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特許7503232発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム
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  • 特許-発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム 図1
  • 特許-発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム 図2
  • 特許-発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム 図3
  • 特許-発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20240613BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024017234
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2024011381の分割
【原出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517087831
【氏名又は名称】大谷 寛
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 寛
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0295199(US,A1)
【文献】若槻龍太,ChatGPT plugins を使って視覚的なシステム構成図をチャット上に表示しながら作成する体験をしてみた #ChatGPT#OpenAI#生成AI,[online],2023年05月15日, https://dev.classmethod.jp/articles/chatgpt-plugins-diagram-it/,検索日[2024年3月21日検索],情報源(インターネット:<URL: https://dev.classmethod.jp/articles/chatgpt-plugins-diagram-it/>)
【文献】Tokkyo.Ai社、ChatGPT APIを活用した特許出願のための特許明細書と請求範囲のTokkyo生成AI(旧TokkyoGPT)を公開 ~AI類似特許検索に加えて特許出願の生産性を飛躍的に向上~ リーガルテック株式会社,[online],2023年09月06日,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000042056.html,検索日[2024年3月21日検索],情報源(インターネット:<URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000042056.html>)
【文献】若槻龍太,ChatGPTでMermaid構文を出力してみた(シーケンス図、ガントチャート、フローチャート作成の実践例),[online],https://dev.classmethod.jp/articles/chatgpt-mermaid-diagram/,検索日[2024年3月21日検索],情報源(インターネット:<URL: https://dev.classmethod.jp/articles/chatgpt-mermaid-diagram/>)
【文献】ChatGPTはもはや見ることができる - ChatGPT Visionを使って私が発見した驚くべき秘密!,[online],2023年11月11日,全文、全図,https://ainow.ai/2023/11/11/275124/#4_ChatGPT,検索日[2024年3月21日検索],情報源(インターネット:<URL:https://ainow.ai/2023/11/11/275124/#4_ChatGPT>)
【文献】江端 智一,Markdown で 特許明細書の図面(フローチャート等)を描く方法,[online],2022年10月27日,https://wp.kobore.net/%E6%B1%9F%E7%AB%AF%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%83%A1%E3%83%A2/post-7963/,[検索日:2024.02.15],情報源(インターネット:<URL:https://wp.kobore.net/%E6%B1%9F%E7%AB%AF%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%83%A1%E3%83%A2/post-7963/>)
【文献】臼田佳祐,Markdownでシーケンス図とかが書けるMermaid記法で業務フローを書いたら意外とイケたので自分なりのコツを紹介してみる,[online],2022年04月30日,https://dev.classmethod.jp/articles/workflow-tips-with-mermaid/,[検索日:2024.02.15],情報源(インターネット:<URL:https://dev.classmethod.jp/articles/workflow-tips-with-mermaid/>)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発明についての説明の作成を支援するための方法であって、
コンピュータが、前記発明の複数の動作を表すシーケンス図の定義であって、スクリプト言語の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記複数の動作についての説明を生成することの第1の指示であって、前記定義を変数の値に設定した第1の指示を作成するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の指示を含む第1の要求を第1の生成AIモデルに行うステップと、
前記コンピュータが、生成された前記複数の動作についての説明の少なくとも一部を記憶するステップと
を含み、
前記説明は、前記定義に含まれない記述を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記スクリプト言語は、Mermaidである。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の指示は、前記発明の技術分野を含む。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
生成された前記複数の動作についての説明は、前記複数の動作のそれぞれに求められるロジックを含む。
【請求項5】
発明についての説明の作成を支援するための方法であって、
