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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ベルトフック仮止めバンド
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/06 20060101AFI20240613BHJP
   B65D 63/00 20060101ALI20240613BHJP
   B65D 63/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60P7/06 B
B65D63/00
B65D63/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024000920
(22)【出願日】2024-01-07
【審査請求日】2024-01-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309016533
【氏名又は名称】株式会社オクト工業
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-154824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/06
B65D 63/00
B65D 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトフック(係合用金具)をトラックの荷台フレームまたは荷台フックに仮止めするためのベルトフック仮止めバンドであって、柔軟性と伸縮性のあるベルト本体(10)と、該ベルト本体の横長手方向の中心軸に沿って一定間隔で配置された荷台フック通し穴(20)で構成されたベルトフック仮止めバンド(1)であり、ベルト本体(10)に一定の張りを持たせつつ、トラックの荷台フレームの複数個所に下方に向けて所定間隔で設けられている荷台フックを各荷台フック通し穴(20)に貫通係合させて、一定の張りを持たせてベルトフック仮止めバンド(1)を荷台フレームに予め密接して装着させておき、ベルトフック(係合用金具)を荷台フレームまたは荷台フックに係合させる場合は、荷台フレームに密接して装着されているベルトフック仮止めバンド(1)の一部を荷台フレームから部分的に指で摘まんで僅かに浮かせて係合スペースを作り、係合スペース内でベルトフック(係合用金具)を荷台フレームまたは荷台フックに係合させ、ベルトフック(係合用金具)を係合させた状態でベルトフック仮止めバンド(1)の張力によりベルトフック(係合用金具)を荷台フレームまたは荷台フックに仮止めして、仮止めしたベルトフック(係合用金具)の脱落を防止するように構成されたベルトフック仮止めバンド(1)。
【請求項2】
前記ベルトフック仮止めバンドの柔軟性と伸縮性のあるベルト本体(10)は磁気ベルトであり、荷台フレームに磁着して予め取付けられるように構成し、該磁気ベルトはベルトフック(係合用金具)をトラックの荷台フレームに仮止め保持できるだけの磁力を具備することを特徴とする請求項1記載のベルトフック仮止めバンド(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トラック等の車両に積載した荷物に作業員が1人でベルト掛け作業をする際、トラックの荷台フックや荷台フレームに仮止めした固縛用ベルトのベルトフックが、自重で脱落しないように仮止めするために使用するベルトフック仮止めバンドに関する。
【0002】
このベルトフック仮止めバンドは荷台フレーム下面に複数個の荷台フックで固定する帯状バンドであり、かつ一定の張りを持たせて荷台フックに密接して装着して使用する柔軟性と伸縮性を有する帯状バンドである。この装着されたベルトフック仮止めバンドと荷台フレームの間に、固縛用ベルトのベルトフックを挟持させてベルトフックを仮止めすることにより、ベルトフックが自重で脱落するのを防止する。これにより作業員は、仮止めした一方のベルトフックが自重により脱落しないように押え続けることなく他方のベルトフックを係合させたり、或いは既に荷台フックに係合させた左右のベルトフックを押さえ続けることなく容易にラチェット操作を行うことが可能となる利点を有する。このような効率的なベルト掛け作業は、特に自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される所謂2024年問題の解決の一助としてトラック業界では期待されている。なお本明細書で上記固縛用ベルトとは、例えば断面が扁平形状のラッシングベルト(荷締めベルト)、断面が円形の繊維ロープや金属ワイヤー等の全ての固縛手段を含むものとする。また上記ベルトフックにはラッシングベルト端部の係合用金具(J型やS型フック部や円環部)、そして玉掛用繊維ロープや金属ワイヤー端部の輪状部(ワッカ部)等の全ての係合手段を含むものとする。
