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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/38 20200101AFI20240613BHJP
【FI】
D06F58/38
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019228189
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021094260
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-200276(JP,A)
【文献】米国特許第06941679(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00-51/02
D06F 58/00-58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された乾燥室と、
前記乾燥室内に配置され、複数の通気穴が形成された内周面を有するドラムと、
前記乾燥室に対して加熱空気を送り込むための吸気路と、
前記乾燥室の下部に形成された風路穴と連通し、前記乾燥室内の空気を排出するための排気路と、
前記ドラムの前記通気穴から前記風路穴内に突出した異物を検出可能な異物検出手段と、
前記ドラムを回転駆動するモータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記ドラムが所定方向の回転と反所定方向の回転とを交互に繰り返すように前記モータを制御すると共に、前記異物検出手段により前記異物が検出された場合に、前記ドラムの回転を停止するように前記モータを制御するものであり、
前記異物検出手段は、前記風路穴の中央部より前記所定方向下流側、及び、前記風路穴の中央部より前記反所定方向下流側において前記異物を検出可能であることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記異物検出手段は、ワイヤーと、前記ワイヤーが移動したことを検出する移動検出部とを含んでおり、
前記ワイヤーは、
前記風路穴の中央部より前記所定方向下流側において前記ドラムの回転軸に沿って張り渡された第1部分と、
前記風路穴の中央部より前記反所定方向下流側において前記ドラムの回転軸に沿って張り渡された第2部分とを有することを特徴とする請求項に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通気穴が形成された内周面を有するドラムを備えた乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の乾燥機は、筐体の内部に形成された乾燥室を有し、その乾燥室の内部には、主軸により片持ち支持されたドラムが配置される。ドラムは、その前端面に大きな開口が衣類投入口として設けられ、乾燥対象の衣類は、衣類投入口を通してドラム内に投入される。ドラムの周面には、複数の通気孔が形成される。
【0003】
乾燥室の後部上面に吹出口が配置され、乾燥室の前部下面に吐出口が配置される。そのため、乾燥室には、吹出口から加熱空気が供給され、その加熱空気は、乾燥室内で回転駆動されるドラム内部を通過した後、吐出口から機外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-200276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衣類投入口を通してドラム内に投入された乾燥対象の衣類に、釘や金具などの異物が混入している場合がある。その場合に、釘や金具などの異物がドラムの通気孔から外側に突出した状態でドラムが回転すると、その異物が乾燥室の下面に形成された吐出口端部の壁部に衝突して、吐出口端部の壁部が破損する。また、ドラムの通気孔から外側に突出した異物が吐出口端部の壁部に衝突した際に、その衝撃によりドラムの通気孔の内周部がドラムの内側に突出するように変形する場合がある。その場合、異物の内側に突出した部分によりドラム内の衣類が損傷する。
【0006】
