(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】コンテンツ収集・配信システム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20240613BHJP
G10G 1/00 20060101ALI20240613BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20240613BHJP
H04L 67/02 20220101ALI20240613BHJP
H04N 21/239 20110101ALI20240613BHJP
H04N 21/2743 20110101ALI20240613BHJP
H04N 21/8547 20110101ALI20240613BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10G1/00
G10K15/02
H04L67/02
H04N21/239
H04N21/2743
H04N21/8547
(21)【出願番号】P 2019139419
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501238438
【氏名又は名称】株式会社ランナーズ・ウェルネス
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】比企 啓之
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】木方 庸輔
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-94683(JP,A)
【文献】特開2003-167575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00 - 7/12,
G10K 1/00 - 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを収集して配信するコンテンツサーバを有するコンテンツ収集・配信システムであって、
前記コンテンツサーバが、
楽譜データ又は基礎音源データである1次コンテンツに第1の同期データを付与して端末に配信する第1の配信手段と、
前記端末に表示された楽譜データ又は前記端末で再生された基礎音源データに従って入力された演奏又は音声のデータが前記端末から送信され、前記1次コンテンツの前記第1の同期データに同期する第2の同期データを含む2次コンテンツとして収集する収集手段と、
前記収集した2次コンテンツを前記第2の同期データに同期させて統合して3次コンテンツとして編集する編集手段と、
前記3次コンテンツを配信する第2の配信手段とを有し、
前記第1の配信手段が、前記端末に配信する送信フレームにおいて前記1次コンテンツのデータを設定し、
前記編集手段が、前記端末からの2次コンテンツに再生された基礎音源データが含まれる場合に当該基礎音源データをフィルタリングでキャンセルし、
前記第2の配信手段が、前記送信フレームにおいて前記第1の配信手段が設定した1次コンテンツのデータの後に前記3次コンテンツのデータを加えて含めるよう設定し、
前記第1の配信手段が前記送信フレームにおける前記1次コンテンツを配信すると共に前記第2の配信手段が前記送信フレームにおける前
記3次コンテンツを配信する処理を繰り返すことを特徴とするコンテンツ収集・配信システム。
【請求項2】
2次コンテンツが、端末に入力された演奏又は歌唱のデータであることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ収集・配信システム。
【請求項3】
コンテンツが配信される端末を備え、
前記端末が、1次コンテンツを再生する第1の再生手段と、
入力された音を2次コンテンツとしてコンテンツサーバに送信する送信手段と、
前記コンテンツサーバから配信される1次コンテンツと3次コンテンツを再生する第2の再生手段とを有し、
前記第1の再生手段が、前記1次コンテンツが楽譜データである場合に進行している箇所に目印を表示することを特徴とする請求項1又は2記載のコンテンツ収集・配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽等のコンテンツを収集して配信するシステムに係り、特に、楽譜等(録音コンテンツ、生演奏、指揮者映像、演者の映像、その他コンテンツ)を配信して、その進行に合わせて演奏された音楽、手拍子、笑い声、拍手、声援等を収集して編集し、編集された音楽等を配信するコンテンツ収集・配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来は、音楽等のコンテンツを、一方的にネットワークを介して配信するシステムがあった。