【背景技術】
【0003】
以下は固縛用ベルトの一例としてラッシングベルトについて開示するが、本願発明に係るベルトフック仮止めバンドはラッシングベルトに限定して使用する趣旨ではない。このラッシングベルトは、トラック荷台に積荷を固定する方法としてトラック業界では多用されている固縛手段の一例である。図7に示すように一般的なラッシングベルト100は、固定側ベルト101と巻取側ベルト(エンドレスタイプ)102で、ラチェット103を介して積荷を固縛できるように構成されている。各ベルトの端部には、ベルトフック(円環部とJ型フック)101A、ベルトフック(円環部とJ型フック)102Aが設けられている。
【0004】
この一般的なラッシングベルト100による積荷へのベルト掛け作業では、巻取側ベルト(エンドレスタイプ)102のベルトフック102Aの円環部を荷台フレーム側縁下部に設けられた荷台フックに掛けた後、或いはJ型フックを荷台フレームに掛けた後に、巻取側ベルト102を積荷の上を渡す。そして反対側の固定側ベルト101のベルトフック101Aも同様に荷台フックまたは荷台フレームに掛けた後に、上記積荷の上を渡した巻取側ベルト102の端部をラチェットに通してラチェット操作することで固縛作業を行う。この場合、図8に示すように、ベルトフック102A、ベルトフック101Aがその自重により荷台フックや荷台フレームから脱落し易いので、作業員は常に巻取側ベルト102と固定側ベルト101を引っ張って保持しつつラチェット操作を行うという煩わしさがあった。
【0005】
この煩わしさを解消する手段として、本願と同一の出願人による図9に示すようなベルトに磁石を装着した巻き付け式ラッシングベルト(磁石付き)100Aが提案されている(特許文献1)。これは既存の一般的なラッシングベルトに、この巻き付け式ロープ仮止め具(磁石付き)100Aを後付けするだけでベルトフックの脱落を止める構成であり、構成がシンプルであり現場対応力に優れているというメリットを有する。ただしトラック側面のあおりに対し磁石でラッシングベルトを固定するため、トラックの機種にも依るが仮にトラック側面のあおりがアルミ製やステンレス製の時は、この巻き付け式ロープ仮止め具(磁石付き)があおりに磁着しないという欠点を有している。また更に既存の一般的なラッシングベルトの各々に当該巻き付け式ロープ仮止め具(磁石付き)を装着せねばならず、必ずしも現場対応力が優れているとは限らないという問題点を有している。
【0006】
更に別の従来例として図10に示すように、ラッシングベルト端部の係合用金具(円環部)自体に磁石を予め装着させて、荷台フレームに係合用金具(円環部)を直接磁着させる構成が開示されている。この構成では鉄製の荷台フレームに係合用金具の円環部を磁着させるため、ベルトフックの自重によるベルトフックの脱落を防止できる利点を有する。ただしこの構成では磁石自体は予め係合用金具の円環部に装着されているという前提であり、既に広く使用されている磁石無しのラッシングベルト100には適用できないという欠点を有している。従ってこの構成は既に広く用いられている既存のラッシングベルトに流用できる構成ではなく、そのため一般のトラック運転手(作業員)にとって余分な出費となるという重大な欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7016564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、トラック等の車両に積載した荷物に作業員が1人で例えば一般的なラッシングベルト100を使用してベルト掛け作業をする際、トラックの荷台フックや荷台フレームに仮止めした固縛用ラッシングベルトのベルトフックが、自重で荷台フックや荷台フレームから脱落しないように仮止めする簡便なベルトフック仮止め具が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、ベルト本体の横長手方向の中心軸に沿って複数個の荷台フック通し穴を具備する柔軟性と伸縮性のあるベルトフック仮止めバンドを開示する。