そこで、本発明は、ドラムの通気穴から異物が外側に突出した状態でドラムが回転して、その異物により乾燥室またはドラムが破損するのを防止できる乾燥機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の乾燥機は、筐体内に配置された乾燥室と、前記乾燥室内に配置され、複数の通気穴が形成された内周面を有するドラムと、前記乾燥室に対して加熱空気を送り込むための吸気路と、前記乾燥室の下部に形成された風路穴と連通し、前記乾燥室内の空気を排出するための排気路と、前記ドラムの前記通気穴から前記風路穴内に突出した異物を検出可能な異物検出手段と、前記ドラムを回転駆動するモータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ドラムが所定方向の回転と反所定方向の回転とを交互に繰り返すように前記モータを制御すると共に、前記異物検出手段により前記異物が検出された場合に、前記ドラムの回転を停止するように前記モータを制御するものであり、前記異物検出手段は、前記風路穴の中央部より前記所定方向下流側、及び、前記風路穴の中央部より前記反所定方向下流側において前記異物を検出可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の乾燥機において、前記異物検出手段は、ワイヤーと、前記ワイヤーが移動したことを検出する移動検出部とを含んでおり、前記ワイヤーは、前記風路穴の中央部より前記所定方向下流側において前記ドラムの回転軸に沿って張り渡された第1部分と、前記風路穴の中央部より前記反所定方向下流側において前記ドラムの回転軸に沿って張り渡された第2部分とを有することが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乾燥機では、ドラムの通気穴から外側に突出した異物を検出するとドラムの回転が停止されるため、異物が突出した状態でドラムが回転して、その異物により風路穴の端部壁部またはドラムが破損するのを防止できる。
【0012】
本発明の乾燥機では、風路穴内においてドラムの通気穴から外側に突出した異物を検出するため、異物が突出した状態でドラムの回転が継続された場合に、風路穴の端部壁部に衝突する異物を検出することができる。
【0013】
本発明の乾燥機では、ドラムが所定方向に回転する場合に風路穴の中央部より所定方向下流側において異物を検出し、ドラムが反所定方向に回転する場合に風路穴の中央部より反所定方向下流側において異物を検出可能であるため、異物が突出した状態でドラムが何れの方向に回転した場合でも、風路穴の端部壁部近傍において異物を検出することができる。そのため、異物が異物検出手段により検出されないで、その異物が風路穴の端部壁部に衝突するのを抑制できる。
【0014】
本発明の乾燥機では、風路穴の両端部にそれぞれ張り渡されたワイヤーが移動したことを1つの移動検出部により検出可能であるため、風路穴の両端部にそれぞれ張り渡されたワイヤーに対して移動検出部をそれぞれ配置する場合と比べて、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の乾燥機1の正面縦断面図である。
図2図1の乾燥機1のa-a線での側面縦断面図である。
図3】異物検出部50の構成を説明する図である。
図4図4(a)は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物がワイヤー51に引っ掛かった状態であり、図4(b)は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物がワイヤー51を引っ張った状態である。
図5】本実施形態の乾燥機1の制御ブロック図である。
図6】異物検出部150の構成を説明する図である。
図7】異物検出部250の構成を説明する図である。
図8】異物検出部50の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である乾燥機1について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の乾燥機1の正面縦断面図であり、図2は、図1の乾燥機1のa-a線での側面縦断面図である。
【0017】
本実施形態の乾燥機1は、ドラム式衣類乾燥機であり、略直方体箱形状の筐体2を有している。筐体2の内部には、略円筒形状の内周面を有する略円筒形状の乾燥室3が配置され、乾燥室3の内部には、洗濯物を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム4が前後方向に延伸する主軸5により軸支されている。
【0018】
ドラム4は、その前端面に衣類投入口6が設けられ、乾燥対象の衣類は、筐体2のドア2aが開放された状態で、衣類投入口6を通してドラム4内に投入される。また、ドラム4の周面には、複数の通気孔4aが形成される。
【0019】
主軸5は、乾燥室3の背面壁に装着された軸受5aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸5の先端には、プーリ10が取り付けられている。乾燥室3の背後に設置された駆動源としてのドラムモータ11の回転駆動力は、モータプーリ12、タイミングベルト16を介してプーリ10に伝達され、これにより、ドラム4は、主軸5を中心に回転駆動される。
【0020】
