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特許7503235スクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】スクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/18 20060101AFI20240613BHJP
   B30B 9/14 20060101ALI20240613BHJP
   C02F 11/125 20190101ALI20240613BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20240613BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20240613BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B30B9/18
B30B9/14 B ZAB
B30B9/14 D
B30B9/14 Z
C02F11/125
B01D29/30 501
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021112499
(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公開番号】P2023009337
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】山下 学
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-198540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0023601(US,A1)
【文献】特開平11-216596(JP,A)
【文献】特開平04-224098(JP,A)
【文献】特開2017-087238(JP,A)
【文献】特開2015-199044(JP,A)
【文献】特開2012-35285(JP,A)
【文献】実開平5-70786(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112693148(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/18
B30B 9/14
C02F 11/125
B01D 29/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン(2)の内部にスクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)を回転自在に内設してろ過室(5)を形成し、ろ過室(5)の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送し、スクリーン(2)端部と押圧板(8)で形成された排出部(9)から脱水ケーキを排出するスクリュープレス(1)において、
複数に分割した円環状の離合板(11)と、
離合板(11)を離合自在に揺動して排出部(9)を開放および閉塞するとともに、開放時は離合板(11)の内径を排出部(9)の外径より外方に拡開させ、閉塞時は各離合板(11)の内径を押圧板(8)と接触する位置まで適合させる駆動源(13)と、
で構成した脱水ケーキ排除装置(10)を備える
ことを特徴とするスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置。
【請求項2】
前記複数の離合板(11)をリンク機構(12)で同時に揺動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置。
【請求項3】
前記排出部(9)を離合板(11)で閉塞した際に、
押圧板(8)に付着している脱水ケーキを排除する剥離部材(18)を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュープレスのスクリーン端部から外部に排出されている脱水ケーキを強制的に落下させるスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥を濃縮・脱水するスクリュープレスは一般に知られている。スクリュープレスは円筒状のスクリーンにスクリュー羽根を内挿してあり、スクリュー羽根を回転して汚泥を搬送しつつスクリーンにて固液分離を行っている。スクリュープレスから連続的に排出される脱水ケーキは主に埋立や焼却、コンポスト等として処理されている。
【0003】
スクリュープレスに供給される汚泥は季節や時間等により性状が変動し、それに伴ってスクリュープレスから排出される脱水ケーキの含水率が変動する。脱水ケーキの含水率が変動すると、処理場からの運送量や運送費に影響するだけでなく、埋立地の容量や焼却処分のための燃料費、コンポスト時間や品質に影響を及ぼす。
【0004】
脱水ケーキの含水率は脱水ケーキの重量と容積と固形物真比重から算出できるものであるが、連続的に運転を継続するスクリュープレスにおいては容積の特定が困難であった。脱水ケーキの含水率をもとにスクリュープレスを制御するために、リアルタイムに脱水ケーキの容積を正確に算出する手段が望まれていた。
【0005】
特許文献1に記載のスクリュープレスのように、一般的に脱水ケーキはスクリーン端部の排出部に設けている円錐状の抵抗体に沿って排出される。図3のように円環状に排出された脱水ケーキは自重により順次落下し、コンベア等で移送される。
【0006】
特許文献2には、スクリュープレスの排出口を形成している抵抗体のテーパーコーンを後方へ移動させた後、エアノズルからエアを噴射して排出口近傍に詰まっている脱水ケーキを吹き飛ばす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-192513号公報
