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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20240613BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20240613BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240613BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20240613BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240613BHJP
   B60K 35/28 20240101ALI20240613BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W50/12
B60W40/08
B60W30/09
B60K35/23
B60K35/28
G08G1/16 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020074225
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021172096
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】貝野 彰
(72)【発明者】
【氏名】藤原 由貴
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144720(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105030(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/008300(WO,A1)
【文献】特開2017-074918(JP,A)
【文献】特開2014-044707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
B60K 35/00 ~ 35/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御システムであって、
ドライバの状態を監視するドライバ監視装置と、
ドライバを含む乗員に対して所定の情報を視覚的及び/又は聴覚的に報知する報知装置と、
前記ドライバ監視装置により監視されたドライバの状態に基づき、ドライバの異常が判定された場合に、車両を緊急で自動的に停車させるための自動停車制御を行うと共に、前記自動停車制御に関する情報を前記報知装置により報知させる制御を行うよう構成されたコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記自動停車制御として、(1)ドライバの異常が判定されたときに、前記車両を所定車速まで減速させる第1動作と、(2)前記第1動作の後に、前記車両を更に減速させて停車させる第2動作と、(3)前記第1動作と前記第2動作との間に、前記車両を車線変更させる第3動作と、(4)前記第1動作と前記第2動作との間に、前記車両を路肩へ移動させる第4動作と、を実行するように構成され、
更に、前記コントローラは、前記第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を前記報知装置により報知させると共に、前記第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を中止する場合に、当該動作の中止を前記報知装置により報知させるように構成され、
前記コントローラは、
前記第1動作を実行するときに、前記車両を所定時間以内に停車させることを前記報知装置により報知させ、
前記第3又は第4動作を前記所定時間以内に実行できない場合には、前記第3又は第4動作を中止すること及び前記第2動作をこれから実行しようとしていることを前記報知装置により報知させた後に、前記車両を前記所定時間以内に停車させるように前記第2動作を実行するように構成されている、
ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第3又は第4動作を中止する場合には、前記第3又は第4動作を中止すること及び前記第2動作をこれから実行しようとしていることを前記報知装置により報知させた後に、前記車両を車線変更先の車線以外の場所又は路肩以外の場所で停車させるように前記第2動作を実行するように構成されている、請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1動作の実行後において前記車両の前方に交差点が存在する場合には、前記第2動作をこれから実行しようとしていることを前記報知装置により報知させた後に、前記車両を前記交差点に進入する手前で停車させるように前記第2動作を実行するように構成されている、請求項1又は2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1動作の実行後において前記車両が周囲の状況に応じて一時的に停止する場合には、前記第2動作をこれから実行しようとしていることを前記報知装置により報知させた後に、前記車両を前記周囲の状況に応じて停車させるように前記第2動作を実行するように構成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中においてドライバに異常が発生した時に、車両を緊急で自動停車させる車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術が、例えば特許文献1乃至3に開示されている。特許文献1には、自動停車を実行する場合に、自動停車の起動判断の状況や解除判断の状況についての情報を表示させることで、自動停車の起動や解除のタイミングに関連して生じ得るドライバの混乱を軽減する技術が開示されている。加えて、この特許文献1には、自動停車を起動又は解除するために必要な操作を表示させることが開示されている。また、特許文献2には、自動停車を開始及び解除するためのスイッチをタッチパネルに表示させることが開示されている。また、特許文献3には、自動停車中であることをドライバ以外の乗員にも認識させるように報知を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-79707号公報