各荷台フック通し穴に、トラックの荷台フレームの複数個所に下方に向けて複数個所、所定間隔で設けられている荷台フックを貫通装着させることで、当該ベルトフック仮止めバンドは一定の張りを持たせて荷台フレームに密接して予め取付けられる。なお本明細書で「荷台フレームに密接」とは「荷台フレームの近傍」を含み、脱落しない程度に荷台フレームに近傍配備されている状態を含み、必ずしも接触配備されている状態に限定されない。また荷台フックの設置間隔は当然トラック毎に異なるため、上記複数個の荷台フック通し穴は連続あるいは一定間隔でバンド上に設けられている。すなわち荷台フックで貫通装着される荷台フック通し穴の間隔と、荷台フックの設置間隔とは必ずしも完全一致せず僅かなズレを生ずることがあるため、ベルト本体の荷台フック通し穴には横長の切込みを設け、荷台フック通し穴の間隔と荷台フックの設置間隔の僅かなズレを、この切込みとベルト自体の伸縮性で吸収するように構成されている。また当然この柔軟なベルト本体は、ベルトフック(係合用金具等)の重量を十分保持できる強度を有している。
【0010】
このベルトフック仮止めバンドの使用方法は、各荷台フック通し穴にトラックの複数個の荷台フックを貫通装着させて、かつ当該柔軟性と伸縮性のあるベルトフック仮止めバンドを一定の張りを持たせて荷台フレームに密接して装着させておく。ベルトフックを係合させる時は、トラック運転手(作業員)はベルトフック仮止めバンドの一部を指で摘まみ荷台フレームから部分的に僅かに浮かせて係合スペースを作り、その浮かせた係合スペース内で積み荷に掛けたラッシングベルトの端部にある係合用金具のJ型やS型フック部を荷台フレームに係合させるか、または円環部を荷台フックに係合させる。その後、指で摘まんだ部分のベルトフック仮止めバンドから指を離せば、そのベルトフック仮止めバンド自体の張力で荷台フレームに係合した係合用金具は、ベルトフック仮止めバンドで荷台フレームや荷台フックに仮止めされたままを保持され脱落するのが防止される。
【0011】
この様にして係合用金具を当該ベルトフック仮止めバンドで下方から上方へ押し上げ保持することにより、トラック運転手(作業員)は常にラッシングベルトを引っ張り続けることなくベルトフック(係合用金具)の脱落を防止することが可能となる。従ってトラック運転手(作業員)は既に荷台フックや荷台フレームに係合させたベルトフックが脱落するのを気にすることなく、スムーズなラチェット操作を行うことが可能となるという利点を有する。なお上記柔軟なベルト本体は、脱落を防止すべきベルトフックの自重を確実に荷台フレームに密接保持させるために、ゴム体や伸縮性繊維等の弾性体で構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述の従来例であるラッシングベルトに外付けの「巻き付け式ロープ仮止め具(磁石付き)」(図9参照)や、係合用金具(円環部)自体に磁石を予め装着させる構成(図10参照)とは異なり、本発明に係るベルトフック仮止めバンドでは、荷台フック通し穴に各トラックの荷台フックを貫通挿入して、このベルトフック仮止めバンドを予め荷台フレームに密着して装着させておくだけで、既存の一般のラッシングベルトを使用しても、ベルト掛け作業中にベルトフック(係合用金具)が脱落する不具合を確実に防止することが可能となる。すなわち既存のラッシングベルトが無駄になることはない。なおこのベルトフック仮止めバンドは、長尺ベルトをロール状にして製品化することで、各トラックの荷台の長さに合わせてトラックドライバー自身がベルトを適当な長さにカットすることで、安価に本願のベルトフック仮止めバンドをトラックに装着可能であるという積載現場での利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(A)は、本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)の外形を示す平面図であり、(B)はA-Aでの断面図である。
図2図2(A)はベルトフック仮止めバンドをトラックの荷台フレーム下に密着して装着させた参考図である。また図2(B)は、この際のトラックの前方向からの参考図である。