また、遠隔地で演奏された音楽を、ネットワークを介して収集するシステムもあった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2003-015659号公報「楽曲情報配信装置及び楽曲情報配信プログラム」(特許文献1)、特開2007-325843号公報「競技支援システムおよび方法」(特許文献2)、特開2009-005012号公報「データ配信装置、データ配信方法およびプログラム」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、配信サーバが、接続するクライアント装置に連続して音楽を提供すると共に、多くのユーザが同じ音楽を同時進行で聴くことができる構成が示されている。
【0005】
特許文献2には、マラソンコースの区間に気象センサを配置し、そのセンサで得られた気象データを区間内の表示装置に表示すると共にランナーにも配信する構成が示されている。
【0006】
特許文献3には、演奏者の演奏データにタイムコードを付与し、その演奏に歌唱する歌唱者の音声データにもタイムコードを付与して同期情報を送信し、ライブ演奏を実現する構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-015659号公報
【文献】特開2007-325843号公報
【文献】特開2009-005012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、単に音楽を配信するか、また単に音楽を収集するだけで、収集した音楽を編集してユーザに遅延なくフィードバックするものではなく、音楽を同期させながら再配信するものではないため、演奏参加の臨場感が得られないという問題点があった。
【0009】
尚、特許文献1~3には、音楽、映像の1次コンテンツを配信して、その1次コンテンツに反応して発生した演奏等の2次コンテンツを収集し、1次コンテンツと2次コンテンツを瞬時に統合して編集し、最初の1次コンテンツの配信にほぼ遅れることなく配信することについての記載がない。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、楽譜、録音コンテンツ、生演奏、指揮者映像、演者の映像、その他コンテンツ等を配信して、その進行に合わせて演奏された音楽、手拍子、笑い声、拍手、声援等を収集・編集して再配信するコンテンツ収集・配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、コンテンツを収集して配信するコンテンツサーバを有するコンテンツ収集・配信システムであって、コンテンツサーバが、楽譜データ又は基礎音源データである1次コンテンツに第1の同期データを付与して端末に配信する第1の配信手段と、端末に表示された楽譜データ又は端末で再生された基礎音源データに従って入力された演奏又は音声のデータが端末から送信され、1次コンテンツの第1の同期データに同期する第2の同期データを含む2次コンテンツとして収集する収集手段と、収集した2次コンテンツを第2の同期データに同期させて統合して3次コンテンツとして編集する編集手段と、3次コンテンツを配信する第2の配信手段とを有し、第1の配信手段が、端末に配信する送信フレームにおいて1次コンテンツのデータを設定し、編集手段が、端末からの2次コンテンツに再生された基礎音源データが含まれる場合に当該基礎音源データをフィルタリングでキャンセルし、第2の配信手段が、送信フレームにおいて第1の配信手段が設定した1次コンテンツのデータの後に3次コンテンツのデータを加えて含めるよう設定し、第1の配信手段が送信フレームにおける1次コンテンツを配信すると共に第2の配信手段が送信フレームにおける3次コンテンツを配信する処理を繰り返すことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記コンテンツ収集・配信システムにおいて、2次コンテンツが、端末に入力された演奏又は歌唱のデータであることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記コンテンツ収集・配信システムにおいて、コンテンツが配信される端末を備え、端末が、1次コンテンツを再生する第1の再生手段と、入力された音を2次コンテンツとしてコンテンツサーバに送信する送信手段と、コンテンツサーバから配信される1次コンテンツと3次コンテンツを再生する第2の再生手段とを有し、第1の再生手段が、1次コンテンツが楽譜データである場合に進行している箇所に目印を