、380、390、420、520および540を含むが、それらに限定されない)または下記のその他の閉鎖デバイス(閉鎖デバイス620を含むが、それに限定されない)の特徴のいずれかを実装していてもよい。
【0213】
図15a~cに示されているように、この構成では、閉鎖デバイス820はフレーム822を有し、フレーム822は複数のストラット811を有し、複数のストラット811は、図14a~cを参照して上記されたフレーム722および/またはストラット711の特徴のいずれかを有していてもよい。
【0214】
この構成では、ストラット811は、閉鎖デバイス813の中心長手方向軸813と平行には配置されていない。例えば、ストラット811は、例えば図示されているように、バルーン5の周りにジグザグの構成で配置されていてもよく、任意選択的には部分的にらせん状の部分を含んでいる。
【0215】
ここで図16を参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図2aに示されている閉鎖デバイス120を配備する方法を示している。図16は、例として閉鎖デバイス120を示している;これらの技術はまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスとともにに用いられてもよい。図16の第1のフレームは、左心耳欠損に近づいている送達システム107を示している。第2のフレームは、露出し、かつ、予め膨張した閉鎖デバイス120を半分だけ示している。第3のフレームは、調整された閉鎖デバイス120を半分だけ示している。第4のフレームは、露出し、かつ、予め膨張した閉鎖デバイス120のもう半分を示している。第5のフレームは、閉鎖デバイス120全体の完全な膨張、および、近位基部要素4と遠位先端部要素10との間の距離を短縮するさらなる調整を示している。第6の(最後の)フレームは、標的位置における閉鎖デバイス120の解放を示している。
【0216】
ここで図17aを参照すると、該図は、本発明の応用例による、拡張した閉鎖デバイス620の断面図を示している。図17bも参照すると、該図は、本発明の応用例にしたがう、図17aに示されている閉鎖デバイス620の側部の立面図を示している。以下に記載されいるものを除いて、閉鎖デバイス620は、必要な変更を加えて、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスの特徴(本明細書に記載のフレームのストラットおよび閉鎖デバイスのコンポーネントの材料を含むが、それらに限定されない)のいずれかを実装していてもよい。同様の参照数字は、同様の部分に言及する。
【0217】
閉鎖デバイス620は:
・ 柔軟なバルーン5を有し、柔軟なバルーン5は、流体密封バルーンチャンバー26を定めており、かつ、バルーンチャンバー26の中を流体で満たし、かつ、バルーン26チャンバーから流体をなくすための膨張ポート3を有し;
・ バルーン5の遠位側28Bに配置された遠位先端部要素10と、バルーン5の近位側28Aに配置された近位基部要素604を有し;
・ 細長い要素608を有し、細長い要素608は、固定された長さを有し、かつ、遠位先端部要素10および近位基部要素604に固定されて、遠位先端部要素10と近位基部要素604との間の固定された距離を設定するようになっており;典型的には、細長い要素608は、チューブ、ワイヤー、シャフト、ケーブル、ストランドおよびファイバーからなる群より選択され;かつ、
・ 近位接続要素1を有し、近位接続要素1は、バルーン5の近位側28Aに配置されており、かつ、近位接続要素1は、送達システム107の対応して構成された遠位接続要素に閉鎖デバイス620を解放可能に接続するように構成されている。
【0218】
典型的には、バルーン5は、バルーン5の近位側28Aから遠位側28Bへの長手方向通路27を形成するバルーンルーメン6を有する。いくつかの応用例については、細長い要素608はバルーンルーメン6に配置されている。典型的には、近位基部要素604および遠位先端部要素10は、バルーンルーメン6と実質的に同軸である各々のガイドワイヤー開口部605aおよび605bを定める形状であり、該ガイドワイヤー開口部は、その中にガイドワイヤー106をスライド的に受け入れるためのものである。
【0219】
いくつかの応用例については、近位基部要素604および遠位先端部要素10は、各々、近位ディスク630および遠位ディスク32を有する。
【0220】
いくつかの応用例については、閉鎖デバイス620はさらに、例えば、図1a~cを参照して上記された単一の接続ストラット21、図3a~cを参照して上記された単一の接続ストラット12、または、図2a~cを参照して上記された複数のストラット11のような、遠位先端部要素および近位基部要素に固定された少なくとも1つの接続ストラットを有する。ストラット(単数)またはストラット(複数)は、バルーン5の内側および/または外側に配置されていてもよく、かつ、上記されたように配置されていてもよい。
【0221】
本発明の応用例では、心血管欠損を塞ぐ、または、医療用デバイスと患者の隣接する身体組織との間の隙間を塞ぐ方法が提供される。当該方法は:
・ 送達システムを用いて患者の身体の中へとガイドワイヤー106を前進させることを有し;