コンピュータが、前記発明の複数の動作を表すシーケンス図の定義であって、スクリプト言語の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記定義を解析するステップと、
前記コンピュータが、前記複数の動作についての説明を生成することの第1の指示であって、前記解析の結果を変数の値に設定した第1の指示を作成するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の指示を含む第1の要求を第1の生成AIモデルに行うステップと、
前記コンピュータが、生成された前記複数の動作についての説明の少なくとも一部を記憶するステップと
を含み、
前記説明は、前記定義に含まれない記述を含む。
【請求項6】
コンピュータに、発明についての説明の作成を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記発明の複数の動作を表すシーケンス図の定義であって、スクリプト言語の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、
記複数の動作についての説明を生成することの第1の指示であって、前記定義を変数の値に設定した第1の指示を作成するステップと、
前記第1の指示を含む第1の要求を第1の生成AIモデルに行うステップと、
生成された前記複数の動作についての説明を記憶するステップと
を含み、
前記説明は、前記定義に含まれない記述を含む。
【請求項7】
発明についての説明の作成を支援するための方法を実行させるための装置であって、
前記発明の複数の動作を表すシーケンス図の定義であって、スクリプト言語の構文を用いたテキスト形式の定義を取得し、
前記発明の複数の動作についての説明を生成することの第1の指示であって、前記定義を変数の値に設定した第1の指示を作成して、前記第1の指示を含む第1の要求を第1の生成AIモデルに行い、
生成された前記複数の動作についての説明を記憶するように構成され、
前記説明は、前記定義に含まれない記述を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生まれた発明を特許権として権利化するためには、特許出願を行う必要がある。特許出願は、権利化を求める発明を特定する請求項(claim)と、当該発明についての説明(description)とを含む出願書類を特許庁に提出することによって行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明についての説明は、請求項の記載の根拠となることから、充実したものとすることが望ましいものの、そのために求められる論理的に整理された文章を記述することは、代理人その他の出願書類を作成する者の大きな負担となっている。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その課題は、発明に関する説明の作成を支援するための装置、方法又はそのためのプログラムにおいて、当該説明の作成を省力化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、発明についての説明の作成を支援するための方法であって、ユーザー端末から、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を受信するステップと、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求するステップと、前記ユーザー端末に、生成された前記複数の動作についての説明の少なくとも一部を送信するステップとを含む。
【0006】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記所定の構文は、スクリプト言語の構文である。
【0007】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様の方法であって、前記スクリプト言語は、Mermaidである。
【0008】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の方法であって、前記図は、シーケンス図である。
【0009】
また、本発明の第5の態様は、第1から第3のいずれかの態様の方法であって、前記要求は、前記図の種類に応じて異なる指示を含む。
【0010】
また、本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様の方法であって、生成された前記複数の動作についての説明は、前記複数の動作のそれぞれに求められるロジックを含む。
【0011】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様の方法であって、前記図は、シーケンス図であり、生成された前記複数の動作の数は、前記シーケンス図に含まれるステップの数と同一である。
【0012】
また、本発明の第8の態様は、第1から第7のいずれかの態様の方法であって、前記要求は、前記定義を含む。
【0013】
また、本発明の第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様の方法であって、前記要求は、設定された技術分野における知識を用いることを含む。
【0014】
また、本発明の第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様の方法であって、前記発明は、ソフトウェア関連発明である。
【0015】
また、本発明の第11の態様は、第10の態様の方法であって、生成された前記複数の動作についての説明は、前記複数の動作のそれぞれをソフトウェアとして実装するために求められるロジックを含む。
【0016】
また、本発明の第12の態様は、第11の態様の方法であって、前記要求は、出力形式の特定を含む。
【0017】
また、本発明の第13の態様は、第1から第12のいずれかの態様の方法であって、前記生成AIモデルは、トランスフォーマーアーキテクチャを適用したモデルである。
【0018】
また、本発明の第14の態様は、発明についての説明の作成を支援するための方法であって、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求するステップと、生成された前記複数の動作についての説明を記憶するステップとを含む。
【0019】
また、本発明の第15の態様は、コンピュータに、発明についての説明の作成を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求するステップと、生成された前記複数の動作についての説明を記憶するステップとを含む。
【0020】