【文献】特開2019-43365号公報
【文献】WO2013/008300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドライバに異常が発生して自動停車が行われる場合、ドライバを含む乗員は、車両がいつ停車するかや、車両がどこで停車するかに関して、不安を感じる傾向にある。特に、ドライバ以外の乗員は、車両を速やかに停車させてドライバを助けたいので、車両がいつ停車するかを把握したい。したがって、自動停車中においては、これから実行される車両の動作(試行中の動作も含む)や、実行不可能なために中止される車両の動作(例えば自車両の周囲の状況により実行できなかった車線変更など)などを、ドライバを含む乗員に逐次知らせることが望ましいと考えられる。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ドライバに異常が発生して自動停車制御が行われるときに、この自動停車制御中において車両が取り得る種々の制御態様を、乗員に逐次知らせることができる車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両制御システムであって、ドライバの状態を監視するドライバ監視装置と、ドライバを含む乗員に対して所定の情報を視覚的及び/又は聴覚的に報知する報知装置と、ドライバ監視装置により監視されたドライバの状態に基づき、ドライバの異常が判定された場合に、車両を緊急で自動的に停車させるための自動停車制御を行うと共に、自動停車制御に関する情報を報知装置により報知させる制御を行うよう構成されたコントローラと、を有し、コントローラは、自動停車制御として、(1)ドライバの異常が判定されたときに、車両を所定車速まで減速させる第1動作と、(2)第1動作の後に、車両を更に減速させて停車させる第2動作と、(3)第1動作と第2動作との間に、車両を車線変更させる第3動作と、(4)第1動作と第2動作との間に、車両を路肩へ移動させる第4動作と、を実行するように構成され、更に、コントローラは、第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を報知装置により報知させると共に、第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を中止する場合に、当該動作の中止を報知装置により報知させるように構成され、コントローラは、第1動作を実行するときに、車両を所定時間以内に停車させることを報知装置により報知させ、第3又は第4動作を所定時間以内に実行できない場合には、第3又は第4動作を中止すること及び第2動作をこれから実行しようとしていることを報知装置により報知させた後に、車両を所定時間以内に停車させるように第2動作を実行するように構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
このように構成された本発明によれば、ドライバに異常が発生して自動停車制御が行われるときに、この自動停車制御中において車両が取り得る種々の制御態様を、車両のドライバを含めた乗員に逐次知らせることができる。具体的には、これから実行しようとしている動作(試行中の動作も含む)や、実行不可能なために中止される車両の動作(例えば車両の周囲の状況により実行できなかった車線変更など)などを、乗員に逐次知らせることができる。これにより、自動停車制御中において車両が取り得る制御態様を乗員に逐次把握させることができ、車両の今後の挙動に対する不安を払拭することができる、つまり乗員に安心感を与えることができる。
また、本発明では、コントローラは、自動停車制御の開始からの経過時間が所定時間(制限時間)に近付いているが、第3又は第4動作を実行できそうにない場合に、この事情を報知させた後に車両を停車させる。これにより、所定時間以内に第3又は第4動作を実行できない場合に、これから速やかに停車することを、典型的には自車線で速やかに停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、コントローラは、第3又は第4動作を中止する場合には、第3又は第4動作を中止すること及び第2動作をこれから実行しようとしていることを報知装置により報知させた後に、車両を車線変更先の車線以外の場所又は路肩以外の場所で停車させるように第2動作を実行するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、第3又は第4動作を中止する場合に、車両が車線変更先の車線以外の場所又は路肩以外の場所で停車すること、典型的には車両が自車線で停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、コントローラは、第1動作の実行後において車両の前方に交差点が存在する場合には、第2動作をこれから実行しようとしていることを報知装置により報知させた後に、車両を交差点に進入する手前で停車させるように第2動作を実行するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、車両が交差点に進入する手前で停止した後、再発進することなく停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、コントローラは、第1動作の実行後において車両が周囲の状況に応じて一時的に停止する場合には、第2動作をこれから実行しようとしていることを報知装置により報知させた後に、車両を周囲の状況に応じて停車させるように第2動作を実行するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、車両が周囲の状況(例えば信号や踏切や交通規制により定められた一時停止すべき場所や渋滞など)に応じて停止した後、再発進することなく停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両制御システムによれば、ドライバに異常が発生して自動停車制御が行われるときに、この自動停車制御中において車両が取り得る種々の制御態様を、乗員に逐次知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による車両制御システムが適用された車両の車内空間を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態による車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態による自動停車制御を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態においてドライバの異常発生時に表示される画面例である。