乾燥室3の後部上面には、吹出口31が設けられ、乾燥室3の上部には、後方に開放した吸気口32aを入口とした吸気路32が配設されている。この吸気路32の内部には、吸気口32aから取り込まれた空気を加熱するための加熱源33が設置されている。業務用途の衣類乾燥機の場合、加熱源33は、高温の蒸気が流通されるスチームラジエータであることが多いが、加熱方式はこれに限るものではなく電気ヒータや都市ガス又はLPガスを用いたガスヒータ等を利用してもよい。
【0021】
ドラム4の前後方向に吹出口31と離れた位置である乾燥室3の前部下面には、風路穴34が配置され、乾燥室3の下部には、風路穴34と連通し且つ後方に開放した排気口35aを出口とする排気路35が形成される。排気路35内には、衣類から出る糸屑等の浮遊物を捕集するためのリントフィルタ36と、ファンモータ37aにより回転駆動されるファン37とが設置される。ファン37は、回転駆動されるときに、前方から空気を吸い込んで側方(全周)に空気を吐き出すように構成されたもの(例えばシロッコファン)である。
【0022】
よって、ファンモータ37aによりファン37が回転駆動されると、吸気口32aから吸気路32内に外気が吸引され、吹出口31、乾燥室3、風路穴34、排気路35を通過して排気口35aから機外へと排出される空気流が形成される。その際に、加熱源33が作動していれば、吹出口31から乾燥室3内に供給される空気は高温の加熱空気となる。
【0023】
上述したように、筐体2内において乾燥室3の下部には、略矩形状の風路穴34が形成される。乾燥室3の外周面には、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出可能な異物検出部50が配置される。図3は、異物検出部50の構成を説明する図である。
【0024】
異物検出部50は、ワイヤー51と、ワイヤー51の一端部が取り付けられた止め部52と、ワイヤー51が外周面に巻かれた第1回転ローラ53、第2回転ローラ54及び第3回転ローラ55と、ワイヤー51の他端部が取り付けられたワイヤースイッチ56とを有している。
【0025】
止め部52は、風路穴34の正面側端部の右側に配置される。第1回転ローラ53は、風路穴34の背面側端部の右側に配置され、第2回転ローラ54は、風路穴34の背面側端部の左側に配置され、第3回転ローラ55は、風路穴34の正面側端部の左側に配置される。ワイヤースイッチ56は、第3回転ローラ55の左側に配置される。
【0026】
ワイヤー51は、その一端部が止め部52に取り付けられた後、風路穴34の右側端部の壁部近傍を正面側から背面側に向かって張り渡される。その後、ワイヤー51は、第1回転ローラ53の外周面に巻かれた後、風路穴34の背面側を第2回転ローラ54に向かって張り渡される。第2回転ローラ54の外周面に巻かれたワイヤー51は、風路穴34の左側端部の壁部近傍を背面側から正面側に向かって張り渡される。その後、ワイヤー51は、第3回転ローラ55の外周面に巻かれた後、ワイヤー51の他端部がワイヤースイッチ56に接続される。
【0027】
ワイヤー51は、ドラム4の回転軸の下方にある風路穴34の中央部より右回転方向下流側においてドラム4の回転軸に沿って張り渡された第1部分51aと、風路穴34の中央部より左回転方向下流側においてドラム4の回転軸に沿って張り渡された第2部分51bとを有している。すなわち、ワイヤー51は、風路穴34の中央部(ドラム4の回転方向の中央部)より左側に配置された第1部分51aと、風路穴34の中央部より右側に配置された第2部分51bとを有している。
【0028】
風路穴34の左側端部の壁部近傍において背面側から正面側に張り渡されるワイヤー51の第1部分51aは、風路穴34の左側端部の壁部から内側に離れて配置される。同様に、風路穴34の右側端部の壁部近傍において正面側から背面側に張り渡されるワイヤー51の第2部分51bは、風路穴34の右側端部の壁部から内側に離れて配置される。
【0029】
異物検出部50のワイヤースイッチ56は、ワイヤー51に力が作用してない場合、すなわち、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物がワイヤー51に引っ掛かってない場合にオフ状態であるのに対して、ワイヤー51に異物が引っ掛かって、ワイヤー51の他端部が引っ張られた場合にオン状態に切り替わる。そのため、ワイヤースイッチ56は、ワイヤー51に力が作用して、ワイヤー51が移動したことを検出すると、オン状態に切り替わる。
【0030】
図4(a)は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物がワイヤー51に引っ掛かった状態を示し、図4(b)は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物がワイヤー51を引っ張った状態を示している。図4(a)及び図4(b)では、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を図示し、ドラム4の図示を省略している。