図3図3は、ベルトフック仮止めバンドを実際に荷台フックに装着し、荷台フレームに係合用金具を係合させた時の参考写真である。
図4図4は、ベルトフック仮止めバンドを実際に荷台フックに装着し、荷台フックにロープの輪状部(ワッカ部)を係合させた時の参考写真である。
図5図5(A)から(C)はトラックの荷台フレームに係合用金具(J型やS型フック部)を係合させる場合の手順を示す参考図である。
図6図6(A)から(G)は本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)の他の外形例を示す参考図である。
図7図7は一般的なラッシングベルト100の参考写真である。
図8図8はベルトフックがその自重により荷台フックや荷台フレームから脱落し易いことを示す参考図である。
図9図9は従来例である本願出願人に係る「巻き付け式ロープ仮止め具(磁石付き)」の参考図である(特許文献1)。
図10図10は従来例である磁石付きラッシングベルト端部の係合用金具(円環部)の参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(A)は、本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)の外形を示す平面図であり、(B)はA-Aでの断面図である。断面が扁平形状のラッシングベルト(荷締めベルト)、断面が円形の繊維ロープや金属ワイヤー等を含む固縛用ベルトの端部に装着された係合用金具(J型やS型フック部、円環部)や、玉掛用繊維ロープや金属ワイヤー端部の輪状部(ワッカ部)が、積載荷物の固縛作業中にトラックの荷台フックや荷台フレームから脱落する不具合を確実に防止するという目的を、極めてシンプルな本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)で実現した。このベルトフック仮止めバンド(1)は柔軟性と伸縮性のあるベルト本体(10)と、該ベルト本体の横長手方向の中心軸に沿って一定間隔で配置された荷台フック通し穴(20)で構成されている。トラック運転手(作業員)は、柔軟性と伸縮性を有する本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)を予めトラックの荷台フレームの下面近傍に一定の張りを持たせつつ密着させて装着しておく。この装着の仕方は、柔軟性と伸縮性のあるベルト本体(10)を僅かに引っ張りつつ複数個所の荷台フック通し穴(20)にトラック荷台フックを貫通挿入して、一定の張りを持たせつつ出来るだけ荷台フレームに近づけて装着しておく。そして例えばラッシングベルトの係合用金具の先端部分であるJ型フック部を荷台フレームに係合させる際は、そのJ型フック部近傍のベルトフック仮止めバンド(1)の一部だけを指で摘まんで荷台フレームから僅かに部分的に浮かせ、J型フック部を挿入できるだけの小さな係合スペースを形成する。ベルトフック仮止めバンドの一部を浮かせる際には、伸縮性があるベルトフック仮止めバンドは僅かに横へズレるが、そのズレはベルト本体(10)の伸縮性と横長の荷台フック通し穴(20)の切込みが吸収可能である。そしてこの僅かな係合スペース内にJ型フック部を入れて荷台フレームに係合させた後、一定の張りを持たせたベルトフック仮止めバンド(1)から指を離せばベルトフック仮止めバンド(1)自体の張力で仮止めしたJ型フック部の脱落を簡便に防止する。この簡便な作業により、ベルトフック仮止めバンドでJ型フック部を荷台フレームに仮止めさせたまま、トラック運転手(作業員)が効率良く固縛作業を進めることを実現した。以下にこのベルトフック仮止めバンドの具体的な構成について詳述する。
【0015】
まずベルトフック仮止めバンド(1)を構成するベルト本体(10)は帯状バンドであり、は柔軟性と伸縮性を有する。そしてベルト本体(10)の短手方向の略中央には、長手方向に複数の荷台フック通し穴(20)が設けられている。ベルトフック仮止めバンド(1)の短手方向の幅は、一例として40mmから50mm、長手方向はトラックの最前部フックと最後部フックの長さである。だたしこのサイズに限定する趣旨ではない。またベルトフック仮止めバンド(1)は、ラッシングベルトの係合用金具が係合する荷台フレームの長さと、荷台フレームと係合する係合用金具の重量を保持できる強度、があるベルトであればよい。具体的な長さや強度の数値は、発明事項ではなく設計事項であるため詳細は割愛する。また荷台フック通し穴(20)の切込みサイズは一般的な荷台フックの太さに対応し、かつ荷台フックに係合して係合用金具の重量を保持できるサイズであるが、上記と同様に具体的なサイズは設計事項であるため割愛する。