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンテンツサーバが、楽譜データ又は基礎音源データである1次コンテンツに第1の同期データを付与して端末に配信する第1の配信手段と、端末に表示された楽譜データ又は端末で再生された基礎音源データに従って入力された演奏又は音声のデータが端末から送信され、1次コンテンツの第1の同期データに同期する第2の同期データを含む2次コンテンツとして収集する収集手段と、収集した2次コンテンツを第2の同期データに同期させて統合して3次コンテンツとして編集する編集手段と、3次コンテンツを配信する第2の配信手段とを有し、第1の配信手段が、端末に配信する送信フレームにおいて1次コンテンツのデータを設定し、編集手段が、端末からの2次コンテンツに再生された基礎音源データが含まれる場合に当該基礎音源データをフィルタリングでキャンセルし、第2の配信手段が、送信フレームにおいて第1の配信手段が設定した1次コンテンツのデータの後に3次コンテンツのデータを加えて含めるよう設定し、第1の配信手段が送信フレームにおける1次コンテンツを配信すると共に第2の配信手段が送信フレームにおける3次コンテンツを配信する処理を繰り返すコンテンツ収集・配信システムとしているので、ユーザは端末で1次コンテンツを参考に2次コンテンツをコンテンツサーバに送信し、その2次コンテンツを統合・編集した3次コンテンツを1次コンテンツに加えて配信でき、1次コンテンツの配信にほぼ遅れることがなく3次コンテンツを配信してリアルタイムに限りなく近いコンテンツ再生ループを実現できるので、ユーザは1次コンテンツに臨場感をもって参加できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本システムをマラソンイベントに適用した概念図である。
【
図3】楽譜等データ配信手段と音楽配信手段との関係を示す図である。
【
図4】音源サーバにおける処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るシステム(本システム)は、音楽等のコンテンツの収集・配信を行うコンテンツサーバ(音源サーバ)が、ユーザのスマートフォン(スマホ)に例えば楽譜、基礎音源のデータ(1次コンテンツデータ)を配信し、ユーザはスマホに配信された楽譜等のデータに基づいて演奏したり、歌を歌ってスマホに入力しながら音源サーバに演奏等データ(2次コンテンツデータ)を送信し、音源サーバは、受信した演奏等データを収集して統合する編集を行って、再度ユーザのスマホに編集された音楽データ(3次コンテンツデータ)を配信するものであり、ユーザはスマホの楽譜等データを参照しながら演奏し、その演奏等データを再度ユーザのスマホでほぼリアルタイムで再生できるので、臨場感をもって全体の演奏に参加できるものである。
【0021】
[本システムの概略:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、
図1に示すように、コンテンツサーバ1と、スマホ2,3とを基本的に備え、ネットワーク4で接続している。
図1では、説明を簡単にするために、スマホを2台しか表示していないが、実際は多くのスマホがネットワーク4に接続するものである。
【0022】
本システムは、コンテンツサーバ1が、音楽、映像の1次コンテンツをスマホ2,3に配信して、その1次コンテンツに反応して発生した2次コンテンツをスマホ2,3から収集し、1次コンテンツと2次コンテンツを瞬時に統合して編集し、3次コンテンツとして最初の1次コンテンツの配信にほぼ遅れることなく配信するものである。
【0023】
つまり、本システムは、演者と聴衆との間を、ネットワークを介してコンテンツのリアルタイムに限りなく近いループ(リアルタイムループ)を、高速通信技術を用いて実現することにより、劇場空間にとらわれない自由な空間での臨場感を体験できるものである。
従って、本システムは、後述するマラソンイベントに利用が限定されるものではなく、コンサート、演劇、演芸、その他のエンターテインメントに利用できるものである。
【0024】
コンテンツサーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備えている。
記憶部12には、配信する1次コンテンツと、収集した2次コンテンツと、統合・編集した3次コンテンツとを記憶すると共に、処理プログラムを記憶する。
インタフェース部13は、ネットワーク4に接続するインタフェース部である。
制御部11は、記憶部12の処理プログラムを読み込んで処理を実行し、1次コンテンツを配信しながら、2次コンテンツを収集して1次コンテンツとの統合・編集を行い、3次コンテンツとして再配信する処理を行う。当該処理の具体的な内容については、以下のマラソンイベントへの応用例で説明する。