【0031】
ドラム4内に投入された乾燥対象の衣類に釘や金具などの異物が混入しており、ドラム4が右回転しているときに、ドラム4の下端部にある通気穴4aから異物が外側に突出し、その異物が乾燥室3の風路穴34内に配置された場合において、さらにドラム4が右回転すると、その異物が風路穴34の左側端部の壁部に向かって近づいていく。
【0032】
その後、図4(a)に示すように、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物が、風路穴34の左側端部の壁部近傍に張り渡されたワイヤー51の第1部分51aに引っ掛かる。その状態で、さらにドラム4が右回転すると、図4(b)に示すように、異物によりワイヤー51の第1部分51aが風路穴34の左側端部の壁部に向かって引っ張られる。すると、ワイヤースイッチ56がオン状態になり、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態であることが検出される。
【0033】
同様に、ドラム4が左回転しているときに、ドラム4の下端部にある通気穴4aから異物が外側に突出し、その異物が乾燥室3の風路穴34内に配置された場合において、さらにドラム4が左回転すると、その異物が風路穴34の右側端部の壁部に向かって近づいていく。
【0034】
その後、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物が、風路穴34の右側端部の壁部近傍に張り渡されたワイヤー51の第2部分51bに引っ掛かる。その状態で、さらにドラム4が左回転すると、異物によりワイヤー51の第2部分51bが風路穴34の右側端部の壁部に向かって引っ張られる。すると、ワイヤースイッチ56がオン状態になり、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態であることが検出される。
【0035】
よって、異物検出部50は、風路穴34の中央部より左側(右回転下流側、所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能であると共に、風路穴34の中央部より右側(左回転下流側、反所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能である。
【0036】
そのため、異物検出部50は、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態でドラム4が右回転した場合に、ワイヤー51の第1部分51aにより、異物が風路穴34の左側端部の壁部に衝突するまでに異物を検出可能であると共に、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態でドラム4が左回転した場合に、ワイヤー51の第2部分51bにより、異物が風路穴34の右側端部の壁部に衝突するまでに異物を検出可能である。
【0037】
なお、詳細な説明は省略するが、異物検出部50は、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態でドラム4が右回転した場合に、ワイヤー51の第2部分51bにより異物を検出可能であると共に、ドラム4の通気穴4aから異物が外側に突出した状態でドラム4が左回転した場合に、ワイヤー51の第1部分51aにより異物を検出可能である。
【0038】
図5は、本実施形態の乾燥機1の制御ブロック図である。乾燥機1の制御部60は、図5に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、乾燥機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶RAMとを備えている。乾燥機1の運転動作は、この制御部60によって制御される。制御部60には、ワイヤースイッチ56と、モータ11とが接続される。
【0039】
乾燥機1において乾燥運転を行う場合、制御部60は、ドラム4が左回転と右回転と交互に繰り返すようにモータ11を制御する。
【0040】
乾燥運転を行っている際に、ワイヤースイッチ56がオン状態に切り替わった場合、制御部60は、ドラム4の回転が停止されるようにモータ11を制御する。
【0041】
本実施形態の乾燥機1は、筐体2内に配置された乾燥室3と、乾燥室3内に配置され、複数の通気穴4aが形成された内周面を有するドラム4と、乾燥室3に対して加熱空気を送り込むための吸気路32と、乾燥室3の下部に形成された風路穴34と連通し、乾燥室3内の空気を排出するための排気路35と、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出可能な異物検出手段である異物検出部50と、ドラム4を回転駆動するモータ11を制御する制御手段である制御部60とを備え、制御部60は、異物検出部50により異物が検出された場合に、ドラム4の回転を停止するようにモータ11を制御する。