【0016】
なお当然ながらトラックの荷台フックの取付間隔は機種により若干のバラツキがある。そのため荷台フック通し穴(20)のベルト長手方向には長手方向に横長の切込みと、荷台フックの荷台フレームからの飛び出し距離にもバラツキがあるので縦長の切込みを設けている。これ等の切込みにより、トラック機種毎のフック取り付け位置のバラツキを吸収することは十分可能である。切込みの具体的な数値についても、同様に設計事項であるため割愛する。なおベルト本体(10)の素材に関しては、柔軟性と伸縮性があるものであれば特に限定しない。もちろんゴム体や伸縮性化学繊維等の弾性体で構成してもよい。これ等は全て既存の素材であるため詳細は割愛する。なおベルトフック仮止めバンド(1)は一度トラックの荷台フレームの下面近傍に一定の張りを持たせつつ密着させて装着すると、そのままで取外す必要はなく、従って耐候性を有する素材が使用される。
【0017】
図2(A)はベルトフック仮止めバンド(1)の荷台フック通し穴(20)に実際にトラックの荷台フックを貫通挿入し、このベルトフック仮止めバンドをトラックの荷台フレーム下に一定の張りを持たせて密着して装着させた参考図である。また図2(B)は、この際のトラックの前方向からの参考図である。図3は、ベルトフック仮止めバンド(1)の一部だけを指で摘まんで荷台フレームから僅かに部分的に浮かせてJ型フック部を挿入できるだけの係合スペースを形成した後に、この係合スペースにJ型フック部を挿入して、荷台フレームに係合させたままでJ型フック部を仮止めしている参考写真である。この参考写真から理解できるように、一定の張りを持たせて荷台フレームに密接して装着させたベルトフック仮止めバンド(1)自体の張力で、荷台フレームに仮止めしたJ型フック部が脱落するのを簡便に防止している。また図4は、玉掛用繊維ロープの輪状部(ワッカ部)を荷台フックに係合させた後に、ベルトフック仮止めバンド(1)自体の張力で荷台フックに仮止めした輪状部(ワッカ部)が脱落するのを簡便に防止している参考写真である。
【0018】
図5(A)から(C)はトラックの荷台フレームに係合用金具(J型やS型フック部)を係合させる場合の手順を示す参考図である。荷台上で積載荷物をどの位置に積載しているかにも依るが、仮にラッシングベルトの係合用金具が荷台フックではなく荷台フレームに係合させる位置にある場合、図5(A)に示すように、この位置にあるベルトフック仮止めバンド(1)の一部を指で摘まんで下方へ部分的に浮かせ係合用金具を挿入できる程度の僅かな係合スペースを確保する。この係合スペースを確保する場合、ベルトフック仮止めバンド(1)は両側の荷台フックから係合スペースの中心側に僅かに引っ張られズレるが、荷台フック通し穴(20)の横長の切込みとベルト自体の伸縮性によりこのズレは十分に吸収されるため問題は無い。そして係合スペースに挿入した係合用金具を荷台フレームに係合させた後、指で摘まんだベルトフック仮止めバンド(1)から指を離せばベルトフック仮止めバンド(1)自体の張力で、図5(B)に示すように係合用金具は荷台フレームに係合したままの状態を保持し、自重により脱落するのを確実に防止することが可能となる。もちろんこの場合ベルトフック仮止めバンド(1)の素材として伸縮性あるゴム体や伸縮性繊維が使用されているため、係合用金具が脱落するのを確実に防止できる。なおラッシングベルトの係合用金具(円環部)や、玉掛用繊維ロープや金属ワイヤー端部の輪状部(ワッカ部)を荷台フックに係合させる場合は、図5(C)に示すように、対応部分のベルトフック仮止めバンド(1)を指で下方へ浮かせ、荷台フレームから係合用金具を挿入できる程度の僅かな係合スペースを確保してから、同様に係合用金具の円環部、玉掛用繊維ロープや金属ワイヤー端部の輪状部を荷台フックに係合させれば、確実にこれ等が荷台フックから脱落するのを防止することができる。
【0019】