図5】本発明の実施形態において自動停車制御をキャンセルする選択がなされた場合に表示される画面例である。
図6】本発明の実施形態において自動停車制御での自動走行時に表示される画面例である。
図7】本発明の実施形態において車線変更時に表示される画面例である。
図8】本発明の実施形態において車両をこれから停車させるときに表示される画面例である。
図9】本発明の実施形態において車両が停車したときに表示される画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムについて説明する。
【0015】
[車両制御システムの構成]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両制御システムが適用された車両の車内空間を示す模式図である。図2は、本発明の実施形態による車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、車室内には、センターディスプレイ41及びメータ装置42が組み込まれたインストルメントパネル40や、センターコンソール32などが設けられている。センターディスプレイ41は、運転席及び助手席の前方で且つ車幅方向におけるほぼ中央位置に設けられ、LCD(liquid crystal display)により構成されている。メータ装置42は、ステアリングホイール49の前方に設けられ、速度やエンジン回転数やギヤレンジなどの表示機器を含む。センターコンソール32には、自動変速機(不図示)のレンジを切り替えるためのレンジ操作装置33、及び、センターディスプレイ41に表示された種々の選択肢を選択するため等に操作されるセンターコンソール操作装置34が設けられている。1つの例では、センターコンソール操作装置34は、ダイヤル式のロータリースイッチにより構成される。
【0017】
また、図1において符号43aは、図2に示すHUD(Head-Up Display)43によってフロントガラス50に表示された画像(換言すると画像領域)を模式的に示している。厳密には、この画像43aは、HUD43による投影によって、フロントガラス50を介してドライバに視認される虚像に相当し、以下では「HUD画像」と呼ぶ。なお、HUD43の装置自体は、例えばダッシュボード内などに組み込まれる。
【0018】
次に、図2に示すように、車両制御システム100は、ECU(Electronic Control Unit)などを含むコントローラ10と、コントローラ10に所定の信号を出力する複数のセンサ類と、コントローラ10から入力された制御信号により制御される複数の装置と、を有する。車両制御システム100は、車両(以下では適宜「自車両」と呼ぶ。)1の走行中において、ドライバの異常を判定したときに、車両1を緊急で自動的に停車させる自動停車制御を行うように構成されている。
【0019】
具体的には、複数のセンサ類には、車内カメラ20、車外カメラ21、レーダ22や、車両1の挙動や乗員による運転操作を検出するための車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25、操舵角センサ26、アクセルセンサ27、及びブレーキセンサ28が含まれている。さらに、複数のセンサ類には、車両1の位置を検出するための測位システム30、ナビゲーションシステム31、センターコンソール操作装置34、及び自動停車スイッチ35が含まれている。コントローラ10により制御される複数の装置には、センターディスプレイ41、メータ装置42、HUD43、音声出力装置44、エンジン制御装置46、ブレーキ制御装置47、ステアリング制御装置48が含まれている。コントローラ10は、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)と、各種プログラムを記憶するメモリ(ROM、RAMなど)と、入出力装置などを備えたコンピュータにより構成される。
【0020】
車内カメラ20は、車室内を撮影し、特にドライバを撮影し、画像データを出力する。コントローラ10は、車内カメラ20から受信した画像データに基づいて、ドライバの姿勢などを分析して、ドライバが異常であるか否かを判定する。例えば、コントローラ10は、分析されたドライバの姿勢が、ドライバが車両1を通常運転するときには取り得ない姿勢である場合に、ドライバが異常であると判定する。なお、車内カメラ20は、本発明における「ドライバ監視装置」の一例に相当する。
【0021】
車外カメラ21は、車両1の周囲を撮影し、画像データを出力する。コントローラ10は、車外カメラ21から受信した画像データに基づいて、対象物(例えば、先行車両(前方車両)、後続車両(後方車両)、駐車車両、歩行者、走行路、区画線(車線境界線、白線、黄線)、交通信号、交通標識、停止線、交差点、障害物等)を特定する。なお、コントローラ10は、交通インフラや車々間通信等により、外部から対象物の情報を取得してもよい。これにより、対象物の種類、相対位置、移動方向等が特定される。
【0022】
レーダ22は、対象物(特に、先行車両、後続車両、駐車車両、歩行者、走行路上の落下物等)の位置及び速度を測定する。レーダ22として、例えばミリ波レーダを用いることができる。レーダ22は、車両1の進行方向に電波を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や、車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、このようなレーダ22に代えて、レーザレーダや超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定してもよい。また、複数のセンサ類を用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。