【0025】
[マラソンイベントへの応用:
図2]
本システムを、具体的にマラソン応援に適用したものについて
図2を参照しながら説明する。
図2は、本システムをマラソンイベントに適用した概念図である。
本システムは、
図2に示すように、コンテンツサーバ(
図2では「音源サーバ」とする)1と、スマホ2,3とを有している。音源サーバ1とスマホ2,3は、有線及び無線のネットワークを介して接続している。有線及び無線ネットワークでは第5世代(5G)等の高速通信(5G以降の世代の高速通信も含む)を想定している。
尚、スマホ2は、マラソンコースの沿道の応援者が保有し、スマホ3は、コース沿道外の応援者が保有するものである。
【0026】
[音源サーバ1]
音源サーバ1は、楽譜、録音コンテンツ、生演奏、指揮者映像、演者の映像、その他コンテンツ等のデータ(楽譜等データ:1次コンテンツ)をスマホ2,3に配信し、スマホ2,3からの音楽、手拍子、笑い声、拍手、声援等のデータ(演奏等データ:2次コンテンツ)を収集して統合・編集して音楽データ(3次コンテンツ)としてスマホ2,3に再配信するものである。
【0027】
音源サーバ1は、処理プログラムを実行することにより、以下に説明する各手段が、基礎音源配信処理、楽譜配信処理、音楽収集処理、編集処理、音楽配信処理等の処理を行う。
尚、基礎音源配信処理、楽譜配信処理は、楽譜等データ配信手段で実行される。
音楽収集処理、編集処理は、音楽収集・編集手段で実行される。
また、音楽配信処理は、音楽配信手段で実行される。
【0028】
[楽譜等データ配信手段]
楽譜等データ配信手段は、ユーザが演奏するための基礎音源データを記憶部12から読み出してインタフェース部13を介してネットワーク4に出力し、更にネットワーク4を介してスマホ2,3に配信する基礎音源配信処理を行う。
また、楽譜等データ配信手段は、ユーザが参照する楽譜データをスマホ2,3に配信する楽譜配信処理を行う。
ここで、基礎音源データと楽譜データを合わせて楽譜等データ(1次コンテンツ)と呼ぶことにする。
楽譜等データには、演奏等データを統合する際に利用する第1の同期データが含まれている。
【0029】
[音楽収集・編集手段]
音楽収集・編集手段は、スマホ2,3から送信された演奏等データ(2次コンテンツ)を収集する音楽収集処理を行う。演奏等データには、楽譜等データに含まれる第1の同期データに同期する第2の同期データが含まれている。
また、音楽収集・編集手段は、収集した演奏等データを統合する編集処理を行う。
【0030】
編集処理において、配信されたデータが楽譜データの場合、音源が含まれていないので、取集した演奏等データを第2の同期データに同期させ、音の大小のバランスを調整して統合する。この統合において、音楽収集・編集手段が、イベントの基礎となる演奏データ(基礎演奏データ)に演奏等データを重ねるように統合してもよい。
【0031】
また、編集処理において、配信されたデータが基礎音源データの場合で、演奏者がイヤホンで基礎音源データを再生している場合には、演奏等データには音源が含まれないため、楽譜データと同様の処理を行うことになる。
【0032】
また、編集処理において、配信されたデータが基礎音源データの場合で、演奏者がスマホのスピーカーで基礎音源データを再生している場合には、収集した演奏等データに基礎音源データが含まれるため、演奏等データから基礎音源データをフィルタリングによりキャンセルする処理を行って統合処理を行う。基礎音源データのキャンセルは、スマホ2,3で実行してもよい。
この基礎音源データのキャンセル処理は、後述する音楽データ(3次コンテンツ)を配信した場合に、スマホ2,3でのハウリングを防止することができる。
【0033】
[音楽配信手段:
図3]
音楽配信手段は、統合・編集した音楽データ(3次コンテンツ)をスマホ2,3に配信する音楽配信処理を行う。
ここで、音楽配信手段と楽譜等データ配信手段との関係について
図3を参照しながら説明する。
図3は、楽譜等データ配信手段と音楽配信手段との関係を示す図である。
図3に示すように、コンテンツサーバ1から送信される送信フレームには、楽譜等データ配信手段が楽譜等データ(1次コンテンツ)を、音楽配信手段が音楽データ(3次コンテンツ)を設定し、スマホ2,3に配信されるものである。
【0034】
音楽配信処理において、1次コンテンツが楽譜データの場合、スマホ2,3から音源が再生されていないため、高速通信手段と高速処理手段を実現できれば、1次コンテンツの配信から3次コンテンツの配信がほぼ時間差なく行うことが可能となり、リアルタイムに近い音楽再生ループを実現できる。
【0035】