・ ガイドワイヤー106の向こう側へと閉鎖デバイス620を前進させることによって、心血管欠損または塞がれるべき隙間に閉鎖デバイス620の柔軟なバルーン5をその圧縮された形態で位置させることを有し;
・ 柔軟なバルーン5を、バルーン5の膨張ポート3を介して、バルーン5によって定められた流体密封チャンバー26の中へと流体を満たすことによって膨張させることを有し、細長い要素608(固定された長さを有し、かつ、遠位先端部要素10および近位基部要素604に固定されている)が、遠位先端部要素10と近位基部要素604との間の固定された距離を設定するようになっており、遠位先端部要素10がバルーン5の遠位側28Bに配置され、かつ、近位基部要素604がバルーン5の近位側28Aに配置されるようになっており;かつ、
・ 送達システムから閉鎖デバイス620を解放することを有する。
【0222】
本発明のいくつかの応用例では、欠損を塞ぐために、2つ以上の閉鎖デバイスが、直列および/または並列のいずれかで埋め込まれる。いくつかの応用例については、2つ以上の閉鎖デバイスのフレームは、典型的には埋め込み手順の最中にその場で、2つ以上の閉鎖デバイスを一緒に接続するように構成されている。いくつかの応用例については、バルーンのうちの1つの表面の一部が、いかなるフレームも有さず、かつ、別のバルーンのフレームが、例えばバルーンの近傍の漏出を回避するために、他方のバルーンのむき出しの部分と接触する。
【0223】
本発明のいくつかの応用例では、本明細書に記載の閉鎖デバイスは、滅菌包装にて包装される。
【0224】
本明細書に記載の構成のうちの任意のものでは、バルーン5は、任意選択的には、100~5000ミクロン(例えば、200~1000ミクロン)の平均壁厚を有していてもよい。代替的には、バルーン5は、この平均壁厚を有さない。
【0225】
本明細書に記載の構成のうちの任意のものでは、バルーン5は、任意選択的には、バルーン5の壁部の最も薄い部分において、20~500ミクロン(例えば、40~100ミクロン)の最も薄い壁厚を有していてもよい。代替的には、バルーン5は、この最も薄い壁厚を有さない。
【0226】
本明細書に記載の構成のうちの任意のものでは、閉鎖デバイスは近位放射線不透過性マーカー23を有していてもよく、近位放射線不透過性マーカー23は、近位基部要素に固定されており、かつ、近位基部要素より放射線不透過性である材料を有する。代替的または追加的には、本明細書に記載の構成のうちの任意のものでは、閉鎖デバイスは遠位放射線不透過性マーカー25を有していてもよく、遠位放射線不透過性マーカー25は、遠位先端部要素に固定されており、かつ、遠位先端部要素より放射線不透過性である材料を有する。これらの放射線不透過性マーカーは、心エコー、蛍光透視および/またはx線ガイダンスの下で閉鎖デバイスを正確に位置させることを可能にする。
【0227】
近位放射線不透過性マーカー23および遠位放射線不透過性マーカー25は、図1bおよび1cに例として示されている;これらのマーカーはまた、本明細書に記載のその他の閉鎖デバイスに提供されてもよい。代替的には、本明細書に記載の閉鎖デバイスは、近位放射線不透過性マーカー23または遠位放射線不透過性マーカー25を有さない。例えば、近位放射線不透過性マーカー23および/または遠位放射線不透過性マーカー25はそれぞれ、例えば図1bおよび1cに示されているように、リング状であってもよい;代替的には、マーカーはその他の形状および/または互いに異なる形状もしくはサイズを有していてもよい。
【0228】
例えば、近位放射線不透過性マーカー23および/または遠位放射線不透過性マーカー25の材料は、Au、PtIrまたはTaを有していてもよい。
【0229】
例えば、近位放射線不透過性マーカー23および/または遠位放射線不透過性マーカー25は、各々、のり付け、はんだ付け、クリンプまたは溶接によって近位基部要素および遠位先端部要素に固定されていてもよい。
【0230】
本明細書に記載の構成のうちの任意のものでは、閉鎖デバイスが圧縮された膨張していない形態にあるとき、近位基部要素4と遠位先端部要素10との間の最大距離が8~80mm(例えば、10~60mm)である。(「最大距離」は、近位基部要素4および遠位先端部要素10の各々のポイントの間の距離であり、該ポイントは互いから最も遠い。)任意選択的には、閉鎖デバイスは、近位接続要素1が送達システム107に取り付けられており、かつ、閉鎖デバイスが埋め込みカテーテル14に配置されていないときに、上記の圧縮された膨張していない形態にある。
【0231】
本発明は、具体的に示され、かつ、上記されたものに限定されないことが当業者によって把握されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の種々の特徴の組み合わせ、および、部分的組み合わせの両方、ならびに、前記の説明を呼んだ際に当業者が想起する先行技術にはないその変形および修正を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-B】
図6C-D】
図6E-F】
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17