【0023】
ここで、コントローラ10は、上記の車外カメラ21及びレーダ22によって取得された走行路情報及び障害物情報に基づき、車両1の自動運転制御、具体的には車両1を緊急で自動的に停車させるための自動停車制御を実行する。走行路情報は、例えば、走行路の形状(直線、カーブ、カーブ曲率)、走行路幅、車線数、車線幅、標識などに規定された走行路の規制情報(制限速度など)、交差点、横断歩道等に関する情報を含んでいる。また、障害物情報は、車両1の走行路上の障害物(例えば先行車両や後続車両や駐車車両や歩行者などの車両1の走行において障害となり得る対象物)の有無や、障害物の移動方向、障害物の移動速度等に関する情報を含んでいる。
【0024】
車速センサ23は、車両1の絶対速度を検出する。加速度センサ24は、車両1の加速度を検出する。この加速度は、前後方向の加速度と、横方向の加速度(つまり横加速度)とを含む。なお、加速度には、速度が増加する方向の速度の変化率だけでなく、速度が減少する方向の速度の変化率(つまり減速度)も含むものとする。
【0025】
ヨーレートセンサ25は、車両1のヨーレートを検出する。操舵角センサ26は、車両1のステアリングの回転角度(操舵角)を検出する。コントローラ10は、車速センサ23が検出した絶対速度、及び、操舵角センサ26が検出した操舵角に基づいて所定の演算を実行することにより、車両1のヨー角を取得することができる。アクセルセンサ27は、ドライバによるアクセルペダルの操作、具体的には当該ペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出する。ブレーキセンサ28は、ドライバによるブレーキペダルの操作、具体的には当該ペダルの踏み込み量を検出する。
【0026】
測位システム30は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。ナビゲーションシステム31は、内部に地図情報を格納しており、コントローラ10に地図情報を提供することができる。コントローラ10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物等を特定する。地図情報は、コントローラ10内に格納されていてもよい。なお、ナビゲーションシステム31も、上記した走行路情報を取得するものである。
【0027】
センターコンソール操作装置34は、図1に示したようにセンターコンソール32に設けられ、センターディスプレイ41に表示された種々の選択肢を選択するため等に操作される。自動停車スイッチ35は、車両1を自動的に停車させるために操作されるスイッチである。この自動停車スイッチ35は、ドライバが自分の異常を感じたときに、ドライバ自身が操作できるような車室内の場所に設けられている。
【0028】
センターディスプレイ41、メータ装置42及びHUD43は、図1で説明した通りである。音声出力装置44は、車室内に音声を出力するスピーカなどにより構成される。ここで、センターディスプレイ41、メータ装置42、HUD43、及び音声出力装置44は、本発明における「報知装置」に相当する。
【0029】
エンジン制御装置46は、車両1のエンジンを制御する。エンジン制御装置46は、エンジン出力(駆動力)を調整可能な構成部であり、例えば、点火プラグや、燃料噴射弁や、スロットルバルブや、吸排気弁の開閉時期を変化させる可変動弁機構などを含む。コントローラ10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御装置46に対して、エンジン出力を変更するために制御信号を送信する。
【0030】
ブレーキ制御装置47は、車両1のブレーキ装置を制御する。ブレーキ制御装置47は、ブレーキ装置の制動力を調整可能な構成部であり、例えば液圧ポンプやバルブユニットなどを含む。コントローラ10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御装置47に対して、制動力を発生させるために制御信号を送信する。
【0031】
ステアリング制御装置48は、車両1のステアリング装置を制御する。ステアリング制御装置48は、車両1の操舵角を調整可能な構成部であり、例えば電動パワーステアリング装置の電動モータなどを含む。コントローラ10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御装置48に対して、操舵方向を変更するために制御信号を送信する。
【0032】
[自動停車制御]
次に、図3乃至図9を参照して、本発明の実施形態による自動停車制御について具体的に説明する。図3は、本発明の実施形態による自動停車制御を示すフローチャートであり、図4乃至図9は、それぞれ、本発明の実施形態による自動停車制御中の種々の段階で表示される画面を示している。具体的には、図4乃至図9において、チャート(A)は、センターディスプレイ41による表示を示し、チャート(B)は、メータ装置42による表示を示し、チャート(C)は、HUD43による表示、つまりHUD画像43aを示している。特に、図4乃至図9のチャート(B)は、メータ装置42の速度計の部分のみを示しており、図4乃至図9のチャート(C)のHUD画像43aでは、説明の便宜上、制限速度及び現在の車速のみを通常表示させる例を示している(実際には、これら以外にも種々の内容が表示される)。
【0033】
図3に示すフローチャートに係る処理は、コントローラ10によって所定の周期で繰り返し実行される。まず、ステップS10において、コントローラ10は、図2に示した複数のセンサ類から各種の情報を取得する。
【0034】