【文献】特開2015-199044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、スクリュープレスにおける脱水ケーキの容積は、ろ過室の容積から容易に算出可能である。しかし、引用文献1の図3に開示されているように、スクリュープレスから排出された脱水ケーキは円環状に不規則的に排出部に付着している。自重により順次落下するが、特に上方から排出される脱水ケーキは下方へ落下し難く、いつ落下するのか予測し難い。
【0009】
そのため、単位時間あたりに排出された脱水ケーキの重量に対応する容積の開始時と終了時の排出部に付着している脱水ケーキの容積を算出することが困難であり、リアルタイムに正確な容積から脱水ケーキ含水率を算出することができなかった。
【0010】
特許文献2は、脱水ケーキ排出口に詰まった脱水ケーキを自動的に絞り出すもので、抵抗体のテーパーコーンを後方へ移動させた後、エアノズルからエアを噴射して排出口近傍に詰まっている脱水ケーキを吹き飛ばすものであるが、図6に開示されているように排出端近傍のろ過室内部の脱水ケーキまで吹き飛ばされている。特許文献1と同様に、単位時間あたりに排出された脱水ケーキの重量に対応する容積の開始時と終了時の吹き飛ばされた分の脱水ケーキの容積を算出することが困難であり、リアルタイムに正確な容積から脱水ケーキ含水率を算出することができない。
【0011】
本発明は、排出部を閉塞してろ過室の容積を確定するとともに、排出部の外部に付着している脱水ケーキを強制的に排除して、計測する脱水ケーキの重量および容積を容易に特定できるスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、スクリーンの内部にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を回転自在に内設してろ過室を形成し、ろ過室の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送し、スクリーン端部と押圧板で形成された排出部から脱水ケーキを排出するスクリュープレスにおいて、複数に分割した円環状の離合板と、離合板を離合自在に揺動して排出部を開放および閉塞するとともに、開放時は離合板の内径を排出部の外径より外方に拡開させ、閉塞時は各離合板の内径を押圧板と接触する位置まで適合させる駆動源と、で構成した脱水ケーキ排除装置を備えるもので、計測する際に脱水ケーキ重量および容積を容易に特定することができる。
【0013】
前記複数の離合板をリンク機構で同時に揺動させると、動力を削減でき、複数の離合板を容易に同期させることができる。
【0014】
前記排出部を離合板で閉塞した際に、押圧板に付着している脱水ケーキを排除する剥離部材を備えると、押圧板に付着する脱水ケーキを確実に落下させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置は、スクリュー羽根で搬送されているろ過室内の脱水ケーキの容積を測定する際に、計測開始時および計測終了時にスクリーン端部から外部に排出されている脱水ケーキの付着部分を強制落下させるもので、測定期間の重量がろ過室の容積のみに対応するため、リアルタイムに正確な脱水ケーキ含水率の算出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るスクリュープレスの概略側断面図である。
図2】本発明に係る脱水ケーキ排除装置の正面図である。
図3】本発明の他の実施例1に係る脱水ケーキ排除装置の正面図である。
図4】本発明の他の実施例2に係る閉塞時の脱水ケーキ排除装置の正面図である。
図5】本発明の他の実施例2に係る開放時の脱水ケーキ排除装置の正面図である。
図6】本発明に係る剥離部材を付設した離合板の正面図である。
図7】本発明に係る剥離部材を付設した離合板の平面図である。
図8】本発明の他の実施例に係る剥離部材の一部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係るスクリュープレスの概略側断面図である。符号1はスクリュープレスであって、周部にろ過面を有するスクリーン2にスクリュー羽根3を巻き掛けたスクリュー軸4を内設しており、その間でろ過室5を形成している。スクリーン2の内部に配設したスクリュー軸4は始端側から終端側に向かってテーパー状にその径を増大させ、スクリーン2とスクリュー軸4を延伸方向に向かって相対的な間隔を減少させるようにしている。排出側に延設されたスクリュー軸4をスクリュー駆動機(図示せず)にて回転させる。
【0018】
スクリュー軸4の始端部には供給管6が連結しており、供給管6はスクリーン2の始端側に開口したスクリュー軸4の供給孔7に連通させている。供給管6から供給孔7を介してろ過室5の始端部に原液を供給する。供給管6は円筒状のスクリーン2、あるいはろ過室5の始端壁に接続してろ過室5に原液を供給してもよい。
【0019】
ろ過室5に供給された原液は、スクリュー羽根3によって始端側から終端側に向かって移送され、スクリーン2からろ液を分離させながら濃縮・脱水するようになっている。ろ過室5で脱水された脱水ケーキは、スクリーン2端部と押圧板8の間に形成された排出部9から排出される。
【0020】
排出部9には脱水ケーキ排除装置10を揺動自在に備えている。脱水ケーキ排除装置10はスクリーン2端部に近接して設けてあり、スクリュープレス1の通常運転を行う際には、排出部9から排出される脱水ケーキの障害とならない外方に位置している。スクリーン2端部から外部に排出されている排出部9の脱水ケーキを強制排除する際には、押圧板8とスクリーン2端部との開口で構成されている排出部9を閉塞し、排出部9の外部に付着している脱水ケーキとろ過室5内の脱水ケーキとの縁を断ち切ることで排出部9外部に付着している脱水ケーキを下方へ落下させる。