また、音楽配信処理において、1次コンテンツが基礎音源データの場合、3次コンテンツには基礎音源データはキャンセルされて含まれていない状態であるので、楽譜等データ配信手段が1次コンテンツを配信すると共に、音楽配信手段が3次コンテンツを配信するものである。
具体的には、
図3に示したように、送信フレームに1次コンテンツのデータを配置し、3次コンテンツがある場合には、その送信フレームに3次コンテンツのデータを配置して送信処理を行う。
音源サーバ1における処理の流れについては後述する。
【0036】
[スマホ2,3]
スマホ2,3は、楽譜等データ(1次コンテンツ)を再生(表示)しながら演奏された音楽、手拍子、笑い声、拍手、声援等の演奏等データ(2次コンテンツ)を入力して音源サーバ1に送信し、更に音源サーバ1から配信された音楽データ(3次コンテンツ)を再生するものである。
【0037】
スマホ2,3は、その記憶部に記憶するアプリの実行により、以下に説明する各手段が、楽譜表示処理、基礎音源再生処理、演奏等データ入力処理、演奏等データ送信処理、音楽再生処理等の処理を行う。
尚、楽譜表示処理は楽譜表示手段で、基礎音源再生処理は基礎音源再生手段で、演奏等データ入力処理と演奏等データ送信処理は演奏等データ入力・送信手段で、音楽再生処理は音楽再生手段で実行される。
【0038】
[楽譜表示手段]
楽譜表示手段は、音源サーバ1から配信された楽譜データをスマホの画面に表示する楽譜表示処理を行う。表示される楽譜データでは進行している箇所が判別できるように移動可能な矢印等の目印も表示される。
【0039】
[基礎音源再生手段]
基礎音源再生手段は、音源サーバ1から配信された基礎音源データを再生する基礎音源再生処理を行う。
尚、楽譜表示手段と基礎音源再生手段を同時に実行し、楽譜データと基礎音源データをリンクさせて再生してもよい。
【0040】
[演奏等データ入力・送信手段]
演奏等データ入力・送信手段は、表示された楽譜、再生された基礎音源に従ってユーザの演奏又は歌声を演奏等データとして入力する演奏等データ入力処理を行う。
演奏等データ入力・送信手段は、入力された演奏等データを音源サーバ1に送信する演奏等データ送信処理を行う。
尚、演奏等データ入力・送信手段は、演奏等データを音源サーバ1に送信する際には、楽譜等データに含まれる第1の同期データに同期する第2の同期データを演奏等データに含める処理を行う。
【0041】
[音楽再生手段]
音楽再生手段は、音源サーバ1から配信された音楽データ(3次コンテンツ)を再生する音楽再生処理を行う。
基礎音源再生手段が基礎音源データを再生するのと同時並行して音楽再生手段が音楽データを再生することになる。
【0042】
具体的には、受信したフレームには、1次コンテンツのデータと3次コンテンツのデータ(演奏等データがない場合は含まれないことがある)が含まれており、基礎音源再生手段が1次コンテンツのデータを再生し、音楽配信手段が3次コンテンツのデータを再生することで、同時再生が可能になる。
【0043】
[処理内容:
図4,5]
音源サーバ1における処理について
図4を参照しながら、スマホ2,3における処理について
図5を参照しながら説明する。
図4は、音源サーバにおける処理フローを示す図であり、
図5は、スマホにおける処理フローを示す図である。
尚、以下の説明では、実際の動作に近くなるよう
図4と
図5を並行して説明している。
また、
図4,5の処理は、演奏が続く限り繰り返し為されるものである。
【0044】
音源サーバ1が、
図4に示すように、楽譜等データ配信手段により、ユーザのスマホ2,3に楽譜等データを配信する(S11)。
スマホ2,3は、
図5に示すように、配信された楽譜等データを楽譜表示手段、基礎音源再生手段により、楽譜の表示、基礎音源の再生を行う(S21)。
【0045】
ユーザはスマホ2,3に配信された楽譜等のデータに基づいて演奏・歌唱等を行う。
スマホ2,3は、
図5に示すように、演奏等データ入力・送信手段により、演奏・歌唱等を入力しながら音源サーバ1に演奏等データを送信する(S22)。
【0046】
音源サーバ1は、
図4に示すように、音楽収集・編集手段により、受信した演奏等データを収集して(S12)、更に統合する編集を行い、音楽データを生成する(S13)。
音源サーバ1において、統合・編集する技術では、楽譜等データが音声データである場合に、スマホ2,3でのハウリングをキャンセルするキャンセラーの機能を備えるようにする。
また、統合・編集の技術では、収集する演奏等データの量が多くなれば、基礎音源データの音が相対的に小さくなるので、基礎音源データの音を大きく、演奏等データを小さくする音量の制御を行う。
【0047】
そして、音源サーバ1は、音楽配信手段により、ユーザのスマホ2,3に編集された音楽データを楽譜等データに加えて配信する(S14)。
また、スマホ2,3は、