次いで、ステップS11において、コントローラ10は、ドライバに異常が発生したか否かを判定する、換言するとドライバが車両1を運転することが困難な状態であるか否かを判定する。典型的な例では、コントローラ10は、車内カメラ20により撮影されたドライバの画像より、ドライバの姿勢(ドライバの頭部の姿勢など)を分析して、ドライバが異常であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、分析されたドライバの姿勢が、ドライバが車両1を通常運転するときには取り得ない姿勢である場合に、ドライバが異常であると判定する。他の例では、コントローラ10は、操舵角センサ26により検出された操舵角が通常の走行では取り得ない変化をしている場合に、ドライバが異常であると判定する(この例では、操舵角センサ26は本発明における「ドライバ監視装置」に相当する)。更に他の例では、コントローラ10は、人のサリエンシーの特性に基づき、ドライバが異常であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、ドライバの前方に所定の視覚刺激を提示したときに、ドライバの視線方向が視覚刺激に適切に向かない場合に、ドライバが異常であると判定する。このようなステップS11の結果、ドライバに異常が発生していない場合(ステップS11:No)、コントローラ10は、図3に示すフローチャートに係る処理を終了する。
【0035】
一方、ドライバに異常が発生している場合(ステップS11:Yes)、コントローラ10は、ステップS12に進む。この場合、コントローラ10は、ADAS(Advanced driver-assistance systems)警告音を音声出力装置44から3回程度出力させる。また、コントローラ10は、図4に示すような画面を表示させる。
【0036】
図4は、本発明の実施形態においてドライバの異常発生時に表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、図4のチャート(A)中の符号A11に示すように、センターディスプレイ41には、「確認」という乗員に注意を促すメッセージと、「ドライバ異常を検知しました。」というドライバ異常を知らせるメッセージと、「緊急停車を開始しますか?」という自動停車制御の実行要否を問うメッセージと、を表示させる。また、コントローラ10は、図4のチャート(B)に示すように、メータ装置42にも「ドライバ異常を検知」というメッセージを表示させる。一方で、コントローラ10は、HUD画像43aには通常表示を適用する。更に、コントローラ10は、図4のチャート(A)中の符号A12に示すように、自動停車制御を実行又は中止するための選択肢をセンターディスプレイ41に表示させる。具体的には、センターディスプレイ41には、自動停車制御の「開始」及び「キャンセル」の選択肢(換言するとメニュー)が表示される。こうしてセンターディスプレイ41に表示された選択肢は、センターコンソール操作装置34の操作によって選択できるようになっている。センターコンソール操作装置34の操作により選択された一方の選択肢は、選択されていない他方の選択肢とは異なる態様で表示され(例えば色などが変わる)、これにより、操作者が選択の有無を判別できるようになっている。
【0037】
次いで、ステップS12において、コントローラ10は、自動停車制御を実行するための指示(緊急停車指示)があったか否かを判定する。コントローラ10は、ドライバを含む乗員によるセンターコンソール操作装置34の操作によって、センターディスプレイ41に表示された「開始」の選択肢が選択された場合に、緊急停車指示があったと判定し(ステップS12:Yes)、ステップS14に進む。一方で、コントローラ10は、このような緊急停車指示がない場合(ステップS12:No)、ステップS13に進む。ステップS13において、コントローラ10は、ドライバの異常が判定されてから所定時間(例えば3秒程度)が経過したか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、所定時間が経過した場合(ステップS13:Yes)、上記の緊急停車指示がなくても、ステップS14に進む。一方で、コントローラ10は、所定時間が経過していない場合(ステップS13:No)、ステップS12に戻る。この場合には、コントローラ10は、所定時間が経過するまで、ステップS12、S13の判定を繰り返す。
なお、コントローラ10は、上記のステップS11~S13の処理に関わらずに、ドライバによって自動停車スイッチ35が操作された場合、つまりドライバが自分の異常を感じて自動停車制御を実行させるために自動停車スイッチ35をオン操作した場合にも、ステップS14以降の処理を実行する。
【0038】
他方で、センターコンソール操作装置34の操作によって、センターディスプレイ41に表示された「キャンセル」の選択肢が選択された場合には、コントローラ10は、「自動走行による停車がキャンセルされました。」というメッセージを音声出力装置44から出力させると共に、図5に示すような画面を表示させる。図5は、本発明の実施形態において自動停車制御をキャンセルする選択がなされた場合に表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、図5のチャート(A)に示すように、「緊急停車がキャンセルされました。」という自動停車制御のキャンセルを知らせるメッセージを、センターディスプレイ41に表示させる。一方で、コントローラ10は、メータ装置42及びHUD画像43aには通常表示を適用する。これは、ドライバに通常の運転を速やかに行わせるためである。
【0039】
次いで、ステップS14において、コントローラ10は、自動停車制御を開始する。こうして、コントローラ10は、車両1を所定の制限時間(例えば3分)以内に安全な場所に自動的に停車させるようにする。具体的には、ステップS14において、コントローラ10は、所定の報知を行ってから、車両1を10km/h程度まで減速させる。特に、コントローラ10は、「3分以内に安全な場所まで自動で停車します。」というメッセージや、「時速10kmまで減速中です。」というメッセージを、音声出力装置44から出力させる。加えて、コントローラ10は、車両1のハザードランプの点灯、ホーン吹鳴、及びブレーキランプの点滅を行って、自動停車制御中であることを車外に報知する。コントローラ10は、車両1が最終的に停車するまで、このようなハザードランプの点灯、ホーン吹鳴、及びブレーキランプの点滅を継続する。また、コントローラ10は、図6に示すような画面を表示させる。