【0042】
これにより、本実施形態の乾燥機1では、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出するとドラム4の回転が停止されるため、異物が突出した状態でドラム4が回転して、その異物により風路穴34の端部壁部またはドラム4が破損するのを防止できる。
【0043】
本実施形態の乾燥機1において、異物検出手段である異物検出部50は、風路穴34内に突出した異物を検出可能である。
【0044】
これにより、本実施形態の乾燥機1では、風路穴34内においてドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出するため、異物が突出した状態でドラム4の回転が継続された場合に、風路穴34の端部壁部に衝突する異物を検出することができる。
【0045】
本実施形態の乾燥機1において、制御手段である制御部60は、ドラム4が左回転と右回転とを交互に繰り返すようにモータ11を制御すると共に、異物検出手段である異物検出部50は、風路穴34の中央部より右側、及び、風路穴34の中央部より左側において異物を検出可能である。
【0046】
これにより、本実施形態の乾燥機1では、ドラム4が右回転する場合に風路穴34の中央部より左側において異物を検出し、ドラム4が左回転する場合に風路穴34の中央部より右側において異物を検出可能であるため、異物が突出した状態でドラム4が何れの方向に回転した場合でも、風路穴34の端部壁部近傍において異物を検出することができる。そのため、異物が異物検出部50に検出されないで、その異物が風路穴34の端部壁部に衝突するのを抑制できる。
【0047】
本実施形態の乾燥機1において、異物検出手段である異物検出部50は、ワイヤー51と、ワイヤー51が移動したことを検出する移動検出部であるワイヤースイッチ56とを含んでおり、ワイヤー51は、風路穴34の中央部より右回転下流側においてドラム4の回転軸に沿って張り渡された第1部分51aと、風路穴34の中央部より左回転下流側においてドラム4の回転軸に沿って張り渡された第2部分51bとを有する。
【0048】
これにより、本実施形態の乾燥機1では、風路穴34の両端部にそれぞれ張り渡されたワイヤー51が移動したことを1つのワイヤースイッチ56により検出可能であるため、風路穴34の両端部にそれぞれ張り渡されたワイヤー51に対してワイヤースイッチ56をそれぞれ配置する場合と比べて、製造コストを低減できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0050】
上記実施形態では、ワイヤー51及びワイヤースイッチ56を有する異物検出部50により、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出したが、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物を検出する異物検出手段の構成は、任意である。
【0051】
例えば、本発明の異物検出手段は、図6に示すように、2つの発光部151と、2つの受光部152を有しており、光電センサを使用した異物検出部150でもよい。
【0052】
発光部151の1つは、風路穴34の正面側端部の左側に配置されると共に、受光部152の1つは、風路穴34の背面側端部の左側に配置される。発光部151は、風路穴34の中央部より左側(右回転方向下流側)において、受光部152に向かって光を出力する。発光部151から出力された光は、風路穴34の左端部近傍において風路穴34の左側端部の壁部から内側に離れた部分を通過する。風路穴34の左端部近傍に配置された発光部151と受光部152とにより光電センサを形成する。
【0053】
同様に、発光部151の他方は、風路穴34の正面側端部の右側に配置されると共に、受光部152の他方は、風路穴34の背面側端部の右側に配置される。発光部151は、風路穴34の中央部より右側(左回転方向下流側)において、受光部152に向かって光を出力する。発光部151から出力された光は、風路穴34の右端部端部近傍において風路穴34の右側端部の壁部から内側に離れた部分を通過する。風路穴34の右端部近傍に配置された発光部151と受光部152とにより光電センサを形成する。
【0054】
異物検出部150は、発光部151から出力された光が受光部152により受光されている場合にオフ状態であるのに対して、発光部151から出力された光が遮られて受光部152により受光されない場合にオン状態に切り替わる。そのため、異物検出部150は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物が発光部151と受光部152との間を通過したことを検出すると、オン状態に切り替わる。