図5に示すように、音楽再生手段により、音源サーバ1から配信された楽譜等データ及び音楽データを再生する(S23)。
【0048】
[本システムの効果]
本システムによれば、ユーザは音源サーバ1からの楽譜等データをスマホ2,3で参照しながら演奏し、その演奏等データを音源サーバ1に送信して、音源サーバ1で統合・編集された音楽データを再度ユーザのスマホ2,3でほぼリアルタイムで再生できるので、臨場感をもって全体の演奏に参加できる効果がある。
【0049】
また、スマホ2は、マラソンコースの沿道の応援者が保有しているので、マラソンコースでは連続して同じ音楽をそのスマホ2のスピーカーから出力させることができ、ランナーを楽しませることができる。
【0050】
また、スマホ3を保有する演奏者は、マラソンコースとは関係ない屋内等で演奏できるため、演奏を楽しむことができる。
【0051】
[応用例]
本システムでは、コンテンツサーバから1次コンテンツをスマホに配信して、スマホから2次コンテンツを収集して統合・編集して3次コンテンツをスマホに配信するコンテンツループを実現するものであるので、以下の応用例に適用できる。
【0052】
[お笑い]
1次コンテンツをお笑いのしゃべりとすると、遠隔地の観客の笑い声が2次コンテンツで収集され、統合・編集された3次コンテンツが配信されることで、演者と遠方の観客があたかも同じ会場にいるような臨場感を体験できる。
ここで、主たる演者と300人の観客のイベントの場合、音源サーバ1での統合・編集の技術は、演者のネタの声を8割とし、300人の笑い声は2割として音量を調整して統合するのが望ましい。
【0053】
[演劇]
演劇におけるパフォーマンスが1次コンテンツで、遠方の観客のどよめきや笑い声、拍手等が2次コンテンツであるとすれば、演者と遠方の観客が同じ会場にいるような臨場感を体験できる。
【0054】
[オーケストラ]
オーケストラの楽器毎の楽譜データを1次コンテンツとして楽器の演奏者に配信し、各楽器の演奏を演奏等データ(2次コンテンツ)として遠方から収集し、全体を統合・編集した3次コンテンツを遠方の観客に臨場感を持って配信することができる。
【0055】
[ダンスミュージック]
1次コンテンツでダンスミュージックを配信し、踊っている音や歓声を2次コンテンツで収集し、統合・編集した音楽を3次コンテンツをとして配信すれば、自宅等をバーチャルクラブにすることができる。
【0056】
[屋外イベント]
屋外イベントで、演奏者と観客が双方にイヤホンを装着し、スマホを使って演奏を配信し、観客の反応を収集して、統合・編集して演奏者にフィードバックできれば、演奏が騒音として問題視されることがない。
【0057】
また、屋外でも、青空の下、星空の下、雑踏の中で、観客がスマホの画面を見て、装着したイヤホンで音を聞くようにして参加すれば、周りの環境に影響されず、場所を問わず、イベントを楽しむことができる。
【0058】
[複数の基礎音源データ配信]
本システムでは、音源サーバ1から一つの基礎音源データがスマホ2,3に配信されることを想定したが、同期する複数の基礎音源データをスマホ2,3に配信し、スマホ2,3でいずれかの基礎音源データを選択して再生することも可能である。
これは、複数の基礎音源データとして楽器毎の音源データをスマホ2,3に配信し、特定の場所に各楽器の音源データを再生するスマホ2,3を持ち寄ってセッションを行い、それに新たな楽器での演奏や手拍子等を追加し、音源サーバ1に送信する。これにより、擬似的なバンドで演奏しているような感覚を味わうことができる。
また、複数の基礎音源データを配信すれば、LR(左右)に分けたステレオ効果や楽器毎の音源データ配信による新たな臨場感を味わうことができる。
【0059】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、ユーザは音源サーバ1からの楽譜等データをスマホ2,3で参照しながら演奏し、その演奏等データを音源サーバ1に送信して、音源サーバ1で統合・編集された音楽データを再度ユーザのスマホ2,3でほぼリアルタイムで再生できるので、臨場感をもって全体の演奏に参加できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、楽譜、録音コンテンツ、生演奏、指揮者映像、演者の映像、その他コンテンツ等を配信して、その進行に合わせて演奏された音楽、手拍子、笑い声、拍手、声援等を収集・編集して再配信するコンテンツ収集・配信システムに好適である。
【符号の説明】
【0061】
1…コンテンツサーバ(音源サーバ)、 2…スマートフォン(スマホ)、 3…スマートフォン(スマホ)、 4…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部