【0040】
図6は、本発明の実施形態において自動停車制御中(つまり自動停車制御による自動走行中)に表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、図6のチャート(A)中の符号A21に示すように、「緊急停車作動中」及び「安全な場所に移動しています。」というメッセージをセンターディスプレイ41に表示させ、図6のチャート(B)に示すように、「緊急停車作動中」というメッセージをメータ装置42に表示させる。加えて、コントローラ10は、図6のチャート(C)に示すように、「緊急停車作動します」というメッセージをHUD画像43aに表示させる(自動停車制御開始時にだけ当該メッセージを表示させ、自動停車制御開始後には当該メッセージを表示させなくてもよい)。なお、コントローラ10は、より刺激的な緊急表示をセンターディスプレイ41及びHUD画像43aに更に提示させてもよい。
【0041】
また、コントローラ10は、図6のチャート(A)中の符号A22に示すように、自動停車制御の「継続」及び「キャンセル」の選択肢をセンターディスプレイ41に表示させる。ドライバを含む乗員によるセンターコンソール操作装置34の操作によって、センターディスプレイ41に表示された「キャンセル」の選択肢が選択された場合には、コントローラ10は、「自動走行による停車がキャンセルされました。」というメッセージを音声出力装置44から出力させると共に、図5に示すような画面を表示させる。なお、このような「継続」及び「キャンセル」の選択肢は、後述する図7乃至図9の画面でも同様に表示される(以下では適宜説明を省略するものとする)。
【0042】
更に、コントローラ10は、図6のチャート(A)中の符号A23に示すように、車両(自車両)1を示す画像A23aと、この車両1の周辺の他車両(周辺車両)の画像A23b、A23bをセンターディスプレイ41に表示させる。この場合、コントローラ10は、車外カメラ21及び/又はレーダ22によって取得された情報(障害物情報)に基づき他車両を特定し、特定された他車両に対応する画像A23b、A23bを表示させる。特に、コントローラ10は、他車両に対応する画像A23b、A23bを状況に応じて時々刻々と変化する動画にて表示させる。このように他車両の画像A23b、A23bをセンターディスプレイ41に表示させることで、自車両1が周囲の状況を適切に把握しながら自動停車制御を行っていることを乗員(特に助手席の乗員)に知らせることができ、乗員に安心感を与えることができる。
【0043】
そして、コントローラ10は、このような表示を含む報知を行った後に、ブレーキ制御装置47を介して車両1のブレーキ装置を制御することで(更にエンジン制御装置46を介してエンジンの動作を停止させてもよい)、車両1を10km/h程度まで減速させる。
【0044】
次いで、ステップS15において、コントローラ10は、車両1を安全な場所に停車させるために、具体的には車両1を路肩で停車させるために、車両1を車線変更させる必要があるか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、車両1が現在走行している車線(自車線)に路肩が繋がっておらず、路肩が繋がっている車線(左車線)へと車両1を移動させる必要があるか否かを判定する。基本的には、コントローラ10は、車両1が片側一車線の道路を走行している場合には、自車線が路肩に繋がっているため、車線変更を行う必要はないと判定し、他方で、車両1が片側二車線以上の道路において最も左側以外の車線を走行している場合には、自車線が路肩に繋がっていないため、車線変更を行う必要があると判定する。コントローラ10は、車外カメラ21やナビゲーションシステム31によって取得された走行路情報に基づき、このような判定を行う。
【0045】
ステップS15の結果、コントローラ10は、車線変更を行う必要がある場合(ステップS15:Yes)、車線変更を試行すべく、ステップS16に進む。この場合、コントローラ10は、まず、「左車線変更を試みています。」というメッセージを音声出力装置44から出力させる。これに対して、コントローラ10は、車線変更を行う必要がない場合(ステップS15:No)、車線変更を試行する必要がないので、ステップS16、S17を行わずに、ステップS18に進む。
【0046】
次いで、ステップS16において、コントローラ10は、車線変更を行うことが可能であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、車外カメラ21及び/又はレーダ22によって取得された障害物情報に基づき、移動先の左車線を走行する周辺車両と車両(自車両)1との衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)を求め、この衝突余裕時間が所定値以上である場合に、車線変更を行うことが可能であると判定する。ただし、コントローラ10は、車両1が走行している場所が車線変更を禁止されている場所である場合(例えば車線境界線が黄色実線である場合)には、車線変更を行うことが不可能であると判定する。ステップS16の結果、コントローラ10は、車線変更を行うことが可能である場合(ステップS16:Yes)、ステップS17に進む。これに対して、コントローラ10は、車線変更を行うことが不可能である場合(ステップS16:No)、ステップS21に進む。この場合、コントローラ10は、「車線変更を中断します。」というメッセージを音声出力装置44から出力させてもよい。
【0047】
次いで、ステップS17において、コントローラ10は、所定の報知を行ってから、車両1の車線変更を行う。具体的には、コントローラ10は、「車線変更します。」というメッセージを音声出力装置44から出力させる。また、コントローラ10は、図7に示すような画面を表示させる。図7は、本発明の実施形態において車線変更時に表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、図7のチャート(A)中の符号A31に示すように、「緊急停車作動中」及び「車線変更します。」というメッセージをセンターディスプレイ41に表示させ、図7のチャート(B)及び(C)にそれぞれ示すように、「車線変更します」というメッセージをメータ装置42及びHUD画像43aに表示させる。また、コントローラ10は、図7のチャート(A)中の符号A32に示すように、車両1が車線変更する様子を示す画像A32aをセンターディスプレイ41に表示させる。このような表示を含む報知を行った後に、コントローラ10は、ステアリング制御装置48を介して車両1の操舵方向を変更する制御(操舵制御)を行うことで、つまり車両1の進行方向を変更する制御を行うことで、車両1を自動的に車線変更させる。