【0021】
図2は本発明に係る脱水ケーキ排除装置の正面図である。脱水ケーキ排除装置10は、複数の円環状の離合板11…と、離合板11を揺動させる駆動源13(図示せず)とから構成している。
【0022】
本実施例では左右に2分割した円環状の離合板11,11を用いており、それぞれの離合板11,11を拡開させた際には、離合板11の内径が排出部9の外径より外方に位置させる。また、それぞれの離合板11,11を合致させた際には、円環状の内径を押圧板8と接触する位置の外径に適合させるとともに、離合板11,11同士の合わせ面を間隙が生じないように適合させている。離合板11の内面および合わせ面にはゴム材や樹脂等の緩衝材を備えてもよい。なお、離合板11の外径は排出部9の開口(スクリーン内径)に応じて適宜決定する。
【0023】
本実施例では離合板11を水平に揺動させて離合自在に構成している。それぞれの離合板11,11に駆動源13,13を連結して直接的に移動させても、単独の駆動源13にて図示しないリンク機構を用いて同時に移動させてもよい。
【0024】
本実施例は離合板11を水平方向に揺動させているが、鉛直方向あるいは斜め方向に移動させても問題はない。
【0025】
図3は他の実施例1に係る脱水ケーキ排除装置の正面図である。3分割した円環状の離合板11を水平に移動させて離合自在に構成している。このように、設置位置等に応じて離合板11を3分割以上に分割して離合自在に構成してもよい。
【0026】
図4,5はそれぞれ他の実施例2に係る閉塞時および開放時の脱水ケーキ排除装置の正面図である。脱水ケーキ排除装置10は、2分割した円環状の離合板11,11と、複数の離合板11…を離合自在に揺動させるリンク機構12と、リンク機構12に接続するシリンダー13とから構成している。
【0027】
実施例2のリンク機構12はパンタグラフ状に構成してあり、アーム14,14の端部をそれぞれ離合板11,11に連結し、それぞれのアーム14,14の中間部を固定ピン15で回動自在に接続し、アーム14の他方の端部を揺動ピン16にてそれぞれアーム17,17と接続し、アーム17,17の他端を駆動源として用いるシリンダー13のロッドに連結して構成している。
【0028】
シリンダー13のロッドを縮めると図4のように固定ピン15が支点となってアーム14,14間の距離が狭まり2枚の離合板11,11を合致させる。合致した離合板11はスクリュープレス1の排出部9を閉塞する。
【0029】
シリンダー13のロッドを伸ばすと図5のように固定ピン15が支点となってアーム14,14間の距離が広がり2枚の離合板11,11を左右に拡開させる。拡開した離合板11はスクリュープレス1の排出部9を開放する。
固定ピン15およびシリンダー13はスクリュープレス1を構成する部材あるいは補助材に適宜固定する。
【0030】
なお、本実施例ではパンタグラフ状のリンク機構12を用いているが、離合板11を離合自在に揺動可能である機構であれば適宜選択可能である。また、シリンダー13以外にも駆動源として使用できるものであれば限定しない。
【0031】
図6,7はそれぞれ本発明に係る剥離部材を付設した離合板の正面図と平面図である。 離合板11の排出側に剥離部材18を付設し、離合板11を合致してろ過室5を閉塞する際に、押圧板8に付着する脱水ケーキを剥離部材18にて押し出すように構成している。押圧板8上で円環状に排出されながら脱水ケーキが付着しており、接線方向から剥離部材18にて円環を断ち切るとともに自重による落下を促進する。
【0032】
剥離部材18は離合板11に沿って付設し、剥離部材18の端部を離合板11の合わせ面から突出させている。それぞれの合わせ面に剥離部材18を付設してもよいが、特に上方は脱水ケーキが自重により落下し難いため、上方の合わせ面に付設することが望ましい。剥離部材18の大きさや突出長さはスクリュープレス1の仕様に応じて適宜選択できる。
【0033】
図8は他の実施例に係る剥離部材の一部側断面図である。押圧板8に付着している脱水ケーキに高圧空気を噴射して強制的に剥離することを特徴としている。剥離部材18は離合板11の排出側に付設したノズル19と、ノズル19に高圧空気を供給する空気管20および高圧空気源21とから構成している。離合板11を合致してろ過室5を閉塞した後、ノズル19から高圧空気を噴射して押圧板8に付着する脱水ケーキを排除する。
【0034】
なお、押圧板8に付着する脱水ケーキを排除可能であれば、ノズル19を押圧板8に内設あるいは押圧板8との対向位置に設置してもよい。ノズル19の設置個数はスクリュープレス1の仕様に応じて適宜決定する。ノズル19の向きは円環状の押圧板8の接線方向あるいは放射方向に向けてもよく、飛散した脱水ケーキを受ける部材を設置することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のスクリュープレスにおける排出部脱水ケーキ排除装置は、連続運転するスクリュープレスのろ過室内の排出部を一時的に閉塞して押圧板に付着する脱水ケーキを強制的に排除するため、計測開始時および計測終了時の汚泥容量が容易に特定できるものである。したがって、正確な脱水ケーキ含水率を算出可能で、リアルタイムな脱水ケーキ含水率に応じてスクリュープレスを安定的に制御できる。処理原液の性状が季節や天候等で刻々と変動し、特に多様な固形物で成形されている下水汚泥を固液分離する連続式のスクリュープレスに対して有効である。
【符号の説明】
【0036】
1 スクリュープレス
2 スクリーン
3 スクリュー羽根
4 スクリュー軸
5 ろ過室
8 押圧板
9 排出部
10 脱水ケーキ排除装置
11 離合板
12 リンク機構
13 駆動源
18 剥離部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8