また、本発明の第16の態様は、発明についての説明の作成を支援するための方法を実行させるための装置であって、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得し、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求し、生成された前記複数の動作についての説明を記憶するように構成されている。
【0021】
また、本発明の第17の態様は、発明についての説明の作成を支援するための方法であって、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、生成された前記複数の動作についての説明を受信するステップと、生成された前記複数の動作についての説明に基づく新たな説明を生成することを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を行うステップと、生成された前記新たな説明を記憶するステップとを含む。
【0022】
また、本発明の第18の態様は、第17の態様の方法であって、前記第2の要求は、前記発明が解決すべき課題を含む。
【0023】
また、本発明の第19の態様は、コンピュータに、発明についての説明の作成を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得するステップと、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を行うステップと、生成された前記複数の動作についての説明を受信するステップと、生成された前記複数の動作についての説明に基づく新たな説明を生成することを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を行うステップと、生成された前記新たな説明を記憶するステップとを含む。
【0024】
また、本発明の第20の態様は、発明についての説明の作成を支援するための装置であって、前記発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を取得して、前記図により表される前記発明の複数の動作についての説明を生成することを第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を行い、生成された前記複数の動作についての説明に基づく新たな説明を生成することを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を行い、生成された前記新たな説明を記憶するように構成されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、所定の構文を用いたテキスト形式の図の定義を取得して、当該図により表される発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求することによって、秩序立った当該発明の複数の動作についての説明を数十秒で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態にかかるシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる方法の流れを示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる生成AIモデルに対する要求の一部の一例である。
図4】本発明の一実施形態にかかる生成AIモデルに対する要求に含めた図の定義の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図1に本発明の一実施形態にかかるシステムを示す。装置100は、発明についての説明の作成を支援するために、ユーザーが用いるユーザー端末110及び生成AIモデルを提供するプラットフォーム120とインターネット等のIPネットワークを介して通信する。AIモデルは、装置100と通信可能なプラットフォーム120により提供されるものとして例示的に説明をするが、装置100上でAIモデルを提供するためのアプリケーションを実行して、装置100によりAIモデルが提供されるようにすることもできる。
【0029】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理又は各動作を行うためのプログラムを処理部102において実行することによって構成することができる。装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からIPネットワークを介してアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体104に記憶しておき、処理部102の少なくとも1つのプロセッサにおいて当該プログラムに含まれる命令を実行することができる。以下で記憶部103に記憶されるものとして記述されるデータは記憶装置又は記憶媒体104に記憶してもよく、またその逆も同様である。図1においては、便宜上、記憶装置又は記憶媒体104をデータベースとして示している。
【0030】
まず、装置100は、ユーザー端末110から、発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を受信する(S201)。当該所定の構文は、たとえば、スクリプト言語の構文であり、スクリプト言語の例としては、Mermaidが挙げられる。また、当該図により表される発明は、たとえば、ソフトウェア関連発明であり、この場合、当該図はシーケンス図であることが好ましい。
【0031】
次いで、装置100は、当該図により表される当該発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求する(S202)。当該要求は、図の種類に応じて異なる指示を含むようにしてもよい。
【0032】
図3に、本発明の一実施形態にかかる生成AIモデルに対する要求のためのコードの一部の一例を示す。図3の例は、プログラミング言語Pythonで記述したコードの一部であり、当該コードを実行することによって、OpenAI APIを呼び出し、プラットフォーム120上で提供される生成AIモデルに発明についての説明を生成させることができる。ここで、変数 “model” は利用する生成AIモデルの種類であり、変数 ”temperature” は出力の多様性を表す。OpenAI APIは例示であり、その他のAPIを用いてもよい。また、プログラミング言語Pythonは例示であり、その他の言語を用いてもよい。当該コードは、記憶部103に記憶しておき、装置100がこれを取得して、当該コードに含まれる変数に値を設定して得られるコードを実行すればよい。
【0033】