【0048】
次いで、ステップS18において、コントローラ10は、車両1を安全な場所に停車させることができる路肩が存在するか否かを判定する。コントローラ10は、車外カメラ21やナビゲーションシステム31によって取得された走行路情報に基づき、この判定を行う。また、コントローラ10は、「路肩の安全な場所を探しています。」というメッセージを音声出力装置44から出力させる。ステップS18の結果、コントローラ10は、所望の路肩が存在する場合(ステップS18:Yes)、ステップS19に進む。これに対して、コントローラ10は、所望の路肩が存在しない場合(ステップS18:No)、ステップS21に進む。この場合、コントローラ10は、「路肩への移動を中断します。」というメッセージを音声出力装置44から出力させてもよい。
【0049】
次いで、ステップS19において、コントローラ10は、所定の報知を行ってから、車両1を路肩に移動させる。具体的には、コントローラ10は、「路肩の安全スペースに停車します。」というメッセージを音声出力装置44から出力させる。また、コントローラ10は、図8に示すような画面を表示させる。図8は、本発明の実施形態において車両1をこれから停車させるときに表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、図8のチャート(A)中の符号A41に示すように、「緊急停車作動中」及び「停車します。」というメッセージをセンターディスプレイ41に表示させ、図8のチャート(B)及び(C)にそれぞれ示すように、「停車します」というメッセージをメータ装置42及びHUD画像43aに表示させる。また、コントローラ10は、図8のチャート(A)中の符号A42に示すように、車両1が停車しようとする様子を示す画像A42aをセンターディスプレイ41に表示させる。このような表示を含む報知を行った後に、コントローラ10は、ステアリング制御装置48を介して車両1の操舵方向を変更する制御(操舵制御)を行うことで、つまり車両1の進行方向を変更する制御を行うことで、車両1を路肩に移動させる。
【0050】
次いで、ステップS20において、コントローラ10は、所定の報知を行うと共に、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、ブレーキ制御装置47を介して車両1のブレーキ装置を制御すると共に、エンジン制御装置46を介してエンジンの動作を停止させることで、車両1を停止させる。そして、コントローラ10は、「停車しました。車外に出るときは周囲の安全を十分確認してください」というメッセージを音声出力装置44から出力させる。また、コントローラ10は、図9に示すような画面を表示させる。図9は、本発明の実施形態において車両1が停車したときに表示される画面例を示している。この場合、コントローラ10は、「停車しました。車外に出るときは、周辺車両に十分注意して下さい。」というメッセージをセンターディスプレイ41に表示させ、図9のチャート(B)及び(C)にそれぞれ示すように、「停車しました」というメッセージをメータ装置42及びHUD画像43aに表示させる。
【0051】
他方で、ステップS21において、コントローラ10は、車両1の前方に交差点が存在しないか否かを判定する。コントローラ10は、車外カメラ21やナビゲーションシステム31によって取得された走行路情報に基づき、この判定を行う。その結果、交差点が存在する場合(ステップS21:No)、コントローラ10は、上記のステップS20に進む。この場合、コントローラ10は、所定の報知を行うと共に、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、「交差点に入る前に停車します。再発進はしません。」というメッセージを音声出力装置44から出力させた後に、ブレーキ制御装置47を介して車両1のブレーキ装置を制御すると共に、エンジン制御装置46を介してエンジンの動作を停止させることで、車両1を交差点の手前で停止させる。そして、コントローラ10は、「停車しました。車外に出るときは周囲の安全を十分確認してください」というメッセージを音声出力装置44から出力させ、図9に示すような画面を表示させる。
【0052】
一方、ステップS21の結果、交差点が存在しない場合(ステップS21:Yes)、コントローラ10は、ステップS22に進む。ステップS22において、コントローラ10は、車両1が一時的に停止しないか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、車両1が信号や踏切や交通規制により定められた一時停止すべき場所や渋滞などにより、車両1が一時的に停止しないか否かを判定する。コントローラ10は、車外カメラ21やナビゲーションシステム31によって取得された走行路情報に基づき、この判定を行う。その結果、車両1が一時的に停止する場合(ステップS22:No)、コントローラ10は、上記のステップS20に進む。この場合、コントローラ10は、所定の報知を行うと共に、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、「ここで停車します。再発進はしません。」というメッセージを音声出力装置44から出力させた後に、ブレーキ制御装置47を介して車両1のブレーキ装置を制御すると共に、エンジン制御装置46を介してエンジンの動作を停止させることで、車両1を所定の場所で停止させる。そして、コントローラ10は、「停車しました。車外に出るときは周囲の安全を十分確認してください」というメッセージを音声出力装置44から出力させ、図9に示すような画面を表示させる。
【0053】