【0055】
よって、異物検出部150は、風路穴34の中央部より左側(右回転下流側、所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能であると共に、風路穴34の中央部より右側(左回転下流側、反所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能である。
【0056】
本発明の異物検出手段は、図7(a)に示すように、2つのリミットスイッチ251を有した異物検出部250でもよい。
【0057】
リミットスイッチ251の1つは、風路穴34の左端部に配置される。リミットスイッチ251は、乾燥室3の外周面に取り付けられた第1部材252と、第1部材252に対して移動可能に配置された第2部材253とを有している。
【0058】
第2部材253は、図7(b)に示すように、第1部材252から風路穴34の中央部に向かって突出した突出位置と、図7(c)に示すように、第1部材252から突出しない内部位置とを取り得る。
【0059】
第2部材253は、ばね部材254により突出位置に向かって押圧されている。第2部材253に対して第1部材252に向かって力が作用すると、第2部材253が、ばね部材254のばね力に抗して、突出位置から内部位置に移動する。そのとき、第2部材253に取り付けられた移動部材255が、第2部材253と共に移動して、移動部材255の先端が検出部材256に当接する。
【0060】
異物検出部250のリミットスイッチ251は、第2部材253が突出位置にある場合にオフ状態であるのに対して、第2部材253が内部位置に移動した場合にオン状態に切り替わる。そのため、異物検出部250は、ドラム4の通気穴4aから外側に突出した異物により、第2部材253が第1部材252に向かって押圧されて、第2部材253が内部位置に移動したことを検出すると、オン状態に切り替わる。
【0061】
リミットスイッチ251の他方は、風路穴34の右端部に配置されており、風路穴34の中央部より左回転方向下流側において風路穴34内に突出した異物を検出可能である。風路穴34の右端部に配置されたリミットスイッチ251は、風路穴34の左端部に配置されたリミットスイッチ251と同様である。
【0062】
よって、異物検出部250は、風路穴34の中央部より左側(右回転下流側、所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能であると共に、風路穴34の中央部より右側(左回転下流側、反所定方向下流側)において風路穴34内に突出した異物を検出可能である。
【0063】
上記実施形態及び変形例では、異物検出部50が、風路穴34の中央部より左側において風路穴34内に突出した異物を検出可能であると共に、風路穴34の中央部より右側において風路穴34内に突出した異物を検出可能であるが、それに限られない。異物検出部150、250についても同様である。例えば、異物検出部50は、図8(a)に示すように、風路穴34の中央部より左側においてのみ風路穴34内に突出した異物を検出可能でもよい。図8(a)では、第2回転ローラ54の代わりに、止め部54aが使用される。また、異物検出部50は、図8(b)に示すように、風路穴34の中央部より右側においてのみ風路穴34内に突出した異物を検出可能でもよい。図8(b)では、ワイヤー51は、第1回転ローラ53の外周面に巻かれた後、ワイヤー51の他端部がワイヤースイッチ56に接続される。
【0064】
上記実施形態及び変形例では、異物検出部50、150、250が、風路穴34の左側端部の壁部近傍及び風路穴34の右側端部の壁部近傍において風路穴34内に突出した異物を検出するが、風路穴34内に突出した異物を検出する検出位置は、それに限られない。
【0065】
上記実施形態では、風路穴34の両端部にそれぞれ張り渡されたワイヤー51が一体に形成され、そのワイヤー51が移動したことを1つのワイヤースイッチ56により検出するが、ワイヤー51の第1部分51a及び第2部分51bに対応した別々のワイヤーが風路穴34の両端部にそれぞれ張り渡されており、その別々のワイヤーに対してワイヤースイッチ56をそれぞれ配置してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 乾燥機
2 筐体
3 乾燥室
4 ドラム
4a 通気穴
11 モータ
32 吸気路
34 風路穴
35 排気路
50 異物検出部(異物検出手段)
51 ワイヤー
56 ワイヤースイッチ
51a ワイヤーの第1部分
51b ワイヤーの第2部分
60 制御部(制御手段)
150 異物検出部(異物検出手段)
250 異物検出部(異物検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8