図6(A)から(G)は本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)の他の外形例である。図6(A)は荷台フック通し穴(20)を短手方向の切込み(縦方向)無しで、長手方向(横方向)のみの切込みで構成したものである。もともと短手方向の切込みは、荷台フックの荷台フレームからの飛び出し距離にバラツキがあるため、そのバラツキを吸収するためのものであるため、荷台フックの荷台フレームからの飛び出し距離を無視できるトラックでは必ずしも必要ではない。
【0020】
図6(B)は本願発明を商品化した場合のイメージ図であり、ベルトフック仮止めバンド(1)がロール状に巻かれている。トラック運転手(作業員)は、自己のトラック長に合わせて任意の長さにカットして使用することが出来るため、大型・小型トラック全てに本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)を使用することが可能である。
【0021】
図6(C)は円環状の荷台フック通し穴(20)を連続させたベルトフック仮止めバンド(1)であり、トラックの各荷台フックの間隔長に合致し易い形状である。この場合にも全体として、係合用金具の重量を保持することができる強度を具備すればよい。また図6(D)は円環状の荷台フック通し穴(20)と細身の連結帯を組み合わせた形状であり、この場合でも係合用金具の重量を保持することができる強度を具備すればよい。
【0022】
図6(E)は柔軟性ある素材のうちで繊維製のバンドで構成したベルトフック仮止めバンド(1)の参考図である。その他の素材としては、帯状の柔軟性ある強化プラスチックや金属メッシュ製でもよい。なお上記の素材に加えて例えばラバーマグネット(ゴム磁石)のようにバンドの素材自体を磁性体とし、荷台フック通し穴(20)と隣接する荷台フック通し穴(20)の間隔部分がトラックの荷台フレームに磁着するように構成すれば、この磁着部分で確実に固縛用ベルトのベルトフックを荷台フレームに更に強固に仮止めすることが可能である。もちろん素材自体が磁性体である必要は必ずしもなく、弾性体のバンドの軸方向に沿って小型磁石体を配列してもよい。また上述の磁性体の強度は、ベルトフック(係合用金具)の一般的な既知重量をベルトフック仮止めバンド(1)によりトラックの荷台フレームに十分に仮止め保持できるだけの磁力を具備すれば足りる。具体的な磁性体の強度については設計事項であるため割愛する。図6(F)は荷台フックの太さは太い細いがあるため、連続する大小の円環状の荷台フック通し穴(20)を示し、同様に図6(G)は、大小のX状の荷台フック通し穴を示している。どの程度の大小のサイズかは、仮止めすべきベルトフックの一般的な既知重量を十分に仮止め保持できるだけのサイズとする。具体的な数値については設計事項であるため割愛する。なおいずれの素材も柔軟性と伸縮性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明に係るベルトフック仮止めバンド(1)は、従来例に係る構成と比較して、構成する部品点数が少なく、極めて簡素な構成であるため安価であり、従って多くの量販店で量販品として販売可能であるという利点を有する。更にベルトフック仮止めバンド(1)の大きな利点として、荷台フック通し穴(20)にトラックの荷台フックを貫通係合させてトラックの荷台フレームに装着するだけで、多くのトラックが既に保有している既存の固縛用ベルトをそのまま使用することが可能であるため、僅かな出費で固縛作業の大きな改善を図ることが可能である利点を有する。
【符号の説明】
【0024】
1 ベルトフック仮止めバンド
10 ベルト本体
20 荷台フック通し穴
【要約】
【課題】作業員が1人で例えば一般的なラッシングベルト100を使用してベルト掛け作業をする際、トラックの荷台フックや荷台フレームに仮止めした固縛用ラッシングベルトのベルトフックが、自重で荷台フックや荷台フレームから脱落してしまう。
【解決手段】本願発明のベルトフック仮止めバンドを、トラックの複数個の荷台フックを貫通装着させて一定の張りを持たせて荷台フレームに予め密接して装着しておく。このベルトフック仮止めバンドの一部を荷台フレームから部分的に僅かに浮かせて係合スペースを作り、その浮かせた係合スペース内で積み荷に掛けたラッシングベルトの端部にあるベルトフック(係合用金具)のJ型フック部を荷台フレームに係合させて仮止めする。これによりラッシングベルトを常に引っ張っていることなく、ベルトフック(係合用金具)の脱落を防止することが可能となる。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10