一方、ステップS22の結果、車両1が一時的に停止しない場合(ステップS22:Yes)、コントローラ10は、ステップS23に進む。ステップS23において、コントローラ10は、ステップS14の処理を開始してから、つまり自動停車制御を実際に開始してから、所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間には、自動停車制御を開始してから車両1を停車させるまでの所定の制限時間(例えば3分)よりも、例えば10秒程度短い時間が適用される。ステップS23の結果、所定時間が経過した場合(ステップS23:Yes)、コントローラ10は、上記のステップS20に進む。この場合、コントローラ10は、所定の報知を行うと共に、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、「この先適切な退避場所がないので、これから速やかに停車します。」というメッセージを音声出力装置44から出力させた後に、ブレーキ制御装置47を介して車両1のブレーキ装置を制御すると共に、エンジン制御装置46を介してエンジンの動作を停止させることで、車両1を速やかに停止させる。そして、コントローラ10は、「停車しました。車外に出るときは周囲の安全を十分確認してください」というメッセージを音声出力装置44から出力させ、図9に示すような画面を表示させる。一方、所定時間が経過していない場合(ステップS23:No)、コントローラ10は、ステップS15に戻る。この場合には、コントローラ10は、所定時間が経過するまで、上述した処理(特にステップS15~S18、S21~S23)を繰り返す。
【0054】
[作用及び効果]
次に、本発明の実施形態による車両制御システム100の作用及び効果について説明する。
【0055】
本実施形態では、コントローラ10は、自動停車制御として、ドライバの異常判定時に車両1を所定車速まで減速させる動作(第1動作)、第1動作の後に車両1を更に減速させて停車させる動作(第2動作)、第1動作と第2動作との間に車両1を車線変更させる動作(第3動作)、及び、第1動作と第2動作との間に車両1を路肩へ移動させる動作(第4動作)を少なくとも行う。そして、コントローラ10は、これら第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を、センターディスプレイ41、メータ装置42、HUD43、及び音声出力装置44の少なくともいずれかにより報知させると共に、第1乃至第4動作のうちでこれから実行しようとしている動作を中止する場合に、当該動作の中止を更に報知させる。
【0056】
このような本実施形態によれば、ドライバに異常が発生して自動停車制御が行われるときに、この自動停車制御中において車両1が取り得る種々の制御態様を、車両1のドライバを含めた乗員に逐次知らせることができる。具体的には、これから実行される車両1の動作(試行中の動作も含む)や、実行不可能なために中止される車両1の動作(例えば自車両1の周囲の状況により実行できなかった車線変更など)などを、乗員に逐次知らせることができる。これにより、自動停車制御中において車両1が取り得る制御態様を乗員に逐次把握させることができ、車両1の今後の挙動に対する不安を払拭することができる、つまり乗員に安心感を与えることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、コントローラ10は、上記の第3又は第4動作を中止する場合には、第3又は第4動作を中止すること及び第2動作をこれから実行しようとしていることを報知させた後に、車両1を車線変更先の車線以外の場所又は路肩以外の場所で停車させるように第2動作を実行する。これにより、車両1が車線変更先の車線以外の場所又は路肩以外の場所で停車すること、典型的には車両1が自車線で停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、コントローラ10は、第1動作を実行するときに、車両1を所定時間以内に停車させることを報知させ、第3又は第4動作を所定時間以内に実行できない場合には、第3又は第4動作を中止すること及び第2動作をこれから実行しようとしていることを報知させた後に、車両1を所定時間以内に停車させるように第2動作を実行する。これにより、車両1が時間切れのために、これから速やかに停車することを、典型的には自車線で速やかに停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、コントローラ10は、第1動作の実行後において車両1の前方に交差点が存在する場合には、第2動作をこれから実行しようとしていることを報知させた後に、車両1を交差点に進入する手前で停車させるように第2動作を実行する。これにより、車両1が交差点に進入する手前で停止した後、再発進することなく停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、コントローラ10は、第1動作の実行後において車両1が周囲の状況に応じて一時的に停止する場合には、第2動作をこれから実行しようとしていることを報知させた後に、車両1を周囲の状況に応じて停車させるように第2動作を実行する。これにより、車両1が周囲の状況に応じて停止した後、再発進することなく停車することを、乗員に適切に把握させることができる。
【0061】
[変形例]
上記した実施形態では、自動停車制御が開始されてから所定の制限時間以内に車両1を停車させていたが、他の例では、自動停車制御が開始されてから、車両1が所定数(例えば3つ)の交差点を通過するまでに、車両1を停車させるようにしてもよい。また、更に他の例では、自動停車制御が開始されてから、車両1が所定距離(例えば200m)を走行するまでに、車両1を停車させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
10 コントローラ
20 車内カメラ
21 車外カメラ
22 レーダ
34 センターコンソール操作装置
35 自動停車スイッチ
41 センターディスプレイ
42 メータ装置
43 HUD
43a HUD画像
44 音声出力装置
100 車両制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9