図3の例では、変数 “technicalFields” に設定された技術分野における技術的な知識を引き出し、その知識を用いて、変数 “mermaid” に設定されたMermaid記法に従って記述された発明の動作のそれぞれについて、一連の命令であるロジックを生成させている。また、出力の形式を変数 “outputFormat” に設定することができる。この例では、Mermaid記法による図の定義をユーザー端末110から受信するものとして説明をしているが、ユーザー端末110から受信した発明についての記述を装置100において図の定義に変換して変数 “mermaid” に設定してもよい。また、図3の例では、取得した図の定義を値として設定しているところ、当該定義を解析して得られた結果を設定するようにしてもよい。また、装置100がユーザー端末110を兼ねることもあり、このような場合を含めて、装置100は、図の定義をなんらかの方式で取得可能であればよい。
【0034】
図がシーケンス図である場合、複数の動作について纏めて説明が生成されてもよいが、説明が生成される複数の動作の数は、当該シーケンス図に含まれるステップの数と同一としてもよい。発明がソフトウェア関連発明である場合には、発明の複数の動作のそれぞれをソフトウェアとして実装するために求められるロジックを生成することの指示を生成AIモデルに対する要求に含めることで、発明の複数の動作の詳細を生成させることができる。図3に示したもの以外にも、変数をコードに含め、当該変数をユーザー端末110から受信した指定に応じて設定することによって、生成AIモデルに課される条件を特定することができる。
【0035】
そして、生成AIモデルにおいて、当該発明の複数の動作についての説明が生成され(S203)、装置100に送信される(S204)。
【0036】
図4に、本発明の一実施形態にかかる図の定義の一例を示す。そして、以下の表に、当該定義を図3に示すコードの変数 “mermaid” に設定して得られた出力の例を示す。変数 “technicalFields” には、“generative AI, OpenAI” を設定した。英語出力ではより短時間であったが、日本語出力でも出力が得られるまでに要した時間は75秒であった。複数の動作のそれぞれについて、装置に与えられる一連の命令が秩序立てて説明されていることが分かる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
生成AIモデルの出力は、毎回同一とは限らないことから、複数回の出力結果に基づいて、説明を生成することを生成AIモデルに対する条件として与えてもよい。また、生成AIモデルに要求を複数回行い、装置100において、それらの要求に対する複数の応答に基づいて、発明についての説明を作成するようにしてもよい。
【0040】
複数回の出力を生成AIモデルに要求する場合、たとえば、第1の要求により出力又は生成された第1の説明又はそれを修正した説明を第2の要求に含めてもよい。そして、第2の要求に、当該第1の説明又はそれをユーザーが修正した説明に説明を追加することの指示を含めてもよい。この際、第2の要求に、当該発明が解決すべき課題、そして更に必要に応じて当該課題を考慮して新たな説明を生成することの指示を含めることで、課題を考慮した特許出願により適した説明を生成することが可能となる。第1の説明又はそれが修正された説明を第2の要求に含める場合には、図の定義又はその解析結果を含めなくともよい。ここで、「新たな説明」は、第1の説明又はそれが修正された説明に対する変更を含む。
【0041】
本明細書において「AIモデル」とは、入力に対して出力を予測可能に訓練済みの機械学習モデル」をいい、「生成AIモデル(generative AI model)」とは、入力に対して当該入力に含まれない出力を生成可能にテキストデータを用いて訓練済みの大規模言語モデル(LLM)を指す。生成AIモデルとしては、特にトランスフォーマーアーキテクチャを適用したLLMが好ましいが、技術の進展によってアーキテクチャの呼称が変わることは想定される。したがって、本明細書において「トランスフォーマーアーキテクチャ」とは、トランスフォーマーアーキテクチャの1若しくは複数の特徴又はその改良を用いたアーキテクチャを包含する。図3の例では、APIの単一の呼び出しによって、所要の要求を行っているところ、複数の要求に分けて、APIの複数の呼び出しによって実現してもよい。この際、APIの複数の呼び出しは、同一の生成AIモデルに対して行っても、異なる生成AIモデルに対して行ってもよい。本明細書において「生成AIモデル」が同一であるか否かは、ユーザーが指定した生成AIモデルの種類が同一であるか否かによって判断する。図3の例でいえば、変数 “model” の値が同一であれば、生成AIモデルとして同一であると表現する。複数の生成AIモデルが同一でない場合、同一のプラットフォーム120上で提供されるものでもよい。複数の要求が同一のプラットフォーム120上で提供される生成AIモデルに対するものである場合には、それらの要求をAPIの単一の呼び出しによって実現してもよい。
【0042】
そして、装置100は、受信した説明を記憶部103に記憶し、必要に応じて、ユーザー端末110に、当該説明の少なくとも一部を送信する(S205)。
【0043】
このように、本発明の一実施形態によれば、所定の構文を用いたテキスト形式の図の定義を取得して、当該図により表される発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求することによって、秩序立った当該発明の複数の動作についての説明を数十秒で得ることができる。図の定義を与えれば、瞬時に図で表される発明の複数の動作を言語化できることは、出願書類の作成負担を顕著に軽減する。このような従来想起し得なかった自動化は、所定の構文に従って構造化された図の定義に着目することによって可能となったものであり、必要に応じて生成AIモデルが論理性を補って、秩序立った説明が得られる。
【0044】
上述の実施形態において、「のみに基づいて」、「のみに応じて」、「のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0045】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0046】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ユーザー端末
120 プラットフォーム

【要約】
【課題】発明に関する説明の作成を支援するための方法において、当該説明の作成を省力化することにある。
【解決手段】まず、装置100は、ユーザー端末110から、発明を表す図の定義であって、所定の構文を用いたテキスト形式の定義を受信する(S201)。次いで、装置100は、当該図により表される当該発明の複数の動作についての説明を生成することを生成AIモデルに要求する(S202)。そして、生成AIモデルにおいて、当該発明の複数の動作についての説明が生成され(S203)、装置100に送信される(S204)。そして、装置100は、受信した説明を記憶部103に記憶し、必要に応じて、ユーザー端末110に、当該説明の少なくとも一部を送信する